JPH06316520A - 非環状ポリイソプレノイド系細胞分化誘導剤 - Google Patents

非環状ポリイソプレノイド系細胞分化誘導剤

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JPH06316520A
JPH06316520A JP5300806A JP30080693A JPH06316520A JP H06316520 A JPH06316520 A JP H06316520A JP 5300806 A JP5300806 A JP 5300806A JP 30080693 A JP30080693 A JP 30080693A JP H06316520 A JPH06316520 A JP H06316520A
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cell differentiation
therapeutic
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inducing
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JP5300806A
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Hisashi Tsurumi
寿 鶴見
Takeshi Takahashi
高橋  健
Hisataka Moriwaki
久隆 森脇
Yasutoshi Muto
泰敏 武藤
Arinobu Tojo
有伸 東條
Shigetaka Asano
茂隆 浅野
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Eisai Co Ltd
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Eisai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 臨床的有用性の高い医薬品のなかった、細胞
分化誘導作用に基づく造血器腫瘍・固形腫瘍などの疾患
の治療・改善剤を提供する。 【構成】 従来の癌薬物治療法の基礎となる考え方は、
増殖能が異常に高い腫瘍細胞をすべて死滅させるという
ものであるが、正常細胞に対しても毒性を示すため重篤
な副作用が避けられず治療効果にも限界があった。一方
細胞分化誘導作用を有するオールトランス−レチノイン
酸は、急性前骨髄球性白血病に対して顕著な効果を示す
が、重篤な副作用も報告されており、寛解後、再発しや
すい問題点もあった。しかし(2E,4E,6E,10
E)−3,7,11,15−テトラメチル−2,4,
6,10,14−ヘキサデカペンタエン酸は意外にも細
胞分化誘導作用を有しており、また安全性も高く、オー
ルトランス−レチノイン酸とは構造が異なるため再発も
起こりにくい可能性が高く、造血器腫瘍、特に急性前骨
髄球性白血病および骨髄異形成症候群に対する臨床上有
用な治療・改善剤となり得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、(2E,4E,6E,
10E)−3,7,11,15−テトラメチル−2,
4,6,10,14−ヘキサデカペンタエン酸(I)また
はその薬理学的に許容される塩の細胞分化誘導(以下、
分化誘導)作用に基づく、造血器腫瘍の治療・改善剤に
関する。
【0002】
【発明の背景】癌(腫瘍)は発現部位・病理像・症状等
により多岐に分類されるが、造血器腫瘍の代表的疾患で
ある白血病は血液細胞(白血球)の腫瘍であり、未分化
の各種幼若型白血球細胞の増殖が特徴である。またそれ
らの中でも、増加している腫瘍細胞が未成熟な芽球であ
るものを急性白血病、成熟細胞であるものを慢性白血病
と分類しており、多岐にわたる臨床症状を呈するが、そ
の多くは、正常造血の抑制に基づく症状と、他臓器への
浸潤・圧迫に基づく症状に大別することができる。具体
的には、正常血球細胞の減少は赤血球減少による貧血・
顆粒球減少による感染症や発熱・血小板の減少による出
血傾向として現れ、正常造血の抑制は骨髄不全を招く。
白血病が予後不良な疾患であることは一般によく知られ
るところであり、これまでにも種々の薬剤や治療方法が
検討されてきた。
【0003】急性白血病のなかでも急性前骨髄球性白血
病(以下、APL)は、腫瘍細胞が前骨髄球の段階で分化
が停止し、多数の粗大顆粒と異型性の強い核を有する前
