JPH0626760Y2 - トーショナルダンパ付フライホイール - Google Patents

トーショナルダンパ付フライホイール

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JPH0626760Y2
JPH0626760Y2 JP1988046779U JP4677988U JPH0626760Y2 JP H0626760 Y2 JPH0626760 Y2 JP H0626760Y2 JP 1988046779 U JP1988046779 U JP 1988046779U JP 4677988 U JP4677988 U JP 4677988U JP H0626760 Y2 JPH0626760 Y2 JP H0626760Y2
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【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、フライホイールに関し、とくに粘性利用非共
振タイプのトーショナルダンパ付フライホイールに関
し、たとえば自動車用回転伝達装置に利用される。
〔従来の技術〕
2つの慣性体、すなわち駆動側と従動側フライホイール
と、それら2つの慣性体を連結するばね機構と、摩擦機
構とを備えたフライホイールは、たとえば、U.S.
P.4,468,207、4,274,524、4,351,168、2,042,570、4,
445,876、2,729,079、2,437,537、GB-A-2,000,257、DE-
A-2,926,012、オートモーティブエンジニアリング、93
巻第85頁、実開昭60-142338号公報等に示されている。
これら従来フライホイールは、1種類のばね機構によっ
て生じさせられる1種類の振動特性をもつ。ただし、該
1種類のばね機構は、互いに直列に設けられた複数個の
コイルスプリングから成っているかもしれない。1種類
の振動特性は、フライホイールに、エンジン回転数の全
域において一つだけの1次モードの共振を持たさせる。
この1次モードの共振点は、通常、エンジンのアイドル
回転数よりも低い回転数域にセットされる。そのため、
エンジン回転数が、たとえば起動、停止時に、その共振
点を通過するとき、フライホイールの捩れ振動は増幅さ
れる。この捩れ振動における増幅を小さなレベルに抑え
るために、2つの慣性体間に、すべてのエンジン回転数
域で連続的にすべる摩擦機構(通常ヒステリシス機構と
呼ばれているもの)が設けられる。
しかしながら、上記の従来フライホイールには、次の2
つの欠点がある。第1の欠点は、摩擦機構が設けられて
も、フライホイールの特性はばね機構によって主に決定
され摩擦機構によっては余り決定されないので、共振点
通過時に、なお、かなり大きな振動増幅が残る。第2の
欠点は、摩擦機構が、アイドル回転数を超える通常使用
エンジン回転数域において、加速度伝達率(フライホイ
ールのトルク変動吸収特性に対応するもの)を悪くする
ことである。これは摩擦機構がエンジン全回転数域にお
いて作用しかつ一時的スティッキッグを生じるためであ
る。
このような従来フライホイールの欠点を解決するため
に、本出願人は、先に実願昭61-135608号(昭和61年9
月5日出願、実開昭63-42950号)において、2つの慣性
体と、2つの慣性体を直結する第1のばね機構(合成ば
ね定数:K)と、第2のばね機構(合成ばね定数K
と、第2のばね機構と直列に配置された摩擦機構(摩擦
力:Fr)であってこの第2のばね機構と摩擦機構との
直列組合せが2つの慣性体間に第1のばね機構と並列に
配設されている。トーショナルダンパ付フライホイール
を提案した。かかるトーショナルダンパ付フライホイー
ルは、通常が第1および第2のばね機構によって定まる
振動特性(ばね定数:K+K)で作用し、この振動特
性の共振点通過時に、摩擦機構が一時的にすべって第2
のばね機構が働かなくなり、第1のばね機構によって定
まるもう一つの振動特性(ばね定数:K)に一時的にシ
フトし、共振点通過後に再び第1および第2のばね機構
によって定まる振動特性(K+K)に戻る如く、作動
する。このため、通常使用域での常時すべりの摩擦力F
rがなくなり、加速度伝達率が改善されるとともに、共
