JPH06215775A - 有機電解液および有機電解液電池 - Google Patents

有機電解液および有機電解液電池

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JPH06215775A
JPH06215775A JP5225236A JP22523693A JPH06215775A JP H06215775 A JPH06215775 A JP H06215775A JP 5225236 A JP5225236 A JP 5225236A JP 22523693 A JP22523693 A JP 22523693A JP H06215775 A JPH06215775 A JP H06215775A
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Koji Murakami
幸治 村上
Akira Kawakami
章 川上
Takaaki Sonoda
高明 園田
Hiroshi Kobayashi
宏 小林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 貯蔵安定性の優れた有機電解液および有機電
解液電池を提供する。 【構成】 有機電解液の電解質として、アニオン中心原
子と他のアニオン原子中心間の最大距離が4Å以上で、
電子求引性基を有する有機アニオンを含む金属塩を用い
る、またこれを含む有機電解液を用いて有機電解液電池
を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機電解液および有機
電解液電池に関する。
【0002】
【従来の技術】二酸化マンガン−リチウム電池に代表さ
れる有機電解液電池は、3V以上の高電圧、かつ高エネ
ルギー密度であることから、ますます需要が増えてい
る。
【0003】従来、この種の電池の有機電解液(以下、
電池を表すとき以外は、単に電解液という)には、電解
質としてLiClO4 が用いられてきたが、最近は電池
の安全性が重視され、LiClO4 のような危険物を使
用することは好まれない状況になってきている。
【0004】上記LiClO4 以外のリチウム塩として
は、たとえばLiBF4 やLiB(C6 5 4 などの
ホウ素系リチウム塩を電解質として用いることが行われ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のLiB
4 やLiB(C6 5 4 などを電解質として用いた
電解液は、貯蔵しておくと変色したり、一部の電解液溶
媒をポリマー化させたりする。また、その電解液を電池
に用いた場合には電池の貯蔵性が低下する。
【0006】したがって、本発明は、上記従来品が持っ
ていた問題点を解決し、貯蔵性の優れた電解液および有
機電解液電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、電解液の電解
質として用いるアルカリ金属塩のアニオンが立体障害バ
リヤ−構造を有することを特徴とする。ここで、立体障
害バリヤ−構造とは、アニオンの電荷中心にカチオンが
近づきにくい構造をいい、より具体的にはアニオン内の
電荷中心となる原子と他の原子の中心間の最大距離が4
Å以上、好ましくは5Å以上、最も望ましくは6Å以上
の有機アニオンを含む金属塩である。
【0008】有機アニオンは、さらに電子求引性基を有
することが必要である。電子求引性基の数は合計4個以
上が望ましい。そして、5個以上になると、さらに好ま
しく、6個以上になると最も望ましく貯蔵性がさらに向
上する。
【0009】電子求引性基としてはハロゲン原子、−C
OO−基、−CN基などが挙げられるが、ハロゲン原子
を有することが望ましい。ハロゲン原子はアニオン中心
とカチオン中心とのク-ロン引力を低減し各イオン間の
距離を大きくする。特にハロゲン化アルキル基を含むの
が望ましく、ハロゲンはフッ素が最も望ましい。上記ハ
ロゲン化アルキル基の作用は、それ自体の電子求引性の
ために金属塩を安定化することができ、電解液の貯蔵性
を向上させることができる点である。そして、このハロ
ゲン化アルキル基の数は4個以上であることが望まし
い、より貯蔵性を高めるためには5個以上が好ましく、
6個以上であるとさらに好ましい特性が得られる。
【0010】また、アニオン中心となる原子は、O(酸
素),N(窒素),C(炭素),B(硼素),Al(ア
ルミ)等があり、周期律表IIIb−VIb族の原子で
