JPH06195543A - 紙幣識別装置 - Google Patents

紙幣識別装置

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JPH06195543A
JPH06195543A JP4358125A JP35812592A JPH06195543A JP H06195543 A JPH06195543 A JP H06195543A JP 4358125 A JP4358125 A JP 4358125A JP 35812592 A JP35812592 A JP 35812592A JP H06195543 A JPH06195543 A JP H06195543A
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通博 太田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 紙幣の経年変化や部分的な汚れ等による検出
データの変動によって判定誤差の生じることが少ない紙
幣識別装置を提供する。 【構成】 紙幣の識別判定時に紙幣の搬送速度に同期さ
せて紙幣上の各位置i毎の物理的特性データpi を検出
し、検出データpi の検査区間の平均値を標準パターン
値pci の検査区間の平均値に一致させるための補正値
pmを求め、該補正値pmにより検出データpi に補正
を加えることにより、紙幣や検出手段の全体的な劣化や
汚れによって生じるデータの変動を取り除く。また、各
位置i毎の標準パターン値pci および検出データpi
との相関を統計的な手法によって総合的に評価した異質
度prを算出して紙幣の真偽および種別を判定すること
により、部分的なデータ異常による種別および真偽の判
定誤りを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動販売機や両替機お
よびゲーム装置等に利用される紙幣識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】紙幣の搬送に同期して該紙幣各部の色や
濃度または紙幣に含まれる磁性粉等をセンサで検出して
サンプリングデータを取得し、このサンプリングデータ
を基準パターンと比較することによって紙幣の種別およ
びその真偽を判定する紙幣識別装置が、例えば、特公昭
63−26918号,特公昭64−5354号等として
既に提案されている。これら従来の紙幣識別装置では、
各位置でサンプリングされたデータの全てが基準パター
ンのデータに対して許容範囲に収まっている場合にの
み、その基準パターンに対応した紙幣種別の真券信号を
出力するようになっており、種別および真偽判定の信頼
性は各位置毎のサンプリングデータの値と基準パターン
のデータとの間の偏差にのみ異存している。従って、こ
のような従来方式により偽紙幣を確実に排除するために
は、判定基準となる許容範囲を相当に狭く設定する必要
があるが、許容範囲を余り狭く設定すると、流通紙幣に
付着した全体的な汚れによって検出データの値が均一に
シフトしたような場合であっても真正紙幣が偽紙幣とし
て判定される恐れがある。
【0003】紙幣の汚れや経年変化による検出データの
変動および周囲温度の変化等に伴う検出データ値のドリ
フト等に対処するため、各位置でサンプリングされた検
出データの平均により検出データに補正を加えて基準パ
ターンと比較するようにした紙幣識別装置が特公昭58
−9990号として提案されているが、紙幣の一部に汚
れが付着する等して部分的な変化が生じたような場合に
は、真正紙幣が偽紙幣としてリジェクトされてしまうと
いう問題が残る。また、紙幣種別毎の基準データと度数
分布との関係を記憶しておき、ファジイ理論に基づいて
判定動作を行わせようとした紙幣識別装置が特開平2−
148383号として提案されているが、このものは、
検出データ自体に変動が生じた場合であっても比較対象
となる度数分布データとの間で整合性を保持するための
補正作業は一切行われないので、紙幣やセンサ類の経年
変化や汚れ等に対処することはできない。
【0004】紙幣の種別およびその真偽を適確に判定す
るためには多数のセンサ,多数のサンプリングデータを
用いて判定操作を行うことが望まれるが、従来の紙幣識
別装置では、最終サンプリング位置のデータが検出され
て判定処理が行えるようになるまでの間、紙幣の搬送時
点で検出されたサンプリングデータの全てを一括保持し
ておくようにしていたため、RAM等の記憶手段に必要
とされる記憶容量が大きくなり、しかも、演算装置への
負担も増大するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の欠点を解消し、紙幣の経年変化や部分的な汚
れ等による検出データの変動によって判定誤差が生じる
ことが少なく、しかも、記憶手段の記憶容量を増大させ
たり演算装置に過大な負担をかけたりすることなく、円
滑な判定動作を行なうことのできる紙幣識別装置を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の紙幣識別装置
は、紙幣の搬送速度に同期してサンプリングし、各サン
プリング毎に紙幣の所定位置における各物理的特性デー
タを検出する検出手段と、該検出手段により多数の真正
な紙幣によって得られた前記各所定位置における物理的
特性データから得られる各位置iにおける平均値、およ
び各位置iにおけるデータのばらつき度合いを表す偏差
値を標準パターン値pci および標準偏差値psi とし
て記憶するメモリ手段と、前記検出手段から検出される
データpiの検査区間の平均値を前記標準パターン値の
検査区間の平均値に一致させる補正値pmを求める補正
値算出手段と、前記検出手段から検出される検査区間の
各位置の検出データpi を上記補正値を用いて標準パタ
ーン値に一致させるよう補正した補正検出データから対
応する前記標準パターン値pci を減じ、前記偏差値p
si で除した値の2乗を検査区間のサンプリング位置だ
け加算した値を異質度prとして求める異質度算出手段
と、前記補正値、および異質度が共に許容範囲にあると
きのみ搬送されてきた紙幣を真券と判断する判別手段と
を備える構成により前記目的を達成した。
【0007】特に、標準パターン値pci の合計Σpc
i および標準パターン値pci を対応する標準偏差値p
si で除した値の2乗の検査区間の合計値Σ(pci /
psi )2 を予め前記メモリ手段に記憶させておくと共
に、前記補正値算出手段により、検査区間において前記
検出手段から検出されるデータpi を順次積算し、検査
区間が終了すると該積算値Σpi で前記標準パターン値
の合計値Σpci を除して補正値pmを求め、前記異質
度算出手段は、検査区間においてデータが検出される毎
に、前記検出手段から検出されるデータpi を対応する
位置の前記偏差値psi で除した値の2乗の積算値Σ
(pi /psi )2 、および検出データpi に標準パタ
ーン値pci を乗じこの値を偏差値psi の2乗で除し
た値の積算値Σ(pi ・pci /psi 2 )を順次求
め、検査区間が終了すると次式で示される演算を行って
異質度pr pr=pm2 ・Σ(pi /psi )2 −2・pm・Σ(pi ・pci /psi 2 )+Σ(pci /psi )2 を求めるようにすることにより、検出データ保存に必要
とされるメモリ容量を節約し、異質度算出手段の演算処
理に必要とされる負担を軽減した。
【0008】そして、紙幣の搬送方向に直交する方向に
位置をずらして複数の検出手段を配置し、前記メモリ手
段には、各検出手段j毎の前記平均値、標準パターン値
pcijおよび標準偏差値psijを記憶し、前記補正値算
出手段および異質度算出手段は各検出手段j毎の補正値
pmj 、異質度prj を夫々求め、前記判別手段は全て
の補正値および異質度が夫々許容範囲にあるときのみ搬
送されてきた紙幣を真券と判断する構成、更に、前記メ
モリ手段に標準パターン値pcijの合計Σpcijおよび
標準パターン値pcijを対応する標準偏差値psijで除
した値の2乗の検査区間の合計値Σ(pcij/psij)
2 を記憶し、前記補正値算出手段および異質度算出手段
は各検出手段j毎の補正値pmj 、異質度prj を夫々
求め、前記判別手段は全ての補正値および異質度が夫々
許容範囲にあるときのみ搬送されてきた紙幣を真券と判
断する構成により、判別精度を一層向上させた。
【0009】また、前記補正値のばらつき度合いを検出
する補正値ばらつき検出手段を設け、前記判別手段は、
全ての補正値および異質度およびばらつき度合いが許容
範囲にあるときのみ紙幣を真券と判断する構成により、
算出された補正値が紙幣全体の汚れや劣化によるデータ
のばらつきを補正するためのものであるか否かを確認し
て紙幣の真偽を判定できるようにした。
【0010】更に、各検出手段における前記異質度pr
j を合計し総合異質度Σprj を求める総合異質度算出
手段を設け、前記判別手段は該総合異質度Σprj が許
容範囲内にないときには紙幣を真券と判断しない構成に
より、各検出手段による総合的な評価で紙幣の真偽を厳
密に判定できるようにした。
【0011】また、紙幣の種類に対応して、前記メモリ
手段は各データを記憶し、前記補正値算出手段、異質度
