JPH06101186A - 化学パルプの漂白方法 - Google Patents

化学パルプの漂白方法

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JPH06101186A
JPH06101186A JP24497292A JP24497292A JPH06101186A JP H06101186 A JPH06101186 A JP H06101186A JP 24497292 A JP24497292 A JP 24497292A JP 24497292 A JP24497292 A JP 24497292A JP H06101186 A JPH06101186 A JP H06101186A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 化学パルプの漂白において、パルプの劣化を
伴うことなく脱リグニンおよび高白色度化を進める。 【構成】 蒸解処理された化学パルプを酸処理を行った
後、アルカリ性媒体中で過酸化物と加圧酸素により脱リ
グニン・漂白を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は製紙用化学パルプの処理
に関し、さらに詳しくは、化学パルプの脱リグニン・漂
白処理における改良に関する。
【0002】
【従来の技術】化学パルプの漂白は多段にわたる漂白処
理により実施されている。従来より、この多段漂白には
漂白剤として塩素系漂白薬品が使用されている。具体的
には、塩素(C)、次亜塩素酸塩(H)、二酸化塩素
(D)の組合せにより、たとえば、C−E−H−D、C
/D−E−H−E−D(C/Dは塩素と二酸化塩素の併
用漂白段、Eはアルカリ抽出段)などのシーケンスによ
る漂白が行われてきた。
【0003】しかし、これらの塩素系漂白薬品は使用時
に環境に有害な有機塩素化合物を副生し、この有機塩素
化合物を含む漂白排水の環境汚染性が問題になってい
る。有機塩素化合物は一般にAOX法、たとえば米国環
境庁法(EPA METHOD)9020号によって分
析、評価される。
【0004】塩素系漂白薬品の使用量を低減させる方法
としては、蒸解処理後の初段にアルカリ性媒体中で高温
加圧下で酸素を作用させる酸素漂白法が開発され、現在
広く普及するに至っている。この酸素漂白法によれば、
蒸解後に残存するリグニンの40〜50%が除去されるので
後段の漂白薬品の使用量を下げることが可能になるのみ
ならず、酸素漂白工程の廃液を蒸解工程に循環すること
ができるので薬品とエネルギーを回収することができ、
また、排水処理の負荷を軽減することができる。
【0005】しかしながら、この酸素漂白法導入によっ
ても高白色度を得るためには、その後続段でまだかなり
多量の塩素系漂白薬品の使用を必要とし、その結果、相
当量の有機塩素化合物を副生することが避けられない。
酸素漂白法の改良としては、蒸解後のパルプを酸素と過
酸化物を用いて漂白処理する方法が特開昭62-53497号公
報および特開平3-14687号公報に開示されている。しか
し、本発明者らが検討したところ、脱リグニンおよび高
白色度化は充分でなく、かなりの量の塩素系漂白薬品を
使用せざるをえない。
【0006】さらに、特公平2-15671号公報において
は、酸素、過酸化物、環状ケト化合物および/または環
状アミノ化合物の系によりパルプの劣化を伴わないで高
白色度化が可能とされているが、この方法は高価な環状
ケト化合物および/または環状アミノ化合物の回収・再
使用が困難であるので、薬品コストがかなり高くなり、
経済的に不利である。
【0007】また、蒸解処理後の化学パルプを酸処理し
た後、過酸化水素漂白(Ep)をする方法として、特開
昭51-102103号公報、特開昭56-85489号公報および特公
平2-17679号公報が提案されており、これらには、パル
プを酸処理した後、酸素を加えることなく100℃以下に
て過酸化水素漂白を行うことにより脱リグニンが増大す
ることが記載されている。しかしながら、本発明者らが
検討した結果、これらの方法はいずれも脱リグニンと高
白色度化の点で必ずしも充分な効果を与えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、化学
パルプの漂白において、パルプの劣化を伴うことなく脱
リグニンおよび高白色度化を進め、後続の漂白段の負荷
を軽減させるための経済的な手段を提供することであ
る。そして、それによって後続の漂白段での塩素系漂白
薬品の使用量を低減させ、漂白排水の環境汚染性を下げ
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、経済的に
パルプを脱リグニン・漂白する方法に取り組み、先に特
開平3-64589号公報において、酸処理後、50〜90℃、大
気圧〜3Kg/cm2にて過酸化物を併用する酸素漂白法を発
表した。本発明者らはさらに研究を進め、一般に実施さ
れている漂白設備の大幅な変更を必要としないで高白色
度・高品質のパルプが得られ、かつ、塩素系漂白薬品使
