JPH06250000A - X線顕微鏡 - Google Patents

X線顕微鏡

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JPH06250000A
JPH06250000A JP4001293A JP4001293A JPH06250000A JP H06250000 A JPH06250000 A JP H06250000A JP 4001293 A JP4001293 A JP 4001293A JP 4001293 A JP4001293 A JP 4001293A JP H06250000 A JPH06250000 A JP H06250000A
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sample
ultraviolet
image
wavelength
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Yoshinori Iketaki
慶記 池滝
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Olympus Optical Co Ltd
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  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 励起用輻射線としての紫外線および軟X線を
照射した試料の透過X線顕微鏡像を撮像するX線顕微鏡
で、撮像対象の試料の厚みと、X線の波長と、画像の階
調分解能との間の相互関係を定量化し、良好な画質の透
過X線顕微鏡像を得る。 【構成】 Nd:YAGレーザ51のレーザ光の一部をハ
ーフミラー64で分岐し、偏光子65、KDP結晶66等を経
て紫外線に変換してサンプル58に照射するとき、試料の
厚みZを、Z<Loge M/(2re λN0f)で規定す
る。ただし、re:電子の古典半径、λ:X線の波長、N
0:単位体積あたりの観察しようとする分子もしくは原
子の数、f:波長λにおける原子散乱因子の虚数部、
M:画像の階調分解能。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟X線領域のX線を用
いて生体サンプル等の試料の透過X線顕微鏡像を撮像す
る、X線顕微鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、X線光源やX線光学素子の研究開
発が進んでおり、それらを応用するシステムの1つとし
てX線顕微鏡が提案されている。このようなX線顕微鏡
としては、ウォルタ型の斜入射光学系や、回折を利用し
たフレネルゾーンプレートや、2枚の球面鏡に多層膜を
コーティングしたシュワルツシルド型の直入射光学系等
の、多種類の結像素子を利用した顕微鏡システムが提案
されている。このようなX線顕微鏡において、特に軟X
線を用いるものは、電子線を用いる場合に比べて生体試
料に与えるダメージが少ないため生体を生きたまま、無
染色、高分解能で観察可能であり、最近になって生物顕
微鏡への応用が注目されるようになり、生物分野のニー
ズが大きくなってきている。
【0003】軟X線領域の中では特に、λ=43.7Å
〜23.6Åの波長領域(いわゆる「水の窓」の波長領
域)は、炭素および窒素によく吸収され、かつ酸素およ
び水素より成る水分子に対して高い透過率を有している
ことから、主な構成要素が炭素であるタンパク質(生体
組織等)の透過顕微鏡像を水中であっても良好なコント
ラストで観察することができる。現在、各研究機関で
は、λ=43.7Å〜23.6Åの波長領域で高いスペ
ックを有する光学素子、光源、検出器等の開発を進めて
いる。
【0004】上記波長領域は、上述のように生体観察用
に適しているが、この波長領域において高いスペックを
有する光学素子等を製作するためには以下の問題点があ
り、その第1の問題点は、特に上記波長域において優れ
た特性を有するX線多層膜反射鏡やフィルタを製作する
のが後述するように難しいことである。すなわち、高い
反射率を有する多層膜反射鏡を設計する際には、可能な
限り屈折率の差が大きい2種類の物質を交互に堆積する
必要があるが、上記波長領域ではいかなる物質も屈折率
が1に近くなるため、屈折率の差が大きくなるように2
種類の物質を選択することが困難である。ここで、Ni
/Sc、Ni/Ti等、多少の反射率を期待し得る物質
を用いることも考えられているが、その場合、蒸着する
際に結晶化しやすいため均一に製膜するのが困難である
上に、現行の製膜技術においてはλ=43.7Å〜2
3.6Åの波長領域で直入射反射鏡を製作しようとする
と多層膜の1周期が20Å以下となって多層膜自体の製
作が困難になる。また、この波長領域は、炭素のX線に
対する吸収率が高くなるので有機材料をフィルタとして
用いることができず、フィルタ材料の選択範囲が狭い。
したがって、X線顕微鏡システムにおいて、何らかの形
でX線多層膜鏡やフィルタを利用することが構成上避け
られないことから、上記多層膜鏡やフィルタの問題点が
上記波長域の軟X線を利用するときの障害となる。
【0005】また仮に、上記第1の問題点を解決して生
体の透過顕微鏡像の撮像に最適な上記波長域のX線を結
像し得る光学系を実現したとしても、以下に述べるよう
に生体サンプルの観察時に、吸収によるコントラスト低
下の、第2の問題点が発生する。すなわち、生体サンプ
ルの軟X線吸収率は、サンプルの厚み、サンプル内に存
