JPH06280934A - 振り子型構造物の動吸振器 - Google Patents

振り子型構造物の動吸振器

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JPH06280934A
JPH06280934A JP5071696A JP7169693A JPH06280934A JP H06280934 A JPH06280934 A JP H06280934A JP 5071696 A JP5071696 A JP 5071696A JP 7169693 A JP7169693 A JP 7169693A JP H06280934 A JPH06280934 A JP H06280934A
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pendulum
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寛 松久
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 横揺れの抑制に、特に有用な振り子型構造物
の動吸振器を提供する。 【構成】 振り子型構造物2に付帯させ、この振り子型
構造物2の重心よりも上方にて、振り子型構造物に対し
て制振力付与可能に動吸振器1を設けて形成してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば索動搬器(ゴン
ドラ)のような振り子型構造物の動吸振器に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、スキー場や観光地で使用されてい
る索動搬器は、モノレールなどに比べて、建設費が安い
という長所があるため、交通手段として採用しようと検
討され始めている。しかしながら、この索動搬器の最大
の難点は、風に弱いことにある。鋼索に懸垂された搬器
は、構造上、風の抗力を受け易く、現在は風速15m/
sぐらいで運転を停止しているが、都市交通として利用
するには、少なくとも風速20m/sぐらいまでは、運
行できる必要がある。そこで、索動搬器の風励振を抑え
る技術に関心が集まっているが、これには一般的な並進
モデルを適用することができず、新たに剛体振り子の制
振技術が必要になっている。
【0003】従来、索動搬器に対する具体的な制振技術
としては、ジャイロモーメントを利用するもの(前者)
(西原・松久・佐藤,ジャイロモーメントを用いる制振機
構,機論,57-534C(1991),497,松岡・西田,ジャイロモーメ
ントの利用によるゴンドラの横揺れを防止制御,機講論,
No.920-55,B(1992),178)、動吸振器を利用するもの(後
者)が考えられている。
【0004】前者については、既に、6人乗り搬器用の
試作機も作られ(KANKI H.and NEKOMOTO Y.and MONOBE
H.,Developnent of CMG Active Vibration Control Dev
ice for Gondola,The First International Conference
on Motion and Vibration Control(MOVIC),(1992),31
0.)、風による動揺を1/3ぐらいに減少させている。
【0005】一方、後者については、ばね質量形のもの
や、振り子形のものが検討されてきた(佐藤・千島,振り
子式動吸振器による索動搬器の動揺低減について,機講
論,No.910-17,C(1991),528.)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の制振技術の
内、前者については、索動搬器は外部電源と接続されて
いないので、バッテリで駆動可能な省電力形のシステム
の開発が必要になるという問題がある。また、後者の
内、ばね質量形のものについては、搬器の重心付近に取
り付けると、搬器と動吸振器の質量は一体となって動
き、制振効果は生じない。
【0007】一方、振り子型のものは、二重振り子とし
て動吸振器を搬器の下方に設置し、最適な同調を行わせ
ようとすると、動吸振器の腕が長くなり、実用的でなく
なる。さらに、振り子を傾けて固有振動数を低くするこ
とによって腕の長さを短くすることも検討されているが
(佐藤・細川・千島,傾斜振り子式減衰装置による索動搬器
の動揺制御,機講論,No.920-55,A(1992),592.)、このよ
うにした場合動吸振器の取り付け位置の問題が生じる。
本発明は、斯る従来の問題点を課題としてなされたもの
で、横揺れの抑制に特に有用な振り子型構造物の動吸振
器を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、振り子型構造物に付帯させ、この振り子
型構造物の重心よりも上方にて、振り子型構造物に対し
て制振力付与可能に設けて形成した。
【0009】
【作用】上記発明のように構成することにより、動吸振
器の質量要素とそれを支持する振り子型構造物との間に
相対変位が生じて、振り子型構造物の振動エネルギが吸
収されるようになる。
【0010】
【実施例】次に、本発明の一実施例を図面にしたがって
説明する。図1は、本発明の第1実施例に係るばね質量
型の動吸振器1を適用した振り子型構造物2の構成要素
を、図形化して示したものである。被吊持体11が、リ
ンク12を介して支持部O(図1において点として、表
されており、以下、支点Oという)により揺動可能に吊
持され、被吊持体11とリンク12により質量m1の振
り子型構造物2(以下、質量m1という)、例えば索動搬
器を形成している。動吸振器1は、質量m1の重心より
も上方にて、例えば本実施例では、被吊持体11と支点
Oとの間にて、質量m1に制振力付与可能に設けてあ
る。即ち、この動吸振器1は、形態的には限定するもの
ではないが、作用的にはリンク12を横切る方向に直線
運動可能に設けた質量m2の質量要素13(以下、質量m
2という)と、この質量m2とリンク12との間に介在す
るばね定数kのばね要素14と、およびこれと並列的に
作用する減衰係数cのダンパー要素15とに分けられ
る。
【0011】そして、上記のように質量m1に付帯し
て、その重心よりも上方に動吸振器1を配置し、以下に
詳述するように、質量m1の振り子運動の固有振動に対
して、付加質量比に応じて最適な同調を行わせ、制振力
を付与させるようにしてある。
【0012】次に、上述した動吸振器1を適用した質量
1の振動に関して理論解析する。運動方程式 図1に示すように、質量m1は、支点Oを中心として揺
