JPH06179922A - 深絞り用高張力薄鋼板の製造法 - Google Patents

深絞り用高張力薄鋼板の製造法

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JPH06179922A
JPH06179922A JP35340892A JP35340892A JPH06179922A JP H06179922 A JPH06179922 A JP H06179922A JP 35340892 A JP35340892 A JP 35340892A JP 35340892 A JP35340892 A JP 35340892A JP H06179922 A JPH06179922 A JP H06179922A
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less
steel sheet
annealing
rolled
strength
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JP35340892A
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English (en)
Inventor
Naomitsu Mizui
直光 水井
Ryujiro Onodera
隆二郎 小野寺
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 深絞り性に優れると共に部分的な強度バラツ
キの小さい高張力薄鋼板を生産性良く安価に製造できる
手段を確立する。 【構成】 C:0.0005〜 0.012%,Si:1.5 %以下,M
n:0.05〜 3.0%,P:0.15%以下,S:0.01%以下,s
ol.Al:0.1 %以下,N:0.005 %以下,Cu:0.5〜2
%,Ni:1/3Cu 〜2/3Cu %,Ti:0.01〜 0.2%,を含有
するか、或いは更にNb:0.003 〜0.1 %,B:0.0003〜
0.003 %の1種又は2種をも含み、残部がFe及び不可避
的不純物から成る鋼片を、熱間圧延して550℃以下の
温度域で巻取り、次いで圧下率65%以上で冷間圧延し
た後、連続焼鈍ラインで一次焼鈍してから延び率0.5 〜
5%の調質圧延を行い、再び連続焼鈍ライン又は連続溶
融亜鉛めっきラインで500〜750℃の温度域に5秒
〜2分間加熱保持する2次焼鈍を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プレス加工等により
様々な形状に成形されて構造部材として用いられるとこ
ろの、深絞り性に優れ、かつ強度のバラツキの小さい高
張力薄鋼板の製造法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】製鋼段階で十分に脱炭処理して
からTiを添加した“極低炭素Ti添加鋼”をベ−スとし、
これにSi,Mn,Cr或いはPを添加して強度を上げた高張
力冷延鋼板については、これまで多くの提案がなされて
いる。例えば、特公昭57−57945号公報を参照す
ると上記極低炭素Ti添加鋼に多量のPを添加した冷延鋼
板が開示されており、また特開昭57−47832号公
報には、極低炭素Ti添加鋼に多量のMnを単独添加した冷
延鋼板が開示されている。
【0003】しかし、このような高張力冷延鋼板は何れ
も成形加工性が十分でなく、深絞り加工を要する用途に
は適用できないという問題があった。つまり、上記高張
力冷延鋼板では、引張強度が50kgf/mm2 程度になると
r値(ランクフォ−ド値)が1.6 程度と低い値しか示さ
ず、トラブル無く深絞り加工を行うことが困難であった
ためである。
【0004】そこで、本発明者等は先に、極低炭素Ti添
加鋼に所定量のPとMnを複合添加することで深絞り性の
改善を図った深絞り用高張力冷延鋼板を提案した(特開
昭63−190141号公報参照)。ところが、本発明者等の提
案になる上記鋼板は引張強度を500N/mm2以上に高め
得る上に比較的良好な深絞り性を確保することが可能で
