JPH06308120A - 糖化ヘモグロビン測定用管理物質およびその製造法 - Google Patents

糖化ヘモグロビン測定用管理物質およびその製造法

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JPH06308120A
JPH06308120A JP10146893A JP10146893A JPH06308120A JP H06308120 A JPH06308120 A JP H06308120A JP 10146893 A JP10146893 A JP 10146893A JP 10146893 A JP10146893 A JP 10146893A JP H06308120 A JPH06308120 A JP H06308120A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本糖化ヘモグロビン測定用管理物質は一酸化
炭素化ヘモグロビンを含むものである。これは、ヘモグ
ロビンを一酸化炭素に接触させる工程を含む方法で製造
される。 【効果】 経時的安定性の優れた糖化ヘモグロビン測定
用管理物質、特にHbAlcおよび/またはHbAlの測定に使
用する糖化ヘモグロビン測定用管理物質を供給すること
ができる。このことにより、測定値の恒常的な一貫性を
確保することができ、同一の試料を測定する場合、測定
者、装置、測定時期等が異なっても信頼性のある測定値
を得ることが可能となる。また、糖化ヘモグロビン測定
用管理物質の特性値、例えばHbAlc 値が、何らかの基準
となる測定方法により確定かつ保証される場合、この物
質を標準物質として規定することにより、HbAlc 測定の
標準化のために使用することも可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糖尿病検査の指標に用
いられる糖化ヘモグロビン、特にヘモグロビンAlcお
よび/またはヘモグロビンAlの測定に使用する糖化ヘ
モグロビン測定用管理物質に関する。
【0002】
【従来の技術】糖尿病検査の指標の一つとして血液中の
糖化ヘモグロビン、特にヘモグロビンAlc(以下HbAl
c と略記する)およびヘモグロビンAl(以下HbAlと略
記する)が知られ、臨床検査の分野において広く測定さ
れている。これらの糖化ヘモグロビン、特にHbAlc は患
者の約二ケ月前の血糖値とよく相関することから、糖尿
病病態の重要な指標の一つとしてその臨床的意義が高ま
ってきている。
【0003】これらの糖化ヘモグロビンの測定方法とし
て、種々の方法が知られており、特にミニカラム、高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)等の各種クロマト
グラフィー技術を応用した方法が、臨床検査分野に広く
普及している。また一方では、同一の試料を測定する場
合、測定者、装置、測定時期等が異なっても信頼性のあ
る測定値が得られるように精度管理を行い、測定結果の
恒常的な一貫性を確保する必要がある。
【0004】一般に制度管理は、得られる測定値の水準
が一定であることを示す標準物質、すなわち測定系の基
準となるべき糖化ヘモグロビン測定用管理物質を用いて
行なわれる。この物質を測定試料と同様に測定すること
により、測定装置間の差や測定方法の種々の条件の違
い、日差再現性、日内再現性等により生じる誤差を補正
することができる。また糖化ヘモグロビン測定用管理物
質の特性値、例えばHbAlc 値が、何らかの基準となる測
定方法により確定かつ保証される場合、当該糖化ヘモグ
ロビン測定用管理物質を標準物質として規定することが
でき、HbAlc 測定の標準化、キャリブレーション等の目
的でこれを用いることも可能である。
【0005】しかし、基準となるべき糖化ヘモグロビン
測定用管理物質が経時的に不安定で、得られるHbAlc 値
またはHbAl値に信頼性が得られない場合、このような管
理物質を用いて精度管理を行なっても意味の無いものと
なってしまう。またこの場合、測定されたHbAl値の信頼
性が乏しいならば、これを糖尿病の指標に用いていると
