JPH0625890A - 電気めっき法 - Google Patents

電気めっき法

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JPH0625890A
JPH0625890A JP2141092A JP2141092A JPH0625890A JP H0625890 A JPH0625890 A JP H0625890A JP 2141092 A JP2141092 A JP 2141092A JP 2141092 A JP2141092 A JP 2141092A JP H0625890 A JPH0625890 A JP H0625890A
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plating
outer peripheral
anode body
friction
peripheral surface
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JP2141092A
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Manabu Shinada
学 品田
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Riken Corp
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Riken Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 めっきすべき金属材料の変形及び残留歪の発
生を抑制でき、容易な前処理を通じて良好な密着性を有
するめっき層を形成できる電気めっき法を提供する。 【構成】 この発明による電気めっき法は、チタン又は
チタン合金製の金属表面を電解洗浄により脱脂する工程
と、脱脂後、陽極体が摩擦接触する状態で回転する金属
表面を電解洗浄により酸性活性化する工程と、酸性活性
化後、陽極体が摩擦接触する状態で回転する金属表面に
ニッケルめっきを行い、下付層を形成する工程と、金属
表面の下付層上に耐摩耗性の外側層を形成する工程とを
含む。金属表面を脱脂しかつ酸性活性化した後、回転中
の金属表面に陽極体を摩擦接触させた状態でニッケルめ
っき液を電着するので、電着面の活性化が促進され、金
属表面の酸化物層が十分に除去されると共に、ニッケル
が金属表面に強く電着して密着力の強い下付層が形成さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特にチタン又はチタン
合金材を母材とするピストンリングの外周摺動面のめっ
きに好適な電気めっき法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、チタン又はチタン合金材を母材
とする被めっきワーク表面に耐摩耗性、耐焼付性の皮膜
を形成する方法として、イオンプレーティング法、CV
D法、ガス窒化法、塩浴窒化法及びイオン窒化法等の各
種乾式表面処理法が知られている。また、クロムめっき
等による電気めっきにおいては、前処理としてフッ酸と
硝酸や重クロム酸等の混酸で十分に活性化処理を行い、
迅速にニッケルの下地処理を施した上にクロムめっきを
施す方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、イオンプレ
ーティング法やガス窒化法等の乾式プロセスでは、処理
温度が高いために熱により母材の歪や変形が大きくなる
という問題がある。母材がピストンリングの場合、歪や
変形によってシール性が低下するなど機能を損なうこと
がある。これに対して、電気めっきの場合は温度は低い
が、前処理により強力に活性化する必要があって、母材
の寸法精度が低下するなどの不都合がある。また、前処
理の混酸液の組成変化が著しいことから母材表面への密
着性が安定せず、更には、反応ガスが公害問題を引き起
こすなど前処理方法の改善が要求されている。従って、
本発明の目的は、被めっきワークの熱歪や変形の発生が
抑えられ、本めっき前処理が容易で、本めっきの密着性
良好な電気めっき法を提供することである。また、本発
明は、特に高速高負荷の過酷な条件で使用され、剥離せ
ずに軽量化に適したチタン又はチタン合金を母材とする