動可能で、その自由度を1とし、減衰は無視する。支点
Oから質量m1の重心までの距離をl1,角変位をθ1とす
る。動吸振器1は、支点Oより距離lの所に取り付けら
れ、質量m2のリンク12を横切る方向の変位をuとす
る。上述したように、ばね要素14のばね定数はk、ダ
ンパ要素15の減衰係数はcとする。また、支点Oを原
点として、xy座標を図1に示すように取ると、質量m
1の重心位置(x1,y1)と質量m2の重心位置(x2,y2)
は、次式(1)〜(4)で表される。
【0013】
【数1】 これにより、両者の速度は次式(5)〜(8)で表される。
【数2】
【0014】運動エネルギTは、次式(9)のようにな
り、位置エネルギVは、静止時を基準にとり、重力加速
度をgとすると次式(10)で表され、散逸関数Fは次式
(11)で表される。
【数3】
【0015】これらより、質量m1に働く外力をPeiwt
としたときのラグランジェの運動方程式より、次式(1
2),(13)が得られる。
【数4】 θ1およびuを微小量として、式(12),(13)の高次項
を省略し、線形化すると次式(14),(15)が得られ
る。
【数5】
【0016】これより、変位の複素振幅Θ1,Uは、次式
(16),(17)で表される。
【数6】 ここで、無次元化のため、次式(18)で表される記号を
導入する。
【数7】
【0017】主系(振り子型構造物2)と付加系振り子
(動吸振器1)の変位は、次式(19)〜(22)のように表
される。
【数8】
【0018】最適調整 式(20)は、主系角変位の周波数応答を表すが、二自由
度振動系として二つの共振点と一つの反共振点をもつ。
また、この周波数応答は、減衰比ζの値に拘わらず、二
つの定点P,Qを通るので、その二定点P,Qの高さを揃
え、そこで、この周波数応答が最大値になるような動吸
振器1と主系の固有振動数foptと減衰比ζoptを求める
(Den Hartog,Mechanical Vibrations,(1950)McGraw-Hil
l)。まず、定点を通るという条件、即ち式(20)がζに
関する恒等式になるという条件より、定点P,Qの振動
数、即ち次式(23)で示すように、hp,hqが求められ
る。
【数9】
【0019】そして、定点P,Qの高さが等しいことよ
り、最適となる動吸振器1と主系の固有振動数f≡f
optが、次式(24)で示すように、求められる。
【数10】 そのときの二定点P,Qの振動数hp,hqは次式(25),
(26)で表される。
【数11】 さらに、定点P,Qでの主系の振幅は次式(27)で示す
ようになる。
【数12】
【0020】次に、定点P,Qで主系の振幅が最大にな
る減衰比ζを次式(28)より求める。
【数13】 即ち、式(28)を満足するζが最適減衰比ζoptであ
る。式(28)に式(20)を代入すると次式(29)が得ら
れる。
【数14】
【0021】式(29)、および式(20)より、次式(3
0)のようになる。
【数15】 しかし、定点Pで傾きが零となるζopt≡ζpoptと、定
点Qで傾きが零となるζ≡ζqoptとは僅かに異なる。こ
れらの値は、どちらをとっても現実的な調整において
は、大差を生じないので、次式(31)で示すように、両
者の相加平均を最適調整時のζoptとして使うのも一つ
の方法である。
【数16】
【0022】等価質量比 動吸振器1の効率を表す等価質量比μeを、式(19)よ
り次のように定義する。即ち、式(19)の分母の実部C
において、f=1,h=1とおくことにより次式(32)
が得られる。
【数17】 この式(32)を式(27)に代入することにより、主系の
定点P,Qでの振幅が次式(33)で表される。
【数18】
【0023】この式(33)において、現実的には、μは
0.1より小さい値をとり、γはなるべく小さい値の方
が好ましく、0.5あたりの値をとる。したがって、、
振幅は{1+(2/μeΘst)}1/2と近似でき、等価質量
比によって振幅が与えられると言える。式(32)より、
γが1のとき、即ち動吸振器1を質量m1の重心に設置
すれば、全く制振効果はなく、γが1より外れると制振
効果が出てくる。現実的には、γ=1/2のときでも、
μe=0.25μであるので、制振効果を上げるために
は、なるべく上部に取り付けるのが好ましい。次に、動
吸振器1を主系の重心に取り付けると(l=l1)、制振
効果がないことの物理的な理由について説明する。式
(14)から式(15)にlを乗じた式を引けば、次式(3
4)で示す主系の回転に関する運動方程式が得られる。
【数19】
【0024】式(34)の左辺第1項は慣性項,第2項は
重力による復元モーメント,第3項は動吸振器1の減衰
によるモーメント,第4項は動吸振器1の質量m2に作用
する重力によって生じるモーメント,第5項は動吸振器
1のばね要素14より生じるモーメントである。最適に
同調する場合、動吸振器1の固有振動数と主系の固有振
動数がほぼ一致するので、k/m2=g/l1が成り立
ち、上記第4項と第5項が相殺する。したがって、主系
と動吸振器1は、同じ固有振動数を有する二つの系のダ
ンパだけで結合していることになり、両者は一体となっ
て振動し、減衰力は働かなくなる。
【0025】周波数応答 図2に最適調整された動吸振器1を有する系、および動
吸振器1を有さない系の周波数応答を示す。パラメータ
は、一例として6人乗りの索動搬器を想定し、l1=4
m,m1=1tonとする。実機の主系の減衰比は1%以
下であるが、ここでは1%とする。一点鎖線で示すよう
に動吸振器1のない場合の共振点での無次元振幅│Θ1
│/Θstは50になる。これに対して、実線で示すよう
に、動吸振器1を設けた場合、│Θ1│/Θstは、μe
0.025で9、μe=0.05で6.4になる。したがっ
て、動吸振器1を設けた効果は十分ある言うことがで
き、μeの影響も制振効果に顕著に現れることが分か
る。
【0026】過渡応答 図3に初期変位に対する時間応答を示す。なお、動吸振
器1のない場合を一点鎖線で、動吸振器1を設けた場合
を実線(μe=0.05)、および破線(μe=0.025)で示
してある。風による外力の変動成分の無次元量P/m1
gを平均値0,標準偏差σ=0.0886の正規乱数で、
サンプリングの時間間隔を0.3秒としたときの応答を
図4〜図6に示す。これらのシミュレーションはアダム
ス法で計算したものである。なお、図4は動吸振器1を
設けない場合、図5(μe=0.05),図6(μe=0.02
5)は動吸振器1を設けた場合を示している。
【0027】図7は、本発明の第2実施例に係る振り子
