JPH06191803A - 過酸化水素の製造方法 - Google Patents
過酸化水素の製造方法Info
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- JPH06191803A JPH06191803A JP4346209A JP34620992A JPH06191803A JP H06191803 A JPH06191803 A JP H06191803A JP 4346209 A JP4346209 A JP 4346209A JP 34620992 A JP34620992 A JP 34620992A JP H06191803 A JPH06191803 A JP H06191803A
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Abstract
溶液を、交互に還元・酸化する事により過酸化水素を製
造する方法において、作動溶液中のアントラキノン類と
して、アントラキノンとテトラヒドロアントラキノンの
混合物を用い、還元工程において、作動溶液中のテトラ
ヒドロアントラキノンの全量およびアントラキノンの一
部または全量を還元し、還元工程後の作動溶液中のアン
トラヒドロキノンの含有量をテトラヒドロアントラヒド
ロキノンの含有量よりも多く保つ。
Description
トラキノン類を繰り返し還元・酸化する事により、連続
的に過酸化水素を製造する改良された方法に関するもの
である。更に詳しくは、反応媒体としてテトラヒドロア
ントラキノンとアントラキノンの混合物を用い、還元工
程においてテトラヒドロアントラキノンの全量を還元し
た後、更にアントラキノンの一部もしくは全量を還元
し、還元操作後の作動溶液中のアントラヒドロキノンの
含有量がテトラヒドロアントラヒドロキノンの含有量よ
りも多くなるように制御することにより、効率よく過酸
化水素を製造する事からなる過酸化水素の製造方法であ
る。
主な製造方法は、アントラキノン類を反応媒体とする方
法で自動酸化法と呼ばれる。一般に、アントラキノン類
は適当な有機溶媒に溶解して使用される。有機溶媒は単
独または混合物として用いられるが、通常は2種類の有
機溶媒の混合物が使用される。アントラキノン類を有機
溶媒に溶かして調製した溶液は作動溶液と呼ばれる。
を含む作動溶液を触媒の存在下で水素にて還元し、アン
トラヒドロキノン類を生成させる。ついでそのアントラ
ヒドロキノン類を空気もしくは酸素含有気体にて酸化す
る事により、アントラヒドロキノン類をアントラキノン
類に再度転化すると同時に、過酸化水素を生成させる。
作動溶液中に生成した過酸化水素を、通常は水を用いて
抽出分離した後、作動溶液を再び還元工程に戻すことに
より循環プロセスが形成される。このプロセスは、実質
的には水素と空気から過酸化水素を製造するものであ
り、極めて効率的なプロセスである。既にこの循環プロ
セスを用いて、過酸化水素が工業的に製造されている。
ンを含む作動溶液を連続的に循環再使用すると、アント
ラキノンの核が水素添加されることによって生じるテト
ラヒドロアントラキノンが次第に作動溶液中に蓄積され
る。このテトラヒドロアントラキノンはまた、アントラ
キノンと同様に還元・酸化される事により過酸化水素を
生成する能力を有する。そこでこれまでに、作動溶液中
のテトラヒドロアントラキノンとアントラキノンの存在
割合に関して多くの改良がなされてきた。英国特許第8
56420号では、作動溶液中のアントラキノンとテト
ラヒドロアントラキノンの合計含有量(以下、アントラ
キノン類含有量)に対するテトラヒドロアントラキノン
の割合を80%以上に高め、還元工程ではその55%以
下を還元する事を提案しており、その利点としてテトラ
ヒドロアントラキノンを媒体として用いた場合にはアン
トラキノンを媒体として使用した場合に比べ劣化生成物
が生成しにくい事を指摘している。米国特許第3073
680号では、同様の理由によりテトラヒドロアントラ
キノンの含有量を85%以上に高め、その55〜75%
を還元する事を提案している。米国特許第376777
9号では、テトラヒドロアントラキノンの含有量を90
%にまで高め、80〜90%を還元する事を提案してい
る。また米国特許第3540847号では、テトラヒド
ロアントラキノンの含有量をアントラキノン類含有量の
35%以上とし、テトラヒドロアントラキノンの含有量
以下の範囲に還元程度を抑えるのが好ましい事を提案し
ている。更に英国特許第1390408号ではアミルア
ントラキノンの異性体の2種類をそれぞれテトラヒドロ
アントラキノン及びアントラキノンの形態で存在させ、
テトラヒドロアントラキノンの90〜100%を還元す
る事を提案している。又米国特許第4514376号で
は、テトラヒドロアントラキノンのみを反応媒体として
用いるプロセスの優位性を提案し、補充する作動溶液中
のテトラヒドロアントラキノンの濃度を高める方法を開
示している。
ントラキノンの混合物を含む作動溶液を還元する場合、
もっぱら還元反応が容易に進行するテトラヒドロアント
ラキノンのみが優先的に還元され、テトラヒドロアント
ラキノンの全量が還元される迄はアントラキノンの還元
が起こらない事が知られている(例えば、Ind.Eng.Che
m.Process Des.Dev. 1983,22,150-153 )。従って、こ
れら上述の特許では、いずれも作動溶液中にテトラヒド
ロアントラキノンとアントラキノンの混合物を存在させ
てはいるが、還元の程度をテトラヒドロアントラキノン
の含有量以下に抑えることにより、還元反応が容易に進
行するテトラヒドロアントラキノンのみを還元する方
法、すなわち過酸化水素を製造する為の媒体としてもっ
ぱらテトラヒドロアントラキノンのみを利用する技術を
開示したものである。
る方法、即ちテトラヒドロアントラキノンのみを反応媒
体として利用し、それを還元・酸化して過酸化水素を製
造する方法は、テトラヒドロアントラヒドロキノンの酸
化速度が遅いという問題点を有する。そのため、独国特
許第2003268号では、テトラヒドロアントラキノ
ンを反応媒体として用いる場合には、酸化工程での所要
エネルギーが極めて大きくなり、循環プロセスに必要な
全エネルギーの半分以上が酸化工程で消費される事を指
摘すると同時に、酸化反応の効率を高めるための改良さ
れた装置を提案している。更に、酸化反応の効率を高め
る手段として、米国特許第3323868号では特殊な
形状の酸化装置を、米国特許第3073680号では酸
化反応装置内に空気を吹き込むためのスパージャーリン
グの形状を工夫する事を開示している。しかし、いずれ