用量が大幅に削減される方法について鋭意検討した結
果、蒸解後のパルプを酸処理した後、過酸化物を併用し
た酸素漂白を行うことにより、効果的に脱リグニンおよ
び高白色度化されたパルプが得られることを見い出し、
本発明を完成させるに至った。
【0010】すなわち、本発明は、蒸解処理された化学
パルプに対して、酸処理工程を行った後、アルカリ性媒
体中で過酸化物と加圧酸素による脱リグニン・漂白工程
を行うことを特徴とする化学パルプの漂白方法である。
【0011】本発明は、製紙用化学パルプの漂白処理に
適し、特に広葉樹および針葉樹由来のクラフトパルプの
脱リグニンおよび漂白処理に適する。
【0012】本発明においては、蒸解処理した化学パル
プに対し、まず、酸溶液による処理(以下、この酸処理
をA段と称することがある)を行う。
【0013】本発明の酸処理は、パルプの状態にもよる
が、たとえばパルプ濃度1〜30%、好ましくは2〜15
%、最も好ましくは3〜10%で、温度30〜95℃、好まし
くは40〜80℃で、処理時間は5〜120分、好ましくは15
〜60分で実施される。
【0014】酸処理後のパルプは脱水機により酸溶液か
ら分離され、次いで好ましくは洗浄を受ける。分離され
た酸溶液は、酸処理への再使用および/または蒸解工程
後のパルプの向流洗浄に使用でき、場合によっては蒸解
工程にリサイクルすることもできる。本発明の酸処理に
はこの脱水、洗浄工程も含まれる。
【0015】酸処理工程における酸溶液のpHは好まし
くは1〜5、さらに好ましくは1.5〜3である。使用さ
れる酸は無機酸が好適で、硫酸、硝酸、亜硫酸、亜硝
酸、およびこれらの酸の混合物が好適に使用される。
【0016】なかでも硫酸および亜硫酸は、安価に入手
できるのみならず、腐食性が低いので、好適に使用でき
る。特にクラフト蒸解が行われている場合は、酸処理後
の当該酸溶液をクラフト蒸解における薬品の補充として
利用できるという利便を生じる。
【0017】A段後のパルプは、続いて過酸化物と加圧
酸素による脱リグニン・漂白工程に供せられる。(以
下、この漂白工程を過酸化物併用酸素漂白工程あるいは
Op段と称することがある。)この処理において、パル
プはアルカリ性媒体中、過酸化物と加圧酸素により脱リ
グニン・漂白作用を受ける。過酸化物と加圧酸素は事実
上、パルプに同時に作用する。
【0018】Op段でのアルカリ剤としては、苛性ソー
ダ、苛性カリ、石灰、ソーダ灰などが使用できる。中で
も苛性ソーダは安価であるとともに、蒸解工程へリサイ
クルすることにより蒸解工程での薬品の補充量を軽減で
きるので、好適に使用できる。アルカリ剤の使用量は、
NaOH換算で絶乾パルプ当り0.5〜6.0 %が好ましく、1.5
〜3.0 %がさらに好ましい。アルカリ剤の使用量がこれ
より少ないと脱リグニン・漂白効果が低くなり、これよ
り多いとパルプの粘度が顕著に低下する。
【0019】Op段での酸素としては、酸素ガスおよび
空気が使用できるが、酸素ガスが好ましい。酸素の使用
量は、絶乾パルプ当り0.5〜5.0 %が好適である。Op
段の処理操作圧力は2.5〜10Kg/cm2が好ましく、3.5〜8K
g/cm2がさらに好ましい。
【0020】過酸化物としては、たとえば、過酸化水
素、過酸化水素と無機塩類との付加物、過酸化ソーダ、
過ギ酸、過酢酸などの無機および有機の過酸化物が使用
でき、一般には過酸化水素が使用される。過酸化物の使
用量は、100%過酸化水素換算で絶乾パルプ当り0.1 〜6.
0 %が好ましく、0.2〜2.5 %がさらに好ましい。過酸
化物の使用量がこれより少ないと脱リグニン・漂白効果
が低く、これより多いと過酸化物の効率が低下する。
【0021】本発明のOp段におけるパルプへの薬品の
添加順序は、アルカリ剤、酸素の順が好ましく、過酸化
物の添加はアルカリ剤の添加後で、かつ、酸素添加の直
前、同時、直後において行われるのが好ましい。
【0022】本発明のOp段のパルプ濃度は7〜30%が
好ましく、10〜20%がさらに好ましい。温度は60〜130
℃が好ましく、90〜110℃がさらに好ましい。処理時間
は20〜150分が好ましく、30〜90分がさらに好ましい。
【0023】さらに、本発明者らは予想外なことに、A
段において硫酸と亜硫酸の混合液を使用して酸前処理し
たパルプが、後続の過酸化物併用酸素漂白工程によりき
わめて効果的に脱リグニン・漂白されることを見出し
た。
【0024】この場合、硫酸と亜硫酸の混合液中の両者
の比率は、亜硫酸/硫酸(重量比)で0.01〜2が好まし
く、0.02〜1がさらに好ましく、0.05〜0.5が最も好ま
しい。酸処理における液のpHおよびその他の処理条
件、並びに廃液の操作方法などは前記の酸処理条件と同
様である。
【0025】さらに、Op段において、パルプの粘度低
下の防止および過酸化物の安定化のために、マグネシウ
ム化合物を使用することが好ましい。
【0026】マグネシウム化合物としては、硫酸マグネ
シウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸
マグネシウム、硝酸マグネシウムなどが使用できるが、
