JPH0614942B2 - 有害紫外線カット人工水晶体の製造方法 - Google Patents

有害紫外線カット人工水晶体の製造方法

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JPH0614942B2
JPH0614942B2 JP61232788A JP23278886A JPH0614942B2 JP H0614942 B2 JPH0614942 B2 JP H0614942B2 JP 61232788 A JP61232788 A JP 61232788A JP 23278886 A JP23278886 A JP 23278886A JP H0614942 B2 JPH0614942 B2 JP H0614942B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は白内障術後の眼球内に移植する人工水晶体の製
造方法に係り、更に詳しくは有害な紫外線をカットする
機能を有する人工水晶体の製造方法に関する。本発明の
製造方法により得られる有害紫外線カット人工水晶体
は、白内障術後の視力補正用として利用される。
<従来の技術> 眼球の水晶体が混濁する白内障に対しては、近年、水晶
体を外科的に摘出してそのあとに人工水晶体を移植し、
視力補正を行なうことが広く行なわれるようになって来
ている。
人工水晶体は視力を矯正するレンズ部と、それを支え、
眼内でレンズを適切な位置に固定するための支持部から
構成されている。レンズ部は通常ポリメチルメタクリレ
ート(以下PMMAと略記する)あるいは架橋PMMA
で作られている。PMMAは光学的に透明で、生体適合
性も良く、機械的強度もすぐれているため、人工水晶体
材料としては現在最適の材料である。しかしながら生体
の水晶体と比較してみると、紫外線吸収特性、硬度、屈
折率等が異なっており、特に紫外線吸収特性が行なわれ
ず、紫外線は網膜にまで達して障害を引き起こす。この
ため従来、PMMAに紫外線吸収剤を混入し、紫外線カ
ットしたPMMA人工水晶体が提案されている。また、
紫外線吸収剤に重合性基を導入し、メチルメタアクリレ
ートと共重合させて、単なる混入から分子鎖に紫外線吸
収剤を結合する方法も提案されている。しかし、いずれ
の場合も人工水晶体全体に紫外線吸収剤が一様に分布し
ている。紫外線吸収剤としてはサリチル酸系、ベンゾフ
エノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート
系等が使用されるが、いずれも毒性が強く、眼内で溶出
した場合は重篤な眼障害に発展するおそれがある。通常
の眼内移植においては、PMMAの重合が完全に行なわ
れていれば溶出は極めて少ないと予想されるが、白内障
術後におこる後発白内障の治療のために、YAGレーザ
ー等による手術を行なう際、人工水晶体を通してレーザ
ー光を照射するため、人工水晶体そのものの表面を傷つ
けてしまうことがある。このとき人工水晶体の表面の破
壊された箇所からは、前記有毒な紫外線吸収剤が溶出す
る可能性が極めて高い。閉鎖された眼球内での有害な紫
外線吸収剤の溶出により悪影響が出ることは言を待たな
いところである。
<発明が解決しようとする問題点> 従来の人工水晶体は上記したように、紫外線吸収剤を全
く含まないため紫外線が網膜まで到達してしまい、障害
を引き起こすか、あるいは紫外線吸収剤を含むものにあ
っては、YAGレーザー等を照射したとき、人工水晶体
の表面損傷により、有害な紫外線吸収剤が溶出するとい
う欠点を有していた。
本発明者らは、上記欠点に鑑み、後発白内障治療におけ
るYAGレーザー等の照射によっても、紫外線吸収剤を
溶出せず、しかも有害な紫外線をカットし、また、より
安全性の高い人工水晶体を開発すべく、鋭意研究を重ね
た結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1の目的は、有害な紫外線の透過を防
止した人工水晶体の製造方法を提供することである。本
発明の第2の目的は、正常水晶体に近似させた光透過特
性を有する人工水晶体の製造方法を提供することであ
る。更に本発明の第3の目的は、YAGレーザー等で人
工水晶体の表面に損傷が生じても、有害な紫外線吸収剤
が溶出しない安全性の高い人工水晶体の製造方法を提供
することである。
本発明の他の目的及び利点は以下の記述から明らかとな
ろう。
<問題点を解決するための手段> 本発明は上記目的を達成するためになされたものであ
り、本発明の有害紫外線カット人工水晶体の製造方法
は、光学的に透明なポリメチルメタクリレート上に紫外
線カットフイルターを配し、前記紫外線カツトフイルタ
