JPH06210472A - アルミニウム合金のパルスレーザ溶接方法 - Google Patents

アルミニウム合金のパルスレーザ溶接方法

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JPH06210472A
JPH06210472A JP5020552A JP2055293A JPH06210472A JP H06210472 A JPH06210472 A JP H06210472A JP 5020552 A JP5020552 A JP 5020552A JP 2055293 A JP2055293 A JP 2055293A JP H06210472 A JPH06210472 A JP H06210472A
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朗 松縄
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聖二 片山
Keiji Nishizawa
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Abstract

(57)【要約】 [目的]パルスレーザ光を照射して溶接割れ等の溶接欠
陥を起こさずにアルミニウム合金を接合する。 [構成]1回または1周期当たりのレーザ出力波形内で
4個のパルスLB(1) 〜LB(4) が断続時間(たとえば
1msec)を挟んで繰り返される。これらパルスLB
(1) 〜LB(4) のピーク値は順次つまりLB(1) ,LB
(2) ,LB(3) ,LB(4) の順に下がる。このようなパ
ルスレーザ光LBがアルミニウム合金からなる被溶接材
の溶接部に照射されると、該溶接部においては、溶融金
属部の表面部にしか割れが生じない。この表面部の割れ
は、被溶接材の接合面を横断するものではなく、溶接欠
陥とならない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パルスレーザ光を用い
てアルミニウム合金の溶接を行うパルスレーザ溶接方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金は、軽量性、耐食性、
加工性、高比強度、低温特性等の種々の特性が優れてい
ることから、航空機、自動車、船舶、高速車両、真空装
置、電気・電子機器製品等に広く使用されている。最
近、このような構造物・装置・製品等に用いられるアル
ミニウム合金を高精度・高品質・高速に接合する溶接法
としてパルスレーザ溶接法が注目されている。パルスレ
ーザ溶接法は、パルス状の出力波形を有するレーザ光を
被溶接材の溶接部に照射して、該溶接部をレーザエネル
ギで溶融して冶金的に接合する溶接法であり、一般には
YAGレーザが使用される。従来は、図9に示すように
標準的な矩形の出力波形を有するパルスレーザ光をアル
ミニウム合金の溶接部に照射して溶接を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な従来のパルスレーザ溶接法でスポット溶接を行うと、
溶接部において、図10に示すように、裏側(下側)の
被溶接材W2 内の溶融境界面MBを起点として溶融金属
部MGの内部に延び接合面BSを横断するような割れC
Rが生じやすい。このような割れCRは、溶接部の接合
強度を著しく弱くし、溶接品質を損なわせる溶接欠陥で
ある。また、上記従来のパルスレーザ溶接法でシーム溶
接を行うと、図11に示すように、各パルスに対応した
溶融金属部MG1,MG2,…の内部でスポット溶接の場合
と同様の割れCR1,CR2,…が生じやすいだけでなく、
それらの割れCR1,CR2,…がシーム溶接方向に繋がっ
て、大きな割れまたはひびに発展しやすいという不具合
がある。
【0004】このように、アルミニウム合金のパルスレ
ーザ溶接において溶接部に割れが生じやすいのは、低融
点の共晶を形成する液膜が少量生成し、そこに引張り歪
みが急速に付加されたためと考えられるが、詳しいこと
は未だ解明されていない。いずれにしても、上記のよう
に被溶接材の接合面を横断したりシーム溶接方向に繋が
るような割れが発生したのでは、アルミニウム合金の接
合にパルスレーザ溶接法を用いる意義が薄れてしまう。
