JPH06248367A - 廃触媒からの有価金属の回収方法 - Google Patents

廃触媒からの有価金属の回収方法

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JPH06248367A
JPH06248367A JP6139793A JP6139793A JPH06248367A JP H06248367 A JPH06248367 A JP H06248367A JP 6139793 A JP6139793 A JP 6139793A JP 6139793 A JP6139793 A JP 6139793A JP H06248367 A JPH06248367 A JP H06248367A
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嶋 健 二 桐
Haruo Shibayama
山 治 雄 柴
Masaaki Shimizu
水 昌 明 清
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規で工業的に実施可能な廃触媒からの
V、Mo、Ni、Coの分離回収方法の提供を目的とす
る。 【構成】 アルミナを主成分とする担体を用いた廃
触媒を、要すれば脱油し、次いで焙焼し、得た焼成物を
溶解用触媒金属と共に硫酸で溶解し、得た溶解液を抽出
原液とし、まずモリブデンを抽出分離し、次いでバナジ
ウムを抽出分離し、その後ニッケルとコバルトの大部分
を硫化物として沈澱分離し、液中に残ったニッケルとコ
バルトをキレート樹脂に吸着して高純度の硫酸アルミ溶
液を得る。 【効果】 確実にバナジウムとモリブデンとニッケ
ルとコバルトとアルミとを容易に、かつ高回収率で分離
回収できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミナを主体とする
担体を用いた廃触媒から有価金属を回収する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】アルミナ、若しくはアルミナに少量のシ
リカなどを添加したものから成る担体にモリブデン、ニ
ッケル、コバルトなどを活性金属として担持させた触媒
に有機化学工業界において汎用されている水素化脱硫触
媒がある。この水素化脱硫触媒は使用中に処理油から搬
入されるバナジウム、ニッケルなどの重金属類に被毒さ
れ、次第に触媒活性が低下する。そして、所定時間使用
された後、所謂廃触媒として廃棄されている。
【0003】しかし、これら廃触媒を無秩序に廃棄する
ことは環境汚染の面のみならず、省資源及び資源再利用
の面からも問題が多く、このような問題を回避するため
に上記廃触媒から有価金属を回収することは必須の課題
されており、以前よりこの課題を解決すべく、廃触媒か
ら有価金属を回収する種々の方法が検討され、提案さ
れ、一部実施されている。
【0004】これら従来提案されている方法は大別し、
バナジウムとモリブデンのみを回収する方法と、バナジ
ウム、モリブデン、ニッケル及びコバルトを回収対象と
する方法とがある。前者に属するものとして米国特許第
4,087,510号及び特開昭47-31892号記載の方法がある。
例えば、米国特許第4,087,510号公報記載の方法は、廃
触媒に苛性ソーダあるいは炭酸ソーダを添加し、焙焼し
てバナジウムとモリブデンを水可溶性のソーダ塩とし、
これらを水で浸出し、得た浸出液よりバナジウムとモリ
ブデンとを分別回収するものであり、特開昭47-31892号
公報記載の方法は、廃触媒を酸化焙焼した後、得た焙焼
物に苛性ソーダや炭酸ソーダを添加し、ソーダ焙焼し、
バナジウムとモリブデンを水可溶性ソーダ塩とし、水で
浸出し、得た浸出液よりバナジウムとモリブデンを分離
回収するものである。
【0005】これらの2つの方法は高温で加熱焙焼する
