JPH06196303A - 薄膜抵抗素子及びインクジェット記録装置 - Google Patents

薄膜抵抗素子及びインクジェット記録装置

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JPH06196303A
JPH06196303A JP4342622A JP34262292A JPH06196303A JP H06196303 A JPH06196303 A JP H06196303A JP 4342622 A JP4342622 A JP 4342622A JP 34262292 A JP34262292 A JP 34262292A JP H06196303 A JPH06196303 A JP H06196303A
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JP
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resistance element
thermal expansion
thin film
film resistance
coefficient
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JP4342622A
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Suomi Kurihara
須生美 栗原
Hirokazu Komuro
博和 小室
Isao Kimura
勲 木村
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、薄膜抵抗素子の保護膜が何らかの
理由で変形しやすい場合であっても問題の発生しにくい
素子、その素子を用いたインクジェット記録装置を提供
する。 【構成】 2つ以上の発熱抵抗体の上部に電気絶縁体か
らなる保護膜を有する薄膜抵抗素子において、発熱抵抗
体の熱膨張率を1としたとき、該発熱抵抗体に挟まれる
絶縁体領域の熱膨張率が0.5以上2.0以下である素
子、及びその素子を用いたインクジェット記録装置を特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発熱抵抗体の上部に電
気絶縁体からなる保護膜を有する薄膜抵抗素子、及び薄
膜抵抗素子を用いたインクジェットヘッド、インクジェ
ットヘッドを搭載したインクジェット記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】薄膜抵抗素子は、感熱紙に熱印字をする
ために用いられるサーマルヘッドや、インクを加熱発泡
してインクを吐出する記録方式であるインクジェット記
録法に用いるインクジェット記録ヘッドに用いられる。
【0003】上記のような薄膜抵抗素子は、熱を発生す
る発熱抵抗体を有し、多くの場合はさらに該発熱抵抗体
上部に、該発熱抵抗体の酸化防止等なんらかの理由によ
り保護膜が設けられる。
【0004】特に、インクジェット記録法は、高速高密
度で高精細高画質の記録が可能で、かつカラー化、コン
パクト化に適しており、近年とみに注目を集めている
が、インクジェット記録ヘッドの熱作用部がインクに直
接接する点や、インクの発泡と消泡との繰返しによるキ
ャビテーションが熱作用部にもたらす機械的衝撃が大き
いという点、また、熱作用部が10-1〜10マイクロ秒
というオーダーの極めて短い時間に1000℃近い温度
の上昇及び下降にさらされるといった点などの理由によ
り、インクジェット記録ヘッドはサーマルヘッドに比べ
て高性能の保護膜が必要とされている。最近の技術で
は、インクジェットヘッドの保護膜として、発熱抵抗体
上にSiO2 、SiC、Si34 等からなる電気的絶
縁層と、さらにその上にTa等からなる耐キャビテーシ
ョン層とを積層して用いるのが一般的である。
【0005】このような保護膜が設けられた形態の薄膜
抵抗素子では、保護膜の保護性能及びその持続安定性が
素子の耐久性を支配することとなり、いかにして高信頼
性の保護膜を形成するかが大きな技術課題である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし前述のような薄
膜抵抗素子は、素材や構成が同一にしても、成膜方法に
よっては、発熱抵抗体に通電した時に該抵抗体上部に設
けてある保護膜が膨れやすいという欠陥品が多発するこ
とがあった。このような欠陥が生じた薄膜抵抗素子は、
保護膜との熱接触が断たれるために抵抗体が溶断した
り、インクジェットヘッドに用いる場合はインクへの熱
伝導が悪くなるためインクが吐出しなくなるという問題
点を持っている。
【0007】以下に、保護膜が膨れる理由を説明する。
【0008】図9(a),(b),(c)は、従来例の
薄膜抵抗素子1の平面図と2方向の断面図を示してい
る。このような従来例においては、発熱抵抗層7の発熱
部分2が薄膜抵抗素子1への通電によって熱膨張した
際、図10(a)に示すように熱によって軟化した周辺
の保護膜8を圧迫し、該保護膜を微小量変形させる。前
記保護膜の変形は、薄膜抵抗素子への電気供給を止め、
発熱部分2が冷却して収縮すると元に戻る場合もある
が、図10(b)に示すように発熱部分2と保護膜8と
の間に微小な剥離部13を生じる場合も多い。特に、発
熱部分2が発熱と冷却を繰り返した場合、発熱部分2と
保護膜8との密着性が低下し、剥離部13が生じやすく
なる。
【0009】ところで、概して保護膜は圧縮応力を持っ