いう社会的な役割に大きな問題を生じさせることにもな
り得る。
【0006】以上のようなことから、測定系の基準とな
るべき経時安定性の優れた糖化ヘモグロビン測定用管理
物質を、精度管理用として用いることが広く望まれてい
る。臨床検査室では糖化ヘモグロビン測定用管理物質を
得るため、従来から慣習的に溶血液を凍結もしくは凍結
乾燥させて自家調製する場合が多いが、経時的安定性と
いう性能の点で完全であるものは少なかった。
【0007】特開昭59−183370号公報にヘモグ
ロビン標準物質の製造方法に関する発明が開示されてい
る。これは優れた標準物質を製造する方法であるが、酸
化剤であるフェリシアン化カリウム等を添加して、ヘモ
グロビンをメト化(ヘム鉄[II]を鉄[III]に酸化)す
る工程が含まれている。この場合、条件によってはヘモ
グロビンに対し、メト化に伴う変性を生じさせる危険性
がある。このような変性を生じたヘモグロビン成分は各
種クロマトグラム分析上で変性ピークとして出現し、測
定値に悪影響を与える場合がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは、測定値の恒常的な一貫性と信頼性のある測定値
を得るために行なわれる精度管理をより信頼性の高いも
のにすることにあり、糖化ヘモグロビンを糖尿病検査の
指標に用いるという社会的な役割を支えることにある。
【0009】このためには、上記のような精度管理を行
う上で必要となる、測定系の基準となるべき経時的安定
性の優れた糖化ヘモグロビン測定用管理物質、特にHbAl
c 値および/またはHbAlの測定に使用する糖化ヘモグロ
ビン測定用管理物質を提供することが必要であり、この
課題を解決することができれば、同一の試料を測定者、
装置、測定時期等が異なっても信頼性の高い測定値を得
ることが可能となる。
【0010】また、糖化ヘモグロビン測定用管理物質の
特性値、例えばHbAlc 値が、何らかの基準となる測定方
法により確定かつ保証される場合、当該糖化ヘモグロビ
ン測定用管理物質を標準物質として規定することによ
り、HbAlc 測定の標準化の目的で使用することも可能で
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、測定系の基準
となるべき経時的安定性の優れた糖化ヘモグロビン測定
用管理物質を得るために工夫されたものであり、その特
徴とするところはヘモグロビンを一酸化炭素と接触させ
ることにより一酸化炭素化ヘモグロビンとし、これを糖
化ヘモグロビン測定の管理物質として使用することにあ
る。
【0012】空気雰囲気下において、通常、ヘモグロビ
ンは酸素と結合し、オキシヘモグロビンとして存在す
る。しかしヘモグロビンが一酸化炭素と接触すると、速
やかにこれと結合し、一酸化炭素化ヘモグロビンとな
る。この時、一酸化炭素のヘモグロビンに対する親和性
は、酸素のそれと比べて極めて強いため、ヘモグロビン
に結合した一酸化炭素は容易には脱離されない。このた
め、一酸化炭素化ヘモグロビンはオキシヘモグロビンよ
りも、メト化やそれに引き続き起こり得るヘモグロビン
の変性が生じにくいと考えられる。
【0013】本発明者らはヘモグロビンのこのような特
性に着眼し、種々検討を繰り返した結果、この一酸化炭
素化ヘモグロビンが、糖化ヘモグロビン、特にHbAlc お
よび/またはHbAl測定において優れた経時的安定性を有
する糖化ヘモグロビン測定用管理物質になりうることを
見いだした。
【0014】以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
【0015】本発明の糖化ヘモグロビン測定用管理物質
を製造する方法は、 血液もしくは赤血球からヘモグロビンを溶血精製させ
る工程、 ヘモグロビンを一酸化炭素化する工程、 凍結もしくは凍結乾燥を行う工程、 の3工程からなる。このうち、およびの工程は特に
限定されるものではなく、これら工程の目的が達成され
得る方法であれば、既知の各種の方法が使用できる。
【0016】の工程との工程の順番は特に限定され
るものではなく、ヘモグロビンを溶血精製させてから一
酸化炭素化してもよく、一酸化炭素化処理後にヘモグロ
