JPH0617156A - フェロスクラップからの銅の除去方法 - Google Patents

フェロスクラップからの銅の除去方法

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JPH0617156A
JPH0617156A JP17710692A JP17710692A JPH0617156A JP H0617156 A JPH0617156 A JP H0617156A JP 17710692 A JP17710692 A JP 17710692A JP 17710692 A JP17710692 A JP 17710692A JP H0617156 A JPH0617156 A JP H0617156A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 銅を含有するフェロスクラップを酸素の存在
下にアンモニア性水溶液で処理してスクラップ中の銅を
アンミン銅(II)錯体として選択的に溶解させて除去する
方法において、銅の溶解速度を促進する。 【構成】 アンモニア性水溶液中に処理開始時からアン
ミン銅(II)錯体を 0.1〜3Mの濃度で含有させる。アン
ミン銅(II)錯体錯体は、アンモニア性水溶液に金属銅ま
たは酸化銅の粉末を添加するか、処理後の銅が溶解した
浸出液の一部を溶解工程に循環使用することで、処理液
中に含有させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェロスクラップを鋼
の溶製の原料としてリサイクルするために、フェロスク
ラップから銅を除去する方法に関する。より具体的に
は、本発明は、アンモニアとアンモニウム塩とを含むア
ンモニア性水溶液を用いて、銅を含有するフェロスクラ
ップから銅を選択的に溶解させて除去することにより、
リサイクルに適した純度の高いフェロスクラップを得る
と同時に、銅分を酸化銅または金属銅として回収利用す
るフェロスクラップからの銅の除去方法に関し、特に銅
の溶解を促進させることのできる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェロスクラップは、電線や導線として
使用される銅線や、他の銅または銅合金製部品の混入が
主な原因で、銅含有量が高くなっていることが多い。例
えば、廃自動車、廃電気製品、機械屑などがそうであ
る。
【0003】銅は、鉄鋼製品の機械的性質、加工性など
の性能に悪影響を及ぼす元素であり、銅が混入したフェ
ロスクラップを鋼溶製の原料として用いると、低級な品
質の鋼しか製造できない。そのため、銅をフェロスクラ
ップから除去することが望ましく、従来から様々な脱銅
方法が研究されている。フェロスクラップから銅を除去
するための代表的な脱銅方法を次に示す。
【0004】硫化ナトリウムまたは硫酸ナトリウムを
主成分とするフラックスに銅を溶鉄から選択的に抽出す
る方法 (第122, 123回西山記念技術講座、pp.112-118,
日本鉄鋼協会) 、 スクラップを高温で溶融し、より低融点の銅を真空下
で蒸発させる方法 (CAMP-ISIJ, Vol. 1 (1988), pp.116
9-1172) 、 スクラップ中の銅を硫化した後、スクラップを圧縮ま
たは破砕し、脆化した硫化銅を機械的に分離・回収する
方法 (特開平2−285035号) 、 アルミニウム、マグネシウムまたはその合金の溶融物
中に銅を選択的に抽出する方法 (特開平3−199314号)
。
【0005】しかし、の方法は、高い脱銅率を得るに
はかなり大量のフラックスが必要であり、このフラック
スの高温での取扱いが困難であり、かつフラックスのコ
ストが高い。の方法は、銅の蒸発速度を高めるには、
多量のエネルギーを要する高温・高真空条件が必要であ
り、しかも銅の回収が困難である。の方法は、硫化工
程で発生する硫黄酸化物を含有する廃ガスの処理が大き
な負担となる上、硫化した銅の機械的手段での分離で
は、銅を十分高い脱銅率で除去することが困難である。
の方法は、抽出剤として高価な金属Al、Mg、またはAl
−Mg合金が必要である。