ている。その圧縮応力は通電によって発熱部分2が高温
になると増大し、該保護膜が高温によって軟化すること
に伴って該保護膜は変形しようとする。該保護膜と該保
護膜に接する発熱抵抗体7の密着性が強い場合は変形は
起こらないが、前記のような過程で剥離部13が発生し
た場合は変形が防げず、増大した圧縮応力を逃がすた
め、例えば図11に示すように、保護膜が湾曲する弱い
部分が盛り上がるように変形する。以上述べたことは、
保護膜が圧縮応力を持つ場合に限らず、その他の理由に
より保護膜が変形しやすい場合であっても同様に起こり
得る。
【0010】本発明は、保護膜が何らかの理由により変
形しやすい場合であっても、前記問題点の発生しにくい
薄膜抵抗素子、及び、前記特徴を持つ素子を利用したイ
ンクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の本
発明によって達成される。
【0012】即ち本発明は、2つ以上の発熱抵抗体の上
部に、電気絶縁体からなる保護膜を有する薄膜抵抗素子
において、該発熱抵抗体の熱膨張率と該発熱抵抗体に挟
まれる絶縁体領域の熱膨張率が近接した値であることを
特徴とする薄膜抵抗素子である。
【0013】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明
する。
【0014】図1(a),(b),(c)は、本発明の
薄膜抵抗素子1の平面図(a)と2方向の断面図
(b),(c)を示している。本発明の薄膜抵抗素子が
従来例を示した図9と異なっている点は、本発明の薄膜
抵抗素子の発熱抵抗体に挟まれる絶縁体領域14が、発
熱抵抗体の上部の保護膜から連続したものではなく、別
個に形成されたものである点である。本発明では特に、
前記絶縁体領域14の材料を発熱抵抗体の熱膨張率に近
接する材料とするように選ぶ事に特徴がある。前記のよ
うに材料を選んで図1のように形成された薄膜抵抗素子
1は、図8(a)に示すように、発熱部分2の発熱時に
隣合う発熱抵抗体7と絶縁層14が横方向には等しい力
で押し合う。そのため、発熱抵抗体7は横方向には熱膨
張せず、絶縁層14と高さを揃えて厚さを変化させるだ
けになるので、図10(b)に示すような剥離部13が
発生しないため、保護膜8が膨れる現象を防ぐことがで
きる。
【0015】上記のような作用は、発熱抵抗体7の熱膨
張係数と絶縁層14の熱膨張率が完全には一致していな
くても、保護膜の湾曲の程度が小さくなるだけである程
度の効果はある。しかし前記のような熱膨張率の近似が
得られない場合、例えば図8(b)は発熱抵抗体7の熱
膨張率より絶縁層14の熱膨張率の方が大きい場合であ
るが、同図に示すように発熱抵抗体7と絶縁層14との
界面がずれるので、その近辺で発熱抵抗体等と保護膜8
との密着性が低下する。また、発熱抵抗体7等が薄膜で
あるため僅かではあるが、発熱抵抗体7と絶縁層14と
の間で微小な段差ができ、構造的に弱くなってしまう。
以上のような理由から本発明の薄膜抵抗素子の場合、発
熱抵抗体の熱膨張率を1としたとき、該発熱抵抗体に挟
まれる絶縁体の熱膨張率は0.50以上2.0以下、望
ましくは0.67以上1.5以下、さらに望ましくは
0.77以上1.3以下である必要がある。
【0016】前記熱膨張率の条件を満たす材料は、薄膜
抵抗素子に必要な物性や素子作成の都合等の理由によ
り、単一の材料としては存在しない場合がある。このよ
うな場合には、熱膨張率以外に必要な条件を満たし、発
熱抵抗体より熱膨張率が大きい材料と小さい材料を各々
1種類以上用意し、両者の混合物を絶縁層14に用いれ
ば良い。混合物の熱膨張率αm は、低弾性率の材料が含
まれる場合は加成性が成立し、αi ,Vi をi番めの材
料の、各々熱膨張率、体積分率とすると、 αm =Σαii となる。加成性が成立しない場合は、Κi を体積弾性率
とすると、 αm =Σαiii /ΣKii となる。また特に多成分のガラスについては、pi を重
量分率とすると、 αm =Σαii となる。
【0017】
【実施例】以下、より具体的な実施例に従い、本発明を
詳細に説明する。
【0018】実施例1 図1(a),(b),(c)は、本発明の第1の実施例
に係る薄膜抵抗素子の平面図と2方向の断面図である。
ここで、1は素子(全体)、2は発熱部分、3及び4は
電極である。
【0019】以下に本実施例による薄膜抵抗素子の作成
工程を説明する。
【0020】まず、素子支持体5であるSiウェハの表
面に熱酸化によって5μm厚のSiO2 膜を形成して素
子1の下部層6とした。。この下部層6上にスパッタリ
ングによって、熱膨張率が5.3×10-6-1であるH
fB2 の発熱抵抗層7を1300オングストロームの厚
みに形成した。
【0021】続いて電子ビーム蒸着によりTi層50オ
ングストローム、Al層5000オングストロームを連
続的に堆積して共通電極3と選択電極4とを形成した。
この時、フォトリソ工程により図1(a)に示すような
回路パターンを形成し、電極3,4に通電することによ
り発熱する熱発生部11の発熱部分2の熱作用面はその
寸法を30μm幅で、150μm長にし、Al電極3及
び4の抵抗を含めて100Ωの抵抗値にした。
【0022】次に、フォトリソ工程によって図1(b)
に示すように、前記の発熱抵抗層7及び電極3,4が無
い部分に、ソーダガラスからなる絶縁層14を、該発熱
抵抗層と膜厚が等しくなるように、スパッタ法によって
形成した。ここで利用したソーダガラスの熱膨張率は1
0×10-6-1であり、電極であるHfB2 の熱膨張率
