JPH06240425A - 改良されたアルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

改良されたアルミニウム合金板の製造方法

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JPH06240425A
JPH06240425A JP5047545A JP4754593A JPH06240425A JP H06240425 A JPH06240425 A JP H06240425A JP 5047545 A JP5047545 A JP 5047545A JP 4754593 A JP4754593 A JP 4754593A JP H06240425 A JPH06240425 A JP H06240425A
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sheet
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aluminum alloy
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A Kasad William Iii
ウイリアム・エー・カサド・ザ・サード
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    • C22F1/00—Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
    • C22F1/04—Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of aluminium or alloys based thereon
    • C22F1/057—Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of aluminium or alloys based thereon of alloys with copper as the next major constituent
    • C—CHEMISTRY; METALLURGY
    • C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22F—CHANGING THE PHYSICAL STRUCTURE OF NON-FERROUS METALS AND NON-FERROUS ALLOYS
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 板製品の仕上げ伸張を遅延させることによっ
て、アルミニウム合金板製品の各特性を改良するための
方法を提供する。 【構成】 アルミニウム合金板製品の処理に際して、仕
上げ冷間圧延工程と仕上げ伸張工程の間に時間間隔すな
わち積極的遅延が与えられる。仕上げ伸張手順を遅延さ
せることにより、アルミニウム合金板製品は強度値が著
しく低下することなく、改良された破壊靱性が付与され
る。仕上げ伸張を積極的に遅延させる方法は、特に、2
000シリーズアルミニウム合金について適応してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、アルミニウム合金、そして更に
詳しくは、板製作用の2000シリーズアルミニウム合
金を対象としている。これらのタイプの合金に対して
は、著しい強度低下もなく改良された破壊靱性が達成さ
れる。
【0002】航空機産業においては、航空機の燃料効率
改良の一つの方法は、飛行機の構造重量を低減させるこ
とであることは一般に認識されてきている。飛行機の構
造重量を低減させるのには、高水準の破壊靱性、耐疲労
性及び耐食性と共に耐重量比高強度を有するアルミニウ
ム合金が開発されてきた。
【0003】市販の航空機用途に代表的に使用されてい
るアルミニウム合金の一つの族は、アルミニウム・アソ
シエーション2000シリーズの登録された合金であ
る。
【0004】アルミニウム合金板製造時の各処理段階の
入念な制御によって改良された破壊靱性と耐疲労性に関