骨髄球が増殖する白血病であり、血液学上のFAB分類で
はM3に属し、染色体異常t(15:17)を伴うことが特徴であ
る。さらに臨床的には、粗大顆粒に由来する組織トロン
ボプラスチンにより汎発性血管内凝固症候群(DIC)を起
こしやすく、さらに白血病細胞から放出されるプラスミ
ノーゲン活性化因子やエラスターゼ等の線溶系活性化物
質により強い線溶亢進を伴い、重症の出血症状を呈する
急性白血病のなかでも最も重篤な疾患である。
【0004】一方、急性白血病のなかには、芽球が増加
して前白血病の血液像を呈するものの、骨髄中で30%に
及ばない病態もあり、骨髄異形成症候群(以下、MDS)
と呼ばれる。MDSにおいては直ちに臨床症状は現れない
が、時間の経過と共に芽球が増し、APLに進展する可能
性が高い。
【0005】これらの病態に対するこれまでの薬物治療
の基礎となる考え方は、腫瘍細胞である白血病細胞をす
べて死滅させることにより治療効果を得るというもので
あり、従ってよりよい治療成績を上げるために、増殖能
が異常に高い腫瘍に対し、細胞毒性による殺細胞作用を
より強力に発揮する薬剤の開発や、併用療法、高濃度・
多量投与療法などが試みられてきた。しかしこれらの薬
剤や治療法は、腫瘍細胞だけに特異的に作用するのでは
なく、正常細胞に対しても毒性を示すため、心臓・心筋
障害、骨髄機能抑制、悪心・嘔吐、神経障害、脱毛等の
重篤な副作用が発現し、治療効果にも限界があった。
【0006】一方、従来の制癌剤と比較して安全性のよ
り高い各種分化誘導剤が、in vitroにおいて腫瘍細胞を
成熟細胞へ分化誘導する事実は知られており、分化誘導
療法への期待が集まっていたが、残念ながら従来の分化
誘導剤では臨床での有用性が認められなかった。しかし
1988年にヒュン(Huang)らが、下記化学構造式で表され
るオールトランス−レチノイン酸(以下、ATRA)
【0007】
【化2】
【0008】がAPL患者に対し100%に近い完全寛解をも
たらした臨床成績を報告して以来[ブラッド(Blood),7
2,567-572,1988.]、世界各国においてその効果が追試・
再確認され、造血器腫瘍のみならず固形腫瘍を含めた広
い範囲の癌に対する分化誘導療法に期待が高まりつつあ
る。
【0009】
【従来技術】前述のように、ATRAが臨床においてAPLに
有効であることは、ヒュン(Huang)ら[ブラッド(Bloo
d),72,567-572,1988.]を始め、キャステン(Castaigne)
ら[ブラッド(Blood),76,1704-1709,1990.]、ワーレル
(Warrell)ら[ニューイングランド・ジャーナル・オブ
・メディスン(New Engl.J.Med.),324,1385-1393,1991.]
など、多く研究者が報告している。
【0010】またオルソン(Olsson)らは、ビタミンD3の
生理活性型代謝物である 1α,25-ジヒドロキシコレカル
シフェロール(以下、活性V.D3)が、ヒト・リンパ腫培
養細胞系(U937)において分化誘導作用を有することを報
告している[キャンサー・リサーチ(Cancer Res.),43(1
2Pt1),5862-5867,1983.]。これより分化誘導作用を有す
る活性V.D3誘導体の開発も盛んに行われるようになり、
例えば特開昭61-33165号公報には24−アルキルーデヒド
ロビタミンD3誘導体が抗腫瘍作用を有することが、また
特開昭61-140560号公報には20−オキサ-21-ノル−ビタ
ミンD3誘導体が分化誘導作用を有することが、それぞれ
開示されている。
【0011】ツァン(Zhang)らは、ブファリン(Bufalin)
がヒト白血病細胞の培養細胞系であるHL-60、U937およ
びML1において分化誘導作用を示したことを報告してい
る[バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサ
ーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Com
mun.),178(2),686-693,1991.およびキャンサー・リサー
チ(Cancer Res.),52(17),4634-4641,1992.] 。
【0012】また上記以外にも分化誘導作用を有する化
合物として、バカラーニ(Baccarani)らはシトシン・ア
ラビノシド(Ara-C)を[ブリティッシュ・ジャーナル・
オブ・ヘマトロジー(Br.J.Haematol.),42,485-487,197