に対する比は1.9である。
【0023】最後に、素子支持体5をArスパッタリン
グ装置内にセットし、厚さ1.9μmのSiO2 からな
る保護膜8を、図1に示すように素子1の全面上に、マ
グネトロン型ハイレートスパッタ法によって積層した。
【0024】なお、素子支持体5は必ずしもSiでなく
ても良く、例えば、ガラスあるいはセラミックスのよう
な絶縁物でも良い。発熱抵抗層7は、発熱部分2が通電
時に非常に高温になるため、その材料として高温で安定
であり、かつ耐酸化性に優れる物質であればHfB2
外の材料、例えば高融点金属あるいは遷移金属の窒化
物、炭化物、珪化物、硼化物などでも良い。電極3及び
4は、Alではなく、Au、Cuのような電気良導体で
も形成できる。また、保護膜8の膜厚や発熱部分2の幅
並びに長さ等に関しては、薄膜抵抗素子の設計に応じて
該薄膜抵抗素子の熱発生部11に必要な特性が得られる
よう適宜選択すれば良い。さらに、保護膜8に関して
は、SiO2 以外に、SiCあるいはSiNなどから形
成することも可能である。
【0025】上記の方法で作成した薄膜抵抗素子に10
μsec,3kHzのパルス電圧を108 回印加したと
ころ、保護膜が膨れる等の異常が現われる率は0%であ
った。後述する比較例1では、同条件でテストを行なう
と50%の素子に異常が現われることから、実施例1で
は発熱抵抗体の間に熱膨張率が該発熱抵抗体に近い絶縁
体を形成したため、保護膜が膨れるという異常を示す素
子が少なくなるという本発明の効果が見られた。
【0026】実施例2 本発明の実施例2では、実施例1と同じ構造の薄膜抵抗
素子を作製した。ただし絶縁層14の材料は実施例1と
異なり、熱膨張率が2.75×10-6-1であるSi3
4 を用いた。なお、Si34 の熱膨張率の、電極で
あるHfB2 の熱膨張率に対する比は0.52である。
【0027】上記の方法で作成した薄膜抵抗素子に10
μsec,3kHzのパルス電圧を108 回印加したと
ころ、保護膜が膨れる等の異常が現われる率は0%であ
った。後述する比較例1では、同条件でテストを行なう
と50%の素子に異常が現われることから、実施例2で
は発熱抵抗体の間に熱膨張率が該発熱抵抗体に近い絶縁
体を形成したため、保護膜が膨れるという異常を示す素
子が少なくなるという本発明の効果が見られた。
【0028】実施例3 本発明の実施例3では、実施例1と同じ構造の薄膜抵抗
素子を作製した。ただし絶縁層14の材料は実施例1と
異なり、熱膨張率が0.5×10-6-1であるSiO2
と熱膨張率が10×10-6-1であるソーダガラスとを
用い、それぞれ24%と76%の含有量になるよう同時
にスパッタし、絶縁層14が両者の混合物になるように
した。なお、両者の混合比は、混合膜である絶縁層14
の熱膨張率が7.7×10-6-1になるように設計した
値であり、電極であるHfB2 の熱膨張率に対する比は
1.45である。
【0029】上記の方法で作成した薄膜抵抗素子に10
μsec,3kHzのパルス電圧を108 回印加したと
ころ、保護膜が膨れる等の異常が現われる率は0%であ
った。後述する比較例1では、同条件でテストを行なう
と50%の素子に異常が現われることから、実施例3で
は発熱抵抗体の間に熱膨張率が該発熱抵抗体に近い絶縁
体を形成したため、保護膜が膨れるという異常を示す素
子が少なくなるという本発明の効果が見られた。
【0030】実施例4 本発明の実施例4では、実施例3と同様に薄膜抵抗素子
を作製した。ただし絶縁層14の材料であるSiO2
ソーダガラスの混合比は、実施例3と異なり、熱膨張率
が3.6×10-6-1になるよう、それぞれの割合が6
7%と33%になるように成膜した。なお、前記熱膨張
率の電極であるHfB2 の熱膨張率に対する比は0.6
8である。
【0031】上記の方法で作成した薄膜抵抗素子に10
μsec,3kHzのパルス電圧を108 回印加したと
ころ、保護膜が膨れる等の異常が現われる率は0%であ
った。後述する比較例1では、同条件でテストを行なう
と50%の素子に異常が現われることから、実施例4で
は発熱抵抗体の間に熱膨張率が該発熱抵抗体に近い絶縁
体を形成したため、保護膜が膨れるという異常を示す素
子が少なくなるという本発明の効果が見られた。
【0032】実施例5 本発明の実施例5では、実施例1と同じ構造の薄膜抵抗
素子を作製した。ただし絶縁層14の材料は実施例1と
異なり、熱膨張率が6.09×10-6-1であるA1N
を用いた。なお、A1Nの熱膨張率の、電極であるHf
2 の熱膨張率に対する比は1.1である。
【0033】上記の方法で作成した薄膜抵抗素子に10
μsec,3kHzのパルス電圧を108 回印加したと
ころ、保護膜が膨れる等の異常が現われる率は0%であ
った。後述する比較例1では、同条件でテストを行なう
と50%の素子に異常が現われることから、実施例5で
は発熱抵抗体の間に熱膨張率が該発熱抵抗体に近い絶縁
体を形成したため、保護膜が膨れるという異常を示す素
子が少なくなるという本発明の効果が見られた。
【0034】実施例6 本発明の実施例6では、実施例3と同様に薄膜抵抗素子
を作製した。ただし絶縁層14の材料は実施例3と異な
り、ソーダガラスの代りに熱膨張率が10×10-6-1
であるZrO2 を用い、ZrO2 とSiO2 の蒸発速度
の比が1:1になるよう、同時に電子ビームをあてて蒸
着し、絶縁層14が2つの材料及び両者の化合物ZrS
iO4 の混合状態になるようにした。絶縁層14が、Z
rO2 とSiO2 だけの混合物であれば熱膨張率は5.