算出手段および総合異質度算出手段は紙幣の種類毎に夫
々補正値、異質度および総合異質度を求め、前記判別手
段は補正値、異質度および総合異質度がいずれも許容範
囲にあり、かつ、前記総合異質度Σprj が最小の値を
示す種類の紙幣に対応した真券信号を出力する構成、更
に、補正値ばらつき検出手段により補正値のばらつき度
合いを求め、前記判別手段は補正値、異質度、総合異質
度および補正値のばらつき度合いがいずれも許容範囲に
あり、かつ、前記総合異質度Σprj が最小の値を示す
種類の紙幣に対応した真券信号を出力する構成により、
紙幣の種別を適確に判定できるようにした。
【0012】
【作用】真正な紙幣を多数試験して、各サンプリング時
の位置i毎の特性データの平均値である標準パターン値
pci および各位置iにおける特性データのばらつき度
合いを表す標準偏差値psi を求める。これらの値をメ
モリ手段に記憶しておく。そして、紙幣を判別する際に
は、補正値算出手段によって検出手段から検出されるデ
ータpi の検査区間の平均値を前記標準パターン値の検
査区間の平均値に一致させる補正値pmを求める。次
に、異質度算出手段によって、検出手段から検出される
検査区間の各位置の検出データpi を上記補正値を用い
て標準パターン値に一致させるよう補正した補正検出デ
ータを求め、さらに、該補正検出データより対応する前
記標準パターン値pci を減じ、前記偏差値psi で除
した値の2乗を検査区間のサンプリング位置だけ加算
し、この値を異質度prとして求める。判別手段はこう
して求められた補正値、および異質度が共に許容範囲に
あるときのみ搬送されてきた紙幣を真券と判断し、真券
信号等を出力する。
【0013】さらに別の態様としては、検査区間におけ
る標準パターン値pci の合計値Σpci と、各位置i
の標準パターン値pci を各位置iの標準偏差値psi
で除した値の2乗の検査区間の合計値Σ(pci /ps
i )2 を算出し、各位置の標準パターン値pci ,各位
置iの特性データのばらつき度合いを表す標準偏差値p
si ,検査区間における標準パターン値pci の合計値
Σpci ,各位置iの標準パターン値pci を各位置i
の標準偏差値psi で除した値の2乗の検査区間の合計
値Σ(pci /psi )2 の各々をもメモリ手段に記憶
させておく。
【0014】紙幣の識別時には、前記所定の搬送速度に
同期して検出手段により紙幣上の各位置iより特性デー
タpi を取得すると共に、該検出タイミング毎、補正値
算出手段が検出データの合計値Σpi を更新して積算す
る。また、該検出タイミング毎に、異質度算出手段は、
検出データpi を対応する位置の偏差値psi で除した
値の2乗の積算値Σ(pi /psi )2 、および、検出
データpi に標準パターン値pci を乗じこの値を偏差
値psi の2乗で除した値の積算値Σ(pi ・pci /
psi 2 )を更新して求める。
【0015】検査区間が終了すると、補正値算出手段は
標準パターン値pci の合計値Σpci の値を検査区間
全体を通じての検出データpi の積算値Σpi で除し、
検出手段から検出されるデータpi の検査区間の平均値
を前記標準パターン値の検査区間の平均値に一致させる
補正値pmを求める。
【0016】異質度算出手段は、検査区間終了時点で補
正値算出手段によって求められた補正値pm、および、
最終的に求められた積算値Σ(pi /psi )2 とΣ
(pi・pci /psi 2 )の値、ならびに、予めメモ
リ手段に記憶された合計値Σ(pci /psi )2 の値
とにより、 pr=pm2 ・Σ(pi /psi )2 −2・pm・Σ(pi ・pci /psi 2 )+Σ(pci /psi )2 の演算式を実行して異質度prを算出する。特に、異質
度prを算出するために必要なデータをデータ検出時に
順次積算演算を行い求め記憶するようにしたから、検出
データ保存に必要とされるメモリ容量を節約し、異質度
算出手段の演算処理に必要とされる負担を軽減すると共
に、異質度pr算出処理時間を短くすることができる。
【0017】また、補正値算出手段および異質度算出手
段は前記と同様にして各検出手段j毎の補正値pmj ,
異質度prj を夫々求め、補正値ばらつき検出手段およ
び総合異質度検出手段が補正値pmj のばらつきと異質
度prj の合計である総合異質度Σprj を求め、判別
手段はこれらの値が許容範囲にあるとき、総合異質度Σ
prj が最小の値を示す種類の紙幣に対応した真券信号
を出力する。
【0018】作用原理は、以下に示す通り。まず、紙幣
および検出手段の劣化等による検出データpi の変動は
各位置iから検出した検出データpi に対して同様に作
用する。従って、標準パターン値pci の合計値Σpc
i の値を検査区間全体を通じての検出データpi の積算
値Σpi で除して得た補正値pmを各位置iでの検出デ
ータpi に乗じて修正検出データpm・pi とすること
により紙幣および検出手段の劣化等によるデータのばら
つきに補正をかけることができる。
【0019】また、多数の真正紙幣を挿入した時の各位
置i毎の検出値pci のばらつきに対応する標準偏差を
psi とすれば、真偽判定のための修正検出データpm
・pi のばらつきは標準偏差psi を基準として次の数
1式の偏差phi で示される。
【0020】 phi =(pm・pi −pci )/psi …(1) ここで得た偏差phi は平均0分散1の標準正規分布を
持つ母集団から抽出されたサンプルと等価であり、その
偏差の2乗の和はχ2 分布に従うことが一般に知られて
いる。従って、修正検出データpm・pi の線図形状と
真正な標準データpci の線図形状との相関を示す異質
度prを数2式のように定義すれば、該異質度prはχ
2 分布に従い、各位置iにおける修正検出データpm・
pi が真正な標準データpci の線図形状に属する確率
に関連した値となる。
【0021】
【数2】 数2式の演算を実施して異質度prを求め、この値が所
定範囲にあるか否かにより、修正検出データpm・pi
で示される線図形状が真正な標準データpciの線図形
状に対し、常識的な正規分布の範囲を越えて突出する部
分があるか否か、即ち、判定対象となる紙幣が真券であ
るか否かを判定することができる。
【0022】また、検出手段および紙幣の全体的な汚れ
や劣化はほぼ均質となるので、複数の検出手段を備えた
紙幣識別装置においては各検出手段毎の補正値pmjの値
がほぼ等しくなるはずである。つまり、各検出手段にお
ける補正値pmjが許容範囲にある場合でも、そのばらつ
きが激しければ紙幣の全体的な汚れが均一になっている
と見做すことはできず、このような場合には、判別手段
は真券信号を出力しない。
【0023】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説
明する。図1は本発明を適用した一実施例の紙幣識別装
置の要部を示す概略平面図、図2は該紙幣識別装置の制
御部の概略を示すブロック図である。
【0024】図1に示す符号1は紙幣搬送路を形成する
プレートで、該プレート1の両側には、駆動側タイミン
グプーリ2および従動側タイミングプーリ3に巻回され
たタイミングベルト4によって構成される2組のベルト
搬送手段が設けられ、両側の駆動側タイミングプーリ2
を回転駆動するモータMの作動により挿入紙幣が搬送さ
れるようになっている。PCはモータMの所定回転毎に
回転検出信号を出力するパルスコーダである。また、P
0〜P3はプレート1上に形成された紙幣搬送路を挟ん
で配置された一対の発光素子および光電変換器によって
構成される透過型の光学センサであって、挿入紙幣を透
過する光の量に応じて電気信号を出力するようになって
いる。P4〜P5は挿入紙幣のインクに含まれる磁性粉
を検出して電気信号を出力する磁気センサである。な
お、紙幣の挿入方向は図1の左から右に向かう方向であ
る。
【0025】図2に示されるように、センサP0〜P3
の光電変換器は夫々の前置増幅器10〜13およびA/
D変換器20〜23を介してCPU31に接続された入
出力回路30に接続され、各前置増幅器10〜13で増
幅された各センサP0〜P3の検出光量の現在値(図4
(a1)参照)に対応したデジタル信号(図4(a2)
参照)が入出力回路30の所定入力ポートに入力され
る。また、センサP4,P5は夫々の前置増幅器14,
15および波形整形回路24,25を介してCPU31
の入出力回路30に接続されており、各前置増幅器1
4,15で増幅され(図4(b1)参照)、各波形整形
回路24,25でデジタル化された整形波形(図4(b
2)参照)が入出力回路30に入力される毎に入出力回
路30内のカウンタC1,C2が自動的にカウントアッ
プされる一方(図4(b3)参照)、CPU31からの
リセット信号を受けて該カウンタC1,C2の値が自動
的にリセットされる(図4(b3)参照)。なお、カウ
ンタC1,C2のリセット周期はパルスコーダPCにお
ける回転検出信号の出力周期と同じである。ROMおよ
び不揮発性RAMによって構成されるメモリ32には、
紙幣識別装置のシーケンス動作や紙幣の判定等に関する
制御プログラム、および、紙幣の判定等に必要とされる
各種の設定データが不揮発記憶されており、判定用の設
