JPH06313232A - 炭素繊維チョップドストランドの製造方法 - Google Patents

炭素繊維チョップドストランドの製造方法

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JPH06313232A
JPH06313232A JP10324793A JP10324793A JPH06313232A JP H06313232 A JPH06313232 A JP H06313232A JP 10324793 A JP10324793 A JP 10324793A JP 10324793 A JP10324793 A JP 10324793A JP H06313232 A JPH06313232 A JP H06313232A
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strand
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浩 恒川
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正和 安宅
Masayuki Kobayashi
政幸 小林
Masahiro Habasaki
正裕 羽場崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱可塑性樹脂強化用炭素繊維チョップドスト
ランドにおいて、繊維束の内部に均一にサイズ剤が含浸
して集束性が高く、嵩密度が高く、コンパウンディング
時にフリーファイバーの発生が抑えられ作業性が高いサ
イズ剤処理された炭素繊維チョップドストランドの製造
方法を提供する。 【構成】 解繊または無撚の状態の炭素繊維ストランド
1を、入口ローラーの軸に対して直角方向に走行させて
サイズ剤の溶液2中に導入し、サイズ剤の溶液2中に浸
漬されている表面が平滑な浸漬ローラ4に接触させたの
ち、該浸漬ローラ4とサイズ剤容器7の出口付近に位置
する方向転換子である溝付きの出口ローラ5の間で、そ
れ以前の走行方向の延長線に対して斜行方向に走行させ
ることにより、炭素繊維ストランド1に3〜20回/m
の撚を与える。次いで乾燥し、さらに該サイズ剤の均質
化処理をし、サイズ剤を1〜20重量%付着させ、カッ
トして炭素繊維チョップドストランドとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂をマトリ
ックス樹脂とする複合材料用の強化材に適した、熱可塑
性樹脂でサイズされた炭素繊維チョップドストランドの
製造方法に関する。さらに詳しくは、炭素繊維ストラン
ドにサイズ剤である熱可塑性樹脂を含浸付与するに際
し、該炭素繊維ストランドに撚を与え、熱可塑性樹脂の
均一付着及び乾燥(溶剤の除去)を行ない、次いで熱可
塑性樹脂の均質化処理をすることにより、繊維束の内部
まで均一にサイズ剤を含浸させて、集束性が高く、嵩密
度が高く、しかもコンパウンディング時の遊離繊維(フ
リーファイバー)の発生が抑えられた、作業性の高い炭
素繊維チョップドストランドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする
短炭素繊維強化熱可塑性樹脂は、射出成形が可能なため
複合材料を製造するのに生産性が高い。この短炭素繊維
強化熱可塑性樹脂は、従来の未強化熱可塑性樹脂やガラ
ス短繊維強化熱可塑性樹脂と比較して、機械特性、摺動
特性、電気特性、寸法安定性等に優れた高性能のエンジ
ニアリング材料として注目され、その需要が急激に増加
している。
【0003】近年、耐熱性の優れるスーパーエンジニア
リングプラスチックが開発されるとともに、金属ダイキ
ャスト材料の代替えとして、そのスーパーエンジニアリ
ングプラスチックを炭素繊維で強化した材料の研究開発
が進められている。熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂と
してこれを炭素繊維で強化して複合材料を成形する方法
には大きく分けて、例えば次の〜の3つの方法が一
般的に知られている。
【0004】適当な長さ(例えば1〜30mm)に切
断された炭素繊維チョップドストランドを樹脂のペレッ
