JPH06322472A - Fe基軟磁性合金の製造方法 - Google Patents

Fe基軟磁性合金の製造方法

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JPH06322472A
JPH06322472A JP5190674A JP19067493A JPH06322472A JP H06322472 A JPH06322472 A JP H06322472A JP 5190674 A JP5190674 A JP 5190674A JP 19067493 A JP19067493 A JP 19067493A JP H06322472 A JPH06322472 A JP H06322472A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 Feを主成分とする非晶質合金に、少なくと
も1.0℃/分以上の昇温速度で加熱する熱処理を施
し、組織の少なくとも50%以上を体心立方構造の平均
結晶粒径30nm以下の微細な結晶粒からなる組織とす
ることを特徴とするFe基軟磁性合金の製造方法。 【効果】 安定して高い透磁率と高い飽和磁束密度を備
えたFe系軟磁性合金を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ヘッド、トラン
ス、チョークコイル等に用いられる軟磁性合金の製造方
法に関するものであり、特に高飽和磁束密度で軟磁気特
性に優れたFe基軟磁性合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ヘッド、トランス 、チョークコイ
ル等に用いられる軟磁性合金において一般的に要求され
る諸特性は以下の通りである 飽和磁束密度が高いこと。 透磁率が高いこと。 低保磁力であること。 低磁歪であること。 薄い形状が得やすいこと。 また、磁気ヘッドに対しては、前記〜に記載の特性
の他に耐摩耗性の観点から以下の特性が要求される。 硬度が高いこと。 従って軟磁性合金あるいは磁気ヘッドを製造する場合、
これらの観点から種々の合金系において材料研究がなさ
れている。従来、前述の用途に対しては、センダスト、
パーマロイ、けい素鋼等の結晶質合金が用いられ、最近
ではFe基およびCo基の非晶質合金も使用されるよう
になってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに磁気ヘッドの
場合、高記録密度化に伴う磁気記録媒体の高保磁力化に
対応するため、より好適な高性能磁気ヘッド用の磁性材
料が望まれている。またトランス、チョークコイルの場
合は、電子機器の小型化に伴い、より一層の小型化が必
要であるため、より高性能の磁性材料が望まれている。
ところが、前記のセンダストは、軟磁気特性には優れる
ものの、飽和磁束密度が約11KGと低い欠点があり、
パーマロイも同様に、軟磁気特性に優れる合金組成にお
いては、飽和磁束密度が約8KGと低い欠点があり、け
い素鋼(Fe-Si系合金)は飽和磁束密度は高いもの
の軟磁気特性に劣る欠点がある。
【0004】一方、非晶質合金において、Co基合金は
軟磁気特性に優れるものの飽和磁束密度が10KG程度
と不十分である。また、Fe基合金は飽和磁束密度が高
く、15KGあるいはそれ以上のものが得られるが、軟
磁気特性が不十分である。また、非晶質合金の熱安定性
は十分ではなく、未だ未解決の面がある。従って前述の
如く高飽和磁束密度と優れた軟磁気特性を兼備すること
は難しい。
【0005】また、従来、高飽和磁束密度を有し、低鉄
損のトランス用合金として、特開平1ー242757号
公報に開示されているように、 一般式(Fe 1-a1 a100-x-y-z-t Cu x Si y
z 2 t (ただし、M1はCoおよび/またはNiであり、M2
Nb,W,Ta,Mo,Zr,HfおよびTiからなる
群から選ばれた少なくとも1種の元素であ
り、axyzt はそれぞれ原子%で、0≦a≦0.
