JPH0620797A - 高周波線形加速器のビームエネルギー制御方法 - Google Patents

高周波線形加速器のビームエネルギー制御方法

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JPH0620797A
JPH0620797A JP17303892A JP17303892A JPH0620797A JP H0620797 A JPH0620797 A JP H0620797A JP 17303892 A JP17303892 A JP 17303892A JP 17303892 A JP17303892 A JP 17303892A JP H0620797 A JPH0620797 A JP H0620797A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 出射ビームのエネルギーを可変にできるよう
にして、線形加速器をイオン注入装置等に適用できるよ
うにすることである。 【構成】 ビーム加速軸に沿って、入射側から出射側ま
で配置された複数のセルにおける同期位相をセル数が増
加するつれて、連続的或いは不連続的に増加するように
構成された線形加速器。高周波電圧を変化させれば、出
射ビームのエネルギーは広い範囲にわたって制御でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオンビームのような
荷電粒子ビームを加速する高周波線形加速器に関し、特
に、高周波線形加速器のビームエネルギー制御方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】この種、イオンビームを加速するための
イオン加速器のうち、高周波を用いた線形加速器とし
て、従来、アルバレ型線形加速器、ヴィデレー型線形加
速器、IH型線形加速器等のドリフトチューブ型線形加
速器と、RFQ型線形加速器とが知られている。
【0003】図1に示されたRFQ型線形加速器は両端
をプレートによって閉止された導電性外筒部10を備
え、導電性外筒部10の中心軸に沿ってビーム加速軸が
規定されている。両端のプレートの中央部には、ビーム
通過孔が設けられている。また、導電性外筒部10内に
は、ビーム加速軸を囲むように、4枚の導電性翼部11
a乃至11dが90度の角度間隔をおいて位置づけられ
ている。図1では、イオンビームは図の左側のプレート
から入射し、右側のプレートを通して出射するものとす
る。
【0004】各翼部11a〜11dのビーム加速軸側に
は、ビーム加速軸に沿って波形が形成されており、この
周期は入射側から出射側へ向かって次第に長くなってい
る。この波形は図2に示すように、互いに対向する位
置、即ち、180度離れた位置にある翼部、例えば、1
1aと11c、或いは、11bと11dにおいて同一の
位相を持っている。他方、互いに隣接する翼部、例え
ば、11aと11bにおける波形は180度の位相差を
有している。上記した導電性外筒部10と翼部によって
構成されるキャビティ内に、所定の周波数の高周波電力
が導入されると、対向する2つの翼部には同相の高周波
電圧が印加され、隣接する翼部には互いに逆相の高周波
電圧が印加されと、ビーム加速軸に沿って4重極の加速
集束電場が形成される。
【0005】この構成では、波形の半周期が、加速構造
の繰り返し単位である単位セルを形成している(図2参
照)。
【0006】アルバレ型線形加速器は、図3に示すよう
に、RFQ型線形加速器と同様に、両端をプレートによ
り閉止された導電性外筒部10aを備え、その中心軸に
沿って、ビーム加速軸が規定されている。導電性外筒部
10aの内面には、複数のステム12が間隔をおいてビ
ーム加速軸方向に突出しており、且つ、各ステム12は
直線に沿って並べられている。この場合、各ステム12
は、イオンビームの入射側から出射側に向かって、ステ
ム12間の間隔が次第に広がるように、配置されてい
る。
【0007】また、ステム12には、それぞれドリフト
チューブと呼ばれる電極13が取り付けられており、各
電極13内には、4極磁石がビーム加速軸を囲むよう
に、設けられている。これら導電性外筒部10a、ステ
ム12、及び電極によって構成されるキャビティ内に所
定の周波数の高周波電力が導入されると、隣り合う電極
間に、高周波電圧が印加されビーム加速軸上の荷電粒子
が加速される。このアルバレ型線形加速器では、図4に
示すように、隣り合う電極中心位置によって挟まれた領
域が単位セルと呼ばれる。
【0008】IH型線形加速器は、図5に示すように、
図1及び図3と同様に、両端をプレートにより閉止され