型の動吸振器1aを用いた振り子型構造物2aの構成要
素を、図形化して示したもので、図1に示すものと共通
する部分については同一番号が付してある。被吊持体1
1が、リンク12aを介して支持部O(上記同様、以
下、支点Oという)により揺動可能に吊持され、被吊持
体11とリンク12aにより質量m1の振り子型構造物
2a(以下、上記同様に質量m1という)を形成してい
る。動吸振器1aは、質量m1の重心よりも上方にて、
例えば本実施例では、支点Oに関して被吊持体11とは
反対側に位置するリンク12a上の支持部O1(以下、支
点O1という)にて、質量m1に制振力付与可能に設けて
ある。即ち、この動吸振器1aは、形態的には限定する
ものではないが、作用的には支点O1を中心として揺動
可能に設けたリンク21と、リンク21に吊持された質
量m2の質量要素13(以下、上記同様に質量m2という)
と、リンク21とリンク12aとの間に介在する減衰係
数cのダンパー要素15とに分けられる。
【0028】そして、第1実施例の場合と同様に質量m
1に付帯して、その重心よりも上方に動吸振器1aを配
置し、以下に詳述するように、質量m1の振り子運動の
固有振動に対して、付加質量比に応じて最適な同調を行
わせ、制振力を付与させるようにしてある。次に、上述
した動吸振器1aを用いた質量m1の振動に関して理論
解析する。図7に示すように、動吸振器1aとしての付
加系振り子の支点O1を主系の支点Oの上方lの所にと
る。主系のリンク12aと動吸振器1aのリンク21の
角変位をθ12,支点O,O1から質量m,m1の重心まで
の長さ、即ち腕の長さをl1,l2とする。主系および付
加系質量の位置は、次式(35)〜(38)で表される。
【数20】
【0029】付加系の減衰をc,主系に作用する外力を
Peiωtとし、ラグランジェの方程式を作って線形化す
ると、次式(39),(40)のように表せる。
【数21】 この式を、次式(41)で表す記号、および式(18)で表
す記号を用いて無次元化すると、主系と付加系の角変位
を与える式は、式(19),(21)と同じものになり、最
適同調,等価質量比も式(24),(30),(32)で与えら
れる。
【数22】
【0030】図8は、本発明の第3実施例に係る円軌道
型動吸振器1bを用いた振り子型構造物2bの構成要素
を、図形化して示したもので、図7に示すものと共通す
る部分には同一番号を付して説明を省略する。この動吸
振器1bは、図7において、リンク21を介して支点O
1より質量要素m2を吊持していたのに代えて、リンク1
2bと一体的な円軌道22上に質量要素m2を転動自在
に支持したもので、力学的には、図7に示すものと実質
的に変わりはない。なお、図8に示す実施例の場合、ダ
ンパ要素は転動体であるローラ部に介在させてあり、図
示されていない。さらに、別の実施例として、図8に示
す質量要素m2を用いず、これに代えて円軌道22に質
量m2を備えさせるとともに、リンク12bと一体的に
揺動するローラ部上を、このローラ部に対して相対的に
転動させるようにし、かつ転動部にダンパ要素を介在さ
せるようにしてもよい。
【0031】図9,10は、本発明の第4実施例に係る
傾斜振り子型の動吸振器1cを用いた振り子型構造物2
cの構成要素を、図形化して示したもので、上記各実施
例と共通する部分については、互いに同一番号を付して
説明を省略する。この動吸振器1cは、図9に示すよう
に、リンク12cが静止し、垂直状態にあるときに、質
量要素m2を吊持するリンク21cが水平方向に対し
て、角度α(0°<α<90°)(αの符号は図9におい
て下向きに正とする)だけ傾斜するように形成したもの
である。形態的には限定するものではないが、作用的に
は、リンク12cとリンク21cとの間にダンパ要素1
5が介在する。
【0032】次に、上述した動吸振器1cを用いた質量
1の振動に関して理論解析する。付加系振り子を主系
の下部に取り付けた二重振り子の場合、主系の周期が長
いため、付加系振り子の腕も長くなり、実用上都合が悪
い。そこで、短い腕で長周期を得るようにしたのが図
9,10に示す動吸振器1cである。腕の長さがl2の付
加系振り子を水平面より角度αだけ傾けて取り付けた場
合の付加系振り子の固有振動数は次式(42)で表され
る。
【数23】
【0033】図10に示すように、付加系振り子の各変
位をθ2とすると、主系および付加系の質量の位置は、
次式(43)〜(46)で表される。
【数24】 これより、ラグランジュの運動方程式を立て、次式(4
7)で表される記号と式(18)で表される記号を用いて
無次元化すると、上記実施例の場合と同様に、主系と付
加系の変位は式(19),(21)となる。最適調整,等価質
量比も同様に式(24),(30),(32)で与えられる。
【数25】
【0034】図11,12は、本発明の第5実施例に係
る倒立傾斜振り子型の動吸振器1dを用いた振り子型構
造物2dの構成要素を、図形化して示したもので、図7
に示すものと共通する部分については同一番号が付して
ある。本実施例では、被吊持体11が、リンク12dを
介して支持部O(上記同様、以下、支点Oという)により
揺動可能に吊持され、被吊持体11とリンク12dによ
り質量m1の振り子型構造物2d(以下、上記同様に質量
1という)を形成している。動吸振器1dは、リンク1
2d上の支点O1から上方に延びた倒立リンク21dに
より支持された質量要素m2と、リンク12dと倒立リ
ンク21dとの間に介在するばね要素14(回転ばね定
数:k′),ダンパ要素15(減衰係数:c)とを備え、
質量m1の重心よりも上方にて、質量m1に対して制振力
付与可能に設けられている。
【0035】また、図12に示すように、リンク21d
は、z軸に平行なz′軸に対して角度α(−90≦α<
0)(αの符号は図12において下向きに正とする)をな
している。なお、図12は角度αを明らかにするために
示したもので、この目的に直接関係しない他の構成要素
の図示は省略してある。なお、本実施例については、付
加系振り子の固有振動数を表す上記式(42),(47)第
2式(ωa 2=gsinα/l2)に代えて、上記(42),(47)
第2式の右辺に、(k′/(m2・l2 2))の項を加算した式
を用いることにより、基本的には、第1実施例で詳述し
た理論が適用できる故、説明を割愛する。
【0036】次に、一例として、図8に示す第3実施例
に係る円軌道型動吸振器1bを使った模型で実験を行っ
た。l1=1m,m1=8kg,m2=0.8kgであり、円
軌道の半径も1mであり、動吸振器1bの取り付け位置
としてγ=0.25(μe=0.056),0.5(μe=0.