定データに関しては、手動データ入力装置33からの操
作により任意に書き替えができるようになっている。ベ
ルト搬送手段の駆動源となるモータMはモータ駆動回路
26および入出力回路30を介してCPU31によって
駆動制御され、また、パルスコーダPCからの回転検出
信号が入出力回路30を介してCPU31に入力され
る。なお、34は入出力インターフェイスであり、該紙
幣識別装置を装着した自動販売機やゲーム装置等との間
で信号の入出力を行う。
【0026】本実施例の紙幣識別装置は、紙幣の先端が
センサP0,P1の発光素子と光電変換器との間に挿入
されて該センサP0,P1の検出光量が減少することを
以て紙幣の挿入を検知し、モータMを正転して挿入紙幣
の取り込みを開始すると共に、モータMの所定回転毎に
パルスコーダPCから出力される回転検出信号に同期し
て挿入紙幣上の特定位置の光透過率や磁性粉の有無をセ
ンサP0〜P5で検出するようになっており、図1およ
び図2に示されるようなハードウェア上の構成に関して
は従来の紙幣識別装置と同様である。
【0027】図4(a1)は図3に示されるような紙幣
100の先端100aを紙幣識別装置に挿入した時にセ
ンサP0等から出力される電気信号の推移(光透過率の
変化)をパルスコーダPCからの回転検出信号の出力回
数の積算値n(挿入紙幣上の特定位置)に対応させて示
す線図である。なお、実施例では紙幣の挿入方向が図1
の左から右に向かう方向となっているので図3に示す紙
幣100の先端100a側の光透過率は図4(a1)の
線図の左端(nの値が小さい方)に対応し、また、紙幣
後端側の光透過率は図4(a1)の右端(nの値が大き
い方)に対応する。センサP0等で検出された光透過率
を読み込む紙幣上の位置間隔は紙幣の搬送ピッチである
モータMの回転量で規制され、また、第1回目のデータ
読み込み位置は挿入検出センサとしてのセンサP0,P
1の挿入検出タイミングによって規制されるので、真正
紙幣を挿入した時に得られた線図形状を積算パルス数の
値nおよび検出値pcn の関係を示す配列(n,pcn
)で予め記憶しておくことにより挿入紙幣の真偽やそ
の種別を判定することができる。そこで、従来の紙幣識
別装置では、多数枚の真正紙幣を投入して各nの値に対
応するpcn の平均値を求め、この値を許容範囲εと共
に判定基準として記憶しておき、真偽判定のために取り
込んだ紙幣から検出したデータ(n,sn )に関する検
出値si の各々が全てpcn +ε(上限値)とpcn −
ε(下限値)の間にあるか否かにより紙幣の真偽および
種別を判定するようにしていた。
【0028】このような従来方式により偽紙幣を確実に
排除するためには、例えば図5に示されるように、判定
基準となる上限値と下限値の間隔を相当に狭く設定する
必要があるが、許容範囲を余り狭く設定すると、一部に
汚れが付着する等して部分的に真正条件を満たすことが
できないような真正紙幣が偽紙幣として排除される場合
がある。また、長期間に亘って流通した結果紙幣全体に
汚れが付着して検出データの値が均一に上下にシフトし
た真正紙幣の場合も偽紙幣として判定される恐れがあ
る。
【0029】そこで、本実施例においては、光学センサ
の経年変化や紙幣の劣化による光学データの変動および
紙幣の部分的な汚れ等による誤判別を解消するために以
下に示すような処理を行う。
【0030】まず、光学センサの経年変化や紙幣の劣化
等による誤判別の防止について説明する。光学センサの
経年変化による検出光量の変化は紙幣各部に対して同様
に作用し、また、長期の使用による紙幣の汚れも紙幣の
各部でほぼ均質に生じるものと見做すことができるの
で、真偽判定のために取り込んだ紙幣から検出したデー
タ(n,sn )によって形成される線図形状を図4(a
1)および図5における上下方向に一定の割合でシフト
して、真正紙幣を挿入した時に得られた各n毎の平均の
データ列(n,pcn )の線図形状と重合するように補
正することにより適切な真偽判定を行うことができる。
この補正値を補正率pm とすれば、数3式の関係が成り
立つ。
【0031】
【数3】 従って、真偽判定のために各位置nから検出した検出デ
ータsn に補正率pmを乗じて得た修正値pm ・sn と
真正な標準データpci とを比較すれば適切な判別処理
を行うことができるわけである。
【0032】本実施例では、センサP0〜P5から得ら
れるデータをそのまま各位置のデータとせず、紙幣の検
査区間を複数に分割し各分割区間に得られたデータを平
準化してその位置(区間)の検出データとしている。す
なわち、本実施例の紙幣識別装置では、モータMの駆動
による搬送動作を開始してからパルスコーダPCの回転
検出信号がnmax.(=259)パルスだけ入力される間
に識別対象となる紙幣の取り込みが完了するようになっ
ている。パルスコーダPCからの回転検出信号に同期し
て挿入紙幣上の特定位置の光透過率や磁性粉の有無をセ
ンサP0〜P5で検出する点は従来のものと同様である
が、本実施例では、パルスコーダPCの回転検出信号が
pdev(=8)パルス入力される移動量に対応する区間毎
に紙幣上のデータ検出領域を分割し、各区間毎に透過率
データや磁気データを平準化して位置(区間)毎の検出
データpi を算出し、該区間毎の検出データと多数の真
正紙幣を試験して得られた各区間毎の標準データ(メモ
リ32の不揮発性RAMに記憶)とに基づいて前述の処
理を行うようにしている。
【0033】その結果、本実施例においては補正率pm
は次の数4式で表され、各検出データpi の修正検出デ
ータはpm・pi として表せる。
【0034】
【数4】 そこで、多数の真正紙幣を挿入した時の各位置i毎の検
出値pci のばらつきに対応する標準偏差をpsi とす
れば、真偽判定のための修正検出データpm・pi のば
らつきは標準偏差psi を基準として次の数5式の偏差
phi で示される。 phi =(pm・pi −pci )/psi …(5) ここで得た偏差phi は平均0分散1の標準正規分布を
持つ母集団から抽出されたサンプルと等価であり、その
偏差の2乗の和はχ2 分布に従うことが一般に知られて
いる。従って、修正検出データpm・pi の線図形状と
真正な標準データpci の線図形状との相関を示す異質
度prを数6式のように定義すれば、該異質度prはχ
2 分布に従い、各位置iにおける修正検出データpm・
pi が真正な標準データpci の線図形状に属する確率
に関連した値となる。
【0035】
【数6】 よって、数6に示される異質度prが所定範囲にあるか
否かにより、補正された修正検出データpm・pi で示
される線図形状が真正な標準データpci の線図形状に
対し、常識的な正規分布の範囲を越えて突出する部分が
あるか否かを判定することができる。
【0036】また、光学センサの経年変化による検出光
量の変化および紙幣の全体的な汚れや劣化はほぼ均質と
なるので、複数のセンサを備えた紙幣識別装置において
は各光学センサPjにおける補正率pmjの値がほぼ等し
くなるはずである。即ち、各センサにおける補正率pmj
が許容範囲にある場合でも、そのばらつきが激しければ
紙幣の全体的な汚れが均一になっていると見做すことは
できず、補正率pmjのばらつきも真偽判定の重要な要素
となる。この補正率のばらつきは、例えば、補正率の最
大値と最小値の差を取りその差が所定値の範囲内か否か
で真偽判定を行ってもよいが、本発明においては、前記
数5式と同様に、多数の真正紙幣を挿入し得られた補正
率偏差の平均値と補正率偏差の標準偏差より、このばら
つきを推定するようにしている。そこで、本実施例で
は、各センサPjに関する補正率pmjが取り得る値は1
を中心とする0から+無限大までの範囲にあるので、こ
の分布を0を中心に−無限大から+無限大までの値を取
り得る正規分布に変換するため、まず、多数の真正紙幣
を挿入した時のセンサPjの補正率の標準偏差pmsj
を用い、数7式によりセンサPj毎の補正率pmjを標準
化補正率zpmjに変換する。
【0037】 zpmj=(LOG pmj)/pmsj …(7) そして、多数の真正な紙幣を試験して得られた各センサ
Pjの補正率偏差の平均値をpmcxとし、補正率偏差
の標準偏差をpmsxとして、センサの補正率偏分布差
のばらつきを表す値pmssを次の数8式で算出する。
【0038】
【数8】 なお、前記数8式でルートが掛かった部分が被検査紙幣
における各センサによる補正率偏差を表している。そし
て、各センサPjの補正率偏差のばらつきを示す値pm
ssにより、センサの経年変化および紙幣の全体的な汚
れによって生じた検出データのばらつきを補正するため
に各センサの補正率pmjが算出されたものであるのか、
または、光の透過率が部分的に異なったり磁性粉の密度
が相違する不正な紙幣を取り込んだために補正率pmjに
ばらつきが生じたのかを判断することができる。なお、
センサの補正率偏差のばらつきは前述したように補正率
pmjの最大値と最小値との差が許容範囲内にあるか否か
によって判定しても良い。
【0039】図6は本実施例の紙幣識別装置を駆動制御
するCPU31が前記処理を実施するときの動作の概略
を示すフローチャート、図7〜図13は処理動作の主要
部を概略で示すフローチャートであり、以下、これらの
フローチャートを参照して本実施例の処理動作を説明す
