JPH06200245A - 誘電体被覆物およびその製造方法 - Google Patents

誘電体被覆物およびその製造方法

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JPH06200245A
JPH06200245A JP4360610A JP36061092A JPH06200245A JP H06200245 A JPH06200245 A JP H06200245A JP 4360610 A JP4360610 A JP 4360610A JP 36061092 A JP36061092 A JP 36061092A JP H06200245 A JPH06200245 A JP H06200245A
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dielectric
phosphor
alkoxide
coating
barium titanate
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JP4360610A
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Takashio Rai
高潮 頼
Kiyoshi Inui
喜好 乾
Hiroshi Tada
裕志 多田
Takamasa Yokote
隆昌 横手
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Toyo Aluminum KK
Original Assignee
Toyo Aluminum KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 例えば硫化亜鉛等からなる蛍光体に、高誘電
率を有し且つ結晶構造をなす誘電体を被覆させてなる誘
電体被覆物およびその製造方法を提供する。 【構成】 この誘電体被覆物は、基体となる硫化亜鉛粉
末を、強誘電体であり、且つ結晶構造をなすチタン酸バ
リウムの緻密な皮膜で被覆してなるものである。この被
覆物は、(1)ジプロポキシバリウムおよびチタンテト
ライソプロポキシドをイソプロピルアルコールに溶解さ
せてアルコキシド液を作り、(2)その液を約50℃に
保ちながら、硫化亜鉛粉末を十分に分散させ、(3)所
定量の蒸留水を滴下する、ことにより得られる。 【効果】 蛍光体の特性を損なうことなく、蛍光体に結
晶性誘電体を100℃以下で被覆させることができるの
で、蛍光体の発光輝度と寿命の何れも飛躍的に増大させ
ることができるとともに、工業的にも量産可能であり、
実用価値が極めて大である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属のアルコキシドを
溶媒に溶解させてなる溶液中において基体に誘電体を被
覆することにより得られる誘電体被覆物およびその製造
方法に関し、例えばEL(エレクトロルミネセンス)素
子発光体として用いられる硫化亜鉛等の蛍光体をチタン
酸バリウム等の誘電体で被覆処理する際に有用な技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子回路素子であるコンデンサの材料と
して知られているチタン酸バリウム(BaTiO3)な
どのセラミックス誘電体は、一般に、チタン酸バリウム
等の粉末を成型機で所望の形状に成形した後、結晶化さ
せるため1000℃以上の温度下で焼成することにより
製造される。このようなセラミック誘電体は、誘電率が
大きい(例えば、チタン酸バリウムの誘電率は常温で1
600である。)という特性を有しているのであるが、
上述した高温下における焼結プロセスによらずに、その
結晶をより常温に近い温度下で容易に成長させることが
できれば、他の物質を基体としてその上にセラミック誘
電体を積層させたり被覆させたりすることが容易に行え
る。
【0003】他の物質に被覆させる場合の好適な一例と
して、表示機器のバックライトとして使用されているE
L素子発光体の硫化亜鉛(ZnS)等からなる蛍光体を
チタン酸バリウム等で被覆することが考えられる。その
理由は、EL素子発光体においては、10〜20の誘電
率を有するバインダに蛍光体を分散させることにより、
バインダが絶縁破壊を起こさない程度に発光体に印加す