も酸化工程に特殊な装置が必要となると同時に、多大な
エネルギーが消費され、装置面及び経済面で大きな問題
を有する。
テトラヒドロアントラヒドロキノンの利用に代わり、酸
化反応速度の速いアントラヒドロキノンを過酸化水素製
造のための反応媒体として利用する技術が提案されてい
る。特公昭37−3573号では、作動溶液中のテトラ
ヒドロアントラキノンの含有量をアントラキノン類含有
量の10%以下、好ましくは5%以下とし、反応媒体と
してもっぱらアントラキノンのみを用いる事を提案して
いる。また米国特許第2739042号では経済性の観
点から、作動溶液中のテトラヒドロアントラキノンの含
有量を、アントラキノン類含有量の5%以下とする方法
が提案されている。しかし反応媒体としてアントラキノ
ンのみを用いる場合には、その還元体であるアントラヒ
ドロキノンの有機溶媒に対する溶解度が、テトラヒドロ
アントラヒドロキノンの溶解度に比べて一般的に低いた
め、作動溶液中のアントラヒドロキノンの濃度を高める
には限界があり、その結果作動溶液1循環当たりの過酸
化水素取得量に限界があるという欠点を有する。その欠
点を解決する方法として特公昭35−15777号で
は、アルキル基が第二級アミル基及び第三級アミル基で
あるアミルアントラキノン混合物を反応媒体として用
い、還元工程で生成するアミルアントラヒドロキノンの
溶解度を高める方法を開示している。
類を含む作動溶液を交互に還元・酸化する事により過酸
化水素を製造する方法において、過酸化水素を製造する
為の有効な媒体として、実質的にはアントラキノンまた
はテトラヒドロアントラキノンのいずれかを単独で使用
していた。還元工程でテトラヒドロアントラキノンの全
量を還元するとともに、それに加えて更にアントラキノ
ンをも還元し、アントラヒドロキノンの含有量をテトラ
ヒドロアントラヒドロキノンの含有量よりも多くする事
によってもたらされる優位性については公知文献には全
く述べられていない。
テトラヒドロアントラキノンを媒体として用いる場合に
は酸化工程の反応条件を強化する必要があり、その結果
エネルギー消費量が著しく大きくなり経済的に不利であ
るという問題がある。一方、アントラキノンを媒体とし
て用いる場合には、アントラヒドロキノンの有機溶媒に
対する溶解度が比較的低いために、作動溶液1循環当た
りの過酸化水素取得量を高める事が困難であるという問
題点がある。
キノン類を含む作動溶液を、交互に還元・酸化する事に
より過酸化水素を製造する方法において、前記の問題点
を解決するべく鋭意検討を続けた結果、反応媒体として
テトラヒドロアントラキノンとアントラキノンの混合物
を用い、還元工程でアントラヒドロキノンの含有量がテ
トラヒドロアントラヒドロキノンの含有量より多くなる
ように還元操作することにより、効率よく経済的に過酸
化水素を製造できる事を見いだした。即ち、本発明は、
反応媒体としてアントラキノン類を含む作動溶液を、交
互に還元・酸化する事により過酸化水素を製造する方法
において、作動溶液中のアントラキノン類として、アン
トラキノンとテトラヒドロアントラキノンの混合物を用
い、還元工程において、作動溶液中のテトラヒドロアン
トラキノンの全量およびアントラキノンの一部または全
量を還元し、還元工程後の作動溶液中のアントラヒドロ
キノンの含有量をテトラヒドロアントラヒドロキノンの
含有量よりも多く保つことを特徴とする過酸化水素の製
造方法である。
は、アルキル置換基を有するアルキルアントラキノン類
を用いる事が好ましく、その中でも特に溶解度の高いア
ミルアントラキノンの使用が好ましい。また、その他の
アルキルアントラキノン類、即ち、エチルアントラキノ
ン、ターシャリーブチルアントラキノン、あるいは複数
のアルキルアントラキノン類の混合物を用いることもで
きる。本発明では、これらを総称してアントラキノンと
言い、これらの芳香核の一つが四水素添加されたキノン
体を総称してテトラヒドロアントラヒドロキノンと言
う。
キノンとアントラキノンの両方を還元して作動溶液中に
異種ヒドロキノン類の混合状態を存在させる方法を用い
ることでヒドロキノン類の溶解度を高め、その結果作動
溶液1循環当たりの過酸化水素取得量を高く維持する事
が可能となる。また、本発明においては、過酸化水素製
造のための反応媒体として酸化反応が容易に進行するア
ントラヒドロキノンを酸化反応速度の遅いテトラヒドロ
アントラヒドロキノンよりも多く用いる事により、酸化
工程でのエネルギー消費量を低く抑える事が可能とな
る。
める方法としては、アントラキノンとテトラヒドロアン
トラキノンを共存させた作動溶液を用い、還元工程にお
いて優先的に還元されるテトラヒドロアントラキノンの
全量を還元した後、更にアントラキノンの一部もしくは
全量を還元する事により、テトラヒドロアントラヒドロ
キノンとアントラヒドロキノンを作動溶液中に共存させ
る方法を用いる事ができる。テトラヒドロアントラヒド
ロキノンとアントラヒドロキノンが共存する系において
は、図−1に示したように作動溶液中の全ヒドロキノン
類の合計溶解度がアントラヒドロキノン単独の場合の溶
解度を上回る。このようなテトラヒドロアントラヒドロ
キノンとアントラヒドロキノンが共存する系を作動溶液
として利用することにより、作動溶液1循環当たりの過
酸化水素取得量を高く維持する事ができる。
量の低減化は、反応媒体として酸化が容易に進行するア
ントラヒドロキノンを主体的に利用する事により達成す
ることが出来る。そのためには還元工程において、アン
トラヒドロキノンの比較的低い溶解度を補うのに必要な
量以上のテトラヒドロアントラヒドロキノンを存在させ
る程度に還元操作を行う事が好ましい。本発明における
アントラキノン類の還元率は、還元された後の作動溶液
中のアントラヒドロキノンがテトラヒドロアントラヒド
ロキノンより多く含まれるようにする。
アントラヒドロキノンとアントラヒドロキノンの混合割
合により変化するが、作動溶液中のヒドロキノン類の濃
度を高めすぎると、酸化工程で部分的に遊離する過酸化
水素水の濃度が高くなりすぎ、安全上の問題を生じる。
そこで安全性及び経済性を考慮した上で、好ましい溶解
度を示す混合割合が選択される。本発明に用いられる作
動溶液中のアントラキノンとテトラヒドロアントラキノ
ンの比率は、好ましくは2:1〜8:1、さらに好まし
くは3:1〜6:1になるように調製される。
用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、好
ましい溶媒としては、芳香族炭化水素と高級アルコール
との組み合わせ、芳香族炭化水素とシクロヘキサノール
