JPH06192814A - 金属帯の連続浸炭方法 - Google Patents

金属帯の連続浸炭方法

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JPH06192814A
JPH06192814A JP34447792A JP34447792A JPH06192814A JP H06192814 A JPH06192814 A JP H06192814A JP 34447792 A JP34447792 A JP 34447792A JP 34447792 A JP34447792 A JP 34447792A JP H06192814 A JPH06192814 A JP H06192814A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】浸炭条件の先の定常状態から次の定常状態へ移
行する非定常状態で、スーティングの発生しない条件下
で,各鋼板への所望浸炭量を可能な限り満足し、材質不
良箇所又はその所要処理時間を短くする連続浸炭方法を
提供する。 【構成】前記非定常状態において、通常は浸炭温度,雰
囲気ガス組成,組成ガス濃度,通板速度等の制御量を、
制御応答時間の短い順に優先して所望される浸炭量が達
成されるように設定するが、例えば制御応答時間の長い
浸炭温度を上昇する場合は先行される炉内温度の上昇の
実績に応じて,スーティングの発生しない範囲内で雰囲
気ガス組成中のCO濃度,H2 濃度を増大し(S30〜S3
6)、浸炭温度を下降する場合は先行されるCO濃度,H
2 濃度の減少の実績に応じて,スーティングの発生しな
い範囲内で炉内温度を下降し(S40〜S46)、それらの実績
に応じて通板速度を設定する(S37,S47)構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浸炭帯の浸炭炉内に通
板される金属帯を連続ガス浸炭する場合に、該浸炭炉内
でスーティングが発生しない条件下で,金属板に所望さ
れる浸炭濃度分布等の仕様諸元から得られる浸炭量を達
成するための金属帯の連続浸炭方法に関するものであ
り、特に仕様諸元の異なる金属板間の非定常状態におけ
る材質不良の抑制又は低減が可能な連続浸炭方法に適
し、例えば所望される仕様諸元の異なる極低炭素鋼板を
も一連のストリップとなし、これを浸炭炉内に通板して
連続的にガス浸炭する場合に,各鋼板の仕様諸元から得
られる浸炭量を達成するための雰囲気ガス組成,組成ガ
ス濃度,浸炭温度,通板速度等の制御量を時系列的に制
御するのに適するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車産業のような金属二次加工
産業界では、加工対象金属板に対してより高い加工性と
強度との両立が要求されている。具体的に前記自動車産
業界では、昨今問題化されている地球環境問題から低燃
費化を追求するために車体を軽量化する必要から、プレ
ス加工焼付塗装鋼板等に対して従来の深絞り性を維持し
た上でより強度の高い薄鋼板が要求される。
【0003】このような金属板の評価指標としては、例
えば延性,深絞り性,時効性,強度,二次加工脆性,焼
付硬化性,スポット溶接性等が考えられる。そこで、前
記の深絞り性を特に重要視して,この深絞り性をランク
フォード値(以下r値:金属板幅歪み/板厚歪み)で評
価した場合、鋼中の炭素(以下Cと記す)量を低減する
ことが最も有利であることは公知であり、加えてこの低
炭素化により延性(Elongation:El)や常温遅時効性
(Aging Index :AIは低い程良い)も向上する。とこ
ろが一方で、鋼中のC量が低下するに従ってその他の評
価指標は大方について劣化する。例えば、析出物が減少
して組織強度が低下するために引張強度(Tensile Stre
ngth:TS)が低下し、粒界強度が低下するために二次
加工脆性が劣化し、固溶C量が低下するために焼付硬化
性が劣化する。また、鋼中C量50ppm以下では,溶
接による加熱で粒成長速度が促進されて熱影響部(Heat
Affected Zone:HAZ)の粗粒化によってスポット溶
接性が劣化する。
【0004】一方、前記金属二次加工産業界で使用され
るプレス加工塗装鋼板等では、プレス加工後に焼付塗装
を行う場合が多く、そのため,プレス加工時にはその成
形性を発揮し、焼付塗装時に焼付硬化性を発揮して強度
が向上する高焼付硬化型鋼板が要求される。勿論、プレ
ス加工時まではその成形性を維持できる常温遅時効性が
必要となるから、結果として使用される鋼板は常温遅時
効性を有する高焼付硬化型鋼板(低AI−高BH性鋼
板)を要求される。
【0005】そこで、図1に示すように極低炭素鋼から
なる金属帯を連続焼鈍処理によって再結晶焼鈍すること
により前記延性,深絞り性,時効性を得ながら、これに
続いて,連続浸炭処理によって表層部に固溶Cを存在さ
せることにより前記引張強度,二次加工脆性,BH性,
スポット溶接性を向上するために、本出願人は図2に示
すような特開平4−88126号公報に記載される連続
焼鈍浸炭設備を開発した。
【0006】この連続焼鈍浸炭設備によれば、加熱帯2
又は均熱帯3で金属帯に対して所定の再結晶焼鈍を行っ
た後、鋼板温度,雰囲気諸元,搬送速度(在炉時間),
及び冷却条件を制御して浸炭処理を行うことにより、金
属帯の材質仕様を満足させながら表層浸炭深さと濃度分
布を所望の値とした金属帯を連続的に製造することを可
能とする。
【0007】また、本出願人は前記低AI−高BH性鋼
板として特願平4−95503号に記載される有用な鋼
板を開発し、提案した。この鋼板は所定量の所定元素を
含有する極低炭素鋼に対して適切な焼鈍処理及び浸炭処
理を施し、設定された表層部及び内層部の固溶C量又は
炭素濃度分布を得ることにより、前述のような低AI−
高BH性を発揮するものである。具体的には図3に示す
ように,鋼板内層部のC濃度は低いままに、表層部のC
濃度だけを大きく高める焼鈍処理及び浸炭処理を必要と
する。
【0008】ちなみに前記金属二次加工産業界で要求さ
れる浸炭薄鋼板には、前記低AI−高BH性鋼板の他
に,二次加工における破断脆性を良好にした二次加工脆
性向上鋼板や,優れた深絞り性と高強度を両立した深絞
り性高強度鋼板(ハイテン鋼)等がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述のよう
に様々な仕様諸元が要求される種々の鋼板を,多種少量
生産する必要のある昨今では、これらの仕様諸元の異な
る鋼板を溶接等によって一連のストリップとなして処理
するため、このストリップを連続的に通板する間に,各
鋼板の仕様諸元を満足する浸炭条件を設定しなければな
らない。この浸炭条件には、例えば前記低AI−高BH
性鋼板に見られるように浸炭濃度分布を制御することを
含めて,様々な要因の設定が必要となる。この浸炭条件
の設定に必要な制御量,つまり前記浸炭濃度分布を始め
とする仕様諸元から得られる鋼板への浸炭量の制御量と
しては、浸炭温度,浸炭時間,雰囲気ガス組成,組成ガ
ス濃度が挙げられる。このうち,前記浸炭時間は炉内の
通板速度によって設定されるから、これらの制御量を応
答時間の短い順に列記すれば凡そ,通板速度,組成ガス
濃度,雰囲気ガス組成,浸炭温度の順になる。
【0010】前記仕様諸元の異なる鋼板の継ぎ目等,浸
炭量を変更すべき箇所では、先行される鋼板において安
定した浸炭量制御を行うための各制御量と、後行される
鋼板において安定した浸炭量制御を行うための各制御量
とが異なる場合がある。ここで、先行される鋼板の安定
した浸炭量制御の場を先の定常状態,後行される鋼板の
安定した浸炭量制御の場を次の定常状態と定義付けする
と、次の定常状態を満足するために、これらの各制御量
のうちのいずれか一つ又は二以上を,先の定常状態から
変更しなければならない場合が発生する。このように先
の定常状態から次の定常状態への移行期間を非定常状態
と定義付けする。
【0011】しかしながら、従来の連続浸炭方法では,
この非定常状態における浸炭量制御の具体的手段が欠落
しているという問題がある。具体的にこの過渡期となる
非定常状態の浸炭条件では先の定常状態とも次の定常状
態とも異なるために、この非定常状態で鋼板をそのまま
通板したのでは,所望される仕様諸元と異なる浸炭量を
得た鋼板が製造されてしまい、仕様諸元から外れた材質
不良の箇所が発生する。この傾向は通板速度が大きく,
又は各制御量の変更幅が大きいほど顕著になる。特に、
応答時間の長い雰囲気組成や浸炭温度の制御変更量が大
きい場合には,大量の材質不良が発生することになる。
【0012】ところで、前記浸炭条件の制御量のうち,
浸炭温度,雰囲気ガス組成,組成ガス濃度の間には以下
のような関係がある。浸炭温度の上昇に伴って,雰囲気
ガスから分離したCが金属帯表面においてFeと結合す
る反応速度が上昇し、金属帯表層部から内部に向けて拡
散する速度も上昇するために,全体的な浸炭速度は上昇
する。一方で、この浸炭温度を達成するための浸炭炉内
温度が低下すると遊離C,即ちスーティングの発生する
一酸化炭素(CO)濃度限界が下がり、テンパーカラー
等の原因となる露点による水素(H2 )濃度限界も降下
する。ここで、前記浸炭温度の設定条件について考察す
ると、材質条件から浸炭温度は再結晶温度以下が望まし
い。また、定められた有効浸炭炉長で大きな処理能力を
得るという条件下では,前記Feと遊離Cとの結合反応
速度及び固溶Cの内部拡散速度(以下,両者を同時に考
慮した場合の速度を浸炭速度と称し、その具体的な理由