トまたは樹脂パウダーと共に押出機で溶融混練し、一
旦、ペレット(コンパウンド)にした後に、このペレッ
トを用いて射出成形または押出成形することにより短炭
素繊維強化熱可塑性樹脂を成形する方法。 樹脂のペレット又は樹脂パウダーと、炭素繊維チョッ
プドストランドをドライブレンドし、得られた混合物
を、直接、射出成形または押出成形することにより短炭
素繊維強化熱可塑性樹脂を成形する方法。
【0005】射出成形機や押出成形機内で加熱溶融し
軟化した樹脂にサイドフィードにて炭素繊維チョップド
ストランドを添加し、射出成形または押出成形すること
により短炭素繊維強化熱可塑性樹脂を成形する方法。 近年、短炭素繊維強化熱可塑性樹脂の成形法の傾向は、
マトリックス樹脂と炭素繊維チョップドストランドとの
混合物を使用する、いわゆるプリブレンドによる成形法
のほか、炭素繊維チョップドストランドを定量的にサイ
ドフィードして成形する方法など連続的に大量に成形で
きる、コンパウンドを経由しない方法へ移行しつつあ
る。
【0006】これらの成形方法において、使用する炭素
繊維チョップドストランドのサイズ剤(集束剤)の含浸
性が低く、その集束性が不十分であると、チョップドス
トランドが割れやすく、端部から未含浸状態の繊維が抜
け落ちやすくなる。そのため嵩密度が低くなり、炭素繊
維チョップドストランドはコンパウンディング前に樹脂
との摩擦力により開繊して、綿状の遊離繊維(フリーフ
ァイバー)になりやすい。その結果、押出成形機や射出
成形機のホッパー内で繊維のみが浮き上がり、定量的に
炭素繊維チョップドストランドが供給されなくなり、そ
のため樹脂と炭素繊維の均一な混合状態の樹脂組成物を
定常的に得るのが困難になる。また、これらの作業性も
低下する。
【0007】したがって、炭素繊維強化熱可塑性樹脂の
コンパウンディング時には、集束性が高く、嵩密度が高
く、且つフリーファイバーが少なく、しかも成形工程途
中でもフリーファイバーの生じにくい炭素繊維チョップ
ドストランドを使用する必要がある。特に、前記したコ
ンパウンドを経由しない方法においてはこの傾向は顕著
である。このため、炭素繊維チョップドストランドの集
束性を高めるために、炭素繊維にサイズ剤を付与し、十
分に含浸させることが必要である。
【0008】上記従来の方法にしたがい熱可塑性樹脂で
炭素繊維をサイジングした場合、炭素繊維はサイジング
後、乾燥機を出ると、ローラとの接触等やカット工程で
サイズ剤層が破砕されやすく、カット後の炭素繊維チョ
ップドストランドが割れやすくなるため、集束性(嵩密
度)が低くなり、コンパウンディング時の作業性が低下
するという問題が生じる。特に、成形加工温度の高い熱
可塑性樹脂をマトリックス樹脂として採用する成形加工
条件においては、このマトリックス樹脂に対応するサイ
ズ剤の層が硬い樹脂を選択する傾向が強くなるため、こ
の問題の発生は顕著である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、熱可塑性樹脂強化用炭素繊維チョップドスト
ランドにおいて、繊維束の内部に均一にサイズ剤が含浸
して集束性が高く、嵩密度が高く、コンパウンディング
時にフリーファイバーの発生が抑えられ、作業性が高
い、サイズ剤処理された炭素繊維チョップドストランド
の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した問題点を解決す
るために、本発明は、炭素繊維ストランドをサイズ剤処
理し、乾燥し、カットして炭素繊維チョップドストラン
ドを製造する方法において、炭素繊維ストランドを解繊
または無撚の状態でサイズ剤の溶液中に導入し、次いで
該サイズ剤の溶液中でまたは該溶液から引き出しつつ3
〜20回/mの撚を与えることを特徴とする炭素繊維チ
ョップドストランドの製造方法とするものである。
【0011】また本発明は、炭素繊維ストランドをサイ
ズ剤処理し、乾燥し、カットして炭素繊維チョップドス
トランドを製造する方法において、炭素繊維ストランド
を解繊または無撚の状態でサイズ剤の溶液中に導入し、
次いで該サイズ剤の溶液中でまたは該溶液から引き出し
つつ3〜20回/mの撚を与え、次いで乾燥し、さらに
