JPH06313291A - シート状全芳香族ポリアミド成形物及びその製造方法 - Google Patents

シート状全芳香族ポリアミド成形物及びその製造方法

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JPH06313291A
JPH06313291A JP1925794A JP1925794A JPH06313291A JP H06313291 A JPH06313291 A JP H06313291A JP 1925794 A JP1925794 A JP 1925794A JP 1925794 A JP1925794 A JP 1925794A JP H06313291 A JPH06313291 A JP H06313291A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐コロナ性(コロナ耐久性)が良好で表面平
滑性にも優れた電気絶縁材料として有用なシート状全芳
香族ポリアミド成形物を提供する。 【構成】 10〜90%の雲母粒子好ましくは予めシラ
ンカップリング処理した雲母粒子と90〜10%の全芳
香族アミド紙料(フィブリッド及び繊維)を含む水分散
液から湿式成形によりシート状成形物を得る際、上記水
分散液にノニオン系高分子凝集剤を添加することによ
り、コロナ耐久度を150分以上としたシート状全芳香
族ポリアミド成形物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なシート状全芳香族
ポリアミド成形物及びその製造方法に関する。さらに詳
しくは、耐熱性を有し、機械的特性、寸法安定性、難燃
性に優れ、さらに電気絶縁性とりわけ耐コロナ性が良好
で、しかも、表面平滑性、成型加工性にも優れている電
気絶縁材用として好適なシート状全芳香族ポリアミド成
形物及びそれを工業的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器、特に変圧器、電動機、
変換器等の密閉系発熱機器の高容量化、小型化が求めら
れる結果、より耐熱性の優れた絶縁材料としてアラミド
シートあるいはアラミドボードと称される全芳香族ポリ
アミドシート状成形物が用いられるようになった。
【0003】しかし、通常のアラミドシートやアラミド
ボードのごとき有機電気絶縁材料の耐久性(特に耐コロ
ナ性)を上回る高度の電気絶縁性が要求される分野に
は、無機物である大型の天然雲母の剥層品が使用されて
きたが、良質かつ大型の天然雲母は産出量に限りがある
上に、高価であり、加えて剥層品は柔軟性に乏しいため
成型加工性等に種々問題があった。
【0004】かかる天然雲母剥層品の代りに、入手しや
すい原料として細粒化された集成雲母に少量の高分子フ
ィブリッドを均一に混合して抄造した後、熱圧処理を施
すことで補強材と一体化する方法が提案されている(特
開昭57―149703号公報、特開昭57―1673
74号公報等参照)。しかし、このような熱圧処理によ
って補強材と接着されたシートは、必要な強度が発現し
にくい上に柔軟性に欠けるため、電気・電子部品として
の複雑な加工要求に十分応えられないという問題があっ
た。
【0005】また、粒状雲母と実質上溶融されていない
全芳香族ポリアミドフィブリッドのもつれあった混合物
から耐高温性シート状構造物を得ようとする試みも提案
されている(特公昭43―20421号公報、英国特許
第1129097号明細書参照)。しかし、この方法で
は、混抄される粒状雲母の中で粒子径の比較的小さいも
のが全芳香族ポリアミドフィブリッドに捕捉され難いた
め、シート形成後の加熱圧縮成形時に脱落しやすく、そ
のため耐コロナ性のバラツキを招くという問題があっ
た。
【0006】また、雲母粒子を全芳香族ポリアミドで被
いかつ連結してなるいわゆる雲母包含パルプをつくり該
雲母粒子と全芳香族ポリアミド繊維とから、油含浸性改
良を狙ったシートを成形することも知られている(特公
昭52―35763号公報、特公昭53―7961号公
報、米国特許第4060451号明細書参照)。この雲
母包含パルプは、全芳香族ポリアミド繊維との接着性に
優れ、かつ微細雲母粒子の脱落防止も期待できるが、煩
雑な包含パルプ製造工程を必要とするため、実用上不利
であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】それ故、本発明の一つ
の目的は、良好な機械的(力学)特性と成型加工性とを
備えた電気絶縁材として好適なシート状全芳香族ポリア
ミド成形物を提供することにある。もう一つの目的は、
かかる成形物において良好な電気絶縁性、とりわけ実用
上重要な一定負荷電圧下での長時間耐久性、いわゆる耐
コロナ性、の向上と、微細雲母粒子脱落防止効果に基く
表面平滑性とを実現したシート状全芳香族ポリアミド成
形物を提供することにある。他のもう一つの目的は、無
機物である雲母粒子をシート状全芳香族ポリアミド成形
物中へ安定に導入することにより、難燃性を有し、温度
変化及び吸湿による寸法変化の少ない電気絶縁材料とし
て有用なシート状全芳香族ポリアミド成形物を提供する
ことにある。
【0008】さらに他の目的は、上述のシート状全芳香
族ポリアミド成形物を効率的に製造する方法を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、10〜9
0重量%の雲母粒子と90〜10重量%の全芳香族ポリ
アミド紙料(すなわち全芳香族ポリアミドフィブリッド
又はこれと全芳香族ポリアミド繊維との両者)とを主た
る配合成分とする水分散液から湿式成形してなるシート
状成形物であって、湿式成形時に上記の水分散液にノニ
オン系高分子凝集剤を添加して作成された、コロナ耐久
度(負荷電圧20KV/mm、交流周波数1,000H
z)が150分以上であることを特徴とする本発明のシ
ート状全芳香族ポリアミド成形物によって達成される。
【0010】また、かかるシート状全芳香族ポリアミド
成形物は、好ましくは、10〜90重量%の雲母粒子と
90〜10重量%の全芳香族ポリアミド紙料を主たる配
合成分とする水分散液からシート状物を湿式成形するに
あたり、好ましくは雲母粒子としてシランカップリング
剤で表面処理したものを用い、かつ、上記水分散液にノ
ニオン系高分子凝集剤を添加することにより、耐熱性、
機械的特性、寸法安定性、難燃性、電気特性、表面平滑
性等の優れたシート状全芳香族ポリアミド成形物を得る
方法によって製造される。
【0011】以下、本発明方法について詳細に説明す
る。
【0012】本発明において、一方の原料として使用す
る雲母は、必ずしも板状の一枚物である必要はなく、雲
母微粒子を水に分散させた後シート状に集積した安価
な、いわゆる「集成マイカ」でもかまわない。雲母の種
類は磁性異物(例えば鉄粉)あるいは形状の大きな異物
(例えばシリカ粒子)等が含まれていない限り、白雲
母、絹雲母、金雲母、黒雲母等いずれでも差支えない。
これらの中でも特に白雲母の集成マイカが実用的であ
る。
【0013】本発明によれば、幅広い粒度分布を持つ集
成マイカを使いこなすことが可能であり、この点も本発
明の利点の一つである。すなわち、雲母粒子と全芳香族
ポリアミド紙料からシート状物を湿式成形するにあた
り、例えば250メッシュの篩を通過するような微細な
粒子(粉末)を含む場合でも、得られた成形物の電気特
性(特に耐コロナ性)が悪化することはない。
【0014】もちろん、微細な雲母粒子の脱落を防ぐに
は、ある限度未満の粒径をもつ雲母をあらかじめ除いて
おく便法もあるが、工業的に実施するには、分別工程が
別に必要になること、分別した残りの微粉末雲母の処理
が問題となること、等を考慮すると工程が煩雑になりコ
スト的に不利である。
【0015】雲母粒子の添加量は、全芳香族ポリアミド
紙料を含むシート全構成成分をベースにして、10〜9
0重量%とすることが必要である。10重量%未満で
は、雲母の添加効果が十分でなく、また90重量%を越
えると得られる成形物の機械的強度及び電気特性が低下
するので好ましくない。雲母粒子の好ましい添加量の範
囲は30〜70重量%である。
【0016】もう一方の原料となる「全芳香族ポリアミ
ド紙料」は、これを水中に分散した後、抄造・乾燥し、
必要に応じて熱圧着するか、あるいは、金網型枠で予備
成形し、これを乾燥・熱圧着することにより、シート状
全芳香族ポリアミド成形物を製造し得る原素材と定義す
る。その構成成分は、具体的には、全芳香族ポリアミド
のフィブリッド(全芳香族ポリアミドの溶液を剪断力の
加えられた凝固浴中で沈殿させて得られるパルプ状粒