る。
【0040】挿入検出センサとなる光学センサP0,P
1の暗転により紙幣の挿入を検出したCPU31は(ス
テップa1)、まず、パルスコーダPCからの回転検出
信号を積算するカウンタnとメモリ32内の各種一時記
憶用レジスタおよび入出力回路30内のカウンタC1,
C2を初期化し(ステップa2)、モータMを正転して
タイミングベルト4の搬送動作を開始させる(ステップ
a3)。以下、モータMが回転して挿入紙幣が所定量搬
送され、パルスコーダPCからの回転検出信号が入力さ
れる度に、CPU31はこの信号を割り込み信号として
受付け、図7に要部を示すステップa4のデータ取り込
み処理を実行する。
【0041】パルスコーダPCからの回転検出信号を受
けてデータ取り込み処理を開始したCPU31は、ま
ず、パルスコーダPCからの回転検出信号を積算するカ
ウンタnの値が紙幣取り込み完了のパルス数に対応する
設定最大値nmax.を越えているか否かを判別する(ステ
ップb1)。前述したようにnmax.の値はモータMの正
転を開始してから挿入紙幣の取り込みが完了するまでの
間にパルスコーダPCから出力される回転検出信号のパ
ルス数に対応して設定されており、実施例ではnmax.=
259である。カウンタnの値が設定最大値nmax.を越
えていなければ、CPU31はセンサ選択指標jを0に
初期化し(ステップb2)、該指標jの値がセンサ類の
配設個数に対応する設定最大値jmax.を越えているか否
かを判別する(ステップb3)。実施例ではjmax.=5
である。指標jの値が設定最大値jmax.を越えていなけ
れば、CPU31は1区間のデータ検出領域に対応する
パルス数に対応する設定値pdevでカウンタnの現在値を
除し、その少数部を切り捨てて整数化処理(この処理を
図7ではn ¥ pdevと記す)を行い、データ検出領域
の区間名に対応する値iを求める(ステップb4)。例
えば、pdev=8とするならn=0〜7の範囲では区間名
i=0、また、n=8〜17の範囲では区間名i=1と
なる。
【0042】次いで、CPU31はセンサ選択指標jの
値に基づいて入出力回路30の入力ポートを選択し、セ
ンサPjのA/D変換器20〜23の現在出力値px
(j)もしくはカウンタC1,C2の現在積算値px
(j)を読み込む(ステップb5)。なお、センサ選択
指標jの値と読み込み対象との関係はj=0,1,2,
3,4,5の各々に対しA/D変換器20,21,2
2,23,カウンタC1,C2であり、読み込み対象が
カウンタであった場合には、読み込みが完了した時点で
当該カウンタにリセット信号が出力される。そして、出
力値px(j)もしくは積算値px(j)を読み込んだ
CPU31は区間名iおよびセンサ名jに対応する配列
レジスタp(i,j)にステップb5の処理で得たpx
(j)の値を積算記憶した後(ステップb6)、指標j
の値をインクリメントする(ステップb7)。以下、C
PU31は、指標jの値がセンサ類の配設個数に対応す
る設定最大値jmax.の値を越えるまでの間、前記と同様
にしてステップb3〜ステップb7の処理を繰り返し実
行し、各センサPj毎のデータを検出し積算記憶する。
配列レジスタp(i,j)の各々は前述のステップa2
の処理で初期化されるレジスタであり、その初期値は全
て0である。以上の処理により、j=0〜5の配列レジ
スタp(i,j)の各々には、パルスコーダPCからの
回転検出信号検出時点における光学センサの受光検出値
(j=0〜3の配列レジスタ)もしくは前回の回転検出
信号検出時点から今回の回転検出信号検出時点に至る区
間で検出された磁性粉の個数(j=4〜5の配列レジス
タ)が加算記憶されることになる。
【0043】センサ選択指標jの値が設定最大値jmax.
の値を越え、各センサPj毎の検出データの加算が完了
したことを確認したCPU31は、1区間のデータ検出
領域に対応するパルス数を示す設定値pdevでカウンタn
の現在値を除して余りの整数を求め(この処理を図7で
はn MOD pdevと記す)、この余りがpdev−1と等
しいか否か、即ち、今回のデータ検出タイミングが当該
1区間のデータ検出領域における最終pdev回目のデータ
検出タイミングであるか否かを判別する(ステップb
8)。本実施例では、pdev=8であるため、カウンタn
の値をpdev=8で割ったとき、余りは0〜7を取り、7
(=pdev-1)のときが1区間のデータ検出領域の最後の
回を示すことになる。
【0044】設定値pdevでカウンタnの現在値を除して
得た余りがpdev−1と等しくなければ、CPU31はカ
ウンタnの値をインクリメントしてデータ取り込み処理
を一旦終了し(ステップb11)、以下、カウンタnの
値が設定最大値nmax.を越えるか、または、ステップb
8の判別条件が満たされるまでの間、パルスコーダPC
からの回転検出信号が入力される度に、前記と同様にし
てステップb1〜ステップb2の処理とステップb3〜
ステップb7のループ処理およびステップb8ならびに
ステップb11の処理を繰り返し実行する。カウンタn
の現在値を設定値pdevで除して得た整数の余りがpdev−
1と一致してステップb8の判別結果が真となるまでの
間はカウンタnの現在値を設定値pdevで除してステップ
b4の処理で得られる整数部の値iが更新されることは
ない。従って、一旦算出された区間名iの値はステップ
b1〜ステップb2の処理とステップb3〜ステップb
7のループ処理およびステップb8ならびにステップb
11の処理が連続してpdev回実行されるまで保持され、
区間名iが同一でセンサ名jのみが異なるjmax.+1個
の配列レジスタp(i,j)の各々に、データ検出領域
の1区間分に対応するpdev回の各検出タイミングで検出
されたpx(j)の値が積算して記憶されることにな
る。そして、ステップb1〜ステップb2の処理とステ
ップb3〜ステップb7のループ処理およびステップb
8ならびにステップb11の処理が連続してpdev回実行
され、カウンタnの現在値を設定値pdevで除して得た整
数の余りがpdev−1に一致してステップb8の判別結果
が真となる毎に、CPU31は、区間名iに対応するデ
ータ圧縮処理(ステップb9)と判定データ作成処理
(ステップb10)を実施する。
【0045】データ取り込み処理が連続してpdev回繰り
返し実行されたことをステップb8の判別処理で検出し
たCPU31は、各区間i毎に光学データや磁気データ
を平準化して区間i毎の検出データを算出するため、ま
ず、図8に要部を示すステップb9のデータ圧縮処理を
実行する。
【0046】CPU31は、まず、センサ選択指標jの
値を初期化し(ステップc1)、該指標jの値がセンサ
類の配設個数(=6)に対応する設定最大値jmax.(=
5)を越えているか否かを判別するが(ステップc
2)、越えていなければ、更に、該指標jの現在値が3
以下の値であるか否か、即ち、指標jが光学センサに対
応する値を示しているか否かを判別することとなる(ス
テップc3)。このとき指標jの現在値が3以下であっ
て光学センサを示す値に対応していれば、CPU31
は、区間名iおよびセンサ名jに対応する配列レジスタ
p(i,j)に記憶された積算値を読み込んで設定値pd
evで除し、区間名iのデータ検出領域におけるセンサP
jの1検出タイミングに相当する平均値を求め、この値
を当該区間iにおける光学センサPjの検出データとし
て配列レジスタp(i,j)に更新記憶する(ステップ
c4,図4(a3)参照))。また、指標jの現在値が
4以上であって磁気センサを示す値に対応している場合
には、ステップc4の処理を非実行とし、配列レジスタ
p(i,j)に記憶された積算値を当該区間iにおける
磁気センサPjの検出データとしてそのまま保持する
(図4(b4)参照))。
【0047】次いでCPU31はセンサ選択指標jの値
をインクリメントし(ステップc5)、再びステップc
2の処理へと移行する。以下、CPU31は、センサ選
択指標jの値がjmax.を越えるまでの間、前記と同様に
してステップc2〜ステップc5の処理を繰り返し実行
し、当該区間iにおける各センサPjの検出データを配
列レジスタp(i,j)に保存する。レジスタp(i,
j)の検出データは数4式における個々のpi の値であ
る。なお、実施例では指標jが光学センサを示す値に対
応している場合に限ってp(i,j)の積算値をpdevで
除し、この値をレジスタp(i,j)に検出データとし
て再記憶させるようにしているが、1区間でpdev回の検
出処理を行うという作業自体がデータの平準化に繋がる
ものであるから、必ずしも積算値p(i,j)をpdevで
除して平均値を求めるといった作業を行う必要はなく、
演算や判定等に用いられる設定値さえ適切に設定すれ
ば、磁気データの場合と同様、積算値p(i,j)自体
を検出データとして使用することもできる。
【0048】そして、センサ選択指標jの値がjmax.を
越え、区間iにおける各センサPjの検出データの保存
が完了したことがステップc2の判別処理で確認される
と、CPU31はデータ圧縮処理を終了し、次いで、図
9に要部を示すステップb10の判定データ作成処理を
実行する。
【0049】判定データ作成処理に移行したCPU31
は、まず、区間名を示す指標iの現在値が設定値imin.