3、0.1≦x≦3、0≦y≦17、4≦z≦17、10≦
yz≦28、0.1≦t≦5を満たす。)なる組成を示
し、組織の少なくとも50%が微細な結晶粒からなり、
前記結晶粒の最大寸法で測定した粒径の平均が1000
オングストローム以下の平均粒径を有する合金が知られ
ている。
【0006】前述の微細結晶合金は、特公平4ー439
3号公報(U.S.P. No. 5,160,379)に開示
されているような、Fe-Si-B系の非晶質合金を出発
材料として開発されたものである。Fe-Si-B系合金
において、組織を非晶質化する元素はSiとBであり、
実用上十分な熱安定性を備えた合金のFe含有量は70
〜80原子%である。この非晶質合金は、従来のFe-
Si系合金よりも優れた磁気特性を有しているものであ
った。前記の特許出願に係る微細結晶合金は、Fe-S
i-B合金にCuと元素Mを添加したFe-M1-Cu-S
i-B-M3系のものであり、ここで元素M3 はNb,
W,Ta,Zr,Hf,Ti,Moから選択される少な
くとも1種の元素である。この系の合金において、Cu
を含有させることは必須の条件であり、Cuの添加によ
り、非晶質中に揺らぎを生じさせて微細結晶粒を生成さ
せ、組織を微細化することができるとされている。ま
た、Cuを含有させない場合は、結晶粒を微細化するこ
とは難しく、化合物相が生成され易くなって磁気特性が
劣化することが前述の特許公報に記載されている。
【0007】更にこの系の合金においては、CuとNb
との相互作用により結晶粒の成長を抑えることができ
る。従ってNbもしくはCuの単独添加のみでは、結晶
粒の成長は抑えられないことから、NbとCuの複合添
加は必須であるとされている。このことは、日本金属学
会誌第53巻第2号(1989年)の第241頁〜第2
48頁において、先に記載した特許出願の発明者らが発
表した内容において述べられている。なお、前記特公平
4ー4393号公報の第20図の組成図から、この系の
合金においてSi=0であれば、低磁歪が得られないこ
とがわかり、Siは磁歪を小さくする効果があるので、
磁歪を小さくするためにはSiの添加は必須である。
【0008】このような従来技術に対し本願発明者ら
は、全く異なる観点から、全く異なる成分系の材料を用
いて軟磁性材料の開発を進めており、その中に、前記セ
ンダスト、パーマロイ、けい素鋼などの従来技術に鑑み
て先に特許出願している特公昭60ー30734号公報
に見られるFe(Co,Ni)-Zr系合金がある。こ
のFe(Co,Ni)-Zr系の合金は、非晶質形成能
力の大きいZrを添加しているので、Zrの添加量を少
なくしても非晶質化を図ることができ、Feの濃度を9
0%以上とすることが可能である。更にZrと同様な非
晶質形成元素としてHfを用いることができるものであ
った。ところがこの系においてFe濃度が高い合金のキ
ュリー点は、室温付近であるがために、磁心材料として
は実用的な合金ではなかった。
【0009】次に本願発明者らは、Fe-Hf系の非晶
質合金を特殊な方法で一部結晶化させることで、平均結
晶粒径10〜20nm程度の微細結晶組織を得ることが
できることを知見し、1980年に、「CONFERENCE ON
METALLIC SCIENCE ANDTECHNOLGY BUDAPEST 」の第21
7頁〜第221頁において発表している。この発表時の
技術から鑑みると、Fe-Hf系合金においてはCu等
の元素を添加しなくとも組織の微細化が起こり得ること
が示唆される。このメカニズムについては明らかではな
いが、非晶質合金を作成する場合の急冷状態で既に組織
のゆらぎが存在し、このゆらぎが不均一核生成のサイト
となって均一かつ微細な核が多数生成するものと考えら
れる。
【0010】前述の通り、Fe-Hf系の合金は、非晶
質状態では良好な磁気特性を示さない。しかしこの合金
が、非磁性添加元素を必要とせずに微細化することを考
慮すると、Fe-Hf系非晶質合金を出発材料とするこ
とで、従来にない高いFe濃度の微細結晶合金が得ら
れ、従って先のFe-Si-B系の微細結晶合金よりもさ
らに高い飽和磁束密度を持つ新合金の出現が期待され
る。そこで本発明者らが更に研究を進めた結果、粒成長
を抑えるためには、Fe-M系微微結晶合金の熱的安定
性を高める必要があり、更に、粒成長の障壁となり得る
熱的に安定な非晶質相を粒界に残存させることが必要で
あり、そのような観点から非晶質合金の熱的安定性を高
める元素であるBに着目して研究を進めた結果、本願発
明に到達した。本発明の目的は、高飽和磁束密度と高透
磁率を兼備し、かつ、高い機械強度と高い熱安定性を併
せ持つ優れたFe基軟磁性合金を製造する方法を提供す
ることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のFe基軟
磁性合金の製造方法は、Feを主成分とする非晶質合金
に、少なくとも1.0℃/分以上の昇温速度で加熱する
熱処理を施し、組織の少なくとも50%以上を体心立方
構造の平均結晶粒径30nm以下の微細な結晶粒からな
る組織とするものである。
【0012】請求項2記載のFe基軟磁性合金の製造方
法は、請求項1記載の熱処理を前記の昇温速度で加熱し
た後に400〜750℃の温度で所定時間保持するもの
としたものである。
【0013】請求項3記載のFe基軟磁性合金の製造方
法は、次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金
に、昇温速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを
特徴とするものである。 Fe b x y 但し、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,M