該サイズ剤の均質化処理をし、サイズ剤を1〜20重量
%付着させることを特徴とする炭素繊維チョップドスト
ランドの製造方法とするものである。
【0012】また本発明は、炭素繊維ストランドをサイ
ズ剤処理し、乾燥し、カットして炭素繊維チョップドス
トランドを製造する方法において、炭素繊維ストランド
を解繊または無撚の状態でサイズ剤の溶液中に導入し、
次いで該サイズ剤の溶液中でまたは該溶液から引き出し
つつ3〜20回/mの撚を与え、撚が与えられた炭素繊
維ストランドを解撚し、次いで乾燥し、さらに該サイズ
剤の均質化処理をし、サイズ剤を1〜20重量%付着さ
せることを特徴とする炭素繊維チョップドストランドの
製造方法とするものである。
【0013】本発明において「乾燥」とは、サイズ剤処
理された炭素繊維ストランドに含まれているサイズ剤中
の溶剤をストランドから除去することであり、例えば、
風乾、加熱乾燥等が採用される。加熱乾燥の際は、急激
な温度の上昇やポリマーの溶融温度または軟化点温度を
越える温度上昇は、溶剤によってポリマーの発泡を招
き、そのために炭素繊維チョップドストランドの嵩密度
低下の原因となるので好ましくない。したがって、加熱
乾燥においては急激な温度の上昇を避け、加熱温度はポ
リマーの溶融温度および軟化点温度以下としなければな
らない。
【0014】本発明において、「解繊または無撚の状態
の炭素繊維ストランドをサイズ剤の溶液中に導入し、該
サイズ剤の溶液中で、または該溶液から引き出しつつ3
〜20回/mの撚を与える」方法には、特に制限された
方法はない。このような撚を与える方法には、例えば、
解繊または無撚の状態の炭素繊維ストランドを、入り口
ローラの回転軸に対して、直角方向に走行させてサイズ
剤容器内のサイズ剤の溶液中に導入し、次いで該溶液中
またはサイズ剤容器の出口付近に設けられた方向転換子
によって、炭素繊維ストランドの走行方向を変えること
によって実施することができる。例えば、サイズ剤容器
の入口付近に位置する溝付ローラを介して該溝付ローラ
の軸に対して直角方向に炭素繊維ストランドを走行させ
てサイズ剤の溶液中に導入し、該溶液中に浸漬されてい
る表面が平滑なローラに接触させたのち、該ローラとサ
イズ剤容器の出口付近に位置する溝付ローラの間で、そ
れ以前の走行方向の延長線に対して斜行方向に走行させ
ることにより、炭素繊維ストランドに3〜20回/mの
撚を与える。
【0015】方向転換子としては、フックまたはリン
グ、スネークワイヤー、コロ、鼓型ローラ、溝付ローラ
などが使用できる。撚数の調整は、ストランドの張力、
方向転換の角度、方向転換子と引取りローラとの距離、
走行速度等により決定される。方向転換子として溝付ロ
ーラを使用し、平行に並べられた炭素繊維ストランド群
を加撚する場合を次に図1および図2に示された具体例
によって説明する。
【0016】図1は、サイズ剤容器と炭素繊維ストラン
ドを搬送するローラの関係を示す側面概念図であり、図
2は、図1の平面図を示したものである。1は炭素繊維
ストランドであり、2はサイズ剤容器7に収容されたサ
イズ剤の溶液、3はサイズ剤容器7の入口付近に位置
し、炭素繊維ストランド1をサイズ剤の溶液2中に導入
するための溝付きの入口ローラ、4はサイズ剤の溶液2
中に浸漬されている浸漬ローラ、5はサイズ剤容器7の
出口付近に位置し、炭素繊維ストランド1をサイズ剤の
溶液2中から導出するための溝付きの出口ローラであ
る。この図1および図2は最も単純化した炭素繊維チョ
ップドストランドのサイズ装置の構成例を示している。
【0017】浸漬ローラ4は、その表面が平滑でも溝付
きでもよいが、入口ローラ3および出口ローラ5は炭素
繊維ストランド1を加撚するために、方向転換子として
の機能を有する必要があるので溝付きでなければならな
い。サイズ剤の溶液2中の浸漬ローラ4は、2個以上設
けることもでき、炭素繊維ストランド1の走行中に、樹
脂溶液に繰り返し出し入れし、含浸効率を高めることも
できる。この場合、炭素繊維ストランド1は浸漬ローラ
4下側のみ、あるいは浸漬ローラ4下側から上下に交互
に走行させることができる。
【0018】図3は、入口ローラ3および出口ローラ5
表面の溝6の中に炭素繊維ストランド1が収まった状態
を示す断面図である。各々のローラ表面には炭素繊維ス
