JPH0617933A - ピストンリング - Google Patents
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- JPH0617933A JPH0617933A JP20065392A JP20065392A JPH0617933A JP H0617933 A JPH0617933 A JP H0617933A JP 20065392 A JP20065392 A JP 20065392A JP 20065392 A JP20065392 A JP 20065392A JP H0617933 A JPH0617933 A JP H0617933A
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Landscapes
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 形成された皮膜と母材との密着性に優れてい
ると同時に耐摩耗性にも優れた皮膜を被覆したピストン
リングを提供する。 【構成】 少なくともその外周摺動面2に、窒化モリブ
デンを含有する厚さが1〜50μmの皮膜2Aをイオンプ
レーティングにより形成してなることを特徴とするピス
トンリング1である。
ると同時に耐摩耗性にも優れた皮膜を被覆したピストン
リングを提供する。 【構成】 少なくともその外周摺動面2に、窒化モリブ
デンを含有する厚さが1〜50μmの皮膜2Aをイオンプ
レーティングにより形成してなることを特徴とするピス
トンリング1である。
Description
【0001】
【産業の利用分野】本発明は、耐摩耗性に優れたイオン
プレーティング皮膜を少なくとも摺動面に有する内燃機
関用ピストンリングに関する。
プレーティング皮膜を少なくとも摺動面に有する内燃機
関用ピストンリングに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ピスト
ンリングは、エンジンのシリンダライナ内に配置された
ピストンのリング溝に組み込まれ、主に燃焼室の気密
化、シリンダー表面に形成される潤滑油膜の膜圧制御、
及び燃焼熱をピストンからシリンダライナへ伝達するこ
とによるピストンの冷却等の働きをする。従って、ピス
トンリング特性としては耐摩耗性、耐焼付性、耐熱性、
保油性、及びシリンダ側の摩耗抑制性などが高い次元で
要求される。
ンリングは、エンジンのシリンダライナ内に配置された
ピストンのリング溝に組み込まれ、主に燃焼室の気密
化、シリンダー表面に形成される潤滑油膜の膜圧制御、
及び燃焼熱をピストンからシリンダライナへ伝達するこ
とによるピストンの冷却等の働きをする。従って、ピス
トンリング特性としては耐摩耗性、耐焼付性、耐熱性、
保油性、及びシリンダ側の摩耗抑制性などが高い次元で
要求される。
【0003】これらの要求に応えるため、靭性が高く、
耐摩耗性、及び耐焼付性に優れる鋼などの鉄系材料を母
材としたピストンリングに、摺動特性を改良するための
表面処理を施したものを使用していた。従来から行われ
ているピストンリングの表面処理方法として、窒化処
理、クロムめっき処理、モリブデン溶射処理などが挙げ
られる。
耐摩耗性、及び耐焼付性に優れる鋼などの鉄系材料を母
材としたピストンリングに、摺動特性を改良するための
表面処理を施したものを使用していた。従来から行われ
ているピストンリングの表面処理方法として、窒化処
理、クロムめっき処理、モリブデン溶射処理などが挙げ
られる。
【0004】また、特公平1−52471号及び特開昭
62−120471号は、PVD(Physical Vapor Dep
osition )法により、摺動面に金属窒化物や金属炭化物
