JPH06307448A - 多孔質静圧軸受およびその製法 - Google Patents

多孔質静圧軸受およびその製法

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JPH06307448A
JPH06307448A JP11788993A JP11788993A JPH06307448A JP H06307448 A JPH06307448 A JP H06307448A JP 11788993 A JP11788993 A JP 11788993A JP 11788993 A JP11788993 A JP 11788993A JP H06307448 A JPH06307448 A JP H06307448A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 静圧軸受における流体通路の構成をセラミッ
ク製で、かつ多孔体を流体通路に用いているため、低流
量、高剛性、高速高精度な静圧軸受を提供すること。 【構成】 固体と固体間の隙間に流体を供給して非接触
浮上させる静圧軸受において、多孔体16の軸隙間出口
17と径隙間出口18が小径粒子19をバインダで埋め
込み固定して構成されているセラミック製多孔質静圧軸
受。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】固体と固体間における相対運動の
円滑さや精度を高め、これを長時間維持するための手段
として、固体と固体間に流体、例えば油や空気を加圧供
給し固体間を非接触浮上させる流体潤滑がある。この例
としては、固体間、即ち軸と軸受間の隙間に高圧流体を
供給して非接触浮上させる静圧軸受がある。静圧軸受に
おいて軸と軸受間の微小な隙間に対する流体の供給方法
の一例として、軸または軸受の一方を多孔体で構成する
方法がある。この静圧軸受は多孔体に流体の通路と絞り
の異なる役目を兼用させるところに特徴がある。本発明
は多孔体を用いた静圧軸受における多孔体の通路と絞り
の構成および製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多孔質静圧軸受用の多孔体素材として
は、金属や炭素(グラファイト)、或いは、セラミック
等の粉体を焼結して製造した多孔体が用いられるが、実
用化されているのは炭素質多孔体のみで他の素材は研究
レベルと言って差し支えない。また、炭素質多孔体であ
っても適用流体は気体(通常は空気)であって多孔質静
圧軸受、そのものが発展途上の技術と言える。図5は従
来における炭素質多孔体素材を用いた静圧軸受の一例を
示す断面図であって、1は回転軸となる円筒状の中空
軸、2は軸受となるやはり円筒状の炭素質多孔体、ま
た、3は中空軸1の両側に結合された面板である。4は
中空軸1と炭素質多孔体2との径方向に形成された微小
な径隙間、同様に5は面板3と炭素質多孔体2との軸方
向に形成された軸隙間、6は炭素質多孔体2を保持する
ケース、7はケース6を貫通して炭素質多孔体2に圧縮
空気を通過させるための給気孔、8は炭素質多孔体2の
円筒外周に設けられた給気溝、9は径隙間4と軸隙間5
間に対する給気を独立させるための排気口である。
【0003】以下、静圧軸受としての機能を説明する。
給気孔7から給気された圧縮空気は給気溝8を介して炭
素質多孔体2を通過、径隙間4並びに軸隙間5内を流れ
た後、大気中に放出される。圧縮空気の圧力は給気溝8
内は同一であるが、炭素質多孔体2内の流路抵抗でいっ
たん低下した後、さらに、径隙間4並びに軸隙間5内の
流路抵抗を受け大気圧となって軸受外に放出される。但
し、炭素質多孔体2内の流路抵抗は変化しないが、径隙
間4並びに軸隙間5内の流路抵抗は隙間の大小によって
大幅に変化(隙間の3乗に反比例)する。従って、静圧
軸受が何らかの外力を受けて、例えば対向する径隙間
4、または軸隙間5に差が生じると隙間が減少した側の