ビンを溶血精製しても構わない。の工程は、および
の二つの工程が終了したあと行われる。
【0017】の工程の例としては、生理食塩水で充分
に洗浄した赤血球に対し、適量の蒸留水を穏やかに加え
て赤血球膜を破裂(溶血)させ、そののち2000〜1
0000Gで遠心分離することにより赤血球膜等の有固
形分を除去する方法等が挙げられる。赤血球を溶血させ
る方法としては、上記蒸留水添加法以外に、赤血球に溶
血剤を適量添加する方法もある。溶血剤としては種々の
界面活性剤が使用可能であるが、好ましくはアルキルア
リールポリエーテルアルコール、ソルビット脂肪酸エス
テルのポリオキシエチレン付加体等が用いられる。ま
た、水と混和しない有機溶剤で洗浄した後、遠心分離す
ると膜成分等の脂質がより効率よく除去できる。該有機
溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサ
ン、石油エーテル等が好ましい。この場合、有機溶剤が
残存すると好ましくないので、得られたヘモグロビン溶
液をリン酸緩衝液等の適当なバッファーで透析すること
がより好ましい。
【0018】また、の工程の例としては、溶血液を1
〜数mlずつバイアル瓶に分注し、液体窒素に浸漬し凍
結させる方法、−40℃にて凍結させたものを高真空下
に数時間から数日置き、凍結乾燥させる方法等が挙げら
れる。この時、必要に応じて凍害保護剤を添加する。凍
害保護剤としては、ポリヒドロキシ化合物が好んで用い
られるが、例えばイノシトール、ソルビトール、サッカ
ロース、グリセロール、アルキレングリコール、単糖
類、多糖類等が挙げられる。凍害保護剤の使用量はその
種類等によっても異なるが、通常ヘモグロビン溶液に対
し2〜20w/v%の割合で添加させる。凍結乾燥の場
合、バイアル瓶内の空間を高純度窒素やアルゴン等の不
活性ガスで置換したのち瓶を容器を密栓することがより
好ましい。
【0019】の方法としては、結果的に一般化炭素化
ヘモグロビンが生成する方法であれば特に限定されない
が、最も一般的でかつ簡単な方法は、一酸化炭素ガスを
血液や、赤血球分散液およびヘモグロビン溶液等のヘモ
グロビンを含有する溶液に直接吹き込む方法である。例
えば、ヘモグロビン溶液を窒素雰囲気下にて、マグネチ
ックスタラーで穏やかに攪拌させながら、これにパスツ
ールピペット等を用いて一酸化炭素ガスを10ml〜1
000ml/minで吹き込む方法がある。
【0020】生成した一酸化炭素化ヘモグロビンは、そ
の吸光度スペクトルがシフトするので、これを測定する
ことによりその存在および一酸化炭素化率を確認でき
る。例えば、通常の空気雰囲気下において、ヘモグロビ
ンはふつう酸素と結合しオキシヘモグロビンとして存在
するが、これを完全に一酸化炭素化したとすると、41
5nm,541nm,576nmの吸収極大が、それぞ
れ419nm,540nm,569nmにシフトする。
【0021】一酸化炭素化ヘモグロビンの含有率をより
正確に測定する方法として、松原の報告としている方法
(蛋白質、核酸、酵素、32,6,671−674,1
987)が挙げられる。これらの方法を利用して、得ら
れた糖化ヘモグロビン測定用管理物質の品質をチェック
することができる。
【0022】例えば、血液10mlを窒素雰囲気下でマ
グネチックスタラーで穏やかに攪拌させながら、これに
パスツールピベット等を用いて一酸化炭素ガスを100
ml〜1000ml/minで吹き込む場合、ヘモグロ
ビンの濃度等、その他の実験条件にも左右されるが、一
酸化炭素化の反応速度は非常に速く、20〜30秒で約
30〜80%のヘモグロビンが、1〜2分で90%以上
のヘモグロビンが一酸化炭素化される。一酸化炭素ガス
を数分以上吹き込むと一酸化炭素化ヘモグロビンの生成
は完結し、その含有量は約98〜99.5%でプラトー
に達する。このあと、一酸化炭素ガスをこれ以上吹き込
んでも一酸化炭素化ヘモグロビンの含有量はほとんど変
化しない。これは健常人の新鮮血であっても、その血液
中には最初から0.5〜2.0%のメトヘモグロビンが
含まれ、このメトヘモグロビンが一酸化炭素と結合せず
に残存するためである。