た導電性外筒部10bを備え、両端のプレートの中央部
にはビーム通過孔が設けられている。導電性外筒部10
b内には、互いに対向する位置から一対の導電性金属板
15a及び15bがビーム加速軸方向に突出しており、
且つ、導電性金属板15a及び15bには、交互にステ
ム16a及び16bがそれぞれ取り付けられている。更
に、これらステム16a及び16bは4極磁石を内蔵し
た電極(ドリフトチューブ)17a及び17bとそれぞ
れ電気的に接続されている。これら電極17a及び17
bの長さや、電極間隙は出射側に向かうにしたがって次
第に長くなるように構成されている。これら導電性外筒
部10b、電極17a、17b、導電性金属板15a、
15b、及びステム16a、16bによって構成される
キャビティ内に所定の周波数の高周波電力が導入される
と、隣り合う電極間に高周波電圧が印加され、ビーム加
速軸上のイオンビームは順次加速される。また、この加
速器においても、図6に示すように、隣り合う電極中心
位置によって挟まれた領域が単位セルと呼ばれる。
【0009】ヴィデレー型線形加速器に関する構造の説
明は省略するが、電極とステムの相互接続関係と単位セ
ルについては、IH型線形加速器の場合と同一である。
【0010】これら線形加速器は、大きな値を有するイ
オンビームを連続的に加速できるという利点を有してい
るが、線形加速器には、出射側からの出射ビームのエネ
ルギーが一定であるという制約が有る。このため、線形
加速器は出射エネルギーを変化させる必要のない物理実
験装置、或いは、シンクロトロン入射器等、極めて限ら
れた用途にしか、使用されていないのが実情である。
【0011】一方、これら線形加速器を、例えば、半導
体に対してイオンを注入するイオン注入装置に応用する
ことが考えられている。このようなイオン注入装置で
は、異なるエネルギーのイオンを半導体に注入できるこ
とが不可欠である。このように、出射エネルギーを連続
的に変化させることが、半導体にイオンを注入するため
に不可欠であるから、上記したような線形加速器におい
ても出射エネルギーを連続的に可変にする技術が種々提
案されている。
【0012】例えば、共振周波数を可変にすることによ
り、出射エネルギーを変化させ得るヴィデレー型線形加
速器が理化学研究所において研究され、実用化されてい
る。また、RFQ型線形加速器においても類似の試みが
進められている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、共振周
波数を変化させるこれら方法は、線形加速器の共振周波
数、及び、高周波電力源の周波数をも幅広く変化させる
ための回路を設ける必要があり、このため、線形加速器
の構成は複雑化する。したがって、この方法により、線
形加速器をイオン注入装置等に適用できる汎用機器とし
て実用化することは、実際上困難である。
【0014】更に、RFQ型線形加速器においては、4
枚の翼部に印加される高周波電圧を変化させることによ
り、出射エネルギーをステップ状に変化させることも提
案されている。しかしながら、このように、従来のRF
Q型では、高周波電圧を低下させた場合、出射エネルギ
ーがステップ状に大きく低下するため、出射エネルギー
を連続可変することは不可能であるだけでなく、変化す
る出射エネルギーを任意に選べないという不都合が有
る。
【0015】一方、従来のドリフトチューブ型線形加速
器で、高周波電圧を変化させた場合には、荷電粒子を所
定のエネルギーに加速するか、全く加速されずに入射エ
ネルギーのまま出射されるかのいずれかである。以下
に、従来のドリフトチューブ型線形加速器で高周波電圧
を変化させた場合の加速特性の変化に関して、詳細に説
明する。
【0016】高周波線形加速器では、加速特性をあらわ
す代表的パラメータとして同期位相が知られている。同
期位相とは、高周波位相に完全に同期している粒子、換
言すれば、加速されている荷電粒子のうち、全セルにわ
たって各セルごとの速度がそのセルにおける高周波の位
相速度に一致している粒子(これを同期粒子という)が
電極間隙を通過するときの高周波位相のことである。後
述する位相安定性の観点から、荷電粒子を加速するため
には、この同期位相Φsは−90度と0度との間の範囲
に設定しなければならない。従来のドリフトチューブ型
線形加速器では、同期位相Φs=25〜30度の間の範
囲内で、全セルにわたって一定の値となるように、電極
長、電極間長、高周波電圧等が規定されている。このよ
うに構成されたドリフトチューブ型線形加速器に所定の
周波数及び所定の電力の高周波が導入されると、各セル
の電極間隙に高周波電圧Vo(n)が印加される。同期
粒子がn番目セルの電極間隙を通過するときのエネルギ