(=2)とimax.(=26)との間にあるか否か、即
ち、指標iの現在値で示される第i区間のデータ検出領
域が紙幣の真偽および種別判定のためのデータ検出対象
として適当であると認められた範囲内にあるか否かを判
別することとなる(ステップd1)。ステップd1の処
理はデータの信頼性を高めるための一種のフィルタ手段
である。実施例の場合、nmax.(=259)をpdev(=
8)で除した値は32余り3となるので、iの取り得る
値は0〜31もしくは0〜32の範囲となるが、紙幣の
端部では表面の汚れや傷みが激しいため、最初の2区間
と最後の5もしくは6区間で検出されたデータは無視
し、判定のための検出データとしては用いないようにし
ている。よって、ステップd1の判別結果が偽となった
場合には、判定データの作成に必要とされるステップd
2〜ステップd11の処理は非実行とされ、CPU31
はステップd1の判別処理終了後、直ちにステップb1
1の処理へと移行する。
【0050】一方、ステップd1の判別結果が真となっ
た場合、即ち、当該区間iの検出データが真偽および種
別の判定のために有効であると判別された場合には、C
PU31はステップd2以降の処理を継続して実行する
こととなる。この場合、CPU31は、まず、センサ選
択指標jの値を初期化し(ステップd2)、該指標jの
値がセンサ類の配設個数(=6)に対応する設定最大値
jmax.(=5)を越えているか否かを判別する(ステッ
プd3)。そして、指標jの値がjmax.を越えていなけ
れば、CPU31は各センサPj毎に全検出区間(但
し、i=imin.〜imax.の範囲)を通じて検出データを
積算するセンサ別検出データ積算レジスタzp(j)に
配列レジスタp(i,j)の現在値であるセンサPjの
検出データの値を加算して、該レジスタzp(j)に区
間imin.から当該区間iまでに関するセンサPjの検出
データの値を積算する(ステップd4)。積算レジスタ
zp(j)の各々は前述のステップa2の処理で初期化
されるレジスタであり、その初期値は全て0である。ま
た、ステップd4の処理は数4式におけるΣpi に対応
する処理であり、レジスタzp(j)の最終値が数4式
のΣpi の値となる。
【0051】次いで、CPU31は紙幣の種別を特定す
る指標kに初期値0をセットし(ステップd5)、該指
標kの現在値が紙幣識別装置で取り扱うべき紙幣の種類
数に対応する設定値kmax.を越えているか否かを判別す
る(ステップd6)。指標kの値が設定値kmax.を越え
ていなければ、CPU31は、予め設定されているセン
サPjにより種別kの真正紙幣を多数試験して検出区間
iより得たデータの平均値である標準データpc(i,
j,k)の値とセンサPjにより種別kの真正紙幣を多
数試験して検出区間iより得たデータのばらつきを示す
標準データの標準偏差ps(i,j,k)の値とをメモ
リ32の不揮発性RAMから読み込む(ステップd
7)。次いで、CPU31は現時点で投入されている紙
幣の検出区間iよりセンサPjで検出した検出データp
(i,j)の値と前記ps(i,j,k)の値とに基づ
いて〔p(i,j)/ps(i,j,k)〕2 の演算式
を実行し、得られた値を積分レジスタzps(j,k)
に積算記憶すると共に(ステップd8)、検出データp
(i,j)の値と前記平均値の標準データpc(i,
j,k)および標準データの標準偏差ps(i,j,
k)の値とに基づいて(p(i,j)×(pc(i,
j,k))/ps(i,j,k)2 の演算式を実行し、
得られた値を積分レジスタzcps(j,k)に積算記
憶する(ステップd9)。レジスタzps(j,k)お
よびzcps(j,k)の各々は前述のステップa2の
処理で初期化されるレジスタであり、その初期値は全て
0である。なお、ステップd8の処理は数6式における
Σ(pi /psi )2 の項に対応する値を求めるための
処理、また、ステップd9の処理は数6式におけるΣ
((pi ・pci )/psi 2 )の項に対応する値を求
めるための処理である。レジスタzps(j,k)の最
終値が数6式のΣ(pi /psi )2 となり、また、レ
ジスタzcps(j,k)の最終値が数6式のΣ((p
i ・pci )/psi 2 )となる。
【0052】次いで、CPU31は紙幣の種別を特定す
る指標kの値をインクリメントし(ステップd10)、
以下、指標kの値が紙幣識別装置で取り扱うべき紙幣の
種類数kmax.の値を越えるまでの間、前記と同様にして
ステップd6〜ステップd10の処理を繰り返し実行
し、指標jの現在値で特定されているセンサPjに対し
当該検出区間iにおける紙幣の種別k毎の標準データの
平均値pc(i,j,k)と標準データの標準偏差ps
(i,j,k)の値とを用い、区間imin.から当該区間
iまでのセンサPjに関するzps(j,k)=Σ(p
i /psi )2 とzcps(j,k)=Σ((pi ・p
ci )/psi 2 )を算出し、積分レジスタに更新記憶
してゆく。
【0053】そして、指標kの値が紙幣の種類数kmax.
の値を越え、指標jの現在値で特定されているセンサP
jに対して各紙幣種別毎の標準データを適用して算出し
た積分データΣ(pi /psi )2 ,Σ((pi ・pc
i )/psi 2 )が算出および更新記憶されたことがス
テップd6の判別処理で確認されると、CPU31はセ
ンサを特定するセンサ選択指標jの値をインクリメント
し(ステップd11)、以下、指標jの値がjmax.を越
えるまでの間、前記と同様にしてステップd3〜ステッ
プd11の処理を繰り返し実行し、各センサPj毎にセ
ンサ別検出データの積算値zp(j)=Σpi を求め、
かつ、各センサPjの各々に対し各紙幣種別の標準デー
タを適用して区間imin.から当該区間iまでのzps
(j,k)=Σ(pi /psi )2 とzcps(j,
k)=Σ((pi ・pci )/psi2 )を求め、各々
の積分レジスタに更新記憶してゆく。そして、センサを
特定する指標jの値がセンサ類の配設個数に対応する設
定最大値jmax.を越え、紙幣識別装置に配設されたセン
サPjと紙幣種別の組み合わせの全てに対して各種デー
タの積算処理が終了したことがステップd3の判別処理
で確認されると、CPU31は判定データ作成処理を終
了してステップb11の処理へと移行する。
【0054】ステップb11の処理に移行したCPU3
1はカウンタnの値をインクリメントし、パルスコーダ
PCからの次の回転検出信号を待って再び図7に示され
るようなデータ取り込み処理を始めから実行することと
なる。このデータ取り込み処理は、カウンタnの値がn
max.を越えるまでの間、パルスコーダPCからの回転検
出信号が入力される毎に繰り返し実行される。
【0055】そして、データ取り込み処理を繰り返し実
行する間にカウンタnの値が紙幣取り込みの設定値nma
x.を越え、紙幣がエスクロ位置(紙幣データ検出処理が
終了し、紙幣を取り込むか返却するかの判別位置)まで
取り込まれたことがステップb1の判別処理で検出され
ると、CPU31はモータMの駆動を停止して紙幣の搬
送動作を一時停止させ(ステップa5)、図10〜図1
3に要部を示すステップa6の判定処理へと移行する。
【0056】判定処理を開始したCPU31は、まず、
紙幣の種別を特定する指標kに初期値0をセットし(ス
テップe1)、該指標kの現在値が紙幣識別装置で取り
扱うべき紙幣の種類数に対応する設定値kmax.を越えて
いるか否かを判別する(ステップe2)。指標kの値が
設定値kmax.を越えていなければ、以下、CPU31
は、紙幣の種別kおよびセンサの種別j毎の標準データ
を用いて紙幣の真偽および種別を判定するための処理を
行うこととなる。
【0057】そこで、CPU31は、まず、センサ選択
指標jを初期化し(ステップe3)、次いで、該指標j
の値がセンサ類の配設個数に対応する設定最大値jmax.