9.]、モーリン(Morin) らはアクラシノマイシンAを
[キャンサー・リサーチ(Cancer Res.),44,2807-2812,1
984.]、森屋らはインターフェロン−αを[臨床血液,3
2,170-172,1991.]に報告している。
【0013】石倉らは、マウス骨髄球性白血病の培養細
胞系を用いて、ゲラニル・ファルネソール(3,7,11,15,
19−ペンタメチル-2、6、10、14、18-エイコサペンタエン−
1-オール)が分化誘導作用を有することを報告している
[ロイケミア・リサーチ(Leukemia Res.),8(5),843-85
2,1984.] 。
【0014】
【本発明が解決しようとする問題点】ATRAおよびその誘
導体は、従来、皮膚癌や難治性皮膚角化疾患である乾癬
の治療に利用されてきたが、副作用として死亡例も報告
されており[アナルス・オブ・インターナル・メディス
ン(Annals of Internal Medicine),117,292-296,199
2.]、また長期間投与すると、白血球増多症、皮膚や口
唇の乾燥、皮膚炎、胃腸障害、骨痛、高中性脂肪血症、
脂溶性が極めて高いため肝臓肥大などの肝障害等のビタ
ミンA過剰症を発現しやすいことが広く知られている。
その場合、投与を中止しても肝臓や組織に長期間残留す
るため、副作用が一度発現すると長期間消失しない重大
な欠点がある。またATRAがAPLに対して有効であること
は前述の通りであるが、寛解後、投与を継続しても再発
しやすい問題点もあった。
【0015】ビタミンD3誘導体は骨粗鬆症などの治療に
利用されているが、腸管でのカルシウム吸収および腎臓
におけるカルシウム再吸収を促進するので、投与量が過
剰になると高カルシウム血症を引き起こし、石灰沈着に
起因する腎臓障害や消化器障害をもたらすことが知られ
ている。このため投与期間中は定期的に血清カルシウム
値を検査しなければならず、臨床では非常に使いにくい
問題点がある。さらにビタミンD3誘導体の分化誘導作用
は、ヒト前骨髄球性白血病の培養細胞系であるHL-60に
は有効であるが、他のタイプのモデルにおいては有効性
が認められていない。
【0016】ブファリンは臨床には応用されていないた
め、その安全性に関して全く不明であり、ヒトでの有用
性を予測することはできなかった。
【0017】さらにシトシン・アラビノシドやアクラシ
ノマイシンAも安全性上の問題から国内では薬剤として
許可されておらず、インターフェロン−αの抗腫瘍作用
も期待されたほどではなかった。
【0018】ゲラニル・ファルネソールの分化誘導作用
に関する評価結果はマウス白血病細胞培養細胞系におけ
るものである。その後ヒト白血病細胞培養細胞系での評
価結果は全く報告されていないので、種の異なる細胞間
での薬剤感受性の差を考慮すると、ヒトでの有効性は一
切不明であった。
【0019】このように、造血器腫瘍、特にAPLおよびM
DSに対して優れた有効性と安全性を兼ね備えた薬剤はな
いのが現状であり、臨床で広範囲の癌に対し有用性の高
い医薬品の開発が強く望まれていた。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる、(2
E,4E,6E,10E)−3,7,11,15−テト
ラメチル−2,4,6,10,14−ヘキサデカペンタ
エン酸(I)[以下、化合物(I)]は下記化学式で表され、
【0021】
【化3】
【0022】抗癌作用および角化を伴う皮膚疾患に対す
る改善作用を有する化合物として特公昭63-32058号公報
および特開昭57-181012号公報等に開示されており、マ
ウスのパピローマにおいて抗癌作用が確認されている。
またマウスを用いた毒性試験においては、ATRA投与群に
は脱毛、体重減少等のビタミンA過剰症状が発現する
が、化合物(I)投与群には認められず、毒性が極めて低
いことも確認されている。本発明者らは、化合物(I)が
多彩な生理活性と低毒性を兼ね備えていることに着目
し、永年他の疾患への有効性も検討してきた。その結
果、意外にも分化誘導作用も有しており、造血器腫瘍に
対する治療・改善剤として所期の目的を達成できること
を見い出し本発明を完成した。
【0023】従って本発明の目的は、分化誘導作用を有
する臨床的有用性の高い、造血器腫瘍に対する治療・改
善剤を提供することにある。具体的には化学式[化3]
で表される化合物(I)またはその薬理学的に許容される
塩を有効成分とする分化誘導剤、さらに詳しくは造血器
腫瘍の治療・改善剤に関する。ここで造血器腫瘍の具体