子、例えば特公昭35―11851号公報参照)と繊維
である。
【0017】すなわち、本発明で用いられる全芳香族ポ
リアミド紙料は、全芳香族ポリアミドフィブリッドと必
要に応じて加えられる全芳香族ポリアミド繊維とで構成
される。フィブリッドは、水分散液から湿式成形する際
の濾水性を妨げない範囲でよく叩解されていることが、
得られる成形物の機械的特性及び電気特性を向上させる
上から好ましい。好ましい濾水度の範囲は、成形物の坪
量、雲母粒子の混率、粉度分布等によって異なるが、カ
ナディアン標準濾水度(CSF)で80〜200mlに
入るのが望ましい。
【0018】かかる全芳香族ポリアミド紙料のシート状
成形物全構成成分に対する配合比(含有量)は、90〜
10重量%である。配合比が90重量%を越えると得ら
れた成形物の電気絶縁性が十分ではない。また10重量
%未満では、成形物の機械的特性及び電気絶縁性を損う
ため好ましくない。全芳香族ポリアミド紙料の好ましい
配合比の範囲は70〜30重量%である。
【0019】上記紙料において、全芳香族ポリアミドフ
ィブリッドの他に、全芳香族ポリアミド繊維を共存させ
ると、得られる成形物の機械的特性を向上させるので好
ましい。繊維量は成形物全構成成分の30重量%以下が
適当である。繊維量が30重量%を越えると電気絶縁性
が損われるので好ましくない。より好ましい繊維量の範
囲は5〜20重量%である。
【0020】かかる全芳香族ポリアミド繊維としては、
乾式紡糸、湿式紡糸あるいは半乾半湿式紡糸のいずれの
方法で製造したものでも使用できる。通常、繊度0.1
〜10デニール、長さ3〜20mmの短繊維が好適に使
用される。
【0021】ここで言う全芳香族ポリアミドとは、実質
的にアミド結合(―NH―CO―)が芳香環に直接結合
してなる重合体を総称する。本発明では、全芳香族ポリ
アミドとして、繰返し単位の80モル%以上、特に90
モル%以上が下記式(I)のm―フェニレンイソフタル
アミドからなる重合体、下記式(II)のp―フェニレン
テレフタルアミドからなる重合体、及び/又は、下記式
(II)のp―フェニレンテレフタルアミドと下記式(II
I )の3,4′―ジフェニルエーテルテレフタルアミド
とからなる共重合体等が好ましく使用される。
【0022】
【化1】
【0023】もちろんこれらの重合体の基本物性を大き
く損わない範囲で少量の他の共重合成分を導入すること
は差支えない。
【0024】しかしながら、本発明では、特にポリ(m
―フェニレンイソフタルアミド)のフィブリッド及び繊
維が好ましく使用される。ポリ(m―フェニレンイソフ
タルアミド)繊維は、通常、延伸熱処理を施したものが
用いられるが、延伸後熱処理を施さないものでもよい。
また、紙料として、他の重合体(例えばポリエチレンテ
レフタレート等)からなるものを、少量(例えば紙料全
体の20重量%以下、特に10重量%以下)混合するこ
とも可能である。
【0025】雲母粒子を含む全芳香族ポリアミドのシー
ト状成形物は、既述の如く、従来からよく知られている
が、本発明者らの研究の結果、広範な粒度分布をもつ雲
母粒子と全芳香族ポリアミド紙料とを所定割合で水中に
分散させた後、抄紙機による抄造あるいは金網型枠によ
る予備賦形を行う際、該水分散液中にノニオン系高分子
凝集剤を少量共存させると雲母混合の作用効果が著しく
高められ、従来の雲母粒子含有全芳香族ポリアミドシー
ト状成形物では達成できなかった150分以上のコロナ
耐久度(負荷電圧20KV/mm、交流周波数1,00
0Hz)が実現し得ることが見い出された。
【0026】好ましいノニオン系高分子凝集剤の例とし
ては、例えば、三井サイアナミッド社の「アコフロック
(登録商標)N―100」「アコフロック(登録商標)
102」、興南化学工業(株)の「コーナンフロック
(登録商標)ZH―760」、栗田工業(株)の「クリ
フロック(登録商標)PN―162」「クリフロック
(登録商標)PN―131」、ダイヤフロック(株)の
「アクリパーズ(登録商標)」、住友精化(株)の「P
EO―PF」などポリアクリル酸アミドあるいはポリエ
チレンオキシド系の高分子化合物を挙げることができ
る。
【0027】本発明において、成形用の水分散液へのノ
ニオン系高分子凝集剤の添加量は、水分散液の固形分濃
度にもよるが、通常、水に対して0.01〜100pp