もしくはアルキルシクロヘキサノールのカルボン酸エス
テルとの組み合わせ、四置換尿素が例示される。本発明
における還元工程の操作条件は特に制限されるものでは
ないが、一般にはパラジウム触媒、白金触媒またはニッ
ケル触媒等の触媒の存在下、10〜80℃の温度範囲、1〜
5気圧の圧力範囲にて水素または水素含有ガスを用いて
還元する方法を採用することができる。反応装置の形式
としては、固定床式反応装置、流動床式反応装置および
攪拌式反応装置等を制限無く採用することができる。
に詳細に説明する。実施例中で用いられている作動溶液
中の成分の分析値は、特にことわりがない限り液体クロ
マトグラフによる値である。また、過酸化水素濃度の測
定は、硫酸酸性過マンガン酸カリウム溶液による滴定法
により行った。 実施例1 作動溶液中のヒドロキノン類の溶解度の測定を以下の方
法により行った。即ち、トリメチルベンゼンとジイソブ
チルカルビノールの容量比が 1.5:1である混合物を溶
媒として用い、溶質としてアミルアントラキノン及びア
ミルテトラヒドロアントラキノンを用いて作動溶液を調
製した。作動溶液中のアミルアントラキノンとアミルテ
トラヒドロアントラキノンの濃度の合計を 0.8モル/l
とし、両者の割合を変化させて種々の作動溶液を調製し
た。これらの作動溶液25mlをガラス容器に入れ、触媒
として1%Pd/Al2O33gを加えた後、40℃にて水
素ガスと反応させた。水素ガスの反応量は、作動溶液中
にアントラヒドロキノン類の結晶が認められるまで継続
した。反応終了後ガラス容器内の水素ガスを窒素ガスで
置換し、ガラス容器を密栓して恒温槽に入れ、35℃で24
時間放置した。その後、ガラス容器内の触媒及びヒドロ
キノン類の結晶を完全にろ別し、ろ液中のヒドロキノン
類を酸素ガスを用いて完全に酸化した。酸化によって生
成した過酸化水素を水で抽出してその濃度を測定する事
により、ろ液中に存在するヒドロキノン類の濃度を求
め、その値を作動溶液に対するヒドロキノン類の飽和溶
解度とした。アミルアントラキノンとアミルテトラヒド
ロアントラキノンの混合割合と溶解度との相互関係を図
−1に示した。
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルテトラヒドロアントラキノンの濃度が0.15モル/リッ
トル、アミルアントラキノンの濃度が0.65モル/リット
ルとなるように作動溶液を調製した。この作動溶液 200
mlを攪拌器を備えた邪魔板付きガラス製反応容器内に
入れた。更に触媒として1%Pd/Al2O3 20gを加
え、反応容器内を窒素ガスで置換した後、更に水素ガス
で置換した。作動溶液の温度を40℃迄昇温したのち攪拌
を開始した。反応容器の圧力が常圧を保つように水素ガ
スを補給し、水素ガスの反応消費量が 1.8Nlになるま
で反応を継続した。反応を継続している間、反応温度を
40℃に保った。反応終了後直ちにアルゴンガスにて反応
容器内を置換し、水素ガスのない状態で35℃にて作動溶
液を1時間静置した。静置後の作動溶液には、ヒドロキ
ノンの結晶の析出は認められなかった。水添反応により
0.407モル/リットルのヒドロキノンが作動溶液中に生
成した。次いで、反応終了後の作動溶液を空気と接触し
ないようにアルゴンガス雰囲気下で濾過し、反応後の作
動溶液から触媒を濾別した。濾過後の作動溶液 100ml
をアルゴンガス雰囲気下で酸化反応器に移した。酸化反
応器にはあらかじめアルゴンガスを満たしてあり、作動
溶液が空気と接触しないように全操作を行った。酸化反
応器は、4枚の邪魔板、焼結ガラス製の空気吹き込み管
及び冷却管つき廃ガス放出口を備えた、容量 200mlの
ガラス製の機械攪拌式反応器である。作動溶液を上述の
操作にて酸化反応器に移した後、1000rpmにて攪拌を
開始し、5Nl/分にて空気を10分供給した後、直ちに
攪拌及び空気の供給を停止し、反応容器内をアルゴンガ
スで置換した。酸化反応の圧力は常圧であり、温度は反
応容器全体を恒温槽に浸し、35℃になるように制御し
た。反応後の作動溶液から過酸化水素を水を用いて抽出
し、生成量を求めた結果1.18gの過酸化水素が回収され
た。また酸化されずに残留したヒドロキノンは0.05モル
/リットルであった。
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルアントラキノンの濃度が0.80モル/リットルであり、
アミルテトラヒドロアントラキノンを含まない作動溶液
を調製して用いた以外は、実施例2と同様の操作にて水
素添加反応を行った。反応後の作動溶液中には、ヒドロ
キノンの結晶の析出が認められた。
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルテトラヒドロアントラキノンの濃度が0.80モル/リッ
トルであり、アミルアントラキノンを含まない作動溶液
を調製して用いた以外は、実施例2と同様の操作にて水
添反応及び酸化反応を行った。水添反応によって生成し
たヒドロキノンの濃度は 0.413モル/リットルであり、
ヒドロキノンの結晶の析出は認められなかった。酸化反
応後に回収された過酸化水素の量は、0.84gであり、酸
化されずに残留したヒドロキノンは 0.161モル/リット
ルであった.
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルテトラヒドロアントラキノンの濃度が0.65モル/リッ
トル、アミルアントラキノンの濃度が0.15モル/リット
ルとなるように作動溶液を調製して用いた以外は、実施
例2と同様の操作にて水添反応及び酸化反応を行った。
水添反応によって生成したヒドロキノンの濃度は 0.409
モル/リットルであり、ヒドロキノンの結晶の析出は認
められなかった。酸化反応後に回収された過酸化水素の
量は0.80gであり、酸化されずに残留したヒドロキノン
は0.170モル/リットルであった.
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルテトラヒドロアントラキノンの濃度が0.30モル/リッ
トル、アミルアントラキノンの濃度が0.50モル/リット
ルとなるように作動溶液を調製して用いた以外は、実施
例2と同様の操作にて水添反応及び酸化反応を行った。
水添反応によって生成したヒドロキノンの濃度は 0.416
モル/リットルであり、ヒドロキノンの結晶の析出は認
められなかった。酸化反応後に回収された過酸化水素の
量は1.01gであり、酸化されずに残留したヒドロキノン
は0.135モル/リットルであった.