振点通過時にも、第1のばね機構によって定まる振動特
性Kの共振点が第1および第2のばね機構によって定ま
る振動特性K+Kの共振点とずれているため振動増幅
が極めて小さなものに抑えられるという、優れた効果が
得られた。
〔考案が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記実願昭61-135608号においても、な
お、次の改善の余地があった。
すなわち、一時的にのみ作動する前記摩擦機構を用いた
弾性連結摩擦ダンパフライホイールでは、K特性とK+
特性の2つの特性しかとり得ず、KとK+Kとの
中間の特性をとり得ないので、K+K特性に従って作
動する通常使用域の回転変動低減効果をK特性に近づく
方向にさらに改善することができない。
また、ばねと摩擦機構との2つの別体の部品を必要と
し、構造が複雑になるという問題があった。
また、一時的にのみ作用する前記摩擦機構は、製造誤
差、経時変化(摩擦材の摩耗等)による、すべり出し
点、すべり終り点のばらつきや、振動時のスティック、
スリップ発生により、共振点近傍の振動レベルが悪化す
る場合がある。このため、摩擦機構が予め定められた、
2つの慣性体間の相対捩れ角度ですべるように、クッシ
ョンシート当て押し等の対策が必要であり、フライホイ
ールダンパ捩り特性の設計自由度(トルク容量を考慮し
たばね定数、捩り角の選択自由度)が小さくなるという
問題があった。
本発明は、2種類のばね機構を有するタイプのトーショ
ナルダンパ付フライホイールにおいて、従来以上の回転
変動低減効果が実使用域で得られるようにし、しかも構
造の単純化もはかったトーショナルダンパ付フライホイ
ールを提供することを課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題は、本考案によれば、次の(i)のトーショナ
ルダンパ付フライホイールによって達成される。ただ
し、後述の実施例における部材との対応を明確にするた
めに、実施例の対応する部材の番号を付加して示してあ
る。
(i)同一軸心まわりに互いに相対回転可能に配設され
た2つの慣性体(I,I)と; 前記2つの慣性体を回転方向に連結し、少なくとも1個
の第1のばね(31)を有する、第1のばね機構(30)と; 前記第1のばね機構(30)と並列に配列されて前記2つの
慣性体を回転方向に連結し、空気室(42)とオリフィス(4
3)を有する少なくとも1個のエアダンパ(41)を有し、前
記エアダンパ(41)の空気室(42)は前記第1のばね(31)と
振動系上並列に働く空気ばねからなる第2のばねを創り
出すとともに前記エアダンパ(41)のオリフィス(43)は前
記第2のばねと振動系上直列に働く粘性減衰を創り出
す、エアダンパ機構(40)と; から成るトーショナルダンパ付フライホイール。
上記(i)のトーショナルダンパ付フライホイールは、
さらに具体的に、次の態様をとることができる。
(ii)互いに共通の回転軸心を有し互いに相対回転可能
な駆動側フライホイール(10)および従動側フライホイー
ル(20)と; 前記駆動側フライホイールと従動側フライホイールとを
回転方向に連結し、少なくとも1個の第1のばね(31)を
有する、合成ばね定数がKの、第1のばね機構(30)と; 前記駆動側フライホイールと従動側フライホイールとを
回転方向に連結し、空気室(42)とオリフィス(43)を有す
る少なくとも1個のエアダンパ(41)を有し、前記エアダ
ンパ(41)の空気室(42)は前記第1のばね(31)と振動系上
並列に働く第2のばねを創り出すとともに前記エアダン
パ(41)のオリフィス(43)は前記第2のばねと振動系上直
列に働く粘性減衰を創り出す、合成ばね定数がKで合
成粘性減衰がCの、エアダンパ機構(40)と; から成るトーショナルダンパ付フライホイール。
(iii)前記第1のばね機構(30)の前記第1のばね(31)
が前記エアダンパ機構(40)の各エアダンパ(41)内に納め
られていて、エアダンパ(41)のリターンスプリングとし
ても機能している(ii)のトーショナルダンパ付フライ
ホイール。
(iv)さらに、少なくとも1個の第3のばね(51)を有す
る、合成ばね定数がKの、第3のばね機構(50)を備え
ており、該第3のばね機構(50)は、前記第1のばね機構