m、あるいは固形分(シート構成成分)に対して0.0
5〜1.0重量%の範囲である。この下限未満では、ノ
ニオン系高分子凝集剤添加効果が十分発現しない。また
上限を上回ると、水分散液の粘度が著しく大きくなって
濾水性を損ったり、得られる成形物の電気特性を低下さ
せるため好ましくない。より好ましい範囲は水に対して
0.1〜20ppmである。ノニオン系高分子凝集剤
は、広範なpHの水(pH3〜10)に対して問題なく
使用できる。
【0028】本発明の好ましい実施態様では、雲母粒子
は予めシランカップリング処理が施され、シートの湿式
成形に供せられる。
【0029】雲母粒子をシランカップリング剤で表面処
理する方法としては、それ自体従来公知の方法が採用で
き、例えば、シランカップリング剤を含有する水溶液又
は有機溶剤の溶液に雲母粒子を浸漬する方法、上記溶液
をスプレーによって雲母粒子に付与する方法等、通常の
方法が適用される。この場合、あらかじめ湿式成形に適
した大きさに分散された雲母粒子を用いると効率的に表
面処理を行なうことができる。
【0030】使用するシランカップリング剤としては、
アルコキシシラン系カップリング剤が好ましい。この場
合、ケイ素原子上に置換しているアルコキシ基の数に特
に制約はない。
【0031】雲母粒子の表面を処理するのに使用するシ
ランカップリング剤の量(処理液中に添加するシランカ
ップリング剤の量)は、雲母粒子表面に存在するシラノ
ール基量、処理すべき雲母粒子の表面積、使用するシラ
ンカップリング剤の種類、等によって決定され得るが、
実用上は、処理すべき雲母粒子に対して0.001〜1
0重量%の範囲が好ましく選択される。シランカップリ
ング剤は、通常、水溶液又は有機溶剤で希釈された状態
で付与されるため、溶液中のシランカップリング剤濃度
を調整する方法が簡便に採用される。シランカップリン
グ処理する媒体が水溶液の場合では0.01〜5重量
%、有機溶剤希釈の場合では0.01〜50重量%の範
囲が好ましい濃度である。
【0032】なお、シランカップリング処理する場合、
必要に応じて媒体のpHを調整することができる。
【0033】本発明のシート状成形物は、シランカップ
リング処理された(又は未処理の)雲母粒子及び所望の
濾水度に調整されたフィブリッドと既述範囲に入る配分
量の繊維とからなる全芳香族ポリアミド紙料を含む水分
散液に、ノニオン系高分子凝集剤が添加された状態で、
湿式成形が行われ、シート状の成形物が形成される。
【0034】湿式成形の手段としては、抄紙法又はパル
プモールド法が採用される。具体的には、本発明のシー
ト状アラミド成形物を製造するために、例えば、シラン
カップリング処理した集成マイカの所定量を適当な水中
にとり、ゆっくり攪拌し微粒子状に分散させる。他方、
全芳香族ポリアミド紙料については、公知の方法で所望
の濾水度を持つよう調整されたフィブリッドと必要に応
じて加える所定量の繊維とを水の配されたチェスト(攪
拌機付タンク)にとる。次に、上記雲母分散水をこのチ
ェストに移し、よく攪拌する。ノニオン系高分子凝集剤
は、所定量をこのチェストで添加するのがよい。抄紙時
に添加の場合は、後工程の輸送水分散液に連続的に添加
しても差支えなく、また、最初の雲母分散水中に添加す
るなどで添加しても差支えない。この高分子凝集剤は、
通常、固型か濃厚水溶液で市販されているので、予め濃
度1〜5重量%の水溶液に調整して使用するのが生産上
便利である。
【0035】抄紙にあたっては、通常の円網式、短網
式、長網式のいずれの抄紙機も利用できる。このように
して得られた湿式ウエブ(湿紙)を脱水乾燥して紙状の
シートとする。このシートを、必要ならば複数枚積層し
た後、加熱加圧して、シートを構成する各素材の接着を
強化することができる。加熱加圧処理の好ましい圧力と
しては、面圧で10〜100kg/cm2 、線圧では1
0〜500kg/cmを挙げることができ、好ましい温
度としては230〜330℃を挙げることができる。
【0036】湿式成形の他の例としては、いわゆるパル
プモールド法があるが、この場合も、パルプモールド法
にて成形した後に、上述した圧力温度の範囲で加熱加圧
することができる。
【0037】立体的(三次元的)なシート状成形物を必
要とする場合、例えば上記チェストから適当量の内容物
を大型容器にとり、吸引装置のついた金網型枠を中へ入