トランド1が収納可能な周方向の溝6が形成され、炭素
繊維ストランド1が互いに接触しないように各炭素繊維
ストランド1相互に間隔が保たれるように設計されてい
る。このような入口ローラ3および出口ローラ5は炭素
繊維の製造工程用ローラとして既知であるので、これら
のものが本発明においては利用可能である。各ローラの
直径、溝の深さ、溝の幅、溝の間隔は同じであっても異
なっていてもよく、炭素繊維ストランドの撚数、炭素繊
維ストランドの太さ等によって決定される。
【0019】上記に説明した図1および図2に示される
サイズ剤処理装置を用いた炭素繊維ストランドに対する
サイズ剤処理方法を次に説明する。炭素繊維ストランド
1をサイズ剤容器7の入口付近に位置する溝付きの入口
ローラ3を介してサイズ剤の溶液2中の表面が平滑な浸
漬ローラ4に平行走行させる。次いで、浸漬ローラ4
と、サイズ剤容器7の出口付近に位置する溝付きの出口
ローラ5との間で角度θを与えて斜行走行させて炭素繊
維ストランド1に撚を与える。撚数は、3〜20回/m
の範囲とする。
【0020】このように本発明においては、炭素繊維ス
トランドのサイズ剤処理において炭素繊維ストランドに
撚を与えることによって、炭素繊維ストランドがサイズ
剤の溶液を抱え込んでいる解繊状態から、加撚状態に移
行し、このことによってサイズ剤の溶液が炭素繊維スト
ランド中に含浸付与される。本発明において均質化処理
とは、炭素繊維ストランドに付着している熱可塑性樹脂
からなるサイズ剤を溶融させ、炭素繊維ストランドに均
一に含浸させる処理をいう。均質化処理の具体的手段と
しては、サイズ剤である熱可塑性樹脂が溶融状態となる
まで、加熱処理あるいは超音波処理する等の手段が採用
される。
【0021】さらに本発明においては、炭素繊維ストラ
ンドに付与した熱可塑性樹脂からなるサイズ剤の均質化
処理をする点においても特徴を有する。このような均質
化処理を行なう理由は、サイズ剤溶液の含浸後に乾燥す
ると、溶剤の蒸発の際に溶剤の抽出効果によって、炭素
繊維ストランドの表面が樹脂リッチになり炭素繊維スト
ランドの芯部において樹脂量が少なくなり、このため炭
素繊維ストランドの表面が破壊した場合にフリーファイ
バーが急増するからである。したがって、乾燥後の前記
熱処理により、炭素繊維ストランドの外周部に偏在して
いた熱可塑性樹脂からなるサイズ剤が溶融し、炭素繊維
ストランドに均一に含浸した状態となり、フリーファイ
バーの発生を少なくする効果が発揮される。
【0022】入口ローラ3、浸漬ローラ4、および出口
ローラ5の間隔は、炭素繊維ストランド1の撚り数、お
よびサイズ剤の炭素繊維ストランド1に対する含浸性に
関与し、これらの目的に応じ適宜変更することができ
る。通常、走行時の炭素繊維ストランド1のテンション
を強く(高く)したり、斜行走行角(θ)を大きくすれ
ば撚数は多くなる。逆に、出口ローラ5と次ローラとの
距離を長くすると解撚され、撚数は少なくなる傾向にあ
る。
【0023】例えば、炭素繊維ストランド1を浸漬ロー
ラ4と出口ローラ5との間で斜行走行させて仮撚を与え
る際、その撚数(回/m)は、該走行している炭素繊維
ストランド1の走行角度(θ)、炭素繊維ストランド1
に与えるテンション、浸漬ローラ4と出口ローラ5の間
隔を変更することによって必要な撚数が得られる。これ
らの条件選択によって炭素繊維ストランド1へのサイズ
剤の付着量の適正化と炭素繊維ストランド1の外周面へ
のサイズ剤の均一被覆が可能となる。
【0024】浸漬ローラ4と出口ローラ5との間で炭素
繊維ストランド1に与えられる撚は、出口ローラ5を離
れる時点で炭素繊維ストランド1の走行方向を変え、サ
イズ剤の溶液2に導入する前の走行方向と平行にするこ
とによって、解撚される。解撚された状態で、乾燥(脱
溶剤)すると、嵩密度は低くなる傾向にある。また、チ
ョップドストランドの使用条件または用途によって、炭
素繊維ストランドが乾燥(脱溶剤)される前に、解撚せ
ず、撚のある状態のままで乾燥し、次いで炭素繊維スト
ランドを切断し炭素繊維チョップドストランドとするこ
ともできる。
【0025】炭素繊維チョップドストランドの断面がほ
ぼ円形であれば、撚りのある状態でも嵩密度が高くな