o,Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、かつ、Zr,Hfのいずれか、または両方を
含み、b=75〜93原子%、x=0.5〜10原子%、y
=4〜9原子%である。
【0014】請求項4記載の軟磁性合金の製造方法は、
次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、昇温
速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴とす
るものである。 Fe b x y u ただし、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,M
o,Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、かつ、Zr,Hfのいずれか、または両方を
含み、XはCr,Ru,Rh,Irからなる群から選ば
れた1種または2種以上の元素であり、b=75〜93
原子%、x=0.5〜10原子%、y=4〜9原子%、u
5原子%である。
【0015】請求項5記載の軟磁性合金の製造方法は、
次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、昇温
速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴とす
るものである。 (Fe 1-a ab x y ただし、ZはCo,Niのいずれか、または両方であ
り、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W
からなる群から選ばれた1種または2種以上の元素であ
り、かつ、Zr,Hfのいずれか、または両方を含み、
a≦0.1、b=75〜93原子%、x=0.5〜10原子
%、y=4〜9原子%である。
【0016】請求項6記載の軟磁性合金の製造方法は、
次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、昇温
速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴とす
るものである。 (Fe 1-a ab x y u ただし、ZはCo,Niのいずれか、または両方であ
り、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W
からなる群から選ばれた1種または2種以上の元素であ
り、かつ、Zr,Hfのいずれか、または両方を含み、
XはCr,Ru,Rh,Irからなる群から選ばれた1
種または2種以上の元素であり、a≦0.1、b=75〜
93原子%、x=0.5〜10原子%、y=4〜9原子
%、u≦5原子%である。
【0017】請求項7記載の軟磁性合金の製造方法は、
次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、昇温
速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴とす
るものである。 Fe b x M’y 但し、M’は、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wからな
る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、か
つ、Nbを含み、b=75〜93原子%、x=6.5〜1
0原子%、y=4〜9原子%である。
【0018】請求項8記載の軟磁性合金の製造方法は、
次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、昇温
速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴とす
るものである。 Fe b x M’y u 但し、M’は、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wからな
る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、か
つ、Nbを含み、XはCr,Ru,Rh,Irからなる
群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、b
75〜93原子%、x=6.5〜10原子%、y=4〜9
原子%、u≦5原子%である。
【0019】請求項9記載の軟磁性合金の製造方法は、
次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、昇温
速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴とす
るものである。 (Fe 1-a ab x M’y ただし、ZはCo,Niのいずれか、または、両方であ
り、M’はTi,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
から選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、
Nbを含み、a≦0.1、b=75〜93原子%、x=6.
5〜10原子%、y=4〜9原子%である。
【0020】請求項10記載の軟磁性合金の製造方法
は、次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、
昇温速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴
とするものである。 (Fe 1-a ab x M’y u ただし、ZはCo,Niのいずれか、または両方であ
り、M’はTi,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