プゾール#100とオクタノールの容量比が 1.5:1で
ある混合溶媒を用いたこと以外は、実施例2と同様の操
作にて作動溶液の調製および水添反応、酸化反応を行っ
た。水添反応後に作動溶液中に生じたヒドロキノンは
0.411モル/リットルであり、ヒドロキノンの結晶の析
出は認められなかった。酸化反応後に回収された過酸化
水素の量は、1.17gであり、酸化されずに残留したヒド
ロキノンは0.06モル/リットルであった。
ルの容量比が 1.5:1である混合溶媒を用いたことを除
き、実施例3と同様の方法にて水素添加反応を行った。
反応後の作動溶液中にヒドロキノンの結晶の析出が認め
られた。
ルの容量比が 1.5:1である混合溶媒を用いたことを除
き、実施例3と同様の方法にて水素添加反応を行った。
水添反応によって生成したヒドロキノンの濃度は 0.402
モル/リットルであり、ヒドロキノンの結晶の析出は認
められなかった。酸化反応後に回収された過酸化水素は
0.76gであり、酸化されずに残留したヒドロキノンの濃
度は 0.175モル/リットルであった。
ルの容量比が 1.5:1である混合溶媒を用いて、作動溶
液中のアミルテトラヒドロアントラキノンの濃度が 0.4
モル/リットル、アミルアントラキノンの濃度が 0.4モ
ル/リットルとなるように作動溶液を調製して用いたこ
とを除き、実施例3と同様の方法にて水素添加反応を行
った。水添反応によって生成したヒドロキノンの濃度は
0.415モル/リットルであり、ヒドロキノンの結晶の析
出は認められなかった。酸化反応後に回収された過酸化
水素は0.88gであり、酸化されずに残留したヒドロキノ
ンの濃度は 0.157モル/リットルであった。
作動溶液1循環当たりの過酸化水素取得量を高く維持し
て、かつ、酸化工程を効率良く操作する事ができ、従来
法に比べて操作的にも経済的にも有利に過酸化水素が製
造される。
トラキノン類を繰り返し還元・酸化することにより、連
続的に過酸化水素を製造する改良された方法に関するも
のである。更に詳しくは、反応媒体としてアルキル置換
基を有するアントラキノンとアルキル置換基を有するテ
トラヒドロアントラキノン(以下それぞれを単にアント
ラキノン、テトラヒドロアントラキノンと称す)の混合
物を用い、還元工程においてテトラヒドロアントラキノ
ンの全量を還元した後、更にアントラキノンの一部もし
くは全量を還元し、還元操作後の作動溶液中のアルキル
置換基を有するアントラヒドロキノンの含有量がアルキ
ル置換基を有するテトラヒドロアントラヒドロキノン
(以下それぞれを単にアントラヒドロキノン、テトラヒ
ドロアントラヒドロキノンと称す)の含有量よりも多く
なるように制御することにより、効率よく過酸化水素を
製造することからなる過酸化水素の製造方法である。
主な製造方法は、アントラキノンまたはテトラヒドロア
ントラキノン(以下、アントラキノン類と称す)を反応
媒体とする方法で自動酸化法と呼ばれる。一般に、アン
トラキノン類は適当な有機溶媒に溶解して使用される。
有機溶媒は単独または混合物として用いられるが、通常
は2種類の有機溶媒の混合物が使用される。アントラキ
ノン類を有機溶媒に溶かして調製した溶液は作動溶液と
呼ばれる。
を含む作動溶液を触媒の存在下で水素にて還元し、アン
トラヒドロキノン類を生成させる。ついでそのアントラ
ヒドロキノン類を空気もしくは酸素含有気体にて酸化す
ることにより、アントラヒドロキノン類をアントラキノ
ン類に再度転化すると同時に、過酸化水素を生成させ
る。作動溶液中に生成した過酸化水素を、通常は水を用
いて抽出分離した後、作動溶液を再び還元工程に戻すこ
とにより循環プロセスが形成される。このプロセスは、
実質的には水素と空気から過酸化水素を製造するもので
あり、極めて効率的なプロセスである。既にこの循環プ
ロセスを用いて、過酸化水素が工業的に製造されてい
る。
ンを含む作動溶液を連続的に循環再使用すると、アント
ラキノンの核が水素添加されることによって生じるテト
ラヒドロアントラキノンが次第に作動溶液中に蓄積され
る。このテトラヒドロアントラキノンはまた、アントラ
キノンと同様に還元・酸化されることにより過酸化水素
を生成する能力を有する。これまでに、作動溶液中のテ
トラヒドロアントラキノンとアントラキノンの存在割合
に関して多くの提案がなされてきた。英国特許第856
420号では、作動溶液中のアントラキノンとテトラヒ
ドロアントラキノンの合計含有量(以下、アントラキノ
ン類含有量と称す)に対するテトラヒドロアントラキノ
ンの割合を80%以上に高め、還元工程ではその55%
以下を還元することを提案しており、その利点としてテ
トラヒドロアントラキノンを媒体として用いた場合には
アントラキノンを媒体として使用した場合に比べ劣化生
成物が生成しにくいことを指摘している。米国特許第3
073680号では、同様の理由によりテトラヒドロア
ントラキノンの含有量を85%以上に高め、その55〜
75%を還元することを提案している。米国特許第37
67779号では、テトラヒドロアントラキノンの含有
量を90%にまで高め、80〜90%を還元することを
提案している。また米国特許第3540847号では、
テトラヒドロアントラキノンの含有量をアントラキノン
含有量の35%以上とし、テトラヒドロアントラキノン
の含有量以下の範囲に還元程度を抑えるのが好ましいこ
とを提案している。更に英国特許第1390408号で
はアミルアントラキノンの異性体の2種類をそれぞれテ
トラヒドロアントラキノン及びアントラキノンの形態で
存在させ、テトラヒドロアントラキノンの90〜100
%を還元することを提案している。又米国特許第451
4376号では、テトラヒドロアントラキノンのみを反
応媒体として用いるプロセスの優位性を提案し、補充す
る作動溶液中のテトラヒドロアントラキノンの濃度を高
める方法を開示している。
ントラキノンの混合物を含む作動溶液を還元する場合、
もっぱら還元反応が容易に進行するテトラヒドロアント
ラキノンのみが優先的に還元され、テトラヒドロアント
ラキノンの全量が還元される迄はアントラキノンの還元
が起こらないことが知られている(例えば、Ind.Eng.Ch
em.Process Des.Dev. 1983,22,150-153 )。要するに、
前述した文献では、いずれも作動溶液中にテトラヒドロ