ピストンリングに最適であって、この外周摺動面に耐摩
耗性や耐スカッフィング性に好適な皮膜を形成すること
ができる電気めっき法を提供することを目的としてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明による電気めっき
法は、母材の被めっき面を電解洗浄して脱脂する工程、
母材を回転させて脱脂した被めっき面に陽極体を接触さ
せて摩擦しながら酸性活性化電解する工程、母材を回転
させて酸性活性化電解した被めっき面に陽極体を接触さ
せて摩擦しながらニッケルで下地層を形成する工程、母
材を回転させてニッケル下地層を形成した被めっき面に
陽極体を接触させて摩擦しながら耐摩耗性皮膜を形成す
る工程、を含むものである。
【0005】
【作用】母材の被めっき面を脱脂し、脱脂した被めっき
面が酸性活性化電解される。回転中の母材の被めっき面
に陽極体を接触させて摩擦しながらニッケルめっき液が
電着される。被めっき面を擦って活性化するため、母材
の表面の酸化物層が除去され、ニッケル電着層が母材に
強く金属結合して密着力の強い電着層が形成される。密
着性に優れたニッケル層が形成された後、目的とする耐
摩耗性、耐スカッフィング性に優れた本めっき層を形成
させることにより、母材表面に密着性に優れ、耐摩耗
性、耐スカッフィング性の皮膜が形成される。
【0006】
【実施例】以下、本発明による電気めっき法をピストン
リングに適用した実施例について説明する。図1及び図
2は、例えば仕様が呼び径:56mm、幅:0.8m
m、厚さ:2.4mmによる母材として6アルミ・バナ
チタン合金(6重量%アルミニウム、4重量%バンジウ
ム)のチタン合金製で、例えば4サイクル用自動二輪車
のエンジンに装着されるピストンリングのトップリング
(以下、ワークと呼ぶ)10及びその断面図を示す。
【0007】図3は、ワーク10の外周摺動面を被めっ
き面としてめっきを行う装置を示す。装置では、多数の
ワーク10を軸を揃えて束ねて1本の筒状にしたものを
回転自在に支持できるようになっている。また、束ねた
全ワーク10の外周摺動面に押し当てられる陽極体20
が配置され、この陽極体20はワーク10の外周曲率に
沿って湾曲形をなすケース21を有し、ケース21に設
けられた陽極電極の支持棒22を介して陽極体20全体
を固定している。ケース21には注入管23が接続さ
れ、この注入管23を通してケース21内部に溶液冷却
タンク24からめっき液が注入されるようになってい
る。また、ケース21内部には電極の黒鉛陽極25が充
填されている。多孔溝状に形成された黒鉛陽極25では
注入管23から供給されためっき液の流通が可能であ
る。黒鉛陽極25のワーク10に臨む面は凹曲面をな
し、この凹曲面に沿って弓状にビニール繊維等の化学繊
維、もしくは網状の不織布やフェルト材による摩擦材2
6が接合されている。摩擦材26もまた電解液やめっき
液の浸透が可能であり、この摩擦材26を回転中の全ワ
ーク10の外周面に接触させて、電解液やめっき液を塗
布するようになっている。
【0008】また、回転支持されたワーク10の直下位
置では、電解洗浄やめっき処理中にワーク10から滴下
する電解洗浄液やめっき液を回収するトレイ27が配置
してあり、トレイ27に回収された電解洗浄液やめっき
液をフィルタ28を通して、ポンプ29で再び溶液冷却
タンク24に戻す循環システムが採られている。
【0009】一方、ワーク10に接触できる位置には陰
極端子30が配置され、この陰極端子30には通電でき
るようになっていて、しかもスプリング31で陰極端子
30を押圧して回転中のワーク10の外周面に接触させ
るようになっている。
【0010】次に、以上のようなめっき装置でもってワ
ーク10の外周摺動面にめっきを施す工程の「第1実施
例」を順に説明する。まず、〔工程1〕では、「表1」
に示す浴組成及び条件によって、ワーク10の被めっき
面である外周摺動面が電解洗浄して脱脂される。
【表1】
【0011】〔工程2〕では、〔工程1〕で脱脂処理し
たワーク10の外周摺動面を「表2」に示す浴組成及び
条件でもって酸性活性化電解する。この〔工程2〕で
は、図3に示すように、駆動を伝えて回転中のワーク1
0の外周摺動面に陽極体20の摩擦材26を押し当てて
接触させる。同時に、陰極端子30をスプリング31で
ワーク10外周面に接触させ、陽極体20との電気回路