れて吸引成形するいわゆるパルプモールド法で予備成形
し、次いで、乾燥後、所定の形状をした金型で圧縮成形
する方法を採用してもよい。その際の最適温度、圧力は
スラリー構成成分によって変化するが、それぞれ温度約
230〜330℃、面圧10〜100kg/cm2 である。
【0038】以上の方法により、目的とするシート状全
芳香族ポリアミド成形物が効率的かつ経済的に製造され
る。
【0039】本発明は、広範な粒度分布を持つ集成マイ
カを使いこなすこと、すなわち、集成マイカを水中に分
散させた後、全芳香族ポリアミド紙料と混合成形する
際、例えば250メッシュの篩を通過するような微細粉
末を含んでいても成形物の電気特性、特にコロナ耐久性
を損わない点を大きな特徴としている。広範な粒度分布
のものを使用する場合、ある限度未満の粒径をした雲母
を予めカットする便法もあるが、工業生産時、分別の工
程が必要な点、さらに分別残りの微粉末雲母処理の問題
等考えると、工程が煩雑になりコスト的に不利である。
本発明ではその必要がないので工業的に有利である。
【0040】なお、雲母微粉末の凝集効果は、ノニオン
系高分子凝集剤の外、アニオン系高分子凝集剤、カチオ
ン系高分子凝集剤でも認められるが、後二者は電気特性
を損うので適当でない。
【0041】かくして、本発明のシート状成形物は、後
述する方法で測定されるコロナ耐久度が150分以上、
好ましくは300〜700分であり、ノニオン系高分子
凝集剤を用いないものに較べて大幅に耐コロナ性が改善
されている。
【0042】また、コロナ耐久度の変動も少なく、後述
の方法で測定される変動率が30%以内の範囲内であ
る。また、表面平滑性も良好で、ベック平滑度で表示し
て6.5%以上の値を示す。
【0043】本発明のシート状成形物の厚さ、坪量は用
途に応じて任意に選択できるが、通常、厚さ0.05〜
1.0mm、好ましくは0.1〜0.5mm、坪量50〜1
000g/m2 、好ましくは100〜500g/m2
範囲で選択される。
【0044】
【発明の効果】以上の如き本発明によれば、電気特性、
耐熱性、機械的特性、寸法安定性、難燃性等に優れたシ
ート状全芳香族ポリアミド成形物が提供される。さら
に、該成形物の電気特性のうち耐コロナ性については、
コロナ耐久性の平均値が向上するとともに、バラツキが
減少するという特異な効果があり、また電気絶縁性(絶
縁破壊電圧)も向上する。実用上、電気絶縁材料の設計
は、性能の平均値でなくバラツキの下限値を考慮してな
されるので、本発明による成形物は材料の信頼性を高め
る上で特に有用である。
【0045】さらに、本発明による成形物は表面平滑
性、寸法安定性、成型加工性も良好であるという利点を
有する。したがって、本発明による紙、シート、ボード
等の成形物は電気絶縁材料として特に有用である。
【0046】しかも、本発明では、比較的安価な「集成
マイカ」を篩別することなく用いることができるので、
極めて経済的に目的とする成形物が得られるという利点
もある。
【0047】以上の効果は、雲母粒子を予めシランカッ
プリング剤処理した場合に特に顕著である。このように
雲母粒子のシランカップリング処理と水分散液へのノニ
オン系高分子凝集剤添加とを併用する相乗効果の根拠に
ついては必ずしも明らかではないが、ノニオン系高分子
凝集剤によって雲母粒子の捕捉効果が促進されるととも
にシランカップリング処理で全芳香族ポリアミド紙料と
雲母粒子との相互作用が強まる結果として、上述の如き
シート状全芳香族ポリアミド成形物の電気特性及び機械
特性が向上するものと推定される。
【0048】
【実施例】次に実施例及び比較例をあげて本発明を詳述
する。しかしながら、これらは本発明の内容を何ら制限
するものではない。実施例に示す各特性値は以下の測定
方法で求めた値である。なお、単に「部」とあるのは重
量部を示す。 (a)絶縁破壊電圧(BDV):JIS―C2111に
準拠。交流電圧で測定した(単位;KV/mm)。 (b)コロナ耐久度:20℃、65%RH、周波数1,
000Hz、負荷電圧20KV/mmの交流電圧下、試験
片10個中5個が絶縁破壊するまでの時間(単位;分)
で表わした。 (c)コロナ耐久度変動率:上記コロナ耐久度テストで
2番目の試料破壊時間(1番目は他要因が入り易いので
除外)と5番目の試料破壊時間(コロナ耐久度)との差