3×10-6-1、両者の化合物ZrSiO4 だけであれ
ば熱膨張率は4.1×10-6-1になるはずであるか
ら、絶縁層14の熱膨張率は4.1〜5.3×10-6
-1になる。この値は、電極であるHfB2 の熱膨張率に
対する比が0.77〜1.0になる。
【0035】上記の方法で作成した薄膜抵抗素子に10
μsec,3kHzのパルス電圧を108 回印加したと
ころ、保護膜が膨れる等の異常が現われる率は0%であ
った。後述する比較例1では、同条件でテストを行なう
と50%の素子に異常が現われることから、実施例6で
は発熱抵抗体の間に熱膨張率が該発熱抵抗体に近い絶縁
体を形成したため、保護膜が膨れるという異常を示す素
子が少なくなるという本発明の効果が見られた。
【0036】実施例7 本発明の実施例7では、実施例6と同様に薄膜抵抗素子
を作製した。ただし絶縁層14の材料は実施例6と異な
り、熱膨張率が3.76×10-6-1のSnO 2 と熱膨
張率8.8×10-6-1のAl23 を用い、両者の蒸
発速度の比が1:1になるよう、同時に電子ビームをあ
てて蒸着した。絶縁層14の熱膨張率は、SnO2 とA
23 が殆ど固溶しないので、設計値は6.3×10
-6-1になり、電極であるHfB2 の熱膨張率に対する
比が1.18になる。
【0037】上記の方法で作成した薄膜抵抗素子に10
μsec,3kHzのパルス電圧を108 回印加したと
ころ、保護膜が膨れる等の異常が現われる率は0%であ
った。後述する比較例1では、同条件でテストを行なう
と50%の素子に異常が現われることから、実施例7で
は発熱抵抗体の間に熱膨張率が該発熱抵抗体に近い絶縁
体を形成したため、保護膜が膨れるという異常を示す素
子が少なくなるという本発明の効果が見られた。
【0038】比較例1 本発明の実施例1〜実施例7に対する比較例1では、図
9(a),(b),(c)に平面図と2方向の断面図を
示したような構造の薄膜抵抗素子を作製した。比較例1
と本発明の実施例1〜実施例7との相違点は、比較例1
には、発熱抵抗体の間に熱膨張率が該発熱抵抗体に近い
絶縁体が形成されていないことである。
【0039】上記の方法で作成した薄膜抵抗素子に10
μsec,3kHzのパルス電圧を108 回印加したと
ころ、保護膜が膨れる等の異常が現われる率は50%で
あった。
【0040】実施例8 図2は、本発明の実施例8の薄膜抵抗素子の基板作成工
程を示し、図3は、本実施例の薄膜抵抗素子の平面図及
び断面図である。また、図4は、本実施例の薄膜抵抗素
子を用いたインクジェット記録ヘッドIJHの一部の斜
視図及び薄膜抵抗素子付近の断面図、図5はインクジェ
ット記録ヘッドIJHが組み込まれるインクジェットカ
ートリッジIJCの構造説明図である。さらに図6は、
インクジェットカートリッジIJCを、図7に示すイン
クジェット記録装置IJRAのキャリッジHCに組み付
けた様子を示す図である。
【0041】以下に、図2〜図7を用いて、本実施例に
よる薄膜抵抗素子の作成工程を説明する。
【0042】まず、本発明の実施例3と同様にして作成
した薄膜抵抗素子を用意した。
【0043】次に、前述の薄膜抵抗素子の全面上に第2
の上部保護膜10として、Taを0.5μm厚にマグネ
トロン型ハイレートスパッタ法によって積層した。次
に、第2の上部保護膜10をフォトリソ工程により、図
2(a),(b)に示すような発熱部分2の上部を覆う
パターンに形成した。さらに、第3の上部保護膜9とし
て、感光性ポリイミド(商品名フォトニース)を素子1
の第1保護膜8上に塗布し、フォトリソ工程により図3
(a),(b)に示すような回路パターンを形成した。
【0044】このようにして作成した薄膜抵抗素子1上
に、図4に示すように、厚さ50μmの感光性樹脂ドラ
イフィルム12を積層して、所定のパターンマスクによ
る露光と現像を行なうことにより、液流路20と共通液
室21とを形成し、さらにそのフィルム12上にエポキ
シ系接着剤を介してガラス製の天井板22を接着積層し
てインクジェット記録ヘッドIJHを作成した。なお、
23は吐出口、24はインク流路壁、25はインク供給
口である。
【0045】ここで作成した薄膜抵抗素子1の第1保護
膜8は、該素子を用いてインクジェット記録ヘッドIJ
Hを作製した際に、電極3及び4と発熱抵抗層7の、液
流路20直下に位置する部分がインクと接触するのを防
ぐ機能を有するものであり、SiO2 ,SiCあるいは
SiNなどから形成することができる。また、第2保護
膜10は耐キャビテーション層であり、Ta以外の金属
薄膜層を用いることもできる。
【0046】感光性ドライフィルム12は、液浸透防止
と耐液作用に優れたエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フ
ェノール樹脂等の有機絶縁物から選択した材料などを用
いることができ、インク流路壁24を形成することによ
って、吐出口23、液流路20、発熱抵抗層7の熱発生
部11を含むインク吐出のための吐出単位がマルチ化し
ている。
【0047】天井板22は、各吐出単位における液流路
20の天井に相当する部分で、ガラス以外でも、金属
板、セラミック、プラスチックなどから形成することが
できる。
【0048】なお、感光性ドライフィルム12と天井板
22の接合には、エポキシ樹脂あるいはシアノアクリレ
ート樹脂などの接着剤を用いた接合等が利用できる。
【0049】このインクジェット記録ヘッドIJHで
は、発熱抵抗層7に高抵抗で高温安定性に優れる化合物
であるHfB2 が用いられているので、該記録ヘッド
は、高密度記録及び高速記録の要求に対して十分対応で
きる構成を有する。
【0050】また、本発明の記録ヘッドにおける構成
は、上記した例に限定されず、種々の構成を取り得る。
例えば、図示した記録ヘッドは、熱発生部に液体が供給
される方向と、吐出口から液体が吐出される方向とがほ
ぼ同一な構成を有しているが、これらの方向が異なる、
例えばほぼ直角となるような構成を有しても良い。
【0051】前述の方法で作成したインクジェット記録
ヘッドIJHを、図5に示すようにインクタンクITと
一体になったジェットカートリッジIJCに組み込み、
さらに図6に示すようにキャリッジHCに組み付け、図
7に示すインクジェット記録装置IJRAを組み立て
た。
【0052】以下に、インクジェット記録装置の構成に
ついて簡単な説明を行なう。
【0053】インクジェットユニットIJUは、電気信
号に応じて膜沸騰をインクに対して生じせしめるための
熱エネルギーを生成する電気熱変換体を用いて記録を行
