JPH09272956A - 耐海水用析出強化型高合金鋼及びその製造方法 - Google Patents

耐海水用析出強化型高合金鋼及びその製造方法

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JPH09272956A
JPH09272956A JP8083874A JP8387496A JPH09272956A JP H09272956 A JPH09272956 A JP H09272956A JP 8083874 A JP8083874 A JP 8083874A JP 8387496 A JP8387496 A JP 8387496A JP H09272956 A JPH09272956 A JP H09272956A
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heat treatment
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Hideto Kimura
秀途 木村
Minoru Suwa
稔 諏訪
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐海水用途の材料として十分な長期耐用性があ
り、溶接が可能で100kgf/mm2 レベルの高強度を有する
Fe-Cr-Ni系合金を、きわめて安価に、また歩留まり良く
得ることができるFe-Cr-Ni系オーステナイト高合金鋼及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】重量%で実質的にC:0.02% 以下、Si:1.0%
以下、Mn:1.5% 以下、P:0.04% 以下、S:0.01% 以下、C
r:18%-26%、Ni:18%-40%、sol.Al:0.5% 以下、N:0.02%
以下、Ti:4% 以下とNb:8% のうち1種または2種、Mo:
0.5%-7%とW:0.5%-14%のうち1種または2種、及び残部
Feおよび不可避不純物からなり、下式(1)、(2)
を満たす耐海水用析出強化型高合金鋼。 α=Cr+Mo+W-Ni+3(59/48Ti+59/27Al+59/93Nb)とすると
き、0≦α≦6…(1) PT=Cr+3.3Mo+1.7W とするとき、PT≧38…(2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、臨海構造物、橋
梁、水門、海水利用熱交換器、海水淡水化装置等の、耐
海水性と構造強度を同時に要求される用途向けの析出強
化型高合金鋼およその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、臨海地域の利用開発、水回り用途
の構造材もしくは海水利用装置等のメンテナンスフリー
化等の需要の増大に伴い、耐海水性を有し構造材として
使用できる高強度材が求められている。現在、主として
海洋構造物等の部材は、構造用鋼に重防食塗装をして使
用されているが、頻繁な塗り替え等で発生する莫大なラ
ンニングコストの低減が課題となっており、また、機能
上あるいは外観上の理由から無塗装使用せざるを得ない
場合もあり、耐海水性が高く溶接性にも問題の少ない高
合金での対応に期待がかかっている。しかし、一般に、
海水に耐える高耐蝕性を有する合金鋼種は強度が高くは
なく、ASTM N06625(21%Cr−9%Mo
−4%Nb−64%Ni)、N08825(22%Cr
−3%Mo−1.7%Cu−30Fe−42%Ni)な
ど、いずれも引張破断強度では高々500MPa程度を
有するに過ぎない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上を背景に、特開平
7-207401号公報では、製油プラント向け高合金として、
0.5−1.0%のAl、1.5−2.5%のTiを添
加して、高耐食性の母相をγ′相析出強化し、もって耐
食性と高強度を両立させようとする試みが行なわれてい
る。しかしこの技術では相安定性の確保からNi量を4
2%〜49%まで高める必要があり、得られる合金は高
価なものとなる。また、特開昭57-203738号公報乃至203
740号公報に開示されている高強度油井管用の合金で
は、高耐食性と高強度は両立させているものの、熱間加
工性に関する配慮が不十分である。即ち、主に油井管を
はじめとする継目無管の製造を目的として熱間押出し加
工のような短時間加工を用いる場合では良好に製品とな
し得ても、一般の構造物部材を得るための鍛造、圧延等
の温度低下を伴う加工法においては実用的でなく、目的
とする高強度部材の製造をおこなうことは困難であっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者らは、この課題を
