JPH06190271A - 無機ポリマーの形成方法 - Google Patents

無機ポリマーの形成方法

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JPH06190271A
JPH06190271A JP34463592A JP34463592A JPH06190271A JP H06190271 A JPH06190271 A JP H06190271A JP 34463592 A JP34463592 A JP 34463592A JP 34463592 A JP34463592 A JP 34463592A JP H06190271 A JPH06190271 A JP H06190271A
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solution
metal
inorganic polymer
infrared rays
forming
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JP34463592A
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Junji Nakajima
島 淳 二 中
Kazuhiko Nishimura
村 和 彦 西
Yasunobu Yamamoto
本 安 信 山
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Aisin Corp
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Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、紫外線を用いることなく、よ
り低温で無機ポリマーを形成させる方法を提供すること
である。 【構成】M(OR)n で表される金属アルコキシド(例
えばテトラエトキシシラン)とアルコールと、水と、酸
または塩基を混合攪拌し、基材表面に塗布した後、基材
表面の塗膜に赤外線を照射してポリマー化させることを
特徴とする、無機ポリマーの形成方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゾルゲル法における無
機ポリマーの形成方法に関し、撥水皮膜、コーティング
用保護膜等の薄膜を始め、光ファイバー、圧電素子の成
形方法などにも適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、基材の表面をコーティングす
る方法として、溶液の化学反応を利用するゾルゲル法が
知られている。ゾルゲル法は、金属アルコキシド(一般
式M(OR)n 、M:金属、R:アルキル基、n:整
数)等の金属化合物の加水分解反応と酸化による縮合反
応によって、無機ポリマーを合成させる方法であり、常
温に近い温度で無機ポリマーを合成できる方法として注
目を集めている。
【0003】このゾルゲル法によって無機ポリマーを合
成する方法として、例えば特開平3−188938号公
報がある。この方法では、まず、Ta、Si、Sbある
いはInなどの金属エトキシドとエタノールとを混合さ
せた溶液を調製する。そして、この溶液に金属原子と有
機基との結合を破壊させる特定波長の紫外線を照射し、
金属エトキシドの金属−アルコキシ基結合を選択的に切
断させる。この反応により、ゾルゲル反応の律速段階で
ある加水分解反応が促進され、溶液のプレポリマー化が
行われる。そして、さらにオゾンを発生させるための紫
外線を照射して、残った有機物をオゾン酸化して、目的
とする無機ポリマーを得ようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した方法では、無
機ポリマーを常温に近い温度で形成できるが、紫外線の
照射により逆にポリマー中の結合鎖を切断して膜機能特
性が低下する恐れがあるだけでなく、酸化工程では紫外
線によって発生させたオゾンを用いるため、作業環境的
にみて非常に好ましくない。また、出発原料である金属
酸化物によって照射する紫外線の波長が異なるために、
特定波長の紫外線ランプを選択しなければならず、適用
できる材料の種類が限定される。さらに、紫外線照射に
は大きな設備投資が必要となるため、工業的な生産には
不向きであった。
【0005】一方、ゾルゲル法において、紫外線を用い
ずに無機ポリマーを形成する方法も提案されている。例
えば、無機ポリマーを形成する溶液にポリマー化を促進
させる塩酸、硝酸、硫酸、燐酸などの酸・アルカリ触媒