ー利得ΔWs(n)は、数1によって与えられる。
【0017】
【数1】
【0018】数1において、Tはトランジット・タイム
・ファクタ、eは荷電粒子の電荷数、Voは電極間の高
周波電圧である。
【0019】ここで、同期粒子の前後に位置する荷電粒
子が漸次電極間隙を通過する際の挙動を図7に従って説
明する。同期粒子より僅か前方に位置する粒子Aがn番
目セルの電極間隙を通過するときの高周波位相をΦ
A (n) とすると、数2が成立する。
【0020】
【数2】
【0021】したがって、粒子Aのエネルギー利得ΔW
A (n) は数3によって与えられる。
【0022】
【数3】
【0023】数3から明らかなように、n番目セルでの
粒子Aのエネルギー利得ΔWA (n)は同期粒子のエネル
ギー利得ΔWs(n)より小さいため、粒子Aは各セル
での加速を繰り返すにつれて同期粒子に接近する。
【0024】この粒子Aは同期粒子より速度が遅いため
にやがて同期粒子の後方に位置することになる。
【0025】一方、同期粒子より僅かに後方に位置する
粒子Bがn番目セルの電極間隙を通過するときの高周波
位相をΦB (n) とすると下記の数4が成立する。
【0026】
【数4】
【0027】したがって粒子Bのエネルギー利得ΔWB
(n) は、下記の数5であらわされる。
【0028】
【数5】
【0029】数5から明らかなように、n番目セルでの
粒子Bのエネルギー利得ΔWB (n)は同期粒子のエネル
ギー利得より大きいため、粒子Bは各セルでの加速を繰
り返すにつれて同期粒子に接近する。この粒子Bは同期
粒子より速度が速いため、やがて同期粒子の前方に位置
することになる。
【0030】同期粒子の前後に位置する粒子は、この様
にして、同期位相Φsのまわりを振動しながら、平均と
しては同期粒子と等しいエネルギーに加速される。この
様なエネルギー振動を伴う位相振動はシンクロトロン振
動と呼ばれ、この様な加速の特性が位相安定性と呼ばれ
る。また、同期粒子とのエネルギー差及び位相差を座標
軸とする平面内で表されるシンクロトロン振動の安定領
域は位相安定領域と呼ばれ、同期位相の値に応じて図8
に示すように変化する。すなわち、Φs<0の場合に
は、Φsが0に近づくにつれて位相安定領域が小さくな
る。
【0031】一方、Φs≧0の場合には、同期粒子の後
方に位置する粒子のエネルギー利得が同期粒子のエネル
ギー利得より常に小さくなるため、位相安定領域が存在
せず、荷電粒子ビームを加速することは、不可能であ
る。
【0032】さて、従来のドリフトチューブ型線形加速
器は既述したように、全セルにわたって同期位相Φsが
一定となるように構成されている。ここで、導入する高
周波電力を所定の値から変化させた場合の加速特性の変
化に注目する。高周波電力を所定の値P0 からP1 に変
化させた時、n番目セルの電極間に印加される高周波電
圧が所定の値V0 (n) からV1 (n) になるとすると、V
1 (n) は次の数6で与えられる。
【0033】
【数6】
【0034】数6からも明らかなように、全てのセルで
電極間の電圧が一定の割合で低下する。
【0035】このとき、各セルの同期位相が所定の値Φ
s0からΦs1になるとすると、Φs1はn番目セルでの同期
粒子のエネルギー利得ΔWs(n)が高周波電圧によら
ず一定でなければならないという条件から、次の数7に
したがって変化する。
【0036】
【数7】
【0037】すなわち、高周波電圧を増加させた場合に
は、位相安定領域が増大し、高周波電圧を低下させた場
合には、位相安定領域が減少する。
【0038】いま、V1 (n) =V0 (n) cos Φs0となる
ような高周波電力を導入した場合を考える。数7より、
Φs1=0度となり、全セルで位相安定性がなくなるた
め、荷電粒子ビームは加速されず、入射エネルギーのま
ま出射側に到達する。
【0039】また、V1 (n) <V0 (n) cos Φs0の場合
も同様に全セルで位相安定性がなくなるため、荷電粒子
ビームは加速されない。したがって、従来のドリフトチ
ューブ型線形加速器で高周波電圧V1 (n) を所定の値V
0 (n) から変化させた場合の加速特性は、V1 (n) >V
0 (n) cos Φs0のときには、所定の高周波電圧を印加し
たときと同様に所定のエネルギーまで加速できるが、V
1 (n) ≦V0 (n) cosΦs0のときには、加速されず、入
射エネルギーのまま出射されるという2通りに分かれ、
出射エネルギーを変化させることはできない。
【0040】本発明の目的は、イオンビームの出射エネ
ルギーを極めて容易に連続的又は不連続的な値に変化さ
せることができ、且つ、位相安定性原理を用いた種々の