【0006】従来の脱銅方法の欠点を解消するため、本
発明者は、アンモニアとアンモニウム塩とを含有するア
ンモニア性水溶液を用いてフェロスクラップから銅を除
去し、回収する方法 (以下、先願発明という) を提案し
た (特願平3−297375号) 。この先願発明における脱銅
プロセスの1例 (アンモニウム塩として炭酸アンモニウ
ムを使用した例) を図1に実線で示す。
【0007】酸素存在下でのアンモニア性水溶液中にお
いて、銅はアンモニアとアンミン銅(II)錯体を生成し、
容易に溶解するのに対し、鉄は、銅よりイオン化傾向が
大きいにもかかわらず、不働態化するため全く溶解しな
い。先願発明は、このような銅と鉄との性質を利用した
ものである。即ち、銅を含有するフェロスクラップを酸
素の存在下でアンモニア性水溶液中により処理すると、
下記(1) 式に従ってスクラップ中の銅をアンミン銅(II)
錯体として選択的に溶解させることができ、脱銅された
高品位のフェロスクラップが得られる。同時にスクラッ
プから分離された銅を溶解したアンモニア水溶液から、
銅を回収し、アンモニアとアンモニウム塩を再生するこ
とができる。銅を回収する方法として、例えば銅と不安
定な塩を生成するアニオンを持つ炭酸アンモニウム塩を
銅の溶解液に用いる場合には、溶液を加熱することによ
り(2) に示すように銅を酸化銅として回収することがで
き、アンモニアと炭酸アンモニウムが再生する。硫酸ア
ンモニウムのように銅と水溶性の塩を生成する場合に
は、溶液を加熱することにより(3) 式に示すように硫酸
銅の溶液が生成する。この硫酸銅溶液を電解し、銅を金
属銅として回収することができる。電解廃液および蒸発
したアンモニアは、溶液の調整にリサイクルし、アンモ
ニアと硫酸アンモニウムを再生する。
【0008】 Cu + 2NH3 + 2NH4 + + 1/2O2 = Cu(NH3)4 2+ + H2O (1) Cu(NH3)CO3 = CuO↓ + 4NH3↑ + CO2↑ (2) Cu(NH3)SO4 = CuSO4 + 4NH3↑ (3) 図1に実線で示した脱銅プロセスでは、水にアンモニア
と炭酸ガスを吸収させて、アンモニアおよび炭酸アンモ
ニウムを含有するアンモニア性水溶液を調製し、この水
溶液を溶解槽 (反応容器) に供給する。この溶解槽に銅
を含有する不純スクラップを入れ、酸素含有ガスを供給
して、上記(1) 式の反応により銅を溶解させる。脱銅さ
れた高品位スクラップを溶解槽から取り出し、銅を溶解
した浸出液は蒸留塔に送ってアンモニアおよび炭酸ガス
を蒸発させると、(2) 式の反応により銅が酸化銅として
沈殿する。塔底物を濾過して、不純スクラップ中に含ま
れていた銅分を酸化銅として回収する。この濾液を冷却
して、蒸留塔から留出したアンモニアおよび炭酸ガスの
吸収用の溶液として利用する。こうしてアンモニアおよ
び炭酸アンモニウムを含有するアンモニア性水溶液が再
生されるので、再生された水溶液を成分調整してから溶
解槽に循環し、脱銅に再使用する。
【0009】このように、先願発明の脱銅方法は、上記
(1) および(2) 式からもわかるように、反応に必要なア
ンモニアとアンモニウム塩を原理的には完全に回収して
処理水溶液を再生し、循環使用することができるので、
薬剤コストおよび廃水処理コストが少なくてすみ、経済
的である。また、フェロスクラップからの銅の除去・回
収率も高い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このフェロスクラップ
の脱銅方法の効率化には、(1) 式の銅の溶解反応を迅速
に行うことが重要である。本発明は、アンモニア性水溶
液を用いた上記先願発明による銅含有フェロスクラップ
からの銅の除去方法において、銅の溶解を促進させるこ
とのできる改善された方法を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のフェロスクラッ
プからの銅の除去方法は、銅を含有するフェロスクラッ
プを酸素の存在下にアンモニア性水溶液で処理してスク
ラップ中の銅をアンミン銅(II)錯体として選択的に溶解