解決するために、鋭意研究を行い、以下の知見を得た。
まず母相の十分な耐海水性を確保する為には十分なC
r、Mo、Wの添加が必要であるとの従来知見から、こ
れらの添加量が(2)式を満足するとき、即ち PT=Cr+3.3Mo+1.7W≧38…(2) であれば十分な耐海水性が確保できる。しかし、これを
満足する組成では、Cr、Mo、Wがいずれもフェライ
ト安定化元素であることから、前述したように少なくと
も40%程度以上のNiを添加しないとオーステナイト
単相は維持されず、時効加熱中にσ相を析出して、靭性
のみならず著しい耐孔食性の劣化に繋がることは広く知
られるところである。
【0005】さらに、発明者らは、合金の経済性を向上
させるため、Niの減量と時効熱処理について種々検討
した結果、少ないNi添加によってオーステナイトの安
定性が多少損なわれていても、耐海水性に影響の少ない
γ′相の析出が、σ相の析出より安定して先行する条件
のあることを見いだした。上記が成立するのは特定量の
γ′相析出が起こる場合に限られ、従って、添加するN
i、Al、Ti量のそれぞれに制限が必要となると同時
に、特に母相のCr当量/Ni当量バランスが大きくC
r側に傾き過ぎると、いかなる時効条件でもσ相析出が
γ′相析出に先行してしまう。また、Niを過剰添加す
れば、平衡状態まで加熱してもσ相の析出しない状態は
得られるが、合金の経済性は従来技術から全く改善され
ない。
【0006】発明者らの試行を総括すれば、上記は成分
組成的に以下の整理で集約される。即ち、フェライト安
定化元素の和、つまりCr当量を(5)式、γ′相析出
後の有効Ni当量を(6)式で示すと、 A=Cr+Mo+W…(5) B=Ni−3(59/48Ti+59/27Al+59/93Nb)…(6) その差α=A−Bが 0≦α≦6…(1) の範囲にあることが成分的にまず必要であり、しかも、
最終熱処理条件として下記(3)、(4)式が満たされ
るときに、σ相析出よりγ′相析出が先行して起こるこ
とが新しい知見であった。ただし最終熱処理条件をT℃
×t(時間)とする。 21200≦L≦21600…(3) ただしL=(T+273)(20+log t) T≦775(℃)…(4) さて、実際の構造材製造過程においては、熱間加工性が
重要である。Ca、Mg、B、Zr、Y、La、Ceの
添加は、すべて粒界割れの低減に有効であることが明か
となったが、これらはいずれも、合金が厚板圧延等の徐
冷過程を経て加工される場合、選択添加が必須となる元
素である。高強度高合金において熱間加工に問題の生じ
る場合があるのは、一部のγ′相が冷却中に結晶粒内析
出し、粒内強度が上昇するためであって、粒界強度を上
げる元素が有効であったものと考えられた。
【0007】本発明は以上の知見に基づいて完成された
もので、第一の発明は平衡状態でσ相析出を生じる成分
組成を有した高合金鋼であって、熱処理によりσ相析出
を抑えγ′析出相のみが析出しているFe−Cr−Ni
系オーステナイト高合金鋼である。
【0008】第二の発明は、重量%で、実質的に、C:
0.02%以下、Si:1.0 %以下、Mn:1.5 %以下、
P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:18%〜26%、
Ni:18%〜40%、sol.Al:0.5 %以下、N:0.02%
以下、Ti:4 %以下とNb:8 %のうち1種または2
種、Mo:0.5 %〜7 %とW:0.5 %〜14%のうち1種
または2種、及び残部Feおよび不可避不純物からな
り、下式(1)、(2)を満たす耐海水用析出強化型高
合金鋼である。
【0009】α=Cr+Mo+W−Ni+3(59/4
8Ti+59/27Al+59/93Nb)とすると
き、 0≦α≦6…(1) PT=Cr+3.3Mo+1.7Wとするとき PT≧38…(2) 第三の発明は、第二の発明の成分組成の合金について、
最終熱処理条件をT℃においてt(時間)とするとき、
L=(T+273)(20+log t)が下式(3)、
(4)を満たすように時効熱処理することを特徴とする
耐海水用析出強化型高合金鋼の製造方法である。 21200≦L≦21600…(3) T≦775(℃)…(4)
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の含有元素の含有
理由および含有範囲の限定理由を述べる。Cは、Cr炭
化物を形成して合金の耐蝕性を低下させる元素であり、
添加量は少ない方がよいが0.02%以下であれば耐蝕
性の劣化は許容できるので、その含有量は0.02%以
下とする。
【0011】Siは、脱酸に有効な元素であるため1.
