JPH0623763B2 - モノクローナル抗体を含む肝疾患診断剤 - Google Patents

モノクローナル抗体を含む肝疾患診断剤

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JPH0623763B2
JPH0623763B2 JP60026532A JP2653285A JPH0623763B2 JP H0623763 B2 JPH0623763 B2 JP H0623763B2 JP 60026532 A JP60026532 A JP 60026532A JP 2653285 A JP2653285 A JP 2653285A JP H0623763 B2 JPH0623763 B2 JP H0623763B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はヒト肝細胞抗原に対するモノクローナル抗体を
含む酵素免疫反応を利用した急性肝炎および肝硬変の診
断剤に関するものである。
多くの肝疾患においては肝細胞膜成分が血液中に存在
し、さらに病態によってはこれらの細胞膜成分が抗原と
なって体内に抗体が産生されることがある。
従って肝組織由来の抗原や、この抗原に対する抗体のレ
ベルは種々の肝疾患のマーカーとなりうる。モノクロー
ナル抗体はこのような肝組織由来の抗原(Human Liber
Specific Antigen,HLSA)のレベルの測定、ひいては肝
疾患の診断に利用される。
〔従来の技術〕
従来肝疾患の診断にはALT(アラニンアミノ転移酵素、A
ST(アスパラギン酸アミノ転移酵素)等肝臓に存在する
酵素の活性を測定する方法等が用いられていた。これら
の方法によって肝機能や肝疾患について種々の情報を得
ることができるが必ずしも肝機能に特有のものではなく
正確な測定や診断のためにはさらに他の情報を得る手段
が求められていた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は鋭意研究の結果、ヒト肝細胞抗原に対する
モノクローナル抗体を得ることに成功し、これを利用す
ることによって肝疾患の診断が可能なことを知った。
本発明によれば、マウスをヒト肝細胞抗原で免疫して得
られる脾細胞と、マウスミエローマ細胞とを通常の方法
で融合し、ヒト肝細胞抗原に対するモノクローナル抗体
を産生する能力を有する融合細胞を、培地で培養するか
またはマウス腹腔内に移植して腹水癌化することにより
培養液中または腹水中に該モノクローナル抗体を生成蓄
積させ、該培養液または腹水中から採取されたモノクロ
ーナル抗体を含む酵素免疫反応を利用する急性肝炎およ
び肝硬変の診断剤が提供される。なおここにいう肝硬変
は肝癌を合併した疾患をも含めた意味である。
本発明の肝疾患診断剤となるヒト肝細胞抗原に対するモ
ノクローナル抗体は、次の如くして製造される。
(1) ヒト肝細胞抗原の調製 ヒト肝臓組織(正常肝)の破砕物をシュクロース水溶液
で抽出し、抽出物を超遠心にかけ、上清をゲル過処理
する。ゲル過は好ましくはセファレックスG−100
(米国、ファルマシア社製)カラムを用い、Tris −H
Cl,Na Cl,EDTAからなる緩衝液で溶出し、溶
出液の第1ピーク分画をセファロース(米国ファルマシ
ア社製)6Bカラムにかけ、上記の緩衝液で溶出する。
溶出液の第1ピーク画分から抗原物質が得られる(以下
これをHLSALと称する)。
(2) 免疫化動物細胞の調製 マウスをヒト肝細胞抗原で免疫し、その動物から脾細胞
を採取する。免疫化はそれ自体公知の方法によって実施
される。
(3) 融合細胞の作成 上記免疫化脾細胞とマウスミエローマ細胞とを常法に従
って融合させる。融合細胞はヒポキサンチン−アミノプ
リラン−チミジン(HAT)培地中で選択培養する。ラ
ジオイムアッセイ(RIA)により抗体を産生している
細胞群を選別し、クローニングを行ない、ヒト肝細胞抗
原に特異的なモノクローナル抗体を産生する融合細胞H
−2株を得る。
(4) モノクローナル抗体の調製 融合細胞H−2株を培地で培層するかまたはマウス腹腔
内に移植して腹水癌化することにより培養液中または腹
水中にモノクローナル抗体を生成蓄積させ、培養液また
は腹水中から常法によりモノクローナル抗体を採取す
る。
このようにして得られる融合細胞H−2株は次の特性を