ある。中でも3つ以上の置換基を結合させられるIII
b−IVb族原子が望ましく特にIIIb族原子が望ま
しい、これはB(硼素)等のIIIb族原子がアニオン
中心となるとき4つの結合を有することができ、アニオ
ン中心の周りに置換基によって立体障害を形成しやすい
からである。さらに、IIIb族原子の中でもB(硼
素)原子は最も分子量が小さくアニオンの分子量を小さ
くできるため望ましい。このようなアニオンを含む金属
塩を用いることによって、電解液の貯蔵性を向上させ、
また、その電解液を用いることによって有機電解液電池
の貯蔵性を向上させることができる。
【0011】本発明において、上記電解質を用いること
によって、電解液および電池の貯蔵性が向上する理由
を、上記電解質を具体的に説明していくなかで、明らか
にする。
【0012】まず、この塩を形成するカチオンはアルカ
リ金属、アルカリ土類金属構成されることが望ましく、
特にリチウムが好ましい。
【0013】一般的な電子求引性基と立体障害バリヤ−
構造を有するアニオンを含む金属塩の具体例としては、
(CF3 SO2 2 N・ME、(CF3 SO2 3 C・
ME、〔C6 4 (F)〕4 B・ME、〔C6 4 (C
l)〕4 B・MEなどの金属塩が挙げられる(ここでM
EはLi、Na、Kなどの金属である)。また、C4
9 SO3 Liなどのように炭素数が2より大きいもの特
に4より大きいものも、立体障害バリアー構造を有して
いる。また、特に望ましい金属塩の具体例としては、た
とえばLiB〔C6 4 (CF3 )〕4 、LiB〔C6
3 (CF3 2 4 (リチウムテトラキス〔3,5−
ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕ボレート)(以
下、LiTFPBで示す)、LiB(C6 3 2 4
〔ここで、Aは−C(CF3 2 OCH3 〕などが挙げ
られる。などが挙げられる。
【0014】特に、ハロゲン原子を含む有機ホウ素系金
属塩が電解液および電池の貯蔵性を向上させることがで
きるのは次の理由によるものである。
【0015】ホウ素(B)は、有機物に含まれる元素と
しては酸素(O)やチッ素(N)よりも多い4本の結合
が可能であり、その多様な結合性に基づいて、多くの電
子求引性を有する置換基と結合できる能力を持ってい
る。しかも、ホウ素は4本の結合を有する炭素(C)に
比べても金属性が強く、結合した金属をイオン化させる
のに好都合な元素である。
【0016】ただし、このホウ素(B)原子に単に電子
供与性のアルキル基やベンゼン環を結合させたLiBR
4 (Rはアルキル基またはフェニル基)はB原子上での
電子密度が高まるため、電子をより放出しやすくなる。
【0017】つまり、より酸化されやすくなり、金属酸
化物などの高電圧で活性の高い正極活物質を用いると、
正極と一部反応することなどによって、かえって電池の
貯蔵性が損なわれてしまう。
【0018】したがって、B原子を結合する置換基にさ
らに電子求引性基を導入し、B原子に電子が集中するの
を防止する必要がある。電子求引性基の代表的なものは
ハロゲン原子を含むアルキル基やハロゲン原子などであ
り、特にフルオロアルキル基はより強固な結合を作るの
で好ましく、これらの電子求引性基がB原子に結合する
置換基に導入されることによって電子が放出されにくく
なり、電解液が酸化されにくくなって貯蔵性が向上す
る。
【0019】特に上記LiTFPBは、後記の実施例で
も用いるが、B原子に結合したフェニル基のオルト位、
メタ位に2つのトリフルオロメチル基を有しており、合
計で8個の電子求引性基を有しており、特に特性が優れ
ている。なお、アニオン電荷中心原子と他の原子との中
心間の最大距離はLiTFPBの場合B原子とF原子中
心間で約6.1Åである。
【0020】ここで、上記LiTFPBの化学式を示し
ておくと、次の通りです。
【0021】
【化1】
【0022】これらの立体障害バリアー構造を有する金
属塩は、電解液溶媒に溶解させたときは単に嵩(かさ)
高い分子にすぎないが、これらが高電圧下で正極集電体
の金属成分を電解液中に溶出させる場合を想定すると、
通常、上記金属成分は2価以上のカチオンとなり、これ
らのカチオンと上記立体障害バリアー構造を有する金属
塩のアニオン部分とが対イオンになると、上記金属塩が
かさ高いので立体障害が大きくなり、それ以上反応が進
まなくなって、正極集電体の金属成分の溶出が抑制され
るようになるものと考えられる。
【0023】正極集電体の材料としては、たとえばAl