ことにより廃触媒中のニッケルやコバルトがアルミナと
複合酸化物を形成し、あるいはアルミナ自体がγ-Al2O3
からα-Al2O3(別名:corundum)に結晶構造が変換し、酸
やアルカリに対して極めて安定化するため、浸出液中に
選択的にバナジウムとモリブデンとが浸出されることに
なる。このため、バナジウムとモリブデンのみを回収す
るという視点からは、上記2つの方法は極めて理想的な
ものといえるが、近時のすべての有価金属の回収という
視点からは全く役にたたないものといえる。
【0006】後者のバナジウム、モリブデン、ニッケル
及びコバルトを回収対象とする方法は近時の視点にかな
うものであり、この課題を解決すべき方法として提案さ
れているものが特開昭47-21387号公報、特開昭54-10780
1号公報、特開昭51-73998号公報記載の方法である。
【0007】例えば、特開昭47-21387号公報記載の方法
は、廃触媒を酸化焙焼して、それに含有している有機物
及び硫黄などを除去した後、アンモニア水を用いて常圧
〜加圧下で浸出することによって、該廃触媒に含有され
ているV、Mo、Ni、Coなどを浸出し、回収するも
のであり、特開昭54-107801号公報記載の方法は、廃触
媒を300〜1000℃程度で酸化焙焼したのち、さらに塩素
ガスを添加し、廃触媒に含有されているV、Mo、N
i、Coなどを塩素化して水可溶性塩化物とし、この塩
化物を浸出するものであり、特開昭51-73998号公報記載
の方法は、廃触媒を水蒸気雰囲気下で焙焼し、廃触媒に
付着している有機物などを除去した後、高濃度の酸を用
いて廃触媒に含有されているV、Mo、Ni、Coなど
を浸出するものである。しかしながら、これらの方法で
は何れもニッケルやコバルトの浸出率が十分ではなく、
加えて、中途半端にアルミナが溶解される結果、V、M
o、Ni、Coを含むアルミニウム溶液が浸出液として
得られることとなる。
【0008】このようなアルミニウム溶液よりV、M
o、Ni、Coを分別回収しようとすると、アルミニウ
ムが抽出操作時に妨害元素として作用する等の弊害があ
り、また各金属の中途半端な分配も手伝い有効に分別回
収できない。このような状況下、未だ廃触媒よりのV、
Mo、Ni、Coを工業的に分別回収し得る方法は提案
されていないと言える。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる実情
に鑑みなされたものであり、新規で工業的に実施可能な
廃触媒からのV、Mo、Ni、Co、Alの分離回収方
法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の方法は、アルミナを主成分とする担体を用いた廃触
媒を、要すれば脱油し、次いで400〜1000℃で焙焼し、
得た焼成物を溶解触媒用金属と共に硫酸で溶解し、得た
溶解液を抽出原液とし、該抽出原液と所定量のMo抽出
用抽出剤を含むMo抽出有機とを接触させてモリブデン
を含む有機相とMo抽出残液とを得、該有機相よりモリ
ブデンをアルカリ溶液を用いて逆抽出し、モリブデン酸
塩溶液と再生Mo抽出有機とを得、再生Mo抽出有機を
前記モリブデン抽出工程に繰り返し、モリブデン酸塩溶
液よりモリブデンを回収し、前記Mo抽出残液と所定量
のV抽出用抽出剤を含むV抽出有機とを接触させてバナ
ジウムを含む有機相とV抽出残液とを得、該有機相より
バナジウムを鉱酸溶液を用いて逆抽出し、含バナジウム
溶液と再生V抽出有機とを得、再生V抽出有機を前記バ
ナジウム抽出工程に繰り返し、前記V抽出残液と硫化水
素ガスと接触させて、V抽出残液中のニッケル、コバル
トを硫化物として回収し、回収終液をキレート樹脂と接
触させて分離液中の微量のニッケルとコバルトとを該キ
レート樹脂に吸着させ、高純度の硫酸アルミニウム溶液
を得、一方キレート樹脂に吸着せしめた微量のニッケル
とコバルトとを硫酸を用いて遊離し、得た遊離液を前記