を越えているか否かを判別するが(ステップe4)、越
えていなければ、メモリ32の不揮発性RAMに予め設
定されているデータから次のデータを読み取る。つま
り、センサPjを用いて種別kの真正紙幣を多数試験し
てimin.〜imax.の区間より得た検出データの積算値の
平均である標準データ積算値zpc (j,k)、即ち、
数4式のΣpci に対応する値と、センサPjを用いて
種別kの真正紙幣を多数試験してimin.〜imax.の検出
区間より得たデータの各区間毎の平均値である標準デー
タ(数4式および数6式のpci )をこれに対応する標
準データの標準偏差(数5式および数6式のpsi に対
応する値)で除して二乗した値をimin.〜imax.の全区
間を通じて積算した値である標準データ標準偏差積算値
zcs(j,k)、即ち、数6式のΣ(pci/psi
2 に対応する値と、センサPjを用いて種別kの真
正紙幣を多数試験して得られたセンサPjの補正率の標
準偏差である補正率標準偏差pms(j,k)の値(数
7式のpmsjに対応する値)と、各センサPjの補正
率のばらつきを許容するか否かを判定するための補正率
ばらつき判定基準値xsigm(設定値)と、異質度を
許容するか否かを判定するための異質度判定基準値xk
ais(設定値)と、各センサPjに対する異質度を総
合的に評価して算出された総合異質度を許容するか否か
を判定するための総合異質度判定基準値xkait(設
定値)と、種別kの多数の真正な紙幣を試験して得られ
た各センサPjの補正率のばらつきを表す標準データの
平均値pmcx(k)と標準偏差pmsx(k)の値
(数8式のpmcxとpmsxに対応する値)とを読み
込んで一時記憶する(ステップe5)。
【0058】次いで、CPU31は、imin.〜imax.の
全区間を通じてセンサPjの検出データを積算したセン
サ別検出データ積算レジスタzp(j)の値で標準デー
タ積算値zpc (j,k)の値を除して紙幣種別kに対
するセンサPjの補正率を求め、この値を補正率記憶レ
ジスタzpm1に格納する(ステップe6)。ステップ
e6の処理は数4式に対応する演算処理である。次い
で、CPU31は、数6式に対応する演算式を実行す
る。即ち、ステップe6で求めたΣpci /Σpiに対
応する補正率記憶レジスタzpm1の値と、ステップd
8の処理で求められているΣ(pi /psi )2 に対応
する積分レジスタzps(j,k)の値と、ステップd
9の処理で求められているΣ((pi ・pci )/ps
i 2 )に対応する積分レジスタzcps(j,k)の値
と、ステップe5で読み取ったΣ(pci /psi )2
に対応する標準データ標準偏差積算値zcs(j,k)
の値とに基づいて数6式に対応する演算式を実行して紙
幣種別kに対するセンサPjの異質度prを求め、この
値を異質度記憶レジスタzprに格納する(ステップe
7)。そして、CPU31は、紙幣種別kに対するセン
サPjの補正率zpm1の対数を取って紙幣種別kに対
するセンサPjの補正率標準偏差pms(j,k)で除
すことにより数7式に対応する演算処理を実行し、補正
率zpm1を正規分布に変換した標準化補正率を得て標
準化補正率記憶レジスタzpm2に格納し(ステップe
8)、更に、zpm2の大きさを比較するためにzpm
2の絶対値を取ってレジスタxpmに一時記憶する(ス
テップe9)。
【0059】次いで、CPU31は標準化補正率zpm
2の絶対値xpmが補正率ばらつき判定基準値xsig
mよりも大きいか否か、即ち、現在投入されている紙幣
からセンサPjを介して得られた検出データより求めた
標準化補正率に基づいて該投入紙幣が種別kの紙幣では
ないと判定すべきか否かを判別する(ステップe1
0)。標準化補正率zpm2の絶対値が補正率ばらつき
判定基準値xsigmよりも大きく、この紙幣が種別k
の紙幣ではないと判別されたならば、CPU31は投入
紙幣が種別kの紙幣ではないことを記憶する棄却条件レ
ジスタC1(k)に1をセットして、今回投入された紙
幣が種別kの紙幣でないことを記憶し(ステップe1
1)、また、標準化補正率zpm2の絶対値が補正率ば
らつき判定基準値xsigmに達していなければ、棄却
条件記憶レジスタC1(k)の現在値をそのまま保持す
る。なお、棄却条件レジスタC1(k)の各々は前述の
ステップa2の処理で初期化されるレジスタであり、そ
の初期値は0である。
【0060】CPU31は、更に、ステップe7の処理
で求めた異質度(zpr)の値が異質度判定基準値xk
aisよりも大きいか否か、即ち、現在投入されている
紙幣からセンサPjを介して得られた検出データより求
めた異質度に基づいて該投入紙幣が種別kの紙幣ではな
いと判定すべきか否かを判別する(ステップe12)。
異質度zprの値が異質度判定基準値xkaisよりも
大きく、この紙幣が種別kの紙幣ではないと判別された
ならば、CPU31は投入紙幣が種別kの紙幣ではない
ことを記憶する棄却条件レジスタC1(k)に1をセッ
トして、今回投入された紙幣が種別kの紙幣でないこと
を記憶し(ステップe13)、また、異質度zprの値
が異質度判定基準値xkaisに達していなければ、棄
却条件記憶レジスタC1(k)の現在値をそのまま保持
する。
【0061】そして、CPU31は紙幣種別k毎の一次
補正率関数積算レジスタypm(k)にステップe8の
処理で求めた標準化補正率zpm2の値を積算記憶する
と共に(ステップe14)、紙幣種別k毎の二次補正率
関数積算レジスタzpm(k)に標準化補正率zpm2
を二乗した値を積算記憶する(ステップe15)。一次
補正率関数積算レジスタypm(k)および二次補正率
関数積算レジスタzpm(k)の各々は前述のステップ
a2の処理で初期化されるレジスタであり、その初期値
は0である。ステップe14の処理は数7式および数8
式のzpmjに対応する標準化補正率zpm2の値を積
算して数8式におけるΣzpmjに対応する値を求める
ための処理であり、レジスタypm(k)の最終値が数
8式のΣzpmjとなる。また、ステップe15の処理
は数8式のzpmj2 に対応する値zpm22 を積算し
て数8式におけるΣzpmj2 に対応する値を求めるた
めの処理であり、レジスタzpm(k)の最終値が数8
式のΣzpmj2 となる。
【0062】次いで、CPU31は紙幣種別k毎の総合
異質度記憶レジスタzpr(k)にステップe7の処理
で求めた異質度の値(zpr)を積算記憶し(ステップ
e16)、センサ選択指標jの値をインクリメントして
(ステップe17)、再びステップe4の処理へと移行
する。総合異質度記憶レジスタzpr(k)の各々は前
述のステップa2の処理で初期化されるレジスタであ
り、その初期値は0である。
【0063】以下、CPU31は、センサ選択指標jの
値がセンサ類の配設個数に対応する設定最大値jmax.を
越えるまでの間、前記と同様にして、ステップe4〜ス
テップe17の処理を繰り返し実行し、指標kにより種
別を特定されている紙幣と各センサPjとの組み合わせ
に対応して予めメモリ32の不揮発性RAMに設定され
ている標準データ積算値zpc (j,k),標準データ
標準偏差積算値zcs(j,k),補正率標準偏差pm
s(j,k)、および、各組み合わせに対して共通に設
定された補正率ばらつき判定基準値xsigm,異質度
判定基準値xkaisの判定基準データに基づいて、現
時点で判定対象として取り込まれている紙幣が指標kで
特定されている種別の紙幣であると認めることが適当で
あるか否かを判定する。従って、比較対象となっている
種別kの紙幣に対して前述の棄却条件のいずれか(ステ
ップe10,ステップe12)を満たすデータを検出し
たセンサが1つでもあれば、紙幣種別kに対応する棄却
条件レジスタC1(k)に1がセットされることとな
る。このような処理を繰り返し実行する間に指標jの値
がjmax.に達すると、最後に実行されたステップe14
〜ステップe15の処理により、数8式におけるΣzp
mjに対応する値がレジスタypm(k)に格納される
と共に、数8式におけるΣzpmj2 に対応する値がレ
ジスタzpm(k)に格納される。また、レジスタzp
r(k)には各センサPjから得たデータに基づいて算
出された異質度の積算値である総合異質度が格納され
(ステップe16)、センサ選択指標jの値がjmax.+