して、2000シリーズアルミニウム合金に関する先行
技術にはこの他の改良も認証されている。Hyatt 等に対
する米国特許第4294525号は、アルミニウム合
金、更に詳しくは、高強度、極めて高い耐疲労性及び極
めて高い破壊靱性を特徴とする2000シリーズアルミ
ニウム合金について記載している。Hyatt 等に対する特
許は、合金を鋳造して素地とし、かつ、その素地を熱間
加工して板製品を形成することを含む、高靱性アルミニ
ウム合金からの板製品製作方法を開示している。次に板
製品は、溶体化熱処理を施されて合金中の銅の最大量が
固溶体化されるようにする。溶体化熱処理段階に次い
で、板製品は、室温で、急冷、予備時効化され、そし
て、製品の厚さの低減ならびに、強度増加のために冷間
圧延される。冷間圧延に次いで、製品は伸張して、製品
中の残留応力を除去される。伸張段階実施の目的は製品
を平らにし、強化しかつ、製品から、残留急冷及び/又
は圧延応力を除去することである。Hyatt 等は板製品の
場合、最大、1%の伸張を開示しているがこれは、2〜
3%の伸張では伸張過程における破損の事故が増えるか
らである。また、製品が1%以上伸張されると、所望の
破壊靱性の水準の維持が難しい。押出品は、あらゆる市
販合金に、普通に要求される通り、1ないし3%伸張さ
れる。押出品は冷間圧延されないから、これらは伸張以
前は比較的、軟らかい状態にある。その結果、押出品は
一般的には1%より大きい伸張の場合、破壊の事故が増
大することは起りにくい。
【0005】しかし、2000シリーズアルミニウム合
金において困難に遭遇したが、これは、最終的な板の伸
張操作の結果、破壊靱性が低下するといった特性低下に
よるものである。所望の強度水準に達するため、仕上げ
伸張はHyatt 等の特許で論じられている1%値を越え
て、3.0%という値にまで達してもよい。しかし、伸
張した板の強度水準の向上を達成するためには、破壊靱
性が犠牲となる。実際、このように強度を増大すれば破
壊靱性の最小水準を維持することは不可能となるだろ
う。
【0006】従って、重量比に対する満足な強度を維持
しながらも、これらのタイプのアルミニウム合金の破壊
靱性水準を高める必要性が生じた。
【0007】前記のことを満足させるために、本発明に
よって、下記の各段階を含む、2000シリーズアルミ
ニウム合金板製品の製造方法が提供されている。すなわ
ち、 a) 前記アルミニウム合金をインゴットに鋳造する; b) 前記インゴットを板に成形する; c) 前記板を溶体化処理する; d) 前記板を急冷する; e) 前記板を時効化する; f) 前記板を冷間圧延する;そして、 g) 前記板を伸張し、 前記伸張段階は更に、冷間圧延工程と、伸張工程の間
に、少なくとも最小限の時間間隔を設ける工程も含んで
いて伸張されたアルミニウム合金板が、許容できる強度
水準を保持しながら、破壊靱性の改良を示すようになっ
ている。
【0008】更に、本発明によって提供されているのは
破壊靱性を改善した2000シリーズアルミニウム合金
板製品の製造法で製造された板製品である。
【0009】本発明の好ましい実施態様を、今例示とし
て、付図に関して記載することとする。
【0010】本発明は、アルミニウム合金板、特に、改
良された破壊靱性を有する2000シリーズアルミニウ
ム合金板に関するものである。先行技術においては、こ
れらのタイプの合金はインゴットに鋳造され、板に成形
され、溶体化熱処理され、急冷され、時効化され、冷間
圧延されそして仕上げ伸張される。既に公知の仕上げ伸
張処理はアルミニウム合金板製品中の残留応力を除去す
るように設計される。板製品を平坦化する他に、この仕
上げ伸張処理は、例えば、1%水準の伸張による付加的
な冷間加工の結果として製品を強化する。しかし、この
仕上げ伸張処理は、平坦性と強度に関しては有利となる
けれども、アルミニウム合金板の破壊靱性と耐疲労性に
はある程度悪影響を及ぼす。加うるに、普通には伸張を
1%水準に限定している先行技術の商業的慣行では、適
当な水準の残留応力除去を達成することができず、従っ
て、板製品を機械加工して、つばさの膚を形成させるよ
うな次後の成形加工においての製品の取扱いが更に困難