0%以下を含んでもよいが、1.0%を超えて含有する
と、シグマ相の生成能が大きく相安定性を維持するのが
困難となるため、含有量は1.0%以下とする。
【0012】Mnは、相安定性に有効な元素であるため
1.5%以下を含んでよいが、1.5%を超えて含有す
ると熱間加工性に有無となるので、含有量は1.5%以
下とする。
【0013】Pは、粒界偏析して圧延時の延性を害する
元素であって、その含有量は少ないほど良い。そこで、
圧延時における延性の低下による割れを防止するため、
その含有量を0.04%以下とする。
【0014】SもP同様に、粒界偏析して圧延時の延性
を害する元素である。その含有量は少ないほど良い。そ
こで、圧延時における延性の低下による割れを防止する
ため、その含有量を0.01%以下とする。
【0015】Crは、合金に耐海水性を与える基本元素
として重要である。その含有量は18%未満の場合は、
耐海水性に有効なMo、Wを併せて添加しても十分な特
性を得ることができない。一方、26%を超えて含有す
るとオーステナイト相が不安定になりすぎるため、含有
量は18%以上、26%以下とする。
【0016】Niは、オーステナイト安定性を高める元
素であり、その含有量は本発明の特徴の一つとするとこ
ろである。含有量は、他の含有元素との関係から少なく
とも18%以上を必要とするが、40%を超えて添加し
ても、本発明で既に規定した熱処理条件を適用する場
合、σ脆化抑制効果は認められず、かえって合金の経済
性を損なう結果となるため、含有量は18%以上、40
%以下とする。
【0017】Alは、Niを含む母相中でTiとともに
金属間化合物γ′−Ni3 (Al、Ti)を形成し、母
相を析出強化させる主役となる元素である。しかし、固
溶Al量が0.5%を超えると合金の靭性、延性、熱間
加工性が低下することから、Alの含有量は0.5%以
下とする。
【0018】Nは、AlとAlNなる窒化物を形成し、
合金の靭性を損なう元素であり、含有量は少ないほうが
よい。0.02%以下であれば靭性の低下は許容できる
ので、含有量は0.02%以下とする。
【0019】Ti、Nbは、Alとともに、Niを含む
母相中でNi3 (Al、Ti)、またはNi3 (Al、
Nb)、もしくはNi3 (Al、Ti、Nb)なる金属
間化合物を形成し、母相を析出強化させる作用を持つ元
素である。しかし、過剰の添加は合金の靭性、延性、熱
間加工性低下につながることから、添加量を4%以下の
Ti、8%以下のNbの1〜2種とする。
【0020】Mo、Wは、Crと同様に、合金に耐海水
性を与える元素である。その含有量が少なすぎる場合は
十分な特性を得ることができず、過剰に含有するとオー
ステナイト相が不安定になりすぎるため、含有量は0.
5%〜7%のMo、0.5〜14%のWの1〜2種とす
る。
【0021】また、Ca、Mg、B、Zr、Y、La、
Ceは熱間加工性を改善するために必要に応じて添加す
ることができる。Caは微量添加すると脱硫、脱酸効果
により熱間加工性を改善する元素として有効であるが、
0.005%を超えると清浄性を損ない熱間加工性を低
下するため、含有量は0.005%以下とする。
【0022】Mgは微量添加すると脱酸効果により熱間
加工性を改善する元素として有効であるが、0.05%
を超えると熱間加工性を低下するため0.05%以下と
する。
【0023】B、Zrは、粒界を強化し熱間加工性を改
善するのに有効な元素であるが、過剰に添加すると熱間
加工性、溶接性を劣化させるので、Bは0.03%以
下、Zrは0.3%以下とする。
【0024】Y、La、Ce等の希土類元素は、脱硫、
脱酸効果により熱間加工性を改善する元素であり、これ
らのうち一種以上を含有してもよい。含有量は、合計で
0.04%を超えて含有すると、逆に熱間加工性を害す
るので、合計量0.04%以下とする。
【0025】以上に加え、前述したようにオーステナイ
ト安定性については、時効熱処理時の耐σ脆化の観点か
ら、(1)式を満足することが必要である。即ち α=Cr+Mo+W−Ni+3(59/48Ti+59/27A
l+59/93Nb) とするとき、αの値が大きすぎると耐σ脆性が劣化し、
6<αのとき、σ相析出の抑制を狙った熱処理条件で析
出強化しなくなる。一方、α<0ではσ相の析出抑制効
果は飽和する一方、合金の経済性は低下する。従って、