から選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、
Nbを含み、XはCr,Ru,Rh,Irからなる群か
ら選ばれた1種または2種以上の元素であり、a≦0.
1、b=75〜93原子%、x=6.5〜10原子%、y
4〜9原子%、u≦5原子%である。
【0021】請求項11記載の軟磁性合金の製造方法
は、次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、
昇温速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴
とするものである。 Fe b x y z 但し、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,M
o,Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、または両方を
含み、Tは、Cu,Ag,Au,Pd,Pt,Biから
なる群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、
b≦75〜93原子%、x=0.5〜18原子%、y=4〜
10原子%、z≦4.5原子%である。
【0022】請求項12記載の軟磁性合金の製造方法
は、次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、
昇温速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴
とするものである。 Fe b x y z u 但し、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,M
o,Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、または両方を
含み、Tは、Cu,Ag,Au,Pd,Pt,Biから
なる群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、
XはCr,Ru,Rh,Irからなる群から選ばれた1
種または2種以上の元素であり、b≦75〜93原子
%、x=0.5〜18原子%、y=4〜10原子%、z
4.5原子%、u≦5原子%である。
【0023】請求項13記載の軟磁性合金の製造方法
は、次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、
昇温速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴
とするものである。 (Fe 1-a ab x y z 但し、ZはCo,Niのいずれか、または両方であり、
MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wから
なる群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、
かつ、ZrとHfのいずれか、または、両方を含み、T
はCu,Ag,Au,Pd,Pt,Biからなる群から
選ばれた1種または2種以上の元素であり、a≦0.1、
b≦75〜93原子%、x=0.5〜18原子%、y=4〜
10原子%、z≦4.5原子%である。
【0024】請求項14記載の軟磁性合金の製造方法
は、次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、
昇温速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴
とするものである。 (Fe 1-a ab x y z 但し、ZはCo,Niのいずれか、または両方であり、
MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wから
なる群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、
かつ、ZrとHfのいずれか、または、両方を含み、T
はCu,Ag,Au,Pd,Pt,Biからなる群から
選ばれた1種または2種以上の元素であり、XはCr,
Ru,Rh,Irからなる群から選ばれた1種または2
種以上の元素であり、≦0.1、b≦75〜93原子
%、x=0.5〜18原子%、y=4〜10原子%、z
4.5原子%、u≦5原子%である。
【0025】請求項15記載の軟磁性合金の製造方法
は、次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、
昇温速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴
とするものである。 Fe b x M’y z 但し、M’は、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wからな
る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、か
つ、Ti,Nb,Taのいずれかを含み、Tは、Cu,
Ag,Au,Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた
1種または2種以上の元素であり、b≦75〜93原子
%、x=6.5〜18原子%、y=4〜10原子%、z
4.5原子%である。
【0026】請求項16記載の軟磁性合金の製造方法
は、次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、
昇温速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴
とするものである。 Fe b x M’y z u 但し、M’は、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wからな