流路抵抗が大きくなり、この分隙間内の圧力が上昇す
る。但し、対向する側の隙間は、丁度この逆となるので
隙間内の圧力は下降する。この結果、静圧軸受は対向す
る径隙間4並びに対向する軸隙間5内の流路抵抗が常に
一定になるように対向する隙間内の圧力が上昇または下
降するように作用する。通常、圧力変化を力換算した値
を隙間の変化量で除した値をばね定数、即ち、剛性と言
うが、この剛性が高いほど、また回転精度が高いほど高
性能の静圧軸受となる。加えて、多孔質静圧軸受では多
孔体の流路抵抗を軸受隙間の、概ね1/2〜3/4に設
計する。従って、軸受隙間を小さく設計できれば流路抵
抗全体が大となるので低流量で高剛性の静圧軸受とな
る。一方、軸受隙間の流路抵抗の大半は流体と隙間壁面
との摩擦抵抗であるが、多孔体の流路抵抗は多孔体内に
おける流体通路の太さが軸受隙間より十分細ければ流体
と多孔質壁面との摩擦抵抗(毛細管絞り)が主体となる
が、軸受隙間より細かい流体通路を持つ多孔体の製造は
容易ではない。たとえ製造できたとしても後述するよう
に流体の入路と出路間の流路抵抗の制御が課題となる。
【0004】静圧軸受の高剛性化にもっとも影響を与え
るのは軸受の隙間である。これは隙間が小さいほど微小
な隙間変化に対応して圧力が上昇・下降するため、結果
として剛性は高く(隙間に反比例)なるし、軸受隙間へ
の流体の供給量も大幅に低減(隙間の3乗に反比例)で
きる。さらに、軸と軸受間の隙間を小さくするため部材
精度を高める結果、この分回転精度も向上する。このよ
うに軸受隙間の微小化は高精度化そのもので静圧軸受の
高性能化と直結している。但し、高精度化には加工対象
となる材料の特性、例えば強度、硬さ、膨張係数、寸法
安定性、等々に大きく左右される。高精度加工が可能な
セラミック材料に較べ、強度や硬さに劣る炭素質多孔体
2は精密加工に不向きな材料であるため、静圧軸受の更
なる高剛性化を制約する欠点となっている。さらに、炭
素質多孔体2は強度が低いので給気圧力が高いと給気溝
8の内圧によって、軸方向、または半径方向に変形した
り壊れたりする。このため炭素質多孔体2は金属やセラ
ミックに較べ強度上寸法が大きくなる欠点がある。とく
に炭素質多孔体2の強度上の欠点は供給圧力が低くてよ
い静圧気体軸受(約0.5MPa)への適用に留まり、
静圧液体軸受(約5MPa以上)への適用を難しくして
いる。加えて、高精度化が実現されたとしても軸受隙間
への適切な給気が為されないと静圧軸受の性能に悪影響
することは言うまでもない。径隙間4並びに軸隙間5の
設計値は加工可能な精度から概ね決定される。また給気
流量は、この設計値から流路抵抗を逆算して定める手順
をとる。しかしながら唯一の給気孔7から炭素質多孔体
2内を通過させて場所が異なる径隙間4と軸隙間5に決
められた流量を給気するには、炭素質多孔体2の形状や
透過率、給気溝8のレイアウト等が複雑に関係するか
ら、その設計は容易でない。たとえ設計できたとして
も、炭素質多孔体2の焼結法による製造は炭素粉の粒度
や結合剤、成形時の圧力や温度等の条件によって品質が
変化しやすく、均質かつ狙った透過率の炭素質多孔体2
を得ること自体が容易でない。以上、静圧軸受の更成る
高性能化において炭素質多孔体は部材強度、高精度加工
適性、設計・製造の容易さ等の面で種々の欠点を抱えて
いる。
【0005】一方、図5の炭素質多孔体2のみをセラミ
ック多孔体に置き換えれば、炭素質多孔体の低部材強度
や高精度加工適性の無さ等々の欠点を解決した静圧軸受
を実現できる。但し、設計・製造の容易化までには至ら
ない。このような多孔体を用いた従来の静圧軸受の最大
の欠点は設計・製造を容易化できない点にあり、この原
因は多孔体に流体の通路と絞りの異なる役目を兼用させ
ている点にある。即ち、従来構造の静圧軸受では給気孔
7から軸隙間5や径隙間4に至る流路抵抗、即ち、流体
の絞り量が多孔体の透過率だけでは定まらないで多孔体
の構造や形状と密接に関係することが、設計・製造の容
