JPH06320731A - サーマルインクジェットヘッド及びその流路基板作製方法 - Google Patents
サーマルインクジェットヘッド及びその流路基板作製方法Info
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- JPH06320731A JPH06320731A JP11442393A JP11442393A JPH06320731A JP H06320731 A JPH06320731 A JP H06320731A JP 11442393 A JP11442393 A JP 11442393A JP 11442393 A JP11442393 A JP 11442393A JP H06320731 A JPH06320731 A JP H06320731A
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- groove
- ink
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- heat generating
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- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 発熱層等を有する発熱体基板とインク流路用
の流路用溝を有する流路基板を積層形成するヘッド構造
に関して、安定かつ必要量のインク滴を噴射させるため
にインク流路の形状、大きさ等を最適化すること。 【構成】 発熱層等を有する発熱体基板に積層される流
路基板3に関して、流路用溝6の一部に拡大領域6aを
形成してインク流路の断面積について発熱体近傍領域で
発熱体下流側領域より大きく設定することで、所望の画
素径を得るに十分な質量のインクを確実に噴射させるこ
とができ、ベタ印写を行う場合に、隣接画素が互いにオ
ーバラップすることで、白地領域のない良好なるベタ印
写を行えるようにした。
の流路用溝を有する流路基板を積層形成するヘッド構造
に関して、安定かつ必要量のインク滴を噴射させるため
にインク流路の形状、大きさ等を最適化すること。 【構成】 発熱層等を有する発熱体基板に積層される流
路基板3に関して、流路用溝6の一部に拡大領域6aを
形成してインク流路の断面積について発熱体近傍領域で
発熱体下流側領域より大きく設定することで、所望の画
素径を得るに十分な質量のインクを確実に噴射させるこ
とができ、ベタ印写を行う場合に、隣接画素が互いにオ
ーバラップすることで、白地領域のない良好なるベタ印
写を行えるようにした。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ノンインパクト記録用
ヘッドの一つである発熱体基板と流路基板とを積層させ
たヘッド構造のサーマルインクジェットヘッド及びその
流路基板作製方法に関する。
ヘッドの一つである発熱体基板と流路基板とを積層させ
たヘッド構造のサーマルインクジェットヘッド及びその
流路基板作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ノンインパクト記録法は、記録時におけ
る騒音の発生が無視し得る程度に極めて小さいという点
において、関心の高い記録法とされている。中でも、高
速記録が可能で、特別な定着処理を必要とせず所謂普通
紙に記録を行うことが可能な、所謂インクジェット記録
法は極めて有力な記録法である。そこで、従来において
もインクジェット記録法に関して様々な方式が提案さ
れ、種々の改良も加えられ、現に商品化されているもの
や、実用化に向けて開発段階のものもある。
る騒音の発生が無視し得る程度に極めて小さいという点
において、関心の高い記録法とされている。中でも、高
速記録が可能で、特別な定着処理を必要とせず所謂普通
紙に記録を行うことが可能な、所謂インクジェット記録
法は極めて有力な記録法である。そこで、従来において
もインクジェット記録法に関して様々な方式が提案さ
れ、種々の改良も加えられ、現に商品化されているもの
や、実用化に向けて開発段階のものもある。
【0003】このようなインクジェット記録法は、所謂
インクと称される記録液体の小滴(droplet) を飛翔さ
せて普通紙などの記録媒体に付着させて記録を行うもの
である。その一例として、例えば本出願人提案による特
公昭56−9429号公報に示されるようなものがあ
る。これは、要約すれば、液室内のインクを加熱して気
泡を発生させることでインクに圧力上昇を生じさせ、微
細な毛細管ノズルからインクを飛び出させて記録するよ
うにしたものである。
インクと称される記録液体の小滴(droplet) を飛翔さ
せて普通紙などの記録媒体に付着させて記録を行うもの
である。その一例として、例えば本出願人提案による特
公昭56−9429号公報に示されるようなものがあ
る。これは、要約すれば、液室内のインクを加熱して気
泡を発生させることでインクに圧力上昇を生じさせ、微
細な毛細管ノズルからインクを飛び出させて記録するよ
うにしたものである。
【0004】その後、このようなインク飛翔原理を利用
して多くの提案がなされている。これらの提案の中で、
例えば特開平2−67140号公報に示されるような流
路基板の製法が本出願人により提案されている。これ
は、単結晶シリコン(Si)の異方性エッチングを利用
したV字溝を流路とするようにしたものである。このよ
うに形成されるインク流路は、V字溝の両側2面を形成
する面が(111)面となり、単結晶の精度で形成で
き、かつ、その面も非常に滑らかとなるため、インクジ
ェットの流路として考えた場合、非常に都合のよいもの
となる。
して多くの提案がなされている。これらの提案の中で、
例えば特開平2−67140号公報に示されるような流
路基板の製法が本出願人により提案されている。これ
は、単結晶シリコン(Si)の異方性エッチングを利用
したV字溝を流路とするようにしたものである。このよ
うに形成されるインク流路は、V字溝の両側2面を形成
する面が(111)面となり、単結晶の精度で形成で
き、かつ、その面も非常に滑らかとなるため、インクジ
ェットの流路として考えた場合、非常に都合のよいもの
となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
構成のサーマルインクジェットヘッドは、未だ研究が始
まったばかりであり、そのインク流路の形状、大きさな
どをどのように設定すれば、安定して必要な大きさのイ
ンク滴を飛翔させ得るかは、未だ分かっておらず、改良
の余地がある。
構成のサーマルインクジェットヘッドは、未だ研究が始
まったばかりであり、そのインク流路の形状、大きさな
どをどのように設定すれば、安定して必要な大きさのイ
ンク滴を飛翔させ得るかは、未だ分かっておらず、改良
の余地がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、基板上に蓄熱層と発熱層とこの発熱層に通電するた
めの電極と保護層とを形成した発熱体基板と、(10
0)面の結晶方位面に切出された単結晶シリコンウエハ
上に異方性エッチングにより流路用溝を形成した流路基
板とを設け、これらの発熱体基板と流路基板とを発熱面
と溝面とが相対するように積層させて発熱体毎にインク
流路を形成するようにしたサーマルインクジェットヘッ
ドにおいて、前記インク流路の断面積を発熱体近傍領域
で発熱体下流側領域より大きく設定した。
は、基板上に蓄熱層と発熱層とこの発熱層に通電するた
めの電極と保護層とを形成した発熱体基板と、(10
0)面の結晶方位面に切出された単結晶シリコンウエハ
上に異方性エッチングにより流路用溝を形成した流路基
板とを設け、これらの発熱体基板と流路基板とを発熱面
と溝面とが相対するように積層させて発熱体毎にインク
流路を形成するようにしたサーマルインクジェットヘッ
ドにおいて、前記インク流路の断面積を発熱体近傍領域
で発熱体下流側領域より大きく設定した。
【0007】この際、請求項2記載の発明では、流路用
溝の溝幅を部分的に広くしてその領域のインク流路の断
面積を大きくし、請求項3記載の発明では、流路用溝の
溝深さを部分的に深くしてその領域のインク流路の断面
積を大きくした。
溝の溝幅を部分的に広くしてその領域のインク流路の断
面積を大きくし、請求項3記載の発明では、流路用溝の
溝深さを部分的に深くしてその領域のインク流路の断面
積を大きくした。
【0008】これらの発明において、請求項4記載の発
明では、断面積を大きくした領域の中心部を発熱体領域
の中心部よりも下流側位置に設定した。
明では、断面積を大きくした領域の中心部を発熱体領域