る電界を高めているが、近時、表示機器の軽量化やカラ
ー化にともない、より高輝度の光を発せさせるために発
光体に印加する電界がより高くなり、従来のバインダの
みでは対応しきれないからである。
【0004】また、蛍光体をチタン酸バリウムで被覆処
理することによる保護膜としての有効性が特開昭58−
150294号公報において教示されている。即ち、一
般に、蛍光体は化学的安定性、特に耐湿性に劣るため、
EL素子発光体を大気に長時間さらしておくと、蛍光体
の表面が次第に劣化して、発せられる光の輝度が低下す
る。従って、蛍光体を緻密で化学的安定な皮膜で被覆す
ることにより、蛍光体の耐湿性が改善され、長寿命化が
図られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭58−150294号公報においては、チタン酸バ
リウムの結晶性およびその被覆方法に付いては何等記載
されておらず、単に保護膜としての有効性に触れ、蛍光
体の長寿命化の可能性を示唆したに過ぎない。従って、
現状の技術では、300℃以上の温度下において不純物
の析出や酸化等が起こる硫化亜鉛などからなる基体上
に、チタン酸バリウム等の結晶を300℃以下で成長さ
せることは極めて困難であり、硫化亜鉛などの蛍光体で
は、より高輝度でより化学的な安定性を望むことができ
ないという問題点があった。
【0006】そこで、本発明は、より高輝度な光を発
し、且つより化学的に安定である蛍光体を得るためにな
されたもので、例えば硫化亜鉛等からなる基体に、高誘
電率を有し且つ結晶構造をなす誘電体を被覆させてなる
誘電体被覆物およびその製造方法を提供することを目的
としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、蛍光体から発せられる光の輝度のさら
なる向上に付いては、例えば強誘電体の結晶皮膜で蛍光
体を被覆することにより、また蛍光体の化学的安定性の
さらなる向上に付いては、化学的安定で緻密な皮膜で蛍
光体を被覆することにより、夫々達成することができる
ことに着目し、蛍光体を基体としてその表面を、強誘電
体で且つ結晶構造をなすチタン酸バリウムなどで被覆す
る研究を続けてきた。
【0008】本発明に係る誘電体被覆物は、カルシウム
(Ca)、ストロンチウム(Sr)、およびバリウム
(Ba)よりなる第1群から選ばれた少なくとも一種の
金属の酸化物と、チタン(Ti)およびジルコニウム
(Zr)よりなる第2群から選ばれた少なくとも一種の
金属の酸化物とからなる複合酸化物の結晶性誘電体で、
基体を被覆したものである。
【0009】具体的に、誘電体は、強誘電体であるチタ
ン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム(SrTi
3)と高誘電体であるジルコン酸バリウム(BaZr
3)などである。誘電体が、例えばバリウム、ストロ
ンチウムおよびチタンを含む複合酸化物(BaTiO3
・SrTiO3)のように、3種以上の金属元素を含む
酸化物であってもよい。一般に、これらの誘電体は緻密
な結晶構造をなしている。
【0010】また、基体には、特に限定しないが、硫化
亜鉛や硫化カルシウム(CaS)、或はそれらをマンガ
ン(Mn)または銅(Cu)などで付活したものなど、
周知の蛍光体が含まれる。さらに、基体は蛍光体に限ら
ないのはいうまでもない。
【0011】上述した誘電体被覆物を得るために、本発
明に係る誘電体被覆物の製造方法は、カルシウム、スト
ロンチウム、およびバリウムよりなる第1群から選ばれ
た少なくとも一種の金属のアルコキシドと、チタンおよ
びジルコニウムよりなる第2群から選ばれた少なくとも
一種の金属のアルコキシドとを溶媒に溶解させてなるア
ルコキシド液を調製し、そのアルコキシド液に基体を分
散させた後、アルコキシド液に水を滴下して基体の表面
に結晶性誘電体を被覆させ、その被覆した基体を乾燥さ
せるようにした。
【0012】具体的に、第1群から選ばれた金属のアル
コキシドは、カルシウム、ストロンチウム、またはバリ
ウムの、メトキシド(CH3O−)、エトキシド(C2
5O−)、プロポキシド(C37O−)、またはブトキ
シド(C49O−)などである。それらの一例として、
ジプロポキシバリウム(Ba(OC372)が挙げら
れる。
【0013】また、第2群から選ばれた金属のアルコキ
シドは、チタンまたはジルコニウムの、メトキシド、エ