(30)と振動系上並列に、かつ前記駆動側、従動側フライ
ホイール(10,20)を回転方向に遊隙(θ)をもって連
結するように、前記駆動側、従動側フライホイール(10,
20)間に配置されている(ii)のトーショナルダンパ付
フライホイール。
(v)前記駆動側フライホイール(10)が、 外周リング(11)と; 外周リング(11)の半径方向内方に設けた内周リング(12)
と; 外周リング(11)の軸方向両側に設けた、一対のドライブ
プレート(13,14)と; から成り、 前記外周リング(11)は前記一対のドライブプレート(13,
14)によって挟まれて、該一対のドライブプレート(13,1
4)と固定されており、前記内周リング(12)は前記一対の
ドライブプレート(13,14)の一方(13)に固定されてい
る、(ii)のトーショナルダンパ付フライホイール。
(vi)前記一対のドライブプレート(13,14)は、前記第
1のばね(31)を内装した前記エアダンパ(41)を有するエ
アダンパ機構(40)と、前記第3のばね機構(50)とに、周
方向に着脱自在に係合する、開口(15)または切欠き(16)
から成る係合手段を有している(v)のトーショナルダ
ンパ付フライホイール。
(vii)前記従動側フライホイール(20)は、フライホイ
ールボデー(21)と該フライホイールボデーに固定された
ドリブンプレート(22)とから成る(ii)のトーショナル
ダンパ付フライホイール。
(viii)前記ドリブンプレート(22)は、環状の内周部(2
2a)と、該環状の内周部(22a)から半径方向外方に延びる
アーム22b)とを有し、該アーム(22b)で、前記第1のば
ね(31)を内装した前記エアダンパ(41)を有するエアダン
パ機構(40)と、前記第3のばね機構(50)とに、周方向に
着脱自在に係合する(vii)のトーショナルダンパ付フ
ライホイール。
(ix)前記エアダンパ(41)が; 端部(44a)と円筒状部(44b)を有する外筒(44);と 端部(45a)と円筒状部(45b)を有し、前記外筒(44)に対し
てエアダンパ軸方向に相対的に可動とされ、前記外筒(4
4)と協働して内部に前記空気室(42)を郭定している内筒
(45)と; 前記内、外筒(45,44)のそれぞれの前記円筒状部(45b,44
b)間に介装されたシールリング(46)と;を有している
(ii)のトーショナルダンパ付フライホイール。
(x)前記内筒(45)の円筒状部(45b)には該内筒の全周
にわたって延びる溝(47)を有しており、該溝(47)に前記
シールリング(46)が嵌合されている(ix)のトーショナ
ルダンパ付フライホイール。
(xi)前記シールリング(46)が、前記外筒(44)の円筒
状部(44b)の内面にスライド可能に圧接され、かつ前記
溝(47)の底面(47a)にルースに接触している(x)のト
ーショナルダンパ付フライホイール。
(xii)前記溝(47)の側面(47b、47c)と前記シールリン
グ(46)との間には遊隙(g)が設けられている(x)のト
ーショナルダンパ付フライホイール。
(xiii)前記外筒(44)の端部(44a)と前記内筒(45)の端
部(45a)との一方には他方に向かって延びる柱(48)が設
けられており、該柱(48)の先端に弾性変形可能なクッシ
ョン部材(49)が設けられている(ix)のトーショナルダ
ンパ付フライホイール。
(xiv)前記外筒(44)の端部(44a)と前記内筒(45)の端
部(45a)は、第1のばね(31)のスプリングシートとして
も機能し、第1のばね(31)とスプリングシートとしての
前記外筒(44)の端部(44a)、内筒(45)の端部(45a)が前記
第1のばね機構(30)を構成している(ix)のトーショナ
ルダンパ付フライホイール。
(xv)前記第3のばね機構(50)が、前記第3のばね(5
1)とその両端に設けたスプリングシート(52,53)とを有
している(iv)のトーショナルダンパ付フライホイー
ル。
(xvi)前記第3のばね機構(50)のスプリングシート(5
2,53)は、硬い樹脂製のシート部(52b,53b)とシート部(5
2b,53b)の対向面に固定されたゴム等の弾性材から成る
クッション部(52a、53a)を有している(xv)のトーシ
ョナルダンパ付フライホイール。