の中心部よりも下流側位置に設定した。
【0009】また、請求項3記載のサーマルインクジェ
ットヘッドの流路基板作製方法として、請求項5記載の
発明では、(100)面の結晶方位面に切出された単結
晶シリコンウエハ上で流路用溝部分及び溝深さを深くす
る部分とのフォトリソグラフィ工程及び異方性エッチン
グ工程を各々同時に行い、流路用溝を形成した後も、異
方性エッチング工程を続行して溝深さの深い部分を形成
するようにした。
ットヘッドの流路基板作製方法として、請求項5記載の
発明では、(100)面の結晶方位面に切出された単結
晶シリコンウエハ上で流路用溝部分及び溝深さを深くす
る部分とのフォトリソグラフィ工程及び異方性エッチン
グ工程を各々同時に行い、流路用溝を形成した後も、異
方性エッチング工程を続行して溝深さの深い部分を形成
するようにした。
【0010】
【作用】請求項1記載の発明においては、インク流路の
断面積について発熱体近傍領域で発熱体下流側領域より
大きく設定したので、所望の画素径を得るに十分な質量
のインクを確実に噴射させることができ、よって、ベタ
印写を行う場合、隣接画素が互いにオーバラップするも
のとなり、白地領域のない良好なるベタ印写を行えるも
のとなる。
断面積について発熱体近傍領域で発熱体下流側領域より
大きく設定したので、所望の画素径を得るに十分な質量
のインクを確実に噴射させることができ、よって、ベタ
印写を行う場合、隣接画素が互いにオーバラップするも
のとなり、白地領域のない良好なるベタ印写を行えるも
のとなる。
【0011】請求項2記載の発明においては、溝幅を部
分的に広げることによりその領域のインク流路の断面積
を大きくするようにしたので、異方性エッチングにより
流路用溝を形成する際に部分的にマスクパターンを広げ
るだけで容易にして同時に形成できるものとなり、部分
的に流路幅の広がった流路基板を精度よく作製できるも
のとなる。
分的に広げることによりその領域のインク流路の断面積
を大きくするようにしたので、異方性エッチングにより
流路用溝を形成する際に部分的にマスクパターンを広げ
るだけで容易にして同時に形成できるものとなり、部分
的に流路幅の広がった流路基板を精度よく作製できるも
のとなる。
【0012】加えて、請求項3記載の発明においては、
溝深さを部分的に深くすることによりその領域のインク
流路の断面積を大きくするようにしたので、発熱体部分
に発生した気泡がインク流路の天井面に接触してインク
流れを閉塞させることによる噴射停止が皆無となり、よ
って、より信頼性高く、十分な量のインクを噴射させる
ことができ、印写品質が向上する。
溝深さを部分的に深くすることによりその領域のインク
流路の断面積を大きくするようにしたので、発熱体部分
に発生した気泡がインク流路の天井面に接触してインク
流れを閉塞させることによる噴射停止が皆無となり、よ
って、より信頼性高く、十分な量のインクを噴射させる
ことができ、印写品質が向上する。
【0013】一方、請求項4記載の発明においては、断
面積を大きくした領域の中心部を発熱体領域の中心部よ
りも下流側、即ち、インク滴吐出側位置に設定したの
で、インク吐出に有利な条件設定となり、連続駆動周波
数を向上させることができ、高速印写が可能となる。
面積を大きくした領域の中心部を発熱体領域の中心部よ
りも下流側、即ち、インク滴吐出側位置に設定したの
で、インク吐出に有利な条件設定となり、連続駆動周波
数を向上させることができ、高速印写が可能となる。
【0014】また、請求項5記載の発明においては、請
求項3記載のサーマルインクジェットヘッドの流路基板
作製方法として、(100)面に対する異方性エッチン
グ工程において、流路用溝の両側側面をなす(111)
面が、一旦、露出形成されると、その領域のエッチング
はそれ以上殆ど進行しないという性質に着目し、(10
0)面の結晶方位面に切出された単結晶シリコンウエハ
上で流路用溝部分及び溝深さを深くする部分とのフォト
リソグラフィ工程及び異方性エッチング工程を各々同時
に行い、流路用溝を形成した後も、異方性エッチング工
程を続行して溝深さの深い部分を形成するようにしたの
で、流路用溝形成後も、異方性エッチングをさらに続行
するだけで部分的により深くなる溝部分も形成できるも
のとなり、1回の異方性エッチング工程で済み、短時間
・低コストにして作製可能となる。
求項3記載のサーマルインクジェットヘッドの流路基板
作製方法として、(100)面に対する異方性エッチン
グ工程において、流路用溝の両側側面をなす(111)
面が、一旦、露出形成されると、その領域のエッチング
はそれ以上殆ど進行しないという性質に着目し、(10
0)面の結晶方位面に切出された単結晶シリコンウエハ
上で流路用溝部分及び溝深さを深くする部分とのフォト
リソグラフィ工程及び異方性エッチング工程を各々同時
に行い、流路用溝を形成した後も、異方性エッチング工
程を続行して溝深さの深い部分を形成するようにしたの
で、流路用溝形成後も、異方性エッチングをさらに続行
するだけで部分的により深くなる溝部分も形成できるも
のとなり、1回の異方性エッチング工程で済み、短時間
・低コストにして作製可能となる。
【0015】
【実施例】本発明の一実施例を図面に基づいて説明す
る。本実施例のサーマルインクジェットヘッドの基本構
成及び動作原理を図3ないし図5を参照して説明する。
このヘッドチップ1は図3に示すように発熱体基板2上
に流路基板3を積層させたものである。ここに、流路基
板3には表裏に貫通したインク流入口4が形成されてい
るとともに、インク流路5を形成するための流路用溝6
が複数本平行に形成されている。前記インク流入口4は
これらの流路用溝6に連なった共通液室領域7に連通し
ている。また、発熱体基板2上には図4に示すように各
インク流路5に対応してエネルギー作用部を構成する発
熱体(ヒータ)8が発熱体列をなすように複数個形成さ
れ、各々個別に制御電極9に接続されているとともに共
通電極10に共通接続されている。これらの電極9,1
0の一端は発熱体基板2の端部まで引出され、駆動信号
導入部となるボンディングパッド部11とされている。
ここに、発熱体基板2の発熱面上に流路基板3の溝面側
を相対させて積層接合することにより、流路用溝6及び
共通液室領域7は閉じられた状態となり、先端にノズル
吐出口5aを有するインク流路5とインク供給室とが形
成される。
る。本実施例のサーマルインクジェットヘッドの基本構
成及び動作原理を図3ないし図5を参照して説明する。
このヘッドチップ1は図3に示すように発熱体基板2上
に流路基板3を積層させたものである。ここに、流路基
板3には表裏に貫通したインク流入口4が形成されてい
るとともに、インク流路5を形成するための流路用溝6
が複数本平行に形成されている。前記インク流入口4は
これらの流路用溝6に連なった共通液室領域7に連通し
ている。また、発熱体基板2上には図4に示すように各
インク流路5に対応してエネルギー作用部を構成する発
熱体(ヒータ)8が発熱体列をなすように複数個形成さ
れ、各々個別に制御電極9に接続されているとともに共
通電極10に共通接続されている。これらの電極9,1
0の一端は発熱体基板2の端部まで引出され、駆動信号
導入部となるボンディングパッド部11とされている。
ここに、発熱体基板2の発熱面上に流路基板3の溝面側
を相対させて積層接合することにより、流路用溝6及び
共通液室領域7は閉じられた状態となり、先端にノズル
吐出口5aを有するインク流路5とインク供給室とが形
成される。
【0016】このようなヘッドチップ1において、サー
マルインクジェットによるインク噴射は図5に示すよう
なプロセスにより行われる。まず、定常状態では同図
(a)に示すような状態にあり、ノズル吐出口5a先端
のオリフィス面でインク14の表面張力と外圧とが平衡
状態にある。ついで、ヒータ8が加熱され、その表面温
度が急上昇し隣接インク層に沸騰現象が起きるまで加熱
されると同図(b)に示すように、微小な気泡15が点
在する状態となる。さらに、ヒータ8全面で急激に加熱
された隣接インク層が瞬時に気化し、沸騰膜を作り、同
図(c)に示すように気泡15が成長する。この時、イ
ンク流路5内の圧力は、気泡15の成長した分だけ上昇
し、オリフィス面での外圧とのバランスが崩れ、オリフ
ィスよりインク柱16が成長し始める。同図(d)は気
泡15が最大に成長した状態を示し、オリフィス面より
気泡15の体積に相当する分のインク14が押出され
る。この時、ヒータ8には既に電流が流れていない状態
にあり、ヒータ8の表面温度は降下しつつある。気泡1
5の体積の最大値は電気パルス印加のタイミングよりや
や遅れたものとなる。やがて、気泡15はインク14な
どにより冷却されて同図(e)に示すように収縮し始め