線形加速器に適用できる高周波線形加速器の出射エネル
ギー制御方法を提供することである。
【0041】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、入射
側、出射側、及び該入射側と出射側との間に配置された
複数のセルとを備え、入射側から入射される荷電粒子ビ
ームを前記各セルの電極に印加される高周波電圧によ
り、位相安定性原理に基づいて順次加速する高周波線形
加速器において、前記各セルの長さ及び電極間の高周波
電圧等によって定まる各セルの同期位相を前記入射側か
ら出射側まで変化させると共に、前記高周波電圧を変化
させることによって、前記荷電粒子の出射エネルギーを
可変にする高周波線形加速器の出射エネルギーの制御方
法が得られる。
【0042】
【作用】本発明では、荷電粒子ビームの入射側から出射
側まで配列された複数のセルにおける同期位相を入射側
から出射側まで順次変化するように予めセル長や高周波
電圧を規定したうえで、導入する高周波電力量を変化さ
せることにより、出射エネルギーを連続的或いは不連続
的に可変にすることができる。
【0043】
【実施例】図9は本発明のドリフトチューブ型線形加速
器への第1の実施例を示す図で、線形加速器に所定の高
周波電力P0 が導入され、各セルの電極間に所定の高周
波電圧V0 (n) が印加されたときのn番目セルでの同期
位相Φs0(n) とビームエネルギーW(n) のセル数nに対
する依存性を各々実線で示している。
【0044】図から明らかなように、本発明のこの実施
例では、従来はセル数によらず一定としている同期位相
をセル数の増加に伴って連続的に増加するように変化さ
せている。具体的に言えば、本発明では、同期位相がこ
のようなセル数に対する依存性を持つように予めセル長
や電極間の高周波電圧等が規定されている。このような
構成で、所定の高周波電力P0 が導入され、各セルの電
極間に所定の高周波電圧V0 (n) が印加された場合に
は、全セルにわたって位相安定性が得られ、荷電粒子ビ
ームは入射エネルギーWinから出射エネルギーWout
加速され、出射される。
【0045】次に、n´番目セルでのビームエネルギー
W(n')で出射する場合の運転方法について図9を用いて
説明する。いま、導入する高周波電力を所定の値P0
らP1 に変化させたときに、各セルの電極間に印加され
る高周波電圧が所定の値V0(n') からV1 (n') に変
化するとする。このとき、n´番目セルでの位相安定性
の変化に注目すると、同期位相Φs1(n')は数8にしたが
って変化する。
【0046】
【数8】
【0047】このため、導入される高周波電力が減少す
るにつれて、同期位相Φs1(n')は徐々に増大し、位相安
定領域が減少する。
【0048】更に、高周波電力P1 をP1 =P0 ( cos
Φs0(n') )2 で与えられる値まで減少させると、cos Φ
s1(n')=0となり、n´番目セルでの位相安定性がなく
なる。このとき、全セルにわたる同期位相は図9に破線
で示すようなセル依存性を示す。すなわち、入射側から
n´番目のセルの間では、セル数の増加に伴って同期位
相が0にまで増加しており、この領域では位相安定性が
得られている。
【0049】一方、n´番目セルから出射側の領域は同
期位相が存在せず、位相安定性のない領域である。した
がって、入射側から入射される荷電粒子ビームは、入射
側からn´番目セルの位相安定領域では加速され、n´
番目セルでのビームエネルギーW(n')に達する。一方、
これ以後の位相安定性のない領域では、荷電粒子ビーム
は加速されず、n´番目セルでのビームエネルギーW
(n')のまま、出射側に到達し、出射される。
【0050】上記の原理に従えば、所定の高周波電力が
導入された時の同期位相が入射側から出射側へとセル数
が増加するに伴って、増加するように構成されたドリフ
トチューブ型線形加速器において、導入する高周波電力
を適切な値に規定することにより、入射側から任意のセ
ルまでを位相安定領域にすると同時に、この任意のセル
移行を位相安定性のない領域にすることができ、この任
意のセルでのビームエネルギーを有する荷電粒子ビーム
を出射側から出射される。
【0051】図10は本発明のドリフトチューブ型線形
加速器への第2の実施例を示す図であり、線形加速器に
所定の高周波電力P0 が導入され各セルの電極間に所定
の高周波電圧V0 (n) が印加されたときの各セルでの同
期位相Φs とビームエネルギーW(n) のセル数nに対す
る依存性を示している。図から明らかなように、本発明
の実施例では、同期位相Φs を入射側からn1 番目のセ