(xvii)前記第1のばね(31)を内装した前記エアダン
パ機構(40)と、前記第3のばね機構(50)とは、それぞれ
3個づつ設けられていて、前記エアダンパ機構(40)と第
3のばね機構(50)とは、周方向に交互に、配置されてい
る(iv)のトーショナルダンパ付フライホイール。
〔作用〕
(i)のトーショナルダンパ付フライホイールは、第3
図の振動モデルを構成し、第4図のねじり角−トルク特
性を有し、第5図の回転数−加速度伝達率特性を有す
る。ただし、第3図の振動モデルは、(iv)のトーショ
ナルダンパ付フライホイールで述べた、合成ばね定数K
の第3のばね機構(50)も含んでいる。第3のばね機構
(50)を設けない場合は以下の説明においてK=0と考
えればよい。
エアダンパ(41)を急な速さでストロークさせると、空気
室(42)のエアは、オリフィス(43)をほとんど通過せず、
密封状態となって、空気ばねとして働く。この時の空気
ばねの合成ばね定数がKである。合成ばね定数とした
のは、エアダンパ(41)がフライホイールに周方向に複数
個(実施例では3個)設けられた場合に、それらの空気
ばねの合成ばね定数という意味である。たとえばエアダ
ンパ(41)が3個の場合は、各々のエアダンパ(41)の空気
ばねのばね定数はK/3であり、これらを並列に並べ
た合成ばね定数がKとなる。ばね定数Kの大きさ
は、エアダンパ(41)のストロークの速さに応じて変化
し、急な速さのストロークではKは硬いばねとして働
いて大となり、緩い速さのストロークではKは小とな
る。
第3図の振動モデルにおいて、慣性体(I)は、(i
i)で述べた駆動側フライホイール(10)とそれにつれま
わりする部材の総合の慣性モーメントであり、慣性体
(I)は、(ii)で述べた従動側フライホイール(20)
とそれにつれまわりする部材の総合の慣性モーメントで
ある。合成ばね定数Kの第1のばね機構(30)は常時働く
ばねであり、(ix)で述べた合成ばね定数Kの第3の
ばね機構(50)は、遊びθをもって働くばねである。C
はエアダンパ機構(40)のオリフィス(43)の合成粘性減衰
である。
第4図の捩り角−トルク特性(負側は正側と原点対称)
において、ねじり角が第3のばね機構(50)が働き始める
相対ねじり角(駆動側フライホイール(10)と従動側フラ
イホイール(20)との相対ねじり角)がθ迄の角度範囲
では、ねじり速度≒0で得られるK特性(第1のばね機
構(30)の合成ばね定数Kのみによって決定される特性)
と、ねじり速度=∞で得られるK+K特性(第1のば
ね機構(30)の合成ばね定数Kと、エアダンパ機構(40)の
オリフィス抵抗∞のときの空気室(42)の容積によって決
定される空気ばねの合成ばね定数Kとの、合成ばね定
数K+Kによって決定される特性)と、を含み、K
ばねの変化によって両特性間で上下に変化して(点線で
示した)、リニアに立上る特性となる。ねじり角がθ
−θの範囲では、(ix)で述べた第3のばね機構(50)
の合成ばね定数Kが加わり、特性はθ−θの範囲に
おけるよりも急な角度で立上る。ここでねじる角θ
は、エアダンパ(41)内の、(xiii)で述べたクッシ
ョン部材(49)があたり始める捩り角である。捩り角がθ
より大の領域では、クッション部材(49)のばね効果も
加わって、さらに急な角度をもって立上る。
第4図のような捩り角−トルク特性をもつ第3図の振動
モデルのフライホイールは、第5図のような回転数−加
速度伝達率特性を示す。ただし、第5図において、回転
数は角速度ωと共振角速度ωの比で表わしてあり、ω
/ωが大きな程回転数は大である。第5図は、エアダ
ンパ(41)の粘性減衰係数ζ=0.53とし、「防振・緩衝器
の設定」オーム社第11頁式1・36により計算した場合の
結果である。第5図には、また、前記実願昭61-135608
号の特性(点線のもの)も併せ示してある。実願昭61-1
35608号では、特性がK特性とK+K特性との間に非
連続的にジャンプするが、本考案では作動速度に応じて
連続的に共振点が変わり、なめらかに特性の変化が生じ
る。この場合、エアダンパが完全に剛という状態はない
ので、通常使用域でK+K特性(ダンパが完全に剛に
対応)よりもK特性(ダンパが安全に柔に対応)に近い
側に、特性が表われる。