る。インク柱16の先端部では押出された速度を保ちつ
つ前進し、後端部では気泡15の収縮に伴うインク流路
の内圧の減少によってオリフィス面からインク流路内に
インク14が逆流し、インク柱16基部にくびれが生ず
る。その後、同図(f)に示すように気泡15がさらに
収縮し、ヒータ8面にインク14が接し、ヒータ8面が
さらに冷却される。オリフィス面では外圧がインク流路
内圧より高い状態になるため、メニスカスが大きくイン
ク流路内に入り込んでくる。インク柱16の先端部は液
滴17となって記録紙(図示せず)の方向へ5〜10m
/secの速度で飛翔する。その後、同図(g)に示すよ
うに毛細管現象によりオリフィスにインク14が再び供
給(リフィル)されて同図(a)の定常状態に戻る過程
で、気泡15は完全に消滅する。
マルインクジェットによるインク噴射は図5に示すよう
なプロセスにより行われる。まず、定常状態では同図
(a)に示すような状態にあり、ノズル吐出口5a先端
のオリフィス面でインク14の表面張力と外圧とが平衡
状態にある。ついで、ヒータ8が加熱され、その表面温
度が急上昇し隣接インク層に沸騰現象が起きるまで加熱
されると同図(b)に示すように、微小な気泡15が点
在する状態となる。さらに、ヒータ8全面で急激に加熱
された隣接インク層が瞬時に気化し、沸騰膜を作り、同
図(c)に示すように気泡15が成長する。この時、イ
ンク流路5内の圧力は、気泡15の成長した分だけ上昇
し、オリフィス面での外圧とのバランスが崩れ、オリフ
ィスよりインク柱16が成長し始める。同図(d)は気
泡15が最大に成長した状態を示し、オリフィス面より
気泡15の体積に相当する分のインク14が押出され
る。この時、ヒータ8には既に電流が流れていない状態
にあり、ヒータ8の表面温度は降下しつつある。気泡1
5の体積の最大値は電気パルス印加のタイミングよりや
や遅れたものとなる。やがて、気泡15はインク14な
どにより冷却されて同図(e)に示すように収縮し始め
る。インク柱16の先端部では押出された速度を保ちつ
つ前進し、後端部では気泡15の収縮に伴うインク流路
の内圧の減少によってオリフィス面からインク流路内に
インク14が逆流し、インク柱16基部にくびれが生ず
る。その後、同図(f)に示すように気泡15がさらに
収縮し、ヒータ8面にインク14が接し、ヒータ8面が
さらに冷却される。オリフィス面では外圧がインク流路
内圧より高い状態になるため、メニスカスが大きくイン
ク流路内に入り込んでくる。インク柱16の先端部は液
滴17となって記録紙(図示せず)の方向へ5〜10m
/secの速度で飛翔する。その後、同図(g)に示すよ
うに毛細管現象によりオリフィスにインク14が再び供
給(リフィル)されて同図(a)の定常状態に戻る過程
で、気泡15は完全に消滅する。
【0017】ついで、このようなヘッドチップ1を構成
する発熱体基板2、流路基板3等について詳細に説明す
る。まず、発熱体基板2について説明する。一般に、こ
の種のサーマルインクジェットヘッド用の発熱体基板と
しては熱伝導率の高いSiウエハやアルミナセラミック
スなどが使用される他、材料入手の容易なガラス基板な
どが使用されるが、単結晶Siウエハ上にヒータ8等が
形成されるものとする。
する発熱体基板2、流路基板3等について詳細に説明す
る。まず、発熱体基板2について説明する。一般に、こ
の種のサーマルインクジェットヘッド用の発熱体基板と
しては熱伝導率の高いSiウエハやアルミナセラミック
スなどが使用される他、材料入手の容易なガラス基板な
どが使用されるが、単結晶Siウエハ上にヒータ8等が
形成されるものとする。
【0018】このSiウエハは例えば拡散炉中でO2 ,
H2O のガスを流しながら、800〜1000℃の高温
にさらされ、表面に熱酸化膜SiO2 を1〜2μm成長
させる。この熱酸化膜SiO2 は図6に示すように蓄熱
層21として働き、発熱体で発生した熱が基板(Siウ
エハ)側に逃げないようにすることで、インク方向に効
率よく熱が伝わるようにするためのものである。この蓄
熱層21上にはヒータ8となる発熱層22が形成され
る。この発熱層22を構成する材料としては、タンタル
‐SiO2 の混合物、窒化タンタル、ニクロム、銀‐パ
ラジウム合金、シリコン半導体、或いは、ハフニウム、
ランタン、ジルコニウム、チタン、タンタル、タングス
テン、モリブデン、ニオブ、クロム、バナジウム等の金
属の硼化物が有用である。金属の硼化物中、特に優れて
いるものは、硼化ハフニウムであり、以下、硼化ジルコ
ニウム、硼化ランタン、硼化タンタル、硼化バナジウ
ム、硼化ニオブの順となる。発熱層22はこのような材
料を用いて、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法など
の手法により形成される。発熱層22の膜厚としては、
単位時間当りの発熱量が所望通りとなるように、その面
積、材料及び熱作用部分の形状及び大きさ、さらには、
実際面での消費電力等によって決定されるが、通常、
0.001〜0.5μm、より好ましくは0.01〜1
μmとされる。本実施例では、その一例としてHfB2
(硼化ハフニム)を材料として2000Åの膜厚にスパ
ッタリング形成されている。
H2O のガスを流しながら、800〜1000℃の高温
にさらされ、表面に熱酸化膜SiO2 を1〜2μm成長
させる。この熱酸化膜SiO2 は図6に示すように蓄熱
層21として働き、発熱体で発生した熱が基板(Siウ
エハ)側に逃げないようにすることで、インク方向に効
率よく熱が伝わるようにするためのものである。この蓄
熱層21上にはヒータ8となる発熱層22が形成され
る。この発熱層22を構成する材料としては、タンタル
‐SiO2 の混合物、窒化タンタル、ニクロム、銀‐パ
ラジウム合金、シリコン半導体、或いは、ハフニウム、
ランタン、ジルコニウム、チタン、タンタル、タングス
テン、モリブデン、ニオブ、クロム、バナジウム等の金
属の硼化物が有用である。金属の硼化物中、特に優れて
いるものは、硼化ハフニウムであり、以下、硼化ジルコ
ニウム、硼化ランタン、硼化タンタル、硼化バナジウ
ム、硼化ニオブの順となる。発熱層22はこのような材
料を用いて、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法など
の手法により形成される。発熱層22の膜厚としては、
単位時間当りの発熱量が所望通りとなるように、その面
積、材料及び熱作用部分の形状及び大きさ、さらには、
実際面での消費電力等によって決定されるが、通常、
0.001〜0.5μm、より好ましくは0.01〜1
μmとされる。本実施例では、その一例としてHfB2
(硼化ハフニム)を材料として2000Åの膜厚にスパ
ッタリング形成されている。
【0019】電極9,10を構成する材料としては、通
常使用されている電極材料の多くのものを使用し得る。
具体的には、例えばAl,Ag,Au,Pt,Cu等が
挙げられ、これらを使用して蒸着等の手法により発熱層
22上の所定位置に所定の大きさ、形状、膜厚で形成さ
れる。本実施例では、例えばAlを用い、スパッタリン
グ法により膜厚1.4μmの電極9,10を形成した。
常使用されている電極材料の多くのものを使用し得る。
具体的には、例えばAl,Ag,Au,Pt,Cu等が
挙げられ、これらを使用して蒸着等の手法により発熱層
22上の所定位置に所定の大きさ、形状、膜厚で形成さ
れる。本実施例では、例えばAlを用い、スパッタリン
グ法により膜厚1.4μmの電極9,10を形成した。
【0020】ついで、これらの発熱層22や電極9,1
0上には保護層23が形成される。この保護層23に要
求される特性は、ヒータ8部分で発生した熱をインクに
効率よく伝達することを妨げず、かつ、ヒータ8をイン
クから保護し得ることである。よって、この保護層23
を構成する材料としては、例えば酸化シリコン、窒化シ
リコン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化タ
ンタル、酸化ジルコニウム等がよい。これらを材料とし
て、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法により保護層
23が形成される。また、炭化珪素、酸化アルミニウム
等のセラミックス材料を用いてもよい。保護層23の膜
厚としては、通常、0.01〜10μmとされるが、好
ましくは、0.1〜5μm、最適には0.1〜3μm程
度とするのがよい。本実施例では、SiO2 膜としてス
パッタリング法により1.2μmの膜厚に形成した。
0上には保護層23が形成される。この保護層23に要
求される特性は、ヒータ8部分で発生した熱をインクに
効率よく伝達することを妨げず、かつ、ヒータ8をイン