易化を阻む原因となっている。一方、多孔体に流体の通
路と絞りの役目を兼用させるが、多孔体の流路抵抗を、
実際に必要な流路抵抗より若干小さく製造しておき、軸
受製造後流路抵抗を実際に必要な透過率に正確に制御す
る方法がある。この例として必要とされる透過率より若
干小さい透過率をもつ多孔体を使用して図5の炭素質多
孔体2に相当する軸受部材を製造した後、軸隙間5や径
隙間4を構成する多孔体の表面に、例えば無電解ニッケ
ルメッキ(以下メッキと言う)を施すことで多孔体内の
流体通路の断面積を減少させ透過率、即ち、流体の絞り
量を制御する図6に示す方法(特開昭64−6515)
がある。
【0006】図6はメッキによる透過率調整を施した多
孔体の断面を示した模式図であって、10は多孔体の肉
質部、11は肉質部10間に存在する空孔、12は肉質
部10の表面に付着したメッキ膜、13は軸受面、14
は軸受隙間である。通常、焼結等により製造される多孔
体は焼結粒子間を融点以下の温度で組成分子や焼結助材
を熱拡散させて結合する。このため粒子間に形成される
気孔は図示のように空孔11が団子状に連なった立体構
造となる。従って、これを通過する流体は断面積がもっ
とも小さい空孔11間断面積の影響で透過率、即ち流路
抵抗が定まる。メッキによる透過率調整は空孔11間の
断面積をメッキ膜12の厚さで減少させて制御される。
但し、この方法は空孔11間断面積に、もともと大小が
存在するためメッキ膜12の厚さを増していくと、メッ
キ膜12は小さな空孔11間断面積から先に封止するた
め、軸受面13上の流体の出口が徐々に減少する。逆に
言えば小さな空孔11間断面積を封止して制御している
ことになる。この結果、大きな空孔11間断面積が粗に
残るため軸受隙間13への均質な流体供給を難しくす
る。また、もともと軸受面13上に開口した空孔11は
メッキ後も取り残され軸受の無駄隙間となって静圧軸受
の剛性を低下させたり、空気静圧軸受に特有のニュウマ
チックハンマ、即ち、空気の圧縮性に基づく自励振動の
原因となる。等々の欠点がある。
【0007】加えて多孔質軸受の軸受隙間は通常5μm
以下が普通である。この場合、多孔体の流路抵抗を先に
述べたように多孔体壁面との摩擦抵抗(毛細管絞り)を
主体にしようとすると、空孔11の直径も5μm以下、
とくにメッキによる断面積の縮小部はμmオーダのサイ
ズとならざるを得ない。また空孔11径が5μm以下と
なると多孔体内への気体の侵入は可能であっても液体で
あるメッキ液の侵入に加え、メッキによる透過率制御そ
のものに難点が生じる。このため軸受隙間より大幅に大
きい空孔11の多孔体が使用されるため軸受面への空孔
11の残留や流体供給の不均一が避けられない透過率制
御となっている。従って、メッキにより制御された多孔
体の流路抵抗の実際は、多孔体壁面との摩擦抵抗(毛細
管絞り)の割合は少なくなり、多孔体表面の小穴からの
流出抵抗(オリフィス絞り)や軸受隙間と多孔体面の形
状で構成される段差や空隙による流出抵抗(面絞り、自
成絞り)等が混在した絞りとなる。これらの絞りは絞り
としての特性に差があるため、混在比率の分だけ静圧軸
受の性能にバラツキが生じる結果となる。毛細管絞りや
オリフィス絞りは軸受の隙間変化とは無関係に一定の流
路抵抗を示すが、面絞りや自成絞りは軸受の隙間が増す
と流路抵抗が下がり、隙間が減ると流路抵抗が上がる特
性を示す。軸受の剛性を高める効果としては、毛細管絞
りやオリフィス絞りの混在比率が増すほど良い結果とな
る。尚、軸受の隙間が増すと流路抵抗が上がり、隙間が
減ると流路抵抗が下がる特性がもっともよいが、このよ
うな絞りは今のところ存在しない。以上、メッキによる
透過率制御を用いる静圧軸受の構成についても様々な欠
点が存在することを述べた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の欠点を
改善するために提案されたもので、その目的は、新たな