第5図から明らかな如く、本考案によるものは、実願昭
61-135608号と振動ピークは同じであるものの、振動ピ
ークよりも高回転側の全域で加速度伝達率低減効果が優
れており、とくに実用回転で比較的低回転側(アイドル
回転近傍)の効果を大幅に改善できる。共振ピーク以下
の回転数では、実願昭61-135608号よりも振動レベルが
悪くなるが、低回転側であること、レベルが振動ピーク
値よりも小さいこと、より問題とならない。
(ix)で述べたように、エアダンパ(41)にシールリング
(46)を追加したときの作用を説明すると、(xi)で述
べたようにシールリング(46)を、外筒に対して加圧され
た状態で、組み付け、かつリング内径側はルースにし、
(xii)で述べたようにシールリング溝(47)に軸方向に
遊び(g)を設けておくと、実用回転時のようにねじり角
が小さい時はダンパストロークが遊び範囲以下となり、
シールリング(46)は摩擦で(ix)で述べた外筒(44)に固
定される。共振点通過時等、ダンパストロークが大きく
なったときには、シールリング(46)がシールリング溝(4
7)の溝側面(47b,47c)で押されて外筒(44)内面を摺動す
る。これによって摩擦力が発生し、共振エネルギーを発
散させることができる。したがって、シールリング(46)
にエアのシールと同時に大ストローク時の減衰との、2
つの役割を果たさせることができる。これにより、エア
ダンパ(41)の減衰力を高めることができる。
〔実施例〕
以下に、本考案に係るトーショナルダンパ付フライホイ
ールの望ましい実施例を、図面を参照して説明する。
第3図は、本考案のトーショナルダンパ付フライホイー
ルを、振動モデルで示している。振動系として見ると、
本考案のトーショナルダンパ付フライホイールは、同一
軸心まわりに互いに相対回転可能に配設された2つの慣
性体(慣性モーメント:I,I)と、2つの慣性体
を回転方向に連結する第1のばね機構30(合成ばね定
数:K)と、2つの慣性体を連結し第1のばね機構30と
振動系上並列に配された、互いに直列の第2のばね(合
成ばね定数:K)および粘性減衰(合成粘性減衰:
C)を創り出す、エアダンパ機構40と、から成る。ここ
で、第1のばね機構30は、フライホイールの周方向に少
なくとも1個配設された第1のばね31を有する。また、
エアダンパ機構40は、フライホイールの周方向に少なく
とも1個配設されたエアダンパ41を有し、各エアダンパ
41は空気室42とオリフィス43を有する。エアダンパ41の
空気室42が第1のばね31と振動系上並列に働く第2のば
ね(合成ばね定数:K)を創出し、エアダンパ41のオ
リフィス43が、第2のばねと振動系上直列に働く粘性減
衰を創り出す。
第3図の振動モデルは、さらに、第3のばね機構50(合
成ばね定数:K)が付加されてもよいことを示してい
る。第3のばね機構50は、慣性体I,I間に、周方
向の遊び(第4図の相対捩り角θに相当する周方向遊
び)をもって、介装される。慣性体I,Iの相対捩
り角がθより小さいときは、第3のばね機構50は働か
ない。第3のばね機構50を設けると、大トルクに対応で
きる。
フライホイールの構造をさらに詳しく説明すると次の通
りである。
フライホイールは、互いに共通の回転軸心を有し互いに
相対回転可能な駆動側フライホイール10と従動側フライ
ホイール20とを有する。駆動側フライホイール10とそれ
につれまわりする部材の慣性モーメントが慣性体I
慣性モーメントを決定する。また、従動側フライホイー
ル20とそれにつれまわりする部材の慣性モーメントが慣
性体Iの慣性モーメントを決定する。駆動側フライホ
イール10と従動側フライホイール20とは回転方向に第1
のばね機構30によって連結される。第1のばね機構30
は、周方向に配置された少なくとも1個の第1のばね31
を有し、それらの合成ばね定数をKとする。駆動側フラ
イホイール10と従動側フライホイール20とは、さらに、
エアダンパ機構40によって回転方向に連結される。エア
ダンパ機構40は、周方向に配置された少なくとも1個の
エアダンパ41を有する。このエアダンパ41は、第6図に
示すように、空気室42とオリフィス43を有する。エアダ
ンパ41の空気室42は、第3図に示すように、第1のばね
31と振動系上並列に働く第2のばね(空気ばね)を創り
