JPH06189984A - 人工血管及びその製造方法 - Google Patents

人工血管及びその製造方法

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JPH06189984A
JPH06189984A JP5117881A JP11788193A JPH06189984A JP H06189984 A JPH06189984 A JP H06189984A JP 5117881 A JP5117881 A JP 5117881A JP 11788193 A JP11788193 A JP 11788193A JP H06189984 A JPH06189984 A JP H06189984A
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JP
Japan
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tubular
porous body
artificial blood
blood vessel
tetrafluoroethylene resin
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JP5117881A
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English (en)
Inventor
Shinichi Kanazawa
進一 金澤
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 屈曲及び圧迫に対する耐性に優れ、かつ、縫
合性に優れた管状四弗化エチレン樹脂多孔質体製の人工
血管を提供する。 【構成】 管状四弗化エチレン樹脂多孔質体(PTFE
多孔質チューブ)の外面に、網目状の孔を有する管状弗
素樹脂体の被覆層が設けられている人工血管。管状弗素
樹脂体の円周に沿って配置した切れ込み群〔A〕と、他
の円周に沿って、前記と同じ長さと個数の切れ込みを、
180度を前記切れ込みの個数で割った角度だけずらし
た位置に配置した切れ込み群〔B〕とを、長軸方向に沿
って、交互に等間隔で多数配置した構造の管状弗素樹脂
体を、PTFE多孔質チューブの外面に被せて、長軸方
向に引っ張ることにより、切れ込みを開口させて網目状
の孔を形成させ、弗素樹脂の融点以上の温度で加熱固定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、管状四弗化エチレン樹
脂多孔質体で構成された人工血管に関し、さらに詳しく
は、屈曲及び圧迫に対する耐性に優れた管状四弗化エチ
レン樹脂多孔質体製の人工血管に関する。
【0002】
【従来の技術】人工血管は、生体血管の病変部位の欠損
部を補填する置換移植、病変部位を迂回して血行を維持
するためのバイパス移植、あるいは動脈と静脈との短絡
などの血液導管などとして使用されている。 従来、人
工血管の材料としては、編組構造を有するポリエステル
繊維編物や織物、あるいは微細多孔質構造を有する管状
四弗化エチレン樹脂多孔質体(以下、PTFE多孔質チ
ューブと略記)が用いられてきた。
【0003】これらの中でも、PTFE多孔質チューブ
は、素材の四弗化エチレン樹脂自体が抗血栓性に優れて
いると共に、繊維と該繊維とによって互いに連結された
結節からなる微細繊維状組織、即ち、繊維−結節による
多孔質構造が生体組織適合性に優れているため、ポリエ
ステル繊維に比較して、より小口径の領域での人工血管
として実用化されてきた。
【0004】人工血管には、血液をその内腔を通して移
送するという目的から、その内腔の連通状態を維持する
ことが必須となる。つまり、人工血管は、生体内に移植
されて常に周囲の生体組織からの圧迫を受けたり、関節
など屈曲部を通る場合や、臓器や骨を迂回して移植され
る場合などがあるため、屈曲や圧迫に対して耐性がなけ
ればならない。人工血管が容易に折れ曲がったり、押し
つぶされたりすると、内腔の連通状態が阻害され、血流
の閉塞を生じる。
【0005】特に、PTFE多孔質チューブが賞用され
る中口径領域では、このような場合が多いため、内腔の
維持性が重要となる。一方、人工血管には、縫合針の通
し易さや生体血管との縫合性が求められるため、過度に
管壁を厚くしたり、材質を硬くすることができないた
め、屈曲や圧迫に対する十分な耐性を付与することは、
困難であった。
【0006】これらの問題に対して、(1)PTFE多
孔質チューブの周囲に、リング状またはスパイラル状の
補強物をつける方法、(2)PTFE多孔質チューブの
外面を加熱処理し、外面に凹凸構造を設ける方法(特公
昭58−1656号)などが提案されている。しかしな
がら、(1)の方法では、補強物自身の強度が強くて
も、リング状またはスパイラル状の補強物に斜め方向の
力が加わった場合、これらの補強物は、チューブ長軸方
向に対して斜めに倒れてしまい、内腔を維持することが
できない。また、(2)の方法では、内腔の維持性は良
好なものの、補強のために設けた外面の凹凸構造の層が
PTFE多孔質チューブ本体と一体化しているため、人
工血管の全体が硬くなり、しかも、柔らかさが必要な縫
合部で補強部を除去することができない。したがって、
(2)の方法では、人工血管の縫合性が不十分であると
いう問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、屈曲