アントラキノンとアントラキノンの混合物を存在させて
はいるが、還元の程度をテトラヒドロアントラキノンの
含有量以下に抑えることにより、還元反応が容易に進行
するテトラヒドロアントラキノンのみを還元する方法、
すなわち過酸化水素を製造する為の媒体としてもっぱら
テトラヒドロアントラキノンのみを利用する技術を開示
したものである。
る方法、即ちテトラヒドロアントラキノンのみを反応媒
体として利用し、それを還元・酸化して過酸化水素を製
造する方法は、テトラヒドロアントラヒドロキノンの酸
化速度が遅いという問題点を有する。そのため、独国特
許第2003268号では、テトラヒドロアントラキノ
ンを反応媒体として用いる場合には、酸化工程での所要
エネルギーが極めて大きくなり、循環プロセスに必要な
全エネルギーの半分以上が酸化工程で消費されることを
指摘すると同時に、酸化反応の効率を高めるための改良
された装置を提案している。更に、酸化反応の効率を高
める手段として、米国特許第3323868号では特殊
な形状の酸化装置を、米国特許第3073680号では
酸化反応装置内に空気を吹き込むためのスパージャーリ
ングの形状を工夫することを開示している。しかし、い
ずれも酸化工程に特殊な装置が必要となると同時に、多
大なエネルギーが消費され、装置面及び経済面で大きな
問題を有する。
ヒドロアントラヒドロキノンの利用に代わり、酸化反応
速度の速いアントラヒドロキノンを過酸化水素製造のた
めの反応媒体として利用する技術が提案されている。特
公昭37−3573号では、作動溶液中のテトラヒドロ
アントラキノンの含有量をアントラキノン類含有量の1
0%以下、好ましくは5%以下とし、反応媒体としても
っぱらアントラキノンのみを用いることを提案してい
る。また米国特許第2739042号では経済性の観点
から、作動溶液中のテトラヒドロアントラキノンの含有
量を、アントラキノン類含有量の5%以下とする方法が
提案されている。しかし反応媒体としてアントラキノン
のみを用いる場合には、その還元体であるアントラヒド
ロキノンの有機溶媒に対する溶解度が、テトラヒドロア
ントラヒドロキノンの溶解度に比べて一般に低いため、
作動溶液中のアントラヒドロキノンの濃度を高めるには
限界があり、その結果作動溶液1循環当たりの過酸化水
素取得量に限界があるという欠点を有する。その欠点を
解決する方法として特公昭35−15777号では、ア
ルキル基が第二級アミル基及び第三級アミル基であるア
ミルアントラキノン混合物を反応媒体として用い、還元
工程で生成するアミルアントラヒドロキノンの溶解度を
高める方法を開示している。
類を含む作動溶液を交互に還元・酸化することにより過
酸化水素を製造する方法において、過酸化水素を製造す
る為の有効な媒体として、実質的にはアントラキノンま
たはテトラヒドロアントラキノンのいずれかを単独で使
用していた。そして、本発明のような還元工程でテトラ
ヒドロアントラキノンの全量を還元するとともに、それ
に加えて更にアントラキノンをも還元し、アントラヒド
ロキノンの含有量をテトラヒドロアントラヒドロキノン
の含有量よりも多くすることによってもたらされる優位
性については公知文献には全く述べられていない。
テトラヒドロアントラキノンを媒体として用いる場合に
は酸化工程の反応条件を強化する必要があり、その結果
エネルギー消費量が著しく大きくなり経済的に不利であ
るという問題がある。一方、アントラキノンを媒体とし
て用いる場合には、アントラヒドロキノンの有機溶媒に
対する溶解度が比較的低いために、作動溶液1循環当た
りの過酸化水素取得量を高めることが困難であるという
問題点がある。
キノン類を含む作動溶液を、交互に還元・酸化すること
により過酸化水素を製造する方法において、前記の問題
点を解決するべく鋭意検討を続けた結果、反応媒体とし
てテトラヒドロアントラキノンとアントラキノンの混合
物を用い、還元工程でアントラヒドロキノンの含有量が
テトラヒドロアントラヒドロキノンの含有量より多くな
るように還元操作することにより、効率よく経済的に過
酸化水素を製造できることを見いだした。即ち、本発明
は、反応媒体としてアントラキノン類を含む作動溶液
を、交互に還元・酸化することにより過酸化水素を製造
する方法において、作動溶液中のアントラキノン類とし
て、アントラキノンとテトラヒドロアントラキノンの混
合物を用い、還元工程において、作動溶液中のテトラヒ
ドロアントラキノンの全量およびアントラキノンの一部
または全量を還元し、還元工程後の作動溶液中のアント
ラヒドロキノンの含有量をテトラヒドロアントラヒドロ
キノンの含有量よりも多く保つことを特徴とする、過酸
化水素の効率的な製造方法を提供するものである。
アントラキノン類としては、作動溶液の溶媒に対して溶
解度の高いアントラキノン類の使用が好ましい。好まし
いアルキルアントラキノン類として、エチルアントラキ
ノン、t−ブチルアントラキノンおよびアミルアントラ
キノンが例示され、特にsec−アミルアントラキノン
およびt−アミルアントラキノンが好ましい。複数種の
アルキルアントラキノン類の混合物を用いることもまた
好ましい。前記した通り、本発明ではこれらを総称して
アントラキノンと言い、これらの芳香核の一つが四水素
添加されたキノン体を総称してテトラヒドロアントラキ
ノンと言い、両者は併用される。
キノンとアントラキノンの両方を還元して作動溶液中に
異種ヒドロキノン類の混合状態を存在させる方法を用い
ることでヒドロキノン類の溶解度を高め、その結果作動
溶液1循環当たりの過酸化水素取得量を高く維持するこ
とが可能となる。また、本発明においては、過酸化水素
製造のための反応媒体として酸化反応が容易に進行する
アントラヒドロキノンを酸化反応速度の遅いテトラヒド
ロアントラヒドロキノンよりも多く用いることにより酸
化反応速度を高め、酸化工程でのエネルギー消費量を低
く抑えることが可能となる。
める方法として、アントラキノンとテトラヒドロアント
ラキノンを共存させた作動溶液を用い、還元工程におい
て優先的に還元されるテトラヒドロアントラキノンの全
量を還元した後、更にアントラキノンの一部もしくは全
量を還元することにより、テトラヒドロアントラヒドロ
キノンとアントラヒドロキノンを作動溶液中に共存させ
る方法を用いるのである。テトラヒドロアントラヒドロ