クから保護し得ることである。よって、この保護層23
を構成する材料としては、例えば酸化シリコン、窒化シ
リコン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化タ
ンタル、酸化ジルコニウム等がよい。これらを材料とし
て、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法により保護層
23が形成される。また、炭化珪素、酸化アルミニウム
等のセラミックス材料を用いてもよい。保護層23の膜
厚としては、通常、0.01〜10μmとされるが、好
ましくは、0.1〜5μm、最適には0.1〜3μm程
度とするのがよい。本実施例では、SiO2 膜としてス
パッタリング法により1.2μmの膜厚に形成した。
【0021】さらに、保護層23上に耐キャビテーショ
ン保護層24が形成されている。この保護層24は発熱
体領域を気泡発生によるキャビテーション破壊から保護
するためのものであり、例えば、Taをスパッタリング
法により4000Åの膜厚に形成される。さらに、その
上部には、電極9,10対応位置に位置させて膜厚2μ
mのResin層が電極保護層25として形成されている。
ン保護層24が形成されている。この保護層24は発熱
体領域を気泡発生によるキャビテーション破壊から保護
するためのものであり、例えば、Taをスパッタリング
法により4000Åの膜厚に形成される。さらに、その
上部には、電極9,10対応位置に位置させて膜厚2μ
mのResin層が電極保護層25として形成されている。
【0022】次に、流路基板3について説明する。この
流路基板3は発熱体基板2と同じく単結晶Siウエハ、
より具体的には、図7に示すように(100)面の結晶
方位面に切出されたSiウエハが用いられる。この単結
晶Siウエハは図におけるX軸とY軸とが互いに直交す
る<110>軸となるように選定され、かつ、X‐Y軸
面(上下面)が単結晶の(100)面となるように選定
されている。このようにすると、単結晶の(111)面
はY軸に平行で、かつ、X‐Y軸面に対して約54.7
°の角度で交わることになる。流路基板3に形成される
流路用溝6はV字溝形状とされるが、このV字溝はその
2つの傾斜面が各々(111)面で構成されている。
(111)面は他の結晶面に比べ水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、ヒトラジンのようなアルカリ系溶液によ
るエッチング速度が極めて遅く、(100)面をアルカ
リ系溶液でエッチングすると、(111)面で規制され
たV字形の溝を流路用溝6として得ることができる。こ
のようなV字溝の上部の幅はフォトエッチングの際のフ
ォトレジストの間隔で定まり、極めて精度の高いものと
なる。また、V字溝の深さは(100)面と(111)
面とのなす角度(約54.7°)と上面の幅とで定まる
ので、これも極めて精度の高いものとなる。さらには、
エッチングによって現れた(111)面は極めて平滑で
直線性のよいものとなる。
流路基板3は発熱体基板2と同じく単結晶Siウエハ、
より具体的には、図7に示すように(100)面の結晶
方位面に切出されたSiウエハが用いられる。この単結
晶Siウエハは図におけるX軸とY軸とが互いに直交す
る<110>軸となるように選定され、かつ、X‐Y軸
面(上下面)が単結晶の(100)面となるように選定
されている。このようにすると、単結晶の(111)面
はY軸に平行で、かつ、X‐Y軸面に対して約54.7
°の角度で交わることになる。流路基板3に形成される
流路用溝6はV字溝形状とされるが、このV字溝はその
2つの傾斜面が各々(111)面で構成されている。
(111)面は他の結晶面に比べ水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、ヒトラジンのようなアルカリ系溶液によ
るエッチング速度が極めて遅く、(100)面をアルカ
リ系溶液でエッチングすると、(111)面で規制され
たV字形の溝を流路用溝6として得ることができる。こ
のようなV字溝の上部の幅はフォトエッチングの際のフ
ォトレジストの間隔で定まり、極めて精度の高いものと
なる。また、V字溝の深さは(100)面と(111)
面とのなす角度(約54.7°)と上面の幅とで定まる
ので、これも極めて精度の高いものとなる。さらには、
エッチングによって現れた(111)面は極めて平滑で
直線性のよいものとなる。
【0023】ここに、このような単結晶Siウエハを用
いて、異方性フォトエッチング法により流路用溝6を形
成する方法について、図8を参照して説明する。まず、
図7で説明したような結晶方位のSi単結晶からなる流
路基板3を用意する。図8(a)に示す状態では、紙面
に対して垂直方向が<110>軸、この基板3の上下面
が(100)面となる。このような基板3を、例えば8
00〜1200℃程度の水蒸気雰囲気中に置き、表面全
面に熱酸化膜26を形成する。熱酸化膜26の膜厚はエ
ッチング深さの0.3%程度あれば十分である。つい
で、同図(b)に示すように、熱酸化膜26の上面全面
に周知の方法でフォトレジストを塗布し、これを写真乾
板を用いて露光し、現像を行い、フォトレジストパター
ン27を得る。ついで、同図(c)に示すように、この
フォトレジストパターン27により露出している部分の
熱酸化膜26をフッ酸水溶液等により除去し、シリコン
の露出部3aを得て、その後、フォトレジストパターン
27を取り去る。このような状態にある基板3を、例え
ば5〜40%,80℃の水酸化カリウム溶液中において
エッチングする。これにより露出部3aのエッチングが
進行するが、(111)面のエッチング進行速度は(1
00)面におけるエッチング進行速度の0.3〜0.4
%程度であるため、異方性エッチングとなり、露出部3
aの各溝部からは基板3の上面(前述したように、(1
00)面である)に対し、tan~1√2(約54.7°)
の角度をなす(111)面が現れる。結局、エッチング
により形成される流路用溝6の溝形状は同図(d)に示
すように台形状となる。さらにエッチングを進めると、
流路用溝6は同図(e)に示すように、2つの(11
1)面によって規制されたV字溝となる。
いて、異方性フォトエッチング法により流路用溝6を形
成する方法について、図8を参照して説明する。まず、
図7で説明したような結晶方位のSi単結晶からなる流
路基板3を用意する。図8(a)に示す状態では、紙面
に対して垂直方向が<110>軸、この基板3の上下面
が(100)面となる。このような基板3を、例えば8
00〜1200℃程度の水蒸気雰囲気中に置き、表面全
面に熱酸化膜26を形成する。熱酸化膜26の膜厚はエ
ッチング深さの0.3%程度あれば十分である。つい
で、同図(b)に示すように、熱酸化膜26の上面全面
に周知の方法でフォトレジストを塗布し、これを写真乾
板を用いて露光し、現像を行い、フォトレジストパター
ン27を得る。ついで、同図(c)に示すように、この
フォトレジストパターン27により露出している部分の
熱酸化膜26をフッ酸水溶液等により除去し、シリコン
の露出部3aを得て、その後、フォトレジストパターン
27を取り去る。このような状態にある基板3を、例え
ば5〜40%,80℃の水酸化カリウム溶液中において
エッチングする。これにより露出部3aのエッチングが
進行するが、(111)面のエッチング進行速度は(1
00)面におけるエッチング進行速度の0.3〜0.4
%程度であるため、異方性エッチングとなり、露出部3
aの各溝部からは基板3の上面(前述したように、(1
00)面である)に対し、tan~1√2(約54.7°)
の角度をなす(111)面が現れる。結局、エッチング
により形成される流路用溝6の溝形状は同図(d)に示
すように台形状となる。さらにエッチングを進めると、
流路用溝6は同図(e)に示すように、2つの(11
1)面によって規制されたV字溝となる。
【0024】このようなV字溝の精度について考察する
と、まず、熱酸化膜26端部の下溝における、いわゆる
アンダカットは極めて小さく、純度の高い水酸化ナトリ
ウムを使用した場合、(100)面のエッチング深さの
0.2%程度でしかない。従って、V字溝の幅(W)
は、フォトマスクの誤差を考慮に入れても±1μm程度
の精度とすることができる。また、V字溝の底部がなす
角度は(111)面同士がなす角度(約70.6°)で
決定される。V字形の深さ(d)はW/√2となる。
と、まず、熱酸化膜26端部の下溝における、いわゆる
アンダカットは極めて小さく、純度の高い水酸化ナトリ
ウムを使用した場合、(100)面のエッチング深さの
0.2%程度でしかない。従って、V字溝の幅(W)
は、フォトマスクの誤差を考慮に入れても±1μm程度