させて除去する方法において、使用するアンモニア性水
溶液中に処理開始時からアンミン銅(II)錯体を 0.1〜3
Mの濃度で含有させることを特徴とする。これにより、
フェロスクラップからの銅の溶解速度が著しく促進さ
れ、処理を効率的に実施することができる。
【0012】
【作用】本発明は、上記先願発明と同様、図1に示した
プロセスに従って、半連続法またはバッチ法により実施
することができる。溶解槽には、銅を含有するフェロス
クラップを、必要であれば適当な寸法に細断してから浸
漬する。図2に示すように、スクラップ1は液流通性の
かご2 (網または有孔金属板等で作ったかご) に収容し
て溶解槽3内のアンモニア性水溶液4に浸漬するのが、
取り出しが容易となることから好ましい。溶解槽には、
銅の酸化溶解に必要な酸化剤として酸素含有ガス (純酸
素、空気など) を供給するが、好ましくは図示のように
液の攪拌を兼ねて水溶液中にバブリングさせる。
【0013】半連続法の場合、スクラップはバッチ式
で、処理液は連続式で処理される。即ち、溶解槽から浸
出液を連続的に抜取って、蒸留塔に送り、酸化銅の回収
とアンモニア性水溶液の再生と成分調整を行い、成分調
整されたアンモニア性水溶液をに抜取り量に見合った流
量で溶解槽に連続的に供給する。スクラップは銅分が実
質的に完全に除去されるまで溶解槽内に浸漬した後、次
のスクラップと交換する。バッチ法の場合には、アンモ
ニア性水溶液中でのスクラップの浸漬処理を1回または
2回以上行った後、浸出液の全量または一部を抜取り、
蒸留塔以下の処理に付す。
【0014】処理に用いるアンモニア性水溶液は、アン
モニアとアンモニウム塩とが溶解した水溶液である。ア
ンモニウム塩としては、アンモニアと炭酸ガスを水中に
吹込むことで調製できる炭酸アンモニウムが、本発明の
工業的実施には最も適しているが、他のアンモニウム
塩、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなど
を使用することも可能である。
【0015】上記(1) 式で示されるアンモニア性水溶液
中における銅の溶解反応の反応速度に及ぼす因子として
は、溶液温度、溶液攪拌の強度、溶液中の反応成分 (ア
ンモニアおよびアンモニウム塩) の濃度および反応生成
物 (アンミン銅(II)錯体) の濃度がある。常識的には、
溶液温度の上昇や攪拌の強化につれて溶解は促進され、
また化学平衡から考えて、溶液中の反応成分の濃度が増
大すると溶解は速くなり、逆に反応生成物であるアンミ
ン銅(II)錯体の濃度が増大すると溶解は遅くなると考え
られる。銅の溶解速度に及ぼすこれらの因子の影響につ
いて詳細に調査した。
【0016】(a) 銅溶解速度に対するアンミン銅(II)錯
体濃度の影響 アンモニア性水溶液中における銅の溶解反応の生成物で
あるアンミン銅(II)錯体濃度が銅の溶解速度に及ぼす影
響を調べるため、銅の溶解の進行に伴う銅溶解速度の変
化を調べた。その結果、化学平衡を考えた一般的な常識
に反し、銅の溶解反応が進行するにつれて (即ち、溶液
中のアンミン銅(II)錯体濃度が増大するにつれて) 、銅
の溶解速度が増大することが判明した。例えば、後述す
る実施例に示すように、40℃における銅の溶解速度は、
溶液中にアンミン銅(II)錯体が存在しない時はわずか8
mg/cm2-hr であったのに対し、アンミン銅(II)錯体濃度
を0.64Mの濃度で存在させると368 mg/cm2-hr に増大し
た。
【0017】反応生成物であるアンミン銅(II)錯体の濃
度の増加によってかえって銅の溶解速度が増大する理由
については、次のように考えられる。アンモニア性水溶
液中にアンミン銅(II)錯体が存在すると、銅の溶解は、
前述した(1) 式に示す酸素による銅の直接酸化だけでは
なく、次に示す反応も同時に進行する。
【0018】 Cu + Cu(NH3)4 2+ = 2Cu(NH3)2 + (4) 2Cu(NH3)2 + + 2NH3 + 2NH4 + + 1/2O2 = 2Cu(NH3)4 2+ + H2O (5) 即ち、アンモニア性水溶液中にアンミン銅(II)錯体が存