キノンとアントラヒドロキノンが共存する系において
は、図−1に示したように作動溶液中の全ヒドロキノン
類の合計溶解度がアントラヒドロキノン単独の場合の溶
解度を上回る。このようなテトラヒドロアントラヒドロ
キノンとアントラヒドロキノンが共存する系を作動溶液
として利用することにより、作動溶液1循環当たりの過
酸化水素取得量を高く維持することができる。
量の低減は、反応媒体として酸化が容易に進行するアン
トラヒドロキノンを主体的に利用することにより達成さ
れる。そのためには還元工程において、アントラヒドロ
キノンの比較的低い溶解度を補うのに必要な量のテトラ
ヒドロアントラヒドロキノンが存在する程度に還元操作
を行うが、本発明におけるアントラキノン類の還元率
は、還元された後の作動溶液中のアントラヒドロキノン
がテトラヒドロアントラヒドロキノンより多く含まれる
ようにすることが必要である。
ヒドロアントラヒドロキノンとアントラヒドロキノンの
混合割合により変化するが、作動溶液中のヒドロキノン
類の濃度を高めすぎると、酸化工程で部分的に遊離する
過酸化水素水の濃度が高くなりすぎ、安全上の問題を生
じる。そこで安全性及び経済性を考慮した上で、好まし
い溶解度を示す混合割合が選択される。本発明に用いら
れる作動溶液中のアントラキノンとテトラヒドロアント
ラキノンの比率は、好ましくは2:1〜8:1、さらに
好ましくは3:1〜6:1になるように調製される。
用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、好
ましい溶媒としては、芳香族炭化水素と高級アルコール
との組み合わせ、芳香族炭化水素とシクロヘキサノール
もしくはアルキルシクロヘキサノールのカルボン酸エス
テルとの組み合わせ、四置換尿素が例示される。本発明
における還元工程の操作条件は特に制限されるものでは
ないが、一般にはパラジウム触媒、白金触媒またはニッ
ケル触媒等の触媒の存在下、10〜80℃の温度範囲、1〜
5気圧の圧力範囲にて水素または水素含有ガスを用いて
還元する方法を採用することができる。反応装置の形式
としては、固定床式反応装置、流動床式反応装置および
攪拌式反応装置等を制限無く採用することができる。
に詳細に説明する。実施例中で用いられている作動溶液
中の成分の分析値は、特にことわりがない限り液体クロ
マトグラフによる値である。また、過酸化水素濃度の測
定は、硫酸酸性過マンガン酸カリウム溶液による滴定法
により行った。 実施例1 作動溶液中のヒドロキノン類の溶解度の測定を以下の方
法により行った。即ち、トリメチルベンゼンとジイソブ
チルカルビノールの容量比が 1.5:1である混合物を溶
媒として用い、溶質としてアミルアントラキノン及びア
ミルテトラヒドロアントラキノンを用いて作動溶液を調
製した。作動溶液中のアミルアントラキノンとアミルテ
トラヒドロアントラキノンの濃度の合計を 0.8モル/l
とし、両者の割合を変化させて種々の作動溶液を調製し
た。これらの作動溶液25mlをガラス容器に入れ、触媒
として1%Pd/Al2O33gを加えた後、40℃にて水
素ガスと反応させた。水素ガスの反応量は、作動溶液中
にアミルアントラヒドロキノンの結晶が認められるまで
継続した。反応終了後ガラス容器内の水素ガスを窒素ガ
スで置換し、ガラス容器を密栓して恒温槽に入れ、35℃
で24時間放置した。その後、ガラス容器内の触媒及びア
ミルアントラヒドロキノンの結晶を完全にろ別し、ろ液
中のアントラヒドロキノン類を酸素ガスを用いて完全に
酸化した。酸化によって生成した過酸化水素を水で抽出
してその濃度を測定することにより、ろ液中に存在する
アントラヒドロキノン類の濃度を求め、その値を作動溶
液に対するアントラヒドロキノン類の飽和溶解度とし
た。アミルアントラキノンとアミルテトラヒドロアント
ラキノンの混合割合と溶解度との相互関係を図−1に示
した。
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルテトラヒドロアントラキノンの濃度が0.15モル/リッ
トル、アミルアントラキノンの濃度が0.65モル/リット
ルとなるように作動溶液を調製した。この作動溶液 200
mlを攪拌器を備えた邪魔板付きガラス製反応容器内に
入れた。更に触媒として1%Pd/Al2O3 20gを加
え、反応容器内を窒素ガスで置換した後、更に水素ガス
で置換した。作動溶液の温度を40℃迄昇温したのち攪拌
を開始した。反応系の圧力が常圧を保つように水素ガス
を補給し、水素ガスの反応消費量が 1.8Nlになるまで
反応を継続した。反応を継続している間、反応温度を40
℃に保った。反応終了後直ちにアルゴンガスにて反応系
内を置換し、水素ガスのない状態で35℃にて作動溶液を
1時間静置した。静置後の作動溶液には、アントラヒド
ロキノン類の結晶の析出は認められなかった。水添反応
により 0.407モル/リットルのアントラヒドロキノン類
が作動溶液中に生成した。次いで、反応終了後の作動溶
液を空気と接触しないようにアルゴンガス雰囲気下で濾
過し、反応後の作動溶液から触媒を濾別した。濾過後の
作動溶液 100mlをアルゴンガス雰囲気下で酸化反応器
に移した。酸化反応器にはあらかじめアルゴンガスを満
たしてあり、作動溶液が空気と接触しないように全操作
を行った。酸化反応器は、4枚の邪魔板、焼結ガラス製
の空気吹き込み管及び冷却管つき廃ガス放出口を備え
た、容量 200mlのガラス製の機械攪拌式反応器であ
る。作動溶液を上述の操作にて酸化反応器に移した後、
1000rpmにて攪拌を開始し、5Nl/分にて空気を10
分供給した後、直ちに攪拌及び空気の供給を停止し、反
応容器内をアルゴンガスで置換した。酸化反応の圧力は
常圧であり、温度は反応容器全体を恒温槽に浸し、35℃
になるように制御した。反応後の作動溶液から過酸化水
素を水を用いて抽出し、生成量を求めた結果、1.18gの
過酸化水素が回収された。また酸化されずに残留したア
ントラヒドロキノン類は0.05モル/リットルであった。
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルアントラキノンの濃度が0.80モル/リットルであり、
アミルテトラヒドロアントラキノンを含まない作動溶液
を調製して用いた以外は、実施例2と同様の操作にて水