(アルミニウム)、Ti(チタン)、Ni(ニッケ
ル)、Cu(銅)またはそれらを主成分とする合金が用
いられる。なかでも、正極集電体の金属材料が溶出した
場合のカチオンの価数が高い方が溶出しにくく、この意
味でAlは3価であり、他の2価の金属に比べて、溶出
しにくく、好ましい。Tiも3〜4価であるので、より
好ましい。
【0024】上記立体障害バリアー構造を有する金属塩
からなる電解質は、そのアニオン部分が単に立体障害の
大きなアニオンであるだけでなく、アニオン自体も酸化
に対して安定であることが望ましい。
【0025】上記電解液を用いて電池を作製するにあた
り、負極にアルカリ金属またはアルカリ金属を含む化合
物をステンレス鋼製網などの集電材料と一体化したもの
が用いられるが、そのアルカリ金属として、たとえばリ
チウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカ
リ金属を含む化合物としては、たとえばアルカリ金属と
アルミニウム、鉛、インジウム、カリウム、カドミウ
ム、スズ、マグネシウムなどの合金、さらにはアルカリ
金属と炭素材料との化合物、低電位のアルカリ金属と金
属酸化物、硫化物との化合物などが挙げられる。
【0026】電解液の調製にあたって、上記電解質を溶
解させるために使用する有機溶媒としては、たとえば、
1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシメタ
ン、ジメトキシプロパン、1,3−ジオキソラン、テト
ラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、4−
メチル−1,3−ジオキソランなどのエーテル類、プロ
ピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレン
カーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクト
ンなどのエステル、さらにはスルフォランなどが挙げら
れる。なかでも、エステル類は前記の立体障害バリヤ−
構造を有するアニオンを含む金属塩、特にハロゲン化ア
ルキル基を4つ以上含む金属塩またはハロゲン原子を含
む有機ホウ素系金属塩からなる電解質と組み合わせて用
いるときに、電解液の貯蔵性をより向上させるので好ま
しい。
【0027】電解液中における電解質の濃度は、特に限
定されるものではないが、通常、電解液は上記の有機溶
媒に電解質として上記のハロゲン化アルキル基を4つ以
上含む金属塩またはハロゲン原子を含む有機ホウ素系金
属塩を0.01〜2mol/l、特に0.05〜1mo
l/l程度溶解させるのが好ましい。
【0028】ここで、電池に用いる金属塩をあらかじめ
非ハロゲン溶媒で処理しておくと溶媒に溶解しやすくな
りさらに好ましい。本発明者らは、まず、金属塩を溶解
しにくい代表的な含ハロゲン溶媒であるCH2 Cl2
種々のリチウム塩を溶解させようとしたが、多くのリチ
ウム塩はこのCH2 Cl2 にほとんど溶けず沈殿してし
まい、電解液としての伝導度を測定しても数十μS/c
m以下にすぎなかった。
【0029】また、他の含ハロゲン溶媒であるフロン系
溶媒のパーフルオロトリアルキルアミンなどでも同様で
あった。
【0030】しかし、各種の検討を繰り返していった中
で、上記LiTFPBをエーテルに溶解させ、真空乾燥
した後、CH2 Cl2 を加えると、LiTFPBをCH
2 Cl2 に20mmol/lすみやかに溶解させること
ができるようになり、また伝導度が820μS/cmに
まで達し、伝導度が10倍以上に向上した。この様な効
果は含ハロゲン溶媒だけでなく粘度の高いエステル等で
も確認した。
【0031】以上のことから、含ハロゲン溶媒、エステ
ル等にほとんど溶けない金属塩でも、あらかじめ非ハロ
ゲン溶媒で処理することにより、溶媒に対する溶解速度
や溶解度を高めることができることが判明した。
【0032】本発明のより望ましい電解液は、金属塩を
あらかじめ非ハロゲン溶媒で処理(たとえば、溶解、付
着、含浸)した後に、溶媒を加えて、アルカリ金属塩を
溶媒に溶解させることによって調製される。特に望まし
いのは処理後の金属塩に対する非ハロゲン溶媒の重量比
が望ましくは0.1以下、より望ましくは0.05以下
が好ましい。また、非ハロゲン溶媒の金属塩に対する含
量が重量比で0.0005以上が望ましく、0.005
以上であればより望ましい。
【0033】ここで、非ハロゲン溶媒処理が有効な溶媒
としては含ハロゲン溶媒、たとえばCH2 Cl2 、CH