る。このような炭素繊維チョップドストランドは、この
チョップドストランドと樹脂ペレット(または樹脂パウ
ダー)をドライブレンドしても、ホッパーから円滑に成
形材料を射出成形機または押出成形機等に供給できるの
で、いわゆるドライブレンド方式の複合材料の形成に好
適な炭素繊維チョップドストランドとなる。
【0026】一方、撚りを戻した状態の炭素繊維チョッ
プドストランドは、比較的容易にマトリックス樹脂と均
一に分散できるために汎用的に使用できる。本発明にお
いて、サイズ剤の溶液を付与した炭素繊維ストランドの
撚数は3〜20回/mが必要である。この場合、撚が3
回/m未満では炭素繊維ストランドの集束性が不十分で
ある。このような数値を採用する理由は、撚が20回/
m超の場合は、加撚工程で炭素繊維ストランドに過大な
テンションがかかり、炭素繊維ストランドを傷つけ、炭
素繊維ストランドの単糸切れにより、炭素繊維ストラン
ドが毛羽立ち、嵩密度を低下させるからである。特に、
炭素繊維ストランドの撚数が3〜20回/mの範囲をは
ずれた場合、上記の問題以外に炭素繊維ストランドを1
〜30mmの必要な長さに切断する際、炭素繊維ストラ
ンドが繊維軸方向に割れやすくなり、また、フリーファ
イバー発生が多くなる。
【0027】本発明において、炭素繊維チョップドスト
ランドの熱可塑性樹脂のサイズ剤量はサイズ剤を含まな
い繊維重量に対し、好ましくは1〜20重量%である。
その理由はサイズ剤量が1重量%未満の場合は、チョッ
プド形態を保つ十分な集束性が得られず大量のフリーフ
ァイバー発生によるホッパーでのフィード不良が発生す
るため、安定した生産ができないからである。さらに炭
素繊維チョップドストランドの供給が途絶えるため、押
出機内に滞留する時間が長くなることにより炭素繊維チ
ョップドストランドに剪断荷重がかかり、繊維長を長く
保つことができなくなるからである。また、サイズ剤量
が20重量%超の場合は、押出機内での混練不良の発生
を招き、サイズ剤の分解によって発生するボイド等によ
り成形物の外観を著しく損なうばかりか、成形物の反り
発生等の成形不良の原因となるからである。
【0028】本発明で用いられる炭素繊維は、その種類
に特に制限がなく、各種の炭素繊維を用いることがで
き、例えば、ポリアクリロニトリル、ピッチ、レーヨ
ン、リグニン、炭化水素ガス等を用いて製造される炭素
繊維や黒鉛繊維等が挙げられる。また、これらの炭素繊
維に金属をコートした金属被覆炭素繊維を用いてもよ
い。本発明は炭素繊維以外の無機繊維または有機繊維の
ストランド、フィラメント、ロービング等も適用でき
る。
【0029】本発明において使用されるサイズ剤として
の熱可塑性樹脂には、例えば、ポリカーボネート樹脂、
ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエー
テルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミドイ
ミド樹脂等が挙げられる。また、前記サイズ剤としての
熱可塑性樹脂に混合する溶剤には、例えば、塩化メチレ
ン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトン、メ
チルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、N−メチル
ピロリドン、エタノール、メタノール等の1種または2
種以上の混合溶剤が好適である。
【0030】本発明によって得られる炭素繊維チョップ
ドストランドは、次に挙げる樹脂の強化に使用すること
が好適である。すなわち、特に成形加工温度が300〜
450℃である熱可塑性樹脂、例えば、ポリアミド樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイ
ド樹脂、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、
ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエ
ーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、
熱可塑性ポリイミド樹脂などの強化材として使用するの