る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、か
つ、Ti,Nb,Taのいずれかを含み、Tは、Cu,
Ag,Au,Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた
1種または2種以上の元素であり、XはCr,Ru,R
h,Irからなる群から選ばれた1種または2種以上の
元素であり、b≦75〜93原子%、x=6.5〜18原
子%、y=4〜10原子%、z≦4.5原子%、u≦5原子
%である。
【0027】請求項17記載の軟磁性合金の製造方法
は、次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、
昇温速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴
とするものである。 (Fe 1-a ab x M’y z 但し、ZはCo,Niのいずれかまたは両方であり、
M’はTi,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群から
選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、T
i,Nb,Taのいずれかを含み、TはCu,Ag,A
u,Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた1種また
は2種以上の元素であり、a≦0.1、b≦75〜93原
子%、x=6.5〜18原子%、y=4〜10原子%、z
4.5原子%である。
【0028】請求項18記載の軟磁性合金の製造方法
は、次式で示される組成からなるFe基軟磁性合金に、
昇温速度が1.0℃/分以上の熱処理を施すことを特徴
とするものである。 (Fe 1-a ab x M’y zu 但し、ZはCo,Niのいずれか、または、両方であ
り、M’はTi,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
から選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、
Ti,Nb,Taのいずれかを含み、TはCu,Ag,
Au,Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた1種ま
たは2種以上の元素であり、XはCr,Ru,Rh,I
rからなる群から選ばれた1種または2種以上の元素で
あり、a≦0.1、b≦75〜93原子%、x=6.5〜1
8原子%、y=4〜10原子%、z≦4.5原子%、u≦5
原子%である。
【0029】請求項19記載の軟磁性合金の製造方法
は、請求項11、12、13、14、15、16、1
7、または、18のいずれかに記載のFe基軟磁性合金
の製造方前記Fe基軟磁性合金において、z=0.2〜
4.5原子%であることを特徴とするものである。
【0030】
【作用】以下に本発明を更に詳細に説明する。本発明の
Fe基軟磁性合金は、前記組成の非晶質合金あるいは非
晶質相を含む結晶質合金を溶湯から急冷することにより
得る工程と、スパッタ法あるいは蒸着法等の気相急冷法
により得る工程と、これらの工程で得られたものを加熱
し微細な結晶粒を析出させる熱処理工程とによって通常
得ることが出来る。なお、前記の急冷法で得られるもの
は、薄帯状であっても粉末状であっても良く、得られた
ものを所望の形状に成形加工あるいは機械加工した後に
熱処理を施しても良いのは勿論である。
【0031】本発明の軟磁性合金の製造には、前記急冷
法で得られたものを所定の昇温速度で加熱し、所定の温
度範囲で加熱保持した後に冷却するといった熱処理を施
すことが必須である。熱処理温度は400〜750℃で
あることが好ましく、また熱処理を施す際の昇温速度は
1.0℃/分以上であることが好ましい。本発明者等
は、熱処理を施す際の昇温速度が該熱処理の施された軟
磁性合金の透磁率に影響を及ぼすことを見出したもの
で、昇温速度を1.0℃/分以上にすることで安定して
高い透磁率を有する軟磁性合金を製造することができ
る。なお、昇温速度とは、処理する合金を加熱炉に投入
してから所定の熱処理温度に到るまでの温度変化を時間
微分したものである。
【0032】請求項3〜19に示す組成の軟磁性合金に
はBが必ず添加されている。Bには軟磁性合金の非晶質
形成能を高める効果、Fe-M(=Zr,Hf,Nb
等)系微結晶合金の熱的安定性を高め、結晶粒成長の障
壁となり得る効果があり、熱的に安定な非晶質相を粒界
に残存させる効果がある。この結果、前記熱処理工程に
おいて400〜750℃の広い熱処理条件で磁気特性に
悪影響を及ぼさない粒径30nm以下の微細な体心立方
構造(bcc構造)の結晶粒を主体とする組織を得るこ
とができる。Bと同様にA1,Si,C,P等も非晶質
形成元素として一般に用いられており、これらの元素を
添加した場合も本発明と同一とみなすことができる。
【0033】請求項3〜6、11〜14の発明の軟磁性
合金において、非晶質相を得やすくするためには、非晶
質形成能の高いZr,Hfのいずれかを含む必要があ
る。また、Zr,Hfはその一部を他の周期率表4A〜
6A族元素のうち、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wと
置換することができる。この場合、Bの量は0.5〜1
0原子%もしくは元素Tを含む場合は、Bの量を0.5
〜18原子%とすることにより十分な非晶質形成能を得
ることが可能である。また、本来はFeに固溶しない元
素であるZr,Hfを固溶させることによって磁歪を小
さくすることができる。即ち、Zr,Hfの固溶量を熱
処理条件で調整することができ、これにより磁歪を調節