Cl3 、CCl4 、CBrF3 、CF3 CF2 CHCl
2 、CClF2 CF2 CHClFなどのハロゲン元素を
含む溶媒、そのほか粘度の大きいプロピレンカーボネー
ト、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ
−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのエステ
ル、さらにはスルフォランなどにも効果がある。非ハロ
ゲン溶媒処理が効果的な高粘度溶媒の粘度は25℃にお
いて1cp(センチポイズ)以上望ましくは1.5cp
より望ましくは2.0cp以上が良い。
【0034】非ハロゲン溶媒としては、たとえばジエチ
ルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロ
フラン、グライム、ポリエチレンオキサイドなどのエー
テル類、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクト
ン、ギ酸メチルなどのエステル類、そのほかアミン類、
ケトン類、含イオウ化合物、さらにはアルコール、水な
どのプロトン性溶媒などが挙げられるが、エーテル類、
エステル類が好ましく、特にエーテル類がアルカリ金属
塩の溶解性が大きく、かつ負極との反応性が低いことか
ら好ましい。
【0035】なお、アルコールなどのプロトン性溶媒は
リチウムなどと反応しやすく、負極に悪影響を及ぼすこ
とが多いので、有機電解液電池では、あまり使用される
ことがないが、本発明のような使用方法では、プロトン
性溶媒はアルカリ金属塩に強く束縛されるため、負極と
の反応性は低くなる。
【0036】正極には、たとえば二酸化マンガン、五酸
化バナジウム、クロム酸化物、リチウムコバルト酸化
物、リチウムニッケル酸化物などの金属酸化物または二
硫化モリブデンなどの金属硫化物、またはそれらの正極
活物質に導電助剤やポリテトラフルオロエチレンなどの
結着剤などを適宜添加した合剤を、アルミ箔、ステンレ
ス鋼製網などの集電材料を芯材として成形体に仕上げた
ものが用いられる。
【0037】正極活物質として金属酸化物を用いた場合
は高電圧が得られるが、そのように高電圧になった場
合、従来のLiBF4 やLiB(C6 5 4 ではさら
に貯蔵性が悪くなるが、本発明で用いる電解質はそのよ
うな高電圧下でも貯蔵性を低下させることがないので、
その意義が大きい。
【0038】正極集電体にAlを用いた場合を例にと
り、Alの電解液中への溶出抑制効果を説明すると、本
発明で用いる電解質(フッ素原子を含む立体障害バリア
ー構造を有する金属塩)は、従来使用のCF3 SO3
iを用いた場合に比べて3.1V付近から差が現れはじ
める。
【0039】そして、それ以上の電位では、CF3 SO
3 Li系では完全に酸化電流が立ち上がっている(つま
り、Alに酸化電流が流れてAl自体が酸化され、電解
液中へ溶出する)のに対し、たとえばC4 9 SO3
iを用いた場合には、ほとんど酸化電流が流れず顕著な
差となって現れ、酸化電流が立ち上がるのは約4.6V
である。さらに、LiTFPBを用いた場合は約10V
になっても電流が急激に立ち上がる領域が見られず大変
安定な金属塩であった。
【0040】また、本発明の電解質を用いる際、正極集
電体にAlまたはその合金を使用すると、安全性上も好
ましい組合せになる。
【0041】すなわち、電池異常放電時に正極の電位が
Li基準で350mV以下になった場合、正極集電体が
合金化してボロボロになり、正極の集電がとれなくなっ
て、電流が遮断され、電池の異常発熱を防止できるから
である。
【0042】このためには、構造上の設計を適正にし、
次に示す事項に留意すればよい。
【0043】まず、電流を遮断する場所の設定である
が、この電流を遮断するのに最も適しているのは、集電
体のタブ部分(板状の正極の一辺に接続されて、金属で
できた正極集電部材で正極と正極端子部とを連結するリ
ード部)であり、この部分が合金化すると、この部分だ
けがボロボロになって脱落するだけで電流が遮断され
る。
【0044】第2に、電流を遮断すべき場所が電解液で
濡れていることである。すなわち、アルミニウムの合金
化は電解液のあるところでしか起こらないからである。
したがって、電流を遮断する場所まで電解液を満たす
か、電解液浸透性のもので覆い、電解液で濡れている状
態に保つことが望ましい。
【0045】第3に、電流を遮断すべき部分に引張応力
がかかっていることである。もし、圧縮応力がかかって