有する。
(由 来) マウスミエローマ細胞(SP2−NS1)とマウス脾臓
細胞との融合細胞である。
(形 態) マウスミエローマ細胞とほゞ同様の形態を示す。
(機 能) 免疫グロブリンIgG2bを定常的に産生する。
(増殖性) ミエローマ細胞とほゞ同様の増殖性を示す。たとえば、
72時間で約10倍に増殖する。
(保存性) −80℃以下で長期間保存可能である。
(最適増殖条件) pH 7.2、温度37℃ (培 地) PRMI 1640(米国、ギブコ社製)に10%の
牛胎児血清を含ませたのもの。
上記融合細胞H−2株は昭和60年2月12日に工業技
術院微生物工業技術研究所に寄託申請された(寄託受託
拒否通知書,60微寄文第192号) 本発明のヒト肝細胞抗原に対するモノクローナル抗体は
ヒト肝臓に存在する抗原とのみ反応し、ヒトの他の臓器
や他の動物の肝臓に存在する抗原とは反応しない。従っ
て各種ヒト肝疾患の病態診断剤として使用される。ま
た、本発明の診断剤は従来の肝機能検査の1つであるA
LTの検査結果とは相互関係を有しないので、全く異な
った面から、肝疾患の診断をすることができる。
本発明のH−2モノクローナル抗体を用いて肝疾患を診
断する場合は、常法により、好ましくはサンドイッチ法
により患者血清中のヒト肝細胞抗原を測定する。例え
ば、H−2モノクローナル抗体を固相化し、検体抗原を
反応させ、家ウサギから調製した抗体血清を反応させ、
さらにペルオキシダーゼ標識した抗ウサギ免疫グロブリ
ンを反応させ、O−フェニルジアミンおよび過酸化水素
を反応させ、490nmの吸光度を測定する。
次に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
参考例1 融合細胞の調整 (1)ヒト肝細胞抗原の調整 ヒトの正常肝組織を2.5%シュクロースでホモジナイズ
し、 100,000gの超遠心にかける1時間後得られ、上清
を、セファデックスG−100のカラムにかける。溶出
には、 0.1M Tris −HCl(pH 8.0)、 0.2M
Na Cl、 0.1MEDTA緩衝液を用いた。得られた第
1ピークの分画をセファロース6Bカラムにかけ、同様
の緩衝液で溶出された第1ピークを集めて、以下に用い
る抗原物質とした。
抗原物質の精製の詳細については、 Mc Farlaneらの方法(Punfication and Characteri
zation of human liver−specificmembrane lipoprotei
n(LSP),(ClinicalExperimental Immunology
27,381〜390(1977))に準じて行なっ
た。
(2) 融合のための脾臓細胞の調製 Balb /c マウス(5週令、♀)にフロインド完全アジ
ニバントに溶解させた160μgの抗原物質を皮下およ
び腹腔内に半分ずつ注射する。1カ月後同様に皮下投与
を行ない、さらに1カ月後同様に注射した。最終投与の
4日後に脾臓をとり出し、脾細胞を血清不含の培養液
(RPMI1640(ギブコ社製) 7.5mM HEPE
S,pH 7.2で緩衝)中に浮遊させた。
(3) 細胞融合のためのミエローマ細胞の調製 マウスミエローマ細胞(SPZ−NS1)は10%牛胎
児血清を含有するRPMI 1640培地に継代した。
SP2/NS1のミエローマ細胞の発育は、5%の炭酸
ガスを含む気流を流した炭酸ガスインキュベーターに2
37℃で継代培養を行った。この細胞は選択的にヒポキ
サンチン−アミノプテリン−チミジン培地中で阻害され
ることを確認した。
(4) 融合細胞の作製 マウスミエローマ細胞(SPZ−NSI)のRPMI浮
遊液(2×107個)を用意し、前記の脾細胞浮遊液
(7×107個)と混合した後400×gで5分間遠心
分離して上清を除き両細胞の混合した沈澱を採取した。
沈澱に50%(重量/容量)ポリエチレングリコール溶
液1mlを37℃、1分間にわたってゆるく撹拌しながら
加えて、両細胞を融合させた。その後、牛胎児血清を含
まない15mlのRPMI 1640培地を徐々に加えて
反応を停止させ、RPHI 1640で2〜3回洗浄
(400×g、5分間)し、融合細胞を得た。
上記の融合細胞を牛胎児血清15%を添加したRPMI
1640培地に浮遊させて、2×106個/mlの細胞