ルの領域では、一定の値Φs1に、(n1 +1)番目のセ
ルからn2 番目のセルの領域では、一定の値Φs2に、ま
た、(n2 +1)番目のセルから出射側までの領域で
は、一定の値Φs3に、それぞれセル数の増加に伴って不
連続的に増加するように変化させている。具体的に言え
ば、本発明のこの実施例では、セル数の増加に伴って、
同期位相が複数の値をとって不連続的に増加するよう
に、予め各セルの長さや高周波電圧等が規定されてい
る。
【0052】このように構成された線形加速器に対し
て、導入される高周波電力を変化させた時の同期位相や
位相安定性の変化を第1の実施例の場合と同様に考える
と、加速特性が次のように変化することが容易に推察さ
れる。
【0053】導入される高周波電力が所定の値P0 以下
からP0 cos 2 Φs3より大きいとき、入射側から出射側
の全てのセルが位相安定領域となり、ビームエネルギー
ou t の荷電粒子ビームが出射される。
【0054】導入される高周波電力がP0 cos 2 Φs3
下かつP0 cos 2 Φs2より大きいとき、入射側からn2
番目のセルまでが位相安定領域となり、ビームエネルギ
ーW(n2 ) の荷電粒子ビームが出射される。
【0055】導入される高周波電力がP0 cos 2 Φs2
下、かつ、P0 cos 2 Φs1より大きいとき、入射側から
1 番目のセルまでが位相安定領域となり、ビームエネ
ルギーW(n) の荷電粒子ビームが出射される。
【0056】このように、所定の高周波電力が導入され
た時の同期位相が入射側から出射側へとセル数が増加す
るに伴って不連続的な複数の値に増加するように構成さ
れたドリフトチューブ型線形加速器において、導入する
高周波電力を適切な値に規定することにより、入射側か
ら同期位相の不連続点をなす任意のセルまでを位相安定
領域にすると同時に、この任意のセル以降を位相安定性
のない領域にすることができ、この結果、この任意のセ
ルでのビームエネルギーを有する荷電粒子ビームを出射
側から出射することができる。
【0057】図11は本発明のRFQ型線形加速器のア
クセレレイタと呼ばれるセル領域へ本発明を適用した場
合における実施例を示す図であり、線形加速器に所定の
高周波電力P0 が導入され、隣り合う導電性翼部間に所
定の高周波電圧V0 が印加されたときの各セルでの同期
位相Φs0(n) とビームエネルギーW(n) のセル数nに対
する依存性が実線で示されている。
【0058】従来のRFQ型線形加速器では、所定の高
周波電力が導入された場合の同期位相Φs0(n) のセル数
nに対する依存性は図12に示されるように、入射側か
ら連続的に入射される荷電粒子ビームを効率良く捕獲し
バンチ化するために−90度からゆっくりと増加させ、
本格的に荷電粒子を加速するアクセレレイタと呼ばれる
セル領域で一定となるように構成されている。図12に
示す例では、nA 番目セル以降がこのアクセレレイタ領
域であり、ここでの同期位相はΦs0(nA ) で一定であ
る。
【0059】このため、従来のRFQ型線形加速器で
は、導入する高周波電力がP0 cos 2Φs0(nA ) のとき
アクセレレイタを構成する全セルにわたって同期位相Φ
s (n')=0度となるため、P0 cos 2 Φs0(nA ) より大
きい高周波電力を導入した場合には、入射側から出射側
の全セルが位相安定領域となり所定のエネルギーWout
の荷電粒子ビームが出射されるが、P0 cos 2 Φ
s0(nA ) 以下の高周波電力を導入した場合には、アクセ
レレイタ領域の全セルて位相安定性がなくなり、荷電粒
子ビームの出射エネルギーがW(nA ) 以下に不連続的に
大きく減少してしまうため、任意のエネルギーをもつ荷
電粒子ビームを得ることはできない。
【0060】一方、図11に示す本発明の実施例では、
アクセレレイタ領域でセル数の増加に伴い同期位相が増
加するように変化させているため、ドリフトチューブ型
線形加速器に対する第1の実施例と同様にしてWinから
out の任意のビームエネルギーを有する荷電粒子ビー
ムを出射側から出射することができる。すなわち、導入
する高周波電力を所定の値P0 からP0 cos 2 Φs0(n')
に変化させると、n´番目のセルでは、同期位相Φ
s1(n')=0度となると同時に、入射側から出射側の各セ
ルでの同期位相Φs1(n) は図11中に破線で示すように
変化する。このとき、入射側からn´番目セルは位相安
定領域であり、n´+1番目セル以降は位相安定性のな
い領域である。入射側から入射される荷電粒子ビームは
入射側からn´番目セルの位相安定領域では加速され、
n´番目セルでのビームエネルギーW(n')に達する。一