いるとすると、ある程度のAl合金が脱落しても再度く
っついてしまうからである。
【0046】但し、引張応力の方向は問わない。一部で
もボロボロになってはずれると、それぞれ横方向に離れ
るため、確実に電流を遮断できるためである。
【0047】また、望ましい条件として、電流遮断部分
が他の部分より細くなっていることが挙げられる。これ
は、所望の部分以外でリード体が切断されると、その部
分に縮み応力がかかっていたりする場合に充分な効果が
得られないことが起こるからである。
【0048】ここで、この様な引張応力はアルミ等の集
電材の4.2V以上での安定性を損なう場合があるもの
の本発明の有機金属塩を用いた場合はその影響が軽微に
押さえられるのである。例えば、冷間圧延により形成さ
れた、歪の大きいアルミと高温から焼きなました歪の小
さいアルミとでは、歪の小さいアルミのほうがより安定
であった。LiCF3SO3等を電解質として用いた場合
は、歪の大きいアルミを用いた場合、高電圧でアルミが
容易に溶出してしまうが、本発明の金属塩の場合は歪の
大きいアルミでも安定性は優れていた。従って、本発明
の金属塩を用いた場合はアルミ等の集電材に引張応力に
より歪が生じてもその影響は小さい。
【0049】ところで、圧延により、歪の大きくなった
アルミにも長所がある。圧延によってアルミの粒界が小
さくなり、電池異常放電時におけるアルミとリチウムの
合金化がより均一に進行し確実な電流遮断に寄与する、
かつ30ミクロン以下の薄い集電体でも引っ張り強さが
10〜12kg/mm2以上となり充分な強度が得られ
るのである。
【0049】また、正極活物質の表面積が小さくなると
貯蔵性はさらに向上する。本発明の電池に用いる正極活
物質は、表面積が50m2 /g以下であることが好まし
く、望ましくは30m2 /g以下、さらに望ましくは2
0m2 /g以下である。
【0050】さらに、正極活物質の金属酸化物の活性表
面をアルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物で処理
して、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有させ
ると、さらに貯蔵性が向上するので好ましい。また、電
池作製後予備放電を行なうことによっても貯蔵性を多少
向上させることができる。
【0051】
【実施例】つぎに、実施例をあげて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0052】実施例1 (CF3 SO2 3 C・Li、C4 9 SO3 Li、L
iTFPBを非ハロゲン溶媒であるエチルエ−テルに溶
解し、真空乾燥を行ない、エチルエ−テルのリチウム塩
に対する重量比を約0.04にしたのち、プロピレンカ
ーボネートを加えて混合し、0.1mol/lLiTF
PB+0.1mol/l(CF3 SO23 C・Li+
0.1mol/lC4 9 SO3 Li/PCで組成が示
される電解液を調製した。
【0053】上記電解液におけるLiTFPBは前述し
たようにリチウムテトラキス〔3,5−ビス(トリフル
オロメチル)フェニル〕ボレートの略称であり、PCは
プロピレンカーボネートの略称である。したがって、上
記電解液を示す0.1mol/l LiTFPB+0.
1mol/l (CF3 SO2 3 C・Li+0.1m
ol/l C4 9 SO3 Li/PCは、電解液がプロ
ピレンカーボネート溶媒にリチウムテトラキス〔3,5
−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕ボレートと
(CF3 SO2 3 C・LiとC4 9 SO3 Liを
0.1mol/lづつ溶解させたものであることを示し
ている。ここで、プロピレンカーボネートの25℃にお
ける粘度は2.5cpである。
【0054】また、電解二酸化マンガンを熱処理後、水
酸化リチウム水溶液で熱処理して表面積18m2 /gの
活物質とした後、この二酸化マンガン100重量部とカ
ーボンブラック5重量部とポリテトラフルオロエチレン
を分散させた水−溶媒混合溶液5重量部(固形分換算重
量)を混合した後、これを20ミクロン厚のアルミ箔を
芯材として両面に塗布し乾燥後、厚さ0.4mm、幅3
0mmのシート状に成形し、リ−ド部(厚み30ミクロ
ンで圧延により歪が大きくかつ引張り張力17kg/m
2となったもの。その形状は図2に示す。)を取り付
けた帯状正極を、250℃で乾燥し、乾燥後、乾燥雰囲
気中で室温まで冷却した。