に通電される。陽極体20のケース21には注入管23
を通して溶液冷却タンク24からめっき液が注入され
る。
【表2】
【0012】次の〔工程3〕では、ワーク10の外周摺
動面に「表3」に示す浴組成及び条件でニッケルめっき
により下地層を形成する。陽極体20に注入されためっ
き液は黒鉛陽極25から摩擦材26へ浸透し、回転中の
ワーク10の外周摺動面に摩擦材26を擦り着けなが
ら、ワーク10の外周面に密着力の良好な8μmのニッ
ケルめっき層11を下地層として電着させる。回転中の
ワーク10の外周摺動面は摩擦材26が常時摺り合わさ
れることで活性化し、この活性面に一定量のニッケルめ
っき液が供給される。 (以下、本頁余白)
【表3】
【0013】また、〔工程4〕では、先の〔工程3〕で
外周摺動面にニッケルめっき層11による下地層を形成
したワーク10に、さらにその上から耐摩耗性や耐スカ
ッフィング性に優れた複合分散めっき又は硬質クロムめ
っきによる本めっき層12を通常の浸漬めっき法、もし
くは摩擦研磨材の摩擦によってワーク10表面を擦りな
がら本めっき処理する。本めっき処理においては、「表
4」に示す浴組成条件によって、複合分散めっきによる
本めっき層12を「具体例:1」として、硬質クロムに
よる本めっき層12を「具体例:2」とした。 (以下本頁余白)
【表4】 「表4」中の皮膜硬度とは、〔工程5〕として400℃
で1時間の熱硬化処理を施した際の皮膜の硬度を示す。
めっきの厚さは100μmで電着されたものを準備し
た。
【0014】次に、本発明によるめっき法工程の「第2
実施例」として、同一材料、同一サイズで前述の第1実
施例の〔工程1〕から〔工程3〕までの各工程と同一の
処理したものに、〔工程4〕として硬質クロムめっきを
次の「表5」のような浴組成条件で行った。〔工程4〕
で得られた硬質クロムめっき層は厚さ100μmを有す
る。更に、次の〔工程5〕では200℃で1時間のベー
キング(焙り焼き)処理を施した。結果、硬質クロムめ
っき層のマイクロビッカース硬度(Hmv)は970で
あった。
【表5】
【0015】ワーク10のトップリングに採用した複合
めっき又は硬質クロムめっきによる本発明のめっき方法
の優位性を立証するために次のような比較例を用意し
た。「比較例:1」を作成するために、第1及び第2実
施例で用いたワーク10と同一素材及び形状のトップリ
ングを用意した。この比較例1では、ワークのトップリ
ングを通常の浸漬法によるASTM法と呼ばれる処理法
において、アルカリ電解洗浄後の活性化処理として、浸
漬法でもってフッ酸と硝酸との比率が1:3の混酸溶液
に浴温30℃で20秒間浸漬する。水洗後、再び重クロ
ム酸ナトリウム250グラム/リットルと、フッ酸48
ミリグラム/リットルの活性化エッチング処理液に温度
80℃で20分間浸漬する。再び水洗後、ただちに前述
の第1、第2実施例における〔工程3〕と同一のニッケ
ルめっき浴組成でもって、通常の浸漬法により電流密度
7A/dm2で5分間のニッケルめっき下地処層を形成
した。この後、「表4」で示された具体例:1に示す同
一条件及び工程で複合めっきを施した。得られた皮膜を
具体例:1のように、400℃で1時間の熱硬化処理を
施した。
【0016】また、「比較例:1」を作成するために、
同じく、第1及び第2実施例で用いたワーク10と同一
素材及び形状のトップリングを母材として用意した。こ
の比較例2では、比較例1と同様な方法、条件でアルカ
リ電解洗浄、フッ酸・硝酸活性化、重クロム酸ナトリウ
ム、フッ酸の活性化、ニッケル下地層を形成した後、
「表5」で示された具体例2の条件で硬質クロムめっき
を施した。得られた具体例2と同様に200℃で1時間
の焙り焼き処理を行った。
【0017】具体例1としての摩擦研磨材による摩擦
めっき法及び浸漬法による各複合めっき皮膜形成リン
グ、具体例2としての硬質クロムめっきによる皮膜形
成リング、比較例1としての摩擦研磨材による摩擦め
っき法及び浸漬法による各複合めっき皮膜形成リング、
比較例2としてのの硬質クロムめっきによる皮膜形成
リングを、実際に4気筒4サイクル水冷式のアルミ合金
製鋳鉄スリーブ鋳込エンジンのトップリングとして装着
し、馴らし運転後、全負荷で回転数14000rpmに
より200時間運転の耐久テストを行った。「表6」
は、各ピストンリングと相対するシリンダの摺動面を観
察し、摩耗量についての測定結果を示す。 (以下本頁余白)