出し、エアダンパ41のオリフィス43は第2のばね(空気
ばね)と振動系上直列に働く粘性減衰を創り出す。少な
くとも1個のエアダンパ41の合成ばね定数(各空気ばね
の合成)をKとし、合成粘性減衰(各粘性減衰の合
成)をCとする。さらに詳しくは、エアダンパ41を急な
速さでストロークさせようとすると、空気室42のエアは
オリフィス43をほとんど通過せず、空気室42内に密封さ
れて空気ばねとして働く。この時の各エアダンパ41のば
ね定数の合成がKである。オリフィス43の大きさで減
衰力Cが決まり、空気室42の容積でばねKの大きさが
決まる。エアダンパ41を減衰力発生用のみでなく空気ば
ね発生用としても利用しているので、K発生用にコイ
ルスプリングを用いる場合に比べてばね機構の単純化が
はかられる。
第1のばね機構30の第1のばね31は、エアダンパ機構40
のエアダンパ41内に納められており、エアダンパ41のリ
ターンスプリングとしても機能している。エアダンパ機
構40が第1のばね機構30を内装していることにより、別
々にフライホイールの周上に配設した場合に比べて、
K、Kばねの配設にスペースをとらず、装置の小型
化、単純化が可能となる。
第1図に示すように、フライホイールには、さらに第3
のばね機構50が設けられてもよい。エアダンパ機構40が
第1、第2のばねを一緒に含んでいるので、第3のばね
機構50を設けるスペースを容易にとることができる。第
3のばね機構50は、少なくとも1個の第3のばね51を有
し、それらの合成ばね定数がKとなる。第3のばね機
構50は、第3図に示す如く、振動系上、第1のばね機構
30と並列に、また第1図に示すように、駆動側フライホ
イール10と従動側フライホイール20との間に、回転方向
に遊隙θ1をもって介装される。この遊隙の相当捩り角
が第4図のθである。
つぎに、各部材の具体的構成を説明する。
駆動側フライホイール10は、外周リング11と、外周リン
グ11の半径方向内方に設けた内周リング12と、外周リン
グ11の軸方向両側に設けた一対のドライブプレート13、
14とから成る。外周リング11は一対のドライブプレート
13、14に挟持されて、ドライブプレート13、14とリベッ
ト17によって固定されており、内周リング12は一方のド
ライブプレート13にねじ18によって固定されている。駆
動側フライホイール10は、ボルト19によって、図示略の
エンジンクランクシャフトに連結される。
一対のドライブプレート13、14のうち、一方のドライブ
プレート13には、開口15が、他方のドライブプレート14
には切欠16が形成され、開口15、切欠16は、軸心方向に
対応しており、第1のばね機構30を内装したエアダンパ
機構40と、第3のばね機構50が設けられる場合はこの第
3のばね機構50とに、着脱自在に周方向に係合する係合
手段を構成している。第7図、第8図は、それぞれ、ド
ライブプレート13、ドライブプレート14を正面視で示し
ている。なお、外周リング11の外周には、リングギヤが
形成されるか、または嵌着される。
従動側フライホイール20は、フライホイールボデー21
と、フライホイールボデー21にボルト23によって固定さ
れたドリブンプレート22とから成る。従動側フライホイ
ール20は、ベアリング24を介して、駆動側フライホイー
ル10の内周リング12上に、同心状にかつ相対回転自在
に、支持される。第9図は、ドリブンプレート22を正面
視で示している。
ドリブンプレート22は、環状の内周部22aと、この内周
部22aから半径方向外方に延びるアーム22bとを有してお
り、このアーム22bの部分で、第1のばね機構30を内装
したエアダンパ機構40と、第3のばね機構50が設けられ
る場合はこの第3のばね機構50とに、周方向に着脱自在
に、係合する。
エアダンパ機構40を構成する少なくとも1個のエアダン
パ41は、第6図に示すように、端部44aと円筒状部44bを
有する外筒44と、端部45aと円筒状部45bを有する内筒45
と、内、外筒のそれぞれの円筒状部45b、44b間に介装さ
れたゴム等から成る、シールリング46とを有する。内筒
45と外筒44とは、互いにダンパ軸方向に相対的に可動と
され、互いに協働して内部に前記空気室42を郭定する。
内、外筒45、44の何れか少なくとも一方の壁には、空気