を含む懸濁液とし、その 0.1mlずつを96穴の組織培養
プレートに入れ95%空気/5%炭酸ガスの気流中で炭
酸ガスインキュベーターを用いて、37℃で24時間培
養した後、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン
(HAT)選択培地 0.1mlずつを加えて培養を行った、
その後、培養2,3,5日目に数回HAT培地の交換を
行いながら培養を続け、10日目以後はHT培地で数回
培養液の交換を行い、14日目に各培養液上清を取り抗
体を産生している細胞群をラジオイムノアッセイ(RI
A)で選びだした。選別は希釈法を用い、1ウェルあた
り1個の融合細胞が含まれるようにして増殖させた。得
られたクローンを幾度か希釈して培養をくり返し、クロ
ーニングを行った。こうしてヒト肝細胞抗原に特異的な
モノクローナル抗体を産生する融合細胞H−2株を得
た。
以上の操作はKh1er とMilstein (1975)ら
(Kh1er,G and Milstein,C.Nature,256,4
95(1975)により確立された常法に従って行っ
た。
参考例2 モノクローナル抗体の調製 (1) プロテインAによるH−2モノクローナル抗体の精
製 Balb /c マウス(6〜8週令・雌性)にプリステーン
(サメ由来の鉱油)を1匹あたり 0.5ml腹腔内投与して
1週間後、約106〜107個の抗体産生細胞H−2株
をマウス腹腔内に移植し、1〜2週間後に貯溜した腹水
を採取した。腹水を硫安分画法により分画して0〜50
%分画の沈澱を集め 0.1Mリン酸緩衝液(pH 8.0)に
溶解し、透析した。透析物の上清はpH 8.0の 0.1Mリ
ン酸緩衝液で平衡させたProteinA−SepharoseCL−
4Bカラム(米国、ファルマシア社製)に吸着させ、
0.1H酢酸と 0.14M Na Clの混合物を用いて溶出さ
せた。溶出後トリス粉末にて中性に調製し、 0.1Mリン
酸緩衝液(pH 7.4)で十分に透析してH−2モノクロ
ーナル抗体を得た。
(2) H−2モノクローナル抗体の免疫グロブリンクラス
およびサブクラスの同定 ハイブリド細胞の培養液についてRIA法で免疫グロブ
リン(Ig)の存在について分析した。8μg/mlの抗
原液で抗原をプレートに固相化して10%牛胎児血清を
含むリン酸緩衝液で洗い、次に 1.5%牛血清アルブミン
(BSA)を含むリン酸緩衝液を加えて、室温で一晩放
置した。次にハイブリド細胞を培養した培養液を加えて
37℃45分インキュベートした。洗浄後家兎より得た
抗血清(抗マウスIgG1,G2a,G2b,G3,Ig
M,IgA)を別々に加えて37℃45分インキュベー
トし、洗浄後 125I標識プロテインAを加えてさらに3
7℃45分インキュベートして洗浄後ガンマシンチレー
ション計数器で分析した。結果を第1図に示す。1分間
当りのカウント(cpm )は抗体の存在または不存在を示
す。第1図に示すように上記実施例で得られたH−2モ
ノクローナル抗体はIgG2bに属する免疫グロブリンで
ある。
(3) H−2モノクローナル抗体の種および臓器特異性 ヒトから得られた臓器、肝臓、腎臓、甲状線、筋肉、心
臓、膵臓、胆のう、胃、空腸、結腸を用いて、前記と同
様の方法で抗原物質を調製した。これらの抗原物質とH
−2モノクローナル抗体を用いてELISA(Enzyme
Linked Immunosorbent Assay、酸素免疫測定法)に
てH−2モノクローナル抗体に対応する抗原の種および
臓器特異性を検討した。
上記抗原物質5μg/mlをプレートに固相化して37℃
で1時間洗浄し、20%牛胎児血清を含むリン酸緩衝液
を加えて室温で一晩放置した。次にH−2モノクローナ
ル抗体を加えて37℃45分インキュベートした。洗浄
後ペルオキシダーゼ標識した抗マウス免疫グロブリンを
加えて37℃で2時間インキュベートして、洗浄後O−
フェニルジアミンおよび過酸化水素を加えて、常法に従
って490nmの吸光度を測定した。結果を第2図に示
す。ヒトの各臓器について調べた結果、第2図に示した
ようにH−2モノクローナル抗体は、肝臓に特異的に存
する抗原とのみ反応することが認められた。またヒト以
外のラット、および家兎の肝臓についても同様に検討し
たところ、H−2モノクローナル抗体はヒトのみに反応
してラットおよび家兎とは反応しなかった。これらのこ