方、これ以降の領域では荷電粒子ビームは加速されず、
n´番目セルでのビームエネルギーW(n')のまま出射側
に到達し出射される。
【0061】したがって、所定の高周波電力が導入され
た時の同期位相がセル数の増加に伴って増加するように
構成されたアクセレレイタ領域を有するRFQ型線形加
速器において、導入する高周波電力を適切な値に規定す
ることにより、入射側から任意のセルまでを位相安定領
域にすると同時に、この任意のセル以降を位相安定性の
ない領域にすることができ、この任意のセルでのビーム
エネルギーを有する荷電粒子ビームが出射側から出射さ
れる。
【0062】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、入
射側から出射側へとセル数が増加するにつれて連続的或
いは不連続的に同期位相が増加するように構成された高
周波線形加速器では、導入する高周波電力量を変化させ
る、簡単に出射エネルギーを広範囲にわたって変化させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用できるRFQ線形加速器の一例を
説明するために、その一部を破断して示す図である。
【図2】図1に示すRFQ線形加速器の単位セルを説明
するために、導電性翼部先端付近をより詳細に示した図
である。
【図3】本発明を適用できるアルバレ型線形加速器の例
を説明するために、その一部を破断して示す図である。
【図4】図3に示されたアルバレ型線形加速器の単位セ
ルを説明するための図である。
【図5】本発明を適用できるIH型線形加速器の例を説
明するための図である。
【図6】IH型及びヴィデレー型線形加速器の単位セル
を説明するための図である。
【図7】位相安定性原理を説明するための図である。
【図8】同期位相の値に対する位相安定領域の変化を示
す図である。
【図9】ドリフトチューブ型線形加速器に本発明を適用
した場合を説明するための図である。
【図10】ドリフトチューブ型線形加速器に本発明を適
用したもう一つの場合を説明するための図である。
【図11】RFQ型線形加速器のアクセレレイタ領域に
本発明を適用した場合の動作を説明するための図であ
る。
【図12】従来のRFQ型線形加速器の加速特性を説明
するための図である。
【符号の説明】
10、10a、10b 導電性外筒部 11a〜11d 翼部 12、16a、16b ステム 13、17a、17b 電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入射側、出射側、及び該入射側と出射側と
    の間に配置された複数のセルとを備え、入射側から入射
    される荷電粒子ビームを電極に印加される高周波電圧に
    より、位相安定性原理に基づいて、順次加速する高周波
    線形加速器のビームエネルギー制御方法において、前記
    各セルの長さ及び高周波電圧によって定まる各セルの同
    期位相を前記入射側から出射側まで変化させると共に、
    前記高周波電圧を変化させることによって、前記荷電粒
    子の出射エネルギーを可変することを特徴とする高周波
    線形加速器のビームエネルギー制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記同期位相及び前記
    高周波電力を連続的に変化させることを特徴とする高周
    波線形加速器のビームエネルギー制御方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記同期位相及び前記
    高周波電力を不連続的に変化させることを特徴とする高
    周波線形加速器のビームエネルギー制御方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007157400A (ja) * 2005-12-01 2007-06-21 Sumitomo Heavy Ind Ltd 線形加速器
JP2008166093A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Mitsubishi Electric Corp 線形イオン加速器およびイオン加速システム
WO2014081128A1 (ko) * 2012-11-23 2014-05-30 한국전기연구원 선형가속기
JP2025026571A (ja) * 2021-01-27 2025-02-21 住友重機械イオンテクノロジー株式会社 イオン注入装置およびイオン注入方法

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