還元溶解工程に繰り返すものであり、さらに具体的に
は、(1)還元溶解時に、非酸化性雰囲気下で、反応温度
を70〜100℃、好ましくは80〜90℃とし、溶解用触媒金
属として金属アルミニウム、金属ニッケル、金属コバル
トの中の少なくとも1つ、好ましくは金属アルミニウム
を用い、(2)モリブデンの抽出に際しては、抽出原液の
pHを0〜4とし、抽出剤として一般式R1−NH−R
2で示され、R1とR2とがそれぞれ炭素数12〜13のア
ルキル基である第2級アミンの少なくとも1種以上、好
ましくはN-Dodecenyl(trialkylmethyl)amine及び/また
はN-Lauryl(trialkylmethyl)amineとし、希釈剤を芳香
族炭化水素及びパラフィン系炭化水素の内の少なくとも
1種とし、重量比で5:95〜20:80の割合で抽出剤と希
釈剤とを混合して得たMo抽出有機を用い、(3)モリブ
デンの逆抽出に際しては、逆抽出液として0.5〜5モル
/lの可性アルカリ溶液の内の少なくとも1種か、0.5
モル/l以上のアンモニア水を用いるものであり、(4)
Mo抽出残液よりバナジウム抽出するに際して、Mo抽
出残液のpHを1〜4とし、抽出剤として2−エチルヘ
キシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルを用い、希
釈剤として芳香族炭化水素及びパラフィン系炭化水素の
内の少なくとも1種を用い、抽出剤と希釈液とを重量比
で20:80〜60:40の割合で混合してえたV抽出有機を用
い、(5)バナジウムの逆抽出に際しては、逆抽出液とし
て0.05〜2モル/lの鉱酸溶液を用い、(6)ニッケルと
コバルトとを樹脂吸着させるに際して、キレート樹脂と
してイミノジ酢酸交換基タイプとアミノカルボン酸タイ
プのものを併用し、SVを10〜20とし、一方、キレート
樹脂に吸着せしめたニッケルとコバルトとを5〜20重量
%の硫酸溶液を用いて同様のSVで溶離するものであ
る。
【0011】
【作用】本発明の適用対象となる触媒は担体としてアル
ミナを主成分とするものであり、使用された条件によ
り、あるいは反応装置より系外に排出されるときの条件
により多量の油を含む場合がある。このような場合に、
油分を除去することなく使用済み触媒を焙焼すると焙焼
温度の制御が困難となるため、予め油分を実質上問題の
ない程度まで除去しておくことが必要になる。この油分
の除去方法として、揮発しやすい低分子の有機溶媒を用
いて洗浄する方法を採用しても良く、中性雰囲気、ある
いは非酸化性雰囲気で加熱して蒸発除去しても良い。
【0012】本発明の方法では、400℃以上、1000℃未
満で焙焼することにしている。この焙焼の主目的は、一
つに炭素分の除去、一つに回収対象とする有価金属を主
として酸化物の形態とする事を目的とするものである
が、当然含まれる小量の油分や硫黄等の除去、あるいは
硫黄分の硫酸化をも目的とされる。
【0013】焙焼温度の下限を400℃以上とするのは、
あまりに低温で焙焼すると有価金属及び硫黄等の酸化反
応速度が遅くなり、酸化を確実にするための時間が長く
なり経済性の点で不利となりやすいからであり、上限を
1000℃とするのは、焙焼温度が1000℃を越えると廃触媒
中の炭素分や有価金属や硫黄等の酸化反応速度は早くな
り、かつ酸化が確実になるものの、例えばモリブデンの
ように生成した酸化物が揮発し飛散する割合が高くなる
からである。加えて、有価金属とアルミナ担体との複合
酸化物の生成が助長されるからである。有価金属とアル
ミナとの複合酸化物が形成されると、次工程の還元溶解
時の溶解速度が小さくなり効率的でなくなるからであ
る。以下、各工程毎に説明をする。
【0014】(1)還元溶解工程 本発明では、上記のようにして得られた焼成物を溶解触
媒用金属と共に硫酸溶解する。このとき水酸化物の生成
を防止するためには液のpHを4以下とすることが好ま