トキシド、プロポキシド、またはブトキシドなどであ
る。それらの一例として、チタンテトライソプロポキシ
ド(Ti(OC374)が挙げられる。
【0014】溶媒は、エチルアルコール(C26O)、
プロピルアルコール(C38O)、トルエン(C
78)、ヘキサン(C614)、またはキシレン(C8
10)などの有機溶剤である。それらの一例として、イソ
プロピルアルコール((CH32CHOH)が挙げられ
る。
【0015】上述した各金属のアルコキシドを有機溶剤
に溶解させてなるアルコキシド液は一般に安定性に欠け
るので、誘電体の被覆処理の直前に有機溶剤に各金属の
アルコキシドを溶解させてアルコキシド液を調製するの
が好ましい。この際、基体上に析出させる誘電体の平均
膜厚(即ち、誘電体の被覆量であり、アルコキシド液に
おける各金属のアルコキシドの濃度に依存している。)
が1〜500nm、好ましくは1〜100nmとなるよう
に、各金属のアルコキシドの濃度を調整する。平均膜厚
が上記範囲である理由は、平均膜厚が1nmよりも小さい
と、十分な印加電界向上効果および保護効果(化学的安
定性)が得られず、一方、上限よりも大きいと、化学的
安定性が増す反面、皮膜の光透過性の低下により発せら
れる光の輝度が低下する虞があるからである。
【0016】また、アルコキシド液の安定性を増すため
に、アセチルアセトン(C582)やアミン類などの
安定化剤を使用することは任意であるが、その安定化剤
により基体上への複合酸化物(誘電体)の良質の結晶析
出が阻害される虞があるので、望ましくは安定化剤を使
用しないのがよい。
【0017】アルコキシド液に滴下する水の量は、例え
ば、第1群の金属のアルコキシドおよび第2群の金属の
アルコキシドを各々1モルずつから、1モルの複合酸化
物を生成する場合には、化学量論上は3モル必要である
が、本発明においては析出促進のためその1〜10倍に
あたる3〜30モル必要である。具体的に例示すると、
1モルのジプロポキシバリウムおよび1モルのチタンテ
トライソプロポキシドを溶解させてなるアルコキシド液
に、10モルの水を加える。なお、第1群から選ばれた
金属の炭酸塩(何れも水に対して難溶性である。)の生
成を防ぐため、脱イオン処理を施した高純度の蒸留水を
使用するのが好ましい。
【0018】基体に誘電体を被覆させる際のアルコキシ
ド液の温度は、上述した各金属のアルコキシドが分解す
る温度よりも高くならなければ任意であるが、アルコキ
シド液に水を加えることを考慮すると、好ましくは0〜
100℃であり、より好ましくは20〜60℃である。
その理由は、液温がこの範囲内であれば、滴下した水の
固化および気化を防ぐことができ、被覆処理が安定して
継続的に行われるからである。
【0019】被覆処理の終了後は、濾過により誘電体被
覆物とアルコール残液とを分離し、誘電体被覆物を例え
ば50〜200℃の温度下で乾燥させる。
【0020】
【作用】第1群の金属(M1とする。)のアルコキシド
(M1(OR)2)と、第2群の金属(M2とする。)の
アルコキシド(M2(OR)4)とを溶媒に溶解させてな
るアルコキシド液に、基体を分散させた後、水を滴下す
ることにより、次式の反応式 M1(OR)2+M2(O
R)4+3H2O=M123+6HORで表される反応
(加水分解反応および重合反応)が起こり、基体の表面
にM123で表される結晶性の複合酸化物(誘電体)
が析出する。そして、その複合酸化物により基体が被覆
される。上式において、Rで表したものはアルキル基で
ある。
【0021】その一例を挙げると、ジプロポキシバリウ
ムとチタンテトライソプロポキシドからなるアルコキシ
ド液に、硫化亜鉛よりなる蛍光体を分散させ、さらに水
を加えることにより、次式で表される反応が起こり、蛍
光体が結晶性のチタン酸バリウムで被覆される。Ba
(OC372+Ti(OC374+3H2O=BaT
iO3+6C38Oこの反応は、0〜100℃の温度、
例えば約50℃の温度下において行われる。
【0022】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて、本発明
に係る誘電体被覆物およびその製造方法に付いて説明す
る。なお、本発明はこの実施例により何等限定されるも
のではないのはいうまでもない。
【0023】ジプロポキシバリウムおよびチタンテトラ
イソプロポキシドをイソプロピルアルコールに夫々0.