在すると、金属銅(Cu)は(4) 式に示すようにアンミン銅
(II)錯体との反応によっても溶解し、アンミン銅(I) 錯
体 [Cu(NH3)2 + ] を生成する。生成したアンミン銅(I)
錯体は、酸素存在下では(5) 式に示す反応を経てさらに
アンミン銅(II)錯体に酸化される。この(4) 〜(5) 式を
総合した銅溶解の全反応は、(1) 式に示す酸素による銅
の直接酸化と同じ反応となる。つまり、銅溶解の全反応
は変化しないが、アンミン銅(II)錯体が存在すると(4)
〜(5) 式を経由することによって溶解反応の速度が著し
く加速される。その理由は次のように推測される。
【0019】(1) 式に示す酸素による銅の直接酸化反応
は、水溶液中への酸素の溶解度が小さく、酸素の金属銅
への拡散が律速となるため、反応速度が遅い。これに対
し、(4) 〜(5) 式の反応を経由する銅の溶解反応は、酸
素の金属銅への拡散が不要となり、反応速度が速くな
る。(4) 〜(5) 式からわかるように、アンミン銅(II)錯
体の濃度が増加すると、(4) 式に示す銅の溶解反応は促
進され、(5) 式に示すアンミン銅(I) 錯体の酸化反応は
阻害される方向に影響を受ける。アンミン銅(II)錯体の
濃度の増加によって銅の溶解速度が増大するのは、(5)
式の反応に現れるマイナス効果よりも(4) 式の反応に現
れるプラス効果の方がずっと大きいためである。
【0020】処理に用いるアンモニア性水溶液中のアン
ミン銅(II)錯体濃度は、スクラップからの銅の溶解が進
行するにつれて自然に増大し、従って銅の溶解速度も自
然に増大するが、十分な溶解速度が得られるアンミン銅
(II)錯体濃度に達するにはかなりの長時間を要する。そ
のため、本発明では、スクラップの処理開始時からアン
ミン銅(II)錯体を 0.1〜3M、好ましくは 0.3〜3Mの
濃度で含有させておき、処理開始時から銅の酸化溶解を
迅速に進行させるのである。この初期のアンミン銅(II)
錯体濃度が0.1 Mより低いと、目的とする銅の酸化溶解
が十分には促進されない。アンミン銅(II)錯体の濃度は
高いほど銅の溶解速度が高くなるが、3Mを大きく超え
ると銅の表面に水酸化第一銅の沈殿が生成し、銅の溶解
を阻害するようになるので、上限を3Mとした。
【0021】本発明で処理液として用いるアンミン銅(I
I)錯体を含有するアンモニア性水溶液の調製は、スクラ
ップの処理を新たに開始する場合には、例えばアンモニ
アガスと炭酸ガスを水に吸収させて、アンモニアおよび
炭酸アンモニウムを含有するアンモニア性水溶液をまず
調製し、この水溶液に粉末状の金属銅または酸化第二銅
を0.1 M以上となる量で添加して溶解させ、アンミン銅
(II)錯体 [この場合にはCu(NH3)4CO3]をその場で生成さ
せることにより行うことができる。溶解速度を加速する
ため、粒度1mm以下の粉末を用い、適当な攪拌を行うこ
とが望ましい。また、金属銅を溶解する場合には、同時
に酸素を吹き込むことが必要である。
【0022】処理を一旦開始した後は、図1に破線で示
すように、スクラップ処理により生じたアンミン銅(II)
錯体を含有する処理液の一部を処理に循環使用すること
により、使用するアンモニア性水溶液中にアンミン銅(I
I)錯体を 0.1〜3Mの濃度で含有させることができる。
即ち、スクラップからの銅の溶解が終了したか、或いは
溶解中の溶解槽内の浸出液 (これは、銅の溶解により生
じたアンミン銅(II)錯体をかなりの濃度で含有してい
る) の一部のみを取り出して蒸留塔に送り、銅の回収と
アンモニア性水溶液の再生に使用し、残りの浸出液は成
分を調整してから溶解槽で循環使用することにより、ア
ンミン銅(II)錯体を処理開始時から処理液中に含有させ
ることができる。
【0023】例えば、バッチ式処理の場合には、処理後
の浸出液の一部を溶解槽から取り出し、蒸留塔以下の工
程によりこの浸出液から銅を回収し、アンモニア性水溶
液を再生する。一方、溶解槽内に残った浸出液には、液
の取り出し量に相当する量の新たなアンモニア性水溶液
(これは再生されたアンモニア性水溶液を成分調整した
ものでよい) を補給して、次回の処理時に処理液として