を添加する方法である。しかし、最低でも200℃以上
の高温下に置いて溶液を乾燥、焼成させることが必須条
件となっているため、基板として耐熱温度の低いものを
用いることができなかった。
【0006】本発明は上記した問題点に鑑みて発明され
たものであり、その目的は紫外線を用いることなく、よ
り低温で無機ポリマーを形成させる方法を提供すること
にある。
【0007】
【発明の構成】
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に講じた第1の技術的解決手段は、金属化合物と、アル
コールと、水と、酸または塩基とを混合して溶液を調製
する第1の工程と、前記溶液を基材表面に塗布して塗膜
を形成する第2の工程と、前記塗膜に赤外線を照射して
前記塗膜を焼成させる第3の工程とを順次行うことを特
徴とする無機ポリマーの形成方法である(請求項1)。
【0009】また、第2の技術的解決手段は、金属化合
物と、アルコールと、水と、酸または塩基とを混合して
溶液を調製する第1の工程と、前記溶液を型に注入する
第2の工程と、前記型に注入された溶液に赤外線を照射
して焼成させる第3の工程とを順次行うことを特徴とす
る無機ポリマーの形成方法である(請求項3)。
【0010】溶液の成分である金属化合物は、Si、N
b、Ge、Cu、Bi、In、Ti、Sn、Sb、Ta
などのほとんどの金属元素に対して適用でき、金属アル
コキシド、ナフテン酸塩、オクテル酸塩、アセチルアセ
トンとの化合物などの有機金属化合物や、塩化物、硝酸
塩からなる無機金属化合物を用いることができる。金属
化合物として、例えばシリコンアルコキシドを用いた場
合には、撥水コーティング膜を始め、保護膜、集積回路
装置、反射防止膜、半導体素子、プラスチックレンズ、
半導体搭載用基板、光ファイバ、反射防止膜等に用いる
ことができる。
【0011】金属化合物としてIn、Ti、Sn、S
b、Taなどの金属の金属アルコキシドを用いた場合に
は、エレクトロルミネセンス素子、薄膜コンデンサ、光
ディスク、反射防止膜、熱線反射膜、金属部材等に用い
ることができる。
【0012】溶液が塗布される基材としては、珪酸ガラ
ス,珪酸アルカリガラス,鉛アルカリガラス,ソーダ石
灰ガラス,カリ石灰ガラス,バリウムガラスなどの珪酸
ガラス,B2 3 及びSiO2 を有する硼珪酸ガラス,
2 5 を含有する燐酸塩ガラスなどのガラス基板、電
気素子,プリント基板などの樹脂基板及び金属基板など
から選択して用いることができる。
【0013】塗膜あるいは型に注入された溶液に照射さ
れる赤外線としては、上限が1000μmまでの波長の
赤外線であることが好ましく、さらに好ましくは上限が
30μメートルの赤外線であることが好ましい。波長が
長いと溶液の硬化する反応速度が遅くなり、赤外線を照
射する時間が長くなる。また、赤外線照射装置としても
高価になり、無機ポリマーの大量生産に適さない。尚、
照射する赤外線は一定波長に限定される必要はなく、例
えば2〜30μmの波長の幅をもって照射することがで
きる。
【0014】また、金属化合物としてシリコンアルコキ
シドを用いた場合、Fe,Co,Ni,Ti,Al,Z
rなどの金属の有機金属化合物、硝酸塩,硫酸塩,シュ
ウ酸塩、酢酸塩を始めとする金属塩及び金属酸化物を含
有させることができる(請求項2、4)。これらの金属
は、無機ポリマー内でMn m (M:金属、n,m:整
数)の各種セラミックスを構成するとともに、Siより
も照射される赤外線を効率よく吸収するため、より溶液
の乾燥・焼成時間を短縮することができ、低温で緻密な
コーティング膜、ファイバー、粒子等を得ることができ
る。尚、このシリコンアルコキシドよりなる薄膜を撥水
皮膜として利用する場合、溶液に添加される金属化合
物、金属塩、金属酸化物は撥水皮膜の屈折率やガラス基
板への付着性を左右するため、シリコンアルコキシドの
量の50%(mol%)以下とすることが好ましい。こ
れより金属酸化物の量が多いと、撥水皮膜のガラス基板
への付着性が低下するとともに、干渉色が生じるため好
ましくない。尚、形成された膜を撥水コーティング膜と
して用いる場合には、第1工程で調製される溶液中に、
アルコキシル基の一部がフルオロアルキル基で置換され
た置換シリコンアルコキシド等の撥水剤が混合されるこ
とが好ましい。
【0015】
【発明の作用及び効果】金属化合物は、アルコールと、
水と、酸または塩基とで混合される溶液中で加水分解反
応を生じ、さらに他の金属化合物と縮合反応を起こし、
M−O−Mで表される結合を作って成長していく。
【0016】この加水分解反応と縮合反応による化学反
応の反応速度は、金属原子Mと非金属原子Oとの間の結