あったが、一方で多量の合金元素を添加しなければなら
ないためにコストが高くなるという問題があった。しか
も、冷延鋼板を製造する際、中間材たる熱延板の強度も
製品とほぼ同じ高いレベルになるので冷間圧延機に少な
からぬ負担がかかり、鋼板の平坦度を制御するのが困難
になるといった不都合も指摘された。
【0005】また、これとは別に、本発明者等は「所定
量のCuを添加すると共にMn,S,Pの成分調整を行った
極低炭素Ti添加鋼を冷間圧延し、 次いで高温で連続焼鈍
することにより、 比較的良好な深絞り性を示すと共に、
成形加工後熱処理を施すことにより製品強度が満足され
る冷延鋼板が得られる」ことを見出し、有用な「高成形
性高張力鋼板の製造方法」であるとして提案済である
(特開平2−156025号公報参照)。しかし、この方法で
得られる鋼板は、実用上の難点として“成形後に強度向
上のために施す熱処理費用がかさむ点”が問題視される
ものであった。
【0006】同様にCuを添加した極低炭素鋼冷延鋼板に
関するものとして、特開昭64−4429号公報には
「Cuを添加した極低炭素鋼を冷間圧延した後、 再結晶と
Cuの固溶を図るために連続焼鈍を施し、 更に2次焼鈍を
行って成形前にε-Cu を鋼板中に析出させることから成
る深絞り用高張力鋼板の製造法」が開示されている。
【0007】しかしながら、この特開昭64−4429
号公報に開示されている方法では、2次焼鈍に“箱焼
鈍”を適用した場合には(a) 鋼帯の長手方向に温度斑が
生じると共に、ε-Cu の析出状態が鋼帯の位置によって
変化し、結果として強度のバラツキが生じる。この傾向
は、特に箱焼鈍温度が低い場合に生じる,(b) 加熱・冷
却に時間がかかるために極めて生産性が悪く、そのため
製造コストが嵩む,等の問題が指摘された。
【0008】また、2次焼鈍に“連続焼鈍”を適用した
場合には、短時間で時効硬化させなければならないため
に多量のCu添加が必要であり、そのためこれに併せて多
量のNiを添加することも必要となって焼鈍後の深絞り性
が劣化するのみならず、製造コストが高くなる等の問題
を避け得なかった。
【0009】このようなことから、本発明が目的とした
のは、深絞り性に優れると共に部分的な強度バラツキの
小さい高張力薄鋼板を生産性良く安価に製造できる手段
を確立することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意研究を行ったところ、次のような知見
を得ることができた。
【0011】即ち、本発明者等は前述した特開平2−1
56025号に係る発明の検討過程で「所定量のCuを含
有させた極低炭素Ti添加鋼では熱処理に先立って付加さ
れる歪がε-Cu の析出を著しく促進すること」を見出し
ていたが、この現象が“2回焼鈍法による深絞り用高張
力鋼板の製造法”に指摘された問題点を解消する鍵にな
るのではないかと考えて研究を進めた。
【0012】つまり、Cuを含有させた極低炭素Ti添加鋼
の冷延板に1次,2次の焼鈍を施して改質を行う際、2
次焼鈍に先立って予歪を鋼板に付加しておくと、“連続
焼鈍ライン”或いは“連続溶融亜鉛めっきライン”の如
き生産性の良好な急速加熱・冷却設備で熱処理を行うだ
けでε-Cu の均一析出がなされる筈であるとの推測の下
に、鋼板の強度に及ぼす予歪の量と2次焼鈍温度の影響
調査を実施した。ここて、予歪は調質圧延により付与し
た。
【0013】その結果、次のことが明らかとなったので
ある。 a) 調質圧延の延び率が大きいほど2次焼鈍後の引張強
度は高くなる。しかし、調質圧延の延び率が大きくなる
と全伸びは低下する。 b) そして、2次焼鈍での焼鈍温度が680℃近傍で2
次焼鈍後の引張強度が極大になる。 c) 同じ強度上昇が生じる時は、「調質圧延の伸び率を
小さくして高温で2次焼鈍する場合」の方が「調質圧延
の伸び率を大きくして低温で2次焼鈍する場合」よりも
全伸びの劣化程度が小さい。
【0014】本発明は、上記知見事項等を基に更なる検
討を重ねて完成されたものであり、 「C:0.0005〜 0.012%(以降、 成分割合を表す%は重
量%とする),Si:1.5 %以下, Mn:0.05〜 3.0%,
