JPH06264192A - 溶接構造用高強度・高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼及びその製造方法 - Google Patents
溶接構造用高強度・高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼及びその製造方法Info
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- JPH06264192A JPH06264192A JP7858093A JP7858093A JPH06264192A JP H06264192 A JPH06264192 A JP H06264192A JP 7858093 A JP7858093 A JP 7858093A JP 7858093 A JP7858093 A JP 7858093A JP H06264192 A JPH06264192 A JP H06264192A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 重量%で、C:0.03%以下、Si:1.
0%以下、Mn:1.0%以下、Cu:0.05〜1.
0%、Ni:5.0〜7.0%、Cr:13.0〜1
7.0%、Mo:2.0%以下、N:0.02%以下を
含み、且つ前記元素の含有量が(1)〜(3)式を満足
し、残部実質的にFe及び不可避的不純物からなること
を特徴とする800MPa以上の0.2%耐力を有した
溶接構造用高靭性マルテンサイト系ステンレス綱。 C(%)+N(%)≦0.03 ・・・(1) 12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×Si(%) −9×Ni(%)−2×Cu(%)−190×C(%) −160×N(%)≦154 ・・・(2) 27.6≦Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×Si(%) +2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68×C(%) +54×N(%)≦31.6 ・・・(3)
0%以下、Mn:1.0%以下、Cu:0.05〜1.
0%、Ni:5.0〜7.0%、Cr:13.0〜1
7.0%、Mo:2.0%以下、N:0.02%以下を
含み、且つ前記元素の含有量が(1)〜(3)式を満足
し、残部実質的にFe及び不可避的不純物からなること
を特徴とする800MPa以上の0.2%耐力を有した
溶接構造用高靭性マルテンサイト系ステンレス綱。 C(%)+N(%)≦0.03 ・・・(1) 12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×Si(%) −9×Ni(%)−2×Cu(%)−190×C(%) −160×N(%)≦154 ・・・(2) 27.6≦Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×Si(%) +2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68×C(%) +54×N(%)≦31.6 ・・・(3)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速船の水中翼等の材
料として利用できる、溶接構造用高強度・高靭性ステン
レス鋼及びその製造方法に関するものである。
料として利用できる、溶接構造用高強度・高靭性ステン
レス鋼及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水力発電用ランナー等の高速流水環境で
は、従来、耐キャビテーションエロージョン性(以下、
耐CE性と呼ぶ)に優れたSCS6等の13%Cr−4
〜6%Ni鋳鋼が用いられてきた。この鋼はNiを含有
させることにより、Cを0.03〜0.05%程度に低
減してもδフェライトがほとんど無く、さらにAc1 点
以上の高温焼戻により残留オーステナイトが数10%生
成するため、マルテンサイト系ステンレス鋼としては比
較的良好な靭性と溶接性を有している。
は、従来、耐キャビテーションエロージョン性(以下、
耐CE性と呼ぶ)に優れたSCS6等の13%Cr−4
〜6%Ni鋳鋼が用いられてきた。この鋼はNiを含有
させることにより、Cを0.03〜0.05%程度に低
減してもδフェライトがほとんど無く、さらにAc1 点
以上の高温焼戻により残留オーステナイトが数10%生
成するため、マルテンサイト系ステンレス鋼としては比
較的良好な靭性と溶接性を有している。
【0003】しかし、近年、高速船の大型化、ハイスピ
ード化にともない、水中翼等の部材の軽量化及び耐CE
性の向上が必要とされている。軽量化、ならびに耐CE
性の向上には、いずれも高強度化を図ることが最も有効
な手段であり、現在800MPa以上の0.2%耐力を
有する高強度ステンレス鋼が要求されているが、高温焼
戻を施している13Cr−3〜6Ni鋼の0.2%耐力
は500〜700MPa程度である。800MPa以上
の0.2%耐力を有する高強度ステンレス鋼としては、
SUS630(17−4PH)等の析出硬化型マルテン
サイト系ステンレスが挙げられる。しかし、Cu等によ
り著しく析出強化されたこの鋼は延靭性が不良で、ま
た、δフェライトを含有するため熱間加工性にも劣る。
さらに、溶接時の熱影響でCu析出物が再固溶するた
め、溶接継手の強度が著しく低下する。このため、溶接
後に時効処理を施す必要があり、大型構造物への適用が
困難であった。
ード化にともない、水中翼等の部材の軽量化及び耐CE
性の向上が必要とされている。軽量化、ならびに耐CE
性の向上には、いずれも高強度化を図ることが最も有効
な手段であり、現在800MPa以上の0.2%耐力を
有する高強度ステンレス鋼が要求されているが、高温焼
戻を施している13Cr−3〜6Ni鋼の0.2%耐力
は500〜700MPa程度である。800MPa以上
の0.2%耐力を有する高強度ステンレス鋼としては、
SUS630(17−4PH)等の析出硬化型マルテン
サイト系ステンレスが挙げられる。しかし、Cu等によ
り著しく析出強化されたこの鋼は延靭性が不良で、ま