したがって、アルミニウム合金の溶接に最適なパルスレ
ーザ光の照射条件を確立することが要請されている。
【0005】本発明は、かかる問題点に鑑みてなされた
もので、溶接割れ等の溶接欠陥を起こさずにアルミニウ
ム合金を接合するパルスレーザ溶接方法を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明によるアルミニウム合金のパルスレーザ溶
接方法は、1回または1周期当たりのレーザ出力波形の
中で複数のパルスが断続的に繰り返され、かつそれら複
数のパルスの全部または一部のそれぞれのピーク値が次
第に低くなる関係にあるパルスレーザ光をアルミニウム
合金の溶接部に照射する方法とした。
【0007】本発明において、前記複数のパルスのそれ
ぞれのパルス幅、パルス波形、各パルス間の断続時間の
長さ、断続時間中の出力は、溶接条件に応じて、任意の
値に選択また制御することが可能である。
【0008】
【作用】1回または1周期当たりのレーザ出力波形の中
で複数のパルスが断続的に繰り返されると、当該パルス
レーザ光を照射される被溶接材の溶接部においては、前
パルスによる溶融部がキーホールを維持している間に次
のパルスが照射されることにより、溶接部の溶融金属部
が畳み込まれるようにして凝固する結果、割れが防止な
いし最小限に抑えられる。
【0009】
【実施例】以下、図1〜図8を参照して本発明の実施例
を説明する。図1は、本発明の一実施例によるパルスレ
ーザ溶接方法を実施するためのYAGレーザの構成を示
す。このYAGレーザのレーザ発振部では、励起ランプ
10と平行にYAGロッド12が設けられ、ランプ10
がパルス点灯すると、その光エネルギによってYAGロ
ッド12がレーザ発振し、YAGロッド12の両端面よ
り出射したパルスレーザ光LBが一対の共振ミラー1
4,16の間で反射を繰り返して増幅ののち外部へ出力
されるようになっている。
【0010】このYAGレーザの電源装置は、レーザ発
振部の励起ランプ10をパルス点灯させるためのランプ
電流を供給する回路として、電流制御方式の異なる2つ
のレーザ電源回路20,50を備える。第1のレーザ電
源回路20からはスイッチング素子のスイッチング動作
によって所望の波形に制御されたランプ電流I1 が生成
され、第2のレーザ電源回路50からはコンデンサ・バ
ンクによって各々が独立したピーク値を有する一連のパ
ルス電流からなるランプ電流I2 が生成されるようにな
っている。
【0011】第1のレーザ電源回路20は次のように構
成されている。三相交流入力端子(U,V,W)に三相
全波整流回路22の入力端子が接続されている。この三
相全波整流回路22の出力端子は、平滑コンデンサ2
4、波形制御用のスイッチング・トランジスタ26、平
滑用のコイル28,コンデンサ30、およびダイオード
32を介して励起ランプ10の電極端子に接続されてい
る。コイル28を挟んでコンデンサ30と並列に接続さ
れたダイオード34は、コイル28に蓄積された電磁エ
ネルギを還流させるための還流回路を構成している。
【0012】スイッチング・トランジスタ26のベース
には、スイッチング制御部36よりPWM制御信号SA
がスイッチング制御信号として駆動回路38を介して与
えられる。このPWM制御信号SAによってスイッチン
グ・トランジスタ26が高周波でオン・オフ動作するこ
とにより、そのコレクタ端子にはパルス幅変調されたチ
ョッパ波形の直流電流が得られる。このチョッパ波形の
直流電流は平滑用のコイル28およびコンデンサ30を
通ることでパルス幅に応じた包絡線波形の直流電流に変
わり、この直流電流が第1のランプ電流I1 としてダイ
オード32を介して励起ランプ10に供給される。
【0013】上記のようなPWM制御を行うスイッチン
グ制御部36には、第1のランプ電流I1 の開始・終了
を指示する起動信号EDおよび所望の電流波形を表す電
流波形基準信号Fi が主制御部80より与えられる。ま
た、第1のレーザ電源回路20の電流路にはたとえばト
ロイダルコイルからなる電流センサ40が設けられ、こ
の電流センサ40の出力信号に基づいて電流値測定回路
42により第1のランプ電流I1 の電流測定値が求めら
れる。スイッチング制御部36は、電流値測定回路42
からの電流測定値MI1 を受け取り、この電流測定値M