の精度とすることができる。また、V字溝の底部がなす
角度は(111)面同士がなす角度(約70.6°)で
決定される。V字形の深さ(d)はW/√2となる。
【0025】最後に、同図(f)に示すように、エッチ
ングマスクに使用した熱酸化膜26をフッ酸水溶液等に
より除去することによりV字溝形状なる流路用溝6が形
成された単結晶Siのみによる流路基板3となる。な
お、このような流路基板3を実際にヘッドチップ1に適
用するには、Siウエハをインクから保護するため、S
iO2 ,Si3N4等の保護膜で保護するようにするのが
よい。
ングマスクに使用した熱酸化膜26をフッ酸水溶液等に
より除去することによりV字溝形状なる流路用溝6が形
成された単結晶Siのみによる流路基板3となる。な
お、このような流路基板3を実際にヘッドチップ1に適
用するには、Siウエハをインクから保護するため、S
iO2 ,Si3N4等の保護膜で保護するようにするのが
よい。
【0026】このように異方性エッチングによりV字溝
形状で形成された流路用溝6を有する流路基板3は、前
述したようにヒータ8等が形成された発熱体基板2上
に、接合又は圧接されて積層状態とされる。ここに、積
層されたこれらの基板2,3について、ヒータ8部分か
ら少し下流(100〜200μm程度)の領域におい
て、流路(流路用溝6)に対してほぼ垂直方向にダイシ
ングソーによって切断することによりインク吐出用のノ
ズル吐出口5aが切出されてヘッドチップ1が完成す
る。図3はこのようにして完成したヘッドチップ1を示
し、図9はそのノズル吐出口5a側から見た一部を拡大
して示す正面図である。
形状で形成された流路用溝6を有する流路基板3は、前
述したようにヒータ8等が形成された発熱体基板2上
に、接合又は圧接されて積層状態とされる。ここに、積
層されたこれらの基板2,3について、ヒータ8部分か
ら少し下流(100〜200μm程度)の領域におい
て、流路(流路用溝6)に対してほぼ垂直方向にダイシ
ングソーによって切断することによりインク吐出用のノ
ズル吐出口5aが切出されてヘッドチップ1が完成す
る。図3はこのようにして完成したヘッドチップ1を示
し、図9はそのノズル吐出口5a側から見た一部を拡大
して示す正面図である。
【0027】なお、インク吐出用のノズル吐出口5aの
形成方法としては、上記のように、ダイシングソーによ
ってインク流路5を切断した面をそのまま直接インク吐
出用ノズル面とする他、例えば、図10に示すように、
三角形状のノズル吐出口28aを形成したノズル板28
を別個に用意し、これをヘッドチップ1端面に接合させ
るようにしてもよい。このようなノズル板28は、例え
ばポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェ
ニレンオキサイド、ポリプロピレンなどの樹脂板(厚さ
は、10〜50μm程度)に、エキシマレーザを照射し
て樹脂を除去・蒸発させることによりノズル吐出口28
aを形成したものとすればよい。このような製法による
と、ノズル吐出口28a用の三角形のマスクパターンに
沿った精密な加工を簡単に行うことができ、高精度なノ
ズル板28が得られる。このノズル板28はヘッドチッ
プ1の切断面に接着剤により接合される。また、このよ
うな製法で得られるノズル吐出口28aの大きさは、ヘ
ッドチップ1の切断面におけるインク流路の断面の大き
さと同等か、やや小さめとするのがよい。何れにして
も、このようにノズル板28を別体で設けたヘッド構造
によれば、図3等に示したものに比べ、インク噴射の安
定性が高いものとなる。
形成方法としては、上記のように、ダイシングソーによ
ってインク流路5を切断した面をそのまま直接インク吐
出用ノズル面とする他、例えば、図10に示すように、
三角形状のノズル吐出口28aを形成したノズル板28
を別個に用意し、これをヘッドチップ1端面に接合させ
るようにしてもよい。このようなノズル板28は、例え
ばポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェ
ニレンオキサイド、ポリプロピレンなどの樹脂板(厚さ
は、10〜50μm程度)に、エキシマレーザを照射し
て樹脂を除去・蒸発させることによりノズル吐出口28
aを形成したものとすればよい。このような製法による
と、ノズル吐出口28a用の三角形のマスクパターンに
沿った精密な加工を簡単に行うことができ、高精度なノ
ズル板28が得られる。このノズル板28はヘッドチッ
プ1の切断面に接着剤により接合される。また、このよ
うな製法で得られるノズル吐出口28aの大きさは、ヘ
ッドチップ1の切断面におけるインク流路の断面の大き
さと同等か、やや小さめとするのがよい。何れにして
も、このようにノズル板28を別体で設けたヘッド構造
によれば、図3等に示したものに比べ、インク噴射の安
定性が高いものとなる。
【0028】このような本実施例の基本構成によれば、
インク流路が非常に滑らかなため、インク噴射性能に優
れたものとなる。
インク流路が非常に滑らかなため、インク噴射性能に優
れたものとなる。
【0029】ちなみに、本実施例では、(100)面の
結晶方位面に切出された単結晶Siによる流路基板3に
関して、断面V字形状の流路用溝6とともに、共通液室
領域7も異方性エッチングにより形成されている。即
ち、流路基板3においては、前述したように流路用溝6
が(100)面の異方性エッチングにより断面V字形状
に形成されるが、この際、共通液室を形成するための共
通液室領域7用の凹みもこの異方性エッチングを継続す
ることにより同時に形成するようにしたものである。こ
の時、共通液室領域7の凹み深さ(<100>軸方向の
深さ)は、インク流路部へのインク供給不足を生じない
ように、少なくとも流路用溝6の深さより深いものとさ
れ、共通液室の天井面のほうが高くなるように設定され
ている。
結晶方位面に切出された単結晶Siによる流路基板3に
関して、断面V字形状の流路用溝6とともに、共通液室
領域7も異方性エッチングにより形成されている。即
ち、流路基板3においては、前述したように流路用溝6
が(100)面の異方性エッチングにより断面V字形状
に形成されるが、この際、共通液室を形成するための共
通液室領域7用の凹みもこの異方性エッチングを継続す
ることにより同時に形成するようにしたものである。こ
の時、共通液室領域7の凹み深さ(<100>軸方向の
深さ)は、インク流路部へのインク供給不足を生じない
ように、少なくとも流路用溝6の深さより深いものとさ
れ、共通液室の天井面のほうが高くなるように設定され
ている。
【0030】即ち、共通液室の深さを流路溝の深さ(約
20〜40μm)と同等とした流路基板を用いてヘッド
チップを構成した場合、共通液室の天井面が低いために
インク供給不足が生じやすく、特に高い駆動周波数でヘ
ッドを駆動した場合にはインクが噴射されなくなって
(空打ち状態)、印字不可部分を生じたりして印字品質
の悪いものとなる。この点、上記のように、共通液室領
域7の深さを流路用溝6よりも深く形成することによ
り、常に十分なインク供給が可能となる。
20〜40μm)と同等とした流路基板を用いてヘッド
チップを構成した場合、共通液室の天井面が低いために
インク供給不足が生じやすく、特に高い駆動周波数でヘ
ッドを駆動した場合にはインクが噴射されなくなって
(空打ち状態)、印字不可部分を生じたりして印字品質
の悪いものとなる。この点、上記のように、共通液室領
域7の深さを流路用溝6よりも深く形成することによ
り、常に十分なインク供給が可能となる。
【0031】ここに、このような流路基板構造による
と、流路用溝6と共通液室領域7とでは段違い構造とな
るが、(100)面の異方性エッチングによるため、1
回の異方性エッチング工程で済むものとなる。即ち、流
路用溝6の深さと共通液室領域7の深さとに違いがある
と、エッチング時間の違いが問題になるという懸念が生
ずるが、実際には、このようなエッチング時間の違いは
殆ど問題とはならない。その理由を説明する。前述した
ように、(100)面の結晶方位面に切出された単結晶
Siの(111)面のエッチング速度は(100)面の
エッチング速度に対して0.3〜0.4%程度と極めて
遅い性質を持つ。従って、本実施例のように、流路用溝
6部分と共通液室領域7部分とを1つのフォトマスクで
同時にパターニングし(フォトリソを行い)、異方性エ
ッチングを行った場合、エッチングが図8(d)に示し
た段階までは、流路用溝6部分と共通液室領域7部分と
の深さはほぼ同じとなる。しかし、流路用溝6が図8
(e)に示すように完全なV字形状となる段階までエッ
チングが一旦進行すると、流路用溝6は2つの(11
1)面で形成された溝となり、最早、(100)面は全