室42と外部とを連通する前記オリフィス43が穿設され
る。
内筒45の円筒状部45aには、内筒45の全周にわたって延
びる溝47(シールリング溝)が形成され、この溝47に前
記シールリング46が嵌合される。
シールリング46は、外筒44の円筒状部44bの内面にスラ
イド可能に圧接され、かつ溝47の底面47aにルースに接
触されている。
溝47の側面47b、47cとシールリング46との間には、ダン
パ軸方向に遊隙gが設けられている。エアダンパ41のス
トローク(外筒44と内筒45とのダンパ軸方向相対動き)
がこの遊隙より大となると、シールリング46は溝47の側
面47b、47cの何れか一方に押されて、外筒44に対して摺
動し、この時の摩擦力によって、第4図におけるヒステ
リシスHが発生する。
外筒44の端部44aと内筒45の端部45aとの何れか少なくと
も一方には、他方に向って延びる柱48が設けられてお
り、この柱48の先端に、ゴム等から成る弾性変形可能な
クッション部材49が取付けられる。第4図において、捩
り角θはクッション部材49が当り始める、フライホイ
ールの捩り角を示しており(ただしθ>θ)、θ
以上の捩り角では、クッション部材49が撓むので、捩り
角−トルク特性の勾配は急になる。クッション部材49を
設けることによって、大トルクに対応できる。
外筒44の端部44aと内筒45の端部45aは、第1のばね31の
スプリングシートとしても機能し、第1のばね31とスプ
リングシートとしての端部44a、45aは、第1のばね機構
30を構成する。また、エアダンパ41の空気ばねと端部44
a、45aは第2のばね機構(合成ばね定数K)を構成す
る。第2のばね機構はエアダンパ機構40に包含されるの
で、第2のばね機構には、付番を付さない。
第3のばね機構50が設けられる場合には、第3のばね機
構50は、第10図に示すように、少なくとも1個の第3の
ばね51とその両端に設けられたスプリングシート52、53
を有する。
第3のばね機構50のスプリングシート52、53は、硬い樹
脂製のシート部52b、53bとシート部の対向面に固着され
た、ゴム等の弾性材から成るクッション部52a、53aを有
する。対向するクッション部52a、53aは、フライホイー
ルの相対捩り角θ(θ>θ)で互いにあたり始め
る。θ以上では前記の如く捩り角−トルク特性の立上
り角度が急になる。
第1のばね31を内装したエアダンパ機構40と、第3のば
ね機構50が設けられる場合の第3のばね機構50とは、そ
れぞれ3個づつ設けられ、第1図に示すように、周方向
に、互いに交互に配設される。
上記フライホイールの作用については、前記〔作用〕の
欄で、第3図、第4図、第5図を参照して既に説明し
た。
〔考案の効果〕
本考案による特有の効果は、次の通りである。
(イ)第1のばね31のみならず、エアダンパ41を設け
て、駆動側フライホイール10と従動側フライホイール20
とを回転方向に連結したので、粘性利用の非共振ダンパ
が得られる。従来のような、1種類のみのばねの分割型
フライホイールでは、このような非共振性は得られな
い。また、弾性連結摩擦の非共振型フライホイール(実
願昭61-135608号)に比べて、実使用域での回転変動吸
収効果がさらに改善される。
(ロ)実願昭61-135608号のフライホイールに対して
も、本考案のものは摩擦力を利用したものではないの
で、摩擦のスティックスリップによる作動の不安定性を
解消できる、という効果がある。
(ハ)エアダンパ41を用いているので、オイルダンパを
用いる場合に比べて、ダンパのフライホイール回転中の
遠心力を小にでき、設計を容易にできる。またオイル洩
れ対策も必要でなくなる。コスト的に有利である。ま
た、実願昭61-135608号のばねと摩擦機構の2部品の機
能を、エアダンパの1部品で達成でき、フライホイール
の構造が単純化される。
(ニ)エアダンパ41の特性はオリフィスと空気室容積に
よって決まるため、製造ばらつきが小さく、経時変化が
少ない。
(ホ)急加減速時に空気のばねのばね定数が上がる特性
をもつため、加減速時の車両の前後振動(しゃくり)を
防止できる。
(ヘ)第1のばね31をエアダンパ41内に収納することが
でき、この収納によって第1のばね31の設定用スペース