一般には硫酸マグネシウムが使用される。マグネシウム
化合物の使用量は、マグネシウムイオンとして絶乾パル
プ当り0.01〜0.4%が好ましく、0.02〜0.1 %がさらに
好ましい。マグネシウム化合物の添加は、アルカリ剤、
酸素および過酸化物のより以前においてなされることが
好ましい。
【0027】本発明のA−Opによって得られる漂白パ
ルプはそのままでもかなりの高白色度を有するが、さら
に継続して多段の漂白工程を付加したフルブリーチによ
り、一層の高白色度を有するパルプを得ることが可能で
ある。その場合、Op段にてすでに高度の脱リグニンが
行われ、かつ、高白色度状態にあるため、後続漂白とし
て、塩素および次亜塩素酸をほとんどまたは全く使用し
ない漂白ができる。
【0028】たとえば、A−Op工程の後、二酸化塩素
漂白(D)、次いで過酸化物漂白(P)を行うと(A−
Op−D−P)、塩素または次亜塩素酸塩を使用しない
で、現行の代表的フルブリ−チシ−ケンスであるO−C
/D−E−H−Dと同等またはそれ以上の高粘度・高白
色度のパルプ製品を得ることができる。
【0029】その場合の二酸化塩素漂白(D)段の条件
は、通常のフルブリ−チシ−ケンスで行われているD段
の条件で行われる。例えば、パルプ濃度7〜30%、温度
40〜90℃、時間1〜4Hr、二酸化塩素使用量0.1〜2.0
%の範囲で行われる。
【0030】本発明の過酸化物漂白(P)段は、通常の
フルブリ−チシ−ケンスで行われているP段の条件で行
われる。すなわち、アルカリ剤水溶液中、過酸化物によ
り、パルプ濃度7〜30%、温度40〜100 ℃、時間1〜4H
rの範囲で行われる。アルカリ剤としては、たとえば苛
性ソーダ、苛性カリ、石灰、ソーダ灰などが挙げられる
が、一般的には苛性ソーダが使用され、アルカリ剤の使
用量は苛性ソーダ換算で0.1〜2%の範囲で行われる。
【0031】また、過酸化物としては、過酸化水素、過
酸化水素と無機塩類との付加物、過酸化ソーダ、過ギ
酸、過酢酸などの無機および有機の過酸化物が挙げられ
るが、一般には過酸化水素が使用され、過酸化物の使用
量は、100%過酸化水素換算で絶乾パルプ当り0.1 〜2.0
%の範囲で行われる。
【0032】本発明における酸処理の作用は、過酸化物
の分解活性を有する重金属のパルプからの除去およびリ
グニンの変化にあると考えられる。すなわち、まず、酸
処理後のパルプにおいては、重金属がほとんど存在しな
い状態となるために過酸化物の無駄な分解が減少し、漂
白に関与する過酸化物の量が保持される。次に、酸処理
はそれ自体においては脱リグニンの進行が認められない
にもかかわらず、酸処理後の酸素漂白および酸処理後の
過酸化物併用酸素漂白において、脱リグニンが一層進行
するという作用を示す。脱リグニン作用は過酸化物併用
酸素漂白においてより顕著になる。以上のことは、酸処
理がリグニンに対し酸素および過酸化物による分解作用
を受け易いように変化させるという作用を持ち合わせて
いることを示している。
【0033】酸処理のこれらの効果によって、脱リグニ
ンおよび高白色度化が効率的に進行し、高品質のパルプ
が得られるのものと考えられる。本発明のA−Opを実
施するに当たっては、現在普及している酸素漂白設備に
対し、酸の供給ラインと酸処理のための槽(または塔)
および脱水・洗浄設備、ならびに、過酸化物の供給ライ
ンという慣用設備の付設で済み、大きな設備変更を必要
としない。これら付設設備の材質は、化学プラントにお
いて一般的に使用されているSUS304、SUS30
4L、SUS316またはSUS316Lが好適に使用
される。従って、本発明は大きな設備投資を必要としな
いで実施することができる。
【0034】また、本発明のA−Op−D−Pフルブリ
−チを実施するに当たっても、後段のD段、P段は、そ
れぞれ、現行のD段装置、E段もしくはP段装置をその
まま使用でき、設備投資を必要としないで実施すること
ができる。
【0035】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
る。各薬品の使用量は絶乾パルプ当りの重量%で示し、
過酸化水素の使用量は、100%過酸化水素換算である。使
用したパルプは、クラフト蒸解後のL材未晒しパルプ
(ハンター白色度 32.7 %、K価 12.9、粘度 36.0cP
)である。分析評価は以下の方法によった。
【0036】白色度:JIS-P8123 (ハンター白色度法) K価:TAPPI K価法 粘度:J.TAPPI No.44法 AOX:EPA METHOD 9020法、三菱化成(株) TSX-10型
にて測定
【0037】実施例1 クラフト蒸解後のL材未晒しパルプに硫酸を加え、pH
2、パルプ濃度5%とし、45℃、60分間の酸処理を行っ
た。次に水を加えてパルプ濃度2.5 %にした後、パルプ
濃度20%強に脱水した。続いてNaOH水溶液で中和
し、pH7.5 、パルプ濃度20%の酸処理パルプを得た。
酸処理後のパルプのK価は12.9であり、酸処理前のパル
プと同じ値であった。
【0038】この酸処理パルプに硫酸マグネシウムを0.