的疾患名の一例としては、例えばAPL、MDS、その他の急
性白血病、慢性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、
マクログロブリン血症などを挙げることができ、本発明
の対象疾患がこれらに限定されないことは言うまでもな
いが、特にAPLおよびMDSに対する有効性が高い。
【0024】ATRAがAPLに対して著効を示す機序は、APL
細胞には染色体15と染色体17間の相互転座が認められ、
染色体15上の癌遺伝子PMLと染色体17上のレチノイン酸
レセプターα (RAR-α) 遺伝子が相互転座に伴い癒合遺
伝子PML/RAR-αを形成し、APL細胞の分化を抑制するた
めと考えられている。従って今後はAPLの治療にあた
り、この癒合遺伝子PML/RAR-αの有無を検査することに
より、より適切な薬物治療が可能になると思われるが、
これまでPML/RAR-α陽性細胞に対する有効性は、ATRAを
除いては認められていなかった。しかし本発明にかかる
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、ATRA
以外では初めてPML/RAR-α陽性細胞に対して有効性が認
められた化合物である。
【0025】また前記のように、ATRAでAPLを治療し、
寛解後さらに投与を継続しても再発しやすい問題点があ
った。これはATRAの長期投与により肝薬物代謝酵素誘導
が起こり、ATRA自身の代謝が促進されて十分な血中薬物
濃度を保てないためと考えられている[キャンサー・リ
サーチ(Cancer Research),52,2138-2142,1992.およびブ
ラッド(Blood),79(2),299-303,1992.]。この点に関し
ても本発明にかかる化合物(I)は非環式イソプレノイド
であり、環式イソプレノイドであるATRAとは構造的に全
く異なるので、肝薬物代謝酵素誘導を起こさない可能性
も期待できる。このように化合物(I)またはその薬理学
的に許容される塩は、臨床における確実な有効性が期待
できるものである。
【0026】なお本発明にかかる化合物(I)は、特公昭6
3-32058号公報に記載された方法に従い、ファルネシル
・アセトン(Farnesyl acetone)などを出発物質として製
造することができる。また本発明における薬理学的に許
容される塩とは、化合物(I)と塩を形成可能なものであ
れば限定されないが、具体的には例えばナトリウム塩、
カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属の付加塩、カ
ルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属の付
加塩、アンモニウム塩、メチルアミン塩、エチルアミン
塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エタノー
ルアミン塩等のアミンの付加塩、アミノ酸の付加塩など
を挙げることができる。
【0027】次に本発明化合物の急性毒性試験結果を示
す。
【0028】
【急性毒性試験】
(方法)7〜8週齢のSD系ラットおよびICR系マウスをそ
れぞれ雌雄各5匹用い、経口・筋肉内・皮下・腹腔内投
与による単回投与毒性試験を実施した(媒体;5%アラビ
アゴム)。
【0029】(結果)LD50値(mg/Kg)を下表にまとめ
る。
【0030】
【表1】
【0031】表1から、本発明化合物のLD50値は高く、
安全性が極めて高いことが明らかである。
【0032】投与剤型としては、例えば散剤、細粒剤、
顆粒剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤などの経口製剤、
軟膏、貼付剤等の外用剤および注射製剤が挙げられる。
製剤化の際には、通常の製剤担体を用いて常法により製
造することができる。
【0033】すなわち経口製剤を製造するには、化合物
(I)またはその薬理学的に許容される塩と賦形剤、さら
に必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味
矯臭剤などを加えた後、常法により散剤、細粒剤、顆粒
剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤等とする。
【0034】賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスタ
ーチ、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビット、結
晶セルロース、二酸化ケイ素などが、結合剤としては、
例えばポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メ
チルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、ト
ラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポ
リビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール・ポリ
オキシエチレン・ブロックポリマー、メグルミンなど
が、崩壊剤としては、例えば澱粉、寒天、ゼラチン末、
結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウ
ム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、カ
ルボキシメチルセルロース・カルシウム等が、滑沢剤と
しては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポ
リエチレングリコール、シリカ、硬化植物油等が、着色
剤としては医薬品に添加することが許可されているもの
が、矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香
散、ハッカ油、竜脳、桂皮末等が用いられる。これらの
錠剤・顆粒剤には糖衣、その他必要により適宜コーティ
ングすることはもちろん差支えない。
【0035】また注射用製剤を製造する際には、化合物
(I)またはその薬理学的に許容される塩にpH調整剤、溶
解剤、等張化剤などと、必要に応じて溶解補助剤、安定
化剤などを加えて、常法により製剤化する。
【0036】外用剤を製造する際の方法は限定されず、
常法により製造することができる。すなわち製剤化にあ
たり使用する基剤原料としては、医薬品、医薬部外品、
化粧品等に通常使用される各種原料を用いることが可能
である。
【0037】使用する基剤原料として具体的には、例え
ば動植物油、鉱物油、エステル油、ワックス類、高級ア
ルコール類、脂肪酸類、シリコン油、界面活性剤、リン
脂質類、アルコール類、多価アルコール類、水溶性高分
子類、粘土鉱物類、精製水などの原料が挙げられ、さら
に必要に応じ、pH調整剤、抗酸化剤、キレート剤、防腐
防黴剤、着色料、香料などを添加することができるが、
本発明にかかる外用剤の基剤原料はこれらに限定されな
い。また必要に応じて他の分化誘導作用を有する成分、
血流促進剤、殺菌剤、消炎剤、細胞賦活剤、ビタミン
類、アミノ酸、保湿剤、角質溶解剤等の成分を配合する
こともできる。なお上記基剤原料の添加量は、通常外用
剤の製造にあたり設定される濃度になる量である。
【0038】本発明における化合物(I)またはその薬理
学的に許容される塩の臨床投与量は、症状、重症度、年
齢、合併症などによって異なり限定されず、また塩の種
類・投与経路などによっても異なるが、通常成人1日あ
たり100mg〜1200mgであり、好ましくは300mg〜1000mgで
あり、さらに好ましくは500mg〜700mgであり、これを経
口、静脈内または経皮投与する。
【0039】
【発明の効果】次に本発明化合物の分化誘導剤としての
有用性を示すため、APL患者の白血病細胞および各種ヒ
ト白血病細胞培養系に対する効果実験例を挙げる。なお
実験にあたり、血液を提供されたAPL患者の背景は以下
の通りである。
【0040】
【表2】
【0041】(方法)ヒトAPL細胞の経代培養細胞株で
あるHL-60においては、初期細胞数を5×104細胞/mlに
調整し、化合物(I)あるいはATRA添加(10-4〜10-8mol/
l)のもと、10%加ウシ胎仔血清IMDM培地(ギブコ[Gibc
o] 社製)にて5日間培養した。培養後、バーカー(Burk
er)−ターク(Turk)計算板にて全細胞数を、またトリパ
ン・ブルー(Trypan Blue)に染色された細胞を死細胞と
して生細胞数を算出し、ID50およびLD50を求めた。また
サイトスピン・スライドを作成し、メイ(May)-ギームザ
(Giemsa)染色にて細胞形態の観察を行った。
【0042】APL患者から採取した細胞は、初期細胞数
を1×106細胞/mlに調整し、化合物(I)あるいはATRA添
加(10-6〜10-8mol/l)または無添加のもと、上記10%加