とから本発明により得られたH−2モノクローナル抗体
はヒトの肝臓とのみ存在する抗原に対するモノクローナ
ル抗体である。
実施例 肝疾患の診断 (1) 抗血清の調製 160μgのLSP preparationと等量の完全フロイン
トアジュバンドで懸濁液を調製し、家兎の前足および背
部皮下に注射した。3週間後等量のLSP preparation
を静脈内注射した。さらに1,2週間後にそれぞれ同様
に静脈内に投与し、最終投与後3日目に頚動脈より全採
血を行い、血清を得た。
(2) 診 断 肝疾患患者血中に出現するHLSA1(HumanLiver
Specific Antigen 1)抗原の検出と病態との関連を
知るために、H−2モノクローナル抗体を用いてサンド
イッチ法によりHLSA1抗原量を測定した。
96穴の組織培養プレートにH−2モノクローナル抗体
(10μg/ml)を加えて37℃1時間インキュベート
し、次に洗浄後2%牛血清アルブミンを含むリン酸緩衝
液(pH 7.4)を加える。37℃10分間放置後洗浄し
てヒト肝より得た抗原物質を40,20,10,5,2
5, 1.25 μg/mlの各濃度で加えて、37℃2時間イ
ンキュベートした。インキュベート後洗浄して、家兎か
ら調製した抗LSP血清を2000倍希釈して加えた。
37℃45分間インキュベート後ペルオキシダーゼ標識
した抗ウサギ免疫グロブリンを20,000倍希釈して加え3
7℃2時間インキュベートして洗浄後、O−フェニルジ
アミンおよび過酸化水素をELISAの常法に従って加
えて、490nmの吸光度を測定した。
まず標準曲線を得るために上記LSP抗原物質で調べた
結果を第3図に示す。第3図のように 1.25 μg/mlか
ら20μg/mlの濃度において、直線関係がえられる標
準曲線をえた。
次に肝疾患患者への適用のために、前記サンドイッチ法
において患者血清を100倍から400倍希釈に検討し
た。その結果、第1表に示した如く、患者血清中に極め
て高い値でHLSA1抗原が検出された。Wilcoxon ra
nk sum test およびStudent t−testの結果慢性非活
動性肝炎は健常コントロールと比して有意な差は認めら
れなかったが、他の肝疾患では高く、急性肝炎、肝硬変
に肝癌が合併した疾患、肝硬変、慢性活動性肝炎の順に
高く、急性肝炎では健常コントロールに比して6倍以上
高くHLSA1抗原が見出された。さらにHLSA1抗
原の出現頻度は急性肝炎では8/8例、肝硬変+肝癌の
4/4例、肝硬変の8/10例、慢性活動性肝炎の15
/25例の血中に検出された。さらに従来の肝機能検査
法であるALT,ASTのうちのALTとの相関関係を
直線回帰法で調べたところ、HLSA1抗原とALTと
は相関関係がなかった。このことから本発明により、得
られた結果は従来の肝機能検査の一つであるALT以外
をマーカーに肝疾患を調べていることとなり本発明のモ
ノクローナル抗体が全く新しい肝機能検査の手段となる
ことを示すものである。
【図面の簡単な説明】
第1図はH−2モノクローナル抗体の免疫グロブリン
(Ig )クラスおよびサブクラスの分析結果を示すグラ
フである。第2図はH−2モノクローナル抗体のヒト臓
器特異性および種特異性を示すグラフである。第3図は
LSP抗原物質を用いて作成した抗原物質濃度標準曲線
を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マウスをヒト肝細胞抗原で免疫して得られ
    る脾細胞とマウスミエローマ細胞とを通常の方法で融合
    し、ヒト肝細胞抗原に対するモノクローナル抗体を産生
    する能力を有する融合細胞を培地で培養するかまたはマ
    ウス腹腔内に移植して腹水癌化することにより培養液中
    または腹水中に該モノクローナル抗体を生成蓄積させ、
    該培養液または腹水中より採取されたモノクローナル抗
    体を含む酵素免疫反応を利用する急性肝炎または肝硬変
    の診断剤。
JP60026532A 1985-02-15 1985-02-15 モノクローナル抗体を含む肝疾患診断剤 Expired - Lifetime JPH0623763B2 (ja)

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