ーを光学的に透明なメチルメタクリレートモノマーで覆
い、前記メチルメタクリレートモノマーを重合させるこ
とにより、前記紫外線カツトフイルターを密閉すること
を含むことを特徴としている。
本発明で対象とする人工水晶体は、PMMAから主とし
てなるものであり、この場合架橋PMMAであってもよ
い。
紫外線カツトフイルターとしては、概略400nm以下の
紫外線をカツトするものであれば良く、プラスチツクフ
イルター、ガラスフイルター等が使用できる。このフイ
ルターは人工水晶体中に埋め込むため、フイルター材質
の屈折率が該人工水晶体の材質の屈折率と同等であるこ
とが好ましい。かかるフイルターとしては、PMMAあ
るいは架橋PMMAからなる紫外線カツトプラスチツク
フイルター、あるいはそれ自体紫外線吸収能を有する公
知のガラスフイルターが好ましい。
PMMAの紫外線カツトフイルターを製造するには、M
MAモノマーに紫外線吸収剤を加え、均一に混合溶解し
た後、板状、棒状あるいはボタン状等に重合成形する。
次いで機械加工、研磨等により、平板あるいはレンズ状
等、所望の形状に仕上げる。また、成形型を用いて、直
接フイルターを注型重合することもできる。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフエノン
系、ベンドトリアゾール系及びシアノアクリレート系等
が挙げられ、中でも吸収波長が400nmに近いベンゾフ
エノン系ベンゾトリアゾール系がその吸収波長特性から
好ましい。紫外線吸収剤の好ましい具体例としては、
2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフエノ
ン、2−(2′−ヒドロキシ.3′,5′−ジ−t−ブ
チルフエニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒド
ロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフエニル)−
5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキ
シ−3′,5′−ジ−t−ブチルフエニル)−5−クロ
ロベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらの紫外線
吸収剤は、添加量によりフイルターに仕上げた時の吸収
波長特性が異なる。即ち、紫外線吸収剤が少ない場合は
吸収波長が短波長側になり、多い場合は長波長側へシフ
トする。紫外線吸収剤の添加量は、最終的に得られる紫
外線カツトフイルターの厚さ等により、変動し得るが、
通常0.01〜3重量%使用されるが、好適には0.1
〜0.5重量%である。2,2′−ジヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフエノンを0.1〜3重量%添加したP
MMAの1mm厚平板の透過率曲線を第3図に示す。
また本発明においては、紫外線吸収剤に重合性基を導入
して、MMAと共重合せしめて得られる紫外線カツトプ
ラスチツクフイルターを用いてもよい。
本発明においては紫外線カツトフイルターは、人工水晶
体中に密閉され、表面が露出されないように埋入されて
いる。
紫外線カツトフイルターをPMMA中に表面が露出され
ないように埋入するには、先ずPMMAの板状重合物を
作り、この上に紫外線カツトフイルターを載置し、次い
で紫外線カツトフイルターを覆うようにMMAモノマー
を注入して重合を行なえばよい。尚、紫外線カツトガラ
スフイルターを埋入する場合には、紫外線カツトガラス
フイルターを予めシランカツプリング剤で表面処理する
ことにより、PMMAとの接着性を向上させることがで
きる。より具体的には、プラスチツク製容器の中にPM
MA板を入れ、その上に別に作製した紫外線カツトフイ
ルターを置き、重合開始剤を添加したMMAモノマーを
注入する。容器を密閉して通常の熱重合を行なった後、
重合物を容器から取り出すことにより紫外線カツトフイ
ルターを内臓したPMMA材料が出来る。この材料を紫
外線カツトフイルター面に平行な面で切削、研磨し、次
いで凸面加工を行なうことにより人工水晶体のレンズ部
を作製することができる。更に常法により、必要に応じ
てポジシヨンホールを加工し、支持部接合を行なうこと
によって完成する。かくして、第1図及び第2図に示し
た如き紫外線カツトフイルターを埋入した、つまり、紫
外線カツトフイルターがPMMAにより密閉された人工
水晶体が得られる。
<作用> このようにして作られた人工水晶体は、紫外線カツトフ
イルターが表面に露出することがないため、紫外線吸収