流体通路の構成手段と、流体絞りの制御手段とを付与し
た多孔質静圧軸受およびその製法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は固体と固体間の隙間に流体を供給して非接
触浮上させる静圧軸受において、流体供給孔と接続さ
れ、かつ、軸受隙間の一部に開口を持つ多孔体が、緻密
セラミック内部に内包され、前記多孔体の軸受隙間の開
口部が、小径粒子をバインダで埋込み固定して形成した
多孔体内多孔質であることを特徴とするセラミック製多
孔質静圧軸受を発明の要旨とするものである。さらに、
本発明は流体供給孔と接続され、かつ、軸受隙間の一部
に開口を持つ多孔体が、緻密セラミック内部に内包され
たセラミック製多孔質静圧軸受を製造する方法におい
て、前記緻密セラミックと前記多孔体を、泥漿鋳込み法
により一体形成し、小径粒子をバインダにより、前記多
孔体の前記軸受隙間の開口部に埋込み固定することを特
徴とするセラミック製多孔質静圧軸受の製法を発明の要
旨とするものである。換言すれば、本発明は第1の手
段、即ち流体通路の構成として、緻密セラミック内部に
流体供給孔と接続され、かつ軸受隙間の一部に開口をも
つ多孔体を内包させ、該流体供給孔から軸受隙間に至る
部分多孔体を流体の通路に限定させ、絞り制御機能のな
い静圧軸受構成部材とする。第2の手段、即ち流体絞り
制御として、軸受隙間の一部に開口をもつ多孔体の開口
部に、開口部の断面積より小さな粒子を埋込み固定して
多孔体内多孔質を形成することによって、部分多孔体開
口部の断面積を減少させて流路抵抗、即ち流体絞りを制
御する。以上の二つの手段は多孔体を流体の通路として
の役割にのみ限定させ、流体絞りの制御は粒子の埋込み
固定法で別途制御する。従って、セラミック多孔質によ
る静圧軸受部材の高強度化や高精度化は勿論、流体の通
路の形成と絞りの制御とを分離独立させたことに特徴が
ある。
【0010】
【作用】本発明においては、流体通路の絞り制御は、軸
受面を構成する開口部に小径粒子を埋込み固定して形成
しているため、高精度の絞り制御を可能とすることがで
きる。
【0011】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。図1
は本発明の静圧軸受の構造を示した一実施例の断面図で
あって、図において、15は中空円筒状の内部に部分多
孔体を一体形成させたセラミック製のセラミック質部分
多孔体である。16はセラミック質部分多孔体15の一
部であってセラミック質部分多孔体15内に一体形成さ
れ流体通路となる多孔体であって、17は多孔体16と
同材質の軸隙間出口であって、セラミック質部分多孔体
15の軸方向端面に環状に開放されている。18は多孔
体16の同材質の径隙間出口であってセラミック質部分
多孔体15の中空円筒内側に向かって、やはり環状に開
放されている。また、7はセラミック質部分多孔体15
の外側から多孔体16に穴あけした給気孔である。但
し、この段階では多孔体16は軸隙間5、径隙間4に必
要とされる流体供給量を大幅に上回る透過率としてお
く。なお多孔体の軸受隙間の開口部は、小径粒子をバイ
ンダで埋め込み固定して形成されている。このような構
造となっているので給気孔7に加圧流体を供給すれば流
体は多孔体16から軸隙間出口17は径隙間出口18と
に分流し、それぞれ軸隙間5、及び径隙間4を通過して
大気圧の軸受外に放出される。尚、静圧軸受としての機
能は従来の炭素質多孔体2と何等変わらないので説明は
省略する。
【0012】つぎに、セラミック質部分多孔体15の製
造方法の一例について簡単に説明する。セラミック内部
に特定形状の多孔質部を形成するには、泥漿鋳込み法と
呼ばれる形状成形法を用いる。通常の泥漿鋳込み法は、
求められる外枠形状を有する石膏型の中に、セラミック
粒子や焼結助剤を水に分散させた泥漿(以下、スラリと
言う)を注ぎ込むとスラリ内の水分は石膏型に徐々に吸
収され石膏型にセラミックの粒子が着床する。この結