た、δフェライトを含有するため熱間加工性にも劣る。
さらに、溶接時の熱影響でCu析出物が再固溶するた
め、溶接継手の強度が著しく低下する。このため、溶接
後に時効処理を施す必要があり、大型構造物への適用が
困難であった。
【0004】これに対し、特公平1−218827号公
報では、前記したNi含有の低Cマルテンサイト系ステ
ンレス鋼にV、Alを微量添加し低温焼戻を施すことに
より、微細な針状マルテンサイト組織となり、SUS6
30並の強度を有し、且つ優れた延靭性が得られると開
示されている。また、特開昭62−124218号公報
及び特開平3−188215号公報によれば、このよう
な微量元素を添加したNi含有の低Cマルテンサイト系
ステンレス鋼は、Ac1 点以上の高温域で焼戻を施すこ
とにより、前者では微細かつ安定な逆変態オーステナイ
トが形成し、後者では逆変態オーステナイトがより微細
なマルテンサイトに変態するため、強度、靭性のみなら
ず、溶接熱影響部の軟化抵抗にも優れると開示されてい
る。
報では、前記したNi含有の低Cマルテンサイト系ステ
ンレス鋼にV、Alを微量添加し低温焼戻を施すことに
より、微細な針状マルテンサイト組織となり、SUS6
30並の強度を有し、且つ優れた延靭性が得られると開
示されている。また、特開昭62−124218号公報
及び特開平3−188215号公報によれば、このよう
な微量元素を添加したNi含有の低Cマルテンサイト系
ステンレス鋼は、Ac1 点以上の高温域で焼戻を施すこ
とにより、前者では微細かつ安定な逆変態オーステナイ
トが形成し、後者では逆変態オーステナイトがより微細
なマルテンサイトに変態するため、強度、靭性のみなら
ず、溶接熱影響部の軟化抵抗にも優れると開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特公平1−2
8827号公報、特開昭62−124218号公報及び
特開平3−188215号公報による鋼の延靭性は、C
u等の析出により著しく強化された析出硬化型ステンレ
ス鋼に比べ優れているものの、いずれも伸びで20%程
度、0℃のシャルピー吸収エネルギーで200J程度が
上限であり、強加工や低温使用を考慮するといまだ問題
があった。また、特公平1−28827号公報及び特開
昭62−124218号公報によるものは、析出硬化型
ステンレス鋼と同様に、1hr以上という長時間焼戻処
理が必要であり、製造効率の向上及びコスト低減の観点
から、熱処理の簡略化が要求されている。本発明は上記
のような問題点を解決するためになされたもので、高速
船の水中翼等の材料として利用できる、800MPa以
上の0.2%耐力を有し、且つ延靭性、加工性、溶接
性、ならびに溶接熱影響部の軟化抵抗に優れたステンレ
ス鋼を安価に得ることを目的とする。
8827号公報、特開昭62−124218号公報及び
特開平3−188215号公報による鋼の延靭性は、C
u等の析出により著しく強化された析出硬化型ステンレ
ス鋼に比べ優れているものの、いずれも伸びで20%程
度、0℃のシャルピー吸収エネルギーで200J程度が
上限であり、強加工や低温使用を考慮するといまだ問題
があった。また、特公平1−28827号公報及び特開
昭62−124218号公報によるものは、析出硬化型
ステンレス鋼と同様に、1hr以上という長時間焼戻処
理が必要であり、製造効率の向上及びコスト低減の観点
から、熱処理の簡略化が要求されている。本発明は上記
のような問題点を解決するためになされたもので、高速
船の水中翼等の材料として利用できる、800MPa以
上の0.2%耐力を有し、且つ延靭性、加工性、溶接
性、ならびに溶接熱影響部の軟化抵抗に優れたステンレ
ス鋼を安価に得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述した
Ni含有の低Cマルテンサイト系ステンレス鋼の延靭性
劣化因子を検討した結果、微量元素の添加により析出し
た炭窒化物あるいは金属間化合物が延靭性を著しく劣化
させることを見出した。また、特開昭62−12421
8号公報には微量元素を含有しない鋼種も併せて開示さ
れているが、この場合、高強度化のためにC,N、ある
いはSi含有量を増加させる必要があるため、同様に靭
性が劣化した。さらに、いずれの鋼種も最高強度の得ら
れる500℃近傍の低温域で焼戻を行った場合に、延靭
性の低下が最も著しかった。
Ni含有の低Cマルテンサイト系ステンレス鋼の延靭性
劣化因子を検討した結果、微量元素の添加により析出し
た炭窒化物あるいは金属間化合物が延靭性を著しく劣化
させることを見出した。また、特開昭62−12421
8号公報には微量元素を含有しない鋼種も併せて開示さ
れているが、この場合、高強度化のためにC,N、ある
いはSi含有量を増加させる必要があるため、同様に靭
性が劣化した。さらに、いずれの鋼種も最高強度の得ら
れる500℃近傍の低温域で焼戻を行った場合に、延靭
性の低下が最も著しかった。
【0007】そこで、本発明者らは析出物を形成するよ
うな微量合金元素を添加しないNi含有のマルテンサイ
ト系ステンレス鋼の成分及び熱処理条件を詳細に検討し
た結果、極低C、N化及びδフェライトの低減を図り、
且つ少量の残留オーステナイトを含有させると、500
℃近傍の温度域で焼戻を施しても良好な延靭性が得られ
ることを見出した。さらに、極低C,N化は同時に加工
性向上及び溶接時の低温割れ抑制にも有効であった。以
上の知見に基づくと、前記した課題は以下に述べる成分
限定、製造方法により解決される。
うな微量合金元素を添加しないNi含有のマルテンサイ
ト系ステンレス鋼の成分及び熱処理条件を詳細に検討し
た結果、極低C、N化及びδフェライトの低減を図り、
且つ少量の残留オーステナイトを含有させると、500
℃近傍の温度域で焼戻を施しても良好な延靭性が得られ
ることを見出した。さらに、極低C,N化は同時に加工
性向上及び溶接時の低温割れ抑制にも有効であった。以
上の知見に基づくと、前記した課題は以下に述べる成分
限定、製造方法により解決される。
【0008】第1発明は、重量%で、C:0.03%以
下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cu:
0.05〜1.0%、Ni:5.0〜7.0%、Cr:
13.0〜17.0%、Mo:2.0%以下、N:0.