25%加えた後、加圧型パルプ漂白装置に入れ、脱気し10
6℃に加温した後、NaOH 1.55 %、過酸化水素 0.5%、
酸素2%を加え、加圧し、混合した。この状態でのパル
プ濃度は10.5%であった。パルプ混合物に最初7Kg/cm2
の圧力をかけた後一定速度で徐々に圧力を下げてゆき、
60分後に4Kg/cm2 になるようにした。この間、パルプ混
合物の温度を106℃に保った。60分後、冷却・脱圧し、
パルプ混合物を冷水に投入してパルプ濃度2.5 %のパル
プスラリーとし、これを脱水して漂白パルプを得た。
【0039】実施例2 亜硫酸と硫酸の酸混合液(重量比=0.2 )を用い、60
℃、30分の酸処理を行った他は実施例1と同様の酸処理
および漂白を行った。
【0040】実施例3 酸処理を温度80℃、15分とし、過酸化水素使用量を1.0%
とした他は実施例1と同様の酸処理および漂白を行っ
た。
【0041】比較例1 現行の酸素漂白法と同様に、酸処理工程を行わず、か
つ、過酸化水素を使用しないで、酸素のみを使用する他
は実施例1と同様の漂白を行った。
【0042】比較例2 実施例1の酸処理工程において酸の代わりに中性の水を
用いた他は、実施例1と同様の処理および漂白を行っ
た。
【0043】比較例3 実施例1の酸処理工程においてpH2とする代わりに硫
酸でpHを6とし、かつEDTAを1%使用した他は実
施例1と同様の処理および漂白を行った。
【0044】比較例4 漂白工程において過酸化水素を併用しないで、酸素のみ
を使用する他は、実施例1と同様の酸処理および漂白を
行った。
【0045】比較例5 漂白工程を、温度90℃、常圧で酸素の供給を行わなかっ
た他は実施例3と同様の酸処理および漂白を行った。実
施例1〜3、比較例1〜5の結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】実施例4 酸処理の温度を55℃、30分間とし、漂白工程でのNaOHの
使用量を2.0%、過酸化水素の使用量を2.0 %とした他
は実施例1と同様の酸処理および漂白を行い、得られた
パルプを用いて以下の条件により二酸化塩素漂白(D)
次いで過酸化水素漂白(P)を行った。漂白後、D段お
よびP段の廃液を合わせて、有機塩素化合物(AOX)
量を測定した。
【0048】D段条件:二酸化塩素 0.6% パルプ濃度 13% 処理温度 70℃ 処理時間 120分 P段条件:NaOH 0.25% 過酸化水素 0.2% パルプ濃度 15% 処理温度 70℃ 処理時間 120分
【0049】比較例6 現行の酸素漂白法として、比較例1と同様の漂白を行
い、得られたパルプを用いて、一般に実施されている条
件に従って、C/D(Dによる有効塩素置換率10%)−
E−H−Dの後続の漂白段を行った。漂白後、すべての
漂白段の廃液を合わせて、有機塩素化合物(AOX)量
を測定した。実施例4、比較例6の結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、現行の酸素漂白法に優
る脱リグニンを、粘度の大きな低下を伴うことなく行う
ことができ、かつ、かなりの高白色度の漂白パルプを得
ることができる。この漂白パルプは脱リグニン度および
白色度が高いので、後続の漂白段において塩素系漂白薬
品の使用量を大幅に削減できる。更に、後続の漂白段に
おいて塩素および次亜塩素酸塩を全く使用しないで、A
OX生成量の著しく少ないフルブリーチが可能である。
その結果、有機塩素化合物の副生を大幅に低減させる事
ができ、漂白排水の環境汚染性を大幅に下げることがで
きる。さらに、得られるパルプの粘度が高い。
【0052】また、本発明法の実施に当たっては、現在
普及している酸素漂白設備をほとんどそのまま使用する
ことができる。酸素漂白を含む漂白シーケンスを既に保
有する設備においては、大きな付加的な投資を必要せず
にフルブリーチが実施できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 化学パルプの漂白方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は製紙用化学パルプの処理
に関し、さらに詳しくは、化学パルプの脱リグニン・漂
白処理における改良に関する。
【0002】
【従来の技術】化学パルプの漂白は多段にわたる漂白処
理により実施されている。従来より、この多段漂白には
漂白剤として塩素系漂白薬品が使用されている。具体的
には、塩素(C)、次亜塩素酸塩(H)、二酸化塩素
(D)の組合せにより、たとえば、C−E−H−D、C
/D−E−H−E−D(C/Dは塩素と二酸化塩素の併