剤を含有するフイルターが直接房水に接触することがな
い。従って有害な紫外線吸収剤の溶出により障害を起こ
すこともない。また、後発白内障治療におけるYAGレ
ーザー等の照射で、人工水晶体面に損傷が生じてもフイ
ルターまでは到達せず、溶出の必配がない。
<実施例> アルカリ洗浄、水洗、乾燥、蒸留によって精製したMM
Aモノマー98重量部、精製エチレングリコールジメタ
クリレート2重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソ
ブチロニトリル0.05重量部を充分に撹拌混合し、モ
ノマー溶液を調製した。モノマー溶液をプラスチック製
円筒容器に注入し密閉した後、水浴中40℃で72時
間、更に熱風乾燥器中40〜120℃の昇温スケジュー
ルで48時間の重合を行ない、PMMA材を得た。同様
に、前記モノマー溶液に、2,2′−ジヒドロキシ−4
−メトキシベンゾフエノン0.3重量部を添加した混合
物を重合して、紫外線吸収剤入りPMMAを得た。前記
PMMA材を外径9.9mm、厚さ2mmの円板に切削研磨
し、これを内径10mmのプラスチツク容器の底に入れ
た。前記、紫外線吸収剤入りPMMAを同様に切削研磨
し、外径4mm、厚さ0.3mmの円板状紫外線カツトフイ
ルターを作製し、前記PMMA円板の上にその中心軸を
一致させて載置した。更にモノマー溶液を注入し、泡の
ないことを確認して容器を密閉した。同様に水中及び熱
風乾燥器中で重合を行ない、紫外線カツトフイルターを
内蔵したボタン状のPMMA重合物を得た。
上記重合部を旋盤により常法に従って外径6mmの平凸レ
ンズに加工し、紫外線カツトフイルターを埋入した形の
レンズを作製した。次いでポジシヨンホール加工、支持
部接合加工を行ない、第1図及び第2図に示された如き
人工水晶体を完成させた。
紫外線カツトフイルターは、レンズ表面及び端面には現
れておらず、完全に人工水晶体に埋入されていた。この
人工水晶体に空気中でYAGレーザー照射を行なったと
ころ、レンズ表面には損傷が認められたが、紫外線カツ
トフイルターには達しておらず、溶出物の危険性はない
と判断された。
<発明の効果> 本発明によれば、紫外線カットフィルオーが光学的に透
明なPMMA中に埋入されているので、光学的に透明な
PMMAの表面に多少傷が発生しても、内部の紫外線カ
ットフィルターまで到達しないので、紫外線吸収剤が溶
出することがない。
したがって、本発明の有害紫外線カット人工水晶体の製
造方法により得られた人工水晶体は、正常水晶体の保有
する紫外線吸収特性を人工水晶体に持たせることが可能
となり、紫外線吸収機能を持たない通常の人工水晶体が
網膜の障害を起こしやすいのに対して、網膜の保護機能
は正常眼と同等にまで高められる。しかも人工水晶体全
体に紫外線吸収剤が分布している従来の紫外線カット人
工水晶体のように、表面からの有害な紫外線吸収剤の溶
出が起こらず、YAGレーザー等による後発白内障治療
を行なって、レンズ表面に損傷が生じた場合でも溶出は
起こらず、人工水晶体の機能を一段と向上させたもので
あるといえる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例で得られた紫外線カツトフイル
ターを埋入せしめた人工水晶体の平面図、第2図は側面
図、第3図は2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベ
ンゾフエノンを使用した紫外線カツトフイルター(厚さ
1mm)の透過率曲線である。 1……紫外線カツト人工水晶体、2……紫外線カツトフ
イルター、3……ポジシヨンホール、4……支持部。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光学的に透明なポリメチルメタクリレート
    上に紫外線カットフィルターを配し、前記紫外線カット
    フィルターを光学的に透明なメチルメタクリレートモノ
    マーで覆い、前記メチルメタクリレートモノマーを重合
    させることにより、前記紫外線カットフィルターを密閉
    することを含むことを特徴とする有害紫外線カット人工
    水晶体の製造方法。
  2. 【請求項2】紫外線カットフィルターが紫外線吸収剤を
    含有するガラスフィルター、あるいは、紫外線吸収剤を
    含有するポリメチルメタクリレートであることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載の有害紫外線カット人工
    水晶体の製造方法。
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