果、石膏型に等しいセラミック粒子の鋳込み品が完成す
る。これを乾燥焼結してセラミック化するのが泥漿鋳込
み法である。泥漿鋳込み法によるセラミックは緻密で高
強度であるが、単なる泥漿鋳込みではセラミックの特定
部分を多孔体にすることは不可能である。セラミックの
特定部分を多孔体にするには、特定部分の形状に等し
い、例えば浴室などで使用する発泡ウレタン製やPVF
(ポリビニールアセタール)製のスポンジを石膏型内に
予めセットしてスラリを注ぎ込み、スポンジを内包させ
た鋳込み品を製造し、これを焼結すればスポンジは焼結
時に昇華するため従来スポンジであった部分が空孔とな
る結果、特定部分のみ多孔体のセラミックが製造でき
る。
【0013】尚、泥漿鋳込みによって製造した焼結前の
鋳込み品は、概ね、黒板に字や絵を書くときに使用する
白墨のような性状を示すため、切削加工等で容易に所望
の形状に加工できる。但し、焼結によって収縮するの
で、その分大きく製作しておく必要がある。但し、焼結
後は緻密・高硬度なセラミックに変質するため、研削加
工や研磨加工等しか適用できないが極めて高い仕上げ精
度が得られる。加えて泥漿鋳込み法で部分多孔体のセラ
ミックを製造する場合、セラミック粒子がスポンジの気
孔部のすべてに充填されないと内部に巣ができるため、
気孔密度が粗なスポンジの方が泥漿鋳込みに適してい
る。従って、透過率の小さい、即ち、密な多孔質の形成
よりも透過率の大きい、即ち、粗な多孔体の形成に有利
である。このように泥漿鋳込みでは透過率の小さい密な
多孔体の製造に難点がある反面、精度を高められる利点
がある。但し、前述のように静圧軸受の高剛性化は軸受
隙間の極小化と密接に関係しており、高精度になればな
るほど軸受隙間の流路抵抗は増大するから、多孔体の流
路抵抗も、これに比例して増大させる必要が生じる。し
かしながら泥漿鋳込みによるセラミック多孔体は高精度
化に向いているが、高密度で流路抵抗の大きい多孔体を
得るのに不向きである。しかし流路抵抗が低いため流体
の通路としては適している。以上は本発明に関する静圧
軸受の構造、とくにセラミックによる流体通路の構成
と、その製造法の一例について説明した。以下、絞りの
制御の新たな方法について説明する。
【0014】図2は本発明の絞りの制御方法を、図1に
示した泥漿鋳込みにより製造したセラミック質部分多孔
体15における流体出口、即ち、軸隙間出口17、また
は径隙間出口18に施した拡大断面の模式図である。但
し、多孔体の構造は理解を容易にするため、図1と同一
にしてある。19がセラミック質部分多孔体15の流体
通路の開口部に存在する空孔11内に埋込み固定した透
過率制御用の小径粒子である。セラミック質部分多孔体
15の流体出口に小径粒子19を埋込み固定すること
で、流体通路の断面積を減少させて通過率、即ち、流路
抵抗を制御する。小径粒子19の埋込みは、セラミック
質部分多孔体15に対する小径粒子19の充填と、その
固定により実施される。以下、小径粒子19の埋込み固
定について説明する。
【0015】図3は小径粒子19を埋込み固定する器具
構成の一例を示す概略図である。17はセラミック質部
分多孔体15上における流体の軸隙間出口、同様に18
は径隙間出口、20は軸隙間出口17を個別にマスキン
グするための円輪シール、21は径隙間出口18を個別
にマスキングするための円筒シール、22は小径粒子1
9をテトラエトキシシラン系のバインダに分散させたス
ラリ、23はスラリ22を液取りするためのスポイト、
24は余分なスラリ22を除去するためのヘラである。
25はセラミック質部分多孔体15の内部を真空引きす
るための真空ポンプ、26はセラミック質部分多孔体1
5内を通過した小径粒子19やバンイダ液を排除するた
めの分離器、27は分離器26内の圧力を観測するため
の真空計、28は真空ポンプ25に気体以外を通さぬた
めのフィルタ、29はセラミック質部分多孔体15、分
離器26、フィルタ28、及び真空ポンプ25間を接続