及び圧迫に対する耐性に優れ、かつ、縫合性に優れた管
状四弗化エチレン樹脂多孔質体製の人工血管を提供する
ことにある。また、本発明の目的は、前記特性を有する
人口血管の製造方法を提供することにある。
【0008】本発明者は、前記従来技術の問題点を克服
するための研究過程において、従来のリング状やスパイ
ラル状の補強物では、各リング間あるいはスパイラルの
巻き間のチューブ長軸方向への連絡がなく、そのため、
屈曲や圧迫が加わった場合、補強物が長軸方向に倒れ
て、内腔を閉塞してしまうという欠点を有することに着
目した。
【0009】そこで、本発明者は、研究を進めた結果、
PTFE多孔質チューブの外面に、網目状の孔を有する
管状弗素樹脂体の被覆層を設けることにより、円周方向
に十分な形状維持強度を持ち、圧迫に対する良好な耐性
を有すると共に、長軸方向に適当な弾性的な可撓性を持
ち、内腔を維持しながら屈曲が可能な人工血管の得られ
ることを見出した。
【0010】また、多数の切れ込みを設けた管状弗素樹
脂体を長軸方向に引き伸ばすことにより網目構造を持つ
被覆層を形成したり、あるいは2層構成のPTFE多孔
質チューブの外層に熱処理によって凹凸構造を付与して
網目構造を形成することにより、網目状の孔を有する補
強層とPTFE多孔質チューブ本体とが一体化してお
り、しかも、縫合部では、補強部を除去することができ
る人工血管の得られることを見出した。本発明は、これ
らの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、繊維と該繊維によって互いに連結された結節とから
なる微細繊維状組織を有する管状四弗化エチレン樹脂多
孔質体で構成された人工血管において、該管状四弗化エ
チレン樹脂多孔質体の外面に、網目状の孔を有する管状
弗素樹脂体の被覆層が設けられていることを特徴とする
人工血管が提供される。
【0012】また、本発明によれば、(1)管状弗素樹
脂体の円周に沿って、それぞれ同じ長さの切れ込みを2
〜4個の範囲内で等間隔に配置してなる切れ込み群
〔A〕と、該円周から一定距離離れた位置にある他の円
周に沿って、前記と同じ長さと個数の切れ込みを、18
0度を前記切れ込みの個数で割った角度だけずらした位
置に配置してなる切れ込み群〔B〕とを、管状弗素樹脂
体の長軸方向に沿って、交互に等間隔で多数配置した構
造の管状弗素樹脂体を作成し、次いで、(2)該管状弗
素樹脂体を、繊維と該繊維によって互いに連結された結
節とからなる微細繊維状組織を有する管状四弗化エチレ
ン樹脂多孔質体の外面に被せて、長軸方向に引っ張るこ
とにより、切れ込みを開口させて網目状の孔を形成させ
ると共に、口径を縮小させて管状四弗化エチレン樹脂多
孔質体の外面に密着させ、しかる後、(3)管状弗素樹
脂体を形成する弗素樹脂の融点以上の温度で加熱して、
網目状の孔を有する管状弗素樹脂体の被覆層を管状四弗
化エチレン樹脂多孔質体の外面に固定することを特徴と
する人工血管の製造方法が提供される。
【0013】さらに、本発明によれば、(1)高分子量
の四弗化エチレン樹脂未燒結粉末と液状潤滑剤との混和
物と、低分子量の四弗化エチレン樹脂未燒結粉末と液状
潤滑剤との混和物とを同時押出して、高分子量の四弗化
エチレン樹脂を含む内層と、低分子量の四弗化エチレン
樹脂を含む外層とからなる積層チューブを作成し、
(2)該積層チューブを、液状潤滑剤を除去し、または
除去することなく、少なくとも一軸方向に延伸して、繊
維と該繊維によって互いに連結された結節とからなる微
細繊維状組織を有する積層管状四弗化エチレン樹脂多孔
質体とし、(3)得られた積層管状四弗化エチレン樹脂
多孔質体を熱収縮防止状態にて、加熱燒結する際、また
は加熱燒結した後、少なくとも外層を約327℃以上の
温度に加熱して、外層に微細繊維状組織の切断・収縮及
び/または分解除去された部分を設けることにより、網
目状の孔を有する被覆層を形成することを特徴とする人
工血管の製造方法が提供される。
【0014】さらにまた、本発明によれば、繊維と該繊
維によって互いに連結された結節とからなる微細繊維状
組織を有する管状四弗化エチレン樹脂多孔質体(a)
を、該多孔質体(a)を形成する四弗化エチレン樹脂よ
り低分子量の四弗化エチレン樹脂を用いて作成され、同
様の微細繊維状組織を有する管状四弗化エチレン樹脂多
孔質体(b)で被覆し、次いで、少なくとも該多孔質体
(b)を約327℃以上の温度に加熱して、多孔質体
(b)に微細繊維状組織の切断・収縮及び/または分解
除去された部分を設けることにより、網目状の孔を有す
る被覆層を形成することを特徴とする人工血管の製造方
法が提供される。
【0015】さらに、本発明によれば、繊維と該繊維に
よって互いに連結された結節とからなる微細繊維状組織
を有する管状四弗化エチレン樹脂多孔質体(a)を、予
めその外面に微細繊維状組織の切断・収縮及び/または
分解除去された部分をもつ同様の管状四弗化エチレン樹
脂多孔質体(b)で被覆し、次いで、少なくとも該多孔
質体(b)を約327℃以上の温度に加熱して、多孔質
体(b)の外面から内面に至る全体に微細繊維状組織の
切断・収縮及び/または分解除去された部分を設けるこ
とにより、網目状の孔を有する被覆層を形成することを
特徴とする人工血管の製造方法が提供される。
【0016】以下、本発明について詳述する。本発明の
人工血管は、繊維と該繊維によって互いに連結された結
節とからなる微細繊維状組織を有する管状四弗化エチレ