については後述する)を大きくするためには、スーティ
ングの発生しない範囲内でCO濃度を高く設定し、同時
に浸炭速度そのものを大きくするために浸炭温度を高く
したい。
【0013】このようにして浸炭温度がある程度規制さ
れると、前記スーティング限界や露点限界から雰囲気ガ
スの組成や組成ガス濃度の上限値が設定されるから、残
る浸炭量制御因子である浸炭時間,即ち在炉時間が設定
され、これにより浸炭炉内の通板速度が設定される。な
お、前記低AI−高BH鋼板に要求されるような浸炭濃
度分布を制御する場合には,固溶Cの取り込み量を規制
する金属帯表面の反応速度及び拡散速度に関与する浸炭
温度から、雰囲気組成,及び拡散時間に関与する浸炭時
間を求め、これに基づいて通板速度が設定されることも
ある。
【0014】こうしたスーティングの発生しない条件下
での浸炭条件の制御或いは設定については,前記定常状
態では行われつつあるが、前記非定常状態では普遍的に
設定されていないのが実状である。従って従来は前記材
質不良を低減するために、これに該当する箇所に通板材
と呼ばれる中間介装材を用いているが、処理能率の低下
は如何ともしがたく,また通板材のコストも小さくはな
いため、全体的な処理コストの増加原因となっている。
【0015】また、このような連続焼鈍浸炭設備の諸条
件を設定する実際にあたり、以下に述べる問題が判明し
た。 (1)浸炭速度については葉らの報告(葉 煦雲,春山
志郎ら:日本金属学会誌49(1985)7,529 )によって,
図4に示すように金属表層部のC量がある程度高く且つ
浸炭時間が長い場合、浸炭の速度は表層部のC濃度が平
衡濃度(即ち平衡濃度である)に達した後、Cが金属組
織内に拡散していく速度に比例するため、通常,時間の
平方根に比例することになり、この時間浸炭利得域を拡
散律速域と称するが、一方、前記のように金属表層部の
C量が極めて低く且つ浸炭時間が極めて短い場合は、該
表層部のC濃度が平衡濃度に達しないため、浸炭の速度
は金属表層部と炭素とが直接的に反応する速度に比例す
ることになり、この時間浸炭利得域を表面反応律速域と
称することが知られている。
【0016】そこで、例えば前記の耐二次加工脆性の向
上を対象とする金属に要求される仕様から(特開平3−
199344号公報など)当該金属帯の浸炭条件を求め
ると、浸炭濃度も浸炭深さも極めて小さいため、この場
合には表面反応律速域での浸炭処理を行う必要があり、
金属帯表層部の鋼中の平衡炭素濃度を等しい状態にある
と考える,従来のCO/CO2 等の管理によるカーボン
ポテンシャル(Cポテンシャル)制御では、金属帯への
浸炭量を制御できないことが判明した。 (2)また一般に、浸炭条件における雰囲気ガス組成は
化学平衡により求めることができる。従来の解法では考
え得る反応を全て列挙し、これらの反応の平衡関係か
ら,非線形の連立方程式を解くことによってガスの組成
を得ている。しかし、気相系の反応式からは正確なすす
発生(スーティング)の限界を求めることが極めて困難
である。 (3)更に、前述した表面反応速度については先の葉ら
の報告があるが、この報告ではCOガスのみにおける浸
炭速度について論じられているだけで、これをそのま
ま,複雑な組成からなる連続浸炭操業の実際に展開する
ことはできない。
【0017】本発明は斯かる諸問題に鑑みて開発された
ものであり、特に前記非定常状態の浸炭条件の設定制御
において、浸炭炉内のスーティングを発生しない条件下
で,浸炭濃度分布を含む前後の鋼板の仕様諸元から得ら
れる浸炭量を可能な限り満足して、材質不良箇所の長さ
若しくはそのための所要時間を短くし、全体的なコスト
の低廉化を可能とする金属帯の連続浸炭方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本件発明者等は前記諸問
題について鋭意検討を重ねた結果、以下の知見に基づい
て本発明を開発した。即ち、前記非定常状態にあっても
各鋼板への浸炭量を達成するために、応答時間の長い浸
炭温度や雰囲気ガス組成等の制御量を複合的に変更制御
する場合には、それらの変動を時系列的に捉えた上で,
より応答時間の短い制御量を変更制御しなければならな
い。従って、浸炭量の目標値から外れる材質不良箇所の
長さが最も短くなるように前記四つの制御量の制御の優
先順位と制御量とを設定することで,この非定常状態の
浸炭条件の設定制御を普遍的に可能とすることができ
る。具体的には,次の定常状態の浸炭温度を得るために
炉内温度を変更する場合、この設定炉内温度の変動の実
績に応じて雰囲気ガス組成又は組成ガス濃度,通板速度
の順に制御を行う必要がある。なお、この実績とは現在
の実績も,記憶された過去の実績も包含される。
【0019】しかしながら、浸炭炉内の実際にあっては
前記スーティングの発生を防止することを考慮しなけれ
ばならない。スーティングの発生はそのまま鋼板の表面
性状の劣化に繋がり、材質不良箇所の長さ若しくはその
所要時間を短くする本発明の趣旨とは本来的に異なる。
そこで、浸炭温度を達成するための炉内温度,雰囲気ガ
ス組成,組成ガス濃度に前記のような関係があることを
考慮すると、雰囲気ガス組成,組成ガス濃度の変更は常
に炉内温度の実績を見ながら時系列的に制御を行う必要
がある。具体的には、次の定常状態までに浸炭温度を上
昇する必要がある場合には,その浸炭温度を得るための
炉内温度の上昇を先行し、この炉内温度の実績に応じ
て,スーティングの発生しない範囲内で雰囲気ガス組成
中の組成ガス濃度を設定しなければならない。逆に、次
の定常状態までに浸炭温度を下降する必要がある場合に
は,その浸炭温度を得るための炉内温度の下降に先行し
て雰囲気ガス組成中の組成ガス濃度を変更し、その組成
ガス濃度の実績に応じて同じくスーティングの発生しな
い範囲内で炉内温度を下降しなければならない。
【0020】これらを総括して捉えると、応答時間の短
い通板速度の制御は実質的に鋼板に要求される浸炭量を
得るための最も制御し易い要素であるから、浸炭温度,
雰囲気ガス組成,組成ガス濃度等の雰囲気条件に応じて
通板速度を変更制御することで、確実に所望する浸炭量
を得ることができる。また、四つの制御量のうちで最も
応答時間の長い浸炭温度の変更制御が行われない場合に
は、雰囲気ガス組成又は組成ガス濃度の実績だけを見て
通板速度を変更制御すればよい。勿論、所望される浸炭
量を可能な限り達成するためには、逆に通板速度の変動
に合わせて各制御量を設定することもこの内容に包含さ
れる。
【0021】更に、前記のような連続焼鈍浸炭設備にお
いては、浸炭帯以外の設備や、操業条件によって一連に
通板される金属帯の通板速度が規制される場合がある。
このような場合の非定常状態の浸炭条件の設定制御にあ
っても対応できる浸炭方法でなければ、真に普遍的な浸
炭制御とは言えない。そこで、このような条件をも設定
条件の一つとしてロジックに組み込む必要がある。
【0022】また、前記定常状態,非定常状態を問わ
ず、前記スーティングの発生しない条件を設定するため
には以下のように考えを推し進めればよい。例えば金属
表層部への浸炭反応によって金属帯が雰囲気から持ち出
す元素に対して,原系が持ち込む元素の量が一定である
という物質収支の制約条件を考慮し、スーティングの発
生を抑止できる平衡状態を一酸化炭素濃度又は一酸化炭
素濃度及び水素濃度をパラメータとし且つ浸炭温度に関
する熱力学(雰囲気組成)モデル式化した。同時に,定
められた炉長で最大の処理能力を得るためには浸炭速度
を大きくすることが必要であるから、このスーティング
の発生しない範囲内で前記一酸化炭素濃度を大きくする
必要があり、このようにして一酸化炭素濃度を設定した
場合に,従来,普遍化されていない水素濃度の設定をこ
の一酸化炭素濃度を基準として行うこととした。具体的
には後述する表面反応律速域での浸炭反応を阻害しない
関係式に基づいて水素濃度を設定する。
【0023】一方、前記定常状態及び非定常状態におけ
る,例えば前述のように金属表層部の炭素濃度が平衡濃
度に達する以前の表面反応律速域で,金属帯への浸炭量
を制御するためには、まず当該反応速度域における表面
反応速度を得、この反応速度を時間積分すればよいこと
に着目した。この時間,即ち浸炭時間は通板速度によっ
て決定される。そして、この表面反応速度を研究するう
ちに,金属帯と雰囲気ガスとの表面反応で考えられる浸
炭反応の式と脱酸素反応の式とに包含されるガスの組成
を制御することにより,反応速度を制御できることを見
出した。そしてこのガス組成に最も有効となるのは一酸
化炭素と水素であり、特に高温下で雰囲気ガスの供給/
排出流量の小さい場合には組成量は少ないが二酸化炭素
及びH2Oも、浸炭反応を阻害するといった意味で影響
があることを見出し、更にこれらの組成は,その分圧が
前記表面反応速度の制御因子であることを実験により証
明した。また、物質反応の温度に対する依存度を考慮
し、表面反応速度の係数に,温度という制御因子を介在
させることとした。
【0024】また、定常,非定常状態で,前記低AI−
高BH鋼板のように金属帯の浸炭濃度分布が要求される
場合は、前記浸炭量一定の制約条件下で表面反応速度と
浸炭時間とを制御する。即ち,浸炭量=表面反応速度×
浸炭時間,である。この表面反応速度の制御因子には前
記浸炭雰囲気ガス組成,組成濃度,浸炭温度というパラ
メータが存在することは前述のとおりである。そこで具
体的に、例えば金属帯の表層部のC濃度を高くする(C
濃度勾配を急峻にする)場合には,浸炭時間を短くする
と共に表面反応速度を大きくし、表層部のC濃度を低く
する(C濃度勾配を緩やかにする)場合には,浸炭時間