なうバブルジェット方式のユニットである。
【0054】図5において、26は薄膜抵抗素子1に対
する配線基板であり、該素子の配線に対応する配線(例
えばワイヤボンディングにより接続される)と、この配
線の端部に位置し本体装置からの電気信号を受けるパッ
ド27とを有している。
【0055】28は配線基板26の裏面を平面で支持す
る例えば金属製の支持体で、インクジェットユニットI
JUの底板となる。29は押えバネであり、M字形状で
そのM字の中央で共通液室21を軽圧で押圧すると共に
前だれ部30で液路の一部、好ましくは吐出口23近傍
の領域を線圧で集中押圧する。薄膜抵抗素子1及び天井
板22を押えバネの足部が支持体28の穴31を通って
支持体28の裏面側に係合することでこれらを挟み込ん
だ状態で両者を係合させることにより、押えバネ29と
その前だれ部30の集中付勢力によって薄膜抵抗素子1
と天井板22とを圧着固定する。
【0056】また支持体28は、インクタンクITの2
つの位置決め凸起32及び位置決め且つ熱融着保持用突
起34,35(不図示)に係合する位置決め用穴33,
36,37を有する他、装置本体IJRAのキャリッジ
HCに対する位置決め用の突起38,39を裏面側に有
している。加えて支持体28はインクタンクITからの
インク供給を可能とするインク供給管40を貫通可能に
する穴をも有している。支持体28に対する配線基板2
6の取付けは、接着剤等で貼着して行なわれる。尚、支
持体28の凹部42,42は、それぞれ位置決め用突起
38,39の近傍に設けられており、組み立てられたイ
ンクジェットカートリッジIJCにおいて、その周辺の
3辺を平行溝43,44の複数で形成されたヘッド先端
域の延長点にあって、ゴミやインク等の不要物が突起3
8,39に至ることがないように位置している。この平
行溝43が形成されている蓋部材45は、図6でわかる
ようにインクジェットカートリッジIJCの外壁を形成
すると共に、インクタンクITとでインクジェットユニ
ットIJUを収納する空間部を形成している。また、こ
の平行溝44が形成されているインク供給部材46は、
前述したインク供給管40に連続するインク導管47を
供給管40側が固定の片持ちばりとして形成し、インク
導管47の固定側とインク供給管40との毛管現象を確
保するための封止ピン48が挿入されている。尚、49
はインクタンクITと供給管40との結合シールを行な
うパッキン、50は供給管のタンク側端部に設けられた
フィルターである。
【0057】このインク供給部材46は、モールド成型
されているので、安価で位置精度が高く形成製造上の精
度低下を無くしているだけでなく、片持ちばりの導管4
7によって大量生産時においても導管47の上述インク
受け口25に対する圧接状態が安定化できる。本例で
は、この圧接状態下で封止用接着剤をインク供給部材側
から流し込むだけで、より完全な連通状態を確実に得る
ことができている。尚、インク供給部材46の支持体2
8に対する固定は、支持体28の穴51,52に対する
インク供給部材46の裏面側ピン(不図示)を支持体2
8の穴51,52を介して貫通突出せしめ、支持体28
の裏面側に突出した部分を熱融着することで簡単に行な
われる。尚、この熱融着された裏面部のわずかな突出領
域は、インクタンクITのインクジェットユニットIJ
U取付面側壁面のくぼみ(不図示)内に収められるので
ユニットIJUの位置決め面は正確に得られる。
【0058】インクタンクITは、カートリッジIJC
本体53と、インク吸収体54をカートリッジ本体53
の上記ユニットIJU取付け面とは反対側の側面から挿
入した後、これを封止する蓋部材55とで構成されてい
る。
【0059】54はインクを含浸させるための吸収体で
あり、カートリッジ本体53内に配置される。56は上
記ユニットIJUに対してインクを供給するための供給
口であると共に、当該ユニットをカートリッジ本体53
に配置する前の工程で供給口56よりインクを注入する
ことにより吸収体54のインク含浸を行なうための注入
口でもある。
【0060】この本例では、インクを供給可能な部分
は、大気連通口とこの供給口とになるが、インク吸収体
からのインク供給性を良好に行なうための本体53内リ
ブ57と蓋部材55の部分リブ58,59とによって形
成されたタンク内空気存在領域を、大気連通口60側か
ら連続させてインク供給口56から最も遠い角部域にわ
たって形成している構成をとっているので、相対的に良
好かつ均一な吸収体へのインク供給は、この供給口56
側から行なわれることが重要である。なお、61は大気
連通口60の内方に配置される撥液材であり、これによ
り大気連通口60からのインク漏洩が防止される。大気
連通口は突出した形に形成されていて、その内部を空洞
化し、インク吸収体54に対する大気圧供給空間62を
形成している。
【0061】尚、63はインクタンクITの先端ツバ
で、キャリッジの前板100の穴に挿入されて、インク
タンクの変位が極端に悪くなるような異変時に対して設
けられている。101は、キャリッジに対する抜け止め
で、キャリッジHCの不図示のバーにたいして設けら
れ、カートリッジIJCが旋回装着された位置でこのバ
ーの下方に侵入して、不要に位置決め位置から離脱させ
る上方方向へ力が作用しても装着状態を維持するための
保護用部材である。64はカートリッジIJCの上方面
に設けられたスリットで、ヘッドIJHからの発熱によ
るユニットIJUの昇温を防止しつつもユニットIJU
全体の温度分布の均一化を環境に左右されないように作
用している。
【0062】また、インク供給部材46は、組立後の形
状において、その上面部65がインクタンクITの屋根
部の端部67との間にスリットを形成し、下面部66が
インクタンクITの下方の蓋45が接着される薄板部材
へのヘッド側端部68との間に上記スリットと同様のス
リットを形成する。これらのインクタンクITとインク
供給部材46との間のスリットは、上記スリット66の
放熱を一層促進させる作用を実質的に行なうとともに、
タンクITへ加わる不要な圧力があってもこれを直接供
給部材、強いては、インクジェットIJUへ及ぼすこと
を防止している。
【0063】図6において、200はプラテンローラ
で、記録媒体Pを紙面下方から上方へ案内する。キャリ
ッジHCは、プラテンローラ200に沿って移動するも
ので、キャリッジの前方プラテン側にインクジェットカ
ートリッジIJCの前面側に位置する前板100(厚さ
2mm)と、カートリッジIJCの配線基板26のパッ