になる。例えば、残留応力が無作為に分布している板か
ら生産されたつばさ膚は機械加工中そりを生じ易く、そ
り発生防止の為の別の処理の必要性が生じてくる。適当
な残留応力除去によって製作された板製品はより容易な
加工により仕上げ製品の形状を得ることができ、余分の
処理によって要求される時間と経費は節約される。
【0011】本発明は、先行技術のアルミニウム合金板
製品の破壊靱性に関連する欠点を克服する。仕上げ伸張
処理の前に、少なくとも最小限の時間間隔を与える結
果、アルミニウム合金板製品は、改良された破壊靱性を
具備して製造される。先行技術の方法では、アルミニウ
ム合金板製品を伸張する結果、仕上げ伸張処理の実施に
当り、冷間圧延に続いて積極的時間遅延を与えない場合
は、約20%程度、破壊靱性が低減することになる。冷
間圧延工程と仕上げ伸張操作の間に、十分な時間を与え
ることによって、本発明のアルミニウム合金板製品の示
す破壊靱性の低減は減少し、例えば、最終製品の有する
破壊靱性は、先行技術の方法を施したアルミニウム合金
製品のものより総括的に改良されることになる。更に、
本発明の方法は、改良された破壊靱性のみならず、ま
た、許容できる降伏強度と抗張力の水準を有するアルミ
ニウム合金製品を提供する。
【0012】アルミニウム合金板製品を伸張する前に、
最小限の時間間隔を付与する発明の工程に先立ち、アル
ミニウム合金板製品は、技術的に周知の従来の加工法を
用いて製作することができる。例えば、アルミニウム合
金は溶融し、連続直接チル鋳造のような従来の方法を用
いて、鋳込んでインゴットにする。インゴットの形成
後、インゴットを加工して所要の板形状にする前に、内
部組織を均質化することができる。代替案として、板製
品は、例えば、板状への直接連続鋳造または、連続鋳造
後熱間加工するといった別の従来法で製作することがで
きる。
【0013】本発明用の好ましい合金に含まれるもの
に、2000シリーズから選択されたアルミニウム合
金、例えば、アルミニウム・アソシエーション登録アル
ミニウム合金2324がある。一般的に、この合金はT
39焼戻し状態で供給されかつ、2329−T39板製
品と称されている。この製品は「アルミニウム及びアル
ミニウム合金製品」という書名の、1989年8月1日
改訂のアルミニウム・アソシエーション刊行物によれ
ば、標準2024溶体化処理と、急冷後の11%の公称
冷間圧延と最低1%の伸張機応力除去が施されている。
【0014】1991年現在、登録されている合金組成
の限界には、重量%として下記の元素が含まれている。
すなわち、ケイ素−最高0.10、鉄−最高0.12、
銅−3.8〜4.4、マンガン−0.30〜0.9、マ
グネシウム−1.2〜1.8、クロム−最高0.10、
亜鉛−最高0.25、チタン−最高0.15及び残分の
アルミニウムと付随的な不純物(それぞれ、最高0.0
5、合計、最高0.15)。
【0015】これらのタイプの析出硬化可能合金の代表
的なものである本発明のアルミニウム合金板製品を、高
温加工工程の後、溶体化処理を行う。溶体化処理後、板
製品は急冷し、予備時効化しそして所定の厚さに冷間圧
延する。板製品用の2000シリーズアルミニウム合金
の加工が技術的に公知であることは理解すべきである。
従って様々な加工工程に関する特定加工条件はここでは
記載しない。
【0016】冷間圧延工程の後、本発明は、少なくとも
所定の最小時間、次に伸張処理の遅延を付与する。以下
に述べるように、少なくとも所定の最小時間の遅延の効
果は、伸張前のアルミニウム合金板の組織によって説明
することができる。伸張操作に先立って、時間遅延を付
与することにより、アルミニウム合金板の自然時効過程
は、準平衡に達すると信じられる。伸張によって持込ま
れる転位組織の改変は、したがって、破壊靱性にはマイ
ナスの影響は余りもたらさない。本発明によって提供さ
れる方法で、靱性はやはり低下する。しかし、その低下
の程度は、従来用いられていた方法よりも小さい。
【0017】下記の実施例は、本発明の例示のため示し
てあるが、しかし本発明はこれに限定されるものと思惟
さるべきではない。板の諸特性に及ぼす伸張変動の影響
を鮮明にするために、各実施例の実施においては、他の
重要な処理変量は一定に維持した。これらの変量には板