合の開裂に起因すると言われるが、金属化合物の溶液に
赤外線を照射することにより、赤外線の持つ光エネルギ
ーが金属原子Mのフォトン(光子=photon)の素励起を
引き起こす。このため、原子レベルでの加熱を行うこと
ができ、溶液及び基材を高温下に置かなくても、化学反
応を促進させることが可能となる。具体的には、100
℃以下の低温下で無機ポリマーの形成が可能となる。
【0017】また、紫外線を照射する従来技術とは異な
り、赤外線を照射するためオゾンを発生させず、安全な
環境下で作業を行うことが可能となる。
【0018】さらに、溶液の金属Mと基材を構成する原
子との赤外線の吸収効率が異なる場合には、コーティン
グ膜と基材間に温度勾配をつけることができ、基材の耐
熱温度が低くても無機ポリマーを形成する溶液を選択的
に加熱することができる。即ち、赤外線を照射すること
により雰囲気温度以上に溶液のみを加熱することができ
るわけで、より無機ポリマー形成の化学反応を促進させ
ることができる。
【0019】また、金属化合物としてシリコンアルキシ
ドを用い、溶液に金属の有機金属化合物、金属酸化物あ
るいは金属塩の添加物を加えた場合には、添加物中の金
属がシリコンSiより赤外線を効率よく吸収するため、
より溶液の乾燥・焼成時間を短縮することができ、低温
で緻密な無機ポリマーを得ることができる。
【0020】
【実施例】
(実施例1)容器に、テトラエトキシシラン50g、エ
タノール427gを30分攪拌混合し、さらに、水2
1.4g、塩酸(0.1N)26.4gを加えて2時間
攪拌混合し、コーティング膜形成溶液を調製した。尚、
溶液中の各原料のモル比が、テトラエトキシシラン:エ
タノール:水:塩酸=1:39:11:0.11となる
ようにした。
【0021】こうして調製した溶液を室温(25℃)で
約5日間放置し、テトラエトキシシランの塩酸と水によ
る加水分解反応により、プレポリマー化を促進する熟成
を行った。
【0022】次に、基材である100mm2 のソーダガ
ラス板の中央部に溶液を2.5ml滴下し、直ちにスピ
ンコート(2000rpm×10秒)し、基材表面にウ
エットなコーティング処理を施した。その後、室温で約
10分間放置し、指で触れて乾燥していることを確認し
た後、雰囲気温度を100℃に保ちながら4〜24μm
の波長の中・遠赤外線を3時間照射して、基材表面にコ
ーティング膜を形成した。形成された薄膜は、平均57
0Åの薄膜を有するものであった。
【0023】こうして得られた薄膜の耐傷つき性を調べ
るために、テーバー摩耗試験(1000回)後のヘイズ
値の増加(%)を測定した結果、ヘイズ値の増加は1.
5%で、摩耗による透明度変化は極めて少なくことがわ
かった(表1参照)。また、得られた薄膜についてNM
R分析を行った結果、架橋度の高いポリシロキサン構造
であることがわかった。
【0024】(実施例2)実施例1と同様に調製した溶
液を室温(25℃)で約5日間放置し、テトラエトキシ
シランの塩酸と水による加水分解反応により、プレポリ
マー化を促進する熟成を行った。
【0025】次に、この溶液にNi2 NO3 ・6H2
をプレポリマー化を行った調製液の1wt%となるよう
添加し、この混合液を基材上に滴下して実施例1と同様
にスピンコートによるウエットコート処理を実施した。
その後、室温で約10分間放置し、指で触れて乾燥して
いることを確認した後、雰囲気温度を85℃に保ちなが
ら4〜24μmの波長の中・遠赤外線を3時間照射し
て、基材表面にコーティング膜を形成した。
【0026】形成された薄膜は、実施例1と同様に平均
570Åの膜厚を有し、テーバー摩耗試験(1000
回)後のヘイズ値の増加は1.5%で、摩耗による透明
度変化は実施例1同様に極めて少なく、またNMR分析
の結果、架橋度の高いポリシロキサン構造であることが
わかった。
【0027】(比較例1)赤外線を照射する以外は、実
施例1と全く同様に溶液を調節して薄膜を形成した。こ
の薄膜についてテーバー摩耗試験を行ったところ、ヘイ
ズ値の増加は4.5%以上と極めて高く、薄膜の透明感
がなくなるほど摩耗が発生した。また、NMR分析の結
果、この薄膜は架橋度の極めて低いポリシロキサン構造
であることがわかった。
【0028】
【表1】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年2月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 無機ポリマーの形成方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゾルゲル法における無