P:0.15%以下,S:0.01%以下, 酸可溶Al:0.1 %
以下, N:0.005 %以下,Cu:0.5 〜2%, Ni:1/
3Cu 〜2/3Cu %, Ti:0.01〜 0.2%を含有するか、 或
いは更に Nb:0.003 〜0.1 %, B:0.0003〜0.003 %の1種
又は2種をも含み、 残部がFe及び不可避的不純物から成
る鋼片を、 熱間圧延して550℃以下の温度域で巻取
り、 次いで圧下率65%以上で冷間圧延した後、 連続焼
鈍ラインで一次焼鈍してから延び率0.5 〜5%の調質圧
延を行い、 再び連続焼鈍ライン又は連続溶融亜鉛めっき
ラインで500〜750℃の温度域に5秒〜2分間加熱
保持する2次焼鈍を施すことによって、 強度並びに深絞
り性の優れた高張力薄鋼板を生産性良く安価に製造し得
るようにした点」に大きな特徴を有している。
【0015】以下、本発明において、素材鋼の成分組成
並びに製造条件を前記の如くに限定した理由を説明す
る。
【作用】
A) 素材鋼の成分組成
【0016】C含有量 Cは鋼中に不可避的に随伴される成分であり、現状の製
鋼技術では0.0005%未満に低下せしめることはコストが
高くなり過ぎるため実際的ではない。しかし、0.012 %
を超えてCが含有されるとTi及びNbの必要添加量が増加
するのでコスト高を招き、同時に鋼板特性の劣化を来た
すこととなるので、C含有量は0.0005〜0.012 %と定め
た。
【0017】Si含有量 Siは、鋼板の強度調整のために固溶強化元素として添加
される成分である。しかし、1.5 %を超えてSiが含有さ
れると本発明対象鋼のような極低炭素鋼ではオ−ステナ
イトが出現しなくなり、結晶粒径を制御することが困難
となる。そのため、Si含有量の上限は 1.5%と定めた。
【0018】Mn含有量 Mnは、SをMnSとして固定することにより鋼の熱間脆性
を防止するために添加されると同時に、鋼板の強度調整
のために固溶強化元素としても添加される成分である。
特に、Pと複合添加することにより深絞り性を阻害する
ことなく強度を高めることができる。しかし、その含有
量が0.05%未満では前記効果が十分でなく、一方、3.0
%を超えて含有されると深絞り性に悪影響が出てくるこ
とから、Mn含有量は0.05〜 3.0%と定めた。
【0019】P含有量 Pは、鋼板の強度調整のために固溶強化元素として添加
される成分である。しかし、その含有量が0.15%を超え
ると鋼板が固くなり過ぎて延性が著しく低下することか
ら、P含有量の上限は0.15%とした。
【0020】S含有量 Sは鋼中に不可避的に随伴される不純物元素であり、そ
の含有量が0.01%を超えると鋼の熱間加工性や鋼板の深
絞り性に悪影響が出てくることから、S含有量の上限は
0.01%と定めた。
【0021】N含有量 Nも鋼中に必然的に含有される不純物元素であり、その
含有量が 0.005%を超えるとAlの添加量が増大して製造
コストが高くなる。従って、N含有量を 0.005%以下に
制限したが、好ましくは0.0030%以下とするのが良い。
【0022】酸可溶Al含有量 酸可溶Al(sol.Al)は、溶鋼を真空脱ガスした後のTi,Nb
添加に先立って脱酸のために添加されるもので、痕跡程
度残存していれば脱酸が終了したと見なしても良いが、
一般には最終製品において 0.005%以上含有されていれ
ば十分であると判定される。しかし、 0.1%を超えて含
有されると鋼が硬質化し、延性が劣化することから、so
l.Al含有量は 0.1%以下と定めた。
【0023】Cu含有量 Cuは本発明対象鋼においては主要な成分の1つであり、
2次焼鈍時にε-Cu として析出させ、鋼板の強度を上げ
るために添加される。しかしながら、その含有量が 0.5
%未満では2次焼鈍時の強度上昇が小さくて所望の強度
を確保することができない。一方、Cu含有量が多くなる
ほど同じ製造条件下での強度上昇は大きくなるが、その
効果は2%でほぼ飽和する上、2%を超えてCuを含有さ
せると熱間圧延後に低温で鋼板を巻き取っても熱延板中
にε-Cu が析出するので、1次焼鈍で深絞り性に好まし