用漂白段、Eはアルカリ抽出段)などのシーケンスによ
る漂白が行われてきた。
【0003】しかし、これらの塩素系漂白薬品は使用時
に環境に有害な有機塩素化合物を副生し、この有機塩素
化合物を含む漂白排水の環境汚染性が問題になってい
る。有機塩素化合物は一般にAOX法、たとえば米国環
境庁法(EPAMETHOD)9020号によって分
析、評価される。
【0004】塩素系漂白薬品の使用量を低減させる方法
としては、蒸解処理後の初段にアルカリ性媒体中で高温
加圧下で酸素を作用させる酸素漂白法が開発され、現在
広く普及するに至っている。この酸素漂白法によれば、
蒸解後に残存するリグニンの40〜50%が除去されるので
後段の漂白薬品の使用量を下げることが可能になるのみ
ならず、酸素漂白工程の廃液を蒸解工程に循環すること
ができるので薬品とエネルギーを回収することができ、
また、排水処理の負荷を軽減することができる。
【0005】しかしながら、この酸素漂白法導入によっ
ても高白色度を得るためには、その後続段でまだかなり
多量の塩素系漂白薬品の使用を必要とし、その結果、相
当量の有機塩素化合物を副生することが避けられない。
酸素漂白法の改良としては、蒸解後のパルプを酸素と過
酸化物を用いて漂白処理する方法が特開昭62-53497号公
報および特開平3-14687号公報に開示されている。しか
し、本発明者らが検討したところ、脱リグニンおよび高
白色度化は充分でなく、かなりの量の塩素系漂白薬品を
使用せざるをえない。
【0006】さらに、特公平2-15671号公報において
は、酸素、過酸化物、環状ケト化合物および/または環
状アミノ化合物の系によりパルプの劣化を伴わないで高
白色度化が可能とされているが、この方法は高価な環状
ケト化合物および/または環状アミノ化合物の回収・再
使用が困難であるので、薬品コストがかなり高くなり、
経済的に不利である。
【0007】また、蒸解処理後の化学パルプを酸処理し
た後、過酸化水素漂白(Ep)をする方法として、特開
昭51-102103号公報、特開昭56-85489号公報および特公
平2-17679号公報が提案されており、これらには、パル
プを酸処理した後、酸素を加えることなく100℃以下に
て過酸化水素漂白を行うことにより脱リグニンが増大す
ることが記載されている。しかしながら、本発明者らが
検討した結果、これらの方法はいずれも脱リグニンと高
白色度化の点で必ずしも充分な効果を与えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、化学
パルプの漂白において、パルプの劣化を伴うことなく脱
リグニンおよび高白色度化を進め、後続の漂白段の負荷
を軽減させるための経済的な手段を提供することであ
る。そして、それによって後続の漂白段での塩素系漂白
薬品の使用量を低減させ、漂白排水の環境汚染性を下げ
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、経済的に
パルプを脱リグニン・漂白する方法に取り組み、先に特
開平3-64589号公報において、酸処理後、50〜90℃、大
気圧〜3Kg/cm2にて過酸化物を併用する酸素漂白法を発
表した。本発明者らはさらに研究を進め、一般に実施さ
れている漂白設備の大幅な変更を必要としないで高白色
度・高品質のパルプが得られ、かつ、塩素系漂白薬品使
用量が大幅に削減される方法について鋭意検討した結
果、蒸解後のパルプを酸処理した後、過酸化物を併用し
た酸素漂白を行うことにより、効果的に脱リグニンおよ
び高白色度化されたパルプが得られることを見い出し、
本発明を完成させるに至った。
【0010】すなわち、本発明は、蒸解処理された化学
パルプに対して、酸処理工程を行った後、アルカリ性媒
体中で過酸化物と加圧酸素による脱リグニン・漂白工程
を行うことを特徴とする化学パルプの漂白方法である。
本発明は、製紙用化学パルプの漂白処理に適し、特に広
葉樹および針葉樹由来のクラフトパルプの脱リグニンお
よび漂白処理に適する。
【0011】本発明においては、蒸解処理した化学パル
プに対し、まず、酸溶液による処理(以下、この酸処理
をA段と称することがある)を行う。本発明の酸処理
は、パルプの状態にもよるが、たとえばパルプ濃度1〜
30%、好ましくは2〜15%、最も好ましくは3〜10%
で、温度30〜95℃、好ましくは40〜80℃で、処理時間は
5〜120分、好ましくは15〜60分で実施される。
【0012】酸処理工程における酸溶液のpHは好まし
くは1〜5、さらに好ましくは1.5〜3である。使用さ
れる酸は無機酸が好適で、硫酸、硝酸、亜硫酸、亜硝
酸、およびこれらの酸の混合物が好適に使用される。な