02%以下を含み、且つ前記元素の含有量が(1)〜
(3)式を満足し、残部実質的にFe及び不可避的不純
物からなることを特徴とする800MPa以上の0.2
%耐力を有した溶接構造用高靭性マルテンサイト系ステ
ンレス鋼である。 C(%)+N(%)≦0.03 ・・・(1) 12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×Si(%) −9×Ni(%)−2×Cu(%)−190×C(%) −160×N(%)≦154 ・・・(2) 27.6≦Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×Si(%) +2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68×C(%) +54×N(%)≦31.6 ・・・(3)
下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cu:
0.05〜1.0%、Ni:5.0〜7.0%、Cr:
13.0〜17.0%、Mo:2.0%以下、N:0.
02%以下を含み、且つ前記元素の含有量が(1)〜
(3)式を満足し、残部実質的にFe及び不可避的不純
物からなることを特徴とする800MPa以上の0.2
%耐力を有した溶接構造用高靭性マルテンサイト系ステ
ンレス鋼である。 C(%)+N(%)≦0.03 ・・・(1) 12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×Si(%) −9×Ni(%)−2×Cu(%)−190×C(%) −160×N(%)≦154 ・・・(2) 27.6≦Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×Si(%) +2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68×C(%) +54×N(%)≦31.6 ・・・(3)
【0009】第2発明は、前記第1発明の要件を満たし
た鋼の製造において、熱間加工後、850〜1000℃
の温度域に加熱後、3℃/min以上の冷却速度でMf
点以下の温度域まで冷却し、さらに、450℃〜Ac1
点の温度域に加熱後、冷却することを特徴とする800
MPa以上の0.2%耐力を有した溶接構造用高靭性マ
ルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法である。
た鋼の製造において、熱間加工後、850〜1000℃
の温度域に加熱後、3℃/min以上の冷却速度でMf
点以下の温度域まで冷却し、さらに、450℃〜Ac1
点の温度域に加熱後、冷却することを特徴とする800
MPa以上の0.2%耐力を有した溶接構造用高靭性マ
ルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法である。
【0010】第3発明は、同じく第1発明の要件を満た
した鋼の製造において、(4)式で表せるT℃以下の温
度域に加熱後、700℃以上の温度域で仕上がる熱間加
工を行い、直ちに3℃/min以上の冷却速度でMf点
以下の温度域まで冷却し、さらに、450℃〜Ac1 点
の温度域に加熱後、冷却することを特徴とする800M
Pa以上の0.2%耐力を有した溶接構造用高靭性マル
テンサイト系ステンレス鋼の製造方法である。 T=450×Ni(%)+100×Cu(%)+9500×C(%) +8000×N(%)−600×Cr(%)−750×Mo(%) −1000×Si(%)+8750 ・・・(4)
した鋼の製造において、(4)式で表せるT℃以下の温
度域に加熱後、700℃以上の温度域で仕上がる熱間加
工を行い、直ちに3℃/min以上の冷却速度でMf点
以下の温度域まで冷却し、さらに、450℃〜Ac1 点
の温度域に加熱後、冷却することを特徴とする800M
Pa以上の0.2%耐力を有した溶接構造用高靭性マル
テンサイト系ステンレス鋼の製造方法である。 T=450×Ni(%)+100×Cu(%)+9500×C(%) +8000×N(%)−600×Cr(%)−750×Mo(%) −1000×Si(%)+8750 ・・・(4)
【0011】
【作用】以下に、この発明のステンレス鋼の成分限定理
由を述べる。Cは、強度増加に有効な成分であり、ま
た、オーステナイト生成元素であるためNi量の低減を
図ることができるが、含有量が多くなると靭性、溶接性
及び加工性が劣化するため、その上限値は0.03%と
する。好ましくは0.02%以下である。Siは、脱酸
作用を有する成分であるが、フェライト生成元素である
ためCr添加量が制限される。また、多量の添加は延靭
性の劣化を招くため、上限値は1.0%とする。
由を述べる。Cは、強度増加に有効な成分であり、ま
た、オーステナイト生成元素であるためNi量の低減を
図ることができるが、含有量が多くなると靭性、溶接性
及び加工性が劣化するため、その上限値は0.03%と
する。好ましくは0.02%以下である。Siは、脱酸
作用を有する成分であるが、フェライト生成元素である
ためCr添加量が制限される。また、多量の添加は延靭
性の劣化を招くため、上限値は1.0%とする。
【0012】Mnは、Siと同様脱酸作用を有する成分
であり、オーステナイト生成元素として知られている。
しかし、この鋼においてはオーステナイト生成元素とし
ての効果は認められず、その含有量が1.0%を超える
と耐食性を低下させることが明らかになった。したがっ
て、Mn含有量の上限値は1.0%以下とする。Cu
は、耐食性向上に有効な成分であり、オーステナイト生
成元素でもある。しかし、耐食性に及ぼす効果は、Cu
含有量が0.05%未満では発揮されず、1.0%を超
えるとその効果が飽和する。また、多量の添加は延靭性
を劣化させるので、Cu含有量は0.05〜1.0%と
する。
であり、オーステナイト生成元素として知られている。
しかし、この鋼においてはオーステナイト生成元素とし
ての効果は認められず、その含有量が1.0%を超える
と耐食性を低下させることが明らかになった。したがっ
て、Mn含有量の上限値は1.0%以下とする。Cu
は、耐食性向上に有効な成分であり、オーステナイト生
成元素でもある。しかし、耐食性に及ぼす効果は、Cu
含有量が0.05%未満では発揮されず、1.0%を超
えるとその効果が飽和する。また、多量の添加は延靭性
を劣化させるので、Cu含有量は0.05〜1.0%と
する。
【0013】Niは、オーステナイト生成元素であり、
延靭性及び溶接性に優れたマルテンサイトを得るのに必
須の成分である。ただし、詳細は後述するがNi含有量
が5.0%未満では他の成分を調整しても残留オーステ
ナイトが生成せず、強度、靭性が低下する。また、7.