025),1(μe=0)の三通りを選んだ。各場合におけ
る初期変位による応答を図示13〜図15に示す。理論
解析の結果と同様、取り付け位置を主系の重心近くにす
ると(γ=1)、制振効果は殆どなく、この重心よりも上
方に取り付ける程(γ=0.5,γ=0.25)、制振効果
は大きくなる。ただし、本実験では、動吸振器1cの減
衰は、動吸振器1cと円軌道22との間の摩擦に依存し
ており、最適な状態には同調されていない。
【0037】本発明は、適用対象を索動搬器に限定する
ものでなく、振り子型構造物全般に適用され得るもので
あって、本発明による制振と従来の並進運動系の動吸振
器による制振との違いは、主系の傾きによって動吸振器
の質量も主系と同様に重力を受けることにある。動吸振
器を主系の重心に取り付けると、主系に働くモーメント
のうち、動吸振器の変位によるばね力によるものと、動
吸振器の重力によるばね力によるものが相殺する。結
局、主系と動吸振器は、同じ固有振動数を有する二つの
系がダンパで結合されたものになり、一体として揺動す
る。しかし、動吸振器の位置を主系の重心から離せば、
動吸振器から主系にモーメントが作用する。
【0038】上述したように、本発明については、ばね
質量型,振り子型,円軌道型,傾斜振り子型,倒立傾斜振
り子型動吸振器による制振を、動吸振器の取り付け位置
をパラメータとして解析し、統一した理論式で説明でき
る。最適調整と、制振効果を示す等価質量比は、動吸振
器と主系の質量比μに(1−γ)2(ここで、γは支点から
動吸振器に取り付けた点までの距離を主系の腕の長さで
除したもの)を乗じたものになる。したがって、制振の
ためには、動吸振器は、なるべく上方に取り付けるのが
好ましいことが分かる。
【0039】なお、第1〜第5実施例において、動吸振
器1〜1dの各々を1台だけ設けたものについて説明し
たが、本発明はこれに限定するものでなく、振り子型構
造物2〜2dの進行方向、即ちxy平面に垂直な方向の
バランスをとるために、動吸振器1〜1dの各々を複数
台設けたものも含んでいる。例えば、図12の場合、図
示する動吸振器1dの他に、y軸に関して、z軸方向に
対称の位置にもう1台の動吸振器1dを設けてもよい。
【0040】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
によれば、振り子型構造物に付帯させ、この振り子型構
造物の重心よりも上方にて、振り子型構造物に対して制
振力付与可能に設けて形成してある。このため、以上詳
述したように、動吸振器の質量要素とそれを支持する振
り子型構造物との間に相対変位が生じて、振り子型構造
物の振動エネルギが吸収されるようになる結果、特に電
源等の動力を要することなく、また振り子の腕を長くす
ることなく、振り子型構造物に対する制振作用が明確に
表れるようになり、振り子型構造物の横揺れ抑制作用を
強化でき、振り子型構造物の用途を広げることが可能に
なるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る動吸振器を適用し
た振り子型構造物の全体構成の概略を示す図である。
【図2】 図1に示す動吸振器を有する系、および動吸
振器を有さない系の周波数応答を示す図である。
【図3】 図1に示す動吸振器を有する系、および動吸
振器を有さない系の初期変位に対する応答を示す図であ
る。
【図4】 動吸振器を有さない系のランダム入力に対す
る応答を示す図である。
【図5】 図1に示す動吸振器を有する系のランダム入
力に対する応答を示す図である。
【図6】 図1に示す動吸振器を有する系のランダム入
力に対する応答を示す図である。
【図7】 本発明の第2実施例に係る動吸振器を適用し
た振り子型構造物の全体構成の概略を示す図である。
【図8】 本発明の第3実施例に係る動吸振器を適用し
た振り子型構造物の全体構成の概略を示す図である。
【図9】 本発明の第4実施例に係る動吸振器を適用し
た振り子型構造物の全体構成の概略を示す図である。
【図10】 図9に示す実施例の揺動時の状態を示す図
である。。
【図11】 本発明の第5実施例に係る動吸振器を適用
した振り子型構造物の全体構成の概略を示す図である。
【図12】 図11に示す動吸振器の質量m2を支持す
るリンクの傾斜状態を示す図で、図11においてA方向
から見た図である。
【図13】 図8に示す動吸振器を有する系の模型を用
いて行った実験結果で、初期変位に対する応答を示す図
である。
【図14】 図8に示す動吸振器を有する系の模型を用
いて行った実験結果で、初期変位に対する応答を示す図
である。
【図15】 図8に示す動吸振器を有する系の模型を用
いて行った実験結果で、初期変位に対する応答を示す図
である。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c,1d 動吸振器 2,2a,2b,2c,2d 振り子型構造物
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 振り子型構造物の動吸振器
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば索動搬器(ゴン
ドラ)のような振り子型構造物の動吸振器に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、スキー場や観光地で使用されてい
る索動搬器は、モノレールなどに比べて、建設費が安い
という長所があるため、交通手段として採用しようと検
討され始めている。しかしながら、この索動搬器の最大
の難点は、風に弱いことにある。鋼索に懸垂された搬器
は、構造上、風の抗力を受け易く、現在は風速15m/
sぐらいで運転を停止しているが、都市交通として利用
するには、少なくとも風速20m/sぐらいまでは、運
行できる必要がある。そこで、索動搬器の風励振を抑え
る技術に関心が集まっているが、これには一般的な並進
モデルを適用することができず、新たに剛体振り子の制
振技術が必要になっている。
【0003】従来、索動搬器に対する具体的な制振技術
としては、ジャイロモーメントを利用するもの(前者)
(西原・松久・佐藤,ジャイロモーメントを用いる制振機