ン樹脂多孔質体を基本構成とするものであって、例え
ば、特公昭42−13560号に記載の方法によりPT
FE多孔質チューブを作製し、次いで、外面に網目状補
強物を形成する処理を行うことにより製造することがで
きる。
【0017】PTFE多孔質チューブを作成するには、
まず、PTFE未焼成粉末に液状潤滑剤を混和し、押出
・圧延によりチューブ状に予備成形する。この成形体か
ら液状潤滑剤を除去し、または除去することなく、少な
くとも一軸方向に延伸する。次に、成形体を収縮しない
ように固定した状態で、樹脂の融点である約327℃以
上に加熱して、延伸した構造を燒結固定すると、強度の
向上したPTFE多孔質チューブが得られる。このPT
FE多孔質チューブは、繊維と該繊維によって互いに連
結された結節とからなる微細繊維状組織を有し、該組織
が多孔質構造を付与している。
【0018】本発明の人工血管は、この延伸法によるP
TFE多孔質チューブ製人工血管の外面に網目状の補強
部を設けることにより得られるが、この補強部は、次の
ような特性をもつことが重要である。 圧迫に対し管状構造を維持するために、円周方向に十
分な形状維持強度を持つこと。 屈曲に対応するために、長軸方向に適当な弾性的な可
撓性をもつこと。 縫合部では、補強部が邪魔になるため、部分的に補強
層の除去が容易に行うことができること。 上記の〜の特性を満足する人工血管を得る第一の方
法として、以下の製造方法を挙げることができる。
【0019】(1)管状弗素樹脂体の円周に沿って、そ
れぞれ同じ長さの切れ込みを2〜4個の範囲内で等間隔
に配置する。これを切れ込み群〔A〕という。 (2)該円周から一定距離離れた位置にある他の円周に
沿って、前記と同じ長さと個数の切れ込みを、180度
を前記切れ込みの個数で割った角度だけずらした位置に
配置する。これを切れ込み群〔B〕という。 (3)上記切れ込み群〔A〕と〔B〕とを、管状弗素樹
脂体の長軸方向に沿って、交互に等間隔で多数配置した
構造の管状弗素樹脂体を作成する。 (4)多数の切れ込みを設けた管状弗素樹脂体を、PT
FE多孔質チューブの外面に被せて、長軸方向に引っ張
ることにより、切れ込みを開口させて網目状の孔を形成
させる。その際、管状弗素樹脂体の口径が縮小してPT
FE多孔質チューブの外面に密着する。なお、前記管状
弗素樹脂体をPTFE多孔質チューブに被せる前に長軸
方向に引っ張って予め切れ込みを開口させておいてもよ
いが、その場合も、PTFE多孔質チューブに被せる際
には、切れ込みが閉じるように長軸方向に縮小して、管
状弗素樹脂体の口径を元の大きさに拡大しておくと操作
が容易である。 (5)管状弗素樹脂体を形成する弗素樹脂の融点以上の
温度で加熱して、網目状の孔を有する管状弗素樹脂体の
被覆層をPTFE多孔質チューブの外面に固定する。
【0020】以上の工程により、管状弗素樹脂体には、
切れ込みが引き延ばされて木の葉状の孔が形成され、切
れ込みと切れ込みの間の部分が網状を形成する支柱をつ
なぐ連結部となる。この網状構造は、切れ込みが円周方
向であり、それが長軸方向に引き延ばされて形成されて
いるために、元の管状弗素樹脂体の長軸方向の強度は分
断して弱められて、網状構造に基づく擬弾性をもち、円
周方向には元の管状弗素樹脂体の強度を保持している。
つまり、網目状の孔を有する管状弗素樹脂体の被覆層
は、少なくとも前記及びの強度特性に関する必要条
件を満足する構造を有している。
【0021】単に補強物に孔を開けたり、糸状のものを
網状に編んだりするだけでは、このように方向によって
強度が違う構造を作ることが難しい。したがって、管状
弗素樹脂体の円周に沿って形成された複数の切れ込み
を、長軸方向に沿って、切れ込みの位置が交互に異なる
ようにして、多数設け、管状弗素樹脂体を長軸方向に引
っ張ることにより、該切れ込みを開口させて網目状の孔
を形成させた被覆層が好ましい。
【0022】実用上、このような網状構造で前記のよう
な効果を得るためには、該網状構造を一定の範囲の形状
にすることが望ましい。口径によって差があるものの、
PTFE多孔質チューブ製人工血管自体の壁厚は、通常
300〜1500μm程度にしないと、縫合性と可撓性
に問題が生じる。発明者の検討では、縫合部の補強層を
はずして使用するとしても、人工血管の壁厚とのバラン
スから、網状管状弗素樹脂体の厚みは、1000μm以
下にすることが好ましい。一方、円周方向の強度を保つ
ためには、弗素樹脂体の種類にもよるが、300μm以
上の厚みは必要でる。したがって、網状管状弗素樹脂体
の厚みは、300〜1000μmの範囲が実用的であ
る。また、網状構造は、円周方向の強度を補強し、長軸
方向には柔らかくする必要があることを考えれば、網状
構造をなす各支柱は、円周方向から45度以上傾斜して
いないことが好ましい。
【0023】さらに、網状構造の孔の数が、円周方向に
4ケ以上並んだり、孔の最大幅が1mm以下になると、
屈曲に対する可撓性が十分ではなく、可撓性を向上させ
るために管状弗素樹脂体の厚みを減じても、今度は円周
方向の強度補強が小さくなるというようにバランスが悪
くなる。したがって、網目状の孔の数は、人工血管長さ
1cmあたり5〜30個の範囲が望ましい。
【0024】なお、同一の管状弗素樹脂体において、各
切れ込みの長さは、それぞれ同じとし、各切れ込み間の
間隔と各切れ込み群の間隔は、それぞれ等間隔とする
が、これらには、±10%程度の誤差があってもよい。
【0025】以上のようにして得た網状管状弗素樹脂体
を、PTFE多孔質チューブの外面に被覆し、弗素樹脂