【表6】
【0018】この「表6」から明らかなように、本発明
による具体1、2のサンプルの場合、比較例1、2に比
べてワーク上からの剥離はなく、ピストンリング及びシ
リンダの摩耗量も少なく、表面状態は良好である。ま
た、本発明によるめっき方法によるチタン又はチタン合
金製のピストンリングは密着性が良好で耐摩耗性、耐ス
カッフィング性に優れていることが理解されよう。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による電気
めっき法は、例えばピストンリングのようにチタン又は
チタン合金を母材にした表面に耐摩耗性皮膜を強い結合
で密着させるのに好適である。即ち、めっき前処理中及
びニッケル下地層形成処理中は、強力な酸化膜が形成さ
れているワーク表面を摩擦材で擦るため、電着界面の活
性化が促進され、酸化膜が削減されながら電着される。
従って、活性化されながら酸化膜の影響を弱め、金属面
上への電着が行われるために密着性が良好である。ま
た、電着めっき速度もアップして得られた皮膜は、高速
高負荷の過酷な条件で使用され、剥離せずに軽量化に適
したチタン又はチタン合金を母材とするピストンリング
の外周摺動面に、耐摩耗性や耐スカッフィング性の好適
な皮膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による電気めっき法が適用される実施
例のピストンリング(トップリング)の平面図。
【図2】 図1のA−A線によるピストンリングの断面
図。
【図3】 本発明による電気めっき法で使用される装置
の概略図。
【符号の説明】
10..ピストンリング、11..ニッケルめっき下地
層、12..本めっき層、20..陽極体、21..ケ
ース、23..めっき液注入管、25..黒鉛陽極、2
6..摩擦材、30..陰極端子、31..スプリン
グ、24..溶液冷却タンク、27..回収トレイ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 電気めっき法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、めっき技術、特にチ
タン又はチタン合金材の金属表面にめっき処理を行う電
気めっき法に関する。
【0002】
【従来の技術】チタン又はチタン合金材の表面に耐摩耗
性及び耐焼付性の皮膜を形成する方法として、イオンプ
レーティング法、プラズマCVD法、拡散浸透法、電気
めっき法及び陽極酸化法等の各種乾式表面処理法が知ら
れている。また、クロムめっき等による電気めっきで
は、フッ酸と硝酸又は重クロム酸等の混酸を使用して十
分に金属表面の活性化処理を行い、ニッケルめっきを施
した上にクロムめっきを施す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ピストンリ
ングに前記乾式めっき処理を施した場合、高い処理温度
により大きな熱変形及び残留歪がピストンリングに発生
し、得られたピストンリングでは内燃機関の十分な気密
を確保できない。これに対して、低い処理温度の電気め
っきでは、前処理で行われる強力な活性化により金属表
面の寸法精度が低下する。また、前処理で使用する特定
の混酸液の組成が不安定な場合、金属表面への密着性が
不十分となり、発生する反応ガスが公害問題を招来する
欠点があり、処理方法の改善が要求されている。
【0004】従って、この発明の目的は、めっきすべき
金属材料の変形及び残留歪の発生を抑制でき、容易な前
処理を通じて良好な密着性を有するめっき層を形成でき
る電気めっき法を提供することである。
【0005】また、この発明は、チタン又はチタン合金
により形成されたピストンリングの外周面に耐摩耗性及
び耐スカッフィング性を与える皮膜を形成できる電気め
っき法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明による電気めっ
き法は、チタン又はチタン合金製の金属表面を電解洗浄
により脱脂する工程と、脱脂後、陽極体が摩擦接触する
状態で回転する金属表面を電解洗浄により酸性活性化す
る工程と、酸性活性化後、陽極体が摩擦接触する状態で
回転する金属表面にニッケルめっきを行い、下付層を形
成する工程と、金属表面の下付層上に耐摩耗性の外側層
を形成する工程とを含む。この発明の実施例では、ピス