在する炭素の密度および使用するX線の波長によって決
定されるため、炭素密度が高くかつ厚い生体サンプルを
観察する場合には、生体サンプルに入射したX線の大部
分は吸収されてしまい、得られる生体透過顕微鏡像は、
全体的に暗くかつコントラストの無いものになってしま
う。逆に、炭素密度が低くかつ薄い生体サンプルを観察
する場合には、生体サンプルに入射したX線の大部分は
透過してしまい、得られる生体透過顕微鏡像は、全体的
に明るくかつコントラストの無いものになってしまう。
【0006】これに対し、λ=43.7Å〜23.6Å
の波長領域以外の領域(例えばλ=65〜43.7Åの
波長領域)のX線を使用してコントラストが非常に高
く、かつ特定のタンパク質の分子の顕微鏡像を選択的に
得られる方法が提案されており、その原理を図4および
図5によって説明する。図4(a)〜(f)は夫々、炭
素原子がX線を吸収する際の電子の状態の遷移を経時的
に表わしており、同図(a)は基底状態の炭素原子の電
子配列を示している。この状態からX線照射により1S
電子を電離させると、第1遷移により同図(b)に示す
ように炭素原子は1S軌道に空孔を残した状態になる。
この状態は同図(c)に示すようにエネルギー的に極め
て不安定であるため、2P電子が1S軌道に遷移する第
2遷移により同図(d)に示す安定状態になる。さら
に、炭素原子が例えばタンパク質等の分子の構成要素で
ある場合には、同図(e)に示すように2P軌道に空孔
を生じた状態になっているので、炭素原子は第3遷移に
より周囲の元素等から電子を捕獲し、同図(f)に示す
ように当初と同一の基底状態に復帰する。このような遷
移の過程において、通常は第1遷移による吸収を利用し
てタンパク質の透過顕微鏡像を撮像して観察するが、そ
の際にX線波長が炭素の吸収端波長よりも長いと、X線
がタンパク質に吸収されないため、得られる透過顕微鏡
像のコントラストが極端に劣化する。
【0007】ここで、上記遷移の順序を逆にした場合に
ついて考察してみると、以下に述べるようにX線波長が
炭素の吸収端波長よりも長い場合であってもコントラス
トの極めて良好な透過顕微鏡像を撮像することができ
る。すなわち、まず、図5(a)に示す基底状態から上
記第3遷移の逆過程により2P電子を電離または励起さ
せて同図(b)の電子状態を実現する。次に、この状態
から上記第2遷移の逆過程により同図(c)に示すよう
にX線によって1S電子をまだ空いている2P軌道に励
起する。この遷移過程は、炭素の吸収端波長よりも低い
光子エネルギーのX線(つまり炭素の吸収端波長よりも
長波長のX線)により実現可能であり、この遷移過程を
経た後は同図(d)に示す状態になる。
【0008】この状態は、上記第1遷移により基底状態
から直接1S電子を電離させた図4(b)の場合と全く
同一になるが、この方法において電子を電離または励起
させるのに要するエネルギーは数eV〜20eV(波長
に換算すると100nm〜300nm)程度であるの
で、紫外線レーザ等を利用することができる。一方、1
S電子を2P軌道に励起するために要するエネルギーは
電離させる場合よりも数eV〜20eV程度低い値にな
る。したがって、基底状態の炭素原子の2P電子を電離
する過程と、1Sの電子を2P軌道に励起する過程の2
段階の過程により、炭素の吸収端波長よりも長い波長の
X線を用いた場合にもタンパク質の透過顕微鏡像を得る
ことができる。
【0009】上記遷移の順序を逆にした方法は、J.H.Kl
ems によって下記の優位性を定量的に確認されている
(J.K.Klems Phys.Rew Vol 43 (1991) p2041〜2045参
照)。第1に、炭素吸収端波長よりも長い波長のX線を
利用できるので、多層膜を製作する際に、光学定数が優
れかつ製膜しやすいW/C等の材料が選択可能であり、
しかもこれらの材料はその性質等の研究が進んでおり使
用実績もある。第2に、タンパク質の種類により,2P
電子の電離または励起エネルギーが異なるので、特定の
タンパク質の炭素原子のみを選択的に電離または励起す
ることができる。さらに、その電離に続く1Sから2P
への電子遷移のエネルギーが量子的に一義的に決まるこ
とから、この大きさの光子エネルギーを有するX線をプ
ローブとすることにより、特定のタンパク質の透過顕微
鏡像を観察することができる。その際、コントラスト
は、図6に示すような特性を示し、λ=43.7Å〜2
3.6Åの波長領域を用いる従来の方法に比べて1桁以
上高くなる。
【0010】上述した原理を用いる方法は、今までに提
案されている従来のX線顕微鏡システムに若干の変更を
加えることにより容易に実現することができる。すなわ
ち、従来のX線顕微鏡は、図7の基本概念図に示すよう
に、光源1、集光レンズ2、サンプル3、対物レンズ
4、フィルタ5および検出器6を同一光路上に配置して
成る。この中で使用する対物レンズとしては、一般に、
ゾーンプレートやシュワルツシルド光学系等の波長分散
型と、ウォルタ型のような白色光を集光する斜入射鏡型
との2種類に分かれるが、白色光源およびウォルタ型対
物レンズを用いるシステムの場合、検出器に至る光路中
に分光器を設ける必要がある。また、検出器としては、
マイクロチャンネルプレート(MCP)やCCD等の撮
像素子が使用されるが、白色光源を使用する場合には、
紫外領域より長い波長の迷光をカットするためにBe等
の薄膜フィルタを設けるのが一般的である。なお、上記
光学系は真空容器内に収納される。
【0011】このような従来のX線顕微鏡システムに、
J.H.Klems の提案している方法を適用するのは極めて容
易であり、図8の基本概念図に示すように、紫外線光源