の融点以上に加熱して、両者を溶融接着させる。この
際、網状管状弗素樹脂体は、予め被覆するPTFE多孔
質チューブよりも大きな口径にしておき、PTFE多孔
質チューブに被覆した後ちに、長軸方向に引っ張って十
分に口径を小さくすることで両者を密着させると、この
固定を容易に行うことができる。
【0026】両者の接着は、網状管状弗素樹脂体の表面
が溶ける程度の加熱条件を選ぶと、人工血管全体に対す
る屈曲や圧迫が加えられた場合には、容易に剥れない
が、網状管状弗素樹脂体の一部の支柱を引っ張ると、そ
の部分の被覆部のみを比較的容易に剥離することが可能
である。
【0027】網状管状弗素樹脂体は、単体では、長軸方
向に引っ張っても単に細長く伸びるだけであるが、PT
FE多孔質チューブに固定後は、網状構造に基づく擬弾
性を保ちつつ、形状に制限を受けるようになる。そこ
で、全体を手で掴むなどして保持した状態で、一部の網
状管状弗素樹脂体の支柱のみを引っ張ると、その支柱の
すぐ隣の切れ込みが深くなっていき、ついには円周方向
に並んだ切れ込み同士がつながって、円周方向に分離す
ることが可能となる。
【0028】このように、円周方向の切れ込みを引き延
ばした形状の管状弗素樹脂体の網状構造は、前述のの
特性、即ち、縫合部で部分的に補強物の除去が容易に行
えるという特性においても有利に働く。
【0029】以上のような特性を発揮しうる網状補強体
の材質は、生体への埋植や人工血管の材質であるPTF
Eとの接着性を考えると、弗素樹脂が望ましく、中でも
PTFE、FEP(四弗化エチレン−六弗化プロピレン
共重合体)、PFA(四弗化エチレン−全弗化アルキル
ビニルエーテル共重合体)、ETFE(四弗化エチレン
−エチレン共重合体)などが特に望ましい。
【0030】本発明の人工血管を得る第二の方法とし
て、前述した特公昭58−1656号に記載の方法、即
ち、加熱燒結工程でPTFE多孔質体の一部分を他の部
分よりも高い温度で処理するか、あるいは全体を均一に
加熱燒結した後、さらにPTFE多孔質体の一部分を加
熱して、微細繊維の切断や融着合体、結節間の収縮によ
る結節の融着合体等を起こさせる方法を利用することが
できる。
【0031】この方法によりPTFE多孔質体の一部分
を約327℃以上に加熱すると、熱によってPTFE繊
維の切断が起こって広がった結節間が凹部となり、他の
結節間は収縮し、結節間が寄り集まって強度の強い凸部
が形成される。一般に、PTFE多孔質チューブの場
合、繊維はチューブの長軸方向、結節は円周方向に配向
した構造となるため、凸部は円周方向に長い山脈状に形
成される。この山脈は、その所々が接合したり、合流・
分岐したような構造となるため、形・大きさは不揃いな
がら、前述の第一の方法で形成される「木の葉状の孔」
と同様の形状の凹部が形成される。このため、この方法
を用いても、圧迫や屈曲に対して十分耐性のあるPTF
E多孔質チューブを形成可能であるが、全体的に硬くな
るため、縫合性が悪いという欠点がある。
【0032】この欠点は、PTFE多孔質チューブを2
層化してから、熱処理して、外層のみに凹凸構造を形成
する方法を採用することにより解決することができる。
つまり、特公昭58−1656号に記載の方法により、
2層構成のPTFE多孔質チューブを熱処理して表面加
工すると、処理温度等を制御することで、外層のみに必
要な凹凸構造を付与することが可能である。そして、熱
処理時に表面から形成されていく凹部を外層の管壁を貫
通して内層との積層界面にまで到達するようにすると、
外層を網目状の孔を有する管状弗素樹脂体の被覆層とす
ることが可能である。
【0033】この表面加工による凹凸構造形成は、使用
しているPTFEの分子量に大きく依存しており、低分
子量のPTFEでは、凹凸の形成に必要な熱量が小さ
く、高分子量のPTFEになるほど必要熱量が大きくな
る。そこで、本発明では、この現象を利用して、(1)
PTFE多孔質チューブを製造する押出工程において、
高分子量のPTFEを含む内層と、低分子量のPTFE
を含む外層とからなる積層チューブを作成し、延伸した
後、外層の熱処理を行うか、あるいは(2)PTFE多
孔質チューブを、それより低分子量のPTFEを用いて
作成されたPTFE多孔質チューブで被覆し、次いで、
外層を熱処理することにより、外層に微細繊維状組織の
切断・収縮及び/または分解除去された部分を形成す
る。
【0034】この方法で外層に凹凸構造を形成させれ
ば、網状管状弗素樹脂体の形成とPTFE多孔質チュー
ブとの固定を一度に行うことができる。つまり、被覆し
たPTFE多孔質チューブが低分子量のため、熱処理時
により早く表面処理され、被覆された内層の高分子量の
PTFE多孔質チューブの多孔質構造が変化を起こす前
に、被覆したPTFE多孔質チューブの網状構造化を完
了させることが可能である。
【0035】本発明者の検討結果によれば、内層と外層
のPTFE間に1.5倍程度の分子量に差があれば、こ
れらの製法を容易に実施することができる。例えば、市
販のPTFEでは、CD123、CD1、CD4(旭硝
子社製、分子量は、各々1200〜1500万、200
〜300万、20〜30万)、F104(ダイキン社
製、分子量約400万)などがあり、CD123/F1
04(分子量比=3〜4倍)、CD123/CD1(分
子量比=4〜8倍)、CD123/CD4(分子量比=
40〜75倍)、F104/CD1(分子量比=1.3
〜2倍)、F104/CD4(分子量比=4〜8倍)、