2モル/lの濃度となるように溶解させ、その液の還流
温度(約80℃)以下の温度において約1時間混合して
アルコキシド液を作った。この液を(1)1.1ml、
(2)5.4ml、(3)10.8mlの各量ずつ取り出
し、夫々、イソプロピルアルコールで希釈して濃度調整
を行い、約60mlの希釈溶液を作った。
【0024】続いて、上記(1)〜(3)の各希釈溶液
を夫々約50℃に保ち、それら各液にマンガンで付活さ
れた硫化亜鉛粉末を50g混入させ、約10分間攪拌し
て硫化亜鉛粉末を十分に分散させた。
【0025】しかる後、蛍光体を分散させてなる上記
(1)〜(3)の各希釈溶液に攪拌しながら蒸留水を滴
下した。この際、蒸留水の量(モル数)は、上記(1)
〜(3)の各希釈溶液中のジプロポキシバリウム(また
はチタンテトライソプロポキシド)のモル数の10倍に
相当する量である。具体的に蒸留水の量を示すと、上記
(1)の希釈溶液に付いては約0.04ml、上記(2)
の希釈溶液に付いては約0.2ml、上記(3)の希釈溶
液に付いては約0.4mlである。
【0026】以上のようにして、上記(1)〜(3)の
各希釈溶液に付いて、硫化亜鉛粉末にチタン酸バリウム
を被覆させた後、濾過してその誘電体被覆物と有機溶媒
とを分離した。そして、誘電体被覆物を洗浄した後、例
えば80℃の温度下で約1時間乾燥させることにより、
上記(1)、(2)および(3)の各希釈溶液から夫々
処理粉末ZB01、ZB05およびZB10を得た。
【0027】以上の3種の処理粉末ZB01、ZB05
およびZB10に付いて、結晶化したチタン酸バリウム
の形成を確認することを目的として、赤外フーリエ変換
分光分析(FT−IR)を行った。ZB01、ZB05
およびZB10の赤外吸収スペクトルを、夫々、図1、
図2および図3に示す。なお、比較のため、硫化亜鉛の
未処理粉末(上述した被覆処理を施していない粉末)の
赤外吸収スペクトルを図4に示し、また、チタン酸バリ
ウムのみの赤外吸収スペクトルを図5に示す。図1〜図
3と図4〜図5とを比較すると、図1〜図3には、結晶
化したチタン酸バリウムに特有の吸収ピーク(例えば、
矢印で指し示す、波数1440cm-1付近におけるピー
ク)が認められる。従って、ZB01、ZB05および
ZB10の処理粉末には、結晶化したチタン酸バリウム
皮膜が形成されていることが確認された。
【0028】また、チタン酸バリウム皮膜の被覆状態を
観察することを目的として、エレクトロンプローブ微量
分析(EPMA)装置を用いて、電子顕微鏡による外観
観察とともにバリウムに付いての面分析を行った。ZB
01の電子顕微鏡写真像およびその像と同一領域におけ
るバリウムの分布状態を、夫々、図6および図7に示
す。ZB05、ZB10に付いても同様に、電子顕微鏡
写真像およびバリウムの分布状態を、夫々、図8および
図9、図10および図11に示す。なお、面分析に付い
ては、写真の輝点がバリウムの分布位置を表している。
図7、図9および図11より、バリウムが一様に分布し
ているとともに、ZB01、ZB05、ZB10の順に
分布状態が密になっているのが認められる。従って、均
一なチタン酸バリウム皮膜が形成されていることが確認
された。また、被覆処理を施す際に用いるアルコキシド
液の希釈溶液の濃度と、チタン酸バリウムの析出量との
間に相関関係が認められ、希釈溶液の濃度を高くする
と、チタン酸バリウムの析出量が増大することが確認さ
れた。
【0029】上述したEPMAの分析結果を検証するこ
とを目的として、チタン酸バリウム皮膜の酸素分析結果
より、皮膜の被覆量を測定した。得られた被覆量と硫化
亜鉛粉末の平均粒径(約30μmである。)とから、チ
タン酸バリウム皮膜の平均膜厚を算出した。その結果を
表1に示す。同表より、アルコキシド液の希釈溶液の濃
度と、チタン酸バリウムの析出量との間には略比例関係
が成立していることが認められた。これは、EPMAの
分析結果とも合致している。
【表1】
【0030】さらに、上述した製造プロセスにより、硫
化亜鉛粉末の表面にチタン酸バリウムの結晶が析出する
ことは、X線回折(XRD)による分析でも確認され
た。チタン酸バリウムで被覆処理をした処理粉末の回折