かでも硫酸および亜硫酸は、安価に入手できるのみなら
ず、材質に対する腐食性が低いので、好適に使用でき
る。特にクラフト蒸解が行われている場合は、酸処理後
の当該酸溶液をクラフト蒸解における薬品の補充として
利用できるという利便を生じる。
【0013】酸処理後のパルプは脱水機により酸溶液か
ら分離され、次いで好ましくは洗浄を受ける。分離され
た酸溶液は、酸処理への再使用および/または蒸解工程
後のパルプの向流洗浄に使用でき、場合によっては蒸解
工程にリサイクルすることもできる。本発明の酸処理工
程にはこの脱水、洗浄工程も含まれる。
【0014】酸処理工程後のパルプは、続いて過酸化物
と加圧酸素による脱リグニン・漂白工程に供せられる。
(以下、この漂白工程を過酸化物併用酸素漂白工程ある
いはOp段と称することがある。)この処理において、
パルプはアルカリ性媒体中、過酸化物と加圧酸素により
脱リグニン・漂白作用を受ける。過酸化物と加圧酸素は
事実上、パルプに同時に作用する。
【0015】Op段でのアルカリ剤としては、苛性ソー
ダ、苛性カリ、石灰、ソーダ灰などが使用できる。中で
も苛性ソーダは安価であるとともに、蒸解工程へリサイ
クルすることにより蒸解工程での薬品の補充量を軽減で
きるので、好適に使用できる。アルカリ剤の使用量は、
NaOH換算で絶乾パルプ当り0.5〜%が好ましく、1.5〜
%がさらに好ましい。アルカリ剤の使用量が0.5%
り少ないと脱リグニン・漂白効果が低くなり、6%より
多いとパルプの粘度が顕著に低下する。
【0016】Op段での酸素としては、酸素ガスおよ
び空気が使用できるが、酸素ガスが好ましい。酸素の使
用量は、絶乾パルプ当り0.5〜5.0 %が好適である。O
p段の操作圧力は2.5〜10Kg/cm2が好ましく、3.5〜8Kg/
cm2がさらに好ましい。
【0017】過酸化物としては、たとえば、過酸化水
素、過酸化水素と無機塩類との付加物、過酸化ソーダ、
酸、過酢酸などの無機および有機の過酸化物が使用
でき、一般には過酸化水素が使用される。過酸化物の使
用量は、100%過酸化水素換算で絶乾パルプ当り0.1 〜
%が好ましく、0.2〜2.5 %がさらに好ましい。過酸化
物の使用量が 0.1%より少ないと脱リグニン・漂白効果
が低く、6%より多いと過酸化物の効率が低下する。
【0018】本発明のOp段におけるパルプへの薬品の
添加順序は、アルカリ剤、酸素の順が好ましく、過酸化
物の添加はアルカリ剤の添加後で、かつ、酸素添加の直
前、同時、直後において行われるのが好ましい。
【0019】本発明のOp段のパルプ濃度は7〜30%が
好ましく、10〜20%がさらに好ましい。温度は60〜130
℃が好ましく、90〜110℃がさらに好ましい。処理時間
は20〜150分が好ましく、30〜90分がさらに好ましい。
【0020】さらに、本発明者らは予想外なことに、
処理において硫酸と亜硫酸の混合液を使用して酸前処理
したパルプが、後続の過酸化物併用酸素漂白工程により
きわめて効果的に脱リグニン・漂白されることを見出し
た。
【0021】この場合、硫酸と亜硫酸の混合液中の両者
の比率は、亜硫酸/硫酸(重量比)で0.01〜2が好まし
く、0.02〜1がさらに好ましく、0.05〜0.5が最も好ま
しい。酸処理における液のpHおよびその他の処理条
件、並びに廃液の操作方法などは前記の酸処理条件と同
様である。
【0022】さらに、Op段において、パルプの粘度低
下の防止および過酸化物の安定化のために、マグネシウ
ム化合物を使用することが好ましい。マグネシウム化合
物としては、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、
酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウ
ムなどが使用できるが、一般には硫酸マグネシウムが使
用される。マグネシウム化合物の使用量は、マグネシウ
ムイオンとして絶乾パルプ当り0.01〜0.4 %が好まし
く、0.02〜0.1 %がさらに好ましい。マグネシウム化合
物の添加は、アルカリ剤、酸素および過酸化物の添加
り以前においてなされることが好ましい。具体的には、
酸処理後のパルプをアルカリ剤により中和した後、マグ
ネシウム化合物を添加し、続いてOp段に必要な量のア
ルカリ剤、過酸化物および酸素の添加を行なう方法、ま
たは、酸処理後のパルプにマグネシウム化合物を添加
し、続いてOp段に必要な量のアルカリ剤(酸の中和分
を含む)、過酸化物および酸素の添加を行なう方法が好
適に採用される。
【0023】本発明のA−Opによって得られる漂白パ
ルプはそのままでもかなりの高白色度を有するが、さら