してその値を小さくできる。従って、低い磁歪を得るた
めには、広い熱処理条件で微細な結晶組織が得られるこ
とが必要であり、前記の如くBの添加により広い熱処理
条件で微細な結晶組織を得ることができることは、小さ
な磁歪と小さな結晶磁気異方性を併せ持つことになり、
結果として良好な磁気特性を有することになる。
【0034】更に、前記組成にCr、Ru、Rh、Ir
を必要に応じて添加することにより、耐食性が改善され
るが、飽和磁束密度を10kG以上に保つためには、こ
れらの元素の添加量を5原子%以下とする必要がある。
【0035】Fe-M(=Zr,Hf)系のアモルファ
ス合金を特殊な方法で一部結晶化することで微結晶組織
を得ることができることは、本発明者らが1980年
に、「CONFERENCE ON METALLIC SCIENCE AND TECHNOLGY
BUDAPEST 」の第217頁〜第221頁において発表し
ている。今回開示した組成においても同等の効果を得る
ことがその後の研究で明らかになり、その結果本願発明
に到っているが、この微結晶組織を得ることができる理
由は、この系の合金を製造するための非晶質相形成段階
の急冷状態で既に組成のゆらぎを生じていて、このゆら
ぎが不均一核生成のサイトとなって均一かつ微細な核が
多数発生するためと考えられる。
【0036】請求項3〜18に記載の発明の軟磁性合金
におけるFeの含有量、あるいは、Fe,Co,Niの
各含有量は、93原子%以下である。これは、これらの
含有量が93原子%を超えると高い透磁率が得られない
ためであるが、飽和磁束密度10kG以上を得るために
は、75原子%以上であることがより好ましい。
【0037】請求項11〜18の発明の軟磁性合金にお
いては、Cuおよびこれらと同族元素のAg,Auさら
にPd,PtおよびBiのうちから選ばれた少なくとも
1種または2種以上の元素を4.5原子%以下含むこと
が好ましい。これらの元素の添加量が0.2原子%より
少ないと前記の熱処理工程により優れた軟磁気特性を得
ることが難しくなるが、昇温速度を上げることにより透
磁率が向上し、飽和磁束密度が若干向上するため、請求
項11〜18に示すようにこれらの元素の含有量を0.
2原子%以下でもよしとすることができる。ただし、こ
れらの元素の含有量を0.2〜4.5原子%とすること
で、昇温速度をあまり大きくしなくとも優れた軟磁気特
性を得ることができるので、請求項19に示す0.2〜
4.5原子%の含有量にすることがより好ましい。
【0038】また、これらの元素の中においてもCuは
特に有効である。Cu,Pd等の添加により、軟磁気特
性が著しく改善される機構については明らかではない
が、結晶化温度を示差熱分析法により測定したところ、
Cu,Pd等を添加した合金の結晶化温度は、添加しな
い合金に比べてやや低い温度であることが認められた。
これは、前記元素の添加により非晶質相中の組成ゆらぎ
が増し、その結果、非晶質相の安定性が低下し、結晶質
相が析出し易くなったことに起因すると考えられる。
【0039】更に、不均一な非晶質相が結晶化する場
合、部分的に結晶化しやすい領域が多数生じて不均一核
生成するために、得られる組織が微細結晶粒組織となる
ので、優れた磁気特性が得られる。更にまた、昇温速度
を上げるならば、微結晶質の微細化が促進されるので、
昇温速度が大きい場合は、Cu,Pd等の元素は0.2
原子%より少なく含有させても良い。また、特にFeに
対する固溶度が著しく低い元素であるCuの場合、相分
離傾向があるために、加熱によりミクロな組成ゆらぎが
生じ、非晶質相が不均一となる傾向がより顕著になると
考えられ、組織の微細化に寄与するものと考えられる。
以上の観点から、Cu及びその同族元素、Pd,Pt以
外の元素でも結晶化温度を低下させる元素には同様の効
果が期待できる。また、Cuの他に、Feに対する固溶
限が小さいBi等の元素にも同様の効果を期待すること
ができる。
【0040】請求項7〜10、15〜18の軟磁性合金
において非晶質相を得やすくするためには、非晶質形成
能を有するNbおよびBを含む必要がある。Ti、V、
Ta、Mo、WはNbと同等の効果があるが、これらの
元素の中でもV,Nb,およびMoは、酸化物の生成傾
向が比較的小さく、製造時に良好な歩留まりが得られ
る。よってこれらの元素を添加している場合は、製造条
件が緩和され、安価に製造することができ、コストの面
でも有利である。具体的には、ノズル先端部に不活性ガ
スを部分的に供給しつつ大気中で製造もしくは大気中の
雰囲気で製造することができる。ただし、これらの元素
は前記Zr,Hfに比較して非晶質形成能の面では劣る
ので、請求項7〜10、15〜18の軟磁性合金ではB
の量を増加し、その下限値を6.5原子%とした。ま
た、請求項15〜18のように元素Tを添加する場合、
Tの添加効果により、Bの上限値は、18原子%までと
れるが、請求項7〜10のようにTを添加しない場合
は、10原子%を超えると磁気特性が劣化するために、
この場合の上限値は10原子%とした。
【0041】以上、本発明の軟磁性合金に含まれる合金
元素の限定理由を説明したが、これらの元素以外でも耐
食性を改善するために、Ru,Rh,Irなどの白金族
元素あるいはCrを添加することも可能である。また、
必要に応じて、Y,希土類元素,Zn,Cd,Ga,I
n,Ge,Sn,Pb,As,Sb,Bi,Se,T
e,Li,Be,Mg,Ca,Sr,Ba等の元素を添
加することで磁歪を調整することもできる。その他、
H,N,O,S等の不可避的不純物については所望の特
性が劣化しない程度に含有していても本発明のFe基軟
磁性合金の組成と同一とみなすことができるのは勿論で
ある。
【0042】
【実施例】以下の各実施例に示す合金は片ロール液体急
冷法により作成した。すなわち、1つの回転している鋼
製ロール上におかれたノズルより溶融金属をアルゴンガ