く露出していない状態となり、これ以降は深さ方向(<
100>軸方向)へはエッチングが殆ど進行しない状態
となるからである。一方、共通液室領域7はV字形状の
流路用溝6部分で深さ方向のエッチングが殆ど進行しな
い状態になっても、開口幅が非常に大きいため依然とし
て(100)面がかなり露出しているので、<100>
軸方向、従って、深さ方向へのエッチングが同じ速度で
進行することになる。このように、流路用溝6側では所
望深さに達してエッチングがほぼストップしても、共通
液室領域7側ではエッチングを続行させることができる
ので、容易に所望深さまでエッチングを継続するだけ
で、より深い所望深さの共通液室領域7を形成できる。
具体的には、例えば、流路用溝6の深さが20〜40μ
m程度とされるのに対し、共通液室領域7の深さは50
〜300μm程度とされる。
と、流路用溝6と共通液室領域7とでは段違い構造とな
るが、(100)面の異方性エッチングによるため、1
回の異方性エッチング工程で済むものとなる。即ち、流
路用溝6の深さと共通液室領域7の深さとに違いがある
と、エッチング時間の違いが問題になるという懸念が生
ずるが、実際には、このようなエッチング時間の違いは
殆ど問題とはならない。その理由を説明する。前述した
ように、(100)面の結晶方位面に切出された単結晶
Siの(111)面のエッチング速度は(100)面の
エッチング速度に対して0.3〜0.4%程度と極めて
遅い性質を持つ。従って、本実施例のように、流路用溝
6部分と共通液室領域7部分とを1つのフォトマスクで
同時にパターニングし(フォトリソを行い)、異方性エ
ッチングを行った場合、エッチングが図8(d)に示し
た段階までは、流路用溝6部分と共通液室領域7部分と
の深さはほぼ同じとなる。しかし、流路用溝6が図8
(e)に示すように完全なV字形状となる段階までエッ
チングが一旦進行すると、流路用溝6は2つの(11
1)面で形成された溝となり、最早、(100)面は全
く露出していない状態となり、これ以降は深さ方向(<
100>軸方向)へはエッチングが殆ど進行しない状態
となるからである。一方、共通液室領域7はV字形状の
流路用溝6部分で深さ方向のエッチングが殆ど進行しな
い状態になっても、開口幅が非常に大きいため依然とし
て(100)面がかなり露出しているので、<100>
軸方向、従って、深さ方向へのエッチングが同じ速度で
進行することになる。このように、流路用溝6側では所
望深さに達してエッチングがほぼストップしても、共通
液室領域7側ではエッチングを続行させることができる
ので、容易に所望深さまでエッチングを継続するだけ
で、より深い所望深さの共通液室領域7を形成できる。
具体的には、例えば、流路用溝6の深さが20〜40μ
m程度とされるのに対し、共通液室領域7の深さは50
〜300μm程度とされる。
【0032】このような基本的構成において、本実施例
では、最もインク噴射を安定して行わせるためのインク
流路5の大きさ、形状とするために、流路用溝6を以下
のように工夫した点を特徴とする。
では、最もインク噴射を安定して行わせるためのインク
流路5の大きさ、形状とするために、流路用溝6を以下
のように工夫した点を特徴とする。
【0033】(検討例1)まず、上述の基本的構成に基
づくヘッドチップを試作してその噴射性能及び紙面上で
の画素径を評価した。この場合、噴射に使用したインク
は、グリセリン:18%、エチルアルコール:4.8
%、水:75%、C.I.ダイレクトブラック(染
料):2.2%なる組成によるもので、印写に使用した
紙は株式会社三菱製紙製のマットコート紙NMである。
ヘッドチップは400dpi なる配列密度で128ノズル
分1列に配列されたもので、V字形状の流路用溝6の溝
幅a(図10参照)を40μmとし、その先端が直接ノ
ズル吐出口5aとなるタイプのものとした。ヒータ8部
分の大きさは28μm×120μmの長方形状とし、そ
の抵抗は105Ωとした。ヒータ8の先端側からノズル
吐出口5aまでの距離は130μmとした。また、ヘッ
ド駆動条件は、駆動電圧Vo =23V、駆動パルス幅P
W =5μs、連続駆動周波数FO =9kHzとした。
づくヘッドチップを試作してその噴射性能及び紙面上で
の画素径を評価した。この場合、噴射に使用したインク
は、グリセリン:18%、エチルアルコール:4.8
%、水:75%、C.I.ダイレクトブラック(染
料):2.2%なる組成によるもので、印写に使用した
紙は株式会社三菱製紙製のマットコート紙NMである。
ヘッドチップは400dpi なる配列密度で128ノズル
分1列に配列されたもので、V字形状の流路用溝6の溝
幅a(図10参照)を40μmとし、その先端が直接ノ
ズル吐出口5aとなるタイプのものとした。ヒータ8部
分の大きさは28μm×120μmの長方形状とし、そ
の抵抗は105Ωとした。ヒータ8の先端側からノズル
吐出口5aまでの距離は130μmとした。また、ヘッ
ド駆動条件は、駆動電圧Vo =23V、駆動パルス幅P
W =5μs、連続駆動周波数FO =9kHzとした。
【0034】このような条件下に全てのヒータ8を駆動
させて噴射評価及び印写評価を行ったところ、インク噴
射動作が頻繁に停止する現象が確認されたものである。
この時のインク滴の飛翔速度は4.6m/sであり、紙
面上の印写画素径は直径78μmであり、完全なベタ印
写画像は得られなかったものである。
させて噴射評価及び印写評価を行ったところ、インク噴
射動作が頻繁に停止する現象が確認されたものである。
この時のインク滴の飛翔速度は4.6m/sであり、紙
面上の印写画素径は直径78μmであり、完全なベタ印
写画像は得られなかったものである。
【0035】(具体例1)このように完全なるベタ印写
画像が得られない理由は、噴射される1滴のインク質量
が不足しているためであると考え、基本的構成に対し
て、ヒータ8近傍での流路用溝6の溝幅を部分的に広げ
て、その領域でのインク流路5の断面積が他領域よりも
大きくしたヘッドを試作して、同様の噴射評価及び印写
評価を行ったものである。この場合、図1に示すよう
に、流路用溝6の通常幅a=40μmに対して、拡大領
域6aの溝幅bは52μmとした。また、拡大領域6a
はノズル吐出口5aからヒータ8までの距離と同じく、
ノズル吐出口5aから距離c=130μmの位置からヒ
ータ8分の長さ、即ち、長さd=120μmに渡って形
成したものである。つまり、拡大領域6aはヒータ8対
応領域に形成されている。ただし、拡大領域6aでの溝
深さは、流路用溝6のその他の領域での深さと同じく、
28μmとした。
画像が得られない理由は、噴射される1滴のインク質量
が不足しているためであると考え、基本的構成に対し
て、ヒータ8近傍での流路用溝6の溝幅を部分的に広げ
て、その領域でのインク流路5の断面積が他領域よりも
大きくしたヘッドを試作して、同様の噴射評価及び印写
評価を行ったものである。この場合、図1に示すよう
に、流路用溝6の通常幅a=40μmに対して、拡大領
域6aの溝幅bは52μmとした。また、拡大領域6a
はノズル吐出口5aからヒータ8までの距離と同じく、
ノズル吐出口5aから距離c=130μmの位置からヒ
ータ8分の長さ、即ち、長さd=120μmに渡って形
成したものである。つまり、拡大領域6aはヒータ8対
応領域に形成されている。ただし、拡大領域6aでの溝
深さは、流路用溝6のその他の領域での深さと同じく、
28μmとした。
【0036】このような具体例1の構成のヘッドチップ
1を用いて、検討例1と同一条件で噴射評価及び印写評
価を行ったところ、インク滴の飛翔速度は10.1m/
sと比較例1の場合の倍以上の速度となり、紙面上での
印写画素径は直径91μmとなり、ほぼ完全なるベタ印
写画像が得られたものである。ここで、「ほぼ完全」と
表現したのは、画素径が十分に大きく全面印写した際に
は白地部分が生じないものの、時々インク滴の噴射が停
止する現象が発生し、その分、ドット抜けが生じたため
である。
1を用いて、検討例1と同一条件で噴射評価及び印写評
価を行ったところ、インク滴の飛翔速度は10.1m/
sと比較例1の場合の倍以上の速度となり、紙面上での
印写画素径は直径91μmとなり、ほぼ完全なるベタ印
写画像が得られたものである。ここで、「ほぼ完全」と
表現したのは、画素径が十分に大きく全面印写した際に
は白地部分が生じないものの、時々インク滴の噴射が停
止する現象が発生し、その分、ドット抜けが生じたため
である。
【0037】(具体例2)このようにインク滴の噴射が
時々停止する原因は、発生した気泡がインク流路5の天
井面に接触し、それがインク流路5の閉塞を引き起すた
めであると考え、具体例1のように拡大領域6aを形成
する際に、異方性エッチングの時間を長くして拡大領域
6aが溝幅bだけでなくその深さも他の部分よりも深く