する真空ホースである。以下、小径粒子19の埋込み手
順を説明する。
【0016】円輪シール20や円筒シール21を用いて
小径粒子19を充填する軸隙間出口17以外をマスキン
グした後、真空ポンプ25を動作させてセラミック質部
分多孔体15内を排気する。つぎにスポイト23内のス
ラリ22を例えば軸隙間出口17上に供給すると、スラ
リ22は多孔質内に真空吸引される段階で、図2で示し
たようにスラリ22内の小径粒子19が通路の断面積が
もっとも小さい空孔11間断面積に滞留し、これが引き
金となって小径粒子19は多孔体の通路内を埋め尽く
す。但し、スラリ22内のバインダは粘性を持った液体
なので大半は小径粒子19間の隙間を通って排除される
が、小径粒子19や空孔11の壁面に付着したバインダ
は取り残される。このバインダは一定時間経過後に硬化
するため多数の小径粒子19を空孔11内に埋込み固定
することができる。尚、硬化後、炉内で焼成するとバイ
ンダの結合強度を大幅に高められる。
【0017】図4は小径粒子19が埋込み固定された状
況を図2の軸受面13側から見た模式拡大図である。1
0はセラミック質部分多孔体15の肉質部、30は埋込
み固定された小径粒子19間に新たに開口した流体の新
通路、また31は肉質部10の壁面や小径粒子19間に
取り残されて硬化したバインダである。図示の如く従来
肉質部10間に存在した空孔11は小径粒子19で埋め
尽くされ多孔体内多孔質が形成されているため判別しに
くいが、空孔11内には大小様々な新通路30が三次元
的に多数形成でき、流体通路の断面積も大幅に減少でき
る。尚、模式図は理解を容易にするため同一径の小径粒
子19、及び同一厚のバインダ31で示したが、実際の
埋込み固定では制御対象となるセラミック質部分多孔体
15の空孔11の大きさも関係するが、小径粒子19の
径やバインダ31の粘度などは選択可能であるし、これ
らが異なるスラリ22の多回実施、或いは、真空ポンプ
25等による排気圧力のコントロール等、絞り制御のた
めの条件が多数存在する。従って、図1で示した軸隙間
出口17や径隙間出口18の透過率を狙った値にする条
件の選択は難しくない。
【0018】以下、テトラエトキシシラン系のバインダ
について簡単に説明する。基本となるテトラエトキシシ
ランの化学構造は
【化1】 これは触媒の存在下で水と反応して、以下の如くシリカ
(SiO2 )を生成する。 Si(OC2 5 4 +2H2 O→(触媒)→SiO2
+4C2 5 OH これは約28%のシリカ分とテトラエトキシシラン、エ
タノールなどを含んでいる。さらに部分加水分解によっ
てシリカ分約40%まで濃縮したものが一般にシリカ原
料として用いられる。バンイダには溶媒と水、及び酸性
触媒などを混合させた加水分解液を用いる。通常の加水
分解液はアルコール溶媒中にSiO2 がコロイド状に分
散したものと考えられ、この加水分解液に粒子を混合さ
せて塗布すると粒子を包み込むか、又は間隙埋める形で
SiO2 膜が形成される。この作用で物体表面に粒子を
固着させたり、粒子同士を固めて造形させたりする。用
途としてはロストワックスやショウプロセス等の精密鋳
造に用いる砂型の固形剤、プラスチック材料の表面硬化
剤等が代表的である。尚、加水分解液に極めて細かいS
iO2 微粒子を混合させることで粘度を調整できる。ま
た、SiO2 を用いると、流体通路の洗浄の時の耐薬品
性に優れ、親水性があるのでメッキが容易であり、耐湿
性があるので膨潤による抵抗の変化が小さく、さらに、
熱に強いので抵抗決定後の再加熱による固着力の強化が
容易であるという特徴がある。さらに、SiO2 におい
ては、溶剤(弗酸)があるので、セラミックに損傷を与
えることなく除去でき、抵抗の再調整や母材セラミック
の再生利用が可能であるという特徴もある。以上、従来
の静圧軸受の欠点を改善する流体通路の構成と流体絞り
の制御に関する二つの手段について説明した。
【0019】但し、実施例の第1の手段において特定部