の組成、粒状組織、冷間圧延前の自然時効時間及び冷間
圧延量が含まれる。各実施例は、仕上り板の特性に及ぼ
す、遅延ならびに仕上げ伸張の影響を定量的に例証して
いる。
【0018】下記の実験手順は、冷間圧延と仕上げ伸張
操作の間の保持時間の影響を調べるために採用した。
【0019】1インチゲージの2324−T39板の単
一ロットのサンプルを、サンプル組成と粒状組織の確認
のため使用した。板は、インゴット鋳造及び1インチゲ
ージへの熱間圧延を含む従来の加工法を用いて製作し
た。
【0020】3個の、0.2m(8インチ)幅×0.4
6m(18インチ)の縦長サンプルに約496.5℃
(925 1/2 °F)で1.5時間、バッチ溶体化熱処
理を施しかつ、約21.5℃(70 1/2 °F)の室温
に水急冷を行った。各サンプルは、急冷と冷間圧延操作
の間の16時間という時間間隔を、室温で自然時効にま
かせた。次に3個の鋳物は、11±0.5%冷間圧延を
行った。冷間圧延したサンプルは、長手方向に、12枚
の0.03m×0.46m(1インチ×18インチ)の
帯に鋸で切断した。切断した帯は、次に冷間圧延後、2
ないし48時間、かつ、0.5ないし3.0%と伸張量
を変えて、様々な回数伸張を行った。
【0021】長手方向の抗張力試験の実施には、各実験
条件について、8.9×10-3m(0.350インチ)
直径の試料ツーサンプルを使用した。破壊強度の確証に
は、各条件についてシャルピー試料ツーサンプルについ
てシャルピー衝撃エネルギー(CIE)を測定した。
【0022】下記表に列挙されているのは、冷間圧延パ
ーセント、冷間圧延工程(「時間」)と伸張工程の間の
時間間隔及び伸張パーセントに関する各種サンプルの値
である。表から分るように、冷間圧延のパーセントは、
各サンプルの組について比較的一定に維持されており、
冷間圧延と伸張の間の時間間隔は2ないし48時間と変
動させてある。伸張の変動は、基準サンプルの場合は0
%で、伸張したサンプルの場合は3%までであった。表
にはまた、平均抗張力(UTS in ksi)及び降
伏強度(TYS in ksi)の各値、伸びパーセン
ト及びシャルピー衝撃エネルギー(CIEインチ2乗根
当りインチポンド表示)の各値を各サンプルについて例
示してある。シャルピー衝撃エネルギーは破壊靱性の一
つの尺度である。
【0023】
【0024】2324−T39板製品の抗張力及び降伏
強度に及ぼす仕上げ伸張の影響をそれぞれ、図1と図2
に示す。図中、強度を、冷間圧延に続く各種の時間遅延
の場合の、伸張パーセントとの関係においてプロットし
てある。それぞれの場合に、強度は伸張パーセントの増
加に伴って増大している。しかし、この影響が最高であ
るのは降伏強度(近似的に降伏強度+12%で、一方抗
張力は+4%)に対してである。
【0025】冷間圧延後の様々な時間遅延について、シ
ャルピー衝撃エネルギーで測定した破壊靱性に及ぼす仕
上げ伸張の影響を図3に示す。各時間遅延の場合、靱性
は伸張パーセントの増加と共に低下する。低破壊靱性へ
の傾向が、冷間加工強化に伴う強度の増大の結果として
期待される。しかし、冷間圧延と伸張操作の間の時間間
隔は、CIE値の低下率に非常に大きな影響を及ぼす。
冷間加工から8時間以内に伸張したサンプルにおいて
は、CIE値は、0.5ないし2.5%といった伸張範
囲に亘ってほぼ20%低下する。24時間の間隔では、
0.5ないし3.0%の伸張範囲に亘っては10%の低
下しか示さず、一方、48時間の間隔では5%の低下し
か示さなかった。
【0026】冷間圧延と伸張の間の時間の総括的板特性
に及ぼす影響を図4に例示してあるが、図中、CIE値
は、冷間圧延と伸張の間の様々な時間間隔の場合の降伏
強度との関係でプロットしてある。降伏強度が68ks
i以上の範囲では、冷間圧延後、24〜48時間保持さ
れた材料は、1.5〜3.0%の範囲で伸張することが
できて、CIE靱性の明らかな低下はなかった。これに
対して、伸張前に、僅か2〜8時間保持した材料に生じ
るCIE値は、僅か1.5〜2.5%伸張した後、15
〜20%も低かった。
【0027】2324−T39の強度は自然時効(すな
わち、GP域形成)と冷間加工の複雑な組合せから得ら