8、集光レンズ7および紫外線反射鏡9を追加するだけ
でよい。このシステムは、基本的には、サンプル3およ
び対物レンズ4間に紫外線反射鏡9を挿入したこと以外
は上記従来システムと同一であり、紫外線反射鏡9とし
ては、Be等の薄膜より成り65〜43.7Åの波長領
域で十分な透過率を有しかつ紫外域の光線に対して十分
な反射率を有するものを選択するものとし、それにより
紫外線反射鏡9はX線フィルタとしての機能を有するこ
とになる。このシステムにおいて図4の第2遷移の逆過
程に対応する光子エネルギーのX線を用いて透過顕微鏡
像を撮像する際には、同時に外部の紫外線光源8からの
紫外線を紫外線反射鏡9で反射させてサンプルに照射す
ることにより、特定のタンパク質の炭素2P電子を電離
または励起することができ、J.H.Klems の提案したX線
顕微法が実現可能となる。この場合、紫外線反射鏡9
は、検出器6にとってはノイズとなる、紫外領域よりも
長い波長の迷光をカットする作用を果たすことになる。
【0012】上記システムはさらに、生体サンプルに対
するX線の吸収率を人為的かつ簡易に調整し得るので、
生体サンプルの厚みや使用するX線の波長を調整せずに
透過X線顕微鏡像のコントラストを任意に選択し得る利
点を有している。すなわち、上記方法によれば、生体サ
ンプルのX線吸収率は、図5(c)に示すような紫外線
照射を経た後に2P軌道に空孔を有する炭素の数に比例
し、2P軌道に空孔を有する炭素の数は、照射した紫外
線の強度に比例することから、生体サンプルに照射する
紫外線の強度(光量)を調整することにより容易に生体
サンプルのX線吸収率を変化させることができ、その調
整によって最適なコントラストを有する透過X線顕微鏡
像が得られる。なお、紫外線光源によりサンプルに紫外
線照射を行った場合の透過X線顕微鏡像と、紫外線照射
を行なわなかった場合の透過X線顕微鏡像とを夫々撮像
して、それらから差分画像を作成することにより、炭素
以外の元素による吸収に起因するバックグラウンド(ノ
イズ)を除去することが可能になり、純粋な炭素のみの
透過X線顕微鏡像を優れたコントラスト比で得ることが
できる。
【0013】上記J.H.Klems の提案したX線顕微法の原
理を応用した従来例としては、例えば図9および図10に
示すものがある。図9の従来例は、シンクロトロン放射
光源(SOR光源)11をX線光源とし、X線光学系とし
てフレネルゾーンプレートを使用して構成したものであ
り、SOR光源11、分光器12、コンデンサレンズ14、サ
ンプル13、対物レンズ15および検出器16より成るX線光
路中のコンデンサレンズ14および対物レンズ15はフレネ
ルゾーンプレートより成るものを用いている。この従来
例はさらに、サンプル13および対物レンズ15間に厚さ3
000Å程度のBe薄膜19をX線光軸に対し45°をな
すように配置するとともに、顕微鏡外部に紫外線レーザ
光源18、集光レンズ17およびウェッジ10より成る紫外線
光路を設け、紫外線レーザ光をBe薄膜19で反射させて
サンプル13を背面より照射するようにしてある。このと
きBe薄膜19は、検出器(MCP)16に紫外線等の迷光
が入射しないように遮蔽する作用も果たす。
【0014】上記システムは、紫外線光路中に紫外線光
軸と直交方向に移動し得るウェッジ10を設け、このウェ
ッジ10を紫外線に対する吸収率が十分高い物質(例えば
BK7;ガラス)としているので、ウェッジ10を移動す
ることによりウェッジ21を通過する紫外線の光路長を変
化させて、サンプルに照射する紫外線量を調整すること
ができる。したがって、X線照射と同時に光量を調整し
た紫外線をサンプルに照射することにより、上記原理に
基づく良好なコントラスト比でタンパク質の透過X線顕
微鏡像を得ることができる。
【0015】また、図10の従来例は、光源をNd:YA
Gレーザ等を用いたレーザプラズマ光源とし、X線コン
デンサレンズ22をウォルタ型ミラーとし、X線対物レン
ズ24をシュワルツシルド光学系とし、光検出器26をマイ
クロチャンネルプレート(MCP)としてX線光路を構
成したものであり、上記以外の部分の作用は基本的には
上記図6の従来例と同様である。この従来例の上記従来
例との相違点は、X線発生のために集光レンズ30を介し
てターゲット21を撃つNd:YAGレーザ20からのレー
ザ光の一部をハーフミラー27で分岐して利用するように
紫外線光路を構成していることであり、ハーフミラー27
で分岐したレーザ光は、偏光子32で光量を調整され、K
DP結晶25で紫外波長域の4倍高調波に変換されてから
ミラー28、集光レンズ31を経て紫外線反射ミラー29に照
射される。この従来例は、上記従来例に比べて紫外線レ
ーザ等の光源が不要になる利点がある他、上記シュワル
ツシルド光学系に優れた特性を有するW/C多層膜を用
いることにより、波長45Åの直入射において200層
を積層した場合、ほぼ30%の反射率が得られ、明るい
X線光学系を構成することができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】先に述べたように、こ
の方法では照射する紫外線の量を調節することによりサ
ンプルのX線吸収率を人為的に調整することが出来るの
で、サンプルの厚さの調整は不用と考えられていた。し
かし、実際には紫外線を吸収する部分以外に存在する元
素の影響によりサンプルの厚さを適正に定めないと良好
なコントラストを持った像が得られないことが判ってき
た。従って、撮像対象の試料の厚みと、X線の波長と、
画像の階調分解能との間の相互関係をどのように調整し