素添加反応を行った。反応後の作動溶液中には、アント
ラヒドロキノンの結晶の析出が認められた。
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルテトラヒドロアントラキノンの濃度が0.80モル/リッ
トルであり、アミルアントラキノンを含まない作動溶液
を調製して用いた以外は、実施例2と同様の操作にて水
添反応及び酸化反応を行った。水添反応によって生成し
たテトラヒドロアントラヒドロキノンの濃度は 0.413モ
ル/リットルであり、反応後の作動溶液中にはアントラ
ヒドロキノン類の結晶の析出は認められなかった。酸化
反応後に回収された過酸化水素の量は、0.84gであり、
酸化されずに残留したテトラヒドロアントラヒドロキノ
ンは 0.161モル/リットルであった。以上の結果から明
らかなように、アミルアントラキノンのみを反応に使用
する従来法(比較例1)においてはアミルアントラヒド
ロキノンの低い溶解度のために、また、アミルテトラヒ
ドロアントラキノンのみを反応に使用する従来法(比較
例2)においてはアミルテトラヒドロアントラヒドロキ
ノンの低い反応速度のために、いずれも過酸化水素の生
成量を高くすることが困難である。これに対し、本発明
の方法(実施例2)においてはアミルアントラキノンと
アミルテトラヒドロアントラヒドロキノンを併用するこ
とにより過酸化水素の生成量を相乗的に、より高くする
ことができる。
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルテトラヒドロアントラキノンの濃度が0.65モル/リッ
トル、アミルアントラキノンの濃度が0.15モル/リット
ルとなるように作動溶液を調製して用いた以外は、実施
例2と同様の操作にて水添反応及び酸化反応を行った。
水添反応によって生成したアントラヒドロキノン類の濃
度は 0.409モル/リットルであり、アントラヒドロキノ
ン類の結晶の析出は認められなかった。酸化反応後に回
収された過酸化水素の量は0.80gであり、酸化されずに
残留したアントラヒドロキノン類は 0.170モル/リット
ルであった。
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルテトラヒドロアントラキノンの濃度が0.30モル/リッ
トル、アミルアントラキノンの濃度が0.50モル/リット
ルとなるように作動溶液を調製して用いた以外は、実施
例2と同様の操作にて水添反応及び酸化反応を行った。
水添反応によって生成したアントラヒドロキノン類の濃
度は 0.416モル/リットルであり、アントラヒドロキノ
ン類の結晶の析出は認められなかった。酸化反応後に回
収された過酸化水素の量は1.01gであり、酸化されずに
残留したアントラヒドロキノン類は 0.135モル/リット
ルであった。
プゾール#100とオクタノールの容量比が 1.5:1で
ある混合溶媒を用いたこと以外は、実施例2と同様の操
作にて作動溶液の調製および水添反応、酸化反応を行っ
た。水添反応後に作動溶液中に生じたアントラヒドロキ
ノン類は 0.411モル/リットルであり、アントラヒドロ
キノン類の結晶の析出は認められなかった。酸化反応後
に回収された過酸化水素の量は、1.17gであり、酸化さ
れずに残留したアントラヒドロキノン類は0.06モル/リ
ットルであった。
ルの容量比が 1.5:1である混合溶媒を用いたことを除
き、比較例1と同様の方法にて水素添加反応を行った。
反応後の作動溶液中にはアントラヒドロキノンの結晶の
析出が認められた。
ルの容量比が 1.5:1である混合溶媒を用いたことを除
き、比較例2と同様の方法にて水素添加反応を行った。
水添反応によって生成したテトラヒドロアントラヒドロ
キノンの濃度は0.402モル/リットルであり、アントラ
ヒドロキノン類の結晶の析出は認められなかった。酸化
反応後に回収された過酸化水素は0.76gであり、酸化さ
れずに残留したテトラヒドロアントラヒドロキノンの濃
度は 0.175モル/リットルであった。
ルの容量比が 1.5:1である混合溶媒を用いて、作動溶
液中のアミルテトラヒドロアントラキノンの濃度が 0.4
モル/リットル、アミルアントラキノンの濃度が 0.4モ
ル/リットルとなるように作動溶液を調製して用いたこ
とを除き、実施例3と同様の方法にて水素添加反応を行
った。水添反応によって生成したアントラヒドロキノン
類の濃度は 0.415モル/リットルであり、アントラヒド
ロキノン類の結晶の析出は認められなかった。酸化反応
後に回収された過酸化水素は0.88gであり、酸化されず
に残留したアントラヒドロキノン類の濃度は 0.157モル
/リットルであった。
作動溶液1循環当たりの過酸化水素取得量を高く維持し
て、かつ、酸化工程を効率良く操作することができ、従
来法に比べて操作的にも経済的にも有利に過酸化水素が
製造される。
ドロアントラヒドロキノンおよび両者の混合物の、トリ
メチルベンゼンとジイソブチルカルビノールの容量比が
1.5:1である混合溶媒に対する溶解度を示す。
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルテトラヒドロアントラキノンの濃度が0.15モル/リッ
トル、アミルアントラキノンの濃度が0.65モル/リット
ルとなるように作動溶液を調製した。この作動溶液 200
mlを攪拌器を備えた邪魔板付きガラス製反応容器内に
入れた。更に触媒として1%Pd/Al2O3 20gを加
え、反応容器内を窒素ガスで置換した後、更に水素ガス
で置換した。作動溶液の温度を40℃迄昇温したのち攪拌
を開始した。反応系の圧力が常圧を保つように水素ガス
を補給し、水素ガスの反応消費量が 1.8Nlになるまで
反応を継続した。反応を継続している間、反応温度を40
℃に保った。反応終了後直ちにアルゴンガスにて反応系
内を置換し、水素ガスのない状態で35℃にて作動溶液を
1時間静置した。静置後の作動溶液には、アントラヒド
ロキノン類の結晶の析出は認められなかった。水添反応
により 0.407モル/リットルのアントラヒドロキノン類
(アミルテトラヒドロアントラヒドロキノン0.15モル/
リットル、アミルアントラヒドロキノン 0.257モル/リ
ットル)が作動溶液中に生成した。次いで、反応終了後
の作動溶液を空気と接触しないようにアルゴンガス雰囲