れる。2324−T39板製品のような飽和固溶体材料
を冷間圧延する場合は、固溶体中の過剰の溶質と、冷間
加工で持込まれた転位分布の間の強力な相互作用が起
る。材料が準安定平衡に達するため適当な時間が一度経
過すると、固溶体中の過剰の溶質は、GP域と転位の間
に分けられる。
【0028】急冷と冷間加工の間の温置期間すなわち保
持時間で、これらの欠陥の間で、過剰溶質が如何に配分
されるかが決る。例えば、温置期間が長い程、冷間加工
前は、GPゾーンの分布の方が大きくなる。従って、転
位の方へ利用される追加の溶質は少なくなる。逆に、温
置期間が短くなるほど、冷間加工前は、GPゾーンへの
配分は少なくなる。従って、転位への偏析に流用される
溶質の量は大となる。
【0029】冷間加工に続く伸張によって起る強度の向
上は、簡単に、全冷間加工の増加の結果として理解する
ことができる。しかし、強度と靱性の組合せ挙動は溶質
配分によって複雑化する。冷間加工から数時間以内(2
〜8時間)での伸張の場合、伸張操作によって持込まれ
る付加的転位は、固溶体に対するものは、冷間加工によ
って持込まれる付加的転位と類似ないし同じであると思
われる。従って、伸張で付加された転位組織への溶質配
分は冷間加工で付加された転位組織への配分とほぼ同程
度に起る。全転位組織(冷間圧延+伸張)はこの際、溶
質配分で釘付けされる。塑性変形が起るためには、この
釘付けられた転位組織は解放されるかまたは、新しい転
位が創り出されねばならない。
【0030】自然時効過程が本質的に準安定平衡に達し
た後に伸張を行う場合は、伸張で付加された転位組織へ
の偏析に利用可能な溶質は余り残っていない。準安定平
衡に達するに必要な時間は、室温とか、合金中の溶質の
過飽和量といった幾つかの要因によって決る。この時間
の、可能な範囲は、約12〜16時間またはそれ以上で
ある。少なくとも24時間といったより長い時間保持し
た後の伸張によれば、確実に、合金の状態は準安定平衡
に接近する。
【0031】加うるに、最小限の積極的時間遅延後に伸
張によって付加された転位の分布はより均一であるが、
これは新しい転位源が釘付けされた冷間圧延組織によっ
て活性化されるためである。従ってこの材料の可動転位
密度はより高いが、これは伸張で付加された転位の溶質
釘付けが余り起らないからである。従って、24〜48
時間保持された材料の破壊靱性の方が高い理由は相対的
可動性がより高いことと、その転位分布が均一であるこ
とによって説明することができる。破壊靱性には、可動
転位密度が高いことが有利であるが、これは、材料が、
加えられる応力に対してより容易に対応できるからであ
る。前記の実験手順とテストはこの場合組成、粒状組
織、自然時効及び冷間圧延は一定に保持したが、仕上げ
伸張における遅延が、降伏強度、抗張力及び破壊靱性に
影響を及ぼすことを立証している。表と図から分るよう
に、長手方向の抗張力の増大は普通程度であり、例えば
5%以下であり、伸張は0.5から3.0%に増加して
いる。
【0032】降伏強度に注目すれば、伸張パーセントの
増加が0.5ないし3.0%の範囲にあれば長手方向の
降伏強度はかなり増大することになり、例えば10%を
越すこととなる。冷間圧延と伸張の間の時間間隔が、例
えば2〜8時間と、短くなれば、例えば24〜28時間
といった長い時間間隔の場合よりも強度の増加は大きく
なるようである。
【0033】0.5ないし3.0%といった伸張パーセ
ントの増大の場合は、シャルピー衝撃エネルギー値で測
った破壊靱性は低下する。しかし、強度の増大に伴う破
壊靱性値のマイナスの変化率は冷間圧延と伸張の間の時
間間隔を増大することによって、予期しなかった程度に
著しく低下する。本発明によって提供される著しい利点
の一つは、破壊靱性を許容できない程度に低下せしめる
ことはなく、伸張の量を増大せしめ得ることである。従
って、本発明により提供される板製品は、次後の機械加
工や、製作操作において、従来公知の方法によって提供
される板製品よりも取扱いが容易である。
【0034】実験的テストと様々な処理順序で立証され
た通り、冷間圧延と伸張の間に24ないし48時間ある
いはそれ以上の時間遅延を設けることによって、破壊靱
性は、3%伸張の場合、僅かに5〜10%低下するだけ