スの圧力により前記ロール上に噴出させ、急冷して薄帯
を得る。以上のように作成した薄帯の幅は約15mmであ
り、厚さは約15〜40μmであった。透磁率の測定
は、前記薄帯を加工し、実施例1〜6では外径10mm、
内径6mmのリング状とし、これを積み重ねたものに巻線
し、インダクタンス法により測定した。実施例7〜17
では前記の薄帯を外径10mm、内径5mmのリング状と
し、これを積み重ねたものに巻線し、インダクタンス法
により測定した。
【0043】「実施例1」熱処理の際の昇温速度と、該
熱処理を施して得られる軟磁性合金の透磁率の関係を調
べた。この試験は、下記表1に示す各組成の合金におい
て昇温速度(℃/分)を変えて熱処理を行ない、熱処理
後の合金の透磁率(μ)を測定したものである。熱処理
は、赤外線イメージ炉を使用し、真空中、650℃で1
時間保持する条件とした。熱処理後の冷却速度は10℃
/分で一定とした。透磁率は、インピーダンスアナライ
ザにより1kHz,0.4A/m(5mOe)の条件下で測
定した。以上の測定結果を表1および図1に示す。
【0044】更に、種々の昇温速度とその場合に得られ
る試料の透磁率の関係を求めるために、表2〜表5に示
す組成の試料を用いて透磁率の測定を行なった。表2は
昇温速度を0.5℃/分とした場合の試料の透磁率の測
定結果を示し、表3は昇温速度を5℃/分とした場合の
試料の透磁率の測定結果を示し、表4は昇温速度を80
℃/分とした場合の試料の透磁率の測定結果を示し、表
5は昇温速度を160℃/分とした場合の試料の透磁率
の測定結果を示す。なお、他の測定条件は先に説明した
測定の場合と同等の条件とした。 (以下、余白)
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】表1〜表5及び図1に示す測定結果から、
各軟磁性合金試料の透磁率は、熱処理時の昇温速度に大
きく依存し、概ね昇温速度が大きくなるにつれて透磁率
も高まっていることが明らかである。ここで表1〜表5
と図1に示す結果から、透磁率を少なくとも5000以
上に保つためには、昇温速度(℃/分)を1.0以上に
することが望ましいことが明らかになった。
【0051】次に、以下の各実施例において実効透磁率
(μe)の測定条件は10mOe,1kHzとした。保
磁力(Hc)は、直流B−Hループトレーサにより測定
し、飽和磁束密度(Bs)はVSMにて10kOeで測
定した磁化より算出した。なお、以下の実施例2〜6で
は、600℃または650℃の温度で1時間保持後、水
焼入れした後の磁気特性を示す。実施例7〜17では、
500〜700℃の温度で1時間保持後の磁気特性を示
す。また、昇温速度は80〜100℃/分に設定した。
【0052】「実施例2」請求項3または5の発明の合
金の磁気特性および構造に及ぼす熱処理の効果について
前記合金の基本組成の一つであるFe90Zr73合金を
例にとって以下に説明する。なお、昇温速度毎分10℃
の示差熱分析により求めたFe90Zr73合金の結晶化
開始温度は480℃であった。図2はFe90Zr73
金の実効透磁率に及ぼす焼鈍(アニール:各温度で1時
間保持)の効果を示す。図2から、本発明合金の実効透
磁率は、焼鈍温度(アニール温度)が低いほど低い値を
示すが、500〜650℃の焼鈍により、急激に増加し
ている。ここで650℃熱処理後の厚さ約20μmの試
料について透磁率の周波数依存を調べたところ、1KH
zで26500、10KHzで19800、更に100K
Hzで7800と、高い測定周波数においても優れた軟
磁気特性を示した。
【0053】次に、Fe90Zr73合金の熱処理前後の
構造の変化をX線回折法により調べ、熱処理後の組織を
透過電子顕微鏡を用いて観察した。結果をそれぞれ図3
と図4に示す。図3より、急冷状態では非晶質に特有の
ハローな回折図形が、熱処理後には体心立方晶に独特の
回折図形がそれぞれ認められ、本合金の構造が、熱処理
により非晶質から体心立方晶へと変化したことがわか
る。また図4に示す組織観察結果から、熱処理後の組織
が、粒径約10〜20nm程度の微結晶から成ることが
わかる。
【0054】また、Fe90Zr73合金について熱処理
前後の硬さの変化を調べたところ、ビッカース硬さで急
冷状態の750DPNから600℃熱処理後には140
0DPNと従来材料にない高い値まで増加し、磁気ヘッ
ド用材料に好適であることも判明した。以上のごとく本
実施例の合金は、前述の組成を有する非晶質合金を熱処
理により結晶化させ、超微細結晶粒を主とする組織を得
ることにより、高飽和磁束密度でかつ軟磁気特性に優
れ、更に高い硬さと高い熱安定性を有する優れた特性を
得ることができることが判明した。
【0055】次に前記合金のZr量およびB量を変化さ
せた場合の実施例を示す。表6及び図5,6,7,8は
焼鈍後の磁気特性を示す。
【0056】
【表6】
【0057】表6及び図5,6,7,8より、Zr量が
4〜9原子%の範囲で高透磁率と高飽和磁束密度が得や
すいことがわかる。また、Zr量が4原子%以下では1
0000以上の実効透磁率が得られず、9原子%を超え
ると透磁率が急激に低下すると共に、飽和磁束密度も低
下するため好ましくない。したがって、請求項3,5の
合金におけるZr含有量の限定範囲を4〜9原子%とし
た。同様に、B量については、0.5〜10原子%の範
囲において実効透磁率5000以上、好ましくは100
00以上の高透磁率が得やすいことがわかり。この為、
B含有量の限定範囲を0.5〜10原子%とした。ま
た、Zr,B量が前記範囲にあっても、Fe量が93原
子%を超えると高い透磁率が得られないため、請求項3
〜19の合金における基本的なFe含有量は93原子%
以下とした。
【0058】「実施例3」次に実施例2に示したFe-
Zr-B系合金のZrをHfで置換したFe-Hf-B系