【0054】つぎに、上記帯状正極を厚さ25μmの微
孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパレータではさ
みこみ、これに厚さ0.18mm、幅30mmのシート
状リチウムをステンレス鋼製網に圧着した帯状負極を重
ね、渦巻状に巻回して渦巻状電極体とした後、外径15
mmの有底円筒状の電池ケース内に充填し、正極および
負極のリード体のスポット溶接を行なった後、前記の電
解液を電池ケース内に注入した。
【0055】つぎに、常法にしたがって、電池ケースの
開口部を封口し、図1に示す構造の筒形の有機電解液電
池を作製した。
【0056】ただし、上記の正極集電体には、後に詳述
するように電解液への浸漬部分に特定の態様で引張方向
への応力をかけている。
【0057】図1に示す電池について説明すると、1は
前記の正極で、2は負極である。ただし、図1では、繁
雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使
用された集電体などは図示していない。そして、3はセ
パレータで、4は電解液である。
【0058】5はステンレス鋼製の電池ケースであり、
この電池ケース5は負極端子を兼ねている。電池ケース
5の底部にはポリテトラフルオロエチレンシートからな
る絶縁体6が配置され、電池ケース5の内周部にもポリ
テトラフルオロエチレンシートからなる絶縁体7が配置
されていて、前記正極1、負極2およびセパレータ3か
らなる渦巻状電極体や、電解液4などは、この電池ケー
ス5内に収容されている。
【0059】8はステンレス鋼製の封口板であり、この
封口板8の中央部にはガス通気孔8aが設けられてい
る。9はポリプロピレン製の環状パッキング、10はチ
タン製の可撓性薄板で、11は環状のポリプロピレン製
の熱変形部材である。
【0060】上記の熱変形部材11は温度によって変形
することにより、可撓性薄板10の破壊圧力を変える作
用をする。
【0061】12はニッケルメッキを施した圧延鋼製の
端子板であり、この端子板12には切刃12aとガス排
出孔12bとが設けられていて、電池内部にガスが発生
して電池の内部圧力が上昇し、その内圧上昇によって可
撓性薄板10が変形したときに、上記切刃12aによっ
て可撓性薄板10を破壊し、電池内部のガスを上記ガス
排出孔12bから電池外部に排出して、電池の破壊が防
止できるように設計されている。
【0062】13は絶縁パッキングで、14はリード体
(集電体の一部)であり、このリード体14は正極1と
封口板8とを電気的に接続しており、端子板12は封口
板8との接触により正極端子として作用する。また、1
5は負極2と電池ケース5とを電気的に接続するリード
体である。
【0063】そして、上記正極集電体14の電解液4へ
の浸漬部分には、次に示すように引張方向への応力が負
荷されている。
【0064】すなわち、封口にあたり端子板12をあら
かじめA方向にずらしておき、この端子板12を横方向
にずらして所定の位置におさめて封口することによっ
て、正極集電体14のC点にはB方向への応力(図では
横方向の応力に見えるが、正極集電体14に対しては引
張方向の応力になる)がかけられている。また、その正
極集電体14のC点は、図2に示すように、他の部分よ
り細くされている。
【0065】比較例1 PC溶媒にLiB(C6 5 4 を溶解して、0.3m
ol/l LiB(C6 5 4 /PCで組成が示され
る電解液を調製した。
【0066】上記電解液におけるPCはプロピレンカー
ボネートの略称である。したがって、上記電解液を示す
0.1mol/l LiB(C6 5 4 /PCは、電
解液がプロピレンカーボネート溶媒にLiB(C
6 5 4 を0.3mol/l溶解させたものであるこ
とを示している。LiB(C6 5 4 のアニオン中心
と他の原子との最大原子中心間距離は約5.6Åであっ
た、しかし、ハロゲン原子は含んでいない。
【0067】比較例2 PC溶媒にCF3 SO3 Liを溶解して、0.3mol
/l CF3 SO3 Li/PCで組成が示される電解液
を調製した。
【0068】上記電解液におけるPCはプロピレンカー
ボネートの略称である。したがって、上記電解液を示す
0.1mol/l CF3 SO3 Li/PCは、電解液
がプロピレンカーボネート溶媒にCF3 SO3 Liを
0.3mol/l溶解させたものであることを示してい
る。CF3 SO3 Liはハロゲン原子は含んでいるがア
ニオン中心と他の原子との最大原子中心間距離は約3.