に適している。
【0031】本発明の方法によって得られる炭素繊維チ
ョップドストランドは、エンジニアリングプラスチッ
ク、スーパーエンジニアリングプラスチック等に最適な
強化材として用いることができる。
【0032】
【実施例】炭素繊維チョップドストランドのフリーファイバー発生
率測定法 500mlのビーカーに、その上部30cmより炭素繊
維チョップドストランドを落として山盛り状態まで充填
する。その後、500mlのビーカーの上面以上の炭素
繊維チョップドストランドをガラス棒を用いてすり切り
まで除去し、このときの炭素繊維チョップドストランド
(W1 g)の質量を測定する。さらに、この炭素繊維チ
ョップドストランドを2000mlのメスシリンダーに
移し、密閉し、メスシリンダーの高さ方向の中央を軸に
して、20分間25rpmで回転する。メスシリンダー
の回転が停止し、試料を#4の篩に移し、試料が篩の目
から落下しなくなるまで前後左右に動かして篩分けす
る。
【0033】篩に残ったフリーファイバーを採取し、そ
の質量(W2 g)を測定する。試料全体の質量とフリー
ファイバーの質量からフリーファイバー発生率を(%)
で表す。嵩密度の測定法 予め乾燥した、質量(W1 g)及び容積(Vml)の透
明プラスチック製円筒容器に、空間を作らないように且
つ、振動充填を起こさないように、上部5cmより炭素
繊維チョップドストランドを落として山盛り状態まで自
然充填を行なう。その後、円筒容器の上面以上の炭素繊
維チョップドストランドをガラス棒で除去し、この時の
質量(W2 g)を測定し、嵩密度を次の式1により算出
する。
【0034】 嵩密度(g/l)=(W2 −W1 )/V 式1 〔実施例1〕ポリエーテルイミド樹脂(分子量30,0
00)80gを塩化メチレン1000ccに溶解してサ
イズ剤の溶液を調製した。サイズ剤の溶液中に浸漬され
た表面が平滑なローラにより、このサイズ剤の溶液中に
アクリル系高強度炭素繊維ストランド(東邦レーヨン
(株)製)を連続的に浸漬した後、引続きサイズ剤容器
の出口付近で図1に示す表面が平滑な浸漬ローラと該出
口付近の溝付きの出口ローラとの間において角度θが3
0度になる如く斜行走行させて9回/mの仮撚をかけ、
サイズ剤の溶液の均一付着と炭素繊維ストランド外周面
への均一被覆を行ない、該出口付近の溝付きの出口ロー
ラから平行走行させることによって解撚した。
【0035】次いで160℃の熱風乾燥機で脱溶剤し、
冷却後6mmにカットして炭素繊維チョップドストラン
ドを作製した。この場合のサイズ剤量は7重量%で、嵩
密度は342g/l、フリーファイバー発生率は0.3
9%であった。この状態の炭素繊維チョップドストラン
ドは、開繊による毛玉の発生は殆どなく、ホッパー内で
のトラブルもなく落下した。それらの結果を下記の表1
に示す。
【0036】〔実施例2〕ポリカーボネート樹脂(分子
量25,000)80gを塩化メチレン1000ccに
溶解してサイズ剤の溶液を調製した。サイズ剤の溶液中
に浸漬された表面が平滑なローラにより、このサイズ剤
の溶液中に前記実施例1と同じアクリル系高強度炭素繊
維ストランド(東邦レーヨン(株)製)を連続的に浸漬
した後、引続きサイズ剤容器の出口付近で図1に示す表
面が平滑な浸漬ローラと該出口付近の溝付きの出口ロー
ラとの間において角度θが30度になる如く斜行走行さ
せて9回/mの仮撚をかけ、サイズ剤の溶液の均一付着
と炭素繊維ストランド外周面への均一被覆を行ない、該
出口付近の溝付きの出口ローラから平行走行させること
によって解撚した。
【0037】次いで熱風乾燥機で脱溶剤し、さらに28
0℃で熱処理し炭素繊維ストランドに付着しているポリ
カーボネート樹脂を溶融させ均質化処理を行なった。冷
却後6mmにカットして炭素繊維チョップドストランド
を作製した。この場合のサイズ剤量は7重量%で、嵩密
度は286g/l、フリーファイバー発生率は0.02
%であった。この状態の炭素繊維チョップドストランド
は、開繊による毛玉の発生は殆どなく、ホッパー内での
トラブルもなく落下した。それらの結果を下記の表1に
示す。
【0038】この炭素繊維チョップドストランドと十分
に乾燥したポリカーボネート樹脂ペレット(分子量2
5,000)を炭素繊維が30重量%になるように合計