使用する。バッチ式処理では、溶解槽内の処理液中のア
ンミン銅(II)錯体濃度は時間と共に増大するので、処理
開始時のアンミン銅(II)錯体濃度は0.1 M程度と低くて
もよい。
【0024】半連続処理の場合には、溶解槽から抜き取
られた浸出液の一部を蒸留塔以下の工程で連続処理し、
残りの浸出液は、再生および成分調整された補給用のア
ンモニア性水溶液と共に所定流量で溶解槽に戻すことに
より、溶解槽内の処理液中のアンミン銅(II)錯体、アン
モニア、アンモニウム塩の各濃度をほぼ一定に保持する
ことが好ましい。こうすれば、スクラップを溶解槽に入
れた時から処理液中にアンミン銅(II)錯体が存在する。
この場合、アンミン銅(II)錯体濃度は時間と共に増大し
ないので、処理液中のアンミン銅(II)錯体濃度は0.3 M
以上に保持するようにすることが望ましい。
【0025】(b) 銅溶解速度に対する温度、反応成分濃
度、攪拌強度の影響 銅溶解速度に対する温度の影響を調べた結果、温度の上
昇に伴って反応速度が増大したが、アンモニアの蒸発も
多くなるため、反応温度は30〜70℃が好ましいことがわ
かった。
【0026】反応成分であるアンモニアおよびアンモニ
ウム塩 (炭酸アンモニウム) の濃度を変化させて銅の溶
解速度を調べたところ、アンミン銅(II)錯体が0.1 M以
上、好ましくは0.3 M以上の濃度で存在する場合には、
アンモニアおよびアンモニウム塩濃度がそれぞれ0.2 M
および0.1 M以上あれば、それ以上に濃度が増大しても
銅の溶解速度はあまり増大しないことが判明した。ま
た、アンモニアやアンモニウム塩の濃度が増大しすぎる
と、アンモニアの蒸発が多くなって、操業性が悪くな
る。従って、処理液として用いるアンモニア性水溶液中
のアンモニアおよびアンモニウム塩濃度はそれぞれ 0.2
〜2Mおよび 0.1〜1Mの範囲内とすることが望まし
い。
【0027】銅の溶解を促進するため、溶液を攪拌する
ことは望ましいことであるが、スクラップを取り扱うた
め、攪拌機などによる機械的攪拌は困難である。そこ
で、酸化剤として用いる酸素含有ガス (純酸素または空
気など) を処理液中に吹き込み、溶液をバブリングによ
り攪拌した結果、ガス吹き込み量の増加により銅の溶解
速度が増大することがわかった。つまり、酸素含有ガス
は銅の酸化剤として作用するだけでなく、処理液の攪拌
ガスとしての役割も果たす。酸化剤としてよりも、攪拌
ガスとして必要な酸素含有ガスの流量が大きいため、図
2に示すように、溶解槽の上部空間5から未反応酸素を
含有するガスを回収し、回収された酸素含有ガスをガス
循環経路6を経てポンプ7により溶解槽の下部に配置し
たガス吹込み器8に送り、処理液中に吹き込むことで循
環使用することが好ましい。
【0028】純酸素ガスの場合には、図示のように、回
収されたガスの全量を循環使用することができ、銅の溶
解で消費された酸素を経路9から補給するだけで銅の溶
解反応を続けることができる。従って、アンモニアの揮
発ロスは全く生じない。空気の場合には、消費された酸
素に見合う量の空気を溶解槽またはガス循環経路に補給
すると同時に、この補給空気中の酸素以外のガス量に相
当する量の循環ガスを系外に排出して、循環ガス量をほ
ぼ一定に保持することが望ましい。こうして、酸素含有
ガスを循環させて処理液中にバブリングし、液を攪拌す
ることで、酸素の利用率を高めるだけでなく、アンモニ
アの揮発ロスを防止ないし著しく低減することができ
る。
【0029】溶解槽から排出されたアンミン銅(II)錯体
を含有する水溶液の処理は、例えば、図1に示したプロ
セスにより実施することができるが、これを適宜変更す
ることもできる。例えば、図示例では、水溶液中の銅分
は、蒸留でアンモニアと炭酸ガスを蒸発させることによ
りアンミン銅(II)錯体を分解させて、酸化銅の沈殿とし
て回収するが、アンミン銅(II)錯体を含有する水溶液を
電気分解して、陰極上に銅を金属銅として析出させるこ
とにより銅分を回収してもよい。この場合、本発明方法
で原料として用いる銅含有フェロスクラップを陽極に使
用すると、この電気分解工程でも、陽極のフェロスクラ