たら所望の画質の透過X線顕微鏡像が得られるかを定量
的に把握する必要がある。しかしながら、上記相互関係
を定量的に充分に解析した研究は未だなされていない。
【0017】本発明は、上記問題に鑑み、撮像対象の試
料の厚みと、X線の波長と、画像の階調分解能との間の
相互関係の決定方法およびその決定方法を適用したX線
顕微鏡を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段および作用】この目的のた
め、本発明は、試料に対し励起用輻射線およびX線を照
射して該試料の透過X線顕微鏡像を撮像するX線顕微鏡
において、
【数2】Z<Loge M/(2re λN0f) ただし、 Z :試料の厚み re :電子の古典半径 λ :X線の波長 N0 :単位体積あたりの観察しようとする分子もしくは
原子の数 f :波長λにおける原子散乱因子の虚数部 M :画像の階調分解能 の条件を満たすように構成したことを特徴とするもので
ある。これにより、良好な画質の透過X線顕微鏡像が得
られる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図1は本発明のX線顕微鏡の第1実施例の構
成を示すシステム図である。この実施例のX線顕微鏡
は、Nd:YAGレーザ51が発生するレーザ光を集光レ
ンズ52で集光してターゲット53に衝突させることにより
X線を発生するレーザプラズマX線光源と、コンデンサ
レンズ54、対物レンズ55、紫外線カットフィルタ61およ
び検出器57を有しX線をサンプル58に照射して透過X線
顕微鏡像を得るX線光路と、Nd:YAGレーザ51が発
生する可視領域のレーザ光の内のハーフミラー64で直交
方向に分岐したレーザ光を偏光子65で光量調整し、非線
形光学結晶(KDP結晶)66で紫外波長域の4倍高調波
に変換し、ミラー67で向きを90°変えた後に集光レンズ
60で集光して真空容器62内のサンプル58に照射する紫外
線光路とを具え、結像型X線顕微鏡として構成されてい
る。なお、上記各光路の構成要素の内、Nd:YAGレ
ーザ51、集光レンズ52、ハーフミラー64、偏光子65、K
DP結晶66、ミラー67および集光レンズ60以外の構成要
素は真空容器62内に収容され、真空容器62の、レーザ光
および紫外光が透過する部分には夫々、透過窓62a およ
び62b が設けられている。
【0020】上記構成においては、X線光軸と紫外線光
軸とはサンプル照射部において直交し、サンプル58はX
線光軸および紫外線光軸に対し所定の角度(例えば45
°)をなすように傾けられ、サンプル面の法線がX線光
軸と平行にならないように配置されており、この構成は
X線光路上でコンデンサレンズ〜サンプル〜対物レンズ
間の間隔が極めて狭い場合に適している。また、この構
成は、紫外線発生用のレーザ光源を別に設けずに、X線
発生用のレーザ光源を紫外線発生用に共用しているた
め、コストダウンが可能になり、さらに、後述する画像
信号処理システムにおいてX線照射のタイミングと紫外
線照射のタイミングとの同期が取りやすくなっている。
なお、この構成によって得られる、例えば45°傾けた
サンプルの透過X線顕微鏡像は、検出器57の結像面にサ
ンプルの1:(1/√2)の斜影像が結像するので、取
り込んだ画像をデジタル化した後に、ソフトウエアまた
は別に設けた図示しない演算回路により、座標変換等を
用いて1:1の元の画像に復元する必要があり、その復
元処理の実施によってX線光学系とサンプルとが近接し
た構成でも十分な紫外線をサンプルに照射することが可
能になる。
【0021】また、上記構成において、コンデンサレン
ズ54としては、斜入射型の回転楕円鏡を使用するものと
し、また対物レンズとしてはシュワルツシルド光学系を
使用するものとし、その表面にはNi/C、W/C等の
炭素系の多層膜をコーティングして、65〜43.7Å
の波長領域において該光学系の透過率が最大になるよう
にしてある。さらに上記光学窓62b としては、約200
nm以上の長波長の紫外線の透過率が高い物質(ダイヤ
モンド、蛍石等)を用いて構成している。なお、Fは紫
外線カットフィルタである。レーザープラズマ光源はX
線以外の紫外波長域の光も放出するため、それが光学窓
62bを介して照射される紫外線と重なって却って悪影
響を及ぼす場合がある。そのような場合には、必要に応
じてサンプルの入射側に紫外線カットフィルタを設けれ
ば良いのである。
【0022】次に、検出器(MCP)57からの画像信号
を処理する、画像信号処理システムを図2によって説明
する。この画像信号処理システムは、X線顕微鏡システ
ム全体を制御するホストコンピュータ71を具えるととも
に、入射したX線をMCP57、フォスファ72で可視化
し、レンズ73を介して透過X線顕微鏡像を撮像するTV
カメラシステム74と、TVカメラシステム74からの2種
類(紫外線を照射したものおよび照射しないもの)の映
像信号をA/Dコンバータ75-1および75ー2でデジタル化
した画像データを夫々格納するフレームメモリ76ー1およ
び76ー2と、フレームメモリ76ー1および76ー2の画像データ
の各画素の差分を取って得られたデジタル差分信号をホ
ストコンピュータ71に入力する差分回路77と、ホストコ
ンピュータ71からの指令信号に基づきフレームメモリ76
ー1および76ー2にデータ出力タイミングのトリガ信号を出
力するデータセレクタ回路78と、ホストコンピュータ71
からの入力信号に基づいてタンパク質等の透過X線顕微
鏡像を表示するCRT79を具えて成り、さらに、X線発
生用のレーザ光源を紫外線発生用に共用できるようにす