で20kgとして、タンブラーに仕込みドライブレンド
した後、このドライブレンド物20kgを40mmピッ
チのオープンベント式押出機の、外径80mm、内径4
0mm、ピッチ80mmのスクリューフィーダーがつい
たホッパーに全量入れ、シリンダー温度300℃で溶融
混練して5mmφのダイから押出し、水冷後3mm長の
ペレット状に切断して炭素繊維強化ポリカーボネート成
形材料を得た。このコンパウンディング時に、押出機の
ホッパー内に残った炭素繊維チョップドストランドは殆
どなく、押出し量もほぼ一定で安定していた。このよう
にして得た成形材料を、射出成形機(東芝機械(株)製
IS−100E 商品名)でシリンダー温度300℃
で試験片を成形したが、成形時および成形品に問題は発
生しなかった。
【0039】〔実施例3〜5〕前記実施例2に記載のサ
イズ剤と仮撚数を変えた以外は、前記実施例2の記載と
同じ条件で処理した。それらの結果を下記の表1に示
す。得られた炭素繊維チョップドストランドを前記実施
例2に記載された条件、方法でコンパウンディングし、
さらに射出成形したが何等トラブルは生じなかった。
【0040】〔比較例1及び2〕前記実施例2に記載し
た条件でサイズ剤を炭素繊維ストランドに付与し、そし
て炭素繊維ストランドへの撚数を変えた以外、全く前記
実施例2と同じ条件で処理した。それらの結果を下記の
表1に示す。得られた炭素繊維チョップドストランド
は、コンパウンディング時に押出機のホッパー内に残
り、円滑な押出しができなかった。
【0041】〔比較例3〕ポリカーボネート樹脂(分子
量25,000)70gを塩化メチレン1000ccに
溶解してサイズ剤の溶液を調製した。このサイズ剤の溶
液中に前記実施例1と同じアクリル系高強度炭素繊維ス
トランドを表面平滑な浸漬ローラとサイズ剤容器の出口
付近に位置する溝付きの出口ローラ間で並行走行させて
撚をかけず浸漬し、次いで熱風乾燥機で脱溶剤し、さら
に280℃で熱処理し炭素繊維に付着しているポリカー
ボネート樹脂を溶融させ均質化処理を行なった。冷却後
6mmにカットして炭素繊維チョップドストランドを作
製した。
【0042】この場合のサイズ剤量は7重量%で、嵩密
度は261g/l、フリーファイバー発生率は1.3%
であった。この状態の炭素繊維チョップドストランド
は、開繊による毛玉の発生があり、ホッパーでの落下テ
ストを行なった結果、ホッパー内でつまりが発生し、落
下することができなかった。これらの結果を下記の表1
に示す。
【0043】〔実施例6〕ポリカーボネート樹脂(分子
量25,000)80gを塩化メチレン1000ccに
溶解してサイズ剤の溶液を調製した。このサイズ剤の溶
液中に前記実施例1と同じアクリル系高強度炭素繊維ス
トランドを連続的に浸漬した後、サイズ剤容器の出口付
近で図1に示す表面が平滑なローラと出口付近の溝付ロ
ーラとの間において角度θが30度になる如く斜行走行
させて9回/mの仮撚をかけ、樹脂の均一付着と炭素繊
維ストランド外周面への均一被覆を行ない、引続き、サ
イズ剤容器の出口付近に位置する溝付ローラと乾燥機出
側に位置する溝付ローラとの間において解撚しないよう
角度θが30度になる如く斜行走行させた。
【0044】次いで熱風乾燥機で脱溶剤し、さらに28
0℃で熱処理し炭素繊維ストランドに付着しているポリ
カーボネート樹脂を溶融させ均質化処理を行なった。冷
却後6mmにカットして炭素繊維チョップドストランド
を作製した。この場合のサイズ剤量は7重量%で、嵩密
度は330g/l、フリーファイバー発生率は0.05
%であった。得られた炭素繊維チョップドストランドを
前記実施例1に記載された条件、方法でコンパウンディ
ングし、さらに射出成形したが、何等トラブルは生じな
かった。
【0045】
【表1】
【0046】PC:ポリカーボネート樹脂 PEI:ポリエーテルイミド樹脂 PES:ポリエーテルサルホン樹脂 PS:ポリサルホン樹脂 *1:可撚時の撚の形態 *2:フィード性評価基準 ◎:ホッパーでのフィードトラブルなし 〇:定量フィードに問題なし △:一部に落下不良発生(定量フィードは可能) ×:フィードトラブル多発 ××:定量フィード不可能
【0047】
【発明の効果】本発明の炭素繊維チョップドストランド