9Åに過ぎない。
【0069】また、上記電解液を用いた実施例1と同様
に図1に示す構造の筒形有機電解液電池を作製した。
【0070】つぎに、上記実施例1の電池および比較例
1、2の電池を0.3Aで10ミリ秒間放電した時の最
小電圧を測定した。また、両電池を50mA定電流で放
電し、80℃で10日間貯蔵後の容量を測定し、貯蔵前
の容量と比較した。その結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】表1に示すように、実施例1の電池は、
0.3Aで10ミリ秒放電時の電圧が高く、かつ貯蔵に
よる容量劣化も少なく、貯蔵性が優れていた。これに対
して、比較例1および2の電池は貯蔵後にほとんど放電
できず、貯蔵性が悪かった。
【0073】また、正極集電体リ−ドの一部が細くなく
応力がかかってなかったり、圧縮方向への応力をかけて
作成された電池を、10Aで強制的に過放電し、−3V
に達した後は−3V定電圧で過放電実験を行ったとこ
ろ、電流の遮断が不充分である場合があり、確実性の高
い機能は得られなかった。一方、実施例1の電池は、い
ずれも過放電途中で電流が遮断されて安全な挙動を示し
た。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電解液および有機電解液電池の貯蔵性を向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機電解液電池の一例を模式的に
示す断面図である。
【図2】図1に示す電池の正極集電体の応力をかけた部
分を拡大して示す図である。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 セパレータ 4 電解液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 園田 高明 福岡県福岡市博多区光町2−1−23 (72)発明者 小林 宏 福岡県福岡市博多区光町2−1−23

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの電子求引性基が、中間
    骨格を介して、周期律表IIIb〜VIb族から選択さ
    れる何れか一種の元素でなるアニオンの電荷中心原子と
    結合してなり、このアニオンにおいて電荷中心原子と他
    の原子の中心間の最大距離が4Å以上である有機アニオ
    ンを含む金属塩を有機溶媒に溶解した有機電解液。
  2. 【請求項2】 請求項1のアニオンにおいて、電荷中心
    原子と他の原子の中心間の最大距離が5Å以上である有
    機アニオンを含む金属塩を有機溶媒に溶解した有機電解
    液。
  3. 【請求項3】 有機アニオンを含む金属塩が(CF3
    2 2 N・ME、(CF3 SO2 3 C・ME、〔C
    6 4 (F)〕4 B・ME、〔C6 4 (Cl)〕4
    ・ME(ここでMEはLi、Na、Kなどの金属であ
    る)またはCn2n+1SO3 Li(ここでnは2以上の
    整数)またはLiB〔C6 4 (CF3)〕4 、LiB
    〔C6 3 (CF3 2 4 (リチウムテトラキス
    〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕ボレ
    ート)(以下、LiTFPBで示す)、LiB(C6
    3 2 4 〔ここで、Aは−C(CF3 2 OCH3
    のいづれかである請求項1記載の有機電解液。
  4. 【請求項4】 請求項1において、上記電解質としてハ
    ロゲン化アルキル基を4つ以上含む金属塩またはハロゲ
    ン原子を含む有機ホウ素系金属塩を用いたことを特徴と
    する有機電解液。
  5. 【請求項5】 電解質がハロゲン化アルキル基を5つ以
    上含む金属塩であることを特徴とする請求項4記載の有
    機電解液。
  6. 【請求項6】 電解質がベンゼン環を4つ有し少なくと
    も1個のベンゼン環に2個以上のフルオロアルキル基を
    有する金属塩であることを特徴とする請求項5記載の有
    機電解液。
  7. 【請求項7】 電解質がハロゲン原子を含む有機ホウ素
    系リチウム塩であり、有機溶媒がエステル類、カーボネ
    ート類の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項
    1記載の有機電解液。
  8. 【請求項8】 少なくとも一つの電子求引性基が、中間
    骨格を介して、周期律表IIIb〜VIb族から選択さ
    れる何れか一種の元素でなるアニオンの電荷中心原子と
    結合してなり、このアニオンにおいて電荷中心原子と他
    の原子の中心間の最大距離が4Å以上である有機アニオ
    ンを含む金属塩を有機溶媒に溶解した有機電解液を用い
    た電池。
  9. 【請求項9】 正極集電体として、アルミニウムまたは
    チタンを含有する金属を用いる電池において、請求項1
    記載の電解液を用いることを特徴とする電池。
  10. 【請求項10】 板状の正極の一辺に接続されて、電解
    液と接触し得る状態にあるアルミニウムまたはチタンを
    含有する金属でできた正極集電部材が、引張応力を受け
    る状態で配置されている電池において、請求項1記載の
    電解液を用いることを特徴とする電池。
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