合金について説明する。実施例としてFe-Hf-B系合
金のHf量を4〜9原子%の範囲で変化させた場合の結
果を表7に示す。
【0059】
【表7】
【0060】表7に示す結果から、Hf量が4〜9原子
%の範囲において、Fe-Hf-B系合金の実効透磁率が
Fe-Zr-B系合金のものと同等であることがわかる。
また、表7中に示すFe91Zr4Hf32合金の磁気特
性は実施例2のFe-Zr-B系合金の磁気特性と同等で
ある。従って実施例2に示したFe-Zr-B系合金のZ
rは、その組成限定範囲である4〜9原子%のすべてに
おいてHfと一部もしくは全て置換可能であることが明
らかになった。
【0061】「実施例4」次に実施例2および実施例3
に示したFe-(Zr,Hf)-B合金のZr、Hfの一部
をNbで置換する場合について説明する。実施例として
Fe-Zr-B系合金のZrの一部を1〜5原子%のNb
で置換した場合の結果を表8に示す。
【0062】
【表8】
【0063】表8に示す結果から、高い透磁率を得やす
いZr+Nbの量は、Fe-Zr-B系合金におけるZr
の場合と同じ4〜9原子%であり、NbはZrと同等の
添加効果を有していることがわかる。従って、Fe-(Z
r,Hf)-B合金において、Zr,Hfの一部はNbで
置換することが可能である。
【0064】「実施例5」次に、実施例4に示したFe
-(Zr,Hf)-Nb-B合金のNbをTi,V,Ta,
Mo,Wと置換する場合について説明する。実施例とし
て表9に、Fe-Zr-M’-B(ここで、M’はTi,
V,Ta,Mo,Wの内のいずれか1つである)系合金
の磁気特性を示す。
【0065】
【表9】
【0066】表9中の各実施例とも、比較例として示さ
れたFe基非晶質合金(試料No.126)、けい素鋼
(試料No.127)などで通常得られる実効透磁率の
5000を上回り、Fe-Si-Al合金(試料No.1
28)、Fe-Ni合金(試料No.129)、Co基非
晶質合金(試料No.130)の飽和持続密度よりも優
れた磁気特性を示している。従って、前述の各実施例の
合金が優れた透磁率と飽和磁束密度を併有しており、F
e-(Zr,Hf)Nb-B合金のNbはTi,V,Ta,
Mo,Wと置換することが可能であることが明らかにな
った。
【0067】「実施例6」次に、請求項5、6の合金に
おけるCoおよびNi含有量の限定理由について説明す
る。実施例として、(Fe1-a Za)91 Zr72
る組成の合金(Z=Co,Ni)におけるCoおよびN
i量(a)と透磁率の関係を図9に示す。図9に示す結
果から、Co及びNi量(a)が0.1以下の範囲におい
ては実効透磁率5000以上であり、Fe系非晶質合金
よりも高い値を示すが、0.1を超える範囲においては
実効透磁率が急激に低下するので実用上好ましくない。
よって、前記各請求項の合金におけるCo及びNi含有
量(a)は0.1以下とした。更に、10000以上の
実効透磁率を得るためにはaを0.05以下とすること
が好ましい。
【0068】「実施例7」請求項11〜14の合金の磁
気特性および構造におよぼす熱処理の効果について、前
記合金の基本組成の一つであるFe86Zr76Cu1
金を例にとって以下に説明する。なお、昇温速度毎分1
0℃の示差熱分析により求めたFe86Zr76Cu1
金の結晶化開始温度は503℃であった。
【0069】図10は、Fe86Zr76Cu1合金の実
効透磁率に及ぼす焼鈍(各温度で1時間保持)の効果を
示す。図10に示す結果から、急冷状態(RQ)における
本発明合金の実効透磁率は、Fe基非晶質合金程度の低
い値を示すが、500〜620℃の焼鈍により、急冷状
態の10倍程度の高い値に増加している。ここで600
℃熱処理後の厚さ約20μmの試料について透磁率の周
波数依存を調べたところ1KHzで32000、10K
Hzで25600、更に100KHzで8330と、高い
測定周波数においても優れた軟磁気特性を示した。本発
明合金の磁気特性は、昇温速度など熱処理条件を適当に
選ぶことにより調整することができ、また磁場中焼鈍な
どの処理により磁気特性を改善することもできる。
【0070】次に、Fe86Zr76Cu1合金の熱処理
前後の構造の変化をX線回折法により調べ、熱処理後の
組織を透過電子顕微鏡を用いて観察した。結果をそれぞ
れ図11と図12に示す。図11より、急冷状態では非
晶質に特有のハローな回折図形が、熱処理後には体心立
方晶に独特の回折図形がそれぞれ認められ、本合金の構
造が熱処理により、非晶質から体心立方晶へと変化した
ことがわかる。
【0071】また、図12は、前記金属組織の透過電子
顕微鏡写真の模示図であるが、この図から、熱処理後の
組織が粒径約10nm程度の微結晶から成ることがわか
る。更に、Fe86Zr76Cu1合金について熱処理前
後の硬さの変化を調べたところ、ビッカース硬さで急冷
状態の740DPNから650℃熱処理後には1390
DPNと従来材料にない高い値まで増加し、磁気ヘッド
用材料に好適であることも判明した。以上のごとく本発
明の合金は、前述の組成を有する非晶質合金を熱処理に
より結晶化させ、超微細結晶粒を主とする組織を得るこ
とにより、高飽和磁束密度でかつ軟磁気特性に優れ、更
に高い硬さと高い熱安定性を有する優れた特性を得るこ
とができる。
【0072】次に請求項11〜14の合金のZr量およ
びB量を変化させた場合の実施例を示す。表10および
図13は焼鈍後の磁気特性を示す。
【0073】
【表10】
【0074】表10及び図13から、Zr量が4〜10
原子%の範囲で高透磁率が得やすいことがわかる。ま
た、Zr量が4原子%以下では5000〜10000以
上の実効透磁率が得られず、10原子%を超えると透磁
率が急激に低下するとともに飽和磁束密度も低下するた
め好ましくない。そこで、本発明の合金におけるZr含
有量の限定範囲を4〜10原子%とした。
【0075】同様にