JPH06143294A - 合成樹脂成形用金型及びその製法 - Google Patents

合成樹脂成形用金型及びその製法

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JPH06143294A
JPH06143294A JP29509192A JP29509192A JPH06143294A JP H06143294 A JPH06143294 A JP H06143294A JP 29509192 A JP29509192 A JP 29509192A JP 29509192 A JP29509192 A JP 29509192A JP H06143294 A JPH06143294 A JP H06143294A
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Japan
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mold
polyimide
resin
synthetic resin
polyimide layer
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JP29509192A
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Hiroshi Kataoka
紘 片岡
Isao Umei
勇雄 梅井
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 金属から成る主金型の型壁面を0.02〜2
mm厚のポリイミド層で被覆し、該ポリイミド層がしぼ
状等の微細凹凸表面である金型。更にポリイミド表面を
アルカリ液で腐食加工することにより微細凹凸表面金型
を形成する方法。 【効果】 冷却時間の増大が小さく、数万回の繰返し成
形に耐え、型表面再現性に優れた成形品を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成樹脂の成形用金型に
関する。更に詳しくはしぼ状等の微細凹凸の金型表面再
現性に優れた成形品を得る射出成形用金型あるいはブロ
ー成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】しぼ状、梨地状、艶消し状
等の微細凹凸表面を有する成形品を得るには、金型表面
が上記微細凹凸状の金型キャビティへ熱可塑性樹脂を射
出して成形されている。型表面の形状状態の付与におけ
る再現性を良くするには、通常、樹脂温度を高くした
り、射出圧力を高くする等の成形条件を選ぶことにより
ある程度達成できる。
【0003】これらの要因の中で最も大きな影響がある
のは金型温度であり、金型温度を高くする程好ましい。
しかし、金型温度を高くすると、可塑化された樹脂の冷
却固化に必要な冷却時間が長くなり成形能率が下がる。
金型温度を高くすることなく型表面の再現性を良くし、
又金型温度を高くしても必要な冷却時間が長くならない
方法が要求されている。金型に加熱用、冷却用の孔をそ
れぞれとりつけておき交互に熱媒、冷媒を流して金型の
加熱、冷却を繰返す方法も行われているが、この方法は
熱の消費量も多く、冷却時間が長くなる。
【0004】射出成形は複雑な形状の成形品が一度の成
形で得られることに最大の長所があり、この長所を保持
しつつ、金型内の冷却時間が長くならず,且つ、金型表
面再現性を良くした成形品を成形することが要求されて
いる。本発明はこれ等の要求に応えた金型である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、金型
表面を断熱層で被覆した金型に於いて、 1)複雑な形状の金型キャビティを有する金型に適用で
きる 2)冷却時間の増大が小さい 3)数万回の繰返し成形に耐える 4)金型表面再現性に優れた、しぼ状表面等を有する成
形品が得られる を達成することができる金型を提供することである。
【0006】本発明者らは、この課題を達成するため、
断熱層で被覆した金型について検討を行い、主金型表面
を被覆する断熱物質、その被覆状態、被覆方法について
次のことが非常に重要であることを見出した。すなわ
ち、断熱層に関しては、実質的に金型最表面にあって薄
層であること、また断熱物質に関しては、熱伝導度が低
いこと、耐熱性に優れること、引張強度、伸びが大きく
しかも冷熱サイクルに強いこと、表面高度が大きいこ
と、耐摩耗性に優れること、金型本体への塗布が良好に
できること、金型本体との密着性が良いこと、さらに断
熱層の形成時あるいは本金型を用いた合成樹脂の成形時
に、耐蝕性に優れることである。
【0007】そこで、本発明者らは、これ等の事項を満
たす断熱物質、被覆状態および被覆方法について、更に
該断熱物質の表面を希望する微細凹凸表面とする方法に
ついて研究を重ねた結果、始めて本発明に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、2
3℃に於ける熱伝導率は0.05cal/cm・sec
・℃以上の金属から成る主金型の型キャビティを形成す
る型壁面に、ポリイミド層が設けられた金型であり、更
に該ポリイミド層は0.02〜2mm厚で、熱伝導率が
0.002cal/cm・sec・℃以下で、ガラス転
移温度が200℃以上で、かつしぼ状等の微細凹凸表面
である合成樹脂成形用金型である。更に、本発明は主金
型表面に形成したポリイミド層表面をアルカリ液で腐食
加工することにより微細凹凸を形成する上記金型の製法
である。
【0009】金属から成る主金型の表面を合成樹脂から
成る薄い断熱層で被覆することにより、成形品の型表面
再現性を良くする方法については、多くの公知文献があ
る。しかし、従来これ等の金型は簡易金型として成形回
数が少ない成形には使用できるものの、数万回の成形に
耐える本格金型には鋼鉄等の強靱な材質で型キャビティ
を形成することがこれまでの常識である。射出成形では
2mm厚程度の薄肉の型キャビティを高速で合成樹脂が
射出されるため、鋼鉄等の強靱な材質で型キャビティを
形成することが数万回の成形を行う本格金型ではこれま
で必須と考えられている。
【0010】我々は、これについて更に深い研究を行
い、主金型の表面を薄い合成樹脂で被覆しても、一定の
条件を満たす合成樹脂から成る断熱層を使用すれば、数
万回の射出成形に耐えることを発見し本発明に至る。す
なわち、射出成形では、金型に射出された加熱可塑化樹
脂は冷却された金型壁面に接触して接触面に直ちに固化
層を形成し、引続き射出される樹脂は固化層と固化層の
間を進行し、流動先端(flow front)に達す
ると、金型壁面の方向へ向かい、金型壁面と接して固化
層となる。
【0011】すなわち、射出される樹脂は金型壁面を上
から押しつける様に流れ、金型壁面をひきずる様に流れ
ない。従って、金型表面を選択された合成樹脂から成る
薄い断熱層で被覆すれば、該断熱層は射出される樹脂で
直接摩耗することは無く、数万回の射出成形に耐え得る
ことを見い出した。
【0012】本発明に用いる主金型材質は、23℃に於
ける熱伝導率が0.05cal/cm・sec・℃以上
のもので、鉄又は鉄を50重量%以上含有する鋼材、ア
ルミニウム又はアルミニウムを50重量%以上含有する
合金、亜鉛合金、銅合金、例えばベリリウム銅合金等の
一般に合成樹脂の金型に使用されている金属を包含す
る。特に鋼材が最も良好に使用できる。
【0013】本発明では、主金型の型キャビティを形成
する型壁面をクロムメッキ又は/及びニッケルメッキで
被覆されていることが好ましい。クロムメッキとニッケ
ルメッキはポリイミドとの密着性に優れ、また耐蝕性に
も優れているので、本発明の金型に採用する場合、特に
効果が著しい。すなわち、鋼材等から成る主金型表面に
直接ポリイミドを被覆する度合には、その被覆工程で主
金型表面が変質する場合があり、ポリイミドとの密着性
が不安定となり、剥離が生ずることがある。しかしクロ
ムメッキ又はニッケルメッキであらかじめ被覆した場合
は、表面変質が起こり難く、又、クロムとニッケルは、
鉄に比べポリイミドとの密着性が良く、その上表面が安
定しているので、本発明にとって非常に好ましいことが
わかった。合成樹脂の成形中には、金型に加熱と冷却が
繰返し加えられるため、密着力が安定して大きいことが
非常に重要であり、数万回の成形に耐えるためには、ク
ロムメッキ又は/及びニッケルメッキの効果が著しく大
きいことがわかった。これらのメッキのうちでも、硬質
クロムメッキは硬く、耐殺傷性にも優れ、最も好ましい
ものであった。
【0014】クロムメッキ又は/及びニッケルメッキの
厚みは0.001から0.1mmが好ましい。メッキ方
法は電気メッキ又は、化学メッキのいずれでも良い。一
般的にポリイミドは直鎖型と熱硬化型に分けられそれら
のポリイミド前駆体としては各種あり、次の表1の様に
分類される。
【0015】
【表1】
【0016】射出成形では、冷却された金型へ、加熱さ
れ可塑化された合成樹脂が射出され、それが金型内で冷
却されて成形されるため、各成形毎に、金型表面では1
00℃にも及ぶ加熱と冷却が繰返される。ポリイミドと
鉄等の金属では、熱膨張係数が1桁も異なっているの
で、100℃にも及ぶ加熱と冷却が繰返される毎に、金
属とポリイミドとの界面に激しい応力が発生することに
なる。この応力に数万回にわたって耐え得るポリイミド
として、破断強度、破断伸度共に大きく、且つ金型との
密着力が大きいことが好ましく、金型との密着性を阻害
する物質を含まない強靱な直鎖型の高分子量ポリイミド
が最も好ましい。
【0017】本発明に良好に使用できる直鎖型の高分子
量ポリイミドの例を表2に示した。なお、Tgはガラス
転移温度、又、nは繰返し単位の数を表わす。
【0018】
【表2】
【0019】直鎖型ポリイミドのTgは構成成分によっ
て異り、その例を表3および表4に示した。本発明者ら
の知見ではTgが200℃以上が良く、更に好ましくは
230℃以上であった。
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】射出成形は複雑な形状の成形品を一度の成
形で得られるところに経済的価値がある。この複雑な金
型表面をポリイミドで被覆し、且つ強固に密着させるに
は、ポリイミド前駆体溶液を金型表面に塗布し、次いで
加熱してポリイミドを金型表面に形成させることが最も
好ましいことを発見し、本発明に至った。該ポリイミド
は、ガラス転移温度(以後Tgと略称)が200℃以上
の高耐熱性樹脂であり、強度及び伸度に優れ、その破断
伸度は好ましくは10%以上であり、型壁面との密着力
は好ましくは500g/10mm巾以上である。
【0023】直鎖型ポリイミド前駆体は、例えば芳香族
ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を開環重付
加反応させることにより合成される。これ等ポリイミド
前駆体は加熱して脱水環化反応させることによりポリイ
ミドを形成する。本発明に最も好ましい直鎖型ポリイミ
ド前駆体はポリアミド酸でありその代表例の繰返し単位
と、それをイミド化したポリイミドの繰り返し単位を化
1に示す。
【0024】
【化1】
【0025】上記のポリイミド前駆体のポリマーは、カ
ルボキシル基等の極性基のため金型との密着性が良く、
金型表面上でポリイミドを反応形成させることにより金
型表面に密着したポリイミド薄層が得られる。上記のポ
リイミド前駆体のポリマーはN−メチルピロリドン等の
溶媒に溶かし、金型壁面に塗布される。
【0026】ポリイミドの前駆体溶液には、コーティン
グ時の粘度を調整したり、溶液の表面張力を調整、チキ
ソトロピー性を調整するための添加物を加えたり、又は
/及び金型との密着性を上げるための微小の添加物を加
えることができる。塗布用に変性したワニスは良好に使
用できる。しかし、ポリイミドの熱伝導率を大巾に高く
する様な添加物は好ましくない。又、ポリイミドと金型
の密着力を大巾に低下させる添加物も好ましくない。
【0027】ポリイミド前駆体のポリマーはカルボキシ
ル基等を含有するため金型との密着性が良く、金型表面
上でポリイミドを反応形成させることにより金型表面に
密着したポリイミド薄層が得られる。本発明のポリイミ
ドと主金型との密着力は、23℃で500g/10mm
巾以上が好ましく、更に好ましくは1kg/10mm巾
以上である。これは密着したポリイミドを10mm巾に
切り、接着面と直角方向に20mm/分の速度で引張っ
た時の剥離力である。この剥離力は測定場所、測定回数
によりかなりバラツキが見られるが、最小値が大きいこ
とが重要であり、安定して大きい剥離力であることが好
ましい。本発明に述べる密着力は金型の主要部の密着力
の最小値である。主金型をクロムメッキ,ニッケルメッ
キした場合はより安定した剥離力をもたらす。
【0028】ポリイミドの熱伝導率は小さい程好ましい
が、ポリイミドの熱伝導率は0.002cal/cm・
sec・℃以下のものが好ましく使用できる。ポリイミ
ド層の厚みは、0.02〜2mmの範囲で適度に選択さ
れる。0.02mm未満の厚みでは成形品表面改良の効
果が少なく,2mmを超えると金型の冷却効果が低下
し、成形効率が低下する。金型温度が高い程、ポリイミ
ド層の厚みを薄くし、金型温度が低い程、ポリイミド層
の厚みを厚くする必要があり、0.02〜2mmの範囲
で適度に選択される。又、本発明の金型が使用される成
形法によっても、好ましいポリイミド層の厚みは異な
る。本発明の金型が最も良好に使用できる射出成形で
は、0.02〜0.5mmの厚みが好ましく、更に好ま
しくは0.05〜0.2mmの厚みである。これに対し
て、押出ブロー成形では、0.1〜1mmの厚みが好ま
しい。尚、ここでいう“ポリイミド層の厚み”は、微細
凹凸表面の平均厚を意味する。又、金型の位置(例えば
ゲート付近と流動端部付近)で層厚みが均一でない場合
においてはその平均厚を意味することとする。
【0029】本発明に使用される直鎖型高分子量ポリイ
ミドの強度及び伸度は大きいことが好ましく、特に破断
伸度が大きいことが耐冷熱サイクルには重要であり、そ
の必要破断伸度は10%以上が好ましく、更に好ましく
は20%以上である。破断伸度の測定法はASTM D
638に準じて行う。本発明の金型のポリイミド層表面
は、しぼ状、梨地状、艶消し状等の微細凹凸となってい
る。しぼ状とは皮しぼ状、織布表面状等の凹凸であり、
梨地状艶消し状とは表面乱反射が起こる微細凹凸状の表
面である。特に本発明では平滑表面に溝状に凹部を有す
る微細凹凸が好ましい。微細凹凸の程度は中心線平均粗
さ(Ra:JIS B0601−1982)で0.5μ
m〜50μmが好ましく、更に好ましくは1μm〜30
μmである。ポリイミドの厚さは微細凹凸の程度も考慮
して決められる。ポリイミド表面を微細凹凸状にするに
は種々の方法が考えられる。例えば、 ・鏡面状のポリイミド層をNaOH、KOH、ヒドラジ
ン等のアルカリ液で腐食加工する方法、 ・ポリイミド前駆体溶液を塗布し、加熱して溶剤を蒸発
させた状態で、N−メチルピロリドン等の溶剤を適度に
吹きつけ、次いで加熱する方法、 ・形成したポリイミド層をサンドブラストする方法、 等が使用できる。
【0030】この中で、鏡面状のポリイミド層をルカリ
液で腐食加工する方法は特に良好に使用できる。ここで
云う腐食加工とは、被加工物を化学薬品を用いて溶解腐
食(エッチング)せしめ、不要部分を取除き、あるいは
表面に必要な形状を食刻する方法である。腐食加工とし
て、写真腐食法等が良好に使用できる。写真腐食法と
は、被加工物(本発明ではポリイミド)の表面に所望の
図柄をもつ耐食膜(レジスト)を、写真的手法で形成
し、レジストが無い露出ポリイミド面を腐食液(本発明
ではアルカリ液)で腐食する方法である。
【0031】写真腐食法の工程を図1に示す。 ・原版(パターン)の作成 被加工物のエッチングを受ける部分と、受けない部分に
対応する白黒の画像を持ったフィルムやガラス板から成
る原版(パターン)をまず作製する。 ・製版(被加工物の表面に必要な図柄をもった耐食被膜
をつくる) 被加工物(ポリイミド)の表面を十分に脱脂する。次に
感光性の耐食膜溶液(感光膜)を塗布し乾燥せしめる。
該感光膜で被覆されたポリイミド面に対し、別途に製作
されたパターンを焼付ける。焼付けが終った被加工物
は、次に現像操作を行ない、非感光部の感光膜を除去す
る。次にレジストを十分に硬化せしめる。
【0032】耐食膜形成にはドライフィルムレジスト等
も良好に使用できる。ドライフィルムレジストは一般に
カバーフィルム/フォトレジスト/キャリアフィルムの
三層から成り、カバーフィルムを剥離して被加工物には
りつけた後、露光、現像を行う。この場合1,1,1−
トリクロロエン等で現像できる溶剤現像タイプのドライ
フィルムレジストが好ましい。更に、レジスト除去もジ
クロロメタン等の溶剤で除去できるドライフィルムレジ
ストが好ましい。 ・エッチング(溶解腐食) 製版が終ったポリイミドは腐食液(エッチング溶液)で
エッチングする。ポリイミドはアルカリ液でエッチング
できる。アルカリ液としては、苛性ソーダ、苛性カリ等
の水溶液が良好に使用できる。アルカリ液の強さ、エッ
チング時間により、エッチング深さを調節する。
【0033】腐食加工するポリイミド面は、腐食加工に
先立ち鏡面状にしておくことが好ましい。複雑な金型キ
ャビティ表面に鏡面状に被覆物質を塗布することはきわ
めて困難であり、そのため塗布された被覆層を表面研磨
して鏡面状に仕上げることが最も良好な方法である。合
成樹脂を研磨して、不溶部分を削り鏡面化することは、
プラスチックレンズ等を研磨する際に用いられている方
法である。合成樹脂を研磨粉等を用いて研磨するには、
研磨するに適した合成樹脂を使用する必要があり、よく
知られたCR−39(ジエチレングリコールビスアリル
カーボネート)重合体等が適している。すなわち、高度
に架橋されていて、硬くて、伸びが小さく、しかもガラ
ス転移温度が高い樹脂が適していると一般に云われてい
る。これに対して直鎖状高分子量体で、破断伸度が大き
く強靱な樹脂は研磨には適していないと見られてきた。
【0034】従来のこの考えから云えば、直鎖型高分子
量ポリイミドは破断伸度が大きく、強靱であるので、研
磨性には適しないということになる。しかし、このよう
な直鎖型高分子量ポリイミドも、高度に架橋が起ってい
る熱硬化型ポリイミドとともに、研磨性が良好であるこ
とが、本発明によって始めて明らかとなり、本発明に良
好に使用できる。
【0035】射出成形品、特に大型射出成形品では、一
般に射出圧力が伝達されやすい樹脂注入口(以後ゲート
と称する)付近は金型表面再現性が良く、艶が良くな
り、ゲートから離れるに従って金型表面再現性は悪くな
り、樹脂流動端部は最も悪くなる。成形品肉厚が薄くな
ったり、あるいは射出される樹脂の粘度が高い場合、あ
るいは成形品が大きい場合に、ゲート部と樹脂流動端部
の外観の差が大きくなる。
【0036】本発明はこれ等を改善する金型をも提供す
る。すなわちポリイミドの厚みが、ゲート付近から樹脂
流動端部方向へ向って増大している金型である。ここで
述べるゲート付近とは、ダイレクトゲート、ピンポイン
トゲート、サイドゲート等の一般に使用されるゲート付
近である。射出成形品には外観が要求される部分と、不
要の部分があり、一般にゲートは外観が要求されない部
分を選んでその位置を決める。従って、外観が要求され
る最もゲートに近い部分のポリイミドの厚みをゲート付
近のポリイミド厚みとする。すなわち、ゲート付近と
は、ゲート部からポリイミドを被覆する場合には、ゲー
トから樹脂流動端部までの距離の1/10付近の金型壁
面を示し、又、ゲートから金型キャビティに入った真近
及びその近傍部にはポリイミドが無く、数10mm進ん
だ所からポリイミドを被覆する場合は、ポリイミドが本
格的に被覆されはじめた部分を本発明にいう、ゲート付
近とする。そして、この部分のポリイミドの厚みを用い
ることとする。
【0037】樹脂流動端部付近とは、外観が要求される
最も樹脂流動端部に近い部分、すなわち樹脂流動端部か
らゲートまでの距離の1/10付近を示す。本発明では
樹脂流動端部付近のポリイミド厚みはゲート付近のポリ
イミド厚みの1.1倍から4倍であり、好ましくは、
1.2倍から3倍であり、更に好ましくは1.3倍から
2.5倍である。
【0038】一般に、平行板間を流動する流体の圧力損
失は次式で示される。 ΔP=β×LηQ/H2 ΔP:圧力損失 η:粘度 Q:流量 H:平行板間距離 β:定数 L:流動距離 すなわち、圧力損失は粘度と流動距離に比例し、平行板
間距離の2乗に反比例する。
【0039】射出成形では上記数式から明らかな様に、
ゲートから離れるに従って圧力損失は大きく、ゲートか
ら離れる程金型壁面を押す樹脂圧力は低下する。金型キ
ャビティの形状及びゲートの取り方、樹脂の種類によっ
て異るが、一般に合成樹脂の射出圧力が1000kg/
cm2 でも流動端部では数十kg/cm2 に低下してい
る。従って、射出された合成樹脂が金型壁面に押しつけ
られる力が流動端部では著しく低下しており、金型表面
再現性が低下し、艶が悪くなる。上記式のLとηが大き
い場合、すなわち、大型成形品で難加工性樹脂では差が
大きくなる。
【0040】本発明はこの様な時に発生する問題を解決
したものである。金属等の熱伝導率が良く、かつ冷却さ
れた金型へ加熱可塑化樹脂を射出すると、射出された樹
脂は金型壁面に接した部分が射出圧力が十分にかかる前
に直ちに冷却固化される。金型壁表面が十分に再現され
るためには、金型壁面に接した樹脂に、軟化温度以上の
状態で射出圧力が十分にかかる必要がある。金型壁表面
を断熱物質で被覆し、該金型へ加熱可塑化樹脂を射出す
ると、射出された樹脂の熱で金型壁面が一時的に加熱さ
れ、軟化温度以上の状態で射出圧力がかかり、金型壁表
面が十分に再現される。
【0041】被覆されるポリイミド層の厚みが厚い程、
金型壁面が軟化温度以上に保たれる時間が長くなり金
型壁表面の再現性が良くなる。本発明では、金型壁面の
再現性が悪い樹脂流動端部の断熱樹脂層を厚くすること
により、射出成形品の型表面再現性を均一にするもので
ある。射出成形の金型キャビティは一般に複雑な形状を
しており、射出圧力は単に流動距離Lだけによって低下
してゆくものではない。前記式のH(型キャビティの厚
みに相当)、樹脂粘度等により大きく左右される。合成
樹脂が型キャビティを満した直後の射出圧力分布と型表
面再現性は相関があり、本発明ではポリイミド層の厚み
分布が、型キャビティ内の該射出圧力分布とほぼ逆の関
係にあることが好ましい。すなわち、型キャビティに合
成樹脂が充填された直後の型内圧力の高い所が薄く、型
内圧の低い所が厚い関係にあることが好ましい。
【0042】本発明の金型で成形されうる合成樹脂は一
般に射出成形やブロー成形等に使用できる熱可塑性樹脂
である。例えば、スチレン重合体又はその共重合体、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等オレフィン重合体又はそ
の共重合体、塩化ビニール重合体又はその共重合体、ポ
リアセタール、ポリアミド、ポリエステル、等の一般の
熱可塑性樹脂が使用できる。
【0043】これ等の樹脂に、各種強化剤、各種充填物
を配合した場合、あるいはポリマーアロイ等とした場合
は特に大きい効果が得られる。例えば、これ等の樹脂
に、ゴム、ガラス繊維、アスベスト、炭酸カルシウム、
タルク、硫酸カルシウム、発泡剤、木粉等の1種又は2
種以上を配合することができる。又、ゴミ、塗料粉等の
異物が混入しているリサイクル樹脂も本発明に良好に使
用できる。
【0044】本発明を主に射出成形で説明したが、本発
明金型はブロー成形でも同様に使用できる。
【0045】
【実施例】次の主金型とポリイミドを用いる。 主金型:鋼材(S55C)でつくられ、100mm×1
00mmの正方形、厚さ2mmの平板状型キャビティを
有し、型表面は鏡面状である。鋼材の熱伝導率約0.2
cal/cm・sec・℃。該表面に0.02mm厚の
鏡面状クロムメッキを有する。
【0046】ポリイミド前駆体:直鎖型ポリイミド前駆
体、ポリイミドワニス「トレニース♯3000」(東レ
(株)商品名)。硬化後のポリイミドのTgは300
℃、熱伝導率0.0005cal/cm・sec・℃。
破断伸度60%。
【0047】ドライフィルムレジスト:溶剤現象タイプ
のドライフィルムレジスト「サンフォートSF」(旭化
成工業(株)製)。 主金型表面を、十分に脱脂し、次いで、ポリイミド前駆