I1 が主制御部80からの電流波形基準信号Fi に倣う
ようフィードバック方式でPWM制御を行う。
【0014】このように、第1のレーザ電源回路20に
おいては、整流回路22と励起ランプ10との間に設け
られたスイッチング・トランジスタ26をPWM制御で
スイッチング動作させることにより、所望の波形に制御
された第1のランプ電流I1が得られる。もっとも、第
1のレーザ電源回路20では、整流回路22からのほぼ
一定レベルの直流をスイッチング・トランジスタ26で
小刻みにチョッピングする仕方で所望の電流波形を生成
するものであるから、電流値の大きさには限度があり、
比較的大きな電流ピーク値を有するパルスが得られるわ
けではない。しかし、この点に関しては、後述する第2
のレーザ電源回路50が補う(担う)ので、本レーザ電
源装置全体としては実用上任意の電流波形およびピーク
値を有するパルス状のランプ電流が得られるようになっ
ている。なお、第1のレーザ電源回路20をインバータ
式の電源回路で構成することも可能である。
【0015】第2のレーザ電源回路50は2つのコンデ
ンサ・バンクを有するコンデンサ型の電源回路である。
三相交流入力端子(U,V,W)に三相全波整流回路5
2の入力端子が接続され、この三相全波整流回路52の
出力端子は充電用の第1および第2のスイッチング・ト
ランジスタ54A,54Bおよび第1および第2の充電
用コイル56A,56Bを介して充放電用の第1および
第2のコンデンサ58A,58Bに接続され、これらの
コンデンサ58A,58Bの端子が放電用の第1および
第2のスイッチング・トランジスタ60A,60Bおよ
びダイオード62A,62Bを介して励起ランプ10の
電極端子に共通接続されている。各コンデンサ58A,
58Bは、レーザ加工に対応できる程の大きな電気エネ
ルギを蓄積できるように、たとえば10000〜200
00μFの容量を有している。
【0016】各コンデンサ58A,58Bの端子間電圧
つまり充電電圧VC1,VC2は充電電圧検出回路64によ
って検出され、それぞれの充電電圧検出値MVC1,MV
C2は充電制御部66に与えられる。充電制御部66は、
主制御部80より充電電圧設定値FV1,FV2 を受け取
り、各充電電圧検出値MVC1,MVC2が各設定値FV1,
FV2 に達した時点で各コンデンサ58A,58Bの充
電を止めるよう、制御信号CS1,CS2 により駆動回路
68A,68Bを介して各充電用スイッチング・トラン
ジスタ54A,54Bのオン・オフを制御する。放電制
御部70は、主制御部80からのタイミング信号TM1,
TM2 にしたがい所定のタイミングで各コンデンサ58
A,58Bの放電を開始させるよう、制御信号CD1,C
D2 により駆動回路72A,72Bを介して放電用スイ
ッチング・トランジスタ60A,60Bのオン・オフを
制御する。
【0017】このように、第2のレーザ電源回路50に
おいては、第1および第2の充電用トランジスタ54
A,54Bおよび充電制御部66によって第1および第
2のコンデンサ58A,58Bをそれぞれ予め設定され
た任意の充電電圧まで充電し、第1および第2の放電用
トランジスタ60A,60Bおよび放電制御部70によ
ってコンデンサ58A,58Bをそれぞれ予め設定され
た任意のタイミングで瞬時に放電させることができる。
したがって、両コンデンサ58A,58Bを短い時間間
隔で交互に繰り返し充放電させることによって、1回ま
たは1周期当たりのランプ電流持続時間内に各々が所望
のピーク値に制御された複数(一連)のパルス電流を第
2のランプ電流I2 として生成することができる。な
お、コンデンサの個数を3個以上にすることも可能であ
る。
【0018】主制御部80は、上記のように第1および
第2のレーザ電源回路20,50のそれぞれの動作を制
御ないし統括する外、設定値入力部82より第1のラン
プ電流I1 の電流波形設定値や第2のランプ電流I2 に
おける各パルスのピーク値およびそれらのランプ電流I
1,I2 の組み合わせパターン設定値等の各種設定値を取
り込んだり、ランプ10にトリガTRをかけるためのト
リガ回路84等の制御を行う。なお、このレーザ電源装
置には、励起ランプ10内の放電路を安定化させるため
のシマー回路(図示せず)等も設けられている。
【0019】次に、本実施例におけるYAGレーザの作