0%を超える添加は高価になるばかりでなく、残留オー
ステナイトが過剰となり、強度が低下する。したがっ
て、Ni含有量は5.0〜7.0%とする。Crは、耐
食性に最も重要な元素であり、13.0%以上の添加に
よりその効果が顕著となる。しかし、フェライト形成元
素でもあるため、その含有量が17.0%を超えるとδ
フェライトが増加するとともに、残留オーステナイトも
過剰となり、強度、靭性が著しく低下する。したがっ
て、Cr含有量は13.0〜17.0%とする。
延靭性及び溶接性に優れたマルテンサイトを得るのに必
須の成分である。ただし、詳細は後述するがNi含有量
が5.0%未満では他の成分を調整しても残留オーステ
ナイトが生成せず、強度、靭性が低下する。また、7.
0%を超える添加は高価になるばかりでなく、残留オー
ステナイトが過剰となり、強度が低下する。したがっ
て、Ni含有量は5.0〜7.0%とする。Crは、耐
食性に最も重要な元素であり、13.0%以上の添加に
よりその効果が顕著となる。しかし、フェライト形成元
素でもあるため、その含有量が17.0%を超えるとδ
フェライトが増加するとともに、残留オーステナイトも
過剰となり、強度、靭性が著しく低下する。したがっ
て、Cr含有量は13.0〜17.0%とする。
【0014】Moは、Crと同様、耐食性向上に有効な
元素でありフェライト形成元素でもあるため置換が可能
である。しかし、2.0%を超える添加は靭性を低下さ
せるため、その上限値は2.0%とする。Nは、Cと同
様オーステナイト形成元素でありNi含有量の低減が図
れるが、強度増加にはほとんど寄与しない。また、その
含有量が増加すると延靭性、溶接性が劣化するため、上
限値は0.02%とする。
元素でありフェライト形成元素でもあるため置換が可能
である。しかし、2.0%を超える添加は靭性を低下さ
せるため、その上限値は2.0%とする。Nは、Cと同
様オーステナイト形成元素でありNi含有量の低減が図
れるが、強度増加にはほとんど寄与しない。また、その
含有量が増加すると延靭性、溶接性が劣化するため、上
限値は0.02%とする。
【0015】また、一般にマルテンサイト系ステンレス
鋼ではC,N量の低減により溶接時の低温割れ感受性が
低下することが知られているが、高強度化を図った本鋼
では(1)式を満たすことにより低温割れ感受性が著し
く低下するのみならず、加工成形性も向上することを発
明者らは見出した。したがって、(C+N)量は上記の
限定に加え、(1)式を満たす範囲とする。 C(%)+N(%)≦0.03 ・・・(1)
鋼ではC,N量の低減により溶接時の低温割れ感受性が
低下することが知られているが、高強度化を図った本鋼
では(1)式を満たすことにより低温割れ感受性が著し
く低下するのみならず、加工成形性も向上することを発
明者らは見出した。したがって、(C+N)量は上記の
限定に加え、(1)式を満たす範囲とする。 C(%)+N(%)≦0.03 ・・・(1)
【0016】さらに、本発明者らはこの鋼におけるδフ
ェライトの体積率δf及び残留オーステナイトの体積率
γfと成分との関係を詳細に検討した結果、δf(%)及
びγf(%)が各々(5)及び(6)式で表せることを
見出した。この鋼ではδフェライトを低減し、少量の残
留オーステナイトを有するマルテンサイト組織とするこ
とによりAc1 点以下の低温焼戻を施しても良好な延靭
性が得られるが、具体的にはδfが5%を超えると靭性
が劣化するばかりでなく、強度も低下する。一方、γf
が1%未満では靭性向上の効果が発揮されず、10%を
超えると溶接熱影響部の軟化抵抗が低下する。したがっ
て、前記元素の含有量は上記限定に加え、(2)及び
(3)式を満たす範囲とする。 δf=12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×Si(%) −9×Ni(%)−2×Cu(%)−190×C(%) −160×N(%)−149 ・・・(5) logγf=[Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×Si(%) +2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68×C(%) +54×N(%)]/4−6.9 ・・・(6) 12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×Si(%) −9×Ni(%)−2×Cu(%)−190×C(%) −160×N(%)≦154 ・・・(2) 27.6≦Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×Si(%) +2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68×C(%) +54×N(%)≦31.6 ・・・(3)
ェライトの体積率δf及び残留オーステナイトの体積率
γfと成分との関係を詳細に検討した結果、δf(%)及
びγf(%)が各々(5)及び(6)式で表せることを
見出した。この鋼ではδフェライトを低減し、少量の残
留オーステナイトを有するマルテンサイト組織とするこ
とによりAc1 点以下の低温焼戻を施しても良好な延靭
性が得られるが、具体的にはδfが5%を超えると靭性
が劣化するばかりでなく、強度も低下する。一方、γf
が1%未満では靭性向上の効果が発揮されず、10%を
超えると溶接熱影響部の軟化抵抗が低下する。したがっ
て、前記元素の含有量は上記限定に加え、(2)及び
(3)式を満たす範囲とする。 δf=12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×Si(%) −9×Ni(%)−2×Cu(%)−190×C(%) −160×N(%)−149 ・・・(5) logγf=[Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×Si(%) +2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68×C(%) +54×N(%)]/4−6.9 ・・・(6) 12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×Si(%) −9×Ni(%)−2×Cu(%)−190×C(%) −160×N(%)≦154 ・・・(2) 27.6≦Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×Si(%) +2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68×C(%) +54×N(%)≦31.6 ・・・(3)