ウシ胎仔血清IMDM培地にて5日間培養した。その後HL-6
0の場合と同様な評価を行った。また下式により、全細
胞に対して成熟細胞が占める割合を求め、分化誘導能を
比較する指標とした 成熟細胞率(%)=[(骨髄球数+後骨髄球数+桿状核球
数+分葉核球数)/全細胞数]×100
【0043】(結果)(1) HL-60に対する増殖阻害作用 HL-60に対する、化合物(I)あるいはATRA濃度と細胞数と
の関係を図1に、濃度と生細胞数との関係を図2に示
す。
【0044】
【図1】
【0045】
【図2】
【0046】図1から明らかなように、化合物(I)、ATR
Aは、いずれも濃度の増加と共にHL-60細胞の増殖を阻害
し、7.5×10-6mol/l以上では明らかな細胞増殖抑制効果
が認められた。またそれぞれのID50は、化合物(I)では
1.0×10-5mol/l、ATRAでは1.4×10-5mol/lであった。
【0047】また図2から明らかなように、化合物
(I)、ATRAは、いずれも1.0×10-5mol/l以上では生細胞
数の減少が認められたが、それ以下の濃度における細胞
毒性は低く、トリパン・ブルーで染色される死細胞は約
10%以下と非常に少なかった。また図2から求めたそれ
ぞれのLD50は、化合物(I)では3.8×10-5mol/l、ATRAで
は2.5×10-5mol/lであった。
【0048】従って化合物(I)とATRAはいずれもHL-60細
胞の分化を誘導することが明らかである。また両者の特
長を明らかにするために、安全域の広さを示す指標であ
るLD 50/ID50比を求めた結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】表3から明らかなように、LD50/ID50比に
おいて、化合物(I)のほうがATRAよりも約2.1倍も安全域
が広く、臨床においてより大きな有用性が期待できる。
【0051】(2) 化合物(I)とATRAの分化誘導能 HL-60細胞に対する分化誘導能を表4に、APL患者細胞に
対する分化誘導能を表5に示した。
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】表4から明らかなように、培養後のHL-60
の形態観察では、化合物(I)では1.0×10-6mol/l以上
で、ATRAでは1.0×10-7mol/l以上で十分な分化誘導作用
が認められた。
【0055】一方、APL患者細胞を用いた検討において
も、化合物(I)はATRAと同様に分化誘導作用を示した。
さらにこれまでATRAのみが有効であった、癒合遺伝子PM
L/RAR-αを有する細胞の全例に対しても、化合物(I)は
有効であり、今後APL患者に対して同遺伝子の検査が日
常的に行われるようになれば、より適切な薬物治療が可
能になると思われる。さらに前記の化合物(I)の安全域
の広さも併せて考えると、化合物(I)またはその薬理学
的に許容される塩は、臨床においてより優れた有用性が
期待できることが明らかである。
【0056】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒトAPL細胞の経代培養細胞株であるHL-60に
対する、化合物(I)あるいはATRA濃度と細胞数の関係を
示した図である。(平均±標準偏差で示す)
【図2】 HL-60に対する、化合物(I)あるいはATRA濃度
と生細胞数の関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 茂隆 東京都杉並区大宮1−20−25

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式で表される(2E,4E,6
    E,10E)−3,7,11,15−テトラメチル−
    2,4,6,10,14−ヘキサデカペンタエン酸(I)
    またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする細
    胞分化誘導剤。 【化1】
  2. 【請求項2】 造血器腫瘍治療剤である請求項1記載の
    細胞分化誘導剤。
  3. 【請求項3】 急性前骨髄球性白血病の治療・改善剤で
    ある請求項1または2記載の細胞分化誘導剤。
  4. 【請求項4】 骨髄異形成症候群の治療・改善剤である
    請求項1または2記載の細胞分化誘導剤。
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