用を説明する。アルミニウム合金からなる被溶接材に対
してスポット溶接が行われる場合、上記したレーザ電源
装置では、設定値入力部82より、たとえば図3に示す
ような時間−出力特性で規定されたパルスレーザ光の出
力波形が設定入力される。この出力波形は、3.4KW
の一定出力波形(第1の出力波形)の上に、それぞれの
パルス幅が4msecで、それぞれのピーク値が1.5
KW,1.2KW,1.0KW,0.6KWの4個のパ
ルス出力波形LB(1) 〜LB(4) (第2の出力波形)が
1msecの間隔(断続時間)を置いて重なったものと
みることができる。主制御部80は、そのような出力波
形設定値を設定値入力部82より取り込むと、スポット
溶接時には、以下に述べるように、第1のレーザ電源回
路20に第1の出力波形に対応した第1のランプ電流I
1 を生成させ、第2のレーザ電源回路50に第2の出力
波形に対応した第2のランプ電流I2 を生成させるよう
な制御を行う。
【0020】第1のレーザ電源回路20では、時刻t0
でスイッチング制御部36が動作を開始し、スイッチン
グ・トランジスタ26がPWM制御でスイッチング動作
することにより、第1の出力波形に対応した電流波形基
準信号Fi に倣った電流、つまり図2の(B) に示すよう
な第1のランプ電流I1 が生成され、このランプ電流I
1 は時刻t0 から時刻t20までのランプ電流持続時間中
(20msec)間断なく励起ランプ10に供給され
る。
【0021】第2のレーザ電源回路50では、時刻t0
以前に充電制御部66が作動して充電用のトランジスタ
54A,54Bをオンさせ、コンデンサ58A,58B
を後記の第1および第2のパルス出力波形LB(1) ,L
B(2) のピーク値に対応した設定電圧まで予め充電して
おく。そして、時刻t0 で、放電制御部70が第1の放
電用トランジスタ60Aをオンさせ、第1のコンデンサ
58Aを放電させる。このコンデンサ58Aの放電によ
って、図2の(A) に示すように第1のパルス出力波形L
B(1) の設定ピーク値(1.5KW)に対応したピーク
値PI1.5 を有する第1のパルス電流I2(1)が生成され
る。そして、時刻t0 から4msec経過後の時刻t4
で、放電制御部70は、トランジスタ60Aをオフにし
て第1のコンデンサ58Aの放電を止め、第1のパルス
電流I2(1)を終了させる。次に、時刻t4 から1mse
c経過後の時刻t5 で、放電制御部70は、第2の放電
用トランジスタ60Bをオンさせ、第2のコンデンサ5
8Bを放電させる。このコンデンサ58Bの放電によっ
て、図2の(A) に示すように第2のパルス出力波形LB
(2) の設定ピーク値(1.2KW)に対応したピーク値
PI1.2 を有する第2のパルス電流I2(2)が生成され
る。そして、時刻t5 から4msec経過後の時刻t9
で、放電制御部70は、トランジスタ72Aをオフにし
て第1のコンデンサ58Bの放電を止め、第2のパルス
電流I2(2)を終了させる。一方、第2のコンデンサ58
Bの放電の間、充電制御部66は第1のコンデンサ58
Aを設定電圧まで充電しておく。これにより、時刻t9
から1msec経過後の時刻t10で、放電制御部70が
第1の放電用トランジスタ72Aをオンさせると、第1
のコンデンサ58Aが放電し、第3のパルス出力波形L
B(3) の設定ピーク値(1.0KW)に対応したピーク
値PI1.0 を有する第3のパルス電流I2(3)が生成され
る。同様にして、時刻15〜t19の期間中は、第2のコン
デンサ58Bが放電して、第4のパルス出力波形LB
(4) の設定ピーク値(0.6KW)に対応したピーク値
PI0.6 を有する第4のパルス電流I2(4)が生成され
る。
【0022】このように、第2のレーザ電源回路50で
は、ランプ電流持続時間中に、第2の出力波形を構成す
る4個のパルス出力波形(設定値)LB(1) 〜LB(4)
に対応した4個のパルス電流I2(1),I2(2),I2(3),
I2(4)が一定の断続時間(1msec)を挟んで断続的
に生成され、これらのパルス電流I2(1)〜I2(4)は全体
で第2のランプ電流I2 を構成し、励起ランプ10に順
次供給される。
【0023】したがって、励起ランプ10には、図2の
(C) に示すように、第1のレーザ電源回路20からの第