【0017】次に、製造方法の限定理由を述べると、こ
の鋼では600〜700℃の温度域で粒界にCr炭化物
が析出し、靭性及び耐食性を低下させる。焼入処理は熱
間加工により析出したCr炭化物の固溶と靭性に優れた
マルテンサイト組織を得る目的により実施する。しか
し、熱間加工後の焼入温度が850℃未満になるとCr
炭化物が固溶せず、1000℃を超える温度域で実施す
ると、結晶粒が粗大化し靭性が劣化する。したがって、
熱間加工後の焼入温度は850〜1000℃の範囲とす
る。また、焼入時の冷却条件について検討を行った結
果、冷却速度が3℃/min未満になると焼きは十分に
入るものの、冷却中に前記のCr炭化物が再析出する。
さらに、冷却停止温度がMf点を超えるとγfが(6)式
で表せる値よりも著しく大きくなり、継手の軟化抵抗が
低下する。したがって、焼入時の冷却は3℃/min以
上の冷却速度でMf点以下の温度域まで実施する。
の鋼では600〜700℃の温度域で粒界にCr炭化物
が析出し、靭性及び耐食性を低下させる。焼入処理は熱
間加工により析出したCr炭化物の固溶と靭性に優れた
マルテンサイト組織を得る目的により実施する。しか
し、熱間加工後の焼入温度が850℃未満になるとCr
炭化物が固溶せず、1000℃を超える温度域で実施す
ると、結晶粒が粗大化し靭性が劣化する。したがって、
熱間加工後の焼入温度は850〜1000℃の範囲とす
る。また、焼入時の冷却条件について検討を行った結
果、冷却速度が3℃/min未満になると焼きは十分に
入るものの、冷却中に前記のCr炭化物が再析出する。
さらに、冷却停止温度がMf点を超えるとγfが(6)式
で表せる値よりも著しく大きくなり、継手の軟化抵抗が
低下する。したがって、焼入時の冷却は3℃/min以
上の冷却速度でMf点以下の温度域まで実施する。
【0018】焼入後行われる焼戻処理は、一般に、延靭
性改善のため実施される。しかし、この鋼ではAc1 点
を超える高温焼戻を行うとγfが(6)式で表せる値に
比べ著しく増加するため、焼戻はAc1 点以下の低温域
で実施する必要がある。さらに、この鋼では前述したよ
うに極短時間(製品全体が均熱される程度)の低温焼戻
により高強度化を図ることが可能であり、析出硬化型ス
テンレス鋼等に比べ熱処理が容易である。しかし、焼戻
温度が450℃未満、あるいはAc1 点を超えると強度
向上の効果が発揮されない。したがって、焼戻温度は4
50℃〜Ac1点の範囲とする。 logγf=[Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×Si(%) +2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68×C(%) +54×N(%)]/4−6.9 ・・・(6)
性改善のため実施される。しかし、この鋼ではAc1 点
を超える高温焼戻を行うとγfが(6)式で表せる値に
比べ著しく増加するため、焼戻はAc1 点以下の低温域
で実施する必要がある。さらに、この鋼では前述したよ
うに極短時間(製品全体が均熱される程度)の低温焼戻
により高強度化を図ることが可能であり、析出硬化型ス
テンレス鋼等に比べ熱処理が容易である。しかし、焼戻
温度が450℃未満、あるいはAc1 点を超えると強度
向上の効果が発揮されない。したがって、焼戻温度は4
50℃〜Ac1点の範囲とする。 logγf=[Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×Si(%) +2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68×C(%) +54×N(%)]/4−6.9 ・・・(6)
【0019】さらに、焼入性に優れたこの鋼の特徴を活
かし、前述した再加熱による焼入処理を省略した製造方
法を検討した。通常、熱間加工前の加熱は1100〜1
300℃の温度域で行われるが、この鋼は加熱温度が1
050℃を超えるとδfが(5)式で表せる値よりも増
加する。また、加熱時のδfは熱間加工後のδfとほぼ同
一の値となり、続く焼戻処理によっても変化しないこと
が明らかになった。そこで、本発明者らはδfの増加に
よる製品の強度、靭性低下を防ぐため、1300℃以下
の温度域における加熱温度及び成分とδfとの関係を詳
細に調べた結果、その値が5%以下となる最高温度T
(℃)は(4)式で表せることを見出した。したがっ
て、熱間加工前の加熱温度は(4)式で表せるT℃以下
の温度域とする。ただし、加熱温度が1300℃を超え
ると製品の表面性状が劣化するため、そのような加熱は
望ましくない。
かし、前述した再加熱による焼入処理を省略した製造方
法を検討した。通常、熱間加工前の加熱は1100〜1
300℃の温度域で行われるが、この鋼は加熱温度が1
050℃を超えるとδfが(5)式で表せる値よりも増
加する。また、加熱時のδfは熱間加工後のδfとほぼ同
一の値となり、続く焼戻処理によっても変化しないこと
が明らかになった。そこで、本発明者らはδfの増加に
よる製品の強度、靭性低下を防ぐため、1300℃以下
の温度域における加熱温度及び成分とδfとの関係を詳
細に調べた結果、その値が5%以下となる最高温度T
(℃)は(4)式で表せることを見出した。したがっ
て、熱間加工前の加熱温度は(4)式で表せるT℃以下
の温度域とする。ただし、加熱温度が1300℃を超え
ると製品の表面性状が劣化するため、そのような加熱は
望ましくない。
【0020】また、靭性、耐食性に優れたマルテンサイ
ト組織を得るためには、熱間加工の終了温度はCr炭化
物が析出しない温度域とする必要があるため、その温度