本発明の範囲を下記のようにした。 0≦α≦6…(1) また、耐海水性の確保には、Cr、Mo、Wの添加量に
ついて、さらに(2)式の規定範囲内に添加することが
必要である。即ち PT=Cr+3.3Mo+1.7W とするとき、PT<38では耐海水性が不十分である。
従って、請求の範囲を下記のようにした。 PT≧38…(2) さらに、最終熱処理条件として下記(3)、(4)式が
満たされるときに、σ相析出よりγ′相析出が先行して
起こることから、これを規定条件とする。即ち最終熱処
理条件をT℃においてt(時間)、L=(T+273)
(20+logt)とするとき、 21200≦L≦21600…(3) T≦775(℃)…(4) L<21200の時は、効果的な析出強化が起こらず、
合金の強度が不足する。また、21800<Lの時は、
析出強化は起こるもののσ相析出がこれに伴うため、合
金の靭性が著しく低下する。
【0026】775<Tの時は析出強化が起こらない。
これは当該合金の主要な析出相であるγ′−Ni3 (A
l,Ti)の母相への固溶温度が775℃付近であるた
めであり、これより高温は析出強化に使用できない温度
領域である。
【0027】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。表
1、表2と表5,表6に検討を行った鋼の化学成分を示
す。表中には同時に、適用した熱処理条件も示す。表1
は本発明の成分範囲を満足する発明鋼種であり、表3は
比較鋼種である。両表中には、(1)式で定義される
α、(2)式で定義されるPT、(3)式で定義される
Lの値も併せて示した。
【0028】これらの成分に対して、50kgw真空溶
解炉で溶製/鋳造後、1125℃に加熱して熱間圧延
し、複数パスで圧下比10を加えて板厚8mmまで85
0℃以上で仕上げた後冷却し、圧延に伴う板の耳割れ最
大長さを測定した。この後、1100℃で10分間の溶
体化熱処理を行い、表2,表6の右欄に示す時効強化熱
処理を施して試験片を切り出し、JISG0578によ
る臨界孔食発生温度測定、引張試験、衝撃試験を実施し
た。結果として、圧延板の耳割れ最大長さ(単位m
m)、臨界孔食温度(CPT、単位℃)、引張長さ(単
位MPa)、破断伸び(単位%)、0℃衝撃値(単位J
/cm2 )を表にまとめて示す。表1,表2の結果を表
3に、表4,表5の結果を表6に示す。
【0029】表3から判るように、No.1からNo.
29の発明鋼は、耳割れ長さ2mm以下と良好な熱間加
工性を示した。臨界孔食温度は海水耐用の目安として考
えられる60℃以上を何れも満足し、耐海水性は十分で
ある。これは一定量以上のCr、Mo、Wを含有して十
分なPT値を満たしていることによるもので、PT値と
CPTの関係を図2に示す。一方、発明鋼は一定量以上
のNi、AlとTi+Nbを含有する成分系に、
(3)、(4)式を満たす適正な条件で時効強化を施す
ことにより、何れも100kgf/mm2 (980MP
a)以上の良好な強度特性を示し、しかも30J/cm
2 以上の、良好な0℃衝撃値を両立させている。
【0030】これに対し、比較鋼No.30〜No.5
5の成分と熱処理条件、および評価試験結果を表4、表
5にそれぞれ示す。比較鋼No.30はCの過多によ
り、PT値は十分であるにも拘らず十分な耐食性が得ら
れていない。比較鋼No.31はSiの過多により、時
効熱処理でσ相の析出を生じ、靭性が低下した。
【0031】比較鋼No.32、45、46、47、4
8、50、51、52、54は、Mn、S、Ca、M
g、P、B、Zr、Y、La(過剰に添加すると熱間加
工性を劣化させる元素)のそれぞれの添加量過多によ
り、熱間圧延時に大きな耳割れが生じている。比較鋼N
o.49(Mg+Ca)、53(La+Ce)、55
(Y+Ce)のように、複数の元素の含有量の和が過剰
である場合も同様である。
【0032】比較鋼No.33では、Ni量の少ない同
様の成分の発明鋼、No.4と比較して耐食性も殆ど変
わらず、強度、靭性はむしろ低下しており、成分系から
見た経済性への悪影響は明らかである。
【0033】また、析出強化に働く第二相γ′−Ni3
(Al,Ti,Nb)の形成元素が過多であると、熱間
加工性、破断延性、靭性がいずれも著しく低下する結果
となる。比較鋼No.34、35、39はその例であっ
て、それぞれAl、Ti、Nbが過剰であったため、熱
間加工性、時効後の破断延性、靭性がいずれも低い値を