ド27に対応するパッド102を具備したフレキシブル
シート103及びこれを裏面側から各パッド102に対
して押圧する弾性力を発生するためのゴムパッドシート
103を保持する電気接続用支持板104と、インクジ
ェットカートリッジIJCを記録位置へ固定するための
位置決め用フック105とが設けられている。前板10
0は位置決め用突出面106をカートリッジの支持体2
8の前述した位置決め突起38,39に夫々対応して2
個有し、カートリッジの装着後はこの突出面106に向
かう垂直な力を受ける。このため、補強用のリブが前板
のプラテンローラ側に、その垂直な力の方向に向かって
いるリブ(不図示)を複数有している。このリブは、カ
ートリッジIJC装着時の前面位置Lよりもわずかに
(約0.1mm程度)プラテンローラ側に突出している
ヘッド保護用突出部をも形成している。電気接続用支持
板104は、補強用リブ107を前記リブの方向ではな
く垂直方向に複数有し、プラテン側からフック105側
に向かって側方への突出割合が減じられている。これ
は、カートリッジ装着時の位置を図のように傾斜させる
ための機能も果たしている。又、支持板104は電気的
接触状態を安定化するため、上記2つの位置決め用突出
面106がカートリッジに及ぼす作用方向と逆方向に、
カートリッジへの作用力を及ぼすためのフック側の位置
決め面108を突出面106に対応して2個有し、これ
らの間にパッドコンタクト域を形成すると共にパッド1
02対応のボッチ付ゴムシート103のボッチの変形量
を一義的に規定する。これらの位置決め面は、カートリ
ッジIJCが記録可能な位置に固定されると、配線基板
26の表面に当接した状態となる。
【0064】フック105は、固定軸109に係合する
長穴を有し、この長穴の移動空間を利用して図の位置か
ら反時計方向に回動した後、プラテンローラ200に沿
って左方側へ移動することでキャリッジHCに対するイ
ンクジェットカートリッジIJCの位置決めを行なう。
このフック105の移動はどのようなものでも良いが、
レバー等で行なえる構成が好ましい。いずれにしてもこ
のフック105の回動時にカートリッジIJCはプラテ
ンローラ側へ移動しつつ位置決め突起38,39が前板
の位置決め面106に当接可能な位置へ移動し、フック
105の左方側移動によって90°のフック面110が
カートリッジIJCの爪69の90°面に密着しつつカ
ートリッジIJCを位置決め面38,106どうしの接
触域を中心に水平面内で旋回して最終的にパッド27,
102どうしの接触が始まる。そしてフック105が所
定位置、即ち固定位置に保持されると、パッド27,1
02どうしの完全接触状態と、位置決め面38,106
どうしの完全面接触と、90度面110と爪69の90
度面の2面接触と、配線基板26と位置決め面108と
の面接触とが同時に形成されてキャリッジに対するカー
トリッジIJCの保持が完了する。
【0065】図7は本発明が適用されるインクジェット
記録装置IJRAの概観図で、駆動モータ213の正逆
回転に連動して駆動力伝達ギア209,211を介して
回転するリードスクリュー204の螺旋溝205に対し
て係合するキャリッジHCは、矢印a,b方向に往復移
動される。202は紙押え板であり、キャリッジ移動方
向にわたって紙をプラテン200に対して押圧する。2
07,208はフォトカプラでキャリッジのレバー20
6のこの域での存在を確認してモータ213の回転方向
切換等を行なうためのホームポジション検知手段であ
る。216は記録ヘッドの前面をキャップするキャップ
部材222を支持する部材で、215はこのキャップ内
を吸引する吸引手段でキャップ内開口223を介して記
録ヘッドの吸引回復を行なう。217はクリーニングブ
レードで、219はこのブレードを前後方向に移動可能
にする部材であり、本体支持板218にこれらは支持さ
れている。ブレードは、この形態でなく周知のクリーニ
ングブレードが本例に適用できることはいうまでもな
い。又、212は、吸引回復の吸引を開始するためのレ
バーでキャリッジと係合するカム220の移動に伴って
移動し、駆動モータからの駆動力がクラッチ切換等の公
知の伝達手段で移動制御される。
【0066】これらのキャッピング、クリーニング、吸
引回復は、キャリッジがホームポジション側領域にきた
時にリードスクリュー204の作用によってそれらの対
応位置で所望の処理が行なえるように構成されている
が、周知のタイミングで所望の作動を行なうようにすれ
ば、本例は何れも適用できる。上述における各構成は単
独でも複合的に見ても優れた構成であり、本発明にとっ
て好ましい構成例を示している。
【0067】上記の方法で作成した薄膜抵抗素子を使用
したインクジェット記録装置を用いて、該薄膜抵抗素子
に108 回の電気パルスを加えたのに等しい記録を行な
い、20個の薄膜抵抗素子について異常発生率を調べ
た。ただし、キャリッジHCとインクジェット記録装置
IJRAの本体は共通の物を用い、インクジェットカー
トリッジIJCのみを交換した。その結果、該薄膜抵抗
素子のうち、保護膜が膨れる等の異常を示したのは0%
であった。後述する比較例2では、同条件でテストを行
なうと60%の素子に異常が現われることから、第8実
施例では発熱抵抗体の間に熱膨張率が該発熱抵抗体に近
い絶縁体を形成したため、保護膜が膨れるという異常を
示す素子が少なくなるという本発明の効果が見られた。
【0068】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でもバブルジェット方式の記録ヘッド、記録装置にお
いて、優れた効果をもたらすものである。
【0069】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、
結果的にこの駆動信号に一対一対応して液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長、収縮により吐出用開口部を介して液体(インク)を
吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動
信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮
が行なわれるので、特に応答性に優れた液体(インク)
の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆
動信号としては、米国特許第4463359号明細書、