を長くすると共に表面反応速度を小さくする。
【0025】而して本発明のうち請求項1に係る金属帯
の連続浸炭方法は、所望される仕様諸元が異なる金属板
をも一連の金属帯となし、これを浸炭帯の浸炭炉内に連
続的に通板して連続ガス浸炭を施す金属帯の連続浸炭操
業にあって、金属板の継ぎ目や金属帯への浸炭量を変化
すべき箇所のように,先の金属板と次の金属板とで所望
される金属板の仕様諸元が異なる非定常状態の金属帯の
連続浸炭方法において、先の金属板における先の定常状
態から,次の金属板における次の定常状態に移行する,
非定常状態の間に、雰囲気ガス組成,組成ガス濃度,浸
炭温度,通板速度等の制御量のうち,いずれか一つ又は
二以上を、スーティングの発生しない条件下で,前記金
属板の異なる仕様諸元から得られる浸炭量を満足するよ
うに制御して非定常状態の浸炭量制御を行うことを特徴
とするものである。
【0026】本発明のうち請求項2に係る金属帯の連続
浸炭方法は、前記非定常状態の浸炭量制御を行うにあた
り、この非定常状態を挟んだ次の定常状態における各制
御量を設定し、この制御量を満足するために各制御量の
いずれか一つ又は二以上を先の定常状態から変更する場
合、前記スーティングの発生しない条件下で,変更され
る浸炭温度を得るための炉内温度の変動を考慮して前記
雰囲気ガス組成又は組成ガス濃度を設定することを特徴
とするものである。
【0027】本発明のうち請求項3に係る金属帯の連続
浸炭方法は、前記浸炭温度を上昇する場合には,炉内温
度の上昇を先行させて、その炉内温度の実績に応じて,
スーティングの発生しない範囲内で雰囲気ガス組成中の
一酸化炭素ガス濃度又は一酸化炭素ガス濃度及び水素ガ
ス濃度を増大させることを特徴とするものである。本発
明のうち請求項4に係る金属帯の連続浸炭方法は、前記
浸炭温度を下降する場合には,雰囲気ガス組成中の一酸
化炭素ガス濃度又は一酸化炭素ガス濃度及び水素ガス濃
度の減少を先行させて、その雰囲気ガス組成又は組成ガ
ス濃度の実績に応じて,スーティングの発生しない範囲
内で炉内温度を下降させることを特徴とするものであ
る。
【0028】本発明のうち請求項5に係る金属帯の連続
浸炭方法は、前記非定常状態の浸炭量制御を行うにあた
り、この非定常状態を挟んだ次の定常状態における各制
御量を設定し、この制御量を満足するために各制御量の
いずれか一つ又は二以上を先の定常状態から変更する場
合であって,前記浸炭温度を変更しない場合には、この
浸炭温度の条件下で炉内温度の実績に応じてスーティン
グの発生しない範囲内で雰囲気ガス組成又は組成ガス濃
度を変更することを特徴とするものである。
【0029】本発明のうち請求項6に係る金属帯の連続
浸炭方法は、前記非定常状態の浸炭量制御を行うにあた
り、前記雰囲気ガス組成,組成ガス濃度,浸炭温度の各
制御量等が変更される場合も変更されない場合も、これ
らの制御量の実績に応じて,前記各金属板に所望される
浸炭量を満足するように通板速度を制御することを特徴
とするものである。
【0030】本発明のうち請求項7に係る金属帯の連続
浸炭方法は、前記金属帯の連続浸炭操業の実際により,
通板速度が規制される場合には、前記スーティングの発
生しない条件下で,前記各金属板に所望される浸炭量を
満足するようにその他の制御量を制御することを特徴と
するものである。
【0031】
【作用】本発明の金属帯の連続浸炭方法では、例えば以
下のようにして各鋼板における定常状態の浸炭条件の各
制御量を設定する。前記浸炭速度が金属帯表層部から内
部への拡散速度よりも大きい表面反応速度に従う反応速
度域を含めて、鋼板の仕様諸元から金属帯への浸炭量を
与条件として設定し、浸炭条件である再結晶温度以下で
浸炭反応を大きくするための浸炭温度を設定し、当該浸
炭温度における浸炭炉内のスーティング限界の基礎式又
はこの基礎式と浸炭反応を阻害しない関係式から雰囲気
ガス組成中の各組成ガス濃度,特に一酸化炭素濃度又は
一酸化炭素濃度及び水素濃度の制御量を算出し、これに
基づいて算出される一酸化炭素分圧又は一酸化炭素分圧
及び水素分圧の制御量と,当該浸炭温度の制御量に関す
る基礎式から算出される浸炭の反応速度に係る温度依存
係数とに基づいて単位時間当たりの浸炭速度を算出し、
前記浸炭量をこの浸炭速度で微分して浸炭時間を算出す
るか,或いは前記表面反応速度に応じて設定される前記
浸炭濃度分布を達成する浸炭時間を算出し、これらの浸
炭時間で有効浸炭炉長を除して浸炭炉内の通板速度を算
出する。
【0032】そして本発明では、このようにして設定さ
れた各鋼板の定常状態間の非定常状態で,前記雰囲気ガ
ス組成,組成ガス濃度,浸炭温度,通板速度の制御量の
うち,いずれか一つ又は二以上を、スーティングの発生
しない条件下で,前記金属板の異なる仕様諸元から得ら
れる浸炭量を満足するように制御する。この非定常状態
の浸炭量制御にあたり、制御応答時間の長い浸炭温度を
変更する場合には次の定常状態における浸炭温度を得る
ための炉内温度の変動を考慮して前記雰囲気ガス組成又
は組成ガス濃度を設定する。ここで具体的に,前記浸炭
温度を上昇する場合には,炉内温度の上昇を先行させ
て、その炉内温度の実績に応じて,前述したスーティン
グ限界の基礎式や関係式を用いて前記スーティングの発
生に大きく影響する雰囲気ガス組成中の一酸化炭素ガス
濃度又は一酸化炭素ガス濃度及び水素ガス濃度を増大さ
せる。一方、前記浸炭温度を下降する場合には,雰囲気
ガス組成中の一酸化炭素ガス濃度又は一酸化炭素ガス濃
度及び水素ガス濃度の減少を先行させて、その雰囲気ガ
ス組成又は組成ガス濃度の実績に応じて炉内温度を下降
させる。これにより、浸炭炉内のスーティングの発生を
未然に防止することを可能とする。
【0033】一方、前記浸炭温度を変更しない場合に
は、この浸炭温度の条件下で炉内温度の実績に応じて,
前記スーティング限界の基礎式や関係式で設定されるス
ーティングの発生しない範囲内で雰囲気ガス組成又は組
成ガス濃度,具体的に雰囲気ガス組成中の前記一酸化炭
素ガス濃度又は一酸化炭素ガス濃度及び水素ガス濃度を
変更する。
【0034】このようにして、前記雰囲気ガス組成,組
成ガス濃度,浸炭温度の各制御量が変更される場合も変
更されない場合も、これらの制御量の実績に応じて,各
制御量のうち最も応答時間の短い通板速度を制御するこ
とにより、前記各金属板に所望される浸炭量を可能な限
り達成することができる。なお、ここで言う実績とは、
検出される現在の実績も,記憶された過去の実績も採用
することが可能である。従って、現在の実績に応じたリ
アルタイムな非定常状態の浸炭条件の設定も、過去の実
績から算出した非定常状態の浸炭状態をフィードフォワ
ードに設定することも可能とする。
【0035】更に本発明の金属帯の連続浸炭方法では、
金属帯の連続浸炭操業の実際により,通板速度が規制さ
れる場合には、前記スーティングの発生しない条件下
で,非定常状態でも前記各金属板に所望される浸炭量を
満足するようにその他の制御量を制御する。具体的に、
規制される通板速度から浸炭時間が算出されるから、前
記と逆の手段によって浸炭温度,雰囲気ガス組成,組成
ガス濃度を設定することができる。
【0036】ちなみに特に高温下で雰囲気ガスの供給・
排出流量が小さい場合にあっては、浸炭反応を阻害する
といった影響を考慮する意味で,例えば前記表面反応速
度の基礎式に二酸化炭素分圧及びH2 O分圧を加えるこ
とにより、CO2 ,H2 Oが存在する浸炭条件下での金
属帯の浸炭量を更に正確に制御することが可能となる。
【0037】
【実施例】図2は本発明の金属帯の連続浸炭方法を実施
化した極低炭素鋼からなるストリップの連続焼鈍浸炭設
備の一例を示すものである。同図において所望される仕
様諸元の異なる鋼板をも含む各極低炭素鋼板は、コイル
巻戻し機,溶接機,洗浄機等を有する図示しない入側設
備によって一連のストリップとなされ、このストリップ
Aは、前記入側設備から予熱帯1、加熱帯2、均熱帯
3、浸炭帯4、第1冷却帯5、第2冷却帯6、剪断機,
巻取り機等の図示しない出側設備の順に通板される。
【0038】前記加熱帯2は、入側設備から連続的に送
給されて予熱帯1で予熱されたストリップAを再結晶温
度以上まで加熱するものであり、具体的には炉内温度が
850〜1000℃でストリップAの温度が700〜9
50℃になるように当該ストリップを加熱する。そして
加熱されたストリップAは前記均熱帯3で必要な時間,
再結晶温度以上に保持されることにより、深絞り性に有
利な{1,1,1}集合組織を発達させることができ
る。
【0039】この加熱帯2及び均熱帯3内を,ハースロ
ールを介して上下に昇降しながら通板されるストリップ
の通板路近傍には多数のラジアントチューブが配設され
ており、このラジアントチューブに送給される燃料ガス
を燃焼させて炉内温度(炉温)を制御する。本実施例で
は、この燃料ガスの供給流量の設定は,通板されて炉か
ら熱量を運び出すストリップへの加熱量に排ガス損失熱
及び炉体放散熱等を加えた炉内の熱収支から求まる炉の
要求(必要)熱量と同等と見なされて、図示されないホ
ストコンピュータにより後述するライン全体の制御ロジ
ックに則って行われる。
【0040】前記浸炭帯4は、ストリップA表面の極薄
い部分(表層部)に固溶炭素(C)が存在する浸炭層を
形成するために、該浸炭帯4内の浸炭炉は図示されない
ホストコンピュータにより700〜950℃の炉内温度
に制御して,ストリップ温度(板温)が700℃以上,
好ましくは再結晶温度以下となるようにし、またストリ
ップが浸炭炉内を10〜120秒で通過するように通板
速度が制御される。ちなみに前記炉温制御は、浸炭量