分のみ多孔体とするセラミックの製造はセラミック粒子
を焼成結合させる通常の焼結法でも可能であることは言
うまでもない。要は多孔体を従来のように流体の絞りと
しては作用しない透過率にする点に特徴がある。前述し
たように多孔体を流体の絞りとして作用させるには図2
に示した空孔の平均径が軸受の隙間以下であること、多
孔体の流路抵抗が軸受隙間の流路抵抗の1/2〜3/4
が望ましい。但し、本発明の流体の通路構成や絞り制御
を用いれば、空孔の平均径が軸受隙間より一桁以上大き
くても、多孔体の流路抵抗が軸受隙間の流路抵抗の1/
10以下であっても何等差し支えないことは言うまでも
ないが製造容易さの方が優先する。因みに、本発明の流
体通路の構成に適当な多孔体の透過率Kを、 K=(Q・L)/(△P・A)(cm3 /sec)・c
m/cm2 ・cmH2 O ガス流量Q(cm3 /sec)、透過厚さL(cm)、
圧力差△P(cmH2O)、透過断面積A(cm2 )と
定義したときKの値は1×10-2近辺、また空孔の平均
径は50μm〜150μm程度のものが泥漿鋳込みで製
造容易、かつ、絞り制御にも好適である。尚、セラミッ
ク材質についても通常はアルミナ(AL2 3 )が使用
されるが、これに限るものでなく例えば窒化珪素(Si
N)や炭化珪素(SiC)でもよいことは言うまでもな
い。
【0020】また実施例の第2の手段において小径粒子
の材質についても特定してないがテトラエトキシシラン
系のバインダと同材質の酸化珪素(SiO2 )が適当で
あるが、これに限るものでなく、セラミック製や金属製
のパウダ、または元々多孔質の小径粒子でもよいことは
言うまでもない。小径粒子の大きさも対象となる多孔質
や静圧軸受の設計に応じて選択する必要があることは言
うまでもない。さらに小径粒子をテトラエトキシシラン
系のバインダで埋め込み固定したが、これに限るもので
なく仮止めした後、従来の無電解メッキによる透過率調
整を施してもよいことは言うまでもなく、要は小径粒子
をバインダで多孔体内に埋込み固定して多孔体内多孔質
を形成する点に特徴がある。以上、実施例を用いてセラ
ミック製多孔体による流体通路の新たな構成手段と、多
孔体内多孔質による新たな絞り形成手段について詳細に
説明した。従来の多孔質静圧軸受における流体通路の構
成では、多孔体の通路そのものが流路抵抗の制御手段と
なるように構成するのに対し、本発明の流体通路の構成
は、従来とは正反対に流路抵抗の制御手段とならぬよう
に構成する。構成法が従来とはまったく逆で大きな差異
がある。また従来の多孔質静圧軸受における流路抵抗制
御手段は流体通路を構成する多孔質の流路抵抗を制御す
るのに対し、本発明の流路抵抗制御手段は流体通路を構
成する多孔体とは密度や製造法がまったく異なる多孔体
内多孔質の流路抵抗を制御する。即ち、制御対象となる
多孔質がまったく異なり大きな差異がある。
【0021】
【発明の効果】前述したように本発明の静圧軸受におけ
る流体通路の構成は、セラミック製で、かつ多孔体を流
体通路としての役割に限定できるため、以下の効果があ
る。 (1)多孔体は透過率が十分大きい流体通路であればよ
く多孔体の構成寸法、透過率や、その均質性・バラツキ
等々にさほど精度を要求されないので設計・製造上の余
裕が生じる。 (2)多孔体は流体通路として必要最小限でよく軸受構
造の大半は高い強度や硬度を有する緻密なセラミックで
構成できる。従って、この分だけ静圧軸受の小型化は勿
論、供給圧力の増大も可能となるので静圧液体軸受への
応用も可能となる。 (3)高精度加工に適したセラミックで構成できる。従
って、この分だけ静圧軸受の高精度化と密接に関係する
高剛性化、低給気流量、及び高回転精度などを併せて達
成できる。また、本発明における流体通路の絞り制御
は、軸受面を構成する多孔体開口部に小径粒子を埋込み
固定により多孔体内多孔質を形成するため、以下の効果
がある。 (4)透過率、即ち、流路抵抗を観測しながら制御でき