るため、偏光子65を駆動する偏光子駆動信号を発生する
偏光子駆動回路80を具えている。
【0023】上記偏光子駆動回路80は、ホストコンピュ
ータ71からの指令信号によって制御され、サンプルに照
射される紫外線の光量(フォトンフラックス)を良好な
透過X線顕微鏡像が得られる適切な光量にするために偏
光子65を回転駆動して紫外線発生に用いるレーザ光量を
調整する紫外線照射時の作用と、サンプルに紫外線が全
く照射されない角度に偏光子65を回転駆動する紫外線非
照射時の作用とをなす。なお、ホストコンピュータ71
は、上記偏光子駆動回路80に対する指令信号に加え、T
Vカメラシステム74のトリガ信号およびNd:YAGレ
ーザ51のQスイッチ信号をも出力する。
【0024】次に、この第1実施例のX線顕微鏡によ
る、透過X線顕微鏡像の撮像について説明する。まず、
ホストコンピュータ71は、Nd:YAGレーザ51にQス
イッチ信号を出力し、その信号を受けたNd:YAGレ
ーザ51はレーザ光を発生する。このレーザ光は集光レン
ズ52および透過窓62a を経てターゲット53に衝突し、X
線を発生させる。一方、ホストコンピュータ71は、この
X線の発生に同期させて、TVカメラシステム74および
フレームメモリ76ー1に夫々トリガ信号を出力するととも
に、良好なコントラストの透過X線顕微鏡像が得られる
ような光量となる紫外線がサンプル58に照射されるよう
に偏光子65を回転駆動するための指令信号を偏光子駆動
回路80に発する。これにより、フレームメモリ76ー1に
は、紫外線を照射した場合に得られる映像信号である、
生体サンプルの炭素の透過X線顕微鏡像をデジタル化し
た画像データaが格納される。
【0025】次に、ホストコンピュータ71は、紫外線が
サンプル58に全く照射されないように偏光子65を回転駆
動する指令信号を偏光子駆動回路80に発するとともに、
上記と同様にしてTVカメラシステム74およびフレーム
メモリ76ー2に夫々トリガ信号を出力する。これにより、
フレームメモリ76ー2には、紫外線を照射しない場合に得
られる映像信号である、生体サンプルの炭素以外の元素
の透過X線顕微鏡像をデジタル化した画像データbが格
納される。
【0026】上記フレームメモリ76ー1の画像データは、
最終的に抽出したい炭素の透過X線顕微鏡像にノイズが
加わった信号であり、フレームメモリ76ー2の画像データ
bは、フレームメモリ76ー1の画像データaのバックグラ
ウンド(ノイズ)信号である。したがって、差分回路77
において各画素について両者の差分を取ることにより上
記ノイズが除去されることになり、純粋に炭素の透過X
線顕微鏡像のみを含む差分信号(a−b)が得られる。
この差分信号(画像データ)は、ホストコンピュータ71
からCRT79に出力され、炭素の透過X線顕微鏡像が表
示される。
【0027】次に、上記透過X線顕微鏡像の撮像の際に
用いるサンプルの厚みの決定の原理について、紫外線の
吸収と緩和の基礎過程を考察しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明は数式を用いて定量的に展開するの
で、数式中に用いる記号の意味を以下のように定義して
おく。
【0028】N0 :単位体積あたりの観察しようとする
分子もしくは原子の数 N :単位体積あたりの観察しようとする基底状態の分
子もしくは原子の数 n :単位体積あたりの観察しようとする紫外線に励起
された状態の分子もしくは原子の数 τ :紫外線に励起された状態の分子もしくは原子の寿
命 σuv:観察する分子もしくは原子の紫外線による励起断
面積 T :紫外線の照射時間 I0 :単位時間、単位面積あたりに試料を照射する光子
数(フォトンフラックス) σx :観察する分子もしくは原子の内殻電子を外殻の紫
外線励起により空孔となった軌道に励起するX線の断面
積 μuv:紫外線の観察する分子もしくは原子に対する吸収
係数 μx :励起X線の観察する分子もしくは原子に対する吸
収係数(ただし、一般に吸収係数μと励起断面積σとの
間には、μ=Nσ・・(1)の関係が成立する。) λ :観察する分子もしくは原子の内殻電子を外殻の紫
外線励起により空孔となった軌道に励起するX線の波長 M :画像の階調分解能
【0029】まず、観察する分子もしくは原子に紫外線
を照射したとき、時間tに関する基底状態および励起状
態の平衡方程式は、式(2)で与えられる。
【数3】 −dN/dt=I0σuvN−(N0−N)/τ ・・・(2) 初期条件t=0でN=N0の下で(2)を解いてn=N0
Nを求めると、(3)式を得る。
【数4】 n=[1−exp{−(I0σuv+1/τ)t}]・{I0σuvN0τ /(1+I0σuvτ)} ・・・(3)
【0030】ここで、一般に紫外線の照射時間Tを励起
状態の寿命以上であると仮定すると(τ<T)、(3)
式は、
【数5】 n〜I0σuvN0τ/(1+I0σuvτ) ・・・(4) と簡略化される。しかし、紫外線のフォトンフラックス
I0は試料内に侵入する際に、侵入距離Lに応じて著しく
減衰する。したがって、nはLの関数になり、μ x はL
の関数になり、μuvを用いて式(5)のように表わすこ
とができる。
【数6】 n(L)=I0σuvN0τ・exp(−μuvL)/[1+I0σuvτ・exp (−μuvL)] ただし、μuv=N0σuv ・・・(5)
【0031】次に、式(5)に従う数の励起状態の分子
もしくは原子が紫外線照射により発生した場合、分子も
しくは原子の内殻電子を外殻の紫外線励起により空孔と
なった軌道に遷移したことによる透過率F(λ)を求め
る。このF(λ)もやはりLの関数になり、式(6)の