である。これに対し、冷間圧延と伸張の間の時間遅延が
僅か2ないし8時間の後は破壊靱性値の減少は、伸張が
2.5%といった更に低伸張で実施された場合でも、ほ
ぼ20%である。
【0035】冷間圧延と伸張の間に積極的時間遅延を付
与することによって、冷間圧延後、例えば2〜8時間と
いった短時間以内での伸張を施した板製品に比べて、著
しくマイナスの破壊挙動の変化は示さない改良された板
製品が提供される。更にまた、強度の向上は、冷間圧延
と伸張の間の時間によってほんの僅かしか影響されない
ことが判明した。このように、本発明の処理を施したア
ルミニウム合金板製品は、なお、許容できる強度水準を
保持しながら、改良された破壊靱性を具備している。
【0036】上記の実験手順は、特定の2324−T3
9アルミニウム板製品について実施されたものではある
が、冷間圧延操作に続く仕上げ伸張を遅延させる本発明
の方法は冷間加工され自然時効化した2000シリーズ
アルミニウム合金であればどんなものにも利用すること
ができる。可動転位密度と残留溶質にからむ同じミクロ
構造挙動は、類似の合金組成の場合、改良された破壊靱
性を提供するだろうと信じられる。例えば、この方法
は、2324ではMnであるところの、分散質を形成す
る添加物が改変されるか、あるいは、Zr、V、または
希土元素類のような別の分散質形成元素で単独にあるい
は組みで代替された2324に類似の合金にも有用であ
ると期待される。本発明はまた、自然時効化で改良を示
す、別のアルミニウム合金系例えばAl−MgやAl−
Znにも有用であるという可能性がある。
【0037】このように、一つの発明が実施され、か
つ、上記に開示された本発明の各目的のことごとくを果
す本発明の好ましい実施態様の説明により開示された。
本発明は改良された破壊靱性を有するアルミニウム合金
板製品の新しいかつ改良された製造方法を提供する。
【0038】勿論、本発明の教示からの様々な変更、改
変及び代替は、当業者であれば、本発明の所期の精神及
び範囲を逸脱することなく意図することができよう。従
って、本発明は付記の特許請求の範囲の各項によって限
定されるのみであると意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷間圧延に続く様々な時間間隔に対する伸張パ
ーセントとの関係で抗張力をプロットした図を示す。
【図2】冷間圧延に続く様々な時間間隔の場合の伸張パ
ーセントとの関係で降伏強度をプロットした別の図を示
す。
【図3】冷間圧延に続く、各種時間間隔に対する伸張パ
ーセントとの関係で衝撃エネルギーをプロットした図を
示す。
【図4】冷間圧延に続く様々な時間間隔に対する降伏強
度との関係でプロットした衝撃エネルギーを表わす別の
図を示す。
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】3個の、0.203m(8インチ)幅×
0.457m(18インチ)の縦長サンプルに約496
℃(925°F)で1.5時間、バッチ溶体化熱処理を
施しかつ、約21℃(70°F)の室温に水急冷を行っ
た。各サンプルは、急冷と冷間圧延操作の間の16時間
という時間間隔を、室温で自然時効にまかせた。次に3
個の鋳物は、11±0.5%冷間圧延を行った。冷間圧
延したサンプルは、長手方向に、12枚の0.025m
×0.457m(1インチ×18インチ)の帯に鋸で切
断した。切断した帯は、次に冷間圧延後、2ないし48
時間、かつ、0.5ないし3.0%と伸張量を変えて、
様々な回数伸張を行った。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】下記表に列挙されているのは、冷間圧延パ
ーセント、冷間圧延工程(「時間」)と伸張工程の間の
時間間隔及び伸張パーセントに関する各種サンプルの値
である。表から分るように、冷間圧延のパーセントは、
各サンプルの組について比較的一定に維持されており、
冷間圧延と伸張の間の時間間隔は2ないし48時間と変
動させてある。伸張の変動は、基準サンプルの場合は0
%で、伸張したサンプルの場合は3%までであった。表
にはまた、平均抗張力(UTS in MPa)及び降