をコロナ耐久度で除し百分率(単位;%)で表わした。 (d)表面平滑度:JIS―P8119(1976)ベ
ック試験器による測定方法に準拠して測定した(単位;
秒)。
【0049】[実施例1〜3、比較例1〜3] (ア)繊維とフィブリッドの作成 特公昭47―10863号公報の方法に基いて界面重合
法で製造したポリ(m―フェニレンイソフタルアミド)
重合体(N―メチル―2―ピロリドンに溶解して測定し
た固有粘度1.35)をN―メチル―2―ピロリドンに
溶解させてドープを作成した。このドープを細孔を多数
配列した紡糸ノズルを通し無機塩水溶液からなる凝固液
中に押し出して糸条とした。これを水洗、延伸、熱処理
を施した後巻取り、繊維を得た。この繊維は繊度2.0
デニール、強度5.8g/de、伸度40%であった。
この繊維を6mmに切断した。
【0050】一方、別途調製したポリ(m―フェニレン
イソフタルアミド)のドープを突起を有する金属性円筒
(ローター)を回転して生ぜしめた剪断場(水とN―メ
チル―2―ピロリドンとの混合液を満たしてある)に通
じてポリマーを凝固沈殿させフィブリッドを作成した。
このフィブリッドを水洗後、通常の方法で叩解処理し、
カナディアン標準濾水度(CSF)170mlとした。
【0051】これらの繊維、フィブリッドを抄紙に用い
た。
【0052】(イ)雲母粒子の粒度分布 湿式篩方式で全量16メッシュ篩を通過、60メッシュ
付近に分布ピークが存在し、250メッシュ篩通過分が
7%ある硬質焼成集成マイカ(日本マイカ製作所、CZ
2T)を本実験に供した。
【0053】(ウ)シートの作成 上記(ア)で作成したフィブリッド(P)、繊維(F)
と上記(イ)に記述した雲母粒子(M)の合計75部
を、配合比(重量比)がそれぞれP/F/M=60/1
0/30(実施例1)、P/F/M=40/10/50
(実施例2)、P/F/M=20/10/70(実施例
3)になるよう約600倍の水中に分散させた。
【0054】次いで、これらの水分散液にそれぞれノニ
オン系高分子凝集剤としてポリアクリル酸アミド(商品
名「アクリパーズ」ダイヤフロック社製)0.075部
(原料全量に対し0.1重量%)添加し、室温で約1分
間攪拌した。ノニオン系高分子凝集剤「アクリパーズ」
は1%水溶液として、剤成分(非水成分)として0.1
重量%になるよう添加した。
【0055】この分散スラリーを抄巾60cmの円網抄紙
機で抄造し、130℃のヤンキードライヤーで乾燥し
て、ロールに巻取った(抄速2m/min )。このロール
2本からシートを取出し、290℃の予熱層を通した直
後、設定温度300℃、線圧200kg/cmの2本の金属
ロール間を通し、貼合せカレンダー加工を行い(加工速
度2m/min )紙状のシートを得た。それぞれの場合の
シート物性を下記の表1に示す。
【0056】比較のため、実施例1〜3と全く同様に、
ただしノニオン系高分子凝集剤を加えずに抄造し、カレ
ンダー加工した(比較例1〜3)。これらの場合のシー
ト物性を表1に併記する。
【0057】
【表1】
【0058】これらの実験によりノニオン系高分子凝集
剤の添加による効果が確認された。
【0059】[実施例4〜8、比較例4] (エ)シートの作成 実施例1〜3で使用したものと同じフィブリッドと雲母
粒子の計75部をそれぞれ下記表2の配合比(重量比)
になるよう約600倍の水中に分散させた。次いで、各
水分散液にノニオン系高分子凝集剤「アクリパーズ」を
0.15部(原料全量に対し0.2重量%)添加し、実
施例1〜3の(ウ)と同様の方法により抄造、乾燥し、
ロールに巻取った。次いで、同様の方法により貼合せカ
レンダー加工を実施し、シートを製造した(実施例4〜
8)。それぞれの場合のシート物性を表2に示す。
【0060】比較のため、雲母粒子を含まない場合につ
いて同様の実験を行った(比較例4)。その結果を表2
に併記する。
【0061】
【表2】
【0062】これらの実験から、電気絶縁性、特にコロ
ナ耐久度に及ぼす雲母粒子の添加量は、10〜90重量
%、好ましくは30〜70重量%であることが明らかに
なった。
【0063】[実施例9〜11]実施例1〜3におい
て、ノニオン系高分子凝集剤としてポリアクリル酸アミ
ド(「アクリパーズ」)の代りに、ポリエチレンオキシ
ド(商品名「PEO―PF」住友精化(株)製)を0.