構,機論,57-534C(1991),497,松岡・西田,ジャイロモーメ
ントの利用によるゴンドラの横揺れを防止制御,機講論,
No.920-55,B(1992),178)、動吸振器を利用するもの(後
者)が考えられている。
【0004】前者については、既に、6人乗り搬器用の
試作機も作られ(KANKI H.and NEKOMOTO Y.and MONOBE
H.,Development of CMG Active Vibration Control Dev
ice for Gondola,The First International Conference
on Motion and Vibration Control(MOVIC),(1992),31
0.)、風による動揺を1/3ぐらいに減少させている。
【0005】一方、後者については、ばね質量形のもの
や、振り子形のものが検討されてきた(佐藤・千島,振り
子式動吸振器による索動搬器の動揺低減について,機講
論,No.910-17,C(1991),528.)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の制振技術の
内、前者については、索動搬器は外部電源と接続されて
いないので、バッテリで駆動可能な省電力形のシステム
の開発が必要になるという問題がある。また、後者の
内、ばね質量形のものについては、搬器の重心付近に取
り付けると、搬器と動吸振器の質量は一体となって動
き、制振効果は生じない。
【0007】一方、振り子型のものは、二重振り子とし
て動吸振器を搬器の下方に設置し、最適な同調を行わせ
ようとすると、動吸振器の腕が長くなり、実用的でなく
なる。さらに、振り子を傾けて固有振動数を低くするこ
とによって腕の長さを短くすることも検討されているが
(佐藤・細川・千島,傾斜振り子式減衰装置による索動搬器
の動揺制御,機講論,No.920-55,A(1992),592.)、このよ
うにした場合動吸振器の取り付け位置の問題が生じる。
本発明は、斯る従来の問題点を課題としてなされたもの
で、横揺れの抑制に特に有用な振り子型構造物の動吸振
器を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、第1発明は、振り子型構造物に付帯させ、この振り
子型構造物の重心よりも上方にて、振り子型構造物に対
して制振力付与可能に設けて形成した。
【0009】また、第2発明は、上記振り子型構造物
が、リンクを介して支持部により揺動可能に被吊持体を
吊持して形成され、上記動吸振器が、作用的には、上記
リンクを横切る方向に直線運動可能に設けた質量要素
と、この質量要素と上記リンクとの間に介在させたばね
要素、このばね要素と並列的に作用するダンパー要素と
に分けられ、上記質量要素が、上記振り子型構造物の振
り子運動の固有振動に対して、付加質量比に応じて最適
に同調されたものとした。
【0010】さらに、第3発明は、上記振り子型構造物
が、リンクを介して支持部により揺動可能に被吊持体を
吊持して形成され、上記動吸振器が、作用的には、上記
振り子型構造物の重心よりも上方に位置する支持部にて
揺動可能に設けたリンクに吊持された質量要素と、上記
両リンク間に介在させたダンパー要素に分けられ、上記
質量要素が、上記振り子型構造物の振り子運動の固有振
動に対して、付加質量比に応じて最適に同調されたもの
とした。
【0011】さらに、第4発明は、上記振り子型構造物
が、リンクを介して支持部により揺動可能に被吊持体を
吊持して形成され、上記動吸振器が、作用的には、上記
リンクと一体的に形成された円軌道上に転動自在に設け
た質量要素と、この質量要素と上記リンクとの間に介在
させたダンパ要素とに分けられ、上記質量要素が、上記
振り子型構造物の振り子運動の固有振動に対して、付加
質量比に応じて最適に同調されたものとした。
【0012】さらに、第5発明は、上記振り子型構造物
が、リンクを介して支持部により揺動可能に被吊持体を
吊持して形成され、上記動吸振器が、作用的には、上記
リンクが静止し、垂直状態にあるときに、水平方向に対
して、下向きに鋭角で傾斜し。上記リンクに対して揺動
可能に設けたリンクに吊持された質量要素と、上記両リ
ンク間に介在させたダンパ要素とに分けられ、上記質量
要素が、上記振り子型構造物の振り子運動の固有振動に
対して、付加質量比に応じて最適に同調されたものとし
た。
【0013】さらに、第6発明は、上記振り子型構造物
が、リンクを介して支持部により揺動可能に被吊持体を
吊持して形成され、上記動吸振器が、作用的には、上記
リンクに揺動可能に支持された倒立リンクに支持された
質量要素と、上記両リンク間に介在させたダンパ要素と
に分けられ、上記質量要素が、上記振り子型構造物の振
り子運動の固有振動に対して、付加質量比に応じて最適
に同調されたものとした。
【0014】
【作用】上記発明のように構成することにより、動吸振
器の質量要素とそれを支持する振り子型構造物との間に
相対変位が生じて、振り子型構造物の振動エネルギが吸
収されるようになる。
【0015】
【実施例】次に、本発明の一実施例を図面にしたがって
説明する。図1は、第1,第2発明に係るばね質量型の
動吸振器1を適用した振り子型構造物2の構成要素を、
図形化して示したものである。被吊持体11が、リンク
12を介して支持部O(図1において点として、表され
ており、以下、支点Oという)により揺動可能に吊持さ
れ、被吊持体11とリンク12により質量m1の振り子
型構造物2(以下、質量m1という)、例えば索動搬器を
形成している。動吸振器1は、質量m1の重心よりも上
方にて、例えば本実施例では、被吊持体11と支点Oと
の間にて、質量m1に制振力付与可能に設けてある。即
ち、この動吸振器1は、形態的には限定するものではな
いが、作用的にはリンク12を横切る方向に直線運動可
能に設けた質量m2の質量要素13(以下、質量m
いう)と、この質量m2とリンク12との間に介在するば
ね定数kのばね要素14と、およびこれと並列的に作用
する減衰係数cのダンパー要素15とに分けられる。
【0016】そして、上記のように質量m1に付帯し
て、その重心よりも上方に動吸振器1を配置し、以下に
詳述するように、質量m1の振り子運動の固有振動に対
して、付加質量比に応じて最適な同調を行わせ、制振力