は700℃以上とする。また、熱間加工後の冷却も焼入
処理と同様、3℃/min以上の冷却速度でMf点以下
の温度域まで実施する。以上の熱間加工−直接焼入処理
は、再加熱焼入処理と同等の効果を有するため、続く焼
戻処理も再加熱焼入材と同様の条件で行う。 δf=12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×Si(%) −9×Ni(%)−2×Cu(%)−190×C(%) −160×N(%)−149 ・・・(5) T=450×Ni(%)+100×Cu(%)+9500×C(%) +8000×N(%)−600×Cr(%)−750×Mo(%) −1000×Si(%)+8750 ・・・(4)
ト組織を得るためには、熱間加工の終了温度はCr炭化
物が析出しない温度域とする必要があるため、その温度
は700℃以上とする。また、熱間加工後の冷却も焼入
処理と同様、3℃/min以上の冷却速度でMf点以下
の温度域まで実施する。以上の熱間加工−直接焼入処理
は、再加熱焼入処理と同等の効果を有するため、続く焼
戻処理も再加熱焼入材と同様の条件で行う。 δf=12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×Si(%) −9×Ni(%)−2×Cu(%)−190×C(%) −160×N(%)−149 ・・・(5) T=450×Ni(%)+100×Cu(%)+9500×C(%) +8000×N(%)−600×Cr(%)−750×Mo(%) −1000×Si(%)+8750 ・・・(4)
【0021】
【実施例】本発明によるものの具体的な実施例について
説明すると、以下の如くである。
説明すると、以下の如くである。
【実施例1】表1に示す化学成分の50kgインゴット
に対して、1250℃加熱、800℃仕上後空冷(冷却
速度:50℃/min)の熱間圧延を行い、15mm厚の
鋼板を製造した。鋼板に対して900℃×5min加熱
後、Mf点以下の50℃まで空冷する焼入処理を行い、
さらに、Ac1 点以下の550℃×5min加熱後、空
冷の焼戻処理を施した後、ミクロ組織観察用サンプル、
X線回析用サンプル、引張試験片、曲げ試験片、2mmV
ノッチ付きシャルピー衝撃試験片及び孔食電位測定用サ
ンプルを採取した。δfはミクロサンプルを20%Na
OH電解エッチングすることにより、また、γfはX線
回析法により各々測定した。その結果を表1に併せて示
す。加工性は曲げ半径:0.5t、曲げ角度:180°
の表曲げ試験による割れの有無で評価した。また、孔食
電位はJIS G0577により、電流密度が100μ
A/cm2 となる電位を求めた。さらに、溶接性の評価の
ため、上記熱処理鋼板からYわれ試験片(JIS Z3
158)を採取し、市販の被覆アーク溶接棒(0.04
C−5Ni−12Cr鋼)を用いて10℃、RH:60
%、入熱:10KJ/cmの条件で本溶接を行い、断面検
鏡法によりルート割れの有無を調べた。一方、溶接熱影
響部の軟化抵抗は、X開先の溶接継手を市販のMIGワ
イヤ(0.02C−5Ni−12Cr鋼)を使用して作
成し、継手引張試験(JIS Z3121)の破断位置
で評価した。なお、MIG溶接は入熱:20KJ/cmの
多層溶接とした。
に対して、1250℃加熱、800℃仕上後空冷(冷却
速度:50℃/min)の熱間圧延を行い、15mm厚の
鋼板を製造した。鋼板に対して900℃×5min加熱
後、Mf点以下の50℃まで空冷する焼入処理を行い、
さらに、Ac1 点以下の550℃×5min加熱後、空
冷の焼戻処理を施した後、ミクロ組織観察用サンプル、
X線回析用サンプル、引張試験片、曲げ試験片、2mmV
ノッチ付きシャルピー衝撃試験片及び孔食電位測定用サ
ンプルを採取した。δfはミクロサンプルを20%Na
OH電解エッチングすることにより、また、γfはX線
回析法により各々測定した。その結果を表1に併せて示
す。加工性は曲げ半径:0.5t、曲げ角度:180°
の表曲げ試験による割れの有無で評価した。また、孔食
電位はJIS G0577により、電流密度が100μ
A/cm2 となる電位を求めた。さらに、溶接性の評価の
ため、上記熱処理鋼板からYわれ試験片(JIS Z3
158)を採取し、市販の被覆アーク溶接棒(0.04
C−5Ni−12Cr鋼)を用いて10℃、RH:60
%、入熱:10KJ/cmの条件で本溶接を行い、断面検
鏡法によりルート割れの有無を調べた。一方、溶接熱影
響部の軟化抵抗は、X開先の溶接継手を市販のMIGワ
イヤ(0.02C−5Ni−12Cr鋼)を使用して作
成し、継手引張試験(JIS Z3121)の破断位置
で評価した。なお、MIG溶接は入熱:20KJ/cmの
多層溶接とした。
【0022】δf及び0℃、−50℃での吸収エネルギ
ーと成分との関係を図1に示す。図1によればこの鋼の
δfはこれを表す指標Bの値とよい対応を示しており、
Bの値が154を超えるとC,N含有量が低くても靭性
は著しく劣化することが解る。γf、0℃、−50℃で
の吸収エネルギー及び継手引張の破断位置と成分との関
係を図2に示す。すなわち、この図2によればこの鋼の
γfはこれを表す指標Cの値とよい対応を示しており、
Cの値が27.6未満では靭性が低下し、31.6を超
えると溶接熱影響部が軟化することが理解される。
ーと成分との関係を図1に示す。図1によればこの鋼の
δfはこれを表す指標Bの値とよい対応を示しており、
Bの値が154を超えるとC,N含有量が低くても靭性
は著しく劣化することが解る。γf、0℃、−50℃で
の吸収エネルギー及び継手引張の破断位置と成分との関
係を図2に示す。すなわち、この図2によればこの鋼の
γfはこれを表す指標Cの値とよい対応を示しており、
Cの値が27.6未満では靭性が低下し、31.6を超
えると溶接熱影響部が軟化することが理解される。
【0023】表2には発明鋼1〜10及び比較鋼11〜
19の引張特性、曲げ加工性、0℃、−50℃における
吸収エネルギー、Yわれ試験結果、継手引張の破断位置
及び孔食電位をまとめて示した。表2によれば本発明鋼
の強度、延靭性、加工性、溶接性、継手特性及び耐食性
はともに優れていることが解る。特に、強加工や予熱な
しの溶接を行うためには、(C+N)含有量を0.03