CD1/CD4(分子量比=7〜15倍)などいずれの
組み合わせでも可能である。ただし、CD4程度に低分
子量となると、表面処理の加熱条件が非常に限定され、
また、CD123/CD4の組み合わせのように極端に
分子量差があると、押出時に多層化する方法では、内層
のCD123の燒結に必要な熱量を与えると、外層のC
D4がほとんど分解してしまい、多孔質構造をなさない
ため、燒結後被覆する方法のみが可能である。逆に、分
子量の差が小さいF104/CD1の組み合わせでは、
CD1層のみに凹凸構造を付与する加熱条件が限定され
る。
【0036】したがって、組み合わせる2種のPTFE
の分子量比は、1.5倍以上、好ましくは2〜40倍で
あることが望ましく、操作性からいって、3〜8倍の範
囲にあることがさらに好ましい。
【0037】この分子量の差によって処理時間をずらす
方法以外には、外挿する管状四弗化エチレン樹脂多孔質
体の外面に予め微細繊維状組織の切断・収縮及び/また
は分解除去された部分を設けておく方法がある。外面加
熱による微細繊維状組織の切断・収縮及び/または分解
除去は、外面から徐々に内面に向けて進行して行くが、
その速度は、内面に存在する物体への熱伝達が大きく関
わる。つまり、金属など熱伝達のよいものが内面に存在
すると、内面近傍に伝達された熱は金属に逃げるため、
温度が上がらず内外面で温度勾配ができる。この温度勾
配によって処理は比較的ゆっくりと外面から内面に進行
し、工業的に制御可能となる。この方法で形成された外
面に微細繊維状組織の切断・収縮及び/または分解除去
された凹凸をもつ管状多孔質体の内面に四弗化エチレン
樹脂多孔質体のように熱伝達が悪いものを密着させ、か
つ、接しているだけで接着していない状態とすると、加
熱によりこの微細繊維状組織の切断・収縮及び/または
分解除去は、内面に至るまで一気に進むことになる。
【0038】そこで、被覆する管状四弗化エチレン樹脂
多孔質体を、予めその外面に微細繊維状組織の切断・収
縮及び/または分解除去しておき、被覆後少なくとも約
327℃以上の温度に加熱すると、被覆した多孔質体の
外面から内面に至る全体に微細繊維状組織の切断・収縮
及び/または分解除去された部分を設けることでき、内
層と外層が同じ分子量の管状四弗化エチレン樹脂多孔質
体を用いても、また、処理時間及び壁厚などが多少ばら
ついても、管状四弗化エチレン樹脂多孔質体の外面に、
網目状の孔を有する管状弗素樹脂体の被覆層が均一に設
けられた構造の人工血管を工業的に生産することが可能
である。
【0039】このようにして得られた本発明品は、特公
昭58−1656号に記載の方法で得られるものと同様
の高い管腔構造の維持性を持ち、しかも外面を覆う補強
部はその一部のみを引っ張ることで比較的容易に除去す
ることが可能である。ただし、この特公昭58−165
6号に記載の方法の応用では、網目形状が不揃いである
ため、補強部の切除部分断端は不揃いとなり易いこと、
製法上PTFEの分解を伴うこと、凸部の厚みを500
μm以上にすることが困難であること等から、管状弗素
樹脂体に切り込みを入れる第一の方法の方が、圧縮や屈
曲に対する強度が強く、相対的には有利である。
【0040】本発明の人工血管には、次のような特徴が
ある。 (1)円周方向に形状維持強度が高く、圧縮に対する管
状の維持性が高い。 (2)長軸方向に適当な弾性的な可撓性を持ち、屈曲に
対応が可能である。 (3)部分的な補強層の除去が容易で、縫合性を妨げな
い。 また、本発明品は、従来の補強法に比して、長軸方向の
連結があるために、補強物の横倒れなどが起こらず、圧
縮に対する耐性が高い。
【0041】
【実施例】以下、本発明について、実施例及び比較例を
挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例
のみに限定されるものではない。
【0042】なお、物性の測定方法は以下の通りであ
る。 〈バブルポイント〉人工血管をイソプロピルアルコール
に含浸し、管壁の孔内をイソプロピルアルコールで充満
した後、チューブの内側より徐々に空気圧を負荷したと
きに、初めて気泡が出てくるときの圧力。 〈漏水圧〉人工血管の内側から徐々に水圧を負荷したと
きに、初めて水が人工血管外壁から出てくる時の水圧。 〈耐圧縮強度〉2枚の並行な板の間に人工血管を挟んで
外径の1/2の幅まで圧縮した際の、最大抗力を人工血
管の単位長さで割った値。 〈キンク径〉ある値の円柱に人工血管外壁を添わせるよ
うに巻き付けた時に、人工血管外径が最低となる部分の
径が元の80%となる時の円柱の外径。
【0043】[実施例1]PTFEファインパウダー
(ダイキン工業社製PTFEファインパウダーF10
4)100重量部に対して、ドライゾール23重量部を
助剤として混合し、ラム押出機によってチューブ状に成
形した後に、ドライゾールを50℃、48時間で乾燥さ
せた。この押出チューブを電気炉中、炉温350℃、炉
内滞在時間120秒の条件で加熱しながら350%延伸
し、気孔率75%、平均繊維長30μm、内径6mm
φ、外径7.5mmφのPTFE多孔質チューブを得
た。
【0044】一方、内径8mmφ、外径10mmφのP
TFE無孔質チューブに、円周方向に間の距離を1mm
として15mm弱の切れ込みを2つ入れた。この円周か
ら1mm離れた円周上に、先の切れ込みからチューブ長
軸を中心として90度回転した位置に同じ大きさの切れ
込みを同じく2つ入れた。この操作をPTFE無孔質チ
ューブの長軸方向の全長にわたって行い、図2−1に示