を付与させるようにしてある。
【0017】次に、上述した動吸振器1を適用した質量
1の振動に関して理論解析する。運動方程式 図1に示すように、質量m1は、支点Oを中心として揺
動可能で、その自由度を1とし、減衰は無視する。支点
Oから質量m1の重心までの距離をl1,角変位をθ1とす
る。動吸振器1は、支点Oより距離lの所に取り付けら
れ、質量m2のリンク12を横切る方向の変位をuとす
る。上述したように、ばね要素14のばね定数はk、ダ
ンパ要素15の減衰係数はcとする。また、支点Oを原
点として、xy座標を図1に示すように取ると、質量m
1の重心位置(x1,y1)と質量m2の重心位置(x2,y2)
は、次式(1)〜(4)で表される。
【0018】
【数1】 これにより、両者の速度は次式(5)〜(8)で表される。
【数2】
【0019】運動エネルギTは、次式(9)のようにな
り、位置エネルギVは、静止時を基準にとり、重力加速
度をgとすると次式(10)で表され、散逸関数Fは次式
(11)で表される。
【数3】
【0020】これらより、質量m1に働く外力をPeiω
tとしたときのラグランジェの運動方程式より、次式(1
2),(13)が得られる。
【数4】 θ1およびuを微小量として、式(12),(13)の高次項
を省略し、線形化すると次式(14),(15)が得られ
る。
【数5】
【0021】これより、変位の複素振幅Θ1,Uは、次式
(16),(17)で表される。
【数6】 ここで、無次元化のため、次式(18)で表される記号を
導入する。
【数7】
【0022】主系(振り子型構造物2)と付加系(動吸振
器1)の変位は、次式(19)〜(22)のように表され
る。
【数8】
【0023】最適調整 式(20)は、主系角変位の周波数応答を表すが、二自由
度振動系として二つの共振点と一つの反共振点をもつ。
また、この周波数応答は、減衰比ζの値に拘わらず、二
つの定点P,Qを通る。それ故、二定点P,Qの高さを互
いに等しく、かつ最大にすることにより主系に対する動
吸振器1の最適固有振動数比foptと最適減衰比ζopt
求められる(Den Hartog,Mechanical Vibrations,(1950)
McGraw-Hill)。まず、定点を通るという条件、即ち式
(20)がζに関する恒等式になるという条件より、定点
P,Qの振動数、即ち次式(23)で示すように、hp,hq
が求められる。
【数9】
【0024】そして、定点P,Qの高さが等しいことよ
り、最適となる主系に対する動吸振器1の最適固有振動
数比f≡foptが、次式(24)で示すように、求められ
る。
【数10】 そのときの二定点P,Qの振動数hp,hqは次式(25),
(26)で表される。
【数11】 さらに、定点P,Qでの主系の振幅は次式(27)で示す
ようになる。
【数12】
【0025】次に、定点P,Qで主系の振幅が最大にな
る減衰比ζを次式(28)より求める。
【数13】 即ち、式(28)を満足するζが最適減衰比ζoptであ
る。式(28)に式(20)を代入すると次式(29)が得ら
れる。
【数14】
【0026】式(29)、および式(20)より、次式(3
0)のようになる。
【数15】 しかし、定点Pで傾きが零となるζopt≡ζpoptと、定
点Qで傾きが零となるζ≡ζqoptとは僅かに異なる。こ
れらの値は、どちらをとっても現実的な調整において
は、大差を生じないので、次式(31)で示すように、両
者の相加平均を最適調整時のζoptとして使うのも一つ
の方法である。
【数16】
【0027】等価質量比 動吸振器1の効率を表す等価質量比μeを、式(19)よ
り次のように定義する。即ち、式(19)の分母の実部C
において、f=1,h=1とおくことにより次式(32)
が得られる。
【数17】 この式(32)を式(27)に代入することにより、主系の
定点P,Qでの振幅が次式(33)で表される。
【数18】
【0028】この式(33)において、現実的には、μは
0.1より小さい値をとり、γはなるべく小さい値の方
が好ましく、0.5あたりの値をとる。したがって、、
振幅は{1+(2/μe)}1/2Θstと近似でき、等価質量
比によって振幅が与えられると言える。式(32)より、
γが1のとき、即ち動吸振器1を質量m1の重心に設置
すれば、全く制振効果はなく、γが1より外れると制振
効果が出てくる。現実的には、γ=1/2のときでも、
μe=0.25μであるので、制振効果を上げるために
は、なるべく上部に取り付けるのが好ましい。次に、動
吸振器1を主系の重心に取り付けると(l=l1)、制振
効果がないことの物理的な理由について説明する。式
(14)から式(15)にlを乗じた式を引けば、次式(3
4)で示す主系の回転に関する運動方程式が得られる。
【数19】
【0029】式(34)の左辺第1項は慣性項,第2項は
重力による復元モーメント,第3項は動吸振器1の減衰
によるモーメント,第4項は動吸振器1の質量m2に作用
する重力によって生じるモーメント,第5項は動吸振器
1のばね要素14より生じるモーメントである。最適に
同調する場合、動吸振器1の固有振動数と主系の固有振
動数がほぼ一致するので、k/m2=g/l1が成り立
ち、上記第4項と第5項が相殺する。したがって、主系
と動吸振器1は、同じ固有振動数を有する二つの系のダ
ンパだけで結合していることになり、両者は一体となっ
て振動し、減衰力は働かなくなる。
【0030】周波数応答 図2に最適調整された動吸振器1を有する系、および動
吸振器1を有さない系の周波数応答を示す。パラメータ
は、一例として6人乗りの索動搬器を想定し、l1=4
m,m1=1tonとする。実機の主系の減衰比は1%以
下であるが、ここでは1%とする。一点鎖線で示すよう
に動吸振器1のない場合の共振点での無次元振幅│Θ1
│/Θstは50になる。これに対して、実線で示すよう
に、動吸振器1を設けた場合、│Θ1│/Θstは、μe
0.025で9、μe=0.05で6.4になる。したがっ
て、動吸振器1を設けた効果は十分あると言うことがで
き、μeの影響も制振効果に顕著に現れることが分か
る。
【0031】過渡応答 図3に初期変位に対する時間応答を示す。なお、動吸振
器1のない場合を一点鎖線で、動吸振器1を設けた場合