等の皮膜をコーティングしたピストンリングを開示して
いる。金属窒化物や金属炭化物の皮膜は優れた耐摩耗
性、及び耐焼付性を示しており、特に窒化チタンや窒化
クロムなどが注目される。
62−120471号は、PVD(Physical Vapor Dep
osition )法により、摺動面に金属窒化物や金属炭化物
等の皮膜をコーティングしたピストンリングを開示して
いる。金属窒化物や金属炭化物の皮膜は優れた耐摩耗
性、及び耐焼付性を示しており、特に窒化チタンや窒化
クロムなどが注目される。
【0005】しかし、近年エンジンの高出力化や高性能
化に伴い、ピストンリングに要求される条件はますます
苛酷なものとなり、従来の皮膜では対応できない場合が
出てきた。硬質クロムめっき処理を施したピストンリン
グでは耐腐食摩耗性が不十分であり、窒化処理やモリブ
デン溶射処理を施したピストンリングでは耐摩耗性が不
十分であり、また窒化チタンや窒化クロムをコーティン
グしたピストンリングでも摺動特性が不十分であるた
め、さらに優れた耐摩耗性を有するピストンリングが望
まれている。
化に伴い、ピストンリングに要求される条件はますます
苛酷なものとなり、従来の皮膜では対応できない場合が
出てきた。硬質クロムめっき処理を施したピストンリン
グでは耐腐食摩耗性が不十分であり、窒化処理やモリブ
デン溶射処理を施したピストンリングでは耐摩耗性が不
十分であり、また窒化チタンや窒化クロムをコーティン
グしたピストンリングでも摺動特性が不十分であるた
め、さらに優れた耐摩耗性を有するピストンリングが望
まれている。
【0006】従って、本発明の目的は、形成された皮膜
と母材との密着性に優れていると同時に耐摩耗性にも優
れた皮膜を被覆したピストンリングを提供することであ
る。
と母材との密着性に優れていると同時に耐摩耗性にも優
れた皮膜を被覆したピストンリングを提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、少なくとも外周摺動面に、窒化モ
リブデンからなる皮膜がイオンプレーティング法によ
り、1〜50μmの厚さで形成されているピストンリング
は密着性に優れていると同時に耐摩耗性にも優れている
ことを発見し、本発明を完成した。
の結果、本発明者は、少なくとも外周摺動面に、窒化モ
リブデンからなる皮膜がイオンプレーティング法によ
り、1〜50μmの厚さで形成されているピストンリング
は密着性に優れていると同時に耐摩耗性にも優れている
ことを発見し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明のピストンリングは少な
くともその外周摺動面に、窒化モリブデンを含有する厚
さが1〜50μmの皮膜をイオンプレーティングにより形
成してなることを特徴とする。
くともその外周摺動面に、窒化モリブデンを含有する厚
さが1〜50μmの皮膜をイオンプレーティングにより形
成してなることを特徴とする。
【0009】
【実施例】本発明について、以下詳細に説明する。本発
明において、イオンプレーティング皮膜で被覆する基
材、すなわちピストンリング本体は従来公知のいかなる
材料や形状でもよい。その材料は、13Cr及び17C
rステンレス鋼、バネ鋼、工具鋼、及び鋳鉄などの鉄系
材料、及びそれらの材料に窒化処理やクロムめっきを施
したもの等を使用することができる。
明において、イオンプレーティング皮膜で被覆する基
材、すなわちピストンリング本体は従来公知のいかなる
材料や形状でもよい。その材料は、13Cr及び17C
rステンレス鋼、バネ鋼、工具鋼、及び鋳鉄などの鉄系
材料、及びそれらの材料に窒化処理やクロムめっきを施
したもの等を使用することができる。