ップから銅を選択的に電解液 (アンモニア性水溶液) 中
に溶解させ、陰極上に金属銅として回収できる。
【0030】本発明の方法で処理の対象となる、銅を含
有するスクラップの例としては、上述した廃自動車、廃
電気製品、機械屑などが例示される。必要であれば、本
発明の方法により処理する前に、スクラップを裁断して
処理に適した寸法にしておくことが望ましい。また、モ
ーターコイルの導線のように、スクラップ中の銅に有機
被覆 (例、エナメル被覆) が施されている場合には、有
機被覆を除去してから脱銅処理することが好ましい。こ
の有機被覆の除去は、スクラップを 400〜1000℃に加熱
して有機被覆を焼却することにより実施することができ
る。
【0031】
【実施例】実施例1 銅板を用いて、銅の溶解速度に及ぼすアンミン銅(II)錯
体濃度および温度の影響を調べた。1.0 Mのアンモニ
ア、0.5 Mの炭酸アンモニウム、および各種濃度のアン
ミン銅(II)錯体を含有する水溶液2リットルに銅板を浸
漬し、30℃および40℃において酸素を10 l/minの流量で
吹き込みながら銅を溶解させた。銅が溶解した水溶液
(浸出液) を定期的にサンプリングし、浸出液中のアン
ミン銅(II)錯体の濃度変化から銅の溶解速度を求めた。
結果を次の表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】表1の結果から、銅の溶解速度は温度の上
昇につれて増大するが、水溶液中にアンミン銅(II)錯体
が存在することで著しく増大し、温度上昇よりもアンミ
ン銅(II)錯体の添加の方が銅溶解促進の効果がはるかに
大きいことがわかる。即ち、水溶液中にアンミン銅(II)
錯体が0.1 Mと低濃度で含有させただけで、溶解速度は
10倍以上に増大し、アンミン銅(II)錯体濃度が0.3 Mを
超えると25倍以上に増大した。
【0034】実施例2 廃自動車をシュレッダーにより細断した、銅含有量0.5
重量%のフェロスクラップ (シュレッダースクラップ)
を、純酸素を酸化剤として、図2に示す装置を用いて、
次に述べる本発明方法により回分式で処理した。
【0035】内容積1.5 m3のステンレス鋼製の溶解槽
に、アンモニア濃度2.0 M、炭酸アンモニウム濃度1.0
Mのアンモニア性水溶液1m3を注入し、平均粒径0.05 m
m の金属銅粉末約32 kg を添加した。30分間酸素を吹き
込んで水溶液を攪拌し、銅粉末を完全に溶解させて、NH
3 濃度1.0 M、(NH4)2CO3 濃度0.5 M、Cu(NH3)4CO3 濃
度0.5 Mの処理液を調製した。
【0036】重量0.5 トンの上記シュレッダースクラッ
プを溶解槽に入れ、温度約30℃で純酸素を1m3/minの流
量で3時間循環させることにより、ガスバブリングを行
って処理液を攪拌し、スクラップから銅を処理液中に溶
解させた。その際の酸素の補給量は全体で約 380リット
ルであった。その後、スクラップを取り出し、水洗・乾
燥後に電気炉で溶製したところ、銅含有量0.08重量%の
高品質の電気炉鋼が得られた。脱銅率は84%であった。
【0037】スクラップの処理後、約80リットルの浸出
液を溶解槽から取り出し、次工程で蒸留処理して、約34
00gの酸化第二銅を沈殿として回収した。一方、溶解槽
に残った浸出液には、アンモニア濃度2.0 M、炭酸アン
モニウム濃度1.0 Mのアンモニア性水溶液約80リットル
を別に補給して、次回の処理液を調製した。この処理液
を使用して、上記と同様にスクラップを処理したとこ
ろ、上とほぼ同様の銅の除去効果を得た。このようにし
て、スクラップの処理ごとに適量の処理液の更新を行え
ば、処理液中のアンミン銅(II)錯体濃度を所定の濃度範
囲に保持しながら、スクラップの脱銅処理を継続するこ
とが可能である。
【0038】比較のため、上記シュレッダースクラップ
を、本発明の方法を用いずに、NH3濃度1.0 M、(NH4)2C
O3 濃度0.5 Mの水溶液を使用して、上記と同様に溶解
槽内で酸素を循環させながら3時間処理したところ、得
られたスクラップの銅含有量は0.44重量%であり、鋼品