ように表わすことができる。
【数7】 したがって、試料が十分な厚みを有している場合、紫外
線照射したときの波長λのX線の透過率F(λ)は、式
(7)のように表わすことができる。
【数8】 F(λ)=lim exp[−u(L)] ・・・(7) L →∞
【0032】上記(7)式は解析的に計算することがで
き、次式のように簡略化された関係式になる。
【数9】 一方、式(7)においては、L →∞の条件を仮定してい
るが、実際には、紫外線が侵入できる試料の厚みの上限
値は数百nm程度であり、それよりも厚い試料の分子お
よび原子は基底状態のままである。したがって、紫外線
励起型軟X線顕微鏡法によって観察するのは試料表面の
分子もしくは原子であり、X線は表面以外の試料の内部
でほぼ透明になる。この事実は、紫外線励起型軟X線顕
微鏡法によれば試料の厚みに無関係に試料表面の分子も
しくは原子を観察できることを意味しているように解釈
できるが、実際には相違する。
【0033】すなわち、上記式(8)によれば、I0が0
となって紫外線を照射されない場合、その部分の透過率
はF(λ)=1となり、その部分では試料における吸収
は存在しないという結論が導かれるが、この結論の前提
として、紫外線を照射されない試料の内部の観察対象の
分子もしくは原子について考慮する場合、照射するX線
の波長はX線の吸収端波長よりも若干長くなるので、X
線の吸収係数が極めて小さくなるということ、および観
察対象でない他の分子もしくは原子の吸収を無視し得る
ことを仮定している(例えば、J.K.Klems Phys.Rew Vol
43 (1991) p2041〜2045参照)。この仮定は、試料の厚
みが薄い場合には正しいものとなる。しかし、照射する
X線の波長がX線の吸収端波長よりも若干長い領域のと
き、僅かではあるがX線の吸収があることから、実際に
は試料が数百μm程度の厚みを有する場合に紫外線を照
射しなくても試料の透過率が0となり、紫外線励起型軟
X線顕微鏡法の優位性を利用できない。
【0034】そこで、本実施例では、試料の厚みと、X
線の波長と、画像の階調分解能との間の相互関係をどの
ように調整したら紫外線励起型軟X線顕微鏡法により所
望の画質の透過X線顕微鏡像が得られるかを、以下のよ
うにして定量的に規定する。すなわち、試料に紫外線を
照射しない場合のX線の吸収係数をμ0 (これは試料に
含まれる元素によって異なる)、試料に紫外線が侵入す
る部分の深さをZuv、試料に紫外線が侵入しない部分の
深さをZ0 、試料の全体の厚みをZとすると(Z=Zuv
+Z0 )、一般にZuv≪Z0 であるので、透過率F0は、
式(9)のように表わすことができる。
【数10】 F0=F(λ)exp(−μ0 Z) ・・・(9)
【0035】ところで、最近では、軟X線透過像を撮像
する際に、2次元のMCPや撮像素子を用いて画像を2
値化して、改めてCRT等に表示するのが一般的であ
る。そこで、前記撮像素子からの画像信号を例えばM階
調で量子化した場合、紫外線励起型軟X線顕微鏡法によ
り観察しようとする分子もしくは原子の存在の有無を見
分けるための最低限の機能を実現する条件を考える。こ
の条件を適用したX線顕微鏡撮像システムにおいては、
階調分解能の機能を最大限に活かすことにより、F0=1
/Mとなる透過率F0を認識できるようになる。上記階調
分解能の機能を活かすためには、式(9)より、少なく
とも次式の条件が必要になる。
【数11】 1/M<exp(−μ0 Z) ・・・(10) この式(10)を変形してZをより具体的に表わす形に
すると、
【数12】 Z<Loge M/μ0 ・・・(11) となる。
【0036】ここで、試料中に観察する分子もしくは原
子が密に存在し、それ以外の分子もしくは原子は少ない
場合を想定すると、観察に寄与する分子もしくは原子の
吸収のみを考慮すればよいので、式(11)はさらに具
体的な形に変形することができる。すなわち、電子の古
典半径をre 、X線の波長をλ、単位体積あたりの観察
しようとする分子もしくは原子の数をN0、波長λにおけ
る原子散乱因子の虚数部をfとすると、試料に紫外線を
照射しない場合のX線の吸収係数μ0 は、
【数13】 μ0 =2re λN0f ・・・(12) と表わされる。したがって、式(12)を用いて上記式
(11)を変形すると、次式を得る。
【数14】 Z<Loge M/(2re λN0f) ・・・(13)
【0037】上記式(13)は、一般に、観察対象に該
当しない分子もしくは原子の存在を無視するようにして
いるので、式(13)で規定される領域は広くなるが、
少なくともX線顕微鏡撮像システムの階調分解能を最大
限に活かして、試料中に含まれる観察対象の分子もしく
は原子の存在を確認するためには、試料の厚みZが条件
式(13)を満たさなければならない。したがって、条
件式(13)で規定した厚みZに試料を調整して撮像を
行えば、システムの階調分解能を最大限に生かしつつ、
試料中に含まれる観察対象の分子もしくは原子の存在を
確認することができる。その結果、良好なコントラスト
の透過X線顕微鏡像が得られることは言うまでもない。
なお、上記説明においては階調数Mを検出器およびA/
D変換器によって規定したが、X線フィルム等を利用す
る場合でも式(13)の規定は有効になり、その場合に
はX線フィルム自体の階調分解能に応じて規定されるこ
とになる。
【0038】次に、試料として波長44.7Åで複数層
積層したラングミュアーブロジェット膜(LB膜)を用
い、その中の炭素の鎖構造を観察する場合について、上
述のようにして導いた式(13)の有効性を論証する。