なる、具体的には37μmとなるようにしたヘッドを試
作して、同様の噴射評価及び印写評価を行ったものであ
る。
時々停止する原因は、発生した気泡がインク流路5の天
井面に接触し、それがインク流路5の閉塞を引き起すた
めであると考え、具体例1のように拡大領域6aを形成
する際に、異方性エッチングの時間を長くして拡大領域
6aが溝幅bだけでなくその深さも他の部分よりも深く
なる、具体的には37μmとなるようにしたヘッドを試
作して、同様の噴射評価及び印写評価を行ったものであ
る。
【0038】ここに、拡大領域6aを含む流路用溝6を
異方性エッチングにより形成する工程につき、この異方
性エッチングの時間を長くしても、溝幅b=52μmの
拡大領域6aのみが深さ37μmとなり、流路用溝6の
残りの部分(溝幅a=40μmの部分)の溝深さは当初
の28μmのままとなる。これは、前述した共通液室領
域7を異方性エッチングで形成する場合と同じ理由によ
り、拡大領域6a以外の溝幅a=40μmの部分では2
面が(111)面で形成されたV字形状の溝であり、一
旦、この溝が底部まで完全に形成されると、最早、(1
00)の露出がなくなり、(111)面へはエッチング
が殆ど進行しないためである。
異方性エッチングにより形成する工程につき、この異方
性エッチングの時間を長くしても、溝幅b=52μmの
拡大領域6aのみが深さ37μmとなり、流路用溝6の
残りの部分(溝幅a=40μmの部分)の溝深さは当初
の28μmのままとなる。これは、前述した共通液室領
域7を異方性エッチングで形成する場合と同じ理由によ
り、拡大領域6a以外の溝幅a=40μmの部分では2
面が(111)面で形成されたV字形状の溝であり、一
旦、この溝が底部まで完全に形成されると、最早、(1
00)の露出がなくなり、(111)面へはエッチング
が殆ど進行しないためである。
【0039】このように溝幅とともに溝深さも深くした
拡大領域6aを含む流路用溝6を形成した流路基板3を
有するヘッドチップ1を用いて、検討例1、具体例1と
同一条件で噴射評価及び印写評価を行ったところ、イン
ク滴の飛翔速度は10.6m/sとなり、紙面上での印
写画素径は直径93μmとなり、具体例1とほぼ同様の
結果が得られるとともに、噴射停止を全く生ずることな
く、完全なるベタ印写画像が得られたものである。
拡大領域6aを含む流路用溝6を形成した流路基板3を
有するヘッドチップ1を用いて、検討例1、具体例1と
同一条件で噴射評価及び印写評価を行ったところ、イン
ク滴の飛翔速度は10.6m/sとなり、紙面上での印
写画素径は直径93μmとなり、具体例1とほぼ同様の
結果が得られるとともに、噴射停止を全く生ずることな
く、完全なるベタ印写画像が得られたものである。
【0040】(検討例2)具体例2によれば、拡大領域
6aの深さを深くすれば十分な画素径が得られ、また、
流路閉塞に起因する噴射動作停止も生じないことが分か
るので、この検討例2では、当初から流路用溝全てが溝
幅52μm、溝深さ37μmのものとした直線溝(即
ち、流路用溝全域を拡大領域とした)を形成したヘッド
を試作して、同一条件で噴射評価及び印写評価を行っ
た。この結果、インク滴の飛翔速度は8.7m/sとや
や遅めとなる反面、画素径は直径95μmとなり、紙面
上で十分なベタ印写画像が得られた。しかし、この検討
例2の場合、時々、インク滴の噴射が乱れる現象が観察
されたものである。この現象を注意深く調べたところ、
隣接ノズル間のインク滴が時々併合してしまう現象が観
察されたものである。つまり、400dpi の配列密度で
は、隣接ノズル間の中心間距離が63.5μmしかない
ため、基本的な溝幅aを溝幅bと等価な値にまで広げて
しまうと、隣接インク滴同士が併合してしまい、高密度
印写に弊害を及ぼすことが分かる。
6aの深さを深くすれば十分な画素径が得られ、また、
流路閉塞に起因する噴射動作停止も生じないことが分か
るので、この検討例2では、当初から流路用溝全てが溝
幅52μm、溝深さ37μmのものとした直線溝(即
ち、流路用溝全域を拡大領域とした)を形成したヘッド
を試作して、同一条件で噴射評価及び印写評価を行っ
た。この結果、インク滴の飛翔速度は8.7m/sとや
や遅めとなる反面、画素径は直径95μmとなり、紙面
上で十分なベタ印写画像が得られた。しかし、この検討
例2の場合、時々、インク滴の噴射が乱れる現象が観察
されたものである。この現象を注意深く調べたところ、
隣接ノズル間のインク滴が時々併合してしまう現象が観
察されたものである。つまり、400dpi の配列密度で
は、隣接ノズル間の中心間距離が63.5μmしかない
ため、基本的な溝幅aを溝幅bと等価な値にまで広げて
しまうと、隣接インク滴同士が併合してしまい、高密度
印写に弊害を及ぼすことが分かる。
【0041】このような検討例1,2、具体例1,2に
よれば、流路用溝6に関して、ヒータ8の近傍領域にお
いてのみ部分的に溝幅を広げ、又は、溝深さを深くした
拡大領域6aを形成するのがよいことが分かる。
よれば、流路用溝6に関して、ヒータ8の近傍領域にお
いてのみ部分的に溝幅を広げ、又は、溝深さを深くした
拡大領域6aを形成するのがよいことが分かる。
【0042】(具体例3)ついで、上記のように溝幅を
広げ、又は、溝深さを深くする拡大領域6aを部分的に
形成するに際して、流路用溝6上のどの位置(ヒータ8
に対してどの位置)が最適であるかを具体例3で明かに
する。図2(a)は上記具体例2によるヒータ8付近の
断面構成を示し、拡大領域6aはヒータ8と完全に対応
する位置に形成されている例を示す(即ち、拡大領域6
aの中心部がヒータ8の中心部に一致する位置とされて
いる)。これによっても、具体例2で説明したように、
一応、良好なる結果が得られるものとなる。ここに、具
体例3では、このような拡大流路6aを形成する位置
を、図2(b)に示すように、ヒータ8に完全に対応す
る位置ではなく、少し下流側、即ちノズル吐出口5a側
の位置にΔ=30μmだけずらして形成したヘッドを試
作し、具体例2の場合と比較しながら、印写実験を行っ
たものである。この結果、中心位置が一致する具体例2
構成の場合には、安定したインク滴噴射が可能な連続駆
動周波数FO の上限が9.5kHzであったのに対し、
拡大領域6aの中心部をノズル吐出口5a側にずらした
具体例3の場合にはFO =14kHzまで安定したイン
ク滴噴射が可能となったものである。なお、飛翔速度及
び印写画素径は、具体例2,3では殆ど差がなかったも
のである。
広げ、又は、溝深さを深くする拡大領域6aを部分的に
形成するに際して、流路用溝6上のどの位置(ヒータ8
に対してどの位置)が最適であるかを具体例3で明かに
する。図2(a)は上記具体例2によるヒータ8付近の
断面構成を示し、拡大領域6aはヒータ8と完全に対応
する位置に形成されている例を示す(即ち、拡大領域6
aの中心部がヒータ8の中心部に一致する位置とされて
いる)。これによっても、具体例2で説明したように、
一応、良好なる結果が得られるものとなる。ここに、具
体例3では、このような拡大流路6aを形成する位置
を、図2(b)に示すように、ヒータ8に完全に対応す
る位置ではなく、少し下流側、即ちノズル吐出口5a側
の位置にΔ=30μmだけずらして形成したヘッドを試
作し、具体例2の場合と比較しながら、印写実験を行っ
たものである。この結果、中心位置が一致する具体例2
構成の場合には、安定したインク滴噴射が可能な連続駆
動周波数FO の上限が9.5kHzであったのに対し、
拡大領域6aの中心部をノズル吐出口5a側にずらした
具体例3の場合にはFO =14kHzまで安定したイン
ク滴噴射が可能となったものである。なお、飛翔速度及
び印写画素径は、具体例2,3では殆ど差がなかったも
のである。
【0043】しかして、部分的に形成する拡大領域6a
はヒータ8の中心よりも少しノズル吐出口5a側位置に
ずらして形成したほうが、連続駆動周波数をより高くす
ることができ、印写速度を向上させ得ることから、好ま
しいものとなる。
はヒータ8の中心よりも少しノズル吐出口5a側位置に
ずらして形成したほうが、連続駆動周波数をより高くす
ることができ、印写速度を向上させ得ることから、好ま
しいものとなる。
【0044】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、インク流
路の断面積について発熱体近傍領域で発熱体下流側領域
より大きく設定したので、所望の画素径を得るに十分な
質量のインクを確実に噴射させることができ、よって、
ベタ印写を行う場合、隣接画素が互いにオーバラップす
るものとなり、白地領域のない良好なるベタ印写を行う
ことができる。
路の断面積について発熱体近傍領域で発熱体下流側領域