1のランプ電流I1 (図2の(B) )に第2のレーザ電源
回路50からの第2のランプ電流I2 (図2の(A) )が
重なったランプ電流が流れ、YAGロッド12からはそ
の合成ランブ電流(I1 +I2 )に対応したレーザ出力
波形を有するパルスレーザ光LBが出力される。
【0024】図4は、上記のようにして得られるパルス
レーザ光LBの出力波形の測定値の一例を示す。図4に
おいて、パルスLB(1) 〜LB(4) のピーク値は順次、
つまりLB(1) ,LB(2) ,LB(3) ,LB(4) の順に
下がるだけでなく、各パルスLB(i) のピーク値自体も
時間の経過とともに低下している。この後者の低下(各
パルスLB(i) のピーク値自体の低下)は、第2のラン
プ電流I2 における各パルス電流I2(1)〜I2(4)のピー
ク値、つまり第2のレーザ電源回路50におけるコンデ
ンサ58A,58Bの放電電流のピーク値が実際には時
間の経過とともに低下することに起因している。
【0025】スポット溶接で、このようなパルスレーザ
光LBがアルミニウム合金からなる被溶接材W1,W2 の
溶接部に照射されると、該溶接部においては、図5に示
すように、溶融金属部MGの表面部に小さな割れcrが
生じる。このような表面部の割れcrは、表側(上側)
の被溶接材W1 内に止まり、接合面BSを横断しないの
で、溶接欠陥となるようなものではない。このように、
本実施例のパルレーザ溶接方法によれば、1回当たりの
レーザ出力波形の中で4個のパルスLB(1) 〜LB(4)
が断続的に繰り返され、かつそれら4個のパルスLB
(1) 〜LB(4) のピーク値が次第に低くなる関係にある
パルスレーザ光LBをアルミニウム合金の溶接部に照射
することによって、実質的に溶接割れのない高品質な溶
接接合が得られる。
【0026】本実施例の方法によって溶接部の割れが防
止ないし最小限に抑えられる理由について、詳しいこと
はまだ解明されていないが、次のように考えられる。す
なわち、1回または1周期当たりのレーザ出力波形の中
で複数のパルスLB(1) 〜LB(4) が断続的に繰り返さ
れると、当該パルスレーザ光LBを照射される被溶接材
W1,W2 の溶接部においては、前パルスLB(i) による
溶融部がキーホールを維持している間に次のパルスLB
(i+1) が照射されることにより、溶接部の溶融金属部M
Gが畳み込まれるようにして凝固する。その結果、表側
の被溶接材W1内に止まるような小さな割れcrしか発
生せず、接合部BSを横断するような大きな割れ(C
R)は発生しないものと考えられる。
【0027】図6〜図8は、本実施例のパルスレーザ溶
接方法をアルミニウム合金のシーム溶接に適用した場合
の作用を示す。シーム溶接では、図6に示すようにスポ
ット溶接の場合と同様の合成ランプ電流(I1 +I2 )
を励起ランプ10に供給し、各パルスレーザ光LBを照
射する度毎に被溶接材とレーザビームスポットとをシー
ム溶接方向に相対移動させて溶接部を少しずつ移せばよ
い。そうすると、図7に示すように、各パルスレーザ光
LBi の照射によって各溶融金属部MGi の表面部に発
生した割れcri は次のパルスレーザ光LBi+1 の照射
による溶融金属部MGi によって除去され、結果的に最
後のパルスレーザ光LBN の照射による溶融金属部MG
N の表面部にのみ小さな割れcrN が残る。図8は、そ
の様子を示す略平面図である。なお、最後の溶融金属部
MGN における割れcrN を防止するために、高融点の
共晶成分になるように合金組成の調整をするなどの方法
が考えられる。
【0028】このように、本実施例のパルレーザ溶接方
法によるシーム溶接においては、1周期当たりのレーザ
出力波形の中で4個のパルスLB(1) 〜LB(4) が断続
的に繰り返され、かつそれら4個のパルスLB(1) 〜L
B(4) のピーク値が次第に低くなる関係にあるパルスレ
ーザ光LBをアルミニウム合金の溶接部に照射すること
によって、実質的に溶接割れのない高品質の溶接接合が
得られる。
【0029】上述した実施例では、1回または1周期当
たりのレーザ出力波形に含まれるパルスは4個であった
が、これは例示にすぎないことはもちろんであり、任意
のパルス数を選択することが可能である。また、本発明
では、それら複数のパルスのピーク値が順次低くなるこ