い再結晶集合組織を発達させることが期待できなくな
る。従って、Cu含有量は 0.5〜2%と定めた。
【0024】Ni含有量 Cu添加鋼では熱間加工時に特有の“表面亀甲割れ”を起
こしやすいが、Ni成分はこの亀甲割れを防止するために
添加される。Ni添加量はCu添加量に相応して決められる
が、Niの含有量がCu含有量の 1/3未満では亀甲割れを完
全に防止することができず、一方、Cu含有量の 2/3を超
えてNiを含有させると鋼板コストが高くなり過ぎる。従
って、Ni含有量はCu含有量の 1/3 2/3と定めた。
【0025】Ti含有量 Tiは、鋼中のC,NをTiC,TiNとして固定することに
より固溶C,Nの少ない状況で鋼板を1次焼鈍にて再結
晶させ、良好な深絞り性を付与するために添加される。
しかし、その含有量が0.01%未満では十分な深絞り性が
確保できず、また 0.2%を超えて含有させると、鋼板中
にTiの酸化物が多くなって延性が劣化することから、Ti
含有量は0.01〜 0.2%と定めた。ただ、Ti含有量につい
ては、好ましくは「 Nb/93>C/12 」の時には式 Ti/48 −(N/14 +S/32 )+Nb/93 ≧ C/12 を満足する範囲に、そして「 Nb/93≦C/12 」の時には
式 Ti/48 −(N/14 +S/32 )+Nb/93 ≧ 0 を満足する範囲に調整するのが良い。
【0026】Nb含有量 Nbは、鋼中のCをNbCとして固定し、かつ熱延板の結晶
粒径を微細にして鋼板の深絞り性を更に改善する作用を
有しているので必要により添加される。なお、NbはTi添
加量との関係で最適添加量が決まるが、その含有量が
0.003%未満では深絞り性改善効果が十分でなく、一方
0.1%を超えて含有させると鋼板の再結晶温度が高くな
り過ぎて十分な延性が得られなくなる。従って、Nb含有
量については 0.003〜 0.1%と定めたが、好ましくは
「 Ti/48−(N/14 +S/32 )>0」の時には式 Ti/48 −(N/14 +S/32 )+Nb/93 ≧ C/12 を満足する範囲に、そして「 Ti/48−(N/14 +S/32
)≦0」の時には式 Nb/93 ≧ C/12 を満足する範囲に調整するのが良い。
【0027】B含有量 本発明は所謂“極低C−IF鋼板”の製造をも対象とす
るものであるが、この極低C−IF鋼板を深絞り用途に
適用すると、深絞り加工後に低温での靱性が殆ど認めら
れなくなる“2次加工脆性”と呼ばれる現象が起きる。
これは、鋼板中に固溶C,Nが無くなって粒界強度が低
下することに起因するものである。Bは粒界偏析性の強
い元素であって、鋼の粒界に偏析して粒界を強化する作
用を有しているので、上記2次加工脆性を抑制するため
必要に応じて添加される。しかし、その含有量が0.0003
%未満では2次加工脆性を十分に抑制することができ
ず、一方、0.0030%を超えて含有させてもその効果が飽
和するばかりか、鋼板の深絞り性を低下させるようにな
ることから、B含有量は0.0003〜0.0030%と定めた。
【0028】B) 製造条件熱延巻取り温度 熱間圧延の終了後に高い温度で鋼帯を巻き取ると巻取り
後の徐冷過程でε-Cuが析出し、その後の1次再結晶焼
鈍時に“深絞り性を高める再結晶方位”を有する結晶粒
の成長が抑えられて製品の深絞り性が劣化する。従っ
て、熱延巻取り温度は低い方が良いが、実際上は550
℃以下であれば問題を生じないことから、生産性をも考
慮して熱延巻取り温度の上限を550℃と定めた。しか
し、好ましくは500℃以下で巻き取るのが良い。
【0029】冷間圧延の圧下率 冷間圧延での圧下率が65%未満では、好ましい結晶方
位の結晶が十分に揃わず、製品鋼板のr値が劣化し良好
な深絞り性を確保することができない。このため、冷間
圧延の圧下率は65%以上と定めた。
【0030】調質圧延の伸び率 前述のように、調質圧延は2次焼鈍時におけるε-Cu の
析出を促進するために行う。調質圧延の伸び率は、Cu添
加量や必要な強度上昇量に応じて選ばれるが、0.5 %未
満であるとε-Cu の析出促進効果が小さくて十分な強度
上昇が得られない。一方、調質圧延の伸び率が高いほど