より大きく設定したので、所望の画素径を得るに十分な
質量のインクを確実に噴射させることができ、よって、
ベタ印写を行う場合、隣接画素が互いにオーバラップす
るものとなり、白地領域のない良好なるベタ印写を行う
ことができる。
【0045】請求項2記載の発明によれば、流路用溝の
溝幅を部分的に広げることによりその領域のインク流路
の断面積を大きくするようにしたので、異方性エッチン
グにより流路用溝を形成する際に部分的にマスクパター
ンを広げるだけで容易かつ同時に形成できるものとな
り、部分的に流路幅の広がった流路基板を精度よく作製
できる。
溝幅を部分的に広げることによりその領域のインク流路
の断面積を大きくするようにしたので、異方性エッチン
グにより流路用溝を形成する際に部分的にマスクパター
ンを広げるだけで容易かつ同時に形成できるものとな
り、部分的に流路幅の広がった流路基板を精度よく作製
できる。
【0046】加えて、請求項3記載の発明によれば、溝
深さを部分的に深くすることによりその領域のインク流
路の断面積を大きくするようにしたので、発熱体部分に
発生した気泡がインク流路の天井面に接触してインク流
れを閉塞させることによる噴射停止が皆無となり、よっ
て、より信頼性高く、十分な量のインクを噴射させるこ
とができ、印写品質を向上させることができる。
深さを部分的に深くすることによりその領域のインク流
路の断面積を大きくするようにしたので、発熱体部分に
発生した気泡がインク流路の天井面に接触してインク流
れを閉塞させることによる噴射停止が皆無となり、よっ
て、より信頼性高く、十分な量のインクを噴射させるこ
とができ、印写品質を向上させることができる。
【0047】一方、請求項4記載の発明によれば、断面
積を大きくした領域の中心部を発熱体領域の中心部より
も下流側、即ち、インク滴吐出側位置に設定したので、
インク吐出に有利な条件設定となり、連続駆動周波数を
より高くすることができ、高速印写が可能となる。
積を大きくした領域の中心部を発熱体領域の中心部より
も下流側、即ち、インク滴吐出側位置に設定したので、
インク吐出に有利な条件設定となり、連続駆動周波数を
より高くすることができ、高速印写が可能となる。
【0048】また、請求項5記載の発明によれば、請求
項3記載のサーマルインクジェットヘッドの流路基板作
製方法として、(100)面に対する異方性エッチング
工程において、流路用溝の両側側面をなす(111)面
が、一旦、露出形成されると、その領域のエッチングは
それ以上殆ど進行しないという性質に着目し、(10
0)面の結晶方位面に切出された単結晶シリコンウエハ
上で流路用溝部分及び溝深さを深くする部分とのフォト
リソグラフィ工程及び異方性エッチング工程を各々同時
に行い、流路用溝を形成した後も、異方性エッチング工
程を続行して溝深さの深い部分を形成するようにしたの
で、流路用溝形成後も、異方性エッチングをさらに続行
するだけで部分的により深くなる溝部分も形成できるも
のとなり、1回の異方性エッチング工程で済み、短時間
・低コストにして作製可能となる。
項3記載のサーマルインクジェットヘッドの流路基板作
製方法として、(100)面に対する異方性エッチング
工程において、流路用溝の両側側面をなす(111)面
が、一旦、露出形成されると、その領域のエッチングは
それ以上殆ど進行しないという性質に着目し、(10
0)面の結晶方位面に切出された単結晶シリコンウエハ
上で流路用溝部分及び溝深さを深くする部分とのフォト
リソグラフィ工程及び異方性エッチング工程を各々同時
に行い、流路用溝を形成した後も、異方性エッチング工
程を続行して溝深さの深い部分を形成するようにしたの
で、流路用溝形成後も、異方性エッチングをさらに続行
するだけで部分的により深くなる溝部分も形成できるも
のとなり、1回の異方性エッチング工程で済み、短時間
・低コストにして作製可能となる。
【図1】本発明の一実施例を示す流路基板の拡大底面図
である。
である。
【図2】拡大領域の形成位置を示すヒータ付近の概略縦
断側面図である。
断側面図である。
【図3】ヘッドチップを示す斜視図である。
【図4】その分解斜視図である。
【図5】サーマルインクジェットの記録原理を順に示す
縦断側面図である。
縦断側面図である。
【図6】ヒータ付近を拡大して示す縦断側面図である。
【図7】流路基板の結晶面及び結晶軸方向を示す斜視図
である。
である。
【図8】流路基板に関する異方性エッチング工程を順に
示す縦断正面図である。
示す縦断正面図である。
【図9】ヘッドチップの一部を拡大して示す正面図であ
る。
る。
【図10】変形例を示す分解斜視図である。
2 発熱体基板 3 流路基板 5 インク流路 6 流路用溝 6a 断面積を大きくした領域 8 発熱体 9,10 電極 21 蓄熱層 22 発熱層 23 保護層
Claims (5)
- 【請求項1】 基板上に蓄熱層と発熱層とこの発熱層に
通電するための電極と保護層とを形成した発熱体基板
と、(100)面の結晶方位面に切出された単結晶シリ
コンウエハ上に異方性エッチングにより流路用溝を形成
した流路基板とを設け、これらの発熱体基板と流路基板
とを発熱面と溝面とが相対するように積層させて発熱体
毎にインク流路を形成するようにしたサーマルインクジ
ェットヘッドにおいて、前記インク流路の断面積を発熱
体近傍領域で発熱体下流側領域より大きく設定したこと
を特徴とするサーマルインクジェットヘッド。 - 【請求項2】 流路用溝の溝幅を部分的に広くしてその
領域のインク流路の断面積を大きくしたことを特徴とす
る請求項1記載のサーマルインクジェットヘッド。 - 【請求項3】 流路用溝の溝深さを部分的に深くしてそ
の領域のインク流路の断面積を大きくしたことを特徴と
する請求項1又は2記載のサーマルインクジェットヘッ
ド。 - 【請求項4】 断面積を大きくした領域の中心部を発熱
体領域の中心部よりも下流側位置に設定したことを特徴
とする請求項1,2又は3記載のサーマルインクジェッ
トヘッド。 - 【請求項5】 (100)面の結晶方位面に切出された
単結晶シリコンウエハ上で流路用溝部分及び溝深さを深
くする部分とのフォトリソグラフィ工程及び異方性エッ
チング工程を各々同時に行い、流路用溝を形成した後
も、異方性エッチング工程を続行して溝深さの深い部分
を形成するようにしたことを特徴とする請求項3記載の
サーマルインクジェットヘッドの流路基板作製方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11442393A JPH06320731A (ja) | 1993-05-17 | 1993-05-17 | サーマルインクジェットヘッド及びその流路基板作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11442393A JPH06320731A (ja) | 1993-05-17 | 1993-05-17 | サーマルインクジェットヘッド及びその流路基板作製方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06320731A true JPH06320731A (ja) | 1994-11-22 |
Family
ID=14637348
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11442393A Pending JPH06320731A (ja) | 1993-05-17 | 1993-05-17 | サーマルインクジェットヘッド及びその流路基板作製方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06320731A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP0873871A3 (en) * | 1997-03-27 | 1999-08-18 | Xerox Corporation | Thermal ink jet printhead suitable for viscous inks |
-
1993
- 1993-05-17 JP JP11442393A patent/JPH06320731A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP0873871A3 (en) * | 1997-03-27 | 1999-08-18 | Xerox Corporation | Thermal ink jet printhead suitable for viscous inks |
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