(浸炭反応速度)をストリップの通板方向に対して一定
とし、材質上のバラツキを抑止するために行う。また、
既知のようにスーティング,即ち鋼板の表面に遊離炭素
[C]が付着すると、表面品質低下及び後工程の弊害要
因となる。同時に炉内の反応が所定の方向,例えば浸炭
反応方向に促進した結果,露点が上昇すると浸炭反応が
阻害されたり、ストリップ表面に酸化が生じてテンパー
カラーの原因となったりするため、炉内物性及び炉内温
度は後述する浸炭条件設定ロジックに基づいて重要に管
理されている。
【0041】本発明では、この浸炭炉内の物性,浸炭温
度,通板速度即ち浸炭時間は、連続浸炭の実際における
制御対象物理量(制御量)と見なされ、前記ホストコン
ピュータにより、ストリップに形成されるべき要求され
る浸炭層の浸炭濃度分布,浸炭深さ等の仕様諸元から,
例えば必要な浸炭量を与条件として設定し、後述する予
め設定したこれら制御量に関する各種の基礎式を適宜取
捨選択して,当該浸炭量を実現するための各制御量を算
出し、その他の設備の能力やプロセスをも考慮して、そ
れらの制御量を設定するようにしてある。
【0042】また、この実施例において浸炭炉内に供給
される浸炭ガスの組成,濃度及び供給・排出流量は、前
記ホストコンピュータが,後述する炉内の物質収支を考
慮して炉内の自由エネルギを最小とする雰囲気組成モデ
ル式に基づいて算出した,諸条件に従って制御されてい
る。この浸炭ガスの組成,濃度及び供給・排出流量は、
前記CO2 及び露点上昇を抑制して浸炭反応速度の低下
やテンパーカラーを防止するように制御される。
【0043】ちなみに浸炭炉内のストリップはハースロ
ール20を介して炉内を昇降しながら通板されている
が、これらのハースロール20はその回転性及びロール
クラウンを所定状態に保持するために,例えば軸受近傍
等が冷却されている。また、ロール自体の強度及び耐磨
耗性を維持するためにハースロールにはクロムCr合金
が使用されている。ところが、前記浸炭雰囲気ガスがハ
ースロール近傍まで及ぶと冷却されてスーティングが進
行するため、ハースロールにCが付着した後、ハースロ
ール内部にCが拡散する。このようになると前記Crと
Cが結合してCr炭化物が析出し、これによりハースロ
ールに用いられている耐熱合金の結晶粒が破壊され或い
は膨張し、一方で固溶Crが減少するため、ハースロー
ルが脆化,酸化されることにより孔状の腐食が進行す
る。このようにハースロールを浸炭雰囲気ガス中に曝す
と、本件発明者等の実験によれば2年以内でハースロー
ルを交換しなければならないことが判明している。そこ
で本実施例では、ハースロール室を非接触のシール装置
21によって浸炭雰囲気から分離してハースロールの劣
化を防止するようにし、また該ハースロール室内を前記
ハースロールの劣化が進行しない程度の微弱浸炭状態と
することによって、分離されたハースロール室内をスト
リップが通過する間に浸炭された表層部からCが放散す
る,所謂脱炭を防止することに成功した。なお、ストリ
ップがハースロール室を通過する時間が極めて短く,当
該時間に係る鋼板表層部からの脱炭が問題とならない場
合には、前記ハースロール室内を非浸炭雰囲気としても
よい。
【0044】前記シール装置21はここではその構造を
詳述しないが、例えばハースロール室と浸炭雰囲気室と
の間に介装されたシール層を3層構造とし、このうちハ
ースロール室側のシール層には前記弱浸炭雰囲気ガスを
噴出し、浸炭雰囲気室側のシール層には前記浸炭雰囲気
ガスを噴出し、中間のシール層からは排気を行うように
し、更に各雰囲気ガスの噴射方向及び噴射流量を制御し
て各雰囲気ガスの流れが前記中間のシール層側に向かう
ようにすると共に、ストリップの通板に伴う板層流によ
って発生する循環流をシール層のうちストリップの幅方
向端面に形成された排出口から排気する構成とした。
【0045】この浸炭帯4から送出されたストリップA
は前記第1冷却帯5に送給される。この第1冷却帯5で
はストリップの表層部のうち表面の極薄い範囲にのみ固
溶Cを固定するため、浸炭後のストリップを、鋼板温度
が600℃以下,好ましくは500〜400℃程度にな
るまで20℃/sec.以上の冷却速度で急冷する。この第
1冷却帯5内ではこの冷却条件が達成できるように,前
記ホストコンピュータにより冷却帯内を搬送されるスト
リップに対して冷却ガスジェットから吹付けられる吹付
けられる冷却ガス流量,流速及び冷却ロールの温度,巻
付け角等が制御される。
【0046】前記第1冷却帯5から送出されたストリッ
プAは次いで第2冷却帯6に送給される。この第2冷却
帯6では鋼板温度が250〜200℃程度までガス冷却
が行われる。このようにして最終的には表層部にのみ固
溶Cが存在する極低炭素のプレス成形用冷延鋼板を得る
ことができる。次に、本実施例の連続焼鈍浸炭設備にお
いて、前記ホストコンピュータで行われるトータルな連
続焼鈍浸炭制御の構成概念について説明する。なお、本
発明に係る浸炭制御の他に,他の熱処理帯で行われる板
温制御にも前述のような定常状態,非定常状態を含んだ
制御が必要であり、以下はそれらを包含した全ての場の
制御を可能とするロジックの構成概念の説明である。
【0047】まず、前述したように浸炭帯における浸炭
制御では、鋼板中の浸炭濃度分布が要求される場合を含
めて,浸炭量は目標材質を得るための与条件として与え
られる。そして、材質条件から浸炭温度の上限は再結晶
温度以下に設定される。一方、定められた有効浸炭炉長
で最大の処理能力を得るためには前述した浸炭量=浸炭
反応速度×浸炭時間の原理に基づいて浸炭反応速度を大
きくする必要があり、この必要から浸炭反応速度に関与
する浸炭温度は高いほどよく、これは後述するスーティ
ングの発生を防止してCO濃度上限を高くすることにも
繋がる。
【0048】本実施例では前述したようにスーティング
の発生限界を物質収支を考慮した熱力学(雰囲気組成)
モデル式により得ることができるが、単にスーティング
の発生しない範囲からという条件だけでは,雰囲気組成
に関与するCO濃度及びH2濃度を設定するとことが困
難である。そのため、本実施例では前記浸炭反応速度を
阻害しない関係式を予め設定し、例えば前記スーティン
グの発生しない雰囲気組成モデル式によって得られたC
O濃度を基準として,この関係式を用いてH2濃度を算
出する。具体的には, H2 濃度=a×(CO濃度) 但し、 a:0≦a<5の範囲の定数 で表される。この定数aは、具体的には後述する表面反
応速度の基礎式で、反応を阻害するCO2 とH2 Oの生
成濃度を最小に抑える値に設定され、通常は0.5〜
1.0の範囲で設定することが多い。即ち、この関係式
を満足するときに,表面反応速度式に基づく浸炭反応速
度は最大となる。また、表面反応速度が設定されると所
望される浸炭濃度分布を達成するための浸炭時間が設定
される。即ち、表層部のC濃度だけを高めて内層部のC
濃度との勾配を急峻にする場合には、浸炭反応速度を大
きくして(浸炭力を高めて)浸炭時間を短くすればよ
い。逆に、鋼板のC濃度全体を高めて内層部と表層部と
のC濃度勾配を緩くする場合には、浸炭反応速度を小さ
くして(浸炭力を低めて)浸炭時間を長くすればよい。
これらの浸炭反応速度と浸炭時間の制御は、前述した浸
炭量一定の制約条件を満足する。
【0049】そして、前記加熱帯や均熱帯等の項でもふ
れたように各板温制御帯でも夫々の炉の能力計算やプロ
セス計算によって最適な通板速度が設定される。以上が
各熱処理帯における鋼板の定常状態の板温制御及び浸炭
制御の条件となる。一方、次の鋼板の定常状態に移行す
る非定常状態において,浸炭帯以外の熱処理帯(板温制
御帯)では,炉内温度の変動の実績に応じて通板速度を
設定しなければならない。更に浸炭帯では,炉内温度の
変動の実績に応じて雰囲気ガス組成又は組成ガス濃度か
ら設定される雰囲気組成を設定し、更にそれら全ての実
績に応じて浸炭量を可能な限り満足する通板速度を設定
しなければならない。この実績には,検出された現在の
実績も記憶された過去の実績も包含されるが、いずれに
しても,非定常状態で発生する材質不良の長さ或いはそ
の所要処理時間を最短とするために、浸炭制御並びに板
温制御を事前に設定するフィードフォワードの制御を行
わなければならない。これを本実施例では最適ループ計
算によって行う。
【0050】次に、前記各板温制御帯の最大通板速度と
前記浸炭帯の最大通板速度を考慮した場合,ストリップ
が一連に通板される連続焼鈍浸炭設備では、いずれの通
板速度が設備全体の通板速度を律速するかを判断しなけ
ればならない。この場合には、鋼板のあらゆる仕様諸元
を考慮しなければならず、しかもその仕様諸元は絶対条
件として与えられる。
【0051】以上から,前記浸炭帯で得られる最大通板
速度が、前記各板温制御帯で得られる各最大通板速度の
最小値よりも大きい場合には、各板温制御帯の最大通板
速度の最小値をライン通板速度として設定し、この通板
速度で前記浸炭量を満足する浸炭炉の雰囲気条件を再度
設定し直す必要がある。なお、この場合は浸炭時間が長
くなるから,浸炭量一定の制約条件下では浸炭反応速度
を低下させる方向,即ち雰囲気ガス中のCO濃度,H2
濃度を低下させる方向に設定し直すことになり、必然的
に前記スーティングを発生しない条件を満足することに
なる。
【0052】逆に前記各板温制御帯で得られる各最大通
板速度の最小値が、前記浸炭帯で得られる最大通板速度
以上である場合には、浸炭帯の最大通板速度をライン通
板速度として設定し、この通板速度で各板温制御帯の板
温を満足するために炉温や燃料供給量を板温制御量とし