パターンを図12に示す。分析に供した処理粉末は、回
折パターンをより明確にするため、そのチタン酸バリウ
ム被覆量を12.0重量%としている。なお、比較のた
め、硫化亜鉛の未処理粉末の回折パターンを図13に示
し、また、チタン酸バリウムのみの回折パターンを図1
4に示す。図12には、硫化亜鉛のピークとともに結晶
化したチタン酸バリウムのピーク(例えば、矢印で指し
示す、回折角2θが22.1度、31.2度、38.4
度、45.0度および65.2度付近におけるピーク)
が認められる。
【0031】次に、上述した処理粉末ZB01、ZB0
5およびZB10を、夫々、400mgずつ100gのヒ
マシ油に十分に分散させ、それらを背面電極となるアル
ミニウム板上に載せ、さらにその上にITO(酸化イン
ジウムと酸化スズの化合物)透明電極付きのガラス板を
載せて、3種のEL素子発光体を形成した。
【0032】そして、処理粉末ZB01、ZB05およ
びZB10から発せられる光の輝度を評価することを目
的として、ITO電極とアルミニウム板との間に、40
0Hzの交流電界を印加し、電圧を100〜200Vまで
変化させて、輝度を測定した。その結果を図15に示
す。なお、比較例として、硫化亜鉛の未処理粉末に付い
ても、処理粉末と同様にして発光体を形成し、その輝度
を測定した。この結果も図15に併せて示す。同図から
わかるように、処理粉末ZB01、ZB05およびZB
10における輝度は、何れも未処理粉末における輝度よ
りも高輝度であった。
【0033】また、処理粉末ZB01、ZB05および
ZB10の化学的安定性を評価することを目的として、
ITO電極とアルミニウム板との間に、120Vの電圧
で4kHzの交流電界を連続して印加し、発せられる光の
輝度が、電圧の印加開始時における初期輝度の1/2に
なるまでの時間(即ち、半減寿命)を測定した。その結
果を表2に示す。なお、比較例として、硫化亜鉛の未処
理粉末に付いても、処理粉末と同様にして半減寿命を測
定した。この結果も表2に併せて示す。同表より、処理
粉末ZB01、ZB05およびZB10は、未処理粉末
よりも1.5〜2倍程度長寿命である、即ち極めて化学
的に安定しているということが確認された。
【表2】
【0034】なお、上記実施例においては、誘電体を被
覆させる基体として硫化亜鉛よりなる蛍光体を用いてい
るが、これに限定されるものではなく、硫化亜鉛以外の
蛍光体を基体として用いてもよいし、蛍光体以外のもの
を基体として用いることもできる。
【0035】また、基体に付いては、粉末に限らず、任
意の大きさで、任意の形状のものを用いることができ
る。
【0036】さらに、上記実施例においては、硫化亜鉛
粉末にチタン酸バリウムを被覆させているが、これに限
定されるものではなく、チタン酸ストロンチウムなどの
他の誘電体を被覆させてもよいのはいうまでもない。
【0037】
【発明の効果】本発明に係る誘電体被覆物によれば、例
えば硫化亜鉛などの耐湿性に劣る蛍光体を、強誘電体で
あり、且つ緻密な結晶構造のチタン酸バリウムなどで被
覆しているため、そのような被覆処理を施していない蛍
光体に比べて、耐湿性が向上し、著しく化学的安定性が
向上するとともに、発せられる光の輝度もより高輝度に
なる。
【0038】また、本発明に係る誘電体被覆物の製造方
法によれば、結晶性誘電体の被覆処理をより低温(10
0℃以下)で行うため、例えば300℃以上ではその特
性が損なわれる虞のある硫化亜鉛に、その特性を損なう
ことなく、結晶性誘電体を被覆させることができる。
【0039】さらに、誘電体の被覆処理を、溶液中に硫
化亜鉛粉末などの基体を分散させることにより行うの
で、高価で特殊な装置や制御方法等を必要としないだけ
でなく、そのメンテナンス等も極めて容易であり、低コ
ストで量産性に優れる。
【0040】以上述べたように、例えば、本発明をEL
素子発光体に使用される蛍光体に適用することにより、
蛍光体の発光輝度と寿命の何れも飛躍的に増大させるこ
とができるとともに、工業的にも量産可能であり、従っ
て、本発明は実用価値が極めて大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る誘電体被覆物である処理粉末ZB