機ポリマーの形成方法に関し、撥水皮膜、コーティング
用保護膜等の薄膜を始め、光ファイバー、圧電素子の成
形方法などにも適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、基材の表面をコーティングす
る方法として、溶液の化学反応を利用するゾルゲル法が
知られている。ゾルゲル法は、金属アルコキシド(一般
式M(OR)n 、M:金属、R:アルキル基、n:整
数)等の金属化合物の加水分解反応と酸化による縮合反
応によって、無機ポリマーを合成させる方法であり、
00〜800℃で無機ポリマーを合成できる方法として
注目を集めている。
【0003】ゾルゲル法は、一般に無機ポリマーを形成
する溶液にポリマー化を促進させる塩酸、硝酸、硫酸、
燐酸などの酸・アルカリ触媒を添加する方法が採用され
ている。しかし、最低でも200℃以上の高温下に置い
て溶液を乾燥、硬化させることが必須条件となっている
ため、基板として耐熱温度の低いものを用いることがで
きなかった。
【0004】一方、低い温度で無機ポリマーを形成させ
る方法として、特開平3−188938号公報に開示さ
れる方法が知られている。この方法では、まず、Ta、
Si、SbあるいはInなどの金属エトキシドとエタノ
ールとを混合させた溶液を調製する。そして、この溶液
に金属原子と有機基との結合を破壊させる特定波長の紫
外線を照射し、金属エトキシドの金属−アルコキシ基結
合を選択的に切断させる。この反応により、ゾルゲル反
応の律速段階である加水分解反応が促進され、溶液のプ
レポリマー化が行われる。そして、さらにオゾンを発生
させるための紫外線を照射して、残った有機物をオゾン
酸化して、目的とする無機ポリマーを得ようとするもの
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この紫
外線を用いた方法では無機ポリマーを常温に近い温度で
形成できるが、紫外線の照射により逆にポリマー中の結
合鎖を切断して膜機能特性が低下する恐れがあるだけで
なく、酸化工程では紫外線によって発生させたオゾンを
用いるため、作業環境的にみて非常に好ましくない。ま
た、出発原料である金属酸化物によって照射する紫外線
の波長が異なるために、特定波長の紫外線ランプを選択
しなければならず、適用できる材料の種類が限定され
る。さらに、紫外線照射には大きな設備投資が必要とな
るため、工業的な生産には不向きであった。
【0006】発明は上記した問題点に鑑みて発明され
たものであり、その目的は紫外線を用いることなく、よ
り低温で無機ポリマーを形成させる方法を提供すること
にある。
【0007】
【発明の構成】
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に講じた第1の技術的解決手段は、金属化合物と、アル
コールと、水と、酸または塩基とを混合して溶液を調製
する第1の工程と、前記溶液を基材表面に塗布して塗膜
を形成する第2の工程と、前記塗膜に赤外線を照射して
前記塗膜を硬化させる第3の工程とを順次行うことを特
徴とする無機ポリマーの形成方法である(請求項1)。
【0009】また、第2の技術的解決手段は、金属化合
物と、アルコールと、水と、酸または塩基とを混合して
溶液を調製する第1の工程と、前記溶液を型に注入する
第2の工程と、前記型に注入された溶液に赤外線を照射
して硬化させる第3の工程とを順次行うことを特徴とす
る無機ポリマーの形成方法である(請求項3)。
【0010】溶液の成分である金属化合物は、Si、N
b、Ge、Cu、Bi、In、Ti、Sn、Sb、Ta
などのほとんどの金属元素に対して適用でき、金属アル
コキシド、ナフテン酸塩、オクテル酸塩、アセチルアセ
トンとの化合物などの有機金属化合物や、塩化物、硝酸
塩からなる無機金属化合物を用いることができる。金属
化合物として、例えばシリコンアルコキシドを用いた場
合には、保護膜、集積回路装置、反射防止膜、撥水コー
ティング膜、半導体素子、プラスチックレンズ、半導体
搭載用基板、光ファイバ、反射防止膜等に用いることが
できる。金属化合物としてIn、Ti、Sn、Sb、T
aなどの金属の金属アルコキシドを用いた場合には、エ
レクトロルミネセンス素子、薄膜コンデンサ、光ディス
ク、反射防止膜、熱線反射膜、金属部材等に用いること
ができる。
【0011】溶液が塗布される基材としては、珪酸ガラ
ス,珪酸アルカリガラス,鉛アルカリガラス,ソーダ石
灰ガラス,カリ石灰ガラス,バリウムガラスなどの珪酸
ガラス,B2 3 及びSiO2 を有する硼珪酸ガラス,
2 5 を含有する燐酸塩ガラスなどのガラス基板、電