気下で濾過し、反応後の作動溶液から触媒を濾別した。
濾過後の作動溶液 100mlをアルゴンガス雰囲気下で酸
化反応器に移した。酸化反応器にはあらかじめアルゴン
ガスを満たしてあり、作動溶液が空気と接触しないよう
に全操作を行った。酸化反応器は、4枚の邪魔板、焼結
ガラス製の空気吹き込み管及び冷却管つき廃ガス放出口
を備えた、容量 200mlのガラス製の機械攪拌式反応器
である。作動溶液を上述の操作にて酸化反応器に移した
後、1000rpmにて攪拌を開始し、5Nl/分にて空気
を10分供給した後、直ちに攪拌及び空気の供給を停止
し、反応容器内をアルゴンガスで置換した。酸化反応の
圧力は常圧であり、温度は反応容器全体を恒温槽に浸
し、35℃になるように制御した。反応後の作動溶液から
過酸化水素を水を用いて抽出し、生成量を求めた結果、
1.18gの過酸化水素が回収された。また酸化されずに残
留したアントラヒドロキノン類は0.05モル/リットル
(全量アミルテトラヒドロアントラヒドロキノン)であ
った。
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルアントラキノンの濃度が0.80モル/リットルであり、
アミルテトラヒドロアントラキノンを含まない作動溶液
を調製して用いた以外は、実施例2と同様の操作にて水
素添加反応を行った。反応後の作動溶液中には、アミル
アントラヒドロキノンの結晶の析出が認められた。
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルテトラヒドロアントラキノンの濃度が0.65モル/リッ
トル、アミルアントラキノンの濃度が0.15モル/リット
ルとなるように作動溶液を調製して用いた以外は、実施
例2と同様の操作にて水添反応及び酸化反応を行った。
水添反応によって生成したアントラヒドロキノン類の濃
度は 0.409モル/リットル(全量アミルテトラヒドロア
ントラヒドロキノン)であり、アントラヒドロキノン類
の結晶の析出は認められなかった。酸化反応後に回収さ
れた過酸化水素の量は0.80gであり、酸化されずに残留
したアントラヒドロキノン類は 0.170モル/リットル
(全量アミルテトラヒドロアントラヒドロキノン)であ
った。
比が 1.5:1である混合溶媒を用い、作動溶液中のアミ
ルテトラヒドロアントラキノンの濃度が0.30モル/リッ
トル、アミルアントラキノンの濃度が0.50モル/リット
ルとなるように作動溶液を調製して用いた以外は、実施
例2と同様の操作にて水添反応及び酸化反応を行った。
水添反応によって生成したアントラヒドロキノン類の濃
度は 0.416モル/リットル(アミルテトラヒドロアント
ラヒドロキノン0.30モル/リットル、アミルアントラヒ
ドロキノン 0.116モル/リットル)であり、アントラヒ
ドロキノン類の結晶の析出は認められなかった。酸化反
応後に回収された過酸化水素の量は1.01gであり、酸化
されずに残留したアントラヒドロキノン類は 0.135モル
/リットル(全量アミルテトラヒドロアントラヒドロキ
ノン)であった。
プゾール#100とオクタノールの容量比が 1.5:1で
ある混合溶媒を用いたこと以外は、実施例2と同様の操
作にて作動溶液の調製および水添反応、酸化反応を行っ
た。水添反応後に作動溶液中に生じたアントラヒドロキ
ノン類は 0.411モル/リットル(アミルテトラヒドロア
ントラヒドロキノン0.15モル/リットル、アミルアント
ラヒドロキノン 0.261モル/リットル)であり、アント
ラヒドロキノン類の結晶の析出は認められなかった。酸
化反応後に回収された過酸化水素の量は、1.17gであ
り、酸化されずに残留したアントラヒドロキノン類は0.
06モル/リットル(全量アミルテトラヒドロアントラヒ
ドロキノン)であった。
ルの容量比が 1.5:1である混合溶媒を用いたことを除
き、比較例1と同様の方法にて水素添加反応を行った。
反応後の作動溶液中にはアミルアントラヒドロキノンの
結晶の析出が認められた。
ルの容量比が 1.5:1である混合溶媒を用いて、作動溶
液中のアミルテトラヒドロアントラキノンの濃度が 0.4
モル/リットル、アミルアントラキノンの濃度が 0.4モ
ル/リットルとなるように作動溶液を調製して用いたこ
とを除き、実施例3と同様の方法にて水素添加反応を行
った。水添反応によって生成したアントラヒドロキノン
類の濃度は 0.415モル/リットル(アミルテトラヒドロ
アントラヒドロキノン0.40モル/リットル、アミルアン
トラヒドロキノン 0.015モル/リットル)であり、アン
トラヒドロキノン類の結晶の析出は認められなかった。
酸化反応後に回収された過酸化水素は0.88gであり、酸
化されずに残留したアントラヒドロキノン類の濃度は
0.157モル/リットル(全量アミルテトラヒドロアント
ラヒドロキノン)であった。
Claims (5)
- 【請求項1】 反応媒体としてアントラキノン類を含む
作動溶液を、交互に還元・酸化する事により過酸化水素
を製造する方法において、作動溶液中のアントラキノン
類として、アントラキノンとテトラヒドロアントラキノ
ンの混合物を用い、還元工程において、作動溶液中のテ
トラヒドロアントラキノンの全量およびアントラキノン
の一部または全量を還元し、還元工程後の作動溶液中の
アントラヒドロキノンの含有量をテトラヒドロアントラ
ヒドロキノンの含有量よりも多く保つことを特徴とする
過酸化水素の製造方法。 - 【請求項2】 作動溶液中のテトラヒドロアントラキノ
ンとアントラキノンの混合物の含有量が、当該作動溶液
に対する飽和溶解量以下である請求項1記載の過酸化水
素の製造方法。 - 【請求項3】 作動溶液中のテトラヒドロアントラヒド
ロキノンとアントラヒドロキノンの混合物の含有量が、
当該作動溶液に対する飽和溶解量以下である請求項1記
載の過酸化水素の製造方法。 - 【請求項4】 アントラキノン類がアルキル置換基を有
するアルキルアントラキノン類である請求項1記載の過
酸化水素の製造方法。 - 【請求項5】 アルキル置換基がアミル基である請求項
4記載の過酸化水素の製造方法。
Priority Applications (10)
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