しい。これはpHが高いとアルミニウム等が加水分解
し、水酸化物として沈澱するからである。とはいえ、p
Hをあまり低くすると酸を大量に使用することになり、
経済性を損なうばかりでなく、次工程のモリブデンの抽
出時にアルカリを加えpHを0以上としなければならな
くなり、好ましくない。
【0015】本発明に溶解用触媒金属として用い得る金
属はアルミニウム、スズ、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、コ
バルト、マグネシウム等があるが、本発明の回収対称を
考慮すれば、アルミニウム、ニッケル、コバルトの中の
すくなくとも1種とすることが必要であり、経済性、入
手の容易性よりアルミニウムを用いることが最も好まし
い。
【0016】溶解温度については、厳密には用いる酸の
濃度とも関係するが、概して70℃未満では溶解速度が低
下し、使用済み触媒の溶解が不十分となり、一方、高い
温度例えば100℃を越える温度では溶解速度は極めて早
くなり、使用済み触媒の溶解の完全化は図れる。しか
し、同時に溶解触媒用として加える金属の酸による溶解
量も多くなり、結果的に必要とされる溶解触媒用金属量
と硫酸量とが増加し、経済性を損なうばかりでなく、作
業環境も極めて悪化し、使用し得る装置材質も限定され
ることとなる。そのため、溶解時の温度は70〜100度と
する。
【0017】溶解方法は特に制限されるものではない
が、効率良く廃触媒中の有価金属及びアルミナ担体の溶
液化を行う為には、例えば並流式又は向流式で溶解さ
せ、得られた均一溶液を順次又は連続的に取得する方
法、又は攪拌機付の反応槽を用いて溶解する方法などが
採用しうる。
【0018】(2)モリブデン抽出工程 上記の様にして得た溶解液は、通常そのままMo抽出原
液とすることができる。該抽出原液中のモリブデンは通
常6価のモリブデン酸として存在し、バナジウムは4価
の硫酸バナジルとして存在している。なお、必要があれ
ば浸出液のpHを0〜4に調整する。これは、pHが低
すぎると抽出効率が悪化し、pHが高すぎると原液中の
アルミニウムやバナジウムが加水分解し、水酸化物の沈
澱が生成するからである。抽出原液のpHをこの範囲に
維持する限り、第3相発生、クラッド発生等の液−液相
分離に支障となる現象は起こらない。
【0019】本発明で用いる抽出剤を一般式R1−NH
−R2で示され、R1とR2とがそれぞれ炭素数12〜13
のアルキル基である第2級アミンとしたのは、この抽出
剤を用いることにより初めて抽出操作時に第3相やクラ
ッド等の発生が防止できるからであり、第2級アミンと
してN-Dodecenyl(trialkylmethyl)amine及び/またはN-
Lauryl(trialkylmethyl)amineを用いればより抽出状態
は良好である。さらに、本発明で用いる希釈剤を芳香族
炭化水素、及びパラフィン系炭化水素の内の少なくとも
1種とするのは、抽出剤をより溶解し易く、かつ還元性
硫酸溶液との相分離性が良好なためである。
【0020】本発明では上記抽出剤と希釈剤とを重量比
で5:95〜20:80の割合で混合し、抽出有機として用い
るが、該範囲をはずれる場合には、例えば抽出剤が少な
い場合には抽出効率が低下し経済性を損ない、例えば抽
出剤が多い場合には抽出後の有機相の粘度が著しく増加
し、相分離に時間がかかりすぎ経済性を損なうことにな
るからである。
【0021】(3)モリブデン逆抽出工程 このようにして抽出原液よりモリブデンを抽出した有機
相からのモリブデンの回収はアルカリ水溶液を用いて逆
抽出を行う。用いるアルカリとして苛性アルカリを用い
る場合には、その濃度は0.5〜5モル/lとするのは、
上記と同様に逆抽出効率と粘度による相分離の関係から
である。アルカリとしてアンモニア水を用いる場合に
は、その濃度は0.5モル/l以上とすることができる。