て設定し直す必要がある。これらの制御概念を具体化し
たのが前記ホストコンピュータで行われる図5に示すロ
ジックである。
【0053】このロジックでは、まずステップS20で
浸炭帯,各板温制御帯を含む各炉の能力限界から各鋼板
の仕様諸元を満足するために必要な炉温の上限値が設定
される。次にステップS21に移行して、各板温制御帯
での板温制御量及び浸炭帯での浸炭制御量が設定され
る。具体的には例えば,前記加熱帯2,均熱帯3におい
て伝熱理論を基礎とした数式モデルに基づいて,前記ラ
ジアントチューブ,炉壁,ストリップ,ハースロール等
の間の伝熱係数を考慮したヒートバランスからプロセス
モデル式を設定し、このプロセスモデル式に基づいて目
標板温を満足する炉内温度,燃料ガス供給流量等を算出
してフィードバック制御を行うためのプロセスモデル計
算や、鋼板,即ちコイルの継ぎ目での板温変動を最小と
する燃料ガス供給流量の最適時系列を算出し、これに基
づいて対象コイル通板時にプリセットしてフィードフォ
ワード制御するための最適ルート計算を行い、これらに
基づいて各炉の最大通板速度を設定する。
【0054】一方、後段に詳述する浸炭帯4のスーティ
ング条件及び浸炭条件をモデル化した浸炭モデル式に基
づいて,定常状態のフィードバック制御を可能とするプ
ロセスモデル計算や非定常状態のフィードフォワード制
御を可能とする最適ルート計算を行い、これにより各鋼
板の仕様諸元から設定される目標浸炭量,若しくは当該
浸炭量を満足する浸炭濃度分布を得るために雰囲気組成
及び浸炭温度を求め、その条件下で浸炭帯内の最大通板
速度を設定する。
【0055】次にステップS23に移行して、浸炭炉を
含む各熱処理炉内のハースロールのヒートクラウンを板
温モデル等により予測計算し、ロールクラウンがストリ
ップの蛇行限界内になるような最大通板速度を算出する
サーマルクラウン計算を行う。これによりストリップの
蛇行を抑制した安定操業範囲での炉の最大処理能力を達
成することができる。
【0056】次にステップS24に移行して、前記ステ
ップS22で設定された各炉内の最大通板速度を比較
し、前記各板温制御帯の最大通板速度の最小値が浸炭帯
の最大通板速度よりも小さい場合には当該板温制御帯の
最大通板速度の最小値を、浸炭帯の最大通板速度が各板
温制御帯の最大通板速度の最小値以下である場合には当
該浸炭帯の最大通板速度を,夫々ライン全体の通板速度
に設定する。
【0057】次にステップS25に移行して、前記ステ
ップS24で設定されたライン全体の通板速度に基づい
て各熱処理炉の制御量を再度設定し直す,制御量再設定
計算を行う。ここで、前記浸炭帯で行われる浸炭制御に
ついて説明するにあたり、例えば前述した低AI−高B
H鋼板のようなプレス成形性に富み且つ強度を有する鋼
板を得るために要求されるストリップの仕様諸元に基づ
いて,本実施例における浸炭処理条件が従来の浸炭処理
条件に比してどのようなレベルにあるのか、そしてその
浸炭処理条件を満足するために必要な項目について説明
する。
【0058】従来の浸炭技術は、歯車,シャフト,ベア
リング等の所謂調質鋼からなる不連続物の耐磨耗性,耐
衝撃性向上等のために表面硬化を目的として行われる。
そのため、素材中のC量は0.05%以上で要求される
浸炭量は0.1%以上,浸炭深さは0.5〜1.5mm
以上であり、従って浸炭所要時間は1〜5時間にも及
ぶ。このような条件下では鋼板表層部のC濃度が時間に
対して平衡濃度に達しているから、図4に示すように浸
炭速度は鋼中への拡散速度に従う鋼中拡散律速域であ
り、その浸炭速度は時間の平方根に比例する。この浸炭
速度域では、鋼板表層部の鋼中平衡C濃度が,所定の値
となるように鋼中拡散速度が表面反応速度と等しくなる
ように雰囲気ガスのカーボンポテンシャル(Cポテンシ
ャル)を制御する必要があり、実際の操業管理指標とし
てはCO/CO2 の管理が重要になる。
【0059】一方、本実施例のようなストリップの連続
浸炭においては、該ストリップが前記極低炭素鋼からな
る連続物であり、このストリップの表面特性を改善する
こと及び鋼板そのものの材質の向上を目的として行われ
る。そのため、例えば前記の耐二次加工脆性の向上を対
象とする金属に要求される仕様(特開平3−19934
4号公報など)から当該金属帯の浸炭条件を求めると、
本実施例では素材中のC量は20ppmで要求される浸
炭量は200ppm以下,浸炭深さは50〜200μm
であり、しかも通板速度に左右される浸炭時間は120
秒以下になる。このような条件下では鋼板表層部のC濃
度が時間に対して平衡濃度に達しないから、前出した葉
らの報告にあるように、図4に示すように浸炭速度は鋼
表面の反応速度に従う表面反応律速域であり、該浸炭速
度は時間そのものに比例する。この表面反応律速域では
浸炭量,浸炭深さ共に非平衡状態であるから、実際の操
業管理指標として従来のように単に鋼中表層部の平衡C
濃度となるようにCポテンシャル制御によってCO/C
O2 を管理するだけでなく、炉内における多数の制御量
を考慮して,要求される鋼板の仕様諸元から決定される
浸炭量を得るように、浸炭条件を設定する必要がある。
以下、本実施例において浸炭量を制御するために前記ホ
ストコンピュータで処理されるロジックに則り,当該ロ
ジックを構築する基本的な原理について説明する。
【0060】まず、本発明に係る非定常状態の浸炭制御
をも含んで,前記表面反応律速域において雰囲気ガスの
組成を制御するにあたっては前述のようにスーティング
の発生を防止すると共に露点上昇を抑制する必要がある
が、これらの状態発生メカニズムについて以下のように
推論する。一般に、浸炭条件における雰囲気ガス組成は
化学平衡により求めることができる。従来の解法では考
え得る反応を全て列挙し、これらの反応の平衡関係か
ら,非線形の連立方程式を解くことによってガスの組成
を得ている。しかし、気相系の反応式だけからは正確な
すす発生(スーティング)の限界を求めることが極めて
困難である。
【0061】そこで本実施例では以下のようにして熱力
学(雰囲気組成)モデル式を考え、スーティング発生を
防止する雰囲気ガス組成を求めた。等温,等圧の系の場
合、自然に起こる変化ではギブス自由エネルギーが減少
し、平衡状態において系のギブス自由エネルギーは最小
値をとる。従って、雰囲気ガスの平衡状態を求めるため
には,生成系の各成分ガス濃度を変数として得られる全
系のギブス自由エネルギーを目的関数とし、これを原系
が持ち込む元素成分が一定であるという物質収支の制約
条件下,具体的には炉内に供給される雰囲気ガス組成及
び供給量と浸炭によって金属帯に炉内から持ち出される
C量が一定という制約条件下で最小値となるように各成
分ガス濃度を求めればよい。この成分ガス濃度が与えら
れた炉温,炉圧における雰囲気ガスの平衡組成となり、
スーティングC量は以下に述べるロジック中で凝縮種の
一つとして表される。
【0062】雰囲気ガスの組成を算出するにあたり、二
つの仮定を設定する。その一つは、気体は理想気体とす
ること。もう一つは、遊離Cに代表される凝縮相は気体
と混合できないとすることである。この仮定の基にガス
種と凝縮種との全自由エネルギーF(X) は、i番目のガ
ス種の自由エネルギーfg i ,h番目の凝縮種の自由エ
ネルギーfc h に対して下記1式で与えられる。
【0063】 但し、n:ガス種の数,p:凝縮種の数を示す。
【0064】ここで、前記ガス生成物に関するi番目の
ガス種の自由エネルギーfg i は、i番目のガス種のモ
ルエネルギーCg i に対して当該ガス種のモル数がxg
i として下記2式〜4式で与えられる。 fg i =xg i (Cg i +ln(xg i /X)) ……… (2) Cg i =(F/(R・T))g i +lnP ……… (3) 一方、凝縮生成物については、前記仮定の基に圧力及び
混合の影響は除かれるので、h番目の凝縮種の自由エネ
ルギーfc h は、h番目の凝縮種のモルエネルギーCc
h に対して当該凝縮種のモル数がxc h として下記5
式,6式で与えられる。
【0065】 fc h =xc h ・Cc h ……… (5) Cc h =(F/(R・T))C h ……… (6) なお、前記3式,6式中の(F/(R・T))は下記7
式で定義される。 (F/(R・T))i =((F−H298)/T)i /R +ΔH0 f,298,i /RT ……… (7) 次にこの系における物質収支を考慮する。生成系の各成
分量は変化しても、各元素、即ち雰囲気ガス成分中の炭
素C,水素H,窒素N,酸素Oの原子単位で見れば夫々
の総量は一定となる。この物質収支式は下記8式で表さ
れる。
【0066】 但し、 j=1,2,………,m ag ij:i番目のガス種の分子に含まれるj番目の元素
の原子数 ac ij:i番目の凝縮種の分子に含まれるj番目の元素
の原子数 bj :系に存在するj番目の元素の量 m:系に存在する元素種の数 を示す。
【0067】ここで本実施例では、前記ホストコンピュ
ータ内に記憶させたプログラムにより、前記8式及び前
記1式から線形化した雰囲気組成モデル式を設定し、こ
の雰囲気組成モデル式から得られる解を収束して最適解
を得ることとした。次に実際の連続浸炭における雰囲気
ガス組成の必要条件について考慮するにあたり、炉内の
Cバランスを下記9式,10式で与えた。なお、10式
は鋼板の仕様諸元と表面反応速度によって算出される関
数である。
【0068】 Wg I =Ws C +Wg O ……… (9) Ws C =ξ(V,t,w,LS) ………(10) 但し、 Wg I :炉内に入る雰囲気ガス中のC質量 Ws C :ストリップに持ち去られるC質量 Wg O :炉内から出る雰囲気ガス中のC質量 V:表面反応速度, t:浸炭時間, w:板幅 を示す。