トンリングの外周面にめっき処理を行う。耐摩耗性の外
側層は、陽極体が摩擦接触する状態で金属表面を回転さ
せながら又はめっき液に浸漬して下付層上に形成され
る。
【0007】
【作用】金属表面を脱脂しかつ酸性活性化した後、回転
中の金属表面に陽極体を摩擦接触させた状態でニッケル
めっき液を電着するので、電着面の活性化が促進され、
金属表面の酸化物層が十分に除去されると共に、ニッケ
ルが金属表面に強く電着して密着力の強い下付層が形成
される。下付層は、所定の厚さまで従来に比べて短時間
で形成される。その後、下付層の上に外側層が形成され
る。
【0008】
【実施例】以下、4サイクル用自動二輪車のエンジンの
トップリングとして実装されるチタン合金製のピストン
リングに適用したこの発明による電気めっき法の実施例
を図1〜図3について説明する。
【0009】図2は、6重量%アルミニウム及び4重量
%バンジウムにより形成された6アルミ・バナチタン合
金のピストンリング10を示し、図3は呼び径56m
m、幅0.8mm、厚さ2.4mmの寸法を有するピスト
ンリング10の断面図を示す。
【0010】図1は、同一軸上に多数のピストンリング
10を1本の筒状に重ねて回転可能に支持したリングブ
ロック14の外周面にめっき層を形成するめっき装置1
5を示す。リングブロック14に隣接して配置された陽
極体20は、ピストンリング10の外周面と同一の曲率
の湾曲形をなすケース21と、ケース21に設けられか
つ陽極体20を支持する支持棒22と、ケース21内部
に充填された多孔質の黒鉛陽極25と、黒鉛陽極25の
凹面に接合された摩擦材26とを備えている。溶液冷却
タンク24からめっき液をケース21の内部に供給する
注入管23がケース21に接続される。注入管23から
供給されるめっき液は、多孔質の黒鉛陽極25内を通過
して摩擦材26に達する。黒鉛陽極25の凹面に沿って
配置される摩擦材26は電解液及びめっき液の浸透が可
能なビニール繊維等の化学繊維又はフェルト材等の動植
物繊維によって形成された網状の織布又は不織布であ
る。回転するリングブロック14の外周面に摩擦材26
を接触させて、電解液及びめっき液がリングブロック1
4に塗布される。
【0011】回転可能に支持されたリングブロック14
の下方には、リングブロック14から滴下する電解洗浄
液及びめっき液を回収するトレイ27が配置され、トレ
イ27に回収される電解洗浄液及びめっき液は再使用の
ためポンプ29でフィルタ28を通して溶液冷却タンク
24に戻される。リングブロック14に接触して配置さ
れた陰極端子30はスプリング31でリングブロック1
4の外周面に弾性をもって押圧され、通電される。トレ
イ27、ポンプ29及び溶液冷却タンク24は溶液の混
合を防止するため、実際には電解洗浄液、めっき液等異
なる溶液毎に異なる装置を使用するが、装置としては同
一の機能構造のものを使用できるので、同一の符号を使
用するものとする。
【0012】次に、図1に示すめっき装置15を使用し
てリングブロック14の外周面にめっきを施す工程の実
施例を説明する。
【0013】例1 まず、NaOH:75g(グラム)/l(リットル)、
Na3PO4:10g/l、Na2CO3:14g/lの組
成からなる浴温80℃の洗浄液を陽極体20に供給し、
電圧12ボルト、電流密度(陽極)7.5A/cm2で電
流を陰極端子30に30秒供給して、リングブロック1
4の外周面を電解洗浄により脱脂した。
【0014】次に、HCl:20g/l、H2SO4:2
00g/lの組成を有し、浴温40℃のめっき浴で前記
脱脂処理したリングブロック14の外周面を酸性活性化
電解した。このとき、陰極端子30に対する電流は電流
密度0.5A/cm2、ピストンリング速度8m/分、電
解時間20秒である。
【0015】図1に示すように、適当な駆動装置により
回転するリングブロック14の外周面に陽極体20の摩
擦材26を接触させた。同時に、スプリング31の弾性
力によりリングブロック14の外周面に陰極端子30を
接触させ、陽極体20との間で通電した。陽極体20の
ケース21には注入管23を通して溶液冷却タンク24
からめっき液を注入した。
【0016】続いて、リングブロック14の外周面に下
地層としてニッケルめっきにより下付層を形成した。そ
の浴組成は、NiCl・6H2O:250g/l、H3
3:30g/lであり、浴温は30℃、電流密度は0.