この場合、濃度が高いと逆抽出液中にモリブデン酸アン
モニウムが生成するが、これはモリブデン酸アンモニウ
ムが有機相を巻き込むことなく極めて良好に反応容器中
に沈降し、逆中操作に支障を与えないからである。逆抽
出に用いるアルカリの種類は、最終的に得るモリブデン
酸塩の形態により選択すれば良く、例えば、モリブデン
酸アンモンを得るのであればアンモニア水を用い、モリ
ブデン酸ナトリウムを得るのであれば水酸化ナトリウム
溶液を用いる。
【0022】(4)バナジウム抽出工程 この様にしてモリブデンを抽出分離して得たMo抽出残
液中には4価のバナジウムが硫酸バナジルとして存在し
ている。
【0023】本工程において必要であれば抽出原液のp
Hを1〜4に調整する。これは、pHが低すぎると抽出
効率が悪化し、pHが高すぎると抽出原液中のアルミニ
ウムが加水分解し、水酸化物として析出沈澱してくるか
らである。抽出原液のpHをこの範囲に維持する限り、
第3相発生、クラッド発生等の液−液相分離に支障とな
る現象は起こらない。なお、通常還元抽出時の酸量を調
整することによりMo抽出残液のpH調整操作を省略す
ることは可能である。
【0024】本発明で用いる抽出剤を2−エチルヘキシ
ルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルとしたのは、該
抽出剤を用いればより低い酸濃度でバナジウムを逆抽出
でき、もって抽出操作時に第3相やクラッド等の発生が
防止できるからである。さらに、本発明で用いる希釈剤
を芳香族炭化水素、及びパラフィン系炭化水素の内の少
なくとも1種とするのは、抽出剤をより溶解し易く、か
つ還元性硫酸溶液との相分離性が良好なためである。
【0025】本発明では上記抽出剤と希釈剤とを重量比
で20:80〜70:30の割合で混合し、抽出有機として用い
るが、該範囲をはずれる場合には、例えば抽出剤が少な
い場合には抽出効率が低下し経済性を損ない、例えば高
い場合には抽出後の有機相の粘度が著しく増加し、相分
離に時間がかかりすぎ経済性を損なうばかりでなく、不
純物の随伴も生じることになるからである。
【0026】(5)バナジウム逆抽出工程 このようにして抽出原液よりバナジウムを抽出した抽出
有機からのバナジウムの回収は硫酸や塩酸といった鉱酸
の溶液を用いた逆抽出により行う。用いる鉱酸の濃度を
0.05〜2モル/lとするのは、上記と同様に逆抽出効率
と粘度による相分離の関係からである。
【0027】なお、液−液接触の方法は特に特定するも
のではないが、パルスカラム、ミキサーセトラ、遠心抽
出式の液−液接触装置を用いて行うことにより、バナジ
ウムの溶媒抽出が連続的に可能となり、工業的に利用で
きるものとなる。
【0028】(6)硫化工程 硫化水素によりニッケルとコバルトとを硫化物とする方
法は既に長い歴史を持つ既知の方法であり、条件等の説
明は省略する。
【0029】本発明に於いて、V抽出残液に硫化水素ガ
スを用いてニッケルとコバルトとを硫化物とするのは、
V抽出残液中に共存する微量の銅、ヒ素及び鉄を硫化物
として沈殿除去するためであり、これにより高純度の硫
酸アルミニウム溶液を得ようとするものであり、かつ次
工程でのイオン樹脂にニッケル、コバルトを吸着させる
際の負荷を軽減するためである。
【0030】(7)ニッケル、コバルトのイオン交換樹脂
への吸着工程 本発明では、ニッケルとコバルトとを硫化物として回収
した後の回収終液中の微量のニッケルとコバルトとをイ
ミノジ酢酸交換基を持つ樹脂とアミノカルボン酸交換基
を持つ樹脂とを用いて吸着除去する。これらの樹脂はそ
れぞれ別個に回収終液と接触させても良く、これらの樹
脂を混合した上で回収終液と接触させても良い。
【0031】本発明に於いて用いるイミノジ酢酸交換基
を持つ樹脂は、2価の原子価状態の有価金属元素(Ni
2+,Co2+,Fe2+,Cu2+及びVO2+)を
選択的に吸着し、アミノカルボン酸交換基を持つ樹脂