質の著しい低下を招く水準であった。脱銅率は12%に過
ぎなかった。本発明の方法により、処理液中に最初から
アンミン銅(II)錯体を存在させておくことで、脱銅効率
が著しく向上することが明らかとなった。
【0039】
【発明の効果】本発明の方法によれば、銅を含有するフ
ェロスクラップから銅を高速で選択的に溶解させてスク
ラップから除去することができ、スクラップからの銅の
分離、回収がより効率的となる。本発明の方法は、一般
的な常識に反し、反応生成物であるアンミン銅(II)錯体
を処理液中に最初から存在させることによって、処理液
中のアンモニアやアンモニウム塩の濃度および処理温度
をあまり高くしなくても、銅を迅速に溶解することがで
きるとの知見に基づくものである。それにより、アンモ
ニアの蒸発を抑えて高い脱銅速度を得ることができると
同時に、処理液中に溶解した銅は、簡単な処理により、
酸化銅または金属銅としてほぼ全量を回収できる。従っ
て、本発明は、スクラップのリサイクルを促進し、同時
に銅資源の有効利用も図ることができ、省資源に寄与す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱銅プロセスの1例を示す工程図であ
る。
【図2】本発明の方法に使用しうる脱銅装置の1例を示
す説明図である。
【符号の説明】
1:スクラップ 2:網かご
3:溶解槽 4:アンモニア性水溶液 5:上部空間
6:ガス循環経路 7:ポンプ、 8:ガス吹込み器
9:ガス補給経路
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】 Cu + 2NH3 + 2NH4 + + 1/2O2 = Cu(NH3)4 2+ + H2O (1) Cu(NH3)4CO3 = CuO↓ + 4NH3↑ + CO2↑ (2) Cu(NH3)4SO4 = CuSO4 + 4NH3↑ (3) 図1に実線で示した脱銅プロセスでは、水にアンモニア
と炭酸ガスを吸収させて、アンモニアおよび炭酸アンモ
ニウムを含有するアンモニア性水溶液を調製し、この水
溶液を溶解槽 (反応容器) に供給する。この溶解槽に銅
を含有する不純スクラップを入れ、酸素含有ガスを供給
して、上記(1) 式の反応により銅を溶解させる。脱銅さ
れた高品位スクラップを溶解槽から取り出し、銅を溶解
した浸出液は蒸留塔に送ってアンモニアおよび炭酸ガス
を蒸発させると、(2) 式の反応により銅が酸化銅として
沈殿する。塔底物を濾過して、不純スクラップ中に含ま
れていた銅分を酸化銅として回収する。この濾液を冷却
して、蒸留塔から留出したアンモニアおよび炭酸ガスの
吸収用の溶液として利用する。こうしてアンモニアおよ
び炭酸アンモニウムを含有するアンモニア性水溶液が再
生されるので、再生された水溶液を成分調整してから溶
解槽に循環し、脱銅に再使用する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅を含有するフェロスクラップを酸素の
    存在下にアンモニア性水溶液で処理してスクラップ中の
    銅をアンミン銅(II)錯体として選択的に溶解させて除去
    する方法であって、使用するアンモニア性水溶液中に処
    理開始時からアンミン銅(II)錯体を 0.1〜3Mの濃度で
    含有させることを特徴とする、フェロスクラップからの
    銅の除去方法。
  2. 【請求項2】 前記スクラップ処理により生じたアンミ
    ン銅(II)錯体を含有する処理液の一部を処理に循環使用
    することにより、使用するアンモニア性水溶液中にアン
    ミン銅(II)錯体を 0.1〜3Mの濃度で含有させることを
    特徴とする、請求項1記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6115166A (en) * 1997-11-27 2000-09-05 Minolta Co., Ltd. Optical element holder

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