示した。
【0034】一方、比較鋼No.36、40は、それぞ
れCr、Mo+Wの添加量が不足で、十分な耐食性が得
られなかった。これらの合計で評価されるPT値が不足
した比較鋼No.42でも、同様である。逆に、添加が
多すぎると相安定性に問題を生じ、比較鋼No.37、
38、43に見られるように(それぞれMo、W、Cr
が過多)、時効後σ相析出により靭性が劣化する。比較
鋼No.44のように、Niの不足でα値が高すぎる場
合も同様である。
【0035】次に、熱処理条件を変化させて同じ評価試
験を行なった。鋼種は、発明鋼No.7、8、20、比
較鋼44を用い、700〜775℃で時効処理後に評価
試験を実施した。成分と熱処理条件を表7,表8に、得
られた臨界孔食温度(CPT、単位℃)、引張強さ(単
位MPa)、破断伸び(単位%)、0℃衝撃値(単位J
/cm2 )を表9にまとめて示す。熱処理番号およびL
値に下線を引いた条件は、本発明条件外であることを示
す。
【0036】結果を図1に示すように、本発明鋼におい
ては、L値が21200以上で980MPa以上の高い
強度を示す一方、21600を超える条件では、急激な
靭性の低下が生じるのが理解できる。比較鋼においては
熱処理条件を工夫しても、強度特性、靭性の両者におい
て、発明鋼と同等の特性を発揮することはできない(図
中のNo.44のプロット“◇”参照) 以上の実施例及び比較例から明らかなように、発明鋼の
成分設定および熱処理条件によれば、経済性の高い成分
でありながら、高い耐海水性、強度特性が得られ、また
時効熱処理時の組織安定性が保たれるため靭性の劣化が
なく、かつ圧延製造時の熱間加工性の優れた合金を得る
ことが出来る。なお、本発明鋼は溶接時には既存のUN
S N06625系の溶接材料を適用することとが可能
で、溶接性はきわめて良好である。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
【表8】
【0045】
【表9】
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、耐海水用途の材料とし
て十分な長期耐用性があり、溶接が可能で100kgf
/mm2 レベルの高強度を有するFe−Cr−Ni系合
金をきわめて安価に、かつ歩留まり良く得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で規定する熱処理条件のパラメータL値
と、引張強さ、および靭性の関係を示す図。
【図2】本発明で規定する成分のパラメータPT値と、
臨界孔食発生温度の関係を示す図。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平衡状態でσ相析出を生じる成分組成を
    有した高合金鋼であって、熱処理によりσ相析出を抑え
    γ′析出相のみが析出しているFe−Cr−Ni系オー
    ステナイト高合金鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で、実質的に、C:0.02%以下、
    Si:1.0 %以下、Mn:1.5 %以下、P:0.04%以
    下、S:0.01%以下、Cr:18%〜26%、Ni:18%〜
    40%、sol.Al:0.5 %以下、N:0.02%以下、Ti:
    4 %以下とNb:8 %のうち1種または2種、Mo:0.
    5 %〜7 %とW:0.5 %〜14%のうち1種または2種、
    及び残部Feおよび不可避不純物からなり、下式
    (1)、(2)を満たす耐海水用析出強化型高合金鋼。 α=Cr+Mo+W−Ni+3(59/48Ti+59
    /27Al+59/93Nb)とするとき、 0≦α≦6…(1) PT=Cr+3.3Mo+1.7Wとするとき PT≧38…(2)
  3. 【請求項3】 請求項2の成分組成の合金について、最
    終熱処理条件をT℃においてt(時間)とするとき、L
    =(T+273)(20+log t)が下式(3)、
    (4)を満たすように時効熱処理することを特徴とする
    耐海水用析出強化型高合金鋼の製造方法。 21200≦L≦21600…(3) T≦775(℃)…(4)
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