01の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図2】本発明に係る誘電体被覆物である処理粉末ZB
05の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図3】本発明に係る誘電体被覆物である処理粉末ZB
10の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図4】硫化亜鉛の未処理粉末の赤外吸収スペクトルを
示す図である。
【図5】チタン酸バリウムの赤外吸収スペクトルを示す
図である。
【図6】本発明に係る誘電体被覆物である処理粉末ZB
01の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(倍率×100
0)である。
【図7】本発明に係る誘電体被覆物である処理粉末ZB
01の粒子構造におけるバリウムの分布状態を示すEP
MAの面分析写真である。
【図8】本発明に係る誘電体被覆物である処理粉末ZB
05の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(倍率×100
0)である。
【図9】本発明に係る誘電体被覆物である処理粉末ZB
05の粒子構造におけるバリウムの分布状態を示すEP
MAの面分析写真である。
【図10】本発明に係る誘電体被覆物である処理粉末Z
B10の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(倍率×100
0)である。
【図11】本発明に係る誘電体被覆物である処理粉末Z
B10の粒子構造におけるバリウムの分布状態を示すE
PMAの面分析写真である。
【図12】本発明に係る誘電体被覆物である処理粉末の
X線回折パターンを示す図である。
【図13】硫化亜鉛の未処理粉末のX線回折パターンを
示す図である。
【図14】チタン酸バリウムのX線回折パターンを示す
図である。
【図15】本発明に係る誘電体被覆物である処理粉末Z
B01、ZB05、ZB10、および硫化亜鉛の未処理
粉末を用いた各EL素子発光体における印加電圧と発せ
られる光の輝度との関係を示す特性図である。
フロントページの続き (72)発明者 多田 裕志 大阪府大阪市中央区久太郎町三丁目6番8 号 東洋アルミニウム株式会社内 (72)発明者 横手 隆昌 大阪府大阪市中央区久太郎町三丁目6番8 号 東洋アルミニウム株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウム、ストロンチウム、およびバ
    リウムよりなる第1群から選ばれた少なくとも一種の金
    属の酸化物と、チタンおよびジルコニウムよりなる第2
    群から選ばれた少なくとも一種の金属の酸化物とからな
    る複合酸化物の結晶性誘電体で、基体を被覆したことを
    特徴とする誘電体被覆物。
  2. 【請求項2】 前記誘電体はチタン酸バリウムであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の誘電体被覆物。
  3. 【請求項3】 前記基体は蛍光体であることを特徴とす
    る請求項1または2記載の誘電体被覆物。
  4. 【請求項4】 前記蛍光体は硫化亜鉛であることを特徴
    とする請求項3記載の誘電体被覆物。
  5. 【請求項5】 カルシウム、ストロンチウム、およびバ
    リウムよりなる第1群から選ばれた少なくとも一種の金
    属のアルコキシドと、チタンおよびジルコニウムよりな
    る第2群から選ばれた少なくとも一種の金属のアルコキ
    シドとを溶媒に溶解させてなるアルコキシド液を調製
    し、そのアルコキシド液に基体を分散させた後、アルコ
    キシド液に水を滴下して基体の表面に結晶性誘電体を被
    覆させ、その被覆した基体を乾燥させることを特徴とす
    る誘電体被覆物の製造方法。
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