強度上昇量は大きくなるが、5%近傍で促進効果が飽和
する。従って、調質圧延の伸び率は 0.5〜5%と定めた
が、好ましくは1〜2%の範囲とするのが良い。
【0031】2次焼鈍条件 2次焼鈍は、調質圧延で導入された歪による促進作用を
活用してε-Cu を析出させ、鋼板の強度を上昇させるた
めに連続焼鈍ライン又は連続溶融亜鉛めっきラインで実
施されるものである。しかし、この2次焼鈍での最高加
熱温度が500℃未満ではCu原子の拡散が十分に生じて
いないためにε-Cu の析出が進まず、一方、該最高加熱
温度が750℃を超えると鉄中へのCuの固溶限が大きく
なって過飽和状態で固溶しているCuが無くなるためやは
りε-Cu の析出が進まず、何れの場合も十分な強度上昇
が得られない。従って、2次焼鈍温度は500〜750
℃と定めたが、好ましくは650〜720℃に調整する
のが良い。
【0032】また、2次焼鈍での加熱保持時間が5秒未
満であるとε-Cu の析出が不十分となって所望の鋼板強
度を確保できず、一方、2分間を超える保持は設備面や
生産性面の不利を招くことから、2次焼鈍における加熱
保持時間は5秒〜2分間と定めた。勿論、1次焼鈍も2
次焼鈍も連続焼鈍ライン又は連続溶融亜鉛めっきライン
で均等に実施されるため、鋼帯長手方向等で部分的な強
度バラツキが生じることもない。
【0033】次に、本発明を実施例によって更に具体的
に説明する。
【実施例】まず、実験用真空溶解炉により表1に示す化
学組成の鋼を溶製してインゴットとした後、熱間鍛造に
よりこれらを25mm厚の実験用スラブとした。
【0034】
【表1】
【0035】続いて、このスラブを電気炉で1250℃
に1時間加熱保持した後、1150〜930℃の温度域
で実験用熱間圧延機により3パス圧延し、6mm厚の熱延
板を得た。そして、巻取りのシミュレ−ションとして、
熱延後の鋼板は直ちに強制空冷或いは水スプレ−冷却に
より700〜400℃の温度まで冷却してからその温度
に保持した電気炉の中に挿入し、更にその温度で1時間
保持した後に20℃/hr で炉冷した。
【0036】次いで、これら熱延板を表面研磨して 4.2
mm厚の冷延母材とし、これを 1.4mm厚まで冷間圧延し
た。そして、得られた冷延板は、連続焼鈍を模して、赤
外線加熱炉にて10℃/secの加熱速度で820℃まで加
熱してその温度で40秒間保持した後、700℃まで3
℃/secの冷却速度で徐冷し、続いて400℃まで50℃
/secの冷却速度で冷却してその温度に3分間保持してか
ら、最後に10℃/secの冷却速度で室温まで冷却した。
【0037】次に、上記1次焼鈍を経た鋼板に伸び率:
1%の調質圧延を施した後、同様に連続焼鈍又は連続溶
融亜鉛めっきでの熱処理を模して、赤外線加熱炉にて1
0℃/secの加熱速度で680℃まで加熱してその温度で
40秒間保持した後、50℃/secの冷却速度で室温まで
冷却する2次焼鈍を施した。
【0038】なお、一部の鋼板については、調質圧延の
伸び率を0〜8%と変化させ、かつ2次焼鈍での最高加
熱温度を400〜840℃とした。
【0039】このようにして製造された各焼鈍板につい
て、引張試験(JIS5号試験片使用)及び2次加工脆
性試験を実施した。なお、2次加工脆性試験では、焼鈍
板を絞り比:1.6でカップに絞り、−60℃で衝撃荷重を
かけてカップ壁の部分が脆性破壊するか否かを判定する
方法を採用した。これらの試験結果を、熱間圧延時の割
れ発生状況の観察結果と共に表2に示した。
【0040】
【表2】
【0041】表2に示す結果からも明らかなように、本
発明条件に従った試験番号2,3,6,7により得られ
た鋼板は十分な深絞り性と高い強度を示し、2次加工脆
性の問題も生じないことが分かる。
【0042】これに対して、試験番号1では素材鋼のCu
含有量が多過ぎるため、2次焼鈍後により大きな強度上
昇が得られるものの、熱延後500℃で巻き取ってもε
-Cuが析出するために1次焼鈍時に深絞り性に好ましい
再結晶集合組織が発達せず、深絞り性が悪い。しかも、
このように強度上昇が大きく、かつBが添加されていな
い鋼Aを素材とした場合には、2次加工脆化を示すこと