例えば、図3に1セル分の分子構造を示したLB膜を用
いる場合、分子式は次式のように表わすことができる。
【数15】 [CH3 (CH2n COO]2 Pb ・・・(14)
【0039】式(14)の構造の分子を薄膜基板上に2
次元に展開して薄膜(LB膜)を形成し、この薄膜を複
数層積層した場合の膜厚の上限値について考察する。そ
の際、簡略化のため、薄膜基板は積層したLB膜より薄
いものと仮定し、薄膜基板の影響を無視できるようにす
る。例えば、薄膜基板としては、吸収が少なく、しかも
薄くて強度の大きいダイヤモンド基板を想定する。その
場合、0.2〜0.3μmの厚みでも十分な強度を有す
る基板を構成することができる。
【0040】本実施例では、式(14)においてn=7
6の分子を考える。この場合、1分子の長さは200Å
となり、分子の断面積は20Å2 となる。したがって、
単位体積あたりの構成原子の数を求めると、表1のよう
になる(原子散乱因子等の物質データについては、”At
omic Data & Nuclear Data Tables (vol.27,No1)”を参
照のこと)。表1にはさらに、各元素の原子散乱因子と
各元素が単独に寄与する波長44,7Åにおける吸収係
数とを示す。これら吸収係数の和が、LB膜吸収係数μ
0 となり、本実施例の場合、μ0 =2222.0/cm
となる。
【0041】
【表1】
【0042】ここで、デジタル回路のA/D変換器が8
ビットのデジタル信号を扱うものである場合、階調数M
は、M=28 =256階調となるから、Zの条件は、式
(11)よりZ<25μmとなり、この条件は観察対象
の炭素以外の元素を含む場合の吸収から定まるZを規定
することとなる。一方、式(13)より観察対象の炭素
のみの吸収から定まるZを規定すると、Z<60μmと
なる。この式(13)は、試料の厚みZの上限値を概略
的に示している。
【0043】以上のことから、できる限りコントラスト
が優れ、階調性のある画像を撮像するためには、紫外線
の侵入距離程度(数百nm程度)の厚みが適当である
が、紫外線励起型軟X線顕微鏡法により観察しようとす
る分子もしくは原子の存在の有無を見ようとする最低限
の機能を実現するためには、少なくとも式(13)の条
件を満たさなければならないことが分かる。
【0044】図11は本発明のX線顕微鏡の第2実施例
の構成を示すシステム図であり、図1と同一の部分には
同一符号を付けて説明を省略する。この実施例はX線、
紫外線の両者をレーザープラズマ光源から供給するもの
である。その構成はレーザープラズマ光源を用いた通常
のX線顕微鏡のターゲット53とコンデンサレンズ54
との間に、光路中に挿脱可能に設けられた複数のX線フ
ィルタおよび紫外線フィルタから成るフィルタ群68
と、各フィルタを光路中に挿脱するためのフィルタ駆動
部69とが真空容器中に設けられている。なお、上記変
更に伴い、図12に示すように、偏光子駆動回路80を
フィルタ駆動回路90に変更する。フィルタ駆動回路9
0はホストコンピュータ71に制御されてフィルタ駆動
部69へ駆動信号を出力する。
【0045】レーザプラズマ光源は、X線域〜紫外域を
含む広い波長域に及ぶ光を放射するため、紫外励起型X
線顕微鏡に必要な波長のX線および紫外線がレーザプラ
ズマ光源から得られる。したがって、各光の強度等がサ
ンプル58に対して適当であれば、別に紫外光を発生さ
せるための構成を設ける必要がないため、顕微鏡の構成
が非常に簡単になる。
【0046】上記フィルタ群68は、サンプルに照射さ
れる紫外線およびX線の強度および波長域を調整するた
めに設けたものである。すなわち、良好なコントラスト
の像を得るためにはサンプルの厚さは本発明の考え方に
基づいて定めればよいが、紫外線およびX線の各々の強
度や相対的な強度比、あるいは照射される紫外線やX線
の波長域も適当に制限して、紫外線やX線の強度が強す
ぎたりしないように、また紫外線やX線で観察に却って
有害となるような波長のものを除く必要がある。したが
って、紫外線およびX線の各々について透過波長域およ
び透過率の異なる複数のフィルタより成るフィルタ群6
8を設け、これらをフィルタ駆動部69の制御によって
任意に光路中に挿脱できるようにしておく。そして必要
に応じてフィルタ群68を光路中に挿入することにより
コントラストの良好な透過X線像を得ることができる。
【0047】この実施例では紫外光用光源やNd:YA
Gレーザ51のレーザ光を紫外光に変換する部分などが
ないから構成が簡単であるのみならず、レーザープラズ
マ光源から発する連続スペクトルの中から紫外光を選ぶ
ので励起波長を変えることができ、種々の元素を選択的
に観察したり、同じ元素でも異なる物質中にあるものを
選択的に観察することができる(同じ炭素でも、どのタ
ンパク質中にあるかによって励起波長が違う)等の種々
の利点がある。
【0048】なお、シュワルツシルド光学系やゾーンプ
レートはそれ自体にX線に対する波長選択性を持ってい
る(多層膜は決められた範囲の波長のX線しか反射せ
ず、ゾーンプレートは波長によって集光位置がかなり異
なる。いずれにしても所望の波長域のX線だけで検出器
57上に像を形成させることができる)ので、X線フィ
ルタの機能をもっている。したがって、これらが対物レ
ンズやコンデンサに用いられる場合はX線用の波長域選
択フィルタは不用な場合が多い。これに対してウォルタ
ー型光学系のような斜入射鏡は何でも反射するので、X
線フィルタで波長選択を行う場合には好ましいこともあ
る。よって、用途に応じて適当な光学系を対物レンズ、
コンデンサレンズ等として選ぶとよい。
【0049】なお、斜入射鏡でも表面に多層膜をコーテ