【0069】このようにして、浸炭炉内の連続浸炭の実
際における物質収支を考慮した熱力学(雰囲気組成)モ
デル式に基づいて前記雰囲気諸元を算出することによ
り、確実にスーティングの発生を防止しながら、炉内の
物質収支を考慮しないで求めた雰囲気諸元に比して雰囲
気組成の浸炭力を高めることが可能となる。従って、例
えば雰囲気ガス中のCO濃度を高めて通板速度を上げる
といった実際の操業能力を向上することができる。
【0070】次に、本発明の非定常状態を含んで本実施
例の主幹部を構成する浸炭量制御の原理について説明す
る。雰囲気ガスにCOを用いた場合の表面反応は下記1
1〜13式のように考えられる。 CO⇔[C]+O ………(11) CO+O→CO2 ………(12) Fe+[C]→Fe−C(鋼中拡散) ………(13) 前述した葉らによれば鋼板表層部のC濃度が極めて低く
且つ浸炭時間が極めて短い場合には浸炭条件が平衡状態
に達せず、そのため13式の反応速度は12式の吸着酸
素の脱離反応よりも速いために、この反応が律速反応で
あると仮定し、この表面反応律速域における表面反応速
度Vを下記14式で表した。
【0071】 V=k・PCO(PCO/(PCO+(ac/K))) ………(14) 但し、k:反応速度定数,PCO:COガス分圧,ac:
炭素活量,K:平衡定数を示す。しかしながら、前記1
4式にはH2 の影響が考慮されていない。H2 に関する
反応式としては、前記12式で表される反応式に対して
下記15式で表される反応が考えられる。
【0072】 CO+H2 +2O→CO2 +H2 O ………(15) また、生成したCO2 に対して下記16式で表される反
応等が考えられる。 H2 +CO2 ⇔H2 O+CO ………(16) これらの反応式に基づき,H2 は浸炭反応を促進する効
果があり、CO2 ,H 2 Oは浸炭反応を阻害することが
わかる。そこで本実施例では表面反応速度Vを下記17
式で表した。
【0073】 V=k1 ・f1 (PCO,PH2,θO )−k2 ・f2 (PCO2 ,PH2O ) ………(17) 但し、θO :吸着酸素の被覆率,k1 ,k2 :反応速度
定数を示し、反応速度定数k1 ,k2 は下記17’式で
設定することができる。
【0074】 ki =Ai ・exp ( −Ei /RT) ……… (17') 但し、Ai :頻度因子,Ei :活性化エネルギー,R:
気体定数,T:絶対温度を示す。なお、頻度因子Ai ,
活性化エネルギーEi ,気体定数Rはいずれも定数であ
るため、反応速度定数k1 ,k2 は種々の絶対温度Tの
条件下における実験値から算出した。
【0075】なお、本実施例においてCO濃度だけを考
慮すればよい場合,例えば雰囲気の供給ガス流量が多い
場合には、前記14式を表面反応速度式として使用して
もよい。次に固溶炭素の鋼中拡散について考察する。鋼
中へのCの拡散状態は下記18式で表される。
【0076】 dC/dt=D・d2 C/dX2 ………(18) 但し、C:鋼中のC濃度,t:時間,D:拡散係数,
X:拡散距離を示す。なお、前記拡散係数Dは実測デー
タにより近似的に表示することとした。従って、前記1
7式及び18式により鋼板への浸炭量を算出することが
できる。
【0077】ここで、前述のように浸炭処理の操業条件
から通板速度を規制する場合、前記18式中の目標浸炭
時間tから有効浸炭炉長Lをこの浸炭時間tで微分した
値が通板速度LS となる。以上の演算を前記ホストコン
ピュータに予め記憶されたプログラムにより順次行っ
て、浸炭後の鋼板の仕様諸元で与えられるストリップへ
の浸炭量と,雰囲気ガス中のC減少量から算出されるス
トリップへの浸炭量とが一致する,浸炭条件を設定する
ためのロジックを図6のフローチャートに示す。
【0078】まずステップS1では、浸炭後の鋼板仕様
諸元として与えられる条件設定から、雰囲気ガスの組
成,投入ガスの流量,浸炭温度及び通板速度,鋼板諸元
並びに鋼板の浸炭濃度分布から鋼板表面より指定深さX
1 のC濃度C1 等の条件を読込む。次にステップS2に
移行して、前記鋼板諸元及び鋼板仕様から鋼板への設定
浸炭量ΔCを算出する。
【0079】次にステップS3に移行して、前記ステッ
プS1で読込んだ雰囲気ガスの組成から前記雰囲気組成
モデル式を設定する。次にステップS4に移行して、前
記ステップS3で設定した雰囲気組成モデル式に従って
雰囲気ガスの各成分濃度を算出する。次にステップS5
に移行して、前記17式に基づいて鋼板の表面反応速度
を算出する。
【0080】次にステップS6に移行して、前記18式
に基づいて鋼中への浸炭速度を算出し、鋼中へのC拡散
量を算出する。次に当該浸炭処理時間が経過した場合に
はステップS7に移行して、前記ステップS6で算出さ
れた単位時間及び単位面積当たりの鋼中への拡散C量を
処理時間及び鋼板総表面積で積分して鋼板への浸炭量Δ
C’を算出する。
【0081】次にステップS8に移行して、前記設定浸
炭量ΔCと浸炭量ΔC’との差の絶対値が所定値aより
小さいか否かを判定し、両者の差の絶対値が所定値aよ
り小さい場合にはステップS10に移行し、そうでない
場合にはステップS9に移行する。前記ステップS9で
は、前記浸炭量に基づいて設定浸炭量を下記20式に基
づいて補正し、前記ステップS3に移行する。
【0082】 ΔC=ΔC+(ΔC’−ΔC)×b ………(20) 但し、b:定数を示す。前記ステップS10では、前記
目標浸炭量ΔC0 と設定浸炭量ΔCとの差の絶対値が所
定値dより小さいか否かを判定し、両者の差の絶対値が
所定値dより小さい場合にはステップS12に移行し、
そうでない場合にはステップS11に移行する。
【0083】前記ステップS11では、前記浸炭濃度分
布条件から設定される設定浸炭量を得るために雰囲気ガ
ス流量,雰囲気組成,通板速度,浸炭温度の各パラメー
タの何れか一つ以上を変更して,前記ステップS2に移
行する。前記ステップS12では、前記ステップS6で
設定された鋼中拡散モデルに従って鋼板表面より指定深
さX1 のC濃度C'1を算出する。
【0084】次にステップS13に移行して、前記ステ
ップS1で読込んだ鋼板表面より指定深さX1 の設定C
濃度C1 と,前記ステップS12で算出した鋼板表面よ
り指定深さX1 のC濃度C'1との差の絶対値が所定値e
より小さいか否かを判定し、両者の差の絶対値が所定値
eより小さい場合にはステップS15に移行し、そうで
ない場合にはステップS14に移行する。
【0085】前記ステップS14では、前記浸炭濃度分
布条件から設定される設定浸炭量を得るために雰囲気組
成,通板速度,浸炭温度の各パラメータの何れか一つ以
上を変更して,前記ステップS2に移行する。前記ステ
ップS15では、上記演算の結果得られた雰囲気ガス成
分の濃度,全浸炭量,平均浸炭量,鋼板表面からの浸炭
分布,スーティングC量,通板速度等の演算結果を出力
してプログラムを終了する。
【0086】このプログラムによって算出された各浸炭
温度における物質収支を考慮して求めたスーティングの
発生限界を図7に実線で示す。同図において破線は露点
上限を示す。また一点鎖線は物質収支を考慮しないで求
めたスーティングの発生限界を示す。そして同図におい
て斜線を施した部分が実浸炭操業における操業範囲を表
す。
【0087】同図から明らかなように物質収支を考慮し
て求めたスーティングの発生限界では、物質収支を考慮
しないで求めたスーティングの発生限界に比してCO濃
度もH2 濃度も高くなる。即ち、その分だけ浸炭速度も
向上する。一方、浸炭温度が高くなるほどスーティング
の発生限界に伴うCO濃度もH2 濃度も高くなる。この
ことは全体的な浸炭操業効率が温度にも依存することを
意味するから、逆に通板速度を速くする場合には材質の
許す範囲で炉内温度を高くする等の操業の余裕度が増す
ことになり、連続浸炭の実際における諸条件の設定範囲
がより広がることになる。勿論、炉内の物質収支を考慮
しないで求めたスーティングの発生限界に沿って操業範
囲を設定してもスーティングは発生しないが、その分だ
け操業の余裕度は減少し、諸条件の設定範囲は狭くな
る。
【0088】また、このプログラムによって算出された
各浸炭条件,即ち前記各制御量を変化させた場合の浸炭
量と、実測された浸炭量との相関を図8に示す。同図か
ら明らかなように、浸炭量の計算値と実測値とは非常に
よく一致している。このことは、前記浸炭速度,即ち表
面反応速度の設定と、その温度依存係数の設定が正しい
ことを意味しており、表面反応速度の設定が正しい限
り、本発明の連続浸炭方法は浸炭速度が拡散速度よりも
大きい表面反応速度に従う領域での幅広い応用が可能で
あることを意味する。
【0089】次に、本プログラムによって算出される浸
炭制御の定常状態の具体的演算例について説明する。こ
こで例えば、ステップS1で読込まれた板厚諸元等の鋼
板諸元から,前記ステップS2で所定(目標)浸炭量が
設定される。また、前記ステップS1では鋼板の材質条
件より目標浸炭温度が設定された。更に、前記ステップ
S1で読込まれた通板速度で,前記有効浸炭炉長を除し
て浸炭時間が算出される。
【0090】次いで、前記ステップS3及びステップS
4でスーティングを防止する雰囲気ガス条件としてCO
濃度,H2 濃度の上限が設定される。これに対して前記
ステップS3〜S9のフローにおいて表面反応速度式,
鋼中拡散モデル式が設定され、これらの式から前記目標
浸炭量を達成するのに必要なCO濃度,H2 濃度,CO