すような多数の切れ込みを有する管状弗素樹脂体を得
た。
【0045】PTFE多孔質チューブの内腔に6mmφ
ステンレス棒を挿入した後、管状弗素樹脂体を被せ、管
状弗素樹脂体を長軸方向に4倍に引き延ばして、切れ込
みを図2−2に示すように網状に開口させると同時に、
内径を減少させてPTFE多孔質チューブに密着させて
固定し、350℃の高温槽に2分間入れて熱融着させ
た。
【0046】その結果、内径6mmφ、網状管状弗素樹
脂体被覆部外径9.5mmφ、非被覆部外径7.5mm
φ、被覆した網状管状弗素樹脂体の厚みが1mm、長軸
方向の最大孔幅3mm、円周方向の孔数2、各支柱の長
軸方向となす角度約20度の人工血管を得た。
【0047】[実施例2]管状弗素樹脂体の内径を8m
mφ、外径を9mmφ、切れ込みを6.5mm長で円周
方向に4つ配置し、隣の切れ込みとの幅を0.5mm、
ずれ角度を45度とし、切れ込みの開口のための引き延
ばしを2倍としたこと以外は、実施例1と同様にして、
内径6mmφ、網状管状弗素樹脂体被覆部外径8.5m
mφ、非被覆部外径7.5mmφ、被覆した網状管状弗
素樹脂体の厚みが0.5mm、長軸方向の最大孔幅1m
m、円周方向の孔数4、各支柱の長軸方向となす角度約
20度の人工血管を得た。
【0048】[実施例3]PTFEファインパウダー
(ダイキン工業社製PTFEファインパウダーF10
4)100重量部に対して、ドライゾール25重量部を
助剤として混合したものと、PTFEファインパウダー
(旭硝子社製PTFEファインパウダーCD4)100
重量部に対して、ドライゾール18重量部を助剤として
混合したものを、前者が外層になるように予備成形し、
ラム押出機によって内外層比1:1の2層チューブ状に
成形した後に、ドライゾールを50℃、48時間で乾燥
させた。この押出チューブを電気炉中、炉温350℃、
炉内滞在時間120秒の条件で加熱しながら350%延
伸し、平均気孔率75%、内面繊維長30μm、内径6
mmφ、外径9.5mmφのPTFE多孔質チューブを
得た。
【0049】このPTFE多孔質チューブの内腔に6m
mφステンレス棒を挿入し両端を固定した後に、内径3
5mmφの石英ガラス円筒を炉芯に挿入した電気炉中、
炉温500℃、炉内滞在時間10秒の条件にて熱処理
し、チューブ外層を図3に示す過程で網状構造に加工し
た。
【0050】[実施例4]PTFEファインパウダー
(旭硝子社製PTFEファインパウダーCD123)1
00重量部に対して、ドライゾール25重量部を助剤と
して混合し、ラム押出機によってチューブ状に成形した
後に、ドライゾールを50℃、48時間で乾燥させた。
この押出チューブを電気炉中、炉温360℃、炉内滞在
時間180秒の条件で加熱しながら600%延伸し、気
孔率75%、平均繊維長30μm、内径6mmφ、外径
7.5mmφのPTFE多孔質チューブを得た。
【0051】PTFEファインパウダー(旭硝子社製P
TFEファインパウダーCD1)100重量部に対し
て、ドライゾール20重量部を助剤として混合し、ラム
押出機によってチューブ状に成形した後に、ドライゾー
ルを50℃、48時間で乾燥させた。この押出チューブ
を電気炉中、炉温350℃、炉内滞在時間100秒の条
件で加熱しながら350%延伸し、内径7.5mmφ、
外径9.5mmφのPTFE多孔質チューブを得た。こ
のチューブ内腔に外径8mmφのステンレス棒を徐々に
挿入した後にこれを抜去し、内径を7.8mmφに膨張
させた。
【0052】上記2種類のPTFE多孔質チューブのう
ち、前者の内腔に6mmφのステンレス棒を挿入し、次
いで後者の内腔に全体を挿入して両端を固定した。次い
で、内径35mmφの石英ガラス円筒を炉芯に挿入した
電気炉中、炉温500℃、炉内滞在時間300秒の条件
にて熱処理し、チューブ外層を図3に示す過程で網状構
造に加工した。
【0053】[実施例5]PTFEファインパウダー
(ダイキン工業社製PTFEファインパウダーF10
4)100重量部に対して、液状潤滑剤(エッソ社製S
Sドライゾール)25重量部を混合し、ラム押出機にて
チューブ状に成形した後に、液状潤滑剤を乾燥させた。
この押出チューブを電気炉中、炉温350℃、炉内滞在
時間100秒の条件で加熱しながら350%延伸し、内
径3.5mmφ、外径4.3mmφのPTFE多孔質チ
ューブを得た。このチューブの内腔に4mmφステンレ
ス棒を挿入した。
【0054】このチューブのの外面に、微細繊維状組織
の切断・収縮及び/または分解除去された部分を外面に
もつ内径5mmφの四弗化エチレン樹脂製人工血管(住
友電気工業製テクノグラフト)を被覆し、約3〜4cm
/周のピッチで円周方向にねじることで内挿チューブと
密着させた。次いで、内径35mmφの石英ガラス円筒
を炉芯に挿入した電気炉中、炉温750℃、炉内滞在時
間50秒の条件で熱処理し、チューブ外層を図3の3−
2から3−3に示す過程で網状構造に加工した。
【0055】[比較例1]実施例1で用いた、気孔率7
5%、平均繊維長30μm、内径6mmφ、外径7.5
mmφのPTFE多孔質チューブを比較例1とした。
【0056】[比較例2]実施例4において、石英ガラ
ス円筒を炉芯に挿入した電気炉による熱処理条件を、炉
温350℃、炉内滞在時間120秒とし、内外層のPT
FE多孔質チューブを熱融着させるのみで、外層を網状
構造化しなかった。
【0057】[比較例3]実施例1で用いたPTFE無
孔質チューブの代わりに、内径7.3mmφ、外径9.