ィングすれば、波長選択性が生ずる。これらの光学素子
が65〜43.7Åを選択透過するようにすると炭素を
見るのに好適である。なお、X線のみの像を得たい場合
は紫外線カットフィルタをフィルタ群68の中に入れて
おくものとする。
【0050】なお、上記実施例では、試料として図3に
1セル分の分子構造を示したLB膜を用いる場合につい
て説明したが、紫外線励起型軟X線顕微鏡法における上
記式(13)による試料の厚みの決定方法は上記と異な
る分子構造のLB膜を用いる場合にも適用可能であり、
その場合にも上記と同様の有効性が得られる。また、上
記実施例では、紫外線光源を独立に設けずにX線発生用
のレーザ光源を紫外線発生用に共用しているが、ガラス
レーザ、エキシマレーザ、SOR光源等を紫外線光源と
して用いてもよい。また、紫外線光源の出力制御は、図
9の従来例のようにくさび型のウェッジ(プリズム)を
光路内に出入りさせることにより行ったり、図1の集光
レンズ60のフォーカス状態を変化させることにより行っ
てもよい。
【0051】また、上記実施例では、画像処理を直接、
ハードウエアの差分回路77で行うようにしているが、差
分回路を省略して、ホストコンピュータ71がフレームメ
モリ76-1、76ー2から画像データを読み出してソフトウエ
ア上で画像処理を行うようにしてもよい。また、上記実
施例では、X線光路に斜入射型光学系およびシュワルツ
シルド光学系を用いているが、これに限定されるもので
はなく、ゾーンプレート等の他の結像光学系を組み合わ
せてX線顕微鏡システムを構成してもよい。なお、以上
は励起光として紫外線を用いるものについて説明した
が、観察対象によっては励起光としてX線、可視光等、
紫外域以外の波長域の光が必要となる場合もある。本発
明はそのような場合でも当然適用でき、ケースバイケー
スで必要な励起光を選べば良い。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、試
料に対し励起用輻射線および軟X線を照射して該試料の
透過X線顕微鏡像を撮像するX線顕微鏡を、
【数16】Z<Loge M/(2re λN0f) ただし、 Z :試料の厚み re :電子の古典半径 λ :X線の波長 N0 :単位体積あたりの観察しようとする分子もしくは
原子の数 f :波長λにおける原子散乱因子の虚数部 M :画像の階調分解能 の条件を満たすように構成したから、良好な画質の透過
X線顕微鏡像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線顕微鏡の第1実施例の構成を示す
システム図である。
【図2】第1実施例に用いる画像処理システムの構成を
示す図である。
【図3】第1実施例において試料として用いるLB膜の
1セル分の分子構造を例示する図である。
【図4】(a)〜(f)は、X線顕微鏡の原理を説明す
るための図である。
【図5】(a)〜(d)は、X線顕微鏡の原理を説明す
るための図である。
【図6】図5の原理の有効性を表わす特性図である。
【図7】図4に対応するX線顕微鏡システムの基本概念
図である。
【図8】図5に対応するX線顕微鏡システムの基本概念
図である。
【図9】図7のX線顕微鏡システムを具体化した従来例
の構成を示す図である。
【図10】図7のX線顕微鏡システムを具体化した他の
従来例の構成を示す図である。
【図11】本発明のX線顕微鏡の第2実施例の構成を示
すシステム図である。
【図12】第2実施例に用いる画像処理システムの構成
を示す図である。
【符号の説明】
51 レーザ(Nd:YAGレーザ) 53 ターゲット 54 コンデンサレンズ 55 対物レンズ 57 検出器 58 サンプル(生体サンプル) 62 真空容器 62a 、62b 透過窓(光学窓)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料に対し励起用輻射線および軟X線を
    照射して該試料の透過X線顕微鏡像を撮像するX線顕微
    鏡において、 【数1】Z<Loge M/(2re λN0f) ただし、 Z :試料の厚み re :電子の古典半径 λ :X線の波長 N0 :単位体積あたりの観察しようとする分子もしくは
    原子の数 f :波長λにおける原子散乱因子の虚数部 M :画像の階調分解能 の条件を満たすように構成したことを特徴とする、X線
    顕微鏡。
JP4001293A 1992-12-25 1993-03-01 X線顕微鏡 Withdrawn JPH06250000A (ja)

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US08/171,719 US5450463A (en) 1992-12-25 1993-12-22 X-ray microscope
US08/466,973 US5590168A (en) 1992-12-25 1995-06-06 X-ray microscope

Applications Claiming Priority (1)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI404911B (zh) * 2010-02-23 2013-08-11 Test Research Inc 厚度測量之校正方法及厚度測量方法
JP2022069273A (ja) * 2020-10-23 2022-05-11 株式会社リガク 結像型x線顕微鏡

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