【0010】図1は本発明におけるピストンリング1
と、形成された皮膜2Aを示す断面図である。皮膜を形成
する面は、ピストンリングの外周摺動面2を必須とする
が、他の部分である内周面3、あるいは上下面4などの
いずれに形成しても差し支えはない。ピストンリングの
膜厚は、初期なじみにおける摩耗で表面層が消失する可
能性を考慮して1μm以上とし、初期なじみ以降にも皮
膜を残すことが必要である。一方、必要以上に皮膜を厚
くすることは経済上好ましくなく、膜厚が50μmを超え
ると皮膜が欠けたり、亀裂が生じ、密着力が低下するの
で、50μm以下とすることが必要である。
と、形成された皮膜2Aを示す断面図である。皮膜を形成
する面は、ピストンリングの外周摺動面2を必須とする
が、他の部分である内周面3、あるいは上下面4などの
いずれに形成しても差し支えはない。ピストンリングの
膜厚は、初期なじみにおける摩耗で表面層が消失する可
能性を考慮して1μm以上とし、初期なじみ以降にも皮
膜を残すことが必要である。一方、必要以上に皮膜を厚
くすることは経済上好ましくなく、膜厚が50μmを超え
ると皮膜が欠けたり、亀裂が生じ、密着力が低下するの
で、50μm以下とすることが必要である。
【0011】図2は本発明によるピストンリング1を装
着したピストン5がシリンダライナ6に組み込まれた状
態の一部分を示す断面図である。
着したピストン5がシリンダライナ6に組み込まれた状
態の一部分を示す断面図である。
【0012】本発明においてはイオンプレーティング法
により、皮膜をピストンリングに形成させる。イオンプ
レーティング法はPVD法の一種である。PVD法は、
皮膜を形成する技術であり、基本的には、蒸着法、スパ
ッタリング法、及びイオンプレーティング法の3つの方
法に分類できる。本発明においては、モリブデン蒸気を
窒素と反応させ、窒化モリブデン皮膜をピストンリング
上に堆積させることができる反応性イオンプレーティン
グ法に特定した。
により、皮膜をピストンリングに形成させる。イオンプ
レーティング法はPVD法の一種である。PVD法は、
皮膜を形成する技術であり、基本的には、蒸着法、スパ
ッタリング法、及びイオンプレーティング法の3つの方
法に分類できる。本発明においては、モリブデン蒸気を
窒素と反応させ、窒化モリブデン皮膜をピストンリング
上に堆積させることができる反応性イオンプレーティン
グ法に特定した。
【0013】モリブデン蒸気は、HCDガンや電子ビー
ムなどの高エネルギービームをモリブデンに照射し、蒸
発させることにより得る。また陰極アークプラズマ式イ
オンプレーティング法、及びスパッタリング法のよう
に、陰極からモリブデン粒子を飛び出させることによ
り、モリブデン蒸気を得てもよい。
ムなどの高エネルギービームをモリブデンに照射し、蒸
発させることにより得る。また陰極アークプラズマ式イ
オンプレーティング法、及びスパッタリング法のよう
に、陰極からモリブデン粒子を飛び出させることによ
り、モリブデン蒸気を得てもよい。
【0014】皮膜の構成元素であるモリブデンは窒化物
を形成しやすい元素である。そこでモリブデンの蒸気に
窒素を混合した気相中でプラズマを発生させると、モリ
ブデンはイオン化し、窒素イオンと化合して窒化モリブ
デンを生成する。その結果、ピストンリング母材の表面
に窒化モリブデンの皮膜が形成される。その際、窒素ガ
スの供給量が少ない場合は上記窒化モリブデンの他、未
反応のモリブデンが生成され、窒化モリブデンとモリブ
デンとの複合皮膜となる。
を形成しやすい元素である。そこでモリブデンの蒸気に
窒素を混合した気相中でプラズマを発生させると、モリ
ブデンはイオン化し、窒素イオンと化合して窒化モリブ