5A/cm2、ピストンリング速度は5m/分、電解時
間は20秒である。陽極体20に供給されためっき液は
黒鉛陽極25から摩擦材26へ浸透した。回転中のリン
グブロック14の外周面に摩擦材26を擦り着けながら
活性化し、一定量のニッケルめっき液を供給した。リン
グブロック14を構成する各ピストンリング10の外周
面にニッケルからなる8μmの厚さを有する下付層11
を下地層として電着した。
【0017】更に、摩擦研磨材の摩擦法と通常の浸漬め
っき法により、Co−Ni−P合金の酸化クロム複合分
散メッキでそれぞれ外側層12を下付層11の上に形成
した。外側層の形成に使用する浴組成は、NiSO4
2O:100g/l、NiCl26H2O:80g/
l、CoSO47H2O:100g/l、H3PO3:25
g/l、NaH2PO22O:2g/lである。水素イ
オン濃度はpH=2.0、浴温は50℃である。摩擦研
磨材による摩擦めっき法では、電流密度:300A/d
2、通電時間:30分、酸化クロム懸濁量(平均粒
径:1.5μm):20g/lである。電析合金組成で
は、コバルト(Co):65重量%、リン(P):3.
0重量%、酸化クロム分散度20容量%、皮膜硬度Hmv
=830マイクロビッカースである。
【0018】同一浴組成及び浴温を使用した浸漬法で
は、電流密度:5A/dm2、通電時間:120分、酸
化クロム懸濁量(平均粒径1.5μm):100g/
l、電析合金組成では、Co:60重量%、P:2.8
重量%、酸化クロム分散度:10容量%、皮膜硬度Hmv
=810マイクロビッカースである。本実施例では、複
合分散めっき及び硬質クロムの各々によって外側層12
を形成した。前記皮膜硬度は、めっき厚さ100μmで
電着された外側層12を400℃の温度で1時間の熱硬
化処理を施した際の皮膜の硬度を示す。
【0019】例2 次に、例1で使用したピストンリング10と同一材料、
同一サイズのピストンリングを使用し、電解洗浄、酸性
活性化電解、ニッケルめっき層11の形成まで例1と同
一の処理を行った。硬質クロムめっき処理で使用した浴
組成は、CrO3:250g/l、H2SO4:2.5g/
lで、浴温:55℃である。電流密度:55A/d
2、電解時間:5時間である。得られた硬質クロムめ
っき層は厚さ100μmを有する。更に、200℃で1
時間のベーキング(焙り焼き)処理を施し、硬度を検査
した結果、硬質クロムめっき層のマイクロビッカース硬
度(HMV)は970であった。この発明による前記め
っき方法の効果を確認するため、比較例1及び比較例2
を作成した。
【0020】比較例1 例1及び例2で使用したピストンリング10と同一素材
及び同一形状のピストンリングを用意し、アルカリ電解
洗浄後の活性化処理として、ASTM(アメリカ材料試
験協会)規格に基づく浸漬処理法により混酸溶液に20
秒間浸漬した。この混酸溶液はフッ酸と硝酸との比率が
1:3で、浴温30℃である。水洗後、再び重クロム酸
ナトリウム250g/lと、フッ酸48mg(ミリグラ
ム)/lの活性化エッチング処理液に温度80℃で20
分間浸漬した。再び水洗後、直ちに下付層11を形成す
る前記実施例と同一のニッケルめっき浴を使用し、通常
の浸漬法により電流密度7A/dm2で5分間のニッケ
ルめっき層を形成した。その後、外側層12を形成する
前記実施例と同一のクロムめっき浴(Co−Ni−P合
金酸化クロム複合分散めっき)の摩擦法及び浸漬法によ
り同一条件で複合めっきを施し、400℃で1時間の熱
硬化処理を施した。
【0021】比較例2 また、例1及び例2で用いたピストンリング10と同一
素材及び形状のピストンリングを用意し、比較例1と同
一の方法及び条件でアルカリ電解洗浄、フッ酸・硝酸活
性化、重クロム酸ナトリウム、フッ酸の活性化、ニッケ
ルめっき層を形成した後、例2と同一の条件で硬質クロ
ムめっきを施し、200℃で1時間の焙り焼き処理を行
った。
【0022】前記の例より試料番号〜で示す下記6
種類のピストンリングが得られた。 摩擦研磨材による摩擦めっき−摩擦法(例1) 浸漬法による各複合めっき処理−浸漬法(例1) 硬質クロムめっき処理−硬質クロムめっき(例2) 摩擦研磨材による摩擦めっき法−摩擦法(比較例
