JPH0616673B2 - 可塑性シート状食品およびその製法 - Google Patents

可塑性シート状食品およびその製法

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JPH0616673B2 JP60152989A JP15298985A JPH0616673B2 JP H0616673 B2 JPH0616673 B2 JP H0616673B2 JP 60152989 A JP60152989 A JP 60152989A JP 15298985 A JP15298985 A JP 15298985A JP H0616673 B2 JPH0616673 B2 JP H0616673B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、上生細工菓子に用いられる練切りあん調の風
味を有する可塑性シート状食品およびその製法に関する
ものである。
〔従来の技術〕
一般に、練切りあんは、生あんを主原料とするものであ
つて、木型等に押し付けられてシート状に形成され、つ
いで、手作業で花や鳥等の形に賦形され、さらに巧緻な
細工を施されたり彫刻されたりして上生細工菓子等の上
もの和菓子となり、祝義の引出物等に利用されている。
この種、練切りあんは、これまで、生あん40〜70重
量%(以下「%」と略す),砂糖60〜30%の混合物
に、少量の水を加え、これを火にかけてよく練つて並あ
んをつくり、ついで、これにつなぎ剤としてみじん粉,
山芋,求肥等を入れて練り上げることによりつくられて
いた。なお、上記つなぎ剤は、あんに適度な粘性,細工
性,延展性を付与してやわらかさ(可塑性)を保つ作用
をする。練切りあんは、上記のようにシート状に形成さ
れ、ついで各種の細工を施されるものであり、充分な延
展性を有していることが要求される。この延展性は、上
記つなぎ剤の添加時期,添加量,添加水量等の影響を受
けるのであり、これまでは、これを職人の勘に頼つてお
り熟練した職人と未熟な職人とでは得られる製品の品質
が著しく異なつていた。また、生あんとつなぎ剤とを練
り上げる作業においても、熟練職人と未熟者とでは差が
生じ、これが和菓子化したときの製品の、表面亀裂,収
縮の生じ易さの差として現れていた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
このように、これまでは、練切りあんの製造は、熟練し
た職人の勘に頼つているのが実情であり、量産化,効率
化を押し進めることが困難であつた。また、つなぎ剤と
して用いられる前記みじん粉等が、澱粉質を主体とする
ものであるため、製品の製造後、経時的に澱粉質の老化
が起こり、水分の蒸発と相俟つて製品の表面に乾燥した
皮膜が形成されたり、亀裂,収縮,変形などの劣化現象
が生じたりして細工しにくくなり、商品価値が著しく低
下するという問題も生じていた。
上記劣化現象を防止するため、練切りあんの保存時にパ
ラフイン紙,ポリエチレン紙などで表面を覆つたり、練
り上げ時にやや固目に仕上げ、使用する際、すり蜜を少
量混ぜて加工に適する固さに調節するなどの方法や、合
成糊料である繊維素グルコール酸ナトリウム(CMC)
の糊状物を練上げ間際に補助的に練り込む方法等が試み
られているが、いずれによつても充分な成果が得られて
いない。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、熟練職
人の勘に頼ることなく製造でき、しかも経時的に老化せ
ずその可塑性が失われることのない、商品価値の高い可
塑性シート状食品およびその製法の提供をその目的とす
るものである。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、本発明は、生あんを主成分
とする可塑性シート状食品であつて、ペクチンおよびキ
サンタンガムを主とするつなぎ剤が含有されている可塑
性シート状食品を第1の要旨とし、ペクチンおよびキサ
ンタンガムを主とするつなぎ剤,糖類,生あんおよび水
を準備する工程と、上記糖類の一部とつなぎ剤とを少量
の水で溶解膨潤させ膨潤物化する工程と、上記膨潤物に
上記生あん,上記糖類の残部および上記水の残部を加え
加熱混練し練り上げて可塑性生地をつくる工程を備えて
いる可塑性シート状食品の製法を第2の要旨とするもの
である。
〔作用〕
本発明者らは、前記のような問題を解決するため一連の
研究を重ねた結果、つなぎ剤として用いるみじん粉等の
使いかたが難しく、その使いかた次第で練切りあんの特
性が大きく変わり、また、日もち性等も大幅に変わるこ