%以下にする必要があることが理解される。次に表1、
表2を示す。なお表1中の、アンダーラインは本発明鋼
の限定条件外であることを示す。また、表1中の1)、
2)、3)、δf、γfは、 1)A=C(%)+N(%) 2)B=12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×
Si(%)−9×Ni(%)−2×Cu(%)−190
×C(%)−160×N(%) 3)C=Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×S
i(%)+2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68
×C(%)+54×N(%) δf、γfは実測値である。
19の引張特性、曲げ加工性、0℃、−50℃における
吸収エネルギー、Yわれ試験結果、継手引張の破断位置
及び孔食電位をまとめて示した。表2によれば本発明鋼
の強度、延靭性、加工性、溶接性、継手特性及び耐食性
はともに優れていることが解る。特に、強加工や予熱な
しの溶接を行うためには、(C+N)含有量を0.03
%以下にする必要があることが理解される。次に表1、
表2を示す。なお表1中の、アンダーラインは本発明鋼
の限定条件外であることを示す。また、表1中の1)、
2)、3)、δf、γfは、 1)A=C(%)+N(%) 2)B=12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×
Si(%)−9×Ni(%)−2×Cu(%)−190
×C(%)−160×N(%) 3)C=Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×S
i(%)+2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68
×C(%)+54×N(%) δf、γfは実測値である。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【実施例2】表3に示す化学成分の50kgインゴット
を、表4に示す条件の熱間圧延及び熱処理により15mm
厚の鋼板となした。なお、直接焼入材の熱間圧延後、あ
るいは再加熱焼入材の焼入処理時は表4に示す冷却速度
でMf点以下の50℃まで冷却し、他行程の冷却はいず
れも空冷(50℃/min程度)とした。サンプルはミ
クロ観察用サンプル、X線回析用サンプル、引張試験
片、2mmVノッチ付きシャルピー衝撃試験片及び孔食電
位測定用サンプルを採取した。また、実施例1と同様の
MIG溶接により溶接継手を作成し、継手引張を併せて
実施した。なお、各種試験は実施例1と同一の方法によ
り行った。表4の方法で製造した鋼板の引張特性、0
℃、−50℃での吸収エネルギー、継手引張の破断位置
及び孔食電位を表5に示す。表5によれば本発明方法で
製造した鋼の0.2%耐力はいずれも800MPa以上
の値を有し、伸び:25%以上、−50℃での吸収エネ
ルギー:230J以上と延靭性にも優れている。また、
溶接部の軟化抵抗及び耐食性も十分であることが理解さ
れる。
を、表4に示す条件の熱間圧延及び熱処理により15mm
厚の鋼板となした。なお、直接焼入材の熱間圧延後、あ
るいは再加熱焼入材の焼入処理時は表4に示す冷却速度
でMf点以下の50℃まで冷却し、他行程の冷却はいず
れも空冷(50℃/min程度)とした。サンプルはミ
クロ観察用サンプル、X線回析用サンプル、引張試験
片、2mmVノッチ付きシャルピー衝撃試験片及び孔食電
位測定用サンプルを採取した。また、実施例1と同様の
MIG溶接により溶接継手を作成し、継手引張を併せて
実施した。なお、各種試験は実施例1と同一の方法によ
り行った。表4の方法で製造した鋼板の引張特性、0
℃、−50℃での吸収エネルギー、継手引張の破断位置
及び孔食電位を表5に示す。表5によれば本発明方法で
製造した鋼の0.2%耐力はいずれも800MPa以上
の値を有し、伸び:25%以上、−50℃での吸収エネ
ルギー:230J以上と延靭性にも優れている。また、
溶接部の軟化抵抗及び耐食性も十分であることが理解さ
れる。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば800
MPa以上の0.2%耐力が微量元素等の添加によらず
簡便な熱処理で達成できるため、延靭性、加工性及び溶
接性に優れるとともに、溶接熱影響部の軟化抵抗及び耐
食性も良好なマルテンサイト系ステンレス鋼が得られる
効果がある。したがって、高速船の水中翼等の材料とし
て利用できる安価なステンレス鋼の提供が可能となる。
MPa以上の0.2%耐力が微量元素等の添加によらず
簡便な熱処理で達成できるため、延靭性、加工性及び溶
接性に優れるとともに、溶接熱影響部の軟化抵抗及び耐
食性も良好なマルテンサイト系ステンレス鋼が得られる
効果がある。したがって、高速船の水中翼等の材料とし
て利用できる安価なステンレス鋼の提供が可能となる。
【図1】本発明の実施例1による鋼のδf及び0℃、−
50℃での吸収エネルギーと成分との関係を示す図。
50℃での吸収エネルギーと成分との関係を示す図。
【図2】同じく実施例1による鋼のγf、0℃、−50
℃での吸収エネルギー及び継手引張の破断位置と成分と
の関係を示す図。
℃での吸収エネルギー及び継手引張の破断位置と成分と
の関係を示す図。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.03%以下、Si:
1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cu:0.05〜
1.0%、Ni:5.0〜7.0%、Cr:13.0〜
17.0%、Mo:2.0%以下、N:0.02%以下
を含み、且つ前記元素の含有量が(1)〜(3)式を満
足し、残部実質的にFe及び不可避的不純物からなるこ
とを特徴とする800MPa以上の0.2%耐力を有し