デンを生成する。その結果、ピストンリング母材の表面
に窒化モリブデンの皮膜が形成される。その際、窒素ガ
スの供給量が少ない場合は上記窒化モリブデンの他、未
反応のモリブデンが生成され、窒化モリブデンとモリブ
デンとの複合皮膜となる。
【0015】ピストンリングの外周摺動面に形成された
窒化モリブデンとモリブデンとの複合皮膜は、モリブデ
ンを含有することにより窒化物単相からなる皮膜と比較
して若干耐食性が劣る。しかし、モリブデンを含有した
皮膜は、窒化物単相からなる皮膜と比べて母材と皮膜と
の界面における熱膨張係数や結晶構造などの変化が小さ
くなり、母材との密着力が高まる。このように、皮膜に
モリブデンを含有させることにより利害得失があるが、
総合的には窒化モリブデンのみからなる皮膜のほうが摺
動特性に優れるため、モリブデンを積極的には生成させ
ないようにするのが好ましい。なお、モリブデンの生成
量の上限は窒素の含有量により決定されるが、モリブデ
ンは皮膜中重量%で95%以下とするのが好ましい。
窒化モリブデンとモリブデンとの複合皮膜は、モリブデ
ンを含有することにより窒化物単相からなる皮膜と比較
して若干耐食性が劣る。しかし、モリブデンを含有した
皮膜は、窒化物単相からなる皮膜と比べて母材と皮膜と
の界面における熱膨張係数や結晶構造などの変化が小さ
くなり、母材との密着力が高まる。このように、皮膜に
モリブデンを含有させることにより利害得失があるが、
総合的には窒化モリブデンのみからなる皮膜のほうが摺
動特性に優れるため、モリブデンを積極的には生成させ
ないようにするのが好ましい。なお、モリブデンの生成
量の上限は窒素の含有量により決定されるが、モリブデ
ンは皮膜中重量%で95%以下とするのが好ましい。
【0016】複合皮膜の構成元素は、原子比でモリブデ
ン:窒素=1:0.05〜1.0 とするのが好ましい。窒素の
モリブデンに対する原子比が0.05未満においては窒化モ
リブデンの生成が少なく、硬度が低くなり、耐摩耗性に
劣る。
ン:窒素=1:0.05〜1.0 とするのが好ましい。窒素の
モリブデンに対する原子比が0.05未満においては窒化モ
リブデンの生成が少なく、硬度が低くなり、耐摩耗性に
劣る。
【0017】上記の皮膜をピストンリング本体の外周摺
動面に形成させる方法を以下に詳述するが、本発明はこ
れに限定されない。
動面に形成させる方法を以下に詳述するが、本発明はこ
れに限定されない。
【0018】まず、ピストンリング母材を洗浄し、表面
に付着した汚れを取り、充分清浄化してイオンプレーテ
ィング装置の真空チャンバー内に挿入する。チャンバー
内の圧力が1.3 ×10-3〜5×10-3Paになるまで真空引き
を行ってから、イオンプレーティング装置に内蔵されて
いるヒーターにより加熱してピストンリング母材の内在
ガスを放出させる。加熱温度は300 〜500 ℃とするのが
好ましい。その後100〜400 ℃まで冷却する。
に付着した汚れを取り、充分清浄化してイオンプレーテ
ィング装置の真空チャンバー内に挿入する。チャンバー
内の圧力が1.3 ×10-3〜5×10-3Paになるまで真空引き
を行ってから、イオンプレーティング装置に内蔵されて
いるヒーターにより加熱してピストンリング母材の内在
ガスを放出させる。加熱温度は300 〜500 ℃とするのが
好ましい。その後100〜400 ℃まで冷却する。
【0019】チャンバー内圧力が4×10-3Pa以下になっ
た時点でモリブデンからなるターゲットを陰極として、
その表面でアーク放電を発生させモリブデンイオンを飛
び出させる。この際、ピストンリング母材にはバイアス
電圧を印加しておき、陰極より飛び出した金属イオンを
基材表面に高エネルギーで衝突させる方法、いわゆるボ