同第4345262号明細書に記載されているようなも
のが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関す
る発明の米国特許第4313124号明細書に記載され
ている条件を採用すると、更に優れた記録を行なうこと
ができる。
【0070】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱
作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する
米国特許第4558333号明細書、米国特許第445
9600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるもの
である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通す
るスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示す
る特開昭59年第123670号公報や熱エネルギーの
圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応せる構成を開示す
る特開昭59年第138461号公報に基づいた構成と
しても本発明は有効である。
【0071】更に、記録装置が記録できる最大記録媒体
の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘ
ッドとしては、上述した明細書に開示されているような
複数記録ヘッドの組合せによって、その長さを満たす構
成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成
のいずれでも良いが、本発明は、上述した効果を一層有
効に発揮することができる。
【0072】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0073】又、本発明の記録装置の構成として設けら
れる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手
段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング
手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別
の加熱素子或はこれらの組合せによる予備加熱手段、記
録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なうことも
安定した記録を行なうために有効である。
【0074】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッド
を一体的に構成するか複数個の組合せによってでもよい
が、異なる色の複色カラー又は、混色によるフルカラー
の少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効
である。
【0075】実施例9 本発明の実施例9では、実施例4と同方法で薄膜抵抗素
子を作成し、該薄膜抵抗素子を用いて実施例8と同じ構
成のインクジェットカートリッジIJCを20個作成し
た。
【0076】上記の方法で作成した20個のインクジェ
ットカートリッジIJCについて、実施例8で使用した
インクジェット記録装置IJRAを使用して、該薄膜抵
抗素子に108 回の電気パルスを加えたのに等しい記録
を行ない、各カートリッジの薄膜抵抗素子について異常
発生率を調べた。その結果、該薄膜抵抗素子のうち、保
護膜が膨れる等の異常を示したのは0%であった。後述
する比較例2では、同条件でテストを行なうと60%の
素子に異常が現われることから、実施例9では発熱抵抗
体の間に熱膨張率が該発熱抵抗体に近い絶縁体を形成し
たため、保護膜が膨れるという異常を示す素子が少なく
なるという本発明の効果が見られた。
【0077】実施例10 本発明の実施例10では、実施例9と同様にして薄膜抵
抗素子を作成し、該薄膜抵抗素子を用いて実施例8と同
じ構成のインクジェットカートリッジIJCを20個作
成した。ただし、実施例9と異なり、絶縁層14の材料
であるSiO2とソーダガラスの混合比は、熱膨張率が
5.3×10-6-1になるよう、1:1になるように成
膜した。なお、前記熱膨張率は電極であるHfB2 の熱
膨張率に対する比が1.0になる。
【0078】上記の方法で作成した20個のインクジェ
ットカートリッジIJCについて、実施例8で使用した
インクジェット記録装置IJRAを使用して、該薄膜抵
抗素子に108 回の電気パルスを加えたのに等しい記録
を行ない、各カートリッジの薄膜抵抗素子について異常
発生率を調べた。その結果、該薄膜抵抗素子のうち、保
護膜が膨れる等の異常を示したのは0%であった。後述
する比較例2では、同条件でテストを行なうと60%の
素子に異常が現われることから、実施例10では発熱抵
抗体の間に熱膨張率が該発熱抵抗体に近い絶縁体を形成
したため、保護膜が膨れるという異常を示す素子が少な
くなるという本発明の効果が見られた。 比較例2 本発明の実施例8〜実施例10に対する比較例2では、
比較例1と同方法で薄膜抵抗素子を作成し、該薄膜抵抗
素子を用いて実施例8と同じ構成のインクジェットカー
トリッジIJCを20個作成した。
【0079】上記の方法で作成した20個のインクジェ
ットカートリッジIJCについて、実施例8で使用した
インクジェット記録装置IJRAを使用して、該薄膜抵
抗素子に108 回の電気パルスを加えたのに等しい記録
を行ない、各カートリッジの薄膜抵抗素子について異常
発生率を調べた。その結果、該薄膜抵抗素子のうち、保
護膜が膨れる等の異常を示したのは60%であった。
【0080】以上実施例及び比較例をあげたが、表1に
これらの諸例における発明の効果の有無をまとめた。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、2
つ以上の発熱抵抗体の上部に、電気絶縁体からなる保護
膜を有する薄膜抵抗素子において、該保護膜が何らかの
理由により、変形しやすい場合であっても、該発熱抵抗
体の熱膨張率と該発熱抵抗体に挟まれる絶縁体領域の熱
膨張率が近い値になるように薄膜抵抗素子を作成するこ
とによって、保護層の異常発生率、すなわち該素子を用
いたインクジェットカートリッジの不良品率を下げるこ
とができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜7において作成した薄膜抵