が分かる。
【0043】逆に、Cu含有量が少ない鋼Dを素材とした
場合には、試験番号4の結果から分かるように、2次焼
鈍によって十分な強度上昇を得ることができない。
【0044】一方、試験番号9及び12の結果からは、Nb
を添加した鋼G,Jを素材とした場合には深絞り性の向
上が得られることを確認できる。更に、試験番号10及び
11の結果からは、Si,Mn,Pを強化元素として添加した
鋼H,Iを素材としても、深絞り性が良好で2次加工脆
性が問題とならない高張力薄鋼板を製造できるが分か
る。
【0045】しかし、Cu含有量に対してNi含有量が少な
い鋼Eを素材とした場合には、試験番号5からも分かる
ように、熱間圧延後の観察で鋼板表面及びエッジに割れ
が認められた。更に、鋼Fで巻取温度が本発明範囲より
高い場合は、試験番号8のように深絞り性が劣る。
【0046】また、図1及び図2には、鋼Fの2次焼鈍
後の引張強度,全伸びに及ぼす“調質圧延伸び率”及び
“2次焼鈍最高加熱温度”の影響を整理して示した。
【0047】この図1からは、調質圧延伸び率が小さい
と2次焼鈍により十分な強度上昇が得られず、また、極
端に調質圧延伸び率が大きいと伸びの劣化が大きくなっ
て深絞り加工に耐えられなくなることが明らかである。
更に、図2からは、2次焼鈍最高加熱温度が低すぎても
高すぎても2次焼鈍により十分な強度上昇が得られない
ことを確認できる。
【0048】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、短時間の2次焼鈍を施すだけで、優れた深絞り性を
示しかつ強度バラツキの小さい高張力薄鋼板を生産性良
く安価に製造することが可能となるなど、産業上有用な
効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2次焼鈍後の引張強度,全伸びに及ぼす調質圧
延伸び率の影響を示したグラフである。
【図2】2次焼鈍後の引張強度,全伸びに及ぼす2次焼
鈍最高加熱温度の影響を示したグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量割合にて C:0.0005〜 0.012%, Si:1.5 %以下, Mn:0.05
    〜 3.0%,P:0.15%以下, S:0.01%以下,
    酸可溶Al:0.1 %以下,N:0.005 %以下, C
    u:0.5 〜2%, Ni:1/3Cu 〜2/3Cu %,Ti:0.01〜
    0.2%を含み残部がFe及び不可避的不純物から成る鋼片
    を、熱間圧延して550℃以下の温度域で巻取り、次い
    で圧下率65%以上で冷間圧延した後、連続焼鈍ライン
    で一次焼鈍してから延び率0.5 〜5%の調質圧延を行
    い、再び連続焼鈍ライン又は連続溶融亜鉛めっきライン
    で500〜750℃の温度域に5秒〜2分間加熱保持す
    る2次焼鈍を施すことを特徴とする、深絞り用高張力薄
    鋼板の製造法。
  2. 【請求項2】 重量割合にて C:0.0005〜 0.012%, Si:1.5 %以下, Mn:0.05
    〜 3.0%,P:0.15%以下, S:0.01%以下,
    酸可溶Al:0.1 %以下,N:0.005 %以下, C
    u:0.5 〜2%, Ni:1/3Cu 〜2/3Cu %,Ti:0.01〜
    0.2%を含有すると共に、更に Nb:0.003 〜0.1 %, B:0.0003〜0.003 %の1種
    又は2種を含み残部がFe及び不可避的不純物から成る鋼
    片を、熱間圧延して550℃以下の温度域で巻取り、次
    いで圧下率65%以上で冷間圧延した後、連続焼鈍ライ
    ンで一次焼鈍してから延び率0.5 〜5%の調質圧延を行
    い、再び連続焼鈍ライン又は連続溶融亜鉛めっきライン
    で500〜750℃の温度域に5秒〜2分間加熱保持す
    る2次焼鈍を施すことを特徴とする、深絞り用高張力薄
    鋼板の製造法。
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