1重量%用いる以外は、全く同様にして抄造、乾燥、カ
レンダー加工をした。それらの結果を表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】これらの実験により、ポリエチレンオキシ
ドも雲母混抄紙の電気絶縁性向上に極めて有効であるこ
とが確認された。
【0066】また、上述の実施例1〜11を比較例1〜
4と対比することにより、凝集剤添加により表面平滑性
が向上するのは雲母混抄紙の場合であり、雲母非含有の
アラミド100%紙の場合(比較例4)には、顕著な作
用効果が認められないことが理解される。
【0067】[実施例12〜14] (オ)フィブリッドと繊維の作成 特公昭47―10863号公報の方法に基いて界面重合
法によりポリ(m―フェニレンイソフタルアミド)のポ
リマーを製造した。このポリマーのN―メチル―2―ピ
ロリドンに溶解して測定した固有粘度は1.35であ
り、無機塩類を含まないものである。
【0068】このポリマーを特公昭48―17551号
公報に記載の塩化カルシウム水溶液を凝固浴とする湿式
紡糸法に基づいて繊維とした。沸水中で延伸し、熱板上
で更に延伸した繊維の引張強度は4.5g/de、伸度
は18%であった。これを長さ6mmに切断した。
【0069】同様に上記のポリマーをN―メチル―2―
ピロリドンに溶解し、ステーターとローターを組合せて
剪断力を付与する特開昭52―15621号公報に記載
の沈澱装置(直径150mm)を用いてフィブリッドと
した。これをディスクリファイナーで叩解した。得られ
たフイブリッドその濾水度はカナディアン濾水度で11
0mlであった。
【0070】(カ)雲母粒子の粒度分布 実施例1〜3と同様に、湿式篩い方式で全量が16メッ
シュ篩を通過し、60メッシュ付近に分布ピークが存在
し、250メッシュ篩通過分が7%ある硬質焼成集成マ
イカ(日本マイカ製作所、CZ2T)を本実験に供し
た。
【0071】(キ)雲母粒子のシランカップリング処理 上述(カ)の集成マイカ0.38部と水100部とを混
合し、パルパー中で分散させた。これにシランカップリ
ング剤であるN―(トリエトキシシリルプロピル)尿素
0.01部(対雲母2.6重量%)を加え、1時間ゆる
やかに攪拌した後、これを取出し乾燥した。この雲母粒
子を次工程に供した。
【0072】(ク)シート状成形物の作成 上述の(オ)で作成したポリ(m―フェニレンイソフタ
ルアミド)のフィブリッド(P)、繊維(F)と上述
(キ)のシランカップリング処理を施した雲母粒子
(M)の合計75部を、配合比(重量比)が各々P/F
/M=60/10/30、P/F/M=40/10/5
0及びP/F/M=20/10/70になるよう約60
0倍の水中に混合分散させた。次いで、ノニオン系高分
子凝集剤としてポリアクリル酸アミド(「アクリパー
ズ」(登録商標)ダイヤフロック社製)0.075部
(水中濃度1.7ppm、固形分に対して0.1重量
%)を添加し攪拌した。なお、「アクリパーズ」はあら
かじめ調製した1%水溶液を必要量添加する方式を採用
した。
【0073】この分散スラリーを抄造2m/分にて、長
網抄紙機で抄造し、130℃のヤンキードライヤーで乾
燥後ロールに巻き取った。このロール2本からシートを
取出し、温度300℃、線圧200kg/cmの条件に
て2枚を貼合せカレンダー加工した。得られた各シート
状成形物の物性を表4に示す。
【0074】
【表4】
【0075】[実施例15、比較例5]シランカップリ
ング剤をトリメトキシシリルプロピルジエチレントリア
ミンに代えた以外は、実施例12〜14と同様の方法・
条件で抄紙し、原料構成(重量比)がP/F/M=40
/10/50のシートをつくり、得られたシートを25
0℃、150kg/cmの条件で2枚を貼合せカレンダ
ー加工した。
【0076】比較のため、シランカップリング剤処理及
び高分子凝集剤の使用を行なわずに、上記と同様の方法
・条件で抄紙し、同様にカレンダー加工した(比較例
5)。
【0077】両者の結果をあわせて表5に示す。
【0078】
【表5】
【0079】[実施例16]実施例15と同様の方法に
おいて、シランカップリング剤溶液処理した後、120
℃での2時間の乾燥を行なわない雲母粒子を抄紙に供
し、同様にシート状成形物を製造した。その原料構成、
シランカップリング剤使用量、凝集剤使用量、シートの
坪量、厚さ等を表6に示す。また、得られたシートの物
性を表7に示す。
【0080】
【表6】
【0081】
【表7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 17/67 13/44 D21J 1/00 7199−3B // D01F 6/60 371 A 7199−3B 7199−3B D21H 3/60 7199−3B 3/78

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10〜90重量%の雲母粒子と90〜1