ンバードクリーニング法により基材表面の酸化物除去と
活性化処理を行う。そのときのバイアス電圧は−700 〜
−900 Vとするのが好ましい。
た時点でモリブデンからなるターゲットを陰極として、
その表面でアーク放電を発生させモリブデンイオンを飛
び出させる。この際、ピストンリング母材にはバイアス
電圧を印加しておき、陰極より飛び出した金属イオンを
基材表面に高エネルギーで衝突させる方法、いわゆるボ
ンバードクリーニング法により基材表面の酸化物除去と
活性化処理を行う。そのときのバイアス電圧は−700 〜
−900 Vとするのが好ましい。
【0020】その後バイアス電圧を低下させ、モリブデ
ンイオンをピストンリング外周摺動面に堆積させなが
ら、窒素ガスをチャンバー内に導入し、プラズマ内を通
過させる。それにより窒素をイオン化させ、窒素分圧を
1.3 ×10-1〜1.6 Pa程度にし、バイアス電圧を−10〜−
100 V印加してピストンリング外周面にイオンプレーテ
ィング皮膜を形成させる。皮膜形成後、真空チャンバー
内で200 ℃以下になるまで冷却してから、ピストンリン
グをチャンバーから取り出す。
ンイオンをピストンリング外周摺動面に堆積させなが
ら、窒素ガスをチャンバー内に導入し、プラズマ内を通
過させる。それにより窒素をイオン化させ、窒素分圧を
1.3 ×10-1〜1.6 Pa程度にし、バイアス電圧を−10〜−
100 V印加してピストンリング外周面にイオンプレーテ
ィング皮膜を形成させる。皮膜形成後、真空チャンバー
内で200 ℃以下になるまで冷却してから、ピストンリン
グをチャンバーから取り出す。
【0021】以上が窒化モリブデン、あるいは窒化モリ
ブデンとモリブデンを含有する皮膜をピストンリングに
形成させる方法である。得られたピストンリングは、外
周摺動面の硬度が高く、皮膜と母材との密着力が良好で
あることから耐摩耗性に優れる。
ブデンとモリブデンを含有する皮膜をピストンリングに
形成させる方法である。得られたピストンリングは、外
周摺動面の硬度が高く、皮膜と母材との密着力が良好で
あることから耐摩耗性に優れる。
【0022】本発明において、皮膜とピストンリングの
母材との密着力をさらに高める方法として、(1)ピス
トンリングの母材と、皮膜との間にモリブデン金属から
なる下地層を形成させる方法、及び(2)ピストンリン
グの母材表面側から皮膜の表面に向かって、その皮膜中
の窒化モリブデンのモリブデンに対する比率を連続的に
増大させる方法がある。
母材との密着力をさらに高める方法として、(1)ピス
トンリングの母材と、皮膜との間にモリブデン金属から
なる下地層を形成させる方法、及び(2)ピストンリン
グの母材表面側から皮膜の表面に向かって、その皮膜中
の窒化モリブデンのモリブデンに対する比率を連続的に
増大させる方法がある。
【0023】(1)の方法においては、皮膜形成の際、
反応窒素ガスを導入する前に、モリブデンのイオンプレ
ーティングを行うと、ピストンリング母材にモリブデン
金属の下地層が形成される。このモリブデン金属の下地
層は、熱膨張がピストンリング母材に近く、熱応力の影
響を受けにくいため、密着性が良く、しかも柔軟性に富
む。モリブデン金属の下地層は、0.1 〜2μmの厚さに
形成するのが好ましい。0.1 μm未満であると効果が薄
く、また、2μmで十分な効果を得ることができ、2μ
mを超えてもそれ以上の効果を望むことはできず、経済
的にも好ましくない。
反応窒素ガスを導入する前に、モリブデンのイオンプレ
ーティングを行うと、ピストンリング母材にモリブデン
金属の下地層が形成される。このモリブデン金属の下地
層は、熱膨張がピストンリング母材に近く、熱応力の影
響を受けにくいため、密着性が良く、しかも柔軟性に富