3mmφのPTFE無孔質チューブを1mm幅のリング
状に切取り、これを3mm間隔で、実施例1で用いたP
TFE多孔質チューブ外面に被覆し、実施例1と同様の
熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にし、リン
グ状のフッソ樹脂体を補強手段とした人工血管を得た。
【0058】[比較例4]比較例3で用いたリング状P
TFE無孔質体を1cm間隔で被覆したこと以外は、比
較例2と同様にして人工血管を得た。
【0059】[比較例5]実施例1で用いたPTFE無
孔質チューブを1mm幅でスパイラル状に切り、これを
3mm間隔のピッチで、実施例1で用いたPTFE多孔
質チューブ外面に巻き付けて被覆し、実施例1と同様の
熱処理を行なったこと以外は、実施例1と同様にし、ス
パイラル状の弗素樹脂体を補強手段とした人工血管を得
た。
【0060】[比較例6]比較例5で用いたスパイラル
状PTFE無孔質体を1cm間隔のピッチで巻き付けて
被覆したこと以外は、比較例2と同様にして人工血管を
得た。
【0061】<物性の測定結果> (1)実施例1〜5、及び比較例1〜6の人工血管につ
いて、バブルポイント及び漏水圧を測定したところ、い
ずれも0.10〜0.12、0.25〜0.30の範囲
内であり、有意な差はなかった。
【0062】(2)耐圧縮強度の測定結果は、比較例
1、2、4、6の人工血管では、それぞれ61g/c
m、93g/cm、179g/cm、185g/cmで
あったのに対して、実施例1〜5の人工血管では、それ
ぞれ535g/cm、645g/cm、247g/c
m、376g/cm、499g/cmと非常に高かっ
た。比較例3と5の人工血管については、それぞれ32
3g/cm、277g/cmと実施例におけると同様で
あった。
【0063】(3)キンク径測定の結果では、実施例3
〜5の人工血管が、共に6.5mmφであり、曲げても
管腔構造の維持性が高く、次いで、実施例1と2の人工
血管では、それぞれ8mmφ、7.5mmφであった。
これらに対して、比較例1、2、4、6の人工血管で
は、それぞれ25mmφ、21mmφ、12mmφ、1
6mmφであり、管腔構造の維持性が悪かった。また、
比較例3と5の人工血管については、管壁が剛直なた
め、曲げに対する抗力は非常に強いものの、一旦曲がる
と座屈するようになるため、キンク径は、ともに40m
mφ以上で、湾曲が必要とされる部位への適用は不可能
と考えられた。
【0064】(4)補強部の弗素樹脂体の剥離性につい
て評価したところ、実施例1〜5と比較例1、2、5の
人工血管では、15mmRの曲げを30回繰り返したあ
とでも外層と内層の剥離及び離脱が見られなかったのに
対し、比較例3、4、6の人工血管では、補強部の弗素
樹脂体の剥離が見られ、特に比較例4の人工血管では、
一部のリングが完全に脱離してしまった。
【0065】外層または補強部の端をピンセットでつま
み、引っ張ったところ、比較例5と6の人工血管を除い
てどの例でも、引っ張った部分から先の外層または補強
部が取れて除去が可能であった。比較例5と6の人工血
管では、スパイラルが解けて取れてくるため、縫合部で
補強部が邪魔なときは、不用な部分のスパイラルを剥し
てハサミで切りとることが可能であると考えられるが、
内層のPTFE多孔質チューブを傷つけずに切りとるの
は困難で、逆に、十分剥してから切ると、残ったスパイ
ラルの端がPTFE多孔質チューブから離れた状態とな
った。このように比較例5と6の人工血管は、補強部の
除去作業が煩雑で、操作性において劣るものであった。
【0066】また、実施例1〜5のうち実施例5は、網
状構造の外層の円周方向の連絡がよく、ピンセットで外
層を摘んだ幅だけの網状外層がリング状に取ることが比
較的容易で操作性が最もよかった。以上のように、本発
明の実施例の人工血管は、いずれも耐圧縮性と曲げに対
する管腔構造の維持性の両方を満足するものであるが、
比較例の人工血管は、どちらか一方の特性が優れると他
方が成立しない。また、補強部の除去性においても実施
例のものの方が優れていることがわかる。
【0067】
【発明の効果】本発明の人工血管は、次の特性をもつ。 (1)円周方向に十分な形状維持強度を持つため、圧縮
に対して管腔構造の維持性が高い。 (2)長軸方向に適当な弾性的な可撓性を持つため、曲
部に応じて屈曲が可能であり、小さなRで屈曲しても管
腔構造の維持性が高い。 (3)補強物が一体物であるため全体としての接着力は
強く、形状を変えても補強物が剥離・脱離しないが、縫
合部で補強物が邪魔になる場合には、部分的に補強物の
除去が容易に行える。
【0068】したがって、本発明品は、生体内に移植さ
れる人工血管、特に関節や骨を越える血管置換、バイパ
ス形成など、圧迫や屈曲に対する順応性、耐性の必要な
場合に使用される人工血管として特に有効である。ま
た、本発明品の目的は、人工血管にあるが、本発明品の
特徴がその管腔構造の高い維持性であることを考えれ
ば、生体内のあらゆる管状器官、例えば、消化管、気
管、胆道、尿管、尿道などにおける再建術に応用が可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人工血管の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の構成要素である網状管状弗素樹脂体の