【0023】一酸化炭素化ヘモグロビンの含有率が高い
ほど、すなわち、一酸化炭素化率が高いほど、その一酸
化炭素化ヘモグロビンは糖化ヘモグロビン測定用管理物
質として好ましい。例えば、一酸化炭素化率が50%以
上であれば、その一酸化炭素化ヘモグロビンは管理物質
として使用可能である。一酸化炭素化率が高いほどその
経時的安定性は向上する。好ましくは90%以上、最も
好ましくは生成量がプラトーに達するまで一酸化炭素化
を行うのがよい。
【0024】前述した特開昭59−183370号公報
のヘモグロビン標準物質の製造方法では、まず酸化剤で
あるフェリシアン化カリウム等を添加し、ヘモグロビン
をメト化(ヘム鉄[II]を鉄[III] に酸化)する必要があ
る。この時、条件によってはヘモグロビンに対し、メト
化以外の重大な変性を生じさせる危険性がある。すなわ
ち、余剰の酸化剤が残存することにより、ヘモグロビン
に不必要な酸化反応を誘発し、これが各種クロマトグラ
ム上で変性ピークの出現を引き起こしてしまう。例え
ば、HbAla およびHbAlb の溶出分画を異常に増加させ、
目的とするHbAlcの分離を不十分にし、これが測定値に
悪影響を及ぼし、信頼性の高いデータが得られにくくな
る。
【0025】しかし、本発明では酸化剤を一切使用する
必要はなく、余剰の酸化剤によるヘモグロビンの変性も
引き起こされる恐れがない。また、余剰の酸化剤を除去
するための透析等の処理を行う必要もなく、製造工程を
簡略化できる。
【0026】
【実施例】本発明を以下の実施例につき説明する。
【0027】測定方法 以下の実施例において、HbAlc 値およびHbAl値の測定
は、(株)京都第一科学社製のAuto Alc HA-8121を用い
て溶血モードにより行った。
【0028】このAuto Alc HA-8121はHPLCによる糖化ヘ
モグロビン測定専用装置であり、本装置専用の陽イオン
交換樹脂を充填した分離カラムにより、各ヘモグロビン
成分を4分間で分離して溶出する。溶出用緩衝液には本
装置専用の溶離液(リン酸緩衝液)を使用した。溶血に
は本装置専用の溶血用処理液(溶血剤を含有する)を用
いた。その他の使用方法の詳細は本測定装置の取扱い説
明書に従った。この装置を用いたヘモグロビンの溶出パ
ターン例を図1示す。図1において、P1およびP2はHbAl
a およびHbAlb に起因するピーク、ハッチング部のP3は
HbAlc 、そしてP4はその他のヘモグロビン(HbAo)に起
因するピークである。P5は胎児ヘモグロビン(HbF )と
呼ばれる成分で、通常糖化ヘモグロビンには含まれな
い。
【0029】ここで、HbAlc %およびHbAl%は次式で算
出され、測定値は小数点1桁の%値として自動的にプリ
ントアウトされる。
【0030】
【数1】
【数2】 本実施例においては同一人(健常人)の血液を使用し、
採血後直ちに適量のヘパリンを添加したものを新鮮血液
として用いた。
【0031】一酸化炭素化ヘモグロビンの定量方法 一酸化炭素化ヘモグロビンの定量方法の詳細は、松原の
文献(蛋白質、核酸、酵素、32,6,671−67
4,1987)に従った。
【0032】凍結乾燥直前の溶血液0.1mlを0.1
%アンモニア水に溶かし、ハイドロサルファイト(Na
2 2 4 )を20mg加え、538nmおよび578
nmの2波長の吸光度を測定した。この時の吸光度をE
S 538、ES 578とし、吸光度比QS =ES 538
/ES 578を算出した。
【0033】次に、下記の要領で一酸化炭素化ヘモグロ
ビンの含有量が0%と100%の吸光度比を測定し、検
量線を作成した。
【0034】一酸化炭素を吹き込む直前の溶血液を1m
l取り、該溶出血液中に当初から微量存在するかも知れ
ない一酸化炭素化ヘモグロビンを除去するため、パスツ
ールピペットで酸素ガスを100ml/minで5分間
吹き込んだ。次にこの血液0.25mlを0.1%アン
モニア水50.0mlに溶かし、試験管AおよびBに2
0.0mlずつ分注した。
【0035】まず、試験管AにNa2 2 4 を20m
g加え、同様に538nmと578nmの2波長の吸光
度を測定した。
【0036】この時の吸光度をEA 538、EA 578