む。モリブデン金属の下地層は、0.1 〜2μmの厚さに
形成するのが好ましい。0.1 μm未満であると効果が薄
く、また、2μmで十分な効果を得ることができ、2μ
mを超えてもそれ以上の効果を望むことはできず、経済
的にも好ましくない。
【0024】(2)の方法においては、皮膜形成の際、
下地層を形成せずに、あるいは下地層を所定の厚さで形
成したところで、徐々に窒素ガスを導入してイオンプレ
ーティングを行うと、蒸発したモリブデンの一部、また
は全部が窒化モリブデンに転換される。窒素ガス分圧が
低いときは転換の割合が少なく、窒素ガス分圧が次第に
高くなるにつれて転換の割合は多くなるので皮膜中の窒
化モリブデンの割合を連続的に増大させることができ
る。
下地層を形成せずに、あるいは下地層を所定の厚さで形
成したところで、徐々に窒素ガスを導入してイオンプレ
ーティングを行うと、蒸発したモリブデンの一部、また
は全部が窒化モリブデンに転換される。窒素ガス分圧が
低いときは転換の割合が少なく、窒素ガス分圧が次第に
高くなるにつれて転換の割合は多くなるので皮膜中の窒
化モリブデンの割合を連続的に増大させることができ
る。
【0025】このように皮膜層を、密着性及び柔軟性に
富む下地層を形成することや、下地層に続いて、あるい
は下地層を形成しないでピストンリング母材側から皮膜
表面に向かって窒素比率が連続的に増加している皮膜層
を形成することは、皮膜のはく離防止に一層効果があ
る。
富む下地層を形成することや、下地層に続いて、あるい
は下地層を形成しないでピストンリング母材側から皮膜
表面に向かって窒素比率が連続的に増加している皮膜層
を形成することは、皮膜のはく離防止に一層効果があ
る。
【0026】本発明を以下の具体的実施例により、さら
に詳細に説明する。実施例1、比較例1 本実施例では、呼び径×幅×厚さが86mm×2mm×3mm、
材質がSKD61のピストンリング母材を使用した。
に詳細に説明する。実施例1、比較例1 本実施例では、呼び径×幅×厚さが86mm×2mm×3mm、
材質がSKD61のピストンリング母材を使用した。
【0027】PVD処理は、陰極アークプラズマ式イオ
ンプレーティング装置を用いて行った。ピストンリング
母材をフロン洗浄し、イオンプレーティング装置の真空
チャンバー内に挿入した。チャンバー内の圧力が1.3 ×
10-3Pa以下になるまで真空引きを行ってから、イオンプ
レーティング装置に内蔵されているヒーターにより300
〜500 ℃で加熱してピストンリング母材の内在ガスを放
出させ、その後200 ℃まで冷却した。
ンプレーティング装置を用いて行った。ピストンリング
母材をフロン洗浄し、イオンプレーティング装置の真空
チャンバー内に挿入した。チャンバー内の圧力が1.3 ×
10-3Pa以下になるまで真空引きを行ってから、イオンプ
レーティング装置に内蔵されているヒーターにより300
〜500 ℃で加熱してピストンリング母材の内在ガスを放
出させ、その後200 ℃まで冷却した。
【0028】チャンバー内圧力が4×10-3Pa以下になっ
た時点でバイアス電圧を−700 〜−900 V印加してお
き、アーク放電を発生させ、モリブデンイオンを飛び出
させた。その後チャンバー内に導入した窒素の分圧を0.
13〜1.60Pa程度にして、バイアス電圧を−10〜−100 V
印加してピストンリング外周摺動面にイオンプレーティ
ング皮膜を形成させた。皮膜形成後、真空チャンバー内
で200 ℃以下になるまで冷却してピストンリングを取り
出した。
た時点でバイアス電圧を−700 〜−900 V印加してお
き、アーク放電を発生させ、モリブデンイオンを飛び出
させた。その後チャンバー内に導入した窒素の分圧を0.