を実線(μe=0.05)、および破線(μe=0.025)で示
してある。平均値0,標準偏差σ=0.0886の正規乱
数で、サンプリングの時間間隔を0.3秒として、風に
よる外力の変動成分の無次元量P/m1gを得たときの
応答を図4〜図6に示す。これらのシミュレーションは
アダムス法で計算したものである。なお、図4は動吸振
器1を設けない場合、図5(μe=0.05),図6(μe
0.025)は動吸振器1を設けた場合を示している。
【0032】図7は、第1,第3発明に係る振り子型の
動吸振器1aを用いた振り子型構造物2aの構成要素
を、図形化して示したもので、図1に示すものと共通す
る部分については同一番号が付してある。被吊持体11
が、リンク12aを介して支持部O(上記同様、以下、
支点Oという)により揺動可能に吊持され、被吊持体1
1とリンク12aにより質量m1の振り子型構造物2a
(以下、上記同様に質量m1という)を形成している。動
吸振器1aは、質量m1の重心よりも上方にて、例えば
本実施例では、支点Oに関して被吊持体11とは反対側
に位置するリンク12a上の支持部O1(以下、支点O1
という)にて、質量m1に制振力付与可能に設けてある。
即ち、この動吸振器1aは、形態的には限定するもので
はないが、作用的には支点O1を中心として揺動可能に
設けたリンク21と、リンク21に吊持された質量m2
の質量要素13(以下、上記同様に質量m2という)と、
リンク21とリンク12aとの間に介在する減衰係数c
のダンパー要素15とに分けられる。
【0033】そして、図1に示す装置の場合と同様に質
量m1に付帯して、その重心よりも上方に動吸振器1a
を配置し、以下に詳述するように、質量m1の振り子運
動の固有振動に対して、付加質量比(付加系の質量/主
系の質量)に応じて最適な同調を行わせ、制振力を付与
させるようにしてある。次に、上述した動吸振器1aを
用いた質量m1の振動に関して理論解析する。図7に示
すように、動吸振器1aとしての付加系振り子の支点O
1を主系の支点Oの上方lの所にとる。主系のリンク1
2aと動吸振器1aのリンク21の角変位をθ12,支
点O,O1から質量m,m1の重心までの長さ、即ち腕の長
さをl1,l2とする。主系および付加系質量の位置は、
次式(35)〜(38)で表される。
【数20】
【0034】付加系の減衰係数をc,主系に作用する外
力をPeiωtとし、ラグランジェの方程式を作って線形
化すると、次式(39),(40)のように表せる。
【数21】 この式を、次式(41)で表す記号、および式(18)で表
す記号を用いて無次元化すると、主系と付加系の角変位
を与える式は、式(19),(21)と同じものになり、最
適同調,等価質量比も式(24),(30),(32)で与えら
れる。
【数22】
【0035】図8は、第1,第3発明に係る円軌道型動
吸振器1bを用いた振り子型構造物2bの構成要素を、
図形化して示したもので、図7に示すものと共通する部
分には同一番号を付して説明を省略する。この動吸振器
1bは、図7において、リンク21を介して支点O1
り質量要素m2を吊持していたのに代えて、リンク12
bと一体的な円軌道22上に質量要素m2を転動自在に
支持したもので、力学的には、図7に示すものと実質的
に変わりはない。なお、図8に示す実施例の場合、ダン
パ要素は転動体であるローラ部に介在させてあり、図示
されていない。さらに、別の実施例として、図8に示す
質量要素m2を用いず、これに代えて円軌道22に質量
2を備えさせるとともに、この円軌道22をリンク1
2bと一体的に揺動するローラ部上にて、このローラ部
に対して相対的に転動させるようにし、かつ転動部にダ
ンパ要素を介在させるようにしてもよい。
【0036】図9,10は、第1,第4発明に係る傾斜
振り子型の動吸振器1cを用いた振り子型構造物2cの
構成要素を、図形化して示したもので、上記各実施例と
共通する部分については、互いに同一番号を付して説明
を省略する。この動吸振器1cは、図9に示すように、
リンク12cが静止し、垂直状態にあるときに、質量要
素m2を吊持するリンク21cが水平方向に対して、角
度α(0°<α<90°)(αの符号は図9において下向
きに正とする)だけ傾斜するように形成したものであ
る。形態的には限定するものではないが、作用的には、
リンク12cとリンク21cとの間にダンパ要素15が
介在する。
【0037】次に、上述した動吸振器1cを用いた質量
1の振動に関して理論解析する。付加系振り子を主系
の下部に取り付けた二重振り子の場合、主系の周期が長
いため、付加系振り子の腕も長くなり、実用上都合が悪
い。そこで、短い腕で長周期を得るようにしたのが図
9,10に示す動吸振器1cである。腕の長さがl2の付
加系振り子を水平面より角度αだけ傾けて取り付けた場
合の付加系振り子の固有振動数は次式(42)で表され
る。
【数23】
【0038】図10に示すように、付加系振り子の各変
位をθ2とすると、主系および付加系の質量の位置は、
次式(43)〜(46)で表される。
【数24】 これより、ラグランジュの運動方程式を立て、次式(4
7)で表される記号と式(18)で表される記号を用いて
無次元化すると、上記実施例の場合と同様に、主系と付
加系の変位は式(19),(21)となる。最適調整,等価質
量比も同様に式(24),(30),(32)で与えられる。
【数25】
【0039】図11,12は、第1,第5発明に係る倒
立傾斜振り子型の動吸振器1dを用いた振り子型構造物
2dの構成要素を、図形化して示したもので、図7に示
すものと共通する部分については同一番号が付してあ
る。本実施例では、被吊持体11が、リンク12dを介
して支持部O(上記同様、以下、支点Oという)により揺
動可能に吊持され、被吊持体11とリンク12dにより
質量m1の振り子型構造物2d(以下、上記同様に質量m
1という)を形成している。動吸振器1dは、リンク12
d上の支点O1から上方に延びた倒立リンク21dによ
り支持された質量要素m2と、リンク12dと倒立リン
ク21dとの間に介在するばね要素14(回転ばね定
数:k′),ダンパ要素15(減衰係数:c)とを備え、
質量m1の重心よりも上方にて、質量m1に対して制振力
付与可能に設けられている。
【0040】また、図12に示すように、リンク21d