の製造方法によれば、本発明は、炭素繊維ストランドに
熱可塑性樹脂を含浸付与するに際し、該炭素繊維ストラ
ンドに撚を与え、樹脂の均一付着及び乾燥(溶剤の除
去)を行ない、次いでサイズ剤の均質化処理をすること
により、繊維束の内部まで均一にサイズ剤が含浸し、こ
のため集束性が高く、嵩密度が高く、しかもコンパウン
ディング時の遊離繊維(フリーファイバー)の発生を抑
えるとともに、作業性の高い炭素繊維チョップドストラ
ンドの製造方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すサイズ剤容器と炭素繊
維ストランドを搬送するローラの関係を示す側面概念図
である。
【図2】図1の平面図を示し、本発明の一実施例を示す
表面が平滑な浸漬ローラと、サイズ剤容器の出口付近に
位置する溝付きの出口ローラとの間における炭素繊維ス
トランドの斜行走行方向を示す。
【図3】溝付ローラ表面の溝の中に炭素繊維ストランド
が収まった状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 炭素繊維ストランド 2 サイズ剤の溶液 3 入口ローラ 4 浸漬ローラ 5 出口ローラ 6 溝 7 サイズ剤容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 羽場崎 正裕 静岡県駿東郡長泉町上土狩字高石234番地 東邦レーヨン株式会社三島工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維ストランドをサイズ剤処理し、
    乾燥し、カットして炭素繊維チョップドストランドを製
    造する方法において、 (1)炭素繊維ストランドを解繊または無撚の状態でサ
    イズ剤の溶液中に導入し、 (2)次いで該サイズ剤の溶液中でまたは該溶液から引
    き出しつつ3〜20回/mの撚を与えることを特徴とす
    る炭素繊維チョップドストランドの製造方法。
  2. 【請求項2】 炭素繊維ストランドをサイズ剤処理し、
    乾燥し、カットして炭素繊維チョップドストランドを製
    造する方法において、 (1)炭素繊維ストランドを解繊または無撚の状態でサ
    イズ剤の溶液中に導入し、 (2)次いで該サイズ剤の溶液中でまたは該溶液から引
    き出しつつ3〜20回/mの撚を与え、 (3)次いで乾燥し、 (4)さらに該サイズ剤の均質化処理をし、サイズ剤を
    1〜20重量%付着させることを特徴とする炭素繊維チ
    ョップドストランドの製造方法。
  3. 【請求項3】 炭素繊維ストランドをサイズ剤処理し、
    乾燥し、カットして炭素繊維チョップドストランドを製
    造する方法において、 (1)炭素繊維ストランドを解繊または無撚の状態でサ
    イズ剤の溶液中に導入し、 (2)次いで該サイズ剤の溶液中でまたは該溶液から引
    き出しつつ3〜20回/mの撚を与え、 (3)撚が与えられた炭素繊維ストランドを解撚し、 (4)次いで乾燥し、 (5)さらに該サイズ剤の均質化処理をし、サイズ剤を
    1〜20重量%付着させることを特徴とする炭素繊維チ
    ョップドストランドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記、炭素繊維ストランドを解繊または
    無撚の状態でサイズ剤の溶液中に導入し、次いで該サイ
    ズ剤の溶液中でまたは該溶液から引き出しつつ3〜20
    回/mの撚を与える方法が、 該解繊または無撚の状態の炭素繊維ストランドを、入口
    ローラの軸に対して直角方向に走行させてサイズ剤容器
    内のサイズ剤溶液中に導入し、サイズ剤溶液中に浸漬さ
    れている浸漬ローラに接触させたのち、該ローラとサイ
    ズ剤容器の出口付近に位置する方向転換子の間で、それ
    以前の走行方向の延長線に対して斜行方向に走行させる
    ことにより、炭素繊維ストランドに3〜20回/mの撚
    を与えることを特徴とする請求項1、2または3記載の
    炭素繊維チョップドストランドの製造方法。
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