とし、吸光度比QA =EA 538/EA 578を算出し
た(QA は一酸化炭素化ヘモグロビン0%の吸光度比に
相当する。) 一方、試験管BにもNa2 2 4 を20mg加えたの
ち、一酸化炭素ガスが100ml/minの速度で5分
間吹き込み、同様に538nmと578nmの2波長の
吸光度を測定した。この時の吸光度をEB 538、EB
578とし、吸光度比QB =EB 538/EB 578を
算出した(QB は一酸化炭素化ヘモグロビン100%の
吸光度比に相当する。) この時の検体中の一酸化炭素化ヘモグロビンの含有量は
次の式で算出される。
【数3】 実施例1 新鮮血液10mlを冷却遠心機で1500g×10mi
nにて遠心し、血球を沈殿させ上層の血漿を除去した。
この赤血球層に5mlの生理食塩水を加え十分に転倒混
和させた後、再び同様に遠心し上清を除去した。この操
作を3回繰り返し赤血球層を洗浄した。このようにして
得た約5mlの洗浄赤血球層に蒸留水5mlを加えて溶
血させた。この溶血液に2mlのトルエンを添加し、分
液ロートで10分振盪した。これをしばらく静置したあ
と、上層のトルエン層を除去し、該溶出血液を冷却遠心
機で5000g×20minにて遠心して有固形分を除
去した。その後、該溶出血液を冷蔵下にて1000ml
の50nMリン酸緩衝液(pH6.8)で一夜透析し
た。この溶血液にパスツールピペットを用い一酸化炭素
ガスを100ml/minのスピードで10分間吹き込
んだ。
【0037】つぎに、この溶血液10μlを蒸留水4m
lにて希釈し、セル長1cmのガラスセルに入れ、日立
分光光度計(U−3200型)で350〜600nmの
吸収スペクトルを測定した。その結果、419,54
0,569nmに吸収極大が確認された。また、上記定
量方法に基づき溶血液中の一酸化炭素ヘモグロビンの含
有量を測定したところ99.3%であった。このことか
ら、ほとんどのヘモグロビンが一酸化炭素化されている
ことがわかる。
【0038】この溶血液に対し、サッカロースを最終濃
度が2.5%(w/v)となるように添加し、溶血液を
よく攪拌した後1mlずつ凍結乾燥用バイアル瓶に分注
した。これを高真空下で−40℃ついで4℃で、1昼夜
凍結乾燥した。凍結乾燥終了後、バイアル瓶内を高純度
窒素で置換してから瓶を密栓した。
【0039】この様にして製造した糖化ヘモグロビン測
定用管理物質に対し、長期保存安定性の試験をするた
め、10バイアルを無作為に抜き取り、この内の5バイ
アルを、蒸留水1mlを加えて再溶解し、直ちに専用の
溶血用処理液で測定に適した濃度になるよう希釈したあ
と、先に記した測定方法に準じてその糖化ヘモグロビン
値を測定した。残りの5バイアルについては、密栓した
まま暗所で4℃にて6カ月間保存したあと、蒸留水1m
lを加えてこれらを再溶解し、同様に糖化ヘモグロビン
値を測定した。長期保存前に測定した糖化ヘモグロビン
測定用管理物質のHbAlc値およびHbAl値と、長
期保存後に測定した測定値では、大きな変化は見られな
かった。この測定値を表1に示す。このことから本発明
により製造した糖化ヘモグロビン測定用管理物質は、溶
解前に4℃で少なくとも6カ月間保存しても十分安定で
あることがわかる。
【0040】実施例2 実施例1と同様の製造方法で糖化ヘモグロビン測定用管
理物質を製造した。
【0041】この溶血液10μlを蒸留水4mlにて希
釈し、実施例1と同様に350〜600nmの吸収スペ
クトルを測定した。その結果、419,540,569
nmに吸収極大が確認された。また、上記定量方法に基
づき溶血液中の一酸化炭素化ヘモグロビンの含有量を測
定したところ、99.1%であった。この管理物質を再
溶解後の保存安定性試験のため無作為に10バイアル抜
き取り、蒸留水1mlを加えて同物質を再溶解した。
【0042】このうちの5バイアルを、直ちに専用の溶
血用処理液で実施例1と同様に希釈し、先に記した測定
方法に準じてその糖化ヘモグロビン値を測定した。残り
の5バイアルについては、このまま暗所で4℃にて7日
間保存したあと、測定の直前に、専用の溶血用処理液で
同様に希釈し、同様に糖化ヘモグロビン値を測定した。