は、z軸に平行なz′軸に対して角度α(−90≦α<
0)(αの符号は図12において下向きに正とする)をな
している。なお、図12は角度αを明らかにするために
示したもので、この目的に直接関係しない他の構成要素
の図示は省略してある。なお、本実施例については、付
加系振り子の固有振動数を表す上記式(42),(47)第
2式(ωa 2=gsinα/l2)に代えて、上記式(42),(4
7)第2式の右辺に、(k′/(m2・l2 2))の項を加算し
た式を用いることにより、基本的には、第1,第2発明
に係る実施例で詳述した理論が適用できる故、説明を割
愛する。
【0041】次に、一例として、図8に示す装置におけ
る円軌道型動吸振器1bを使った模型で実験を行った。
1=1m,m1=8kg,m2=0.8kgであり、円軌道
の半径も1mであり、動吸振器1bの取り付け位置とし
てγ=0.25(μe=0.056),0.5(μe=0.02
5),1(μe=0)の三通りを選んだ。各場合における初
期変位による応答を図示13〜図15に示す。理論解析
の結果と同様、取り付け位置を主系の重心近くにすると
(γ=1)、制振効果は殆どなく、この重心よりも上方に
取り付ける程(γ=0.5,γ=0.25)、制振効果は大
きくなる。ただし、本実験では、動吸振器1cの減衰
は、動吸振器1cと円軌道22との間の摩擦に依存して
おり、最適な状態には同調されていない。
【0042】本発明は、適用対象を索動搬器に限定する
ものでなく、振り子型構造物全般に適用され得るもので
あって、本発明による制振と従来の並進運動系の動吸振
器による制振との違いは、主系の傾きによって動吸振器
の質量も主系と同様に重力を受けることにある。動吸振
器を主系の重心に取り付けると、主系に働くモーメント
のうち、動吸振器の変位によるばね力によるものと、動
吸振器の重力によるばね力によるものが相殺する。結
局、主系と動吸振器は、同じ固有振動数を有する二つの
系がダンパで結合されたものになり、一体として揺動す
る。しかし、動吸振器の位置を主系の重心から離せば、
動吸振器から主系にモーメントが作用する。
【0043】上述したように、本発明については、ばね
質量型,振り子型,円軌道型,傾斜振り子型,倒立傾斜振
り子型動吸振器による制振を、動吸振器の取り付け位置
をパラメータとして解析し、統一した理論式で説明でき
る。最適調整と、制振効果を示す等価質量比は、動吸振
器と主系の質量比μに(1−γ)2(ここで、γは支点から
動吸振器に取り付けた点までの距離を主系の腕の長さで
除したもの)を乗じたものになる。したがって、制振の
ためには、動吸振器は、なるべく上方に取り付けるのが
好ましいことが分かる。
【0044】なお、上記各実施例において、動吸振器1
〜1dの各々を1台だけ設けたものについて説明した
が、本発明はこれに限定するものでなく、振り子型構造
物2〜2dの進行方向、即ちxy平面に垂直な方向のバ
ランスをとるために、動吸振器1〜1dの各々を複数台
設けたものも含んでいる。例えば、図12の場合、図示
する動吸振器1dの他に、y軸に関して、z軸方向に対
称の位置にもう1台の動吸振器1dを設けてもよい。
【0045】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
によれば、振り子型構造物に付帯させ、この振り子型構
造物の重心よりも上方にて、振り子型構造物に対して制
振力付与可能に設けて形成してある。このため、以上詳
述したように、動吸振器の質量要素とそれを支持する振
り子型構造物との間に相対変位が生じて、振り子型構造
物の振動エネルギが吸収されるようになる結果、特に電
源等の動力を要することなく、また振り子の腕を長くす
ることなく、振り子型構造物に対する制振作用が明確に
表れるようになり、振り子型構造物の横揺れ抑制作用を
強化でき、振り子型構造物の用途を広げることが可能に
なるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1,第2発明に係る動吸振器を適用した振
り子型構造物の全体構成の概略を示す図である。
【図2】 図1に示す動吸振器を有する系、および動吸
振器を有さない系の周波数応答を示す図である。
【図3】 図1に示す動吸振器を有する系、および動吸
振器を有さない系の初期変位に対する応答を示す図であ
る。
【図4】 動吸振器を有さない系のランダム入力に対す
る応答を示す図である。
【図5】 図1に示す動吸振器を有する系のランダム入
力に対する応答を示す図である。
【図6】 図1に示す動吸振器を有する系のランダム入
力に対する応答を示す図である。
【図7】 第1,第2発明に係る動吸振器を適用した振
り子型構造物の全体構成の概略を示す図である。
【図8】 第1,第3発明に係る動吸振器を適用した振
り子型構造物の全体構成の概略を示す図である。
【図9】 第1,第4発明に係る動吸振器を適用した振
り子型構造物の全体構成の概略を示す図である。
【図10】 図9に示す実施例の揺動時の状態を示す図
である。。
【図11】 第1,第5発明に係る動吸振器を適用した
振り子型構造物の全体構成の概略を示す図である。
【図12】 図11に示す動吸振器の質量m2を支持す
るリンクの傾斜状態を示す図で、図11においてA方向
から見た図である。
【図13】 図8に示す動吸振器を有する系の模型を用
いて行った実験結果で、初期変位に対する応答を示す図
である。
【図14】 図8に示す動吸振器を有する系の模型を用
いて行った実験結果で、初期変位に対する応答を示す図
である。
【図15】 図8に示す動吸振器を有する系の模型を用
いて行った実験結果で、初期変位に対する応答を示す図
である。
【符号の説明】 1,1a,1b,1c,1d 動吸振器。 2,2a,2b,2c,2d 振り子型構造物。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振り子型構造物に付帯させ、この振り子
    型構造物の重心よりも上方にて、振り子型構造物に対し
    て制振力付与可能に設けたことを特徴とする付振り子型
    構造物の動吸振器。
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