2 濃度,H2 O濃度,浸炭時間が設定され、同時に前記
設定通板速度に対して,所望する浸炭時間を達成する通
板速度が新たに設定される。
【0091】従ってこのロジックでは、浸炭濃度分布が
要求されない場合は勿論,浸炭濃度分布が要求される場
合にも、鋼板の仕様諸元から与えられた浸炭量を満足し
ながら,スーティングを発生しない条件下で最大処理能
力を得るように前記各浸炭制御量が設定される。次に、
本発明の非定常状態の浸炭量制御を実行する本実施例の
浸炭条件設定の構成概念及びその具体的ロジックについ
て説明する。なお、説明に先立って,前記図6に示す浸
炭量制御ロジックは定常状態,非定常状態のいずれの場
合にも,スーティングの発生を防止して所望される浸炭
量を得ることの可能なものであるから、後述する非定常
状態の浸炭条件設定ロジックは場合によってこの浸炭量
制御ロジックの上位にもなり得るし,下位にもなり得
る。また、この実施例の非定常状態の浸炭条件設定ロジ
ックは,最終的に目標浸炭量を達成する通板速度を設定
するものであるが、このように設定した通板速度が果し
て前記各熱処理帯での板温制御を満足するものであると
は限らない。従って、この非定常状態の浸炭条件設定ロ
ジックは、前記図5のトータルライン制御ロジックのう
ち,ステップS21中の最適ルート計算の一部を構成す
ることもあるし、或いはこのトータルライン制御ロジッ
クの前提条件としてその上位に位置することもある。以
上の理由から、本実施例では,以下に述べる非定常状態
の浸炭条件設定ロジックを含む全てのロジックでループ
を組み、それらの全ての設定計算から最適解を得るよう
にしてある。
【0092】前述したように、浸炭濃度分布を含む鋼板
の仕様諸元から得られる浸炭量の制御量として,応答時
間の短い順に列記すれば通板速度(浸炭時間),雰囲気
ガス組成又は組成ガス濃度から設定される雰囲気組成,
浸炭温度が挙げられる。前述のようにして得られた次の
鋼板の定常状態へ移行する非定常状態で,これらの制御
量が変動している状態で所望される浸炭量を達成するに
は、応答時間の短いものの順に制御するのが最も容易で
ある。
【0093】しかしながら、前記非定常状態で,炉内の
スーティングの発生を防止するための制御量である浸炭
温度や雰囲気組成が変動している場合は、浸炭薄鋼板の
表面性状の劣化を防止するために,このスーティングを
発生しない条件を優先しなければならない。このように
浸炭温度や雰囲気組成が変動している場合にスーティン
グの発生しない条件下で所望する浸炭量を達成するため
には、現在・過去を含むそれらの制御量の実績に応じ
て,その他の制御量を設定する必要がある。
【0094】ここで、このような非定常状態において
も,前記図6の浸炭量制御ロジックのうち,例えば前記
ステップS1で,浸炭温度を達成するために炉内温度を
制御しているコントローラから炉内温度の実績や,雰囲
気組成を制御しているコントローラから雰囲気組成の実
績を読込むようにして、当該浸炭量制御ロジックを所定
の時間間隔で時々刻々行うことにより、例えば通板速度
のみを変更する場合や,炉内温度一定の条件下で雰囲気
組成及び通板速度を変更する場合にも、必ずスーティン
グの発生しない条件下で,所望する浸炭量を可能な限り
達成することができる。
【0095】しかし、非定常状態を通して浸炭温度を変
更するために炉内温度が変動している場合には、前記ス
ーティングの発生しない条件から制御の優先順位が変動
する。即ち、前述のように炉内温度で設定される浸炭温
度の下に,最大処理能力を発揮するように設定されたC
O濃度やH2 濃度では、炉内温度を下げるとスーティン
グが発生してしまう。従って、炉内温度を下降する場合
には雰囲気組成中のCO濃度並びにH2 濃度の減少を先
行させなければならない。一方、炉内温度を上昇する場
合には、この炉内温度の上昇に見合った分だけCO濃度
及びH2 濃度を増大しなければならない。
【0096】この浸炭温度を変更する場合の具体的な浸
炭条件設定ロジックが図9に示すフローチャートであ
る。なお、この実施例では雰囲気組成や炉内温度(炉
温)を制御する各コントローラは所望されるそれらの制
御量を設定通りに変更するために,常に実績を読込みな
がら制御を行う。また、各ステップでは夫々,前記浸炭
量制御ロジックと同様の計算がサブルーチン的に行われ
ると考えられたい。
【0097】同図aは浸炭温度下降のために炉内温度を
下降する場合のロジックであり、まずステップS30で
浸炭濃度分布や板厚等の材質条件を読込む。次にステッ
プS31に移行して,前記定常状態のロジックから得ら
れる目標浸炭温度を達成するための目標炉温を設定す
る。これと同時に前記ステップS30からステップS3
2に移行して、材質条件から目標浸炭量を設定してお
く。
【0098】前記ステップS31からは次にステップS
33に移行して、目標炉温までの炉温変動を時系列的に
予測し、この炉温変動の下で雰囲気ガス組成及び組成ガ
ス濃度等の雰囲気組成の変更計算を行い、これにより時
系列的な雰囲気組成を設定する。前記ステップS33か
らは次にステップS34に移行して、前記ステップS3
3で設定された雰囲気組成の制御信号を受信した雰囲気
組成コントローラでは,雰囲気組成の実績を読込みなが
ら各雰囲気組成ガス流量を制御して、前記時系列的な雰
囲気組成変更を達成する。
【0099】前記ステップS34からは次にステップS
35に移行して、前記雰囲気組成の実績を読込みなが
ら,炉温の変更計算を行い、これにより時系列的な炉温
を設定する。前記ステップS35からは次にステップS
36に移行して、前記ステップS35で設定された炉温
の制御信号を受信した炉温コントローラでは,炉温の実
績を読込みながら燃料ガス流量を制御するなどして、前
記時系列的な炉温変更を達成する。
【0100】前記ステップS32及びS36からは次に
ステップS37に移行して、前記雰囲気組成実績及び炉
温実績に応じて,前記目標浸炭量を達成するための通板
速度を計算し、これを出力してプログラムを終了する。
同図bは浸炭温度上昇のために炉内温度を上昇する場合
のロジックであり、まずステップS40で浸炭濃度分布
や板厚等の材質条件を読込む。
【0101】次にステップS41に移行して,前記定常
状態のロジックから得られる目標浸炭温度を達成するた
めの目標炉温を設定する。これと同時にステップS42
に移行して、材質条件から目標浸炭量を設定しておく。
前記ステップS41からは次にステップS43に移行し
て、目標炉温までの炉温変動を時系列的に予測して炉温
の変更計算を行い、これにより時系列的な炉温を設定す
る。
【0102】前記ステップS43からは次にステップS
44に移行して、前記ステップS43で設定された炉温
の制御信号を受信した炉温コントローラでは,炉温の実
績を読込みながら燃料ガス流量を制御するなどして、前
記時系列的な炉温変更を達成する。前記ステップS44
からは次にステップS45に移行して、前記炉温の実績
を読込みながら,雰囲気組成の変更計算を行い、これに
より時系列的な雰囲気組成を設定する。
【0103】前記ステップS45からは次にステップS
46に移行して、前記ステップS45で設定された雰囲
気組成の制御信号を受信した雰囲気組成コントローラで
は,雰囲気組成の実績を読込みながら各雰囲気組成ガス
流量を制御して、前記時系列的な雰囲気組成変更を達成
する。前記ステップS42及びS46からは次にステッ
プS47に移行して、前記雰囲気組成実績及び炉温実績
に応じて,前記目標浸炭量を達成するための通板速度を
計算し、これを出力してプログラムを終了する。
【0104】この非定常状態の浸炭条件設定ロジックに
よって行われる制御量の制御の具体的演算例を図10に
基づいて説明する。図10は、板厚Dmm一定の浸炭量
の異なる2種類の鋼板,ここではA鋼板とB鋼板との間
の非定常状態で,図9aのロジックに従って浸炭温度即
ち炉内温度を下降する場合を示す。同図において炉温は
設定時刻t1 から時刻t2 の間で一次曲線的に下降され
る。この炉温変動の条件下で、H2 濃度一定とした場
合,スーティングの発生限界を示す雰囲気CO濃度は図
に斜線で示す範囲となるから、このスーティングの発生
しない組成範囲内で,時間t1 −t2 間の炉温変動中に
おける雰囲気CO濃度の変更曲線が設定される。
【0105】ここで、各鋼板の定常状態の通板速度は予
め設定されるから,同図に破線で示すように時間t1 −
t2 間の非定常状態で両定常状態の通板速度を一次曲線
的に上昇した場合は、各鋼板への浸炭量はこの時間t1
−t2 間で図に破線で示すように変動し、この変動間は
いずれの浸炭量も満足しない,所謂材質不良となる。換
言すれば、この長さだけ通板材が必要になる。
【0106】一方、本実施例では変動中の炉温及び雰囲
気組成の実績に合わせて,目標浸炭量を達成するように
通板速度を変更制御するため、具体的に通板速度は図に
実線で示すように,時刻t1 からt3 間でCO濃度の変
動に合わせて減少し、時刻t 3 から時刻t4 間で可能な
限り急速に増大し、時刻t4 から時刻t2 間で前記CO
濃度の変動に合わせて再び減少して,当該時刻t2 で次
の定常状態の通板速度に至る。これにより各鋼板の浸炭
量は図に実線で示すように変化する。この場合、各鋼板
の目標浸炭量から外れる材質不良長は、前記通板速度を
急速に増大する時間t3 −t4 間だけに短くなり、当然
必要通板材長も短くなる。
【0107】この実施例によれば、前記非定常状態の前
記時間t1 −t2 に相当する20分間の処理量は従来よ
りも20%向上し、その間の材質不良率は従来の80.