とをつきとめた。そして、つなぎ剤を中心に研究を重ね
た結果、つなぎ剤としてこれまでのようなみじん粉等を
用いるのではなく、ペクチンおよびキサンタンガムを主
とする特殊なつなぎ剤を用い、しかも、これを、これま
でのように並あんを製造した段階で添加するのではな
く、仕込みの段階で添加すると、混練職人の勘を要する
ことなく良質で、日もちがよく細工性にも優れた練切り
あん調可塑性シート状食品が得られることを見いだし本
発明に到達した。
なお、本発明において「主とする」とは、つなぎ剤がペ
クチンおよびキサンタンガムのみからなる場合も含める
趣旨である。
つぎに本発明を詳細に説明する。
本発明の可塑性シート状食品は、例えばつぎのようにし
て製造することができる。
まず、白こしあん等の生あんと、甘味料と、ペおよびキ
サンタンガムを主とするつなぎ剤とを用意する。そし
て、上記つなぎ剤と、甘味料の一部をよく混合し、少量
の水を添加して充分に溶解膨潤させる。つぎに、残りの
甘味料と水を加え、90℃以上に加温して、熱を充分通
しながら練り上げる。練り上げ方法は通常の並あんの製
法と同様の手法でよい。練り上げ加減は、従来は杓子で
あんをすくい上げて30cm位の高さから落とし、落ちた
あんが平らにならず、あんの切れ口が三角状の山の形で
直立する程度になるかどうかを調べるという熟練職人の
勘に頼つていたものであるが、本発明においては、糖度
計等により糖度管理を行うことにより、作業者の熟練度
を問わず、一定の品質のものが得られるようになる。
なお、上記練り上げによつて水分が多少蒸発するため、
練り上げ後の全重量は、仕込み時の全重量に対して幾分
軽くなる。
このようにして得られた練り上げあんを公知の方法でシ
ート状に圧延することにより、本発明の可塑性シート状
食品を得ることができる。
本発明で用いる上記つなぎ剤は、ペクチンおよびキサン
タンガムを主とするものであるが、必要に応じて、これ
らとともに、グアーガム,ローカストビーンガム,タマ
リンド種子類等、各種の天然糊料を併用することができ
る。すなわち、上記ペクチンおよびキサンタンガムは、
親水性,保水性が大きいため、つなぎ剤として用いると
水分の保存性がよく、しつとりするという特性を有す
る。一方、グアーガム等は上記と同様の特性を有してい
る反面、あんにもろさ(ぱさぱさ調)を与えるもので、
上記ペクチンおよびキサンタンガムだけでは、保水性が
強すぎて曳糸性が著しくなつて細工性が逆に損なわれる
ようなときに、その調整に用いられる。
本発明における上記つなぎ剤の添加量は、仕込時におけ
る原料(水も含む)の全量に対して0.3〜1.5%が
好ましい。つなぎ剤の添加量が、0.3%未満の場合
は、得られる可塑性シート状食品の延展性,粘性が乏し
くなるため、その本来の特性である巧緻な細工性が劣る
ようになる。さらに、保存中においても、短期間で老化
が起こり、表面の光沢が失われ、亀裂を生じるという不
都合が生じる。逆に、つなぎ剤の添加量が1.5%を超
えると、粘性がですぎてやはり細工性が悪くなる。
また、上記つなぎ剤におけるペクチンとキサンタンガム
の相互の配合比(ペクチン/キサンタンガム)は8/2
〜2/8が好ましく、6/4が最も好ましい。キサンタ
ンガムが上記範囲を上まわると製品がべたついて細工性
が悪くなり、逆に上記範囲を下まわると、相対的にペク
チンの使用量が多くなつて製品のしつとりとした風味が
損なわれ、食感が悪くなる。
なお、ペクチンおよびキサンタンガム以外に、上記他の
天然糊料を併用するときには、併用する他の天然糊料
が、つなぎ剤全体に対して30%以内になるように規制
することが好適であり、特に、20%以内にとどめるこ
とが好効果をもたらす。すなわち、他の天然糊料を、ペ
クチンおよびキサンタンガムと併用することにより製品
の延展性,細工性が向上するが、その使用量が上記範囲
を上まわると製品の保形性が逆に悪くなるからである。
本発明に使用する前記生あんとは、いんげん豆,ビルマ
豆,あおえんどう,芋類等を原料とし、これらを適宜配
合し常法に従い煮てすりつぶしたものである。また、甘
味料としては、例えば、蕪糖,ブドウ糖,果糖,麦芽
糖,蜂蜜,水飴,異性化糖および人工甘味料等が使用で
きる。甘味料は必ずしも単品を用いる必要はなく、2種
以上のものを混合使用してもよい。
上記の一連の工程を経て得られた可塑性シート状食品
は、従来のものに比べて細工性,延展性がよいだけでな
く、つなぎ剤としてペクチンおよびキサンタンガムを主
とする特殊なものを用いており、従来のように澱粉質の
ものを用いていないため、製造後における製品の老化が
起こりにくく、日もちのよいものである。また、適度の