1) 浸漬法による各複合めっき処理−浸漬法(比較例
1) 硬質クロムめっきによる皮膜形成リング−硬質クロ
ムめっき(比較例2) 4気筒4サイクル水冷式のアルミ合金製鋳鉄スリーブ鋳
込エンジンのトップリングとして前記4種のピストンリ
ングを実装し、馴らし運転後、全負荷で回転数1400
0rpmにより200時間の耐久テストを行った。下表
は、各ピストンリングと相対するシリンダの摺動面を観
察し、摩耗量についての測定結果を示す。 試料番号 試験後の表面状態 試験後の摩耗量(μm) ピストンリング シリンダ 剥離なし 8 4 下付層から2個所剥離 13 5 剥離なし 30 3 外側層から6個所剥離 10 8 外側層から7個所剥離、下付層から2個所剥離 15 10 ワーク表面から5個所剥離 15 10 上記表から明らかなように、この発明による例1及び例
2では、めっき層の密着性が良好で、外側層12からの
剥離はなく、ピストンリング及びシリンダの摩耗量も少
なく、表面状態は良好である。また、この発明によって
めっきされたチタン又はチタン合金製のピストンリング
はエンジンの稼動中に加熱されたピストンの熱をシリン
ダに円滑に伝達する耐摩耗性の放熱路を形成するから、
耐スカッフィング性に優れていることが理解されよう。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、この発明による電
気めっき法は、軽量なチタン又はチタン合金の表面に耐
摩耗性皮膜を強固な剥離強度で形成できる。このため、
高速高負荷の過酷な条件で使用される軽量化ピストンリ
ングの外周面に耐摩耗性及び耐スカッフィング性の皮膜
を形成することができ、エンジンの性能を向上すると共
に、寿命を延長することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による電気めっき法に使用するめっ
き装置のブロック図
【図2】 この発明による電気めっき法によってめっき
されたピストンリングの平面図
【図3】 図2のA−A線に沿うピストンリングの断面
【符号の説明】 10..ピストンリング、11..下付層、12..外
側層、14..リングブロック、15..めっき装置、
20..陽極体、21..ケース、25..黒鉛陽極、
26..摩擦材、30..陰極端子、31..スプリン
グ、24..溶液冷却タンク、27..トレイ
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】母材の被めっき面を電解洗浄して脱脂する
    工程、 母材を回転させて脱脂した被めっき面に陽極体を接触さ
    せて摩擦しながら酸性活性化電解する工程、 母材を回転させて酸性活性化電解した被めっき面に陽極
    体を接触させて摩擦しながらニッケルで下地層を形成す
    る工程、 母材を回転させてニッケル下地層を形成した被めっき面
    に陽極体を接触させて摩擦しながら耐摩耗性皮膜を形成
    する工程、を含むことを特徴とする電気めっき法。
  2. 【請求項2】母材がチタンまたはチタン合金によるピス
    トンリングであって、その少なくと外周摺動面を被めっ
    き面とした「請求項1」に記載の電気めっき法。
JP2141092A 1992-02-06 1992-02-06 電気めっき法 Pending JPH0625890A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1125196C (zh) * 1999-09-28 2003-10-22 香港生产力促进局 光亮电镀用的钛及钛合金表面活化处理方法及其活化液
CN104005059A (zh) * 2014-06-11 2014-08-27 沈阳飞机工业(集团)有限公司 一种在tc1、tc2钛合金上电镀铬的方法

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CN1125196C (zh) * 1999-09-28 2003-10-22 香港生产力促进局 光亮电镀用的钛及钛合金表面活化处理方法及其活化液
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