1に歩進される(ステップe17)。
【0064】指標jの値がjmax.の値を越えるとCPU
31はステップe4の判別処理でこれを検出し、ステッ
プe18の処理へと移行する。そして、ステップe18
の処理へと移行したCPU31は、数8式のΣzpmj
に対応するレジスタypm(k)の値と、数8式のΣz
pmj2 に対応するレジスタzpm(k)の値と、数8
式のpmcxおよびpmsxに対応するステップe5で
読み取ったpmcx(k)およびpmsx(k)の各設
定値とに基づいて数8式の演算式を実行し、判定対象と
なっている投入紙幣が種別kの紙幣であると仮定した状
態で各センサの補正率のばらつきを示す値を算出し、こ
の値を紙幣の種別k毎のばらつき値記憶レジスタpm
(k)に格納する。この場合jmax.+1=6,jmax.=
5である。
【0065】そして、CPU31は、レジスタpm
(k)の値が補正率ばらつき判定基準値xsigmより
も大きいか否か、即ち、投入紙幣が種別kの紙幣である
とした仮定が適切なものであるか否かを判別し(ステッ
プe19)、レジスタpm(k)の値が補正率ばらつき
判定基準値xsigmよりも大きく、この紙幣が種別k
の紙幣であるとした仮定に誤りがあれば、投入紙幣が種
別kの紙幣ではないことを記憶する棄却条件レジスタC
1(k)に1をセットし(ステップe20)、また、レ
ジスタpm(k)の値が補正率ばらつき判定基準値xs
igmに達していなければ、棄却条件記憶レジスタC1
(k)の現在値をそのまま保持する。CPU31は、更
に、総合異質度zpr(k)の値が総合異質度判定基準
値xkaitよりも大きいか否か、即ち、投入紙幣が種
別kの紙幣であると認めることが適当であるか否かを判
別し(ステップe21)、総合異質度zpr(k)の値
がxkaitよりも大きく、この紙幣が種別kの紙幣で
あると認めることが不適当であれば、棄却条件レジスタ
C1(k)に1をセットし(ステップe22)、また、
zpr(k)の値がxkaitに達していなければ、棄
却条件記憶レジスタC1(k)の現在値をそのまま保持
する。
【0066】次いで、CPU31は、今回算出された総
合異質度zpr(k)が最小異質度記憶レジスタpar
ksの現在値よりも小さいか否かを判別する(ステップ
e23)。最小異質度記憶レジスタparksは前述の
ステップa2の処理で初期化されるレジスタであり、そ
の初期値は+無限大(設定可能最大値)である。今回算
出された総合異質度zpr(k)が最小異質度記憶レジ
スタparksの現在値よりも小さければ、CPU31
は、棄却条件レジスタC1(k)に0がセットされてい
るか否か、即ち、現在投入されている紙幣を種別kの紙
幣であると認めることが適当であるとの判定が既に成さ
れているか否かを判別し(ステップe24)、その判別
結果が真であれば、今回算出した総合異質度zpr
(k)の値を総合異質度の最小値としてレジスタpar
ksに更新記憶すると共に(ステップe25)、真券種
候補記憶レジスタksに紙幣の種別kを更新記憶する
(ステップe26)。真券種候補記憶レジスタksは前
述のステップa2の処理で初期化されるレジスタであ
り、初期値は−無限大(少なくとも零よりは小さな値)
である。一方、ステップe23もしくはステップ24の
判別結果が偽となった場合、即ち、今回算出された総合
異質度zpr(k)が最小異質度記憶レジスタpark
sの現在値よりも大きいと判別された場合、ならびに、
今回算出された総合異質度zpr(k)が最小異質度記
憶レジスタparksの現在値よりも小さいと判別され
た場合であっても現在投入されている紙幣を種別kの紙
幣であると認めることが不適当であるとの判定が既に成
されている場合には、ステップe25〜ステップe26
の処理は非実行とされ、CPU31は、最小異質度記憶
レジスタparksおよび真券種候補記憶レジスタks
の現在値をそのまま保持する。
【0067】次いで、CPU31は紙幣の種別を特定す
る指標kの値をインクリメントし(ステップe27)、
ステップe2の処理へと移行する。
【0068】以下、指標kの値が紙幣識別装置で取り扱
うべき紙幣の種類数に対応する設定値kmax.を越えるま
での間、CPU31は前記と同様にして、新たに特定さ
れた紙幣の種別kに対してステップe2〜ステップe2
7の処理を繰り返し実行し、現在投入されている紙幣が
種別kの紙幣であると仮定して得られた総合異質度zp
r(k)がこれまでに算出された(もしくは初期設定さ
れた)総合異質度の最小値parksよりも小さく、し
かも、現在投入されている紙幣を種別kの紙幣であると
認めることが適当であると判定されている場合に限り
(ステップe23,ステップe24)、該総合異質度z
pr(k)の値を最小異質度記憶レジスタparksに
更新記憶し、かつ、該種別kが真券種候補記憶レジスタ
ksに更新記憶する(ステップe25,ステップe2
6)。従って、真券種候補記憶レジスタksには、棄却
条件記憶レジスタC1(k)に1をセットされていない
紙幣の種別のうち、現在投入されている紙幣との関係に
おいて総合異質度zpr(k)の値が最も小さくなる紙
幣種別に対応する値kが保存されることとなる。
【0069】このような処理を繰り返し実行する間に紙
幣の種別を特定する指標kの値がkmax.を越え、紙幣識
別装置で取り扱うべき紙幣の種類kの全てに対して前述
の処理が実行されたことがステップe2の判別処理で検
出されると、CPU31はステップe28の処理へと移
行し、真券種候補記憶レジスタksの値が0よりも小さ
いか否かを判別する。真券種候補記憶レジスタksの値
が0よりも小さい場合には、ステップe24の判別結果
が真となる機会が一度もなく、棄却条件記憶レジスタC
1(k)に1をセットされていない紙幣の種別が1つも
存在しないこと、即ち、現在投入されている紙幣が偽貨
であることを意味するので、CPU31は返金信号を出
力し(ステップe29)、ステップa7の処理に移行し
て紙幣の返却処理を実行する。また、真券種候補記憶レ
ジスタksの値が0よりも小さくなければ、棄却条件記
憶レジスタC1(k)に1をセットされていない紙幣の
種別のうち、現在投入されている紙幣との関係において
総合異質度zpr(k)の値が最も小さくなる紙幣種別
に対応する値kが真券種候補記憶レジスタksに記憶さ
れていることを意味するので、CPU31はレジスタk
sに記憶された紙幣の種別に対応する真券信号を出力し
(ステップe30)、該紙幣を紙幣識別装置内に回収す
るための集金信号を出力した後(ステップe31)、ス
テップa7の処理に移行して紙幣の集金処理を実行す
る。
【0070】ステップa7の処理により紙幣の返却もし
くは回収に関する作業を終了したCPU31は、次の紙
幣の投入を待つ初期の待機状態へと復帰し(ステップa
1)、以下、紙幣の挿入が検出される毎に、前記と同様
の処理を繰り返し実行することとなる。
【0071】
【発明の効果】本発明の紙幣識別装置は、多数の真正な
紙幣を試験して得られた紙幣上の各位置i毎の物理的特
性データの平均値によって構成される標準パターン値p
ci と各位置iにおけるデータのばらつき度合いを表す
標準偏差値psi を予めメモリ手段に記憶しておくと共
に、紙幣の識別判定時に紙幣の搬送速度に同期させて前
記各位置n毎の物理的特性データpi を検出し、検出デ
ータpi の検査区間の平均値を標準パターン値の検査区
間の平均値に一致させるための補正値pmを求め、該補
正値pmにより検出データpi に補正を加えてから標準
パターン値pciとの比較処理を行うようにしているの
で、紙幣や検出手段の全体的な劣化や汚れによって生じ
るデータの変動を取り除いた状態で真偽判定のための比
較処理を行うことができる。
【0072】しかも、各位置i毎の標準パターン値pc
i および検出データpi との相関を統計的な手法によっ
て総合的に評価して異質度prを算出することにより紙
幣の真偽および種別を判定するようにしているので、紙
幣に部分的な汚れ等が付着していた場合であっても、部
分的なデータ異常によって判定結果が大きく左右される
ことがなく、紙幣の真偽および種別判定に関する信頼性
が一段と向上する。
【0073】更に、補正値pmおよび異質度prの算出
に必要とされる積算値Σpi ,Σ(pi /psi )2
Σ(pi ・pci /psi 2 )の各値は検出手段が特性