蒸留水で再溶解した直後に測定したHbAlc値および
HbAl値と、4℃で7日間保存後に測定した測定値で
は、測定値に大きな変化は見られなかった。この測定値
を表2に示す。このことから本発明により製造した糖化
ヘモグロビン測定用管理物質は、再溶解後であっても、
4℃で少なくとも7日間保存しても十分安定であること
がわかる。
【0043】比較例1 実施例1において一酸化炭素を吹き込む工程のみを省略
して糖化ヘモグロビン測定用管理物質を製造した。
【0044】この溶血液を10μlを蒸留水4mlにて
希釈し、実施例1と同様に350〜600nmの吸収ス
ペクトルを測定した。その結果、415,541,57
6nmの吸収極大が確認された。また、上記定量方法に
基づき溶血液中の一酸化炭素化ヘモグロビンの含有量を
測定したところ、0.0%であった。このことにより、
本溶血液には一酸化炭素ヘモグロビンが含有されていな
いことがわかる。
【0045】実施例1と同様に長期保存安定性の試験を
するため、10バイアルを無作為に抜き取り、この内5
バイアルは直ちに、残りの5バイアルは密栓したまま暗
所で4℃にて6カ月間保存し、実施例1に準じ糖化ヘモ
グロビン値を測定した。長期保存前と長期保存後のHb
Alc値およびHbAl値を表1に示す。この場合、実
施例1の結果と比較して、HbAlc値およびHbAl
値が大きく変化していることがわかる。
【0046】比較例2 比較例1と同様に、実施例1の一酸化炭素を吹き込む工
程のみを省略して糖化ヘモグロビン測定用管理物質を製
造した。
【0047】この溶血液を10μlを蒸留水4mlにて
希釈し、実施例1と同様に350〜600nmの吸収ス
ペクトルを測定した。その結果、415,541,57
6nmの吸収極大が確認された。また、上記定量方法に
基づき溶血液中の一酸化炭素化ヘモグロビンの含有量を
測定したところ、0.0%であった。
【0048】実施例2と同様に再溶解後の保存安定性試
験を行うため無作為に10バイアルを抜き取り、蒸留水
1mlで再溶解した後、5バイアルについては直ちに、
残りの5バイアルについては4℃にて7日間保存したあ
と、実施例2に準じ、再度溶解直後と4℃で7日間保存
後のHbAlc値およびHbAl値を測定した。この時
の測定値は表2に示す。この場合、実施例2の結果と比
較して、HbAlc値とHbAl値が大きく変化してい
ることがわかる。
【0049】
【表1】
【表2】
【0050】
【発明の効果】本発明により、測定系の基準となるべき
経時的安定性の優れた糖化ヘモグロビン測定用管理物
質、特にHbAlc および/またはHbAlの測定に使用する糖
化ヘモグロビン測定用管理物質を供給することができ
る。このことにより、測定値の恒常的な一貫性を確保す
ることができ、同一の試料を測定する場合、測定者、装
置、測定時期等が異なっても信頼性のある測定値を得る
ことが可能となり、ひいては、糖化ヘモグロビンを糖尿
病検査の指標に用いるという社会的な役割を支えること
ができる。
【0051】また、糖化ヘモグロビン測定用管理物質の
特性値、例えばHbAlc 値が、何らかの基準となる測定方
法により確定かつ保証される場合、この物質を標準物質
として規定することにより、HbAlc 測定の標準化のため
に使用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘモグロビンの溶出パターンを示すグラフであ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一酸化炭素化ヘモグロビンを含むことを
    特徴とする糖化ヘモグロビン測定用管理物質。
  2. 【請求項2】 ヘモグロビンを一酸化炭素に接触させる
    工程を含むことを特徴とする糖化ヘモグロビン測定用管
    理物質の製造法。
JP10146893A 1993-04-27 1993-04-27 糖化ヘモグロビン測定用標準物質およびその製造法 Expired - Fee Related JP3262631B2 (ja)

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