可塑性を有しており細工性に優れている。
なお、本発明の可塑性シート状食品は、前述の原料に加
えて着色料、着香料、酸味料、スパイス類、果肉、果
汁、よもぎ,しそ等の薬草類、抹茶,きな粉等を添加し
て練り上げることによりさまざまな風味を有する可塑性
シート状食品とすることができる。さらに、本発明の可
塑性シート状食品は、シート状のままで商品とされるだ
けでなく、粒あん等の他のあん加工品やジヤム等を包ん
だり、はさんだりして他の食品の素材としても用いるこ
とができる。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明の可塑性シート状食品の製法によ
れば、使い方が難しいみじん粉等の従来のつなぎ剤に代
えて、ペクチンおよびキサンタンガムを主とする特殊な
ものを用い、かつ、これを製造中に添加するのではな
く、原料の仕込時に添加して練切りあん調の可塑性シー
ト状食品を製造するため、製造に際して、従来のような
熟練職人の勘に頼ることなく、糖度計等を用いて糖度を
目安に作業を進めることができ、作業者の熟練度を必要
としない。したがつて、効率化,量産化を実現すること
ができる。また、本発明では上記つなぎ剤を仕込み時に
添加し、従来のように並あんを作つたのち添加しないた
め、製造工程を途中で区切る必要がなくなり、これも製
造の効率化に寄与するようになる。さらに、得られる可
塑性シート状食品は、延展性等の特性が優れていて細工
しやすいものであり、かつ、つなぎ剤として特定の天然
糊料を用いて従来のようにみじん粉等の澱粉質つなぎ剤
を用いていないため、老化が起こりにくく日もちが極め
てよいものである。
つぎに、実施例について説明する。
〔実施例〕
まず、後記の第1表に示す原料を用意し、ついで、第1
表における配合に属する原料をよく混合して充分に溶
解膨潤させる。そして、得られた膨潤物を、配合に属
する原料と共に混合し、90℃に加温して練り上げた。
このとき、糖度計で、練り上げ物をBx60℃に仕上げ
て盤上に取り出し、放冷したのち、圧延して本発明の可
塑性シート状食品を得た。
これらの実施例品について、製造1日後と製造3日後の
外観および細工性を比較試験した。このとき、パネルは
男,女各10名とした。
この結果を同じく第1表に示す。
上記第1表の結果から、実施例品は、いずれも製造3日
後においても皮形成,亀裂等の劣化が生じておらず、保
存性がよいことがわかる。ちなみに、実施例3のつなぎ
剤に代えてみじん粉を用い、従来と同様にして得られた
シート状練切りあんは、製造3日後、筋状亀裂が僅かに
みられた。
また、第1表における実施例1〜5の結果から、つなぎ
剤の添加量は、仕込時の全原料の0.3〜1.5%が好
ましいことがわかる。また、実施例6〜10の結果か
ら、ペクチンとキサンタンガムの使用比率は8/2〜2
/8が好ましいことがわかる。さらに、実施例11〜1
4の結果から、ペクチンおよびキサンタンガム料以外の
天然糊料を併用する場合には、併用する他のものの配合
量を、つなぎ剤全体の30%(実施例13)までに規制
すべきであり、それを超えると(実施例14)細工性が
悪くなることがわかる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生あんを主成分とする可塑性シート状食品
    であつて、ペクチンおよびキサンタンガムを主とするつ
    なぎ剤が含有されていることを特徴とする可塑性シート
    状食品。
  2. 【請求項2】上記つなぎ剤の添加量が、仕込時の全量に
    対し0.3〜1.5重量%に設定されている特許請求の
    範囲第1項記載の可塑性シート状食品。
  3. 【請求項3】ペクチンおよびキサンタンガムを主とする
    つなぎ剤,糖類,生あんおよび水を準備する工程と、上
    記糖類の一部とつなぎ剤とを少量の水で溶解膨潤させ膨
    潤物化する工程と、上記膨潤物に上記生あん,上記糖類
    の残部および上記水の残部を加え加熱混練し練り上げて
    可塑性生地をつくる工程を備えていることを特徴とする
    可塑性シート状食品の製法。
  4. 【請求項4】上記つなぎ剤の添加量が、仕込時の全量に
    対し0.3〜1.5重量%に設定されている特許請求の
    範囲第3項記載の可塑性シート状食品の製法。
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新見幸一著「近代和菓子製法」(昭48−7−5)沼田書店P.229−255

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