13〜1.60Pa程度にして、バイアス電圧を−10〜−100 V
印加してピストンリング外周摺動面にイオンプレーティ
ング皮膜を形成させた。皮膜形成後、真空チャンバー内
で200 ℃以下になるまで冷却してピストンリングを取り
出した。
【0029】上記方法で、ピストンリング外周摺動面
に、厚さが10μmであり、皮膜の構成元素の原子比がモ
リブデン:窒素=1:0.42である窒化モリブデンとモリ
ブデンよりなる皮膜を被覆した。
に、厚さが10μmであり、皮膜の構成元素の原子比がモ
リブデン:窒素=1:0.42である窒化モリブデンとモリ
ブデンよりなる皮膜を被覆した。
【0030】得られたピストンリングの皮膜密着性を測
定した。密着性の測定方法は、ツイスト試験と呼ばれる
もので、ピストンリングの合い口部の一方を固定し、他
の一方をねじって皮膜の剥離が生じるまでのねじり角を
測定するものである。
定した。密着性の測定方法は、ツイスト試験と呼ばれる
もので、ピストンリングの合い口部の一方を固定し、他
の一方をねじって皮膜の剥離が生じるまでのねじり角を
測定するものである。
【0031】比較例1として、実施例1と同材質、及び
同寸法のピストンリング本体に窒化チタンの単一相皮膜
を5μmの厚さで被覆したものに対して、実施例1と同
様に皮膜密着性を測定した。
同寸法のピストンリング本体に窒化チタンの単一相皮膜
を5μmの厚さで被覆したものに対して、実施例1と同
様に皮膜密着性を測定した。
【0032】実施例1及び比較例1の測定結果を第1表
に示す。なお、測定値は比較例1のねじり角を1とした
角度比で表す。
に示す。なお、測定値は比較例1のねじり角を1とした
角度比で表す。
【0033】
【0034】一般的に皮膜の膜厚が厚いほど密着性は劣
るが、第1表から明らかなように、本発明の皮膜は窒化
チタンに比べて皮膜が厚いにもかかわらず、剥離が生じ
るまでのねじり角が大きく、密着性が優れている。
るが、第1表から明らかなように、本発明の皮膜は窒化
チタンに比べて皮膜が厚いにもかかわらず、剥離が生じ
るまでのねじり角が大きく、密着性が優れている。
【0035】実施例2、3、比較例2、3 本実施例では、呼び径×幅×厚さが86mm×2mm×3mm、
材質がSKD61のピストンリングを使用した。
材質がSKD61のピストンリングを使用した。
【0036】実施例1と同様の方法で、構成元素の原子
比がモリブデン:窒素=1:0.42である窒化モリブデン
とモリブデンからなる皮膜を10μmの厚さで被覆したピ
ストンリング(実施例2)と、構成元素の原子比がモリ
ブデン:窒素=1:0.85である窒化モリブデンの皮膜を
10μmの厚さで被覆したピストンリング(実施例3)を
4気筒4サイクルのディーゼルエンジンのトップリング
に組み込み、それぞれ台上実機試験を行った。
比がモリブデン:窒素=1:0.42である窒化モリブデン
とモリブデンからなる皮膜を10μmの厚さで被覆したピ
ストンリング(実施例2)と、構成元素の原子比がモリ
ブデン:窒素=1:0.85である窒化モリブデンの皮膜を
10μmの厚さで被覆したピストンリング(実施例3)を
4気筒4サイクルのディーゼルエンジンのトップリング
に組み込み、それぞれ台上実機試験を行った。
【0037】試験条件は次に示す通りであった。 回転数 :3,500rpm 試験時間 :100時間 オイル温度 :128℃ 水温 :110℃ 吸気温度 :55℃
【0038】実機試験における外周摺動面摩耗量の測定
を4回行った。その結果を第2表に示す。
を4回行った。その結果を第2表に示す。
【0039】比較例として、ピストンリングの外周摺動
面にクロムめっきを施したもの(比較例2)と窒化クロ
ムをイオンプレーティング法で被覆したもの(比較例
3)について、実施例2及び3と同様に実機試験を行っ
た。結果を第2表に示す。
面にクロムめっきを施したもの(比較例2)と窒化クロ
ムをイオンプレーティング法で被覆したもの(比較例
3)について、実施例2及び3と同様に実機試験を行っ
た。結果を第2表に示す。
【0040】 第 2 表 摩耗量(μm) 1回目 2回目 3回目 4回目実施例2 3.5 3.6 3.4 3.7 実施例3 3.3 3.7 3.5 3.4 比較例2 11.4 7.9 8.4 10.3 比較例3 4.0 4.8 5.0 4.2
【0041】第2表から明らかなように、本発明による
皮膜を被覆したピストンリングは、クロムめっきしたピ
ストンリングと比べ、摩耗量が1/3と大幅に減少し、
窒化クロムをイオンプレーティング法で被覆したピスト
ンリングと比べても摩耗量が4/5程度と減少してい
る。
皮膜を被覆したピストンリングは、クロムめっきしたピ
ストンリングと比べ、摩耗量が1/3と大幅に減少し、
窒化クロムをイオンプレーティング法で被覆したピスト
ンリングと比べても摩耗量が4/5程度と減少してい