る分だけ高精度な絞り制御が可能となる。 (5)小径粒子のサイズやバインダの粘度等々の選択に
よって多孔体内多孔質の密度を変更できるので流体絞り
の制御範囲を大幅に拡大できる。 (6)多孔体内多孔質は多孔質密度の微細化により小さ
な流体出口を多数形成でき、軸受隙間に対する流体供給
の分布均一化を達成できる。 (7)軸受面上に絞り特性として優位にある小さな流体
出口、即ち、オリフィス絞りを多数形成できるので、静
圧軸受の高剛性化が図れる。 (8)軸受面上に開口する多孔体の空孔部を小径粒子と
バインダで埋められるので、この分だけ無駄隙間を低減
でき軸受の高剛性化、ニュウマチックハンマの低下等を
達成できる。 等、従来の多孔質静圧軸受が抱えていた設計・製造上の
欠点を克服できるだけでなく、多孔質静圧軸受の適用域
や性能全般を大幅に向上できる利点を数多く有してお
り、この利点を生かした低流量、高剛性、高速高精度な
静圧軸受を実現できることになる。
【0022】以上、軸と軸受間の静圧潤滑を例に発明の
詳細な説明をしたが、軸と軸受をガイドとスライダ、或
いは、ねじ軸とナット等に置き換えれば、軸と軸受は回
転の案内、ガイドとスライダは直進の案内、ねじ軸とナ
ットは螺旋の案内であり、何れも案内であることに変わ
りはない。従って、本発明の多孔質静圧軸受における流
体の通路や絞りの構成法の基本的考え方は静圧潤滑機構
すべてに適用できることは言うまでもない。さらに、本
発明の静圧軸受は気体は勿論、液体を用いた非接触の流
体潤滑に適用でき、その性能を従来に較べ飛躍的に向上
できる。従って、本静圧潤滑を用いた機構構成要素とし
てはスピンドル、ガイドやステージ、静圧ねじ等に適用
すれば、その特徴を十分に生かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静圧軸受の構造を示した一実施例の断
面図である。
【図2】本発明の絞り制御方法を施した拡大断面の模式
図である。
【図3】小径粒子を埋込み固定する器具構成の一例を示
す概略図の正面図である。
【図4】小径粒子が埋込み固定された軸受面の状況を示
す模式拡大図の断面図である。
【図5】従来の炭素質多孔体を用いた静圧軸受の一例を
示す断面図である。
【図6】メッキ透過率調整を施した多孔体断面の模式図
である。
【符号の説明】
1 回転軸 2 炭素質多孔体 3 面板 4 径隙間 5 軸隙間 6 ケース 7 給気孔 8 給気溝 9 排気口 10 肉質部 11 空孔 12 メッキ膜 13 軸受面 14 軸受隙間 15 セラミック質部分多孔体 16 多孔体 17 軸隙間出口 18 径隙間出口 19 小径粒子 20 円輪シール 21 円筒シール 22 スラリ 23 スポイト 24 ヘラ 25 真空ポンプ 26 分離器 27 真空計 28 フィルタ 29 真空ホース

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体と固体間の隙間に流体を供給して非
    接触浮上させる静圧軸受において、流体供給孔と接続さ
    れ、かつ、軸受隙間の一部に開口を持つ多孔体が、緻密
    セラミック内部に内包され、前記多孔体の軸受隙間の開
    口部が、小径粒子をバインダで埋込み固定して形成した
    多孔体内多孔質であることを特徴とするセラミック製多
    孔質静圧軸受。
  2. 【請求項2】 流体供給孔と接続され、かつ、軸受隙間
    の一部に開口を持つ多孔体が、緻密セラミック内部に内
    包されたセラミック製多孔質静圧軸受を製造する方法に
    おいて、前記緻密セラミックと前記多孔体を、泥漿鋳込
    み法により一体形成し、小径粒子をバインダにより、前
    記多孔体の前記軸受隙間の開口部に埋込み固定すること
    を特徴とするセラミック製多孔質静圧軸受の製法。
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