気素子,プリント基板などの樹脂基板及び金属基板など
から選択して用いることができる。
【0012】塗膜あるいは型に注入された溶液に照射さ
れる赤外線としては、上限が1000μmまでの波長の
赤外線であることが好ましく、さらに好ましくは上限が
30μメートルの赤外線であることが好ましい。波長が
長いと溶液の硬化する反応速度が遅くなり、赤外線を照
射する時間が長くなる。尚、照射する赤外線は一定波長
に限定される必要はなく、例えば2〜30μmの波長の
幅をもって照射することができる。
【0013】また、金属化合物としてシリコンアルコキ
シドを用いた場合、Fe,Co,Ni,Ti,Al,Z
rなどの金属の有機金属化合物、硝酸塩,硫酸塩,シュ
ウ酸塩、酢酸塩を始めとする金属塩及び金属酸化物を含
有させることができる(請求項2、4)。これらの金属
は、無機ポリマー内でMn m (M:金属、n,m:整
数)の各種セラミックスを構成するとともに、Siより
も照射される赤外線を効率よく吸収するため、より溶液
乾燥時間を短縮することができ、低温で緻密なコーテ
ィング膜、ファイバー、粒子等を得ることができる。
尚、このシリコンアルコキシドよりなる薄膜を透明コー
ティングとして利用する場合、溶液に添加される金属化
合物、金属塩、金属酸化物は透明コーティングの屈折率
やガラス基板への付着性を左右するため、シリコンアル
コキシドの量の50%(mol%)以下とすることが好
ましい。これより金属酸化物の量が多いと、ガラス基板
への付着性が低下するとともに、干渉色が生じるため好
ましくない。
【0014】
【発明の作用及び効果】金属化合物は、アルコールと、
水と、酸または塩基とで混合される溶液中で加水分解反
応を生じ、さらに他の金属化合物と縮合反応を起こし、
M−O−Mで表される結合を作って成長していく。
【0015】この加水分解反応と縮合反応による化学反
応の反応速度は、金属原子Mと非金属原子Oとの間の結
合の開裂に起因すると言われるが、金属化合物の溶液に
赤外線を照射することにより、赤外線の持つ光エネルギ
ー(電磁波)により、成分中の金属原子Mの格子振動を
引き起こすため、効率よくエネルギーを成分に与えるこ
とができる。このため、原子レベルでの加熱を行うこと
ができ、溶液及び基材を高温下に置かなくても、化学反
応を促進させることが可能となる。具体的には、100
℃以下の低温下で無機ポリマーの形成が可能となる。
【0016】また、紫外線を照射する従来技術とは異な
り、赤外線を照射するためオゾンを発生させず、安全な
環境下で作業を行うことが可能となる。
【0017】さらに、溶液の金属Mと基材を構成する原
子との赤外線の吸収効率が異なる場合には、コーティン
グ膜と基材間に温度勾配をつけることができ、基材の耐
熱温度が低くても湿潤ゲル状態のコーティング膜を選択
的に加熱することができる。
【0018】即ち、赤外線を照射することにより雰囲気
温度以上にコーティング膜のみを加熱することができる
わけで、低温雰囲気中でも無機ポリマー形成の化学反応
を促進させることができる。
【0019】また、金属化合物としてシリコンアルキシ
ドを用い、溶液に金属の有機金属化合物、金属酸化物あ
るいは金属塩の添加物を加えた場合には、添加物中の金
属がシリコンSiより赤外線を効率よく吸収するため、
より溶液の乾燥時間を短縮することができ、低温で緻密
な無機ポリマーを得ることができる。
【0020】
【実施例】 (実施例1)容器に、テトラエトキシシラン50g、エ
タノール427gを30分攪拌混合し、さらに、水2
1.4g、塩酸(0.1N)26.4gを加えて2時間
攪拌混合し、コーティング膜形成溶液を調製した。尚、
溶液中の各原料のモル比が、テトラエトキシシラン:エ
タノール:水:塩酸=1:39:11:0.11となる
ようにした。
【0021】こうして調製した溶液を室温(25℃)で
約5日間放置し、テトラエトキシシランの塩酸と水によ
る加水分解反応により、プレポリマー化を促進する熟成
を行った。
【0022】次に、基材である100mm2 のソーダガ
ラス板の中央部に溶液を2.5ml滴下し、直ちにスピ
ンコート(2000rpm×10秒)し、基材表面にウ
エットなコーティング処理を施した。その後、室温で約
10分間放置し、指で触れて乾燥していることを確認し
た後、基材温度を100℃に保ちながら4〜24μmの
波長の中・遠赤外線を3時間照射して、基材表面にコー
ティング膜を形成した。形成された薄膜は、平均570
Åの薄膜を有するものであった。
【0023】こうして得られた薄膜の耐傷つき性を調べ
るために、テーバー摩耗試験(1000回)後のヘイズ
値の増加(%)を測定した結果、ヘイズ値の増加は1.