伏強度(TYS in kJ/m2 )の各値、伸びパー
セント及びシャルピー衝撃エネルギー(CIE in
kJ/m2 )の各値を各サンプルについて例示してあ
る。シャルピー衝撃エネルギーは破壊靭性の一つの尺度
である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】下記表に列挙されているのは、冷間圧延パ
ーセント、冷間圧延工程(「時間」)と伸張工程の間の
時間間隔及び伸張パーセントに関する各種サンプルの値
である。表から分るように、冷間圧延のパーセントは、
各サンプルの組について比較的一定に維持されており、
冷間圧延と伸張の間の時間間隔は2ないし48時間と変
動させてある。伸張の変動は、基準サンプルの場合は0
%で、伸張したサンプルの場合は3%までであった。表
にはまた、平均抗張力(UTS in MPa)及び降
伏強度(TYS in MPa )の各値、伸びパーセ
ント及びシャルピー衝撃エネルギー(CIE in k
J/m2)の各値を各サンプルについて例示してある。
シャルピー衝撃エネルギーは破壊靭性の一つの尺度であ
る。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム板を形成し、板を溶体化処
    理し、板を急冷し、板を時効化し、板を冷間圧延し、そ
    して、伸張して板製品を製造することを含む2000シ
    リーズアルミニウム合金板製品を製造する方法におい
    て、板の冷間圧延後、板製品が強度及び破壊靱性の改良
    された組合せを示すよう、伸張前に積極的に時間遅延を
    することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 時間遅延が少なくとも12時間である請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 時間遅延が、12ないし16時間である
    請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 時間遅延が少なくとも14時間である任
    意の前記請求項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 時間遅延が少なくとも18時間である請
    求項1,2または4の任意の1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 時間遅延が24時間ないし48時間であ
    る請求項1,2,4または5の任意の1項記載の方法。
  7. 【請求項7】 時間遅延が、冷間圧延板を準平衡状態に
    達せしめるに十分である前記請求項の任意の1項記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 板が伸張中に1.0%ないし3.0%伸
    張される任意の前記請求項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 2000シリーズアルミニウム合金が2
    324アルミニウム合金である前記請求項の任意の1項
    記載の方法。
  10. 【請求項10】 板製品が、積極的時間遅延より実質的
    に低い、冷間圧延と伸張の間の時間遅延で製作された板
    の場合のシャルピー衝撃エネルギー値よりも20%も高
    いシャルピー衝撃エネルギー値を有する前記請求項の任
    意の1項記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記請求項の任意の1項記載の方法で
    製作された板製品。
  12. 【請求項12】 積極的時間遅延より実質的に低い、冷
    間圧延と伸張間の時間遅延で製作された板の場合のシャ
    ルピー衝撃エネルギー値よりも20%も高いシャルピー
    衝撃エネルギー値を有する請求項11記載の板製品。
  13. 【請求項13】 実質的に前記に記載したような方法。
  14. 【請求項14】 実質的に前記に記載したような製品。
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