た溶接構造用高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼。 C(%)+N(%)≦0.03 ・・・(1) 12×Cr(%)+15×Mo(%)+20×Si(%) −9×Ni(%)−2×Cu(%)−190×C(%) −160×N(%)≦154 ・・・(2) 27.6≦Cr(%)+1.3×Mo(%)+1.5×Si(%) +2×Ni(%)+0.7×Cu(%)+68×C(%) +54×N(%)≦31.6 ・・・(3) - 【請求項2】 請求項1に記載された鋼の製造におい
て、熱間加工後、850〜1000℃の温度域に加熱
後、3℃/min以上の冷却速度でMf点以下の温度域
まで冷却し、さらに、450℃〜Ac1 点の温度域に加
熱後、冷却することを特徴とする800MPa以上の
0.2%耐力を有した溶接構造用高靭性マルテンサイト
系ステンレス鋼の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載された鋼の製造におい
て、(4)式で表せるT℃以下の温度域に加熱後、70
0℃以上の温度域で仕上がる熱間加工を行い、直ちに3
℃/min以上の冷却速度でMf点以下の温度域まで冷
却し、さらに、450℃〜Ac1 点の温度域に加熱後、
冷却することを特徴とする800MPa以上の0.2%
耐力を有した溶接構造用高靭性マルテンサイト系ステン
レス鋼の製造方法。 T=450×Ni(%)+100×Cu(%)+9500×C(%) +8000×N(%)−600×Cr(%) −750×Mo(%)−1000×Si(%) +8750 ・・・(4)
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7858093A JP2921324B2 (ja) | 1993-03-15 | 1993-03-15 | 溶接構造用高強度・高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7858093A JP2921324B2 (ja) | 1993-03-15 | 1993-03-15 | 溶接構造用高強度・高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼及びその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06264192A true JPH06264192A (ja) | 1994-09-20 |
| JP2921324B2 JP2921324B2 (ja) | 1999-07-19 |
Family
ID=13665851
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7858093A Expired - Lifetime JP2921324B2 (ja) | 1993-03-15 | 1993-03-15 | 溶接構造用高強度・高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2921324B2 (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1997012072A1 (fr) * | 1995-09-27 | 1997-04-03 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Structures en acier soude presentant une excellente resistance a la corrosion |
| JP2009174217A (ja) * | 2008-01-25 | 2009-08-06 | Jfe Steel Corp | 拡管性に優れる油井用ステンレス鋼管およびその製造方法 |
| US8157930B2 (en) | 2001-10-18 | 2012-04-17 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Martensitic stainless steel |
-
1993
- 1993-03-15 JP JP7858093A patent/JP2921324B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1997012072A1 (fr) * | 1995-09-27 | 1997-04-03 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Structures en acier soude presentant une excellente resistance a la corrosion |
| AU703877B2 (en) * | 1995-09-27 | 1999-04-01 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Welded high-strength steel structure with excellent corrosion resistance |
| US6129999A (en) * | 1995-09-27 | 2000-10-10 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | High-strength welded steel structures having excellent corrosion resistance |
| US8157930B2 (en) | 2001-10-18 | 2012-04-17 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Martensitic stainless steel |
| JP2009174217A (ja) * | 2008-01-25 | 2009-08-06 | Jfe Steel Corp | 拡管性に優れる油井用ステンレス鋼管およびその製造方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2921324B2 (ja) | 1999-07-19 |
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