とエアダンパ40の設定用スペースが共通となり、大トル
ク負荷用の第3のばね51をフライホイール周方向に配設
するスペースを容易に作り出すことができ、大出力エン
ジン用としても使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の一実施例に係るトーショナルダンパ付
フライホイールのドライブプレートを外して見た内部の
正面図、 第2図は第1図のII−II線に沿う断面図、 第3図は本考案のトーショナルダンパ付フライホイール
の振動系モデル図、 第4図は本考案のトーショナルダンパ付フライホイール
の捩り角−伝達トルク特性図、 第5図は本考案のトーショナルダンパ付フライホイール
の回転数(ω/ω)−加速度伝達率特性図、 第6図は本考案のエアダンパの断面図、 第7図は第1図のドライブプレート13の正面図、 第8図は第1図のドライブプレート14の正面図、 第9図は第1図のドリブンプレート22の正面図、 第10図は第1図の第3のばね機構50の断面図、 である。 10……駆動側フライホイール 13、14……ドライブプレート 20……従動側フライホイール 22……ドリブンプレート 22b……ドリブンプレートのアーム 30……第1のばね機構 31……第1のばね 40……エアダンパ機構 41……エアダンパ 42……空気室 43……オリフィス 44……外筒 45……内筒 46……シールリング 47……溝 47a……溝底面 47b、47c……溝側面 49……クッション部材 50……第3のばね機構 51……第3のばね 52、53……スプリングシート I……駆動側フライホイール10を含む駆動側の慣性モ
ーメント I……従動側フライホイール20を含む従動側の慣性モ
ーメント K……第1のばね機構30の合成ばね定数 K……エアダンパ機構40の空気ばねの合成ばね定数 K……第3のばね機構50の合成ばね定数 C……エアダンパ機構40の合成粘性減衰

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】同一軸心まわりに互いに相対回転可能に配
    設された2つの慣性体と; 前記2つの慣性体を回転方向に連結し、少なくとも1個
    の第1のばねを有する、第1のばね機構と; 前記第1のばね機構と並列に配列されて前記2つの慣性
    体を回転方向に連結し、空気室とオリフィスを有する少
    なくとも1個のエアダンパを有し、前記エアダンパの空
    気室は前記第1のばねと振動系上並列に働く空気ばねか
    らなる第2のばねを創り出すとともに前記エアダンパの
    オリフィスは前記第2のばねと振動系上直列に働く粘性
    減衰を創す出す、エアダンパ機構と; から成ることを特徴とするトーショナルダンパ付フライ
    ホイール。
JP1988046779U 1988-04-01 1988-04-08 トーショナルダンパ付フライホイール Expired - Lifetime JPH0626760Y2 (ja)

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DE1989611360 DE68911360T2 (de) 1988-04-01 1989-03-31 Schwungrad vom Typ mit einem Drehschwingungsdämpfer mit einem Dämpfungsmechanismus mit Flüssigkeit.
EP19890303236 EP0339805B1 (en) 1988-04-01 1989-03-31 Torsional damper type flywheel device with a damping mechanism utilizing a fluid flow
US03/737,606 US5156067A (en) 1988-04-01 1991-07-25 Torsional damper type flywheel device
US07/907,317 US5269199A (en) 1988-04-01 1992-07-01 Torional damper type flywheel device

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