に継続して多段の漂白工程を付加したフルブリーチによ
り、一層の高白色度を有するパルプを得ることが可能で
ある。その場合、Op段にてすでに高度の脱リグニンが
行われ、かつ、高白色度状態にあるため、後続漂白とし
て、塩素および次亜塩素酸をほとんどまたは全く使用し
ない漂白ができる。
【0024】たとえば、A−Op工程の後、二酸化塩素
漂白(D)、次いで過酸化物漂白(P)を行うと(A−
Op−D−P)、塩素または次亜塩素酸塩を使用しない
で、現行の代表的フルブリーチシーケンスであるO−C
/D−E−H−Dと同等またはそれ以上の高粘度・高白
色度のパルプ製品を得ることができる。
【0025】その場合の二酸化塩素漂白(D)段の条件
は、通常のフルブリーチシーケンスで行われているD段
の条件で行われる。例えば、パルプ濃度7〜30%、温度
40〜90℃、時間1〜4Hr、二酸化塩素使用量0.1〜2.0
%の範囲で行われる。
【0026】本発明の過酸化物漂白(P)段は、通常の
フルブリーチシーケンスで行われているP段の条件で行
われる。すなわち、アルカリ剤水溶液中、過酸化物によ
り、パルプ濃度7〜30%、温度40〜100 ℃、時間1〜4H
r の範囲で行われる。アルカリ剤としては、たとえば苛
性ソーダ、苛性カリ、石灰、ソーダ灰などが挙げられる
が、一般的には苛性ソーダが使用され、アルカリ剤の使
用量は苛性ソーダ換算で0.1〜2%の範囲で行われる。
【0027】また、P段において使用される過酸化物と
しては、過酸化水素、過酸化水素と無機塩類との付加
物、過酸化ソーダ、過酸、過酢酸などの無機および有
機の過酸化物が挙げられるが、一般には過酸化水素が使
用され、過酸化物の使用量は、100%過酸化水素換算で絶
乾パルプ当り0.1 〜2.0 %の範囲で行われる。
【0028】本発明における酸処理の作用は、過酸化物
の分解活性を有する重金属のパルプからの除去およびリ
グニンの変化にあると考えられる。すなわち、まず、酸
処理後のパルプにおいては、重金属がほとんど存在しな
い状態となるために過酸化物の無駄な分解が減少し、漂
白に関与する過酸化物の量が保持される。次に、酸処理
はそれ自体においては脱リグニンの進行が認められない
にもかかわらず、酸処理後の酸素漂白および酸処理後の
過酸化物併用酸素漂白において、脱リグニンが一層進行
するという作用を示す。脱リグニン作用は過酸化物併用
酸素漂白においてより顕著になる。以上のことは、酸処
理がリグニンに対し酸素および過酸化物による分解作用
を受け易いように変化させるという作用を持ち合わせて
いることを示している。
【0029】酸処理のこれらの効果によって、脱リグニ
ンおよび高白色度化が効率的に進行し、高品質のパルプ
が得られるのものと考えられる。本発明のA−Opを実
施するに当たっては、現在普及している酸素漂白設備に
対し、酸の供給ラインと酸処理のための槽(または塔)
および脱水・洗浄設備、ならびに、過酸化物の供給ライ
ンという慣用設備の付設で済み、大きな設備変更を必要
としない。これら付設設備の材質は、化学プラントにお
いて一般的に使用されているSUS304、SUS30
4L、SUS316またはSUS316Lが好適に使用
される。従って、本発明は大きな設備投資を必要としな
いで実施することができる。
【0030】また、本発明のA−Op−D−Pフルブリ
ーチを実施するに当たっても、後段のD段、P段は、そ
れぞれ、現行のD段装置、E段もしくはP段装置をその
まま使用でき、設備投資を必要としないで実施すること
ができる。
【0031】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
る。各薬品の使用量は絶乾パルプ当りの重量%で示し、
過酸化水素の使用量は、100%過酸化水素換算である。使
用したパルプは、クラフト蒸解後のL材未晒しパルプ
(ハンター白色度 32.7 %、K価 12.9、粘度 36.0cP
)である。分析評価は以下の方法によった。
【0032】白色度:JIS-P8123 (ハンター白色度法) K価:TAPPI K価法 粘度:J.TAPPI No.44法 AOX:EPA METHOD 9020法に基づき、三菱化成(株)
TSX-10型にて測定
【0033】実施例1 クラフト蒸解後のL材未晒しパルプに硫酸を加え、pH
2、パルプ濃度5%とし、45℃、60分間の酸処理を行っ
た。次に水を加えてパルプ濃度2.5 %にした後、パルプ
濃度20%強に脱水した。続いてNaOH水溶液で中和
し、pH7.5 、パルプ濃度20%の酸処理パルプを得た。
酸処理後のパルプのK価は12.9であり、酸処理前のパル
プと同じ値であった。
【0034】この酸処理パルプに硫酸マグネシウムを0.