5%で、摩耗による透明度変化は極めて少なくことがわ
かった(表1参照)。また、得られた薄膜についてNM
R分析を行った結果、架橋度の高いポリシロキサン構造
であることがわかった。
【0024】(実施例2)実施例1と同様に調製した溶
液を室温(25℃)で約5日間放置し、テトラエトキシ
シランの塩酸と水による加水分解反応により、プレポリ
マー化を促進する熟成を行った。
【0025】次に、この溶液にNi2 NO3 ・6H2
をプレポリマー化を行った調製液の1wt%となるよう
添加し、この混合液を基材上に滴下して実施例1と同様
にスピンコートによるウエットコート処理を実施した。
その後、室温で約10分間放置し、指で触れて乾燥して
いることを確認した後、雰囲気温度を85℃に保ちなが
ら4〜24μmの波長の中・遠赤外線を3時間照射し
て、基材表面にコーティング膜を形成した。
【0026】形成された薄膜は、実施例1と同様に平均
570Åの膜厚を有し、テーバー摩耗試験(1000
回)後のヘイズ値の増加は1.5%で、摩耗による透明
度変化は実施例1同様に極めて少なく、またNMR分析
の結果、架橋度の高いポリシロキサン構造であることが
わかった。
【0027】(比較例1)赤外線を照射する以外は、実
施例1と全く同様に溶液を調節して薄膜を形成した。こ
の薄膜についてテーバー摩耗試験を行ったところ、ヘイ
ズ値の増加は4.5%以上と極めて高く、薄膜の透明感
がなくなるほど摩耗が発生した。また、NMR分析の結
果、この薄膜は架橋度の極めて低いポリシロキサン構造
であることがわかった。
【0028】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山 本 安 信 愛知県碧南市港南町2丁目8番地12 アイ シン辰栄株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属化合物と、アルコールと、水と、酸
    または塩基とを混合して溶液を調製する第1の工程と、
    前記溶液を基材表面に塗布して塗膜を形成する第2の工
    程と、前記塗膜に赤外線を照射して前記塗膜を焼成させ
    る第3の工程とを順次行うことを特徴とする無機ポリマ
    ーの形成方法。
  2. 【請求項2】 前記金属化合物はSi(OR)4 で表さ
    れるシリコンアルコキシドであり、前記溶液は、添加物
    として金属の有機金属化合物、金属酸化物あるいは金属
    塩を含むことを特徴とする請求項1記載の無機ポリマー
    の形成方法。
  3. 【請求項3】 金属化合物と、アルコールと、水と、酸
    または塩基とを混合して溶液を調製する第1の工程と、
    前記溶液を型に注入する第2の工程と、前記型に注入さ
    れた溶液に赤外線を照射して焼成させる第3の工程とを
    順次行うことを特徴とする無機ポリマーの形成方法。
  4. 【請求項4】 前記金属化合物はSi(OR)4 で表さ
    れるシリコンアルコキシドであり、前記溶液は、添加物
    として金属の有機金属化合物、金属酸化物あるいは金属
    塩を含むことを特徴とする請求項3記載の無機ポリマー
    の形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010514563A (ja) * 2006-12-29 2010-05-06 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 金属アルコキシド含有フィルムの硬化方法

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