とを基本要件とするが、必ずしも全部のパルスの間でそ
の条件が成立しなければならないわけではなく、大部分
のパルスの間でまたは一部のパルスの間でその条件が満
たされていればよい。また、各パルスのパルス幅を一様
な値でなく、個別的な値に設定することも可能であり、
たとえば順次パルス幅を小さくしたり、あるいは順次大
きくしたりしてもよい。また、パルス間の断続時間にお
ける出力の値あるいは断続時間の長さについても全体的
または個別的に任意の値を選択することが可能である。
また、各パルスのピークレベルのについても種々の波形
を選択することが可能である。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のパルスレ
ーザ溶接方法によれば、1回または1周期当たりのレー
ザ出力波形の中で複数のパルスが断続的に繰り返され、
かつそれら複数のパルスの全部または一部のそれぞれの
ピーク値が次第に低くなる関係にあるパルスレーザ光を
アルミニウム合金の溶接部に照射するようにしたので、
溶接割れ等の溶接欠陥のない高品質な溶接接合を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるパルスレーザ溶接方法
を実施するためのYAGレーザの要部の構成を示すブロ
ック図である。
【図2】実施例におけるレーザ電源装置における各部の
電流の波形図である。
【図3】実施例におけるレーザ電源装置において設定入
力されるパルスレーザ光の出力波形の一例を示す図であ
る。
【図4】実施例におけるYAGレーザで得られるパルス
レーザ光の出力波形の一例を示す測定波形図である。
【図5】実施例のパルスレーザ溶接法によるスポット溶
接で得られる溶接部の断面構造を示す断面図である。
【図6】シーム溶接を行う場合に実施例のレーザ電源装
置より励起ランプに供給されるランプ電流の波形を示す
図である。
【図7】実施例のパルスレーザ溶接法によるシーム溶接
で得られる溶接部の断面構造を示す断面図である。
【図8】実施例のパルスレーザ溶接法によるシーム溶接
で得られる溶接部の表面状態を示す略平面図である。
【図9】従来の典型的なパルスレーザ溶接法によるパル
スレーザ光の出力波形を示す図である。
【図10】従来のパルスレーザ溶接法によるスポット溶
接で得られる溶接部の断面構造を示す断面図である。
【図11】従来のパルスレーザ溶接法によるシーム溶接
で得られる溶接部の表面状態を示す略平面図である。
【符号の説明】
10 励起ランプ 12 YAGロッド 20 第1のレーザ電源回路 26 スイッチング・トランジスタ 36 スイッチング制御部 50 第2のレーザ電源回路 54A,54B 充電用トランジスタ 58A,58B コンデンサ 60A,60B 放電用トランジスタ 66 充電制御部 70 放電制御部 80 主制御部 82 設定値入力部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1回または1周期当たりのレーザ出力波
    形の中で複数のパルスが断続的に繰り返され、かつそれ
    ら複数のパルスの全部または一部のそれぞれのピーク値
    が順次低くなる関係にあるパルスレーザ光をアルミニウ
    ム合金の溶接部に照射することを特徴とするアルミニウ
    ム合金のパルスレーザ溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記複数のパルスのそれぞれのパルス幅
    を任意の値に選択するようにしたことを特徴とする請求
    項1記載のパルスレーザ溶接方法。
  3. 【請求項3】 前記複数のパルスのそれぞれのパルス波
    形を任意の波形に選択するようにしたことを特徴とする
    請求項1記載のパルスレーザ溶接方法。
  4. 【請求項4】 前記複数のパルス間のそれぞれの断続時
    間の長さを任意の値に選択するようにしたことを特徴と
    する請求項1記載のパルスレーザ溶接方法。
  5. 【請求項5】 前記複数のパルス間のそれぞれの断続時
    間中の出力を任意の値に選択するようにしたことを特徴
    とする請求項1記載のパルスレーザ溶接方法。
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