    0重量%の全芳香族ポリアミド紙料とを主たる配合成分
    とする水分散液から湿式成形してなるシート状成形物で
    あって、ノニオン系高分子凝集剤を含有しており、か
    つ、コロナ耐久度(負荷電圧20KV/mm、交流周波数
    1,000Hz)が150分以上であることを特徴とす
    るシート状全芳香族ポリアミド成形物。
  2. 【請求項2】 全芳香族ポリアミド紙料が全芳香族ポリ
    アミドフィブリッドと全芳香族ポリアミド繊維であり、
    かつ、全芳香族ポリアミド繊維の含有量がシート状成形
    物全構成成分に対して30重量%以下である請求項1記
    載のシート状全芳香族ポリアミド成形物。
  3. 【請求項3】 全芳香族ポリアミドが実質的にポリ(m
    −フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(p―フェニレ
    ンテレフタルアミド)及び/又はコポリ(p―フェニレ
    ン/3,4′―ジフェニルエーテル・テレフタルアミ
    ド)である請求項1又は請求項2記載のシート状全芳香
    族ポリアミド成形物。
  4. 【請求項4】 ノニオン系高分子凝集剤が実質的にポリ
    アクリル酸アミド及び/又はポリエチレンオキシド系化
    合物である請求項1、請求項2又は請求項3記載のシー
    ト状全芳香族ポリアミド成形物。
  5. 【請求項5】 雲母粒子がシランカップリング処理され
    ている請求項1〜請求項4の何れかに記載のシート状全
    芳香族ポリアミド成形物。
  6. 【請求項6】 コロナ耐久度の変動率が30%以内であ
    る請求項1〜請求項5の何れかに記載のシート状全芳香
    族ポリアミド成形物。
  7. 【請求項7】 湿式成形後に熱圧加工されている請求項
    1〜請求項6の何れかに記載のシート状全芳香族ポリア
    ミド成形物。
  8. 【請求項8】 10〜90重量%の雲母粒子と90〜1
    0重量%の全芳香族ポリアミド紙料とを主たる配合成分
    とする水分散液からシート状物を湿式成形するにあた
    り、水分散液に0.01〜100ppmの割合でノニオ
    ン系高分子凝集剤を添加し、抄紙法又はパルプモールド
    法でシート状に成形することを特徴とするシート状全芳
    香族ポリアミド成形物の製造方法。
  9. 【請求項9】 雲母粒子として予めシランカップリング
    剤で表面処理したものを使用する請求項8記載のシート
    状全芳香族ポリアミド成形物の製造方法。
  10. 【請求項10】 ノニオン系高分子凝集剤がポリアクリ
    ル酸アミド及び/又はポリエチレンオキシド系化合物で
    ある請求項8又は請求項9記載のシート状全芳香族ポリ
    アミド成形物の製造方法。
  11. 【請求項11】 全芳香族ポリアミド紙料として全芳香
    族ポリアミドフィブリッドと全芳香族ポリアミド繊維と
    を用い、かつ全芳香族ポリアミド繊維をシート状全芳香
    族ポリアミド成形物全構成成分に対して30重量%以下
    の割合で使用する請求項8、請求項9又は請求項10記
    載のシート状全芳香族ポリアミド成形物の製造方法。
  12. 【請求項12】 雲母粒子と全芳香族ポリアミド紙料と
    を水中に分散させた後に、シート状に湿式成形し、次い
    で、乾燥し、必要に応じて2枚以上積層した後、加熱加
    圧することを特徴とする請求項8〜請求項11の何れか
    に記載のシート状全芳香族ポリアミド成形物の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 加熱加圧を、温度230〜330℃、
    線圧10〜500kg/cmの条件下で実施する請求項12
    記載のシート状全芳香族ポリアミド成形物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH1150388A (ja) * 1997-08-01 1999-02-23 Oji Paper Co Ltd 易離解性防湿紙
JP2001521968A (ja) * 1997-11-03 2001-11-13 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 改良された伸長性の樹脂組成物
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JP2025538935A (ja) * 2022-10-20 2025-12-03 天蔚藍電駆動科技(江蘇)有限公司 新エネルギー車用の耐コロナ性雲母/アラミド繊維複合材料およびその製造方法

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