データpi を検出する毎に補正値算出手段および異質度
算出手段によって逐次更新して求められてゆくので、検
出されたデータpi をメモリ内に多数蓄積する必要がな
く、また、多数の蓄積データに対して演算処理を一括し
て行う必要もない。従って、メモリ手段のメモリ容量が
節約されると共に、補正値算出手段および異質度算出手
段等の演算手段に対する負荷も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施例の紙幣識別装置の要
部を示す概略平面図である。
【図2】同実施例の紙幣識別装置の制御部の概略を示す
ブロック図である。
【図3】判定対象となる紙幣を例示する図である。
【図4】紙幣識別装置のセンサを介して検出される特性
データの推移を例示する線図である。
【図5】判定基準に対して上限値と下限値を設定して判
定処理を行う場合の問題点を例示する線図である。
【図6】同実施例の紙幣識別装置の処理動作の大要を示
すフローチャートである。
【図7】同実施例の紙幣識別装置によるデータ取込み処
理の概略を示すフローチャートである。
【図8】同実施例の紙幣識別装置によるデータ圧縮処理
の概略を示すフローチャートである。
【図9】同実施例の紙幣識別装置による判定データ作成
処理の概略を示すフローチャートである。
【図10】同実施例の紙幣識別装置による判定処理の概
略を示すフローチャートである。
【図11】判定処理の概略を示すフローチャートの続き
である。
【図12】判定処理の概略を示すフローチャートの続き
である。
【図13】判定処理の概略を示すフローチャートの続き
である。
【符号の説明】
1 紙幣搬送路を形成するプレート 2 駆動側タイミングプーリ 3 従動側タイミングプーリ 4 タイミングベルト(ベルト搬送手段) 10〜15 前置増幅器 20〜23 A/D変換器 24,25 波形整形回路 26 モータ駆動回路 30 入出力回路 31 CPU 32 メモリ 33 手動データ入力装置 34 入出力インターフェイス P0〜P3 光学センサ P4〜P5 磁気センサ M モータ PC パルスコーダ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙幣の搬送速度に同期してサンプリング
    し、各サンプリング毎に紙幣の所定位置における各物理
    的特性データを検出する検出手段と、 該検出手段により多数の真正な紙幣によって得られた前
    記各所定位置における物理的特性データから得られる各
    位置iにおける平均値、および各位置iにおけるデータ
    のばらつき度合いを表す偏差値を標準パターン値pci
    および標準偏差値psi として記憶するメモリ手段と、 前記検出手段から検出されるデータpi の検査区間の平
    均値を前記標準パターン値の検査区間の平均値に一致さ
    せる補正値pmを求める補正値算出手段と、 前記検出手段から検出される検査区間の各位置の検出デ
    ータpi を上記補正値を用いて標準パターン値に一致さ
    せるよう補正した修正検出データから、対応する前記標
    準パターン値pci を減じ、前記偏差値psi で除した
    値の2乗を検査区間のサンプリング位置だけ加算した値
    を異質度prとして求める異質度算出手段と、 前記補正値、および異質度が共に許容範囲にあるときの
    み搬送されてきた紙幣を真券と判断する判別手段とを備
    えたことを特徴とする紙幣識別装置。
  2. 【請求項2】 前記メモリ手段には、検査区間における
    標準パターン値pci の合計Σpci および標準パター
    ン値pci を対応する標準偏差値psi で除した値の2
    乗の検査区間の合計値Σ(pci /psi )2 をも記憶
    され、前記補正値算出手段は、検査区間において前記検
    出手段から検出されるデータpi を順次積算し、検査区
    間が終了すると該積算値Σpi で前記標準パターン値の
    合計値Σpci を除して補正値pmを求め、前記異質度
    算出手段は、検査区間においてデータが検出される毎
    に、前記検出手段から検出されるデータpi を対応する
    位置の前記偏差値psi で除した値の2乗の積算値Σ
    (pi /psi )2 、および検出データpi に標準パタ
    ーン値pci を乗じこの値を偏差値psi の2乗で除し
    た値の積算値Σ(pi ・pci /psi 2 )を順次求
    め、検査区間が終了すると次式で示される演算を行って
    異質度pr pr=pm2 ・Σ(pi /psi )2 −2・pm・Σ(pi ・pci /psi 2 )+Σ(pci /psi )2 を求める請求項1記載の紙幣識別装置。
  3. 【請求項3】 前記検出手段は、紙幣の搬送方向に直交
    する方向に位置をずらして配置された複数の検出手段で
    構成され、前記メモリ手段には、各検出手段j毎の前記
    平均値、標準パターン値pcijおよび標準偏差値psij
    を記憶し、前記補正値算出手段および異質度算出手段は
    各検出手段j毎の補正値pmj 、異質度prj を夫々求
    め、前記判別手段は全ての補正値および異質度が夫々許
    容範囲にあるときのみ搬送されてきた紙幣を真券と判断
    する請求項1記載の紙幣識別装置。
  4. 【請求項4】 前記検出手段は、紙幣の搬送方向に直交
    する方向に位置をずらして配置された複数の検出手段で
    構成され、前記メモリ手段には、各検出手段j毎の前記
    平均値、標準パターン値pcij、標準偏差値psij、標
    準パターン値pcijの合計Σpcijおよび標準パターン
    値pcijを対応する標準偏差値psijで除した値の2乗
    の検査区間の合計値Σ(pcij/psij)2 を記憶し、
    前記補正値算出手段および異質度算出手段は各検出手段
    j毎の補正値pmj 、異質度prj を夫々求め、前記判
    別手段は全ての補正値および異質度が夫々許容範囲にあ
    るときのみ搬送されてきた紙幣を真券と判断する請求項
    2記載の紙幣識別装置。
  5. 【請求項5】 前記補正値のばらつき度合いを検出する
    補正値ばらつき検出手段を設け、前記判別手段は、全て
    の補正値,異質度およびばらつき度合いが許容範囲にあ
    るときのみ紙幣を真券と判断する請求項3もしくは4記
    載の紙幣識別装置。
  6. 【請求項6】 各検出手段における前記異質度prj を
    合計し総合異質度Σprj を求める総合異質度算出手段
    を設け、前記判別手段は該総合異質度Σprj が許容範
    囲内にないときには紙幣を真券と判断しない請求項3も
    しくは4記載の紙幣識別装置。
  7. 【請求項7】 各検出手段における前記異質度prj を
    合計し総合異質度Σprj を求める総合異質度算出手段
    を設け、前記判別手段は該総合異質度Σprj が許容範
    囲内にないときには紙幣を真券と判断しない請求項5記
    載の紙幣識別装置。
  8. 【請求項8】 紙幣の種類に対応して、前記メモリ手段
    は各データを記憶し、前記補正値算出手段、異質度算出
    手段および総合異質度算出手段は紙幣の種類毎に夫々補
    正値、異質度および総合異質度を求め、前記判別手段は
    補正値、異質度および総合異質度がいずれも許容範囲に
    あり、かつ、前記総合異質度Σprjが最小の値を示す
    種類の紙幣に対応した真券信号を出力する請求項6記載
    の紙幣識別装置。
  9. 【請求項9】 紙幣の種類に対応して、前記メモリ手段
    は各データを記憶し、前記補正値算出手段、異質度算出
    手段、総合異質度算出手段および補正値ばらつき検出手
    段は紙幣の種類毎に夫々補正値、異質度、総合異質度お
    よび補正値のばらつき度合いを求め、前記判別手段は補
    正値、異質度、総合異質度および補正値のばらつき度合
    いがいずれも許容範囲にあり、かつ、前記総合異質度Σ
    prjが最小の値を示す種類の紙幣に対応した真券信号
    を出力する請求項7記載の紙幣識別装置。
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