体を塗布し、120℃→210℃→290℃の順に加熱
し、この塗布、加熱を3回繰返してポリイミド層を形成
する。次いで、バフにダイヤモンドペーストをつけて電
動グラインダーで研磨を行い、0.1mm厚の鏡面状直
鎖型ポリイミド被覆層を形成する。
【0048】被覆層を10mm巾に切り、20mm/分
の速度で被覆面と直角方向に引張り、密着力を測定す
る。密着力は2.0〜2.2kg/10mm巾である。
該ポリイミド表面を十分に脱脂した後、ドライフィルム
レジストをはりつけ、その表面に皮しぼ状パターンを置
いて紫外線露光を行い、次いで1,1,1−トリクロロ
エタンを用いて現象、苛性カリ水溶液を用いてエッチン
グ、ジクロロメタンを用いてレジスト除去の順に行い、
ポリイミドの皮しぼ状表面を有する本発明金型を得る。
【0049】上記本発明金型を用いてハイインパクトポ
リスチレン樹脂で射出成形を行い、型再現性に優れた良
好な皮しぼ表面を有する樹脂成形品が得られる。金型内
の必要冷却時間は、約10%の増大があるのみで、影響
は小さく、1万回の成形後も型表面のポリイミドには、
割れ、剥離等が認められない。樹脂として、ガラス繊
維、炭酸カルシウム粉等配合樹脂、塗装された成形品を
粉砕して回収した回収樹脂等の外観が悪い樹脂を用いて
同様に射出成形すると、外観改良効果は更に著るしい。
【0050】
【発明の効果】型表面を微細凹凸表面ポリイミドで被覆
した金型で成形することにより、冷却時間の増大が小さ
く、数万回の繰返し成形に耐え、型表面再現性に優れた
成形品を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】写真腐蝕法の工程図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 23℃に於ける熱伝導率は0.05ca
    l/cm・sec・℃以上の金属から成る主金型の型キ
    ャビティを形成する型壁面にポリイミド層が設けられた
    金型であり、更に該ポリイミド層は0.02〜2mm厚
    で、熱伝導率が0.002cal/cm・sec・℃以
    下でガラス転移温度が200℃以上で、かつ、しぼ状等
    の微細凹凸表面である合成樹脂成形用金型。
  2. 【請求項2】 主金型表面に形成したポリイミド層表面
    をアルカリ液で腐食加工することにより微細凹凸を形成
    する請求項1の金型の製法。
JP29509192A 1992-11-04 1992-11-04 合成樹脂成形用金型及びその製法 Withdrawn JPH06143294A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0866927A (ja) * 1994-06-22 1996-03-12 Asahi Chem Ind Co Ltd 艶消し状の合成樹脂射出成形品及びその製造方法
US7923173B1 (en) 2000-10-19 2011-04-12 Illinois Tool Works Inc. Photo definable polyimide film used as an embossing surface
JP2019069808A (ja) * 2017-10-11 2019-05-09 大日本印刷株式会社 複合容器およびこの製造方法、ならびに複合容器の製造方法に用いる金型

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US7923173B1 (en) 2000-10-19 2011-04-12 Illinois Tool Works Inc. Photo definable polyimide film used as an embossing surface
JP2019069808A (ja) * 2017-10-11 2019-05-09 大日本印刷株式会社 複合容器およびこの製造方法、ならびに複合容器の製造方法に用いる金型

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