は、有価金属元素(Mo6+,V5+,Fe3+)を選
択的に吸着する能力の上から好適であるばかりでなく、
このキレート樹脂から上記有価金属を溶離し、キレート
樹脂を再生するために用いられる酸が廃触媒の溶解工程
へ、リサイクルが可能であり、運転コストの軽減とな
る。
【0032】上記樹脂への吸着、脱着条件はSVを10〜
20とし、脱着に用いる硫酸溶液の硫酸濃度を5〜20重量
%とすることが吸脱着効率上最も良い。
【0033】上記条件以外はそれぞれの単位操作で常識
的とされている範囲で任意に選択できる。以上述べたよ
うな方法に従えば、モリブデン、バナジウムはそれぞれ
塩として回収可能であり、ニッケル、コバルトは硫化物
として回収でき、ニッケル製錬の良好な原料となり、ア
ルミニウムは高純度の硫酸アルミニウム溶液として回収
でき、良好なアルミナ原料としうる。なお、本発明の目
的を達成するためには、pH調整を行うとすれば、pH
調整剤として炭酸カルシウム及び/または水酸化カルシ
ウムを用いることが推奨される。というのは、例えば、
水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムを用いると硫酸酸性
の還元性抽出残液にナトリウムが混入し、回収される有
価金属製品の純度低下をもたらす結果となるから好まし
くないからである。又、炭酸カルシウムを用いる場合
は、硫酸カルシウムを沈殿生成し、簡単な固液分離で除
去が可能であり、回収される有価金属製品の純度に悪影
響を与えないといった利点があるからである。
【0034】
【実施例】以下に、実施例を用いて本発明の方法を更に
詳しく説明する。尚、特にことわらない限り%は重量基
準による。 (実施例1)あらかじめ脱油したアルミナを主体とした
ものを担体とした金属含有の脱硫廃触媒2種類と銅触媒
を混合し、外熱式ロータリーキルンに挿入し、焙焼温度
550℃で2時間加熱して焼成物を得た。その分析値は
次の通りであった。 Ni 3.15% Co 1.22% Mo 5.81% V 7.80% S 1.06% Cu 2.89% Fe 0.55% Al 30.8% C 0.11%
【0035】A)完全溶解する工程 上記焼成物の140gと金属アルミニウム(廃アルミニウム
缶)を短冊状に切断した片1gとを10%硫酸溶液560ml
に炭酸ガスを通気しながら温度90℃で加熱溶解した。更
に、水を加えて全量を1000mlとした。又、溶解槽に於け
る撹拌速度は300rpmであった。尚、得られた溶解液の分
析値は次の通りである。 (単位は g/l) Ni 4.4 Co 1.7 Mo 8.1 V 11.1
Cu 4.0 Fe 0.7 Al 43.6 pH 1.5 標準酸化還元電位 157mV
【0036】B)モリブデンを抽出する工程 上記溶解液をMo抽出原液とし、抽出剤としてN-Lauryl
(trialkylmethyl)amineを5%の割合で含むキシレン溶
液をMo抽出有機とし、Mo抽出原液とMo抽出有機と
を1対1の割合で混合し、5分間振とうし、モリブデン
を有機相へ抽出した。得られたMo抽出残液中のモリブ
デン濃度は、以下の通りであった。 Moイオン濃度 0.01g/l未満 なお、抽出剤としてN-Dodecenyl(trialkylmethyl)amine
を用いて同様の操作を試み、Mo抽出残液を得、そのモ
リブデン濃度を測定したところ同様に0.01g/l未満であ
った。
【0037】C)モリブデンの逆抽出 Mo含有抽出有機溶媒からのMoの逆抽出は2mol/lのア
ンモニア水を使用して行い、モリブデン酸アンモニウム
溶液を得ると共に抽出有機溶媒を再生した。
【0038】D)バナジウムを抽出する工程 ついで、B)で得られたMo抽出残液に炭酸カルシウム
を加え水素イオン濃度を2 〜3 の範囲に調整し、その際
に生成した硫酸カルシウム(石膏)を固液分離した。次
いで、得たろ液をV抽出原液とし、抽出剤として2−エ
チルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシルを50
%の割合で含むキシレン溶液をV抽出有機とし、V抽出
原液とV抽出有機とを1:1の割合で混合し、5分間振
とうしてVを有機相へ抽出した。得られたV抽出残液中
のVイオン濃度は、0.02g/l 未満であった。
【0039】E)バナジウムを逆抽出する工程 V含有の抽出有機溶媒からVの逆抽出は5重量%濃度の
硫酸溶液を使用して行い、硫酸バナジル溶液を得ると共
に抽出有機溶媒を再生した。
【0040】F)Ni,Co,Cu,及びFeの硫化ス
ライムを得る工程 前記のV抽出残液を40℃に加熱し、液中に硫化水素を
通気した。生成した硫化物を固液分離し、硫化スライム
を得た。固液分離後の回収終液中のニッケル、コバル
ト、銅、鉄の濃度は、次の通りであった。 Ni 0.51g/l Co 0.10g/l Cu 0.01g/l未満 Fe 0.01g/l 未満 なお、得られた硫化物はニッケル製錬原料として十分使
用可能なものであった。
【0041】G)高純度の硫酸アルミニウム溶液を得る
工程 前記F)の工程で得られた回収終液をイミノジ酢酸交換
基を持つ樹脂とアミノカルボン酸交換基を持つ樹脂との
混床(商品名 スミキレートMC30とスミキレートM
C75の混床 住友化学社製)であるH型タイプのキ
レート樹脂を充填した充填搭にSV=15で通液した。得
られた通過液(硫酸アルミニウム水溶液)の分析値は、
次の通りであった。 Al 43.1g/l Ni <0.001g/l Co <0.001g/l Mo <0.001g/l V <0.001g/l Cu <0.001g/l Fe <0.001g/l
【0042】H)ニッケルとコバルトの溶離、 一方、キレート交換樹脂に吸着させた微量重金属を溶離
するため、10%硫酸溶液を用いてSV=15で溶離した。
溶離は完全に行うことができた。I)再生Mo抽出有
機、再生V抽出有機を繰り返し使用し、キレート樹脂の
溶離液を還元溶解工程に繰り返して上記試験を繰り返し
行い操業上の問題点の発見を行ったが、何れの抽出工程
も相分離状態は良好であり、第3相やクラッドの生成は
認められなかった。なお、還元溶解工程では焼成物は常
に完全に溶解していた。
【0043】上記実施例に於いて回収された各有価金属
の平均回収率を次に示す。 Mo 98.5% (製品の形;モリブデン酸アンモニウ
ム) V 99.5以上. (製品の形;硫酸バナジル) Al 100 % (製品の形;硫酸バンド(Al23
8.1%)水溶液) Ni 100 % (非鉄精練の原料として;NiSスラ
イムの形) Co 100 % (非鉄精練の原料として;CoSスラ
イムの形) Cu 100 % (非鉄精練の原料として;CuSスラ
イムの形)
【0044】
【発明の効果】本発明の方法に従えば、確実にバナジウ
ムとモリブデンとニッケルとコバルトとアルミニウムと
を容易に、かつ高回収率で分離回収でき、かつ、本発明
方法は基本的にクローズ・システムであり、公害防止上
からも有効であり、工業的に有意義である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C01G 39/00 A 51/00 Z C22B 3/26 23/00 34/22 34/34 (72)発明者 清 水 昌 明 茨城県 勝田市 高野 1400−2

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナを主成分とする担体を用いた
    廃触媒を、要すれば脱油し、次いで400〜1000℃で焙焼
    し、得た焼成物を溶解用触媒金属と共に硫酸溶解し、得
    た溶解液を抽出原液とし、該抽出原液と所定量のMo抽
    出用抽出剤を含むMo抽出有機とを接触させてモリブデ
    ンを含む有機相とMo抽出残液とを得、該有機相よりモ