1%から10.4%と約1/8になった。なお、本実施
例では表面反応においてCO,H2 ,CO2 及びH2 O
の影響のみを考慮して表面反応速度を算出する場合につ
いて詳述したが、前述したようにその他の雰囲気ガス組
成,例えば重炭化水素の影響を考慮して表面反応速度を
算出するようにしてもよい。
【0108】また、本実施例では物質収支を考慮した熱
力学モデル式を線形化し、その解を収束することによっ
て雰囲気組成の平衡状態を算出することとしたが、この
平衡状態の算出手段はこれに限定されるものではない。
また、本実施例では特に極低炭素鋼からなるストリップ
を連続焼鈍・浸炭して,浸炭濃度が平衡濃度に達する以
前で浸炭速度が表面反応速度に律速される表面反応律速
域での浸炭制御についてのみ詳述したが、本発明の連続
浸炭方法は,前記浸炭速度が金属帯表面から内部への拡
散速度に律速される拡散律速域においても展開可能であ
ることは言うまでもない。
【0109】
【発明の効果】以上説明したように本発明の金属帯の連
続浸炭方法によれば、先の定常状態ら次の定常状態に移
行する非定常状態において、浸炭温度,雰囲気ガス組
成,組成ガス濃度,通板速度の制御量を、スーティング
の発生しない範囲内で所望される浸炭量を達成するよう
に,互いの制御量の実績に応じて設定することにより、
材質不良の長さ或いはその間に使用される通板材の長さ
を短くすることができるため、実質的な処理能率の低減
を抑制し、全体的な操業コストを低廉化することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続焼鈍浸炭設備で行われる熱処理工程の概念
説明図である。
【図2】本発明の金属帯の連続浸炭方法を用いた浸炭制
御の対象となる連続焼鈍浸炭設備の一例を示す概略構成
図である。
【図3】低AI−高BH性鋼板等に要求される板厚方向
への浸炭濃度分布の説明図である。
【図4】金属帯表層部の炭素濃度が平衡濃度に達した後
の拡散律速域と該平衡濃度に達する以前の表面反応律速
域との説明図である。
【図5】図2の連続焼鈍浸炭設備で行われる全体的なラ
イン制御のロジックを示すフローチャート図である。
【図6】本発明の金属帯の連続浸炭方法を用いて浸炭制
御を行うロジックの一例を示すフローチャート図であ
る。
【図7】図6の浸炭制御ロジックにより得られたスーテ
ィング発生限界と炉内の物質収支を考慮しないで得たス
ーティング発生限界とを比較したCO−H2 特性図であ
る。
【図8】図6のロジックによって得られた浸炭量の計算
値と実測値との相関関係図である。
【図9】本発明の非定常状態の金属帯の連続浸炭方法に
より浸炭条件設定を行うためのロジックを示すものであ
り、(a)は炉温を下げる場合のフローチャート図,
(b)は炉温を挙げる場合のフローチャート図である。
【図10】図9のロジックによって得られた各制御量の
時間変更制御の内容と,それによって達成される浸炭量
の相関関係の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1は予熱帯 2は加熱帯 3は均熱帯 4は浸炭帯 5は第1冷却帯 6は第2冷却帯 Aはストリップ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所望される仕様諸元が異なる金属板をも
    一連の金属帯となし、これを浸炭帯の浸炭炉内に連続的
    に通板して連続ガス浸炭を施す金属帯の連続浸炭操業に
    あって、金属板の継ぎ目や金属帯への浸炭量を変化すべ
    き箇所のように,先の金属板と次の金属板とで所望され
    る金属板の仕様諸元が異なる非定常状態の金属帯の連続
    浸炭方法において、先の金属板における先の定常状態か
    ら,次の金属板における次の定常状態に移行する,非定
    常状態の間に、雰囲気ガス組成,組成ガス濃度,浸炭温
    度,通板速度等の制御量のうち,いずれか一つ又は二以
    上を、スーティングの発生しない条件下で,前記金属板
    の異なる仕様諸元から得られる浸炭量を満足するように
    制御して非定常状態の浸炭量制御を行うことを特徴とす
    る金属帯の連続浸炭方法。
  2. 【請求項2】 前記非定常状態の浸炭量制御を行うにあ
    たり、この非定常状態を挟んだ次の定常状態における各
    制御量を設定し、この制御量を満足するために各制御量
    のいずれか一つ又は二以上を先の定常状態から変更する
    場合、前記スーティングの発生しない条件下で,変更さ
    れる浸炭温度を得るための炉内温度の変動を考慮して前
    記雰囲気ガス組成又は組成ガス濃度を設定することを特
    徴とする請求項1に記載の金属帯の連続浸炭方法。
  3. 【請求項3】 前記浸炭温度を上昇する場合には,炉内
    温度の上昇を先行させて、その炉内温度の実績に応じ
    て,スーティングの発生しない範囲内で雰囲気ガス組成
    中の一酸化炭素ガス濃度又は一酸化炭素ガス濃度及び水
    素ガス濃度を増大させることを特徴とする請求項1又は
    2に記載の金属帯の連続浸炭方法。
  4. 【請求項4】 前記浸炭温度を下降する場合には,雰囲
    気ガス組成中の一酸化炭素ガス濃度又は一酸化炭素ガス
    濃度及び水素ガス濃度の減少を先行させて、その雰囲気
    ガス組成又は組成ガス濃度の実績に応じて,スーティン
    グの発生しない範囲内で炉内温度を下降させることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の金属帯の連続浸炭方
    法。
  5. 【請求項5】 前記非定常状態の浸炭量制御を行うにあ
    たり、この非定常状態を挟んだ次の定常状態における各
    制御量を設定し、この制御量を満足するために各制御量
    のいずれか一つ又は二以上を先の定常状態から変更する
    場合であって,前記浸炭温度を変更しない場合には、こ
    の浸炭温度の条件下で炉内温度の実績に応じて,スーテ
    ィングの発生しない範囲内で雰囲気ガス組成又は組成ガ
    ス濃度を変更することを特徴とする請求項1に記載の金
    属帯の連続浸炭方法。
  6. 【請求項6】 前記非定常状態の浸炭量制御を行うにあ
    たり、前記雰囲気ガス組成,組成ガス濃度,浸炭温度等
    の各制御量が変更される場合も変更されない場合も、こ
    れらの制御量の実績に応じて,前記各金属板に所望され
    る浸炭量を満足するように通板速度を制御することを特
    徴とする請求項1乃至5に記載の金属帯の連続浸炭方
    法。
  7. 【請求項7】 前記金属帯の連続浸炭操業の実際によ
    り,通板速度が規制される場合には、前記スーティング
    の発生しない条件下で,前記各金属板に所望される浸炭
    量を満足するようにその他の制御量を制御することを特
    徴とする請求項1乃至5に記載の金属帯の連続浸炭方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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