抗素子の平面図(a)と2方向の断面図(b),(c)
である。
【図2】本発明の実施例8〜10の薄膜抵抗素子の基板
作成工程を示す図である。
【図3】本発明の実施例8〜10において作成した薄膜
抵抗素子の平面図(a)と断面図(b)である。
【図4】本発明の薄膜抵抗素子を用いたインクジェット
記録ヘッドIJHの一部の斜視図及び薄膜抵抗素子付近
の断面図である。
【図5】インクジェット記録ヘッドIJHが組み込まれ
るインクジェットカートリッジIJCの構造説明図であ
る。
【図6】インクジェットカートリッジIJCを、図7に
示すインクジェット記録装置IJRAのキャリッジHC
に組み付けた様子を示す図である。
【図7】インクジェット記録装置IJRAの全体図であ
る。
【図8】本発明の薄膜抵抗素子において保護膜の変形が
発生しにくい理由を示す図である。
【図9】従来の薄膜抵抗素子の平面図(a)と2方向の
断面図(b),(c)である。
【図10】従来の薄膜抵抗素子の保護膜変形の様子を示
す図である。
【図11】従来の薄膜抵抗素子の保護膜変形の様子を示
す図である。
【符号の説明】
1 薄膜抵抗素子(全体) 2 発熱部分 3 電極(共通電極) 4 電極(選択電極) 5 素子支持体 6 下部層 7 発熱抵抗層(発熱抵抗体) 8 保護膜(又は第1保護膜) 9 第3保護膜 10 第2保護膜 11 熱発生部 12 感光性ドライフィルム 13 剥離部 14 絶縁層 20 液流路 21 共通液室 22 天井板 23 吐出口 24 インク流路壁 25 インク供給口 26 配線基板 27 パッド 28 支持体 29 押えバネ 30 押えバネ前だれ部 31 支持体28の穴 32 インクタンクITの位置決め突起 33,36,37 インクタンクITの位置決め且つ
熱融着保持用穴 34,35 インクタンクITの位置決め且つ熱融着
保持用突起 38,39 キャリッジHCに対する位置決め突起 40 インク供給管 41 インク供給管貫通穴 42 支持体28の凹部 43,44 平行溝 45 蓋 46 インク供給部材 47 インク導管 48 封止ピン 49 パッキン 50 フィルター 51,52 支持体28の穴 53 インクジェットカートリッジIJC 54 インク吸収体 55 蓋部材 56 インク供給口 57 リブ 58,59 部分リブ 60 大気連通口 61 撥液材 62 大気圧供給空間 63 ツバ 64 スリット 65 インク供給部材の上面部 66 インク供給部材の下面部 67 インクタンクITの屋根部の端部 68 インクジェット記録ヘッドIJHの側端部 69 インクジェットカートリッジIJCの爪 100 キャリッジHCの前板 101 キャリッジHCに対する抜け止め 102 パッド 103 フレキシブルシート 104 電気接続用支持板 105 位置決め用フック 106 位置決め用突出面 107 補強用リブ 108 フック側の位置決め面 109 固定軸 110 90°のフック面 200 プラテンローラ 202 紙押え板 204 リードスクリュー 205 螺旋溝 206 キャリッジHCのレバー 207,208 フォトカプラ 209,211 駆動力伝達ギア 212 吸引開始レバー 213 駆動モータ 215 キャップ内吸引機構 216 キャップ支持部材 217 クリーニングブレード 218 本体支持板 219 ブレード移動部材 220 カム 222 キャップ 223 キャップ内開口 P 記録媒体 L インクジェットカートリッジIJC装着時の前面
位置

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つ以上の発熱抵抗体の上部に、電気絶
    縁体からなる保護膜を有する薄膜抵抗素子において、発
    熱抵抗体の熱膨張率を1としたとき、該発熱抵抗体に挟
    まれる絶縁体領域の熱膨張率が0.50以上2.0以下
    であることを特徴とする薄膜抵抗素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発熱抵抗体に挟まれる絶
    縁体領域が、熱膨張率の異なる2種類以上の材料の混合
    物であることを特徴とする薄膜抵抗素子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の発熱抵抗体に挟ま
    れる絶縁体領域の熱膨張率が、該発熱抵抗体の熱膨張率
    を1としたとき、0.67以上1.5以下である薄膜抵
    抗素子。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の発熱抵抗体に挟ま
    れる絶縁体領域の熱膨張率が、該発熱抵抗体の熱膨張率
    を1としたとき、0.77以上1.3以下である薄膜抵
    抗素子。
  5. 【請求項5】 前記発熱抵抗体が、HfB2 である請求
    項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜抵抗素子。
  6. 【請求項6】 前記保護膜がSiO2 である請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の薄膜抵抗素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の薄
    膜抵抗素子とインクを吐出するためのインク流路を有
    し、前記薄膜抵抗素子を用いてインクを加熱することに
    よって該インクを吐出することを特徴とするインクジェ
    ットヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のインクジェットヘッドを
    搭載したインクジェット記録装置。
JP4342622A 1992-12-22 1992-12-22 薄膜抵抗素子及びインクジェット記録装置 Pending JPH06196303A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112039489A (zh) * 2020-01-22 2020-12-04 中芯集成电路(宁波)有限公司 一种薄膜压电声波滤波器及其制造方法
CN112039491A (zh) * 2020-03-31 2020-12-04 中芯集成电路(宁波)有限公司 一种薄膜压电声波滤波器及其制造方法

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