    リブデンをアルカリ溶液を用いて逆抽出し、モリブデン
    酸塩溶液と再生Mo抽出有機とを得、再生Mo抽出有機
    を前記モリブデン抽出工程に繰り返し、モリブデン酸塩
    溶液よりモリブデンを回収し、前記Mo抽出残液と所定
    量のV抽出用抽出剤を含むV抽出有機とを接触させてバ
    ナジウムを含む有機相とV抽出残液とを得、該有機相よ
    りバナジウムを鉱酸溶液を用いて逆抽出し、含バナジウ
    ム溶液と再生V抽出有機とを得、再生V抽出有機を前記
    バナジウム抽出工程に繰り返し、記V抽出残液と硫化水
    素ガスと接触させて、V抽出残液中のニッケル、コバル
    トを硫化物として回収し、回収終液をキレート樹脂と接
    触させて分離液中の微量のニッケルとコバルトとを該キ
    レート樹脂に吸着させ、高純度の硫酸アルミニウム溶液
    を得、一方キレート樹脂に吸着せしめた微量のニッケル
    とコバルトとを硫酸を用いて遊離し、得た遊離液を前記
    還元溶解工程に繰り返すことを特徴とする廃触媒よりの
    有価金属の回収方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法において各工程が
    下記条件で規定されることを特徴とする廃触媒よりの有
    価金属の回収方法。(1)還元溶解時に、非酸化性雰囲気
    下で、反応温度を70〜100℃とし、溶解用触媒金属とし
    て金属アルミニウム、金属ニッケル、金属コバルトの中
    の少なくとも1種を用い、(2)モリブデンの抽出に際し
    ては、抽出原液のpHを0〜4とし、抽出剤として一般
    式R1−NH−R2で示され、R1とR2とがそれぞれ
    炭素数12〜13のアルキル基である第2級アミンの少なく
    とも1種以上を用い、希釈剤として芳香族炭化水素及び
    パラフィン系炭化水素の内の少なくとも1種を用い、抽
    出剤と希釈剤とを重量比で5:95〜20:80の割合で混合
    して得たMo抽出有機を用い、(3)モリブデンの逆抽出
    に際しては、0.5〜5モル/lの可性アルカリ溶液の中
    の少なくとも1種を逆抽出液として用い、(4)Mo抽出
    残液よりバナジウム抽出するに際して、Mo抽出残液の
    pHを1〜4とし、抽出剤として2−エチルヘキシルホ
    スホン酸モノ−2−エチルヘキシルを用い、希釈剤とし
    て芳香族炭化水素及びパラフィン系炭化水素の内の少な
    くとも1種を用い、抽出剤と希釈液とを重量比で20:80
    〜60:40の割合で混合して得たV抽出有機を用い、(5)
    バナジウムの逆抽出に際しては、逆抽出液として0.05〜
    2モル/lの鉱酸溶液を用い、(6)ニッケルとコバルト
    とを樹脂吸着させるに際して、キレート交換樹脂として
    イミノジ酢酸交換基タイプとアミノカルボン酸タイプの
    ものを併用し、SVを10〜20とし、一方、キレート交換
    樹脂に吸着せしめたニッケルとコバルトとを5〜20重量
    %の硫酸溶液を用いて同様のSVで溶離するものであ
    る。
  3. 【請求項3】 モリブデンの逆抽出に際し、逆抽出液
    として0.5モル/l以上のアンモニア水を用いることを
    特徴とする請求項1〜2記載のいずれかの廃触媒よりの
    有価金属の回収方法。
  4. 【請求項4】 モリブデンの抽出剤としてN-Dodeceny
    l(trialkylmethyl)amine及び/またはN-Lauryl(trialky
    lmethyl)amineを用いることを特徴とする請求項2〜4
    記載のいずれかの廃触媒よりの有価金属の回収方法。
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