作製方法の一例を示す模式図である。図2−1は、管状
弗素樹脂体に多数の切れ込みを入れたものを示す。図2
−2は、図2−1の管状弗素樹脂体を長軸方向に引っ張
って、切れ込みを開口させ、網状とした状態を示す。
【図3】図1の点線で囲ったA部分(断面)を拡大した
断面図である。図3−1は、実施例3と4における熱処
理前の状態を示し、図3−2は、外側からの熱によって
外層の管状弗素樹脂体が凹凸化し、網状構造が形成され
ていく過程を示し、図3−3は、完成された本発明品の
断面を示す。
【符号の説明】
1 管状PTFE多孔質体 2 網状管状弗素樹脂体 3 網状管状弗素樹脂体の網状構造の連結部(または凸
部) 4 網状管状弗素樹脂体の網状構造の孔(または凹部) 5 管状弗素樹脂体に入れる切れ込み線 6 切れ込みを開口させるための延伸方向 7 PTFE繊維 8 結節 9 熱処理前の管状弗素樹脂体 10 外面からの熱エネルギー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維と該繊維によって互いに連結された
    結節とからなる微細繊維状組織を有する管状四弗化エチ
    レン樹脂多孔質体で構成された人工血管において、該管
    状四弗化エチレン樹脂多孔質体の外面に、網目状の孔を
    有する管状弗素樹脂体の被覆層が設けられていることを
    特徴とする人工血管。
  2. 【請求項2】 (1)管状弗素樹脂体の円周に沿って、
    それぞれ同じ長さの切れ込みを2〜4個の範囲内で等間
    隔に配置してなる切れ込み群〔A〕と、該円周から一定
    距離離れた位置にある他の円周に沿って、前記と同じ長
    さと個数の切れ込みを、180度を前記切れ込みの個数
    で割った角度だけずらした位置に配置してなる切れ込み
    群〔B〕とを、管状弗素樹脂体の長軸方向に沿って、交
    互に等間隔で多数配置した構造の管状弗素樹脂体を作成
    し、次いで、(2)該管状弗素樹脂体を、繊維と該繊維
    によって互いに連結された結節とからなる微細繊維状組
    織を有する管状四弗化エチレン樹脂多孔質体の外面に被
    せて、長軸方向に引っ張ることにより、切れ込みを開口
    させて網目状の孔を形成させると共に、口径を縮小させ
    て管状四弗化エチレン樹脂多孔質体の外面に密着させ、
    しかる後、(3)管状弗素樹脂体を形成する弗素樹脂の
    融点以上の温度で加熱して、網目状の孔を有する管状弗
    素樹脂体の被覆層を管状四弗化エチレン樹脂多孔質体の
    外面に固定することを特徴とする人工血管の製造方法。
  3. 【請求項3】 (1)高分子量の四弗化エチレン樹脂未
    燒結粉末と液状潤滑剤との混和物と、低分子量の四弗化
    エチレン樹脂未燒結粉末と液状潤滑剤との混和物とを同
    時押出して、高分子量の四弗化エチレン樹脂を含む内層
    と、低分子量の四弗化エチレン樹脂を含む外層とからな
    る積層チューブを作成し、(2)該積層チューブを、液
    状潤滑剤を除去し、または除去することなく、少なくと
    も一軸方向に延伸して、繊維と該繊維によって互いに連
    結された結節とからなる微細繊維状組織を有する積層管
    状四弗化エチレン樹脂多孔質体とし、(3)得られた積
    層管状四弗化エチレン樹脂多孔質体を熱収縮防止状態に
    て、加熱燒結する際、または加熱燒結した後、少なくと
    も外層を約327℃以上の温度に加熱して、外層に微細
    繊維状組織の切断・収縮及び/または分解除去された部
    分を設けることにより、網目状の孔を有する被覆層を形
    成することを特徴とする人工血管の製造方法。
  4. 【請求項4】 繊維と該繊維によって互いに連結された
    結節とからなる微細繊維状組織を有する管状四弗化エチ
    レン樹脂多孔質体(a)を、該多孔質体(a)を形成す
    る四弗化エチレン樹脂より低分子量の四弗化エチレン樹
    脂を用いて作成され、同様の微細繊維状組織を有する管
    状四弗化エチレン樹脂多孔質体(b)で被覆し、次い
    で、少なくとも該多孔質体(b)を約327℃以上の温
    度に加熱して、多孔質体(b)に微細繊維状組織の切断
    ・収縮及び/または分解除去された部分を設けることに
    より、網目状の孔を有する被覆層を形成することを特徴
    とする人工血管の製造方法。
  5. 【請求項5】 繊維と該繊維によって互いに連結された
    結節とからなる微細繊維状組織を有する管状四弗化エチ
    レン樹脂多孔質体(a)を、予めその外面に微細繊維状
    組織の切断・収縮及び/または分解除去された部分をも
    つ同様の管状四弗化エチレン樹脂多孔質体(b)で被覆
    し、次いで、少なくとも該多孔質体(b)を約327℃
    以上の温度に加熱して、多孔質体(b)の外面から内面
    に至る全体に微細繊維状組織の切断・収縮及び/または
    分解除去された部分を設けることにより、網目状の孔を
    有する被覆層を形成することを特徴とする人工血管の製
    造方法。
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