る。
【0042】ディーゼルエンジンにおいては、燃料の燃
焼によって燃料中の硫黄分がエンジンオイル中に入り込
み、オイルの酸化を促進させる。それゆえピストンリン
グは摩擦摩耗のみだけでなく、腐食摩耗にさらされるこ
とになる。本発明による皮膜を被覆したピストンリング
は耐摩擦摩耗性、及び耐腐食摩耗性に優れている。
焼によって燃料中の硫黄分がエンジンオイル中に入り込
み、オイルの酸化を促進させる。それゆえピストンリン
グは摩擦摩耗のみだけでなく、腐食摩耗にさらされるこ
とになる。本発明による皮膜を被覆したピストンリング
は耐摩擦摩耗性、及び耐腐食摩耗性に優れている。
【0043】
【発明の効果】以上詳述した通り、窒化モリブデン、ま
たは窒化モリブデンとモリブデンからなる皮膜を少なく
とも外周摺動面に有する本発明のピストンリングは、従
来から使用されているピストンリングと比較して、皮膜
の密着性、及び耐摩耗性に優れており、寿命が長い。
たは窒化モリブデンとモリブデンからなる皮膜を少なく
とも外周摺動面に有する本発明のピストンリングは、従
来から使用されているピストンリングと比較して、皮膜
の密着性、及び耐摩耗性に優れており、寿命が長い。
【図1】ピストンリングとその外周摺動面に形成された
皮膜を示す断面図である。
皮膜を示す断面図である。
【図2】本発明によるピストンリングをシリンダライナ
内に装着した状態を示す断面図である。
内に装着した状態を示す断面図である。
1・・・ピストンリング本体 2・・・外周摺動面 2A・・・皮膜 3・・・内周面 4・・・上下面 5・・・ピストン 6・・・シリンダライナ
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくともその外周摺動面に、窒化モリ
ブデンを含有する厚さが1〜50μmの皮膜をイオンプレ
ーティングにより形成してなることを特徴とするピスト
ンリング。 - 【請求項2】 請求項1に記載のピストンリングにおい
て、前記皮膜中に窒化モリブデンとモリブデンとを含有
することを特徴とするピストンリング。 - 【請求項3】 請求項2に記載のピストンリングにおい
て、前記ピストンリングの母材表面側から前記イオンプ
レーティング皮膜の表面に向かって、前記皮膜中の窒化
モリブデンのモリブデンに対する比率が連続的に増大し
ていることを特徴とするピストンリング。 - 【請求項4】 請求項1乃至3に記載のピストンリング
において、前記ピストンリングの母材と、前記イオンプ
レーティング皮膜との間にモリブデン金属からなる下地
層を有することを特徴とするピストンリング。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20065392A JPH0617933A (ja) | 1992-07-03 | 1992-07-03 | ピストンリング |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20065392A JPH0617933A (ja) | 1992-07-03 | 1992-07-03 | ピストンリング |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0617933A true JPH0617933A (ja) | 1994-01-25 |
Family
ID=16427988
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP20065392A Pending JPH0617933A (ja) | 1992-07-03 | 1992-07-03 | ピストンリング |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0617933A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US5601293A (en) * | 1994-12-22 | 1997-02-11 | Teikoku Piston Ring Co., Ltd. | Sliding member with hard ternery film |
-
1992
- 1992-07-03 JP JP20065392A patent/JPH0617933A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US5601293A (en) * | 1994-12-22 | 1997-02-11 | Teikoku Piston Ring Co., Ltd. | Sliding member with hard ternery film |
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