25%加えた後、加圧型パルプ漂白装置に入れ、脱気し10
6℃に加温した後、NaOH 1.55 %、過酸化水素 0.5%、
酸素2%を加え、加圧し、混合した。この状態でのパル
プ濃度は10.5%であった。パルプ混合物に最初7Kg/cm2
の圧力をかけた後一定速度で徐々に圧力を下げてゆき、
60分後に4Kg/cm2 になるようにした。この間、パルプ混
合物の温度を106℃に保った。60分後、冷却・脱圧し、
パルプ混合物を冷水に投入してパルプ濃度2.5%のパル
プスラリーとし、これを脱水して漂白パルプを得た。
【0035】実施例2 亜硫酸と硫酸の酸混合液(重量比=0.2 )を用い、60
℃、30分の酸処理を行った他は実施例1と同様の酸処理
および漂白を行った。
【0036】実施例3 酸処理を温度80℃、15分とし、過酸化水素使用量を1.0%
とした他は実施例1と同様の酸処理および漂白を行っ
た。
【0037】比較例1 現行の酸素漂白法と同様に、酸処理工程を行わず、か
つ、過酸化水素を使用しないで、酸素のみを使用する他
は実施例1と同様の漂白を行った。
【0038】比較例2 実施例1の酸処理工程において酸の代わりに中性の水を
用いた他は、実施例1と同様の処理および漂白を行っ
た。
【0039】比較例3 実施例1の酸処理工程においてpH2とする代わりに硫
酸でpHを6とし、かつEDTAを1%使用した他は実
施例1と同様の処理および漂白を行った。
【0040】比較例4 漂白工程において過酸化水素を併用しないで、酸素のみ
を使用する他は、実施例1と同様の酸処理および漂白を
行った。
【0041】比較例5 漂白工程を、温度90℃、常圧で酸素の供給を行わなかっ
た他は実施例3と同様の酸処理および漂白を行った。実
施例1〜3、比較例1〜5の結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】実施例4 酸処理の温度を55℃、30分間とし、漂白工程でのNaOHの
使用量を2.0 %、過酸化水素の使用量を2.0 %とした他
は実施例1と同様の酸処理および漂白を行い、得られた
パルプを用いて以下の条件により二酸化塩素漂白(D)
次いで過酸化水素漂白(P)を行った。漂白後、D段お
よびP段の廃液を合わせて、有機塩素化合物(AOX)
量を測定した。
【0044】D段条件:二酸化塩素 0.6% パルプ濃度 13% 処理温度 70℃ 処理時間 120分 P段条件:NaOH 0.25% 過酸化水素 0.2% パルプ濃度 15% 処理温度 70℃ 処理時間 120分
【0045】比較例6 現行の酸素漂白法として、比較例1と同様の漂白を行
い、得られたパルプを用いて、一般に実施されている条
件に従って、C/D(Dによる有効塩素置換率10%)−
E−H−Dの後続の漂白段を行った。漂白後、すべての
漂白段の廃液を合わせて、有機塩素化合物(AOX)量
を測定した。
【0046】実施例4、比較例6の結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、現行の酸素漂白法に優
る脱リグニンを、粘度の大きな低下を伴うことなく行う
ことができ、かつ、かなりの高白色度の漂白パルプを得
ることができる。この漂白パルプは脱リグニン度および
白色度が高いので、後続の漂白段において塩素系漂白薬
品の使用量を大幅に削減できる。更に、後続の漂白段に
おいて塩素および次亜塩素酸塩を全く使用しないで、A
OX生成量の著しく少ないフルブリーチが可能である。
その結果、有機塩素化合物の副生を大幅に低減させる事
ができ、漂白排水の環境汚染性を大幅に下げることがで
きる。さらに、得られるパルプの粘度が高い。
【0049】また、本発明法の実施に当たっては、現在
普及している酸素漂白設備をほとんど変更することなく
そのまま使用することができる。酸素漂白を含む漂白シ
ーケンスを既に保有する設備においては、大きな付加的
な投資を必要せずにフルブリーチが実施できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神田 正昭 東京都葛飾区新宿6丁目1番1号 三菱瓦 斯化学株式会社東京研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸解処理された化学パルプに対して、酸
    処理工程を行った後、アルカリ性媒体中で過酸化物と加
    圧酸素による脱リグニン・漂白工程を行うことを特徴と
    する化学パルプの漂白方法。
  2. 【請求項2】 硫酸と亜硫酸の混合液により酸処理工程
    を行うことを特徴とする、請求項1記載の化学パルプの
    漂白方法。
  3. 【請求項3】 過酸化物と加圧酸素による脱リグニン・
    漂白工程において、マグネシウム化合物を使用すること
    を特徴とする、請求項1記載の化学パルプの漂白方法。
  4. 【請求項4】 過酸化物と加圧酸素による脱リグニン・
    漂白工程の後、二酸化塩素漂白、次いで過酸化物漂白を
    行うことにより、フルブリ−チを行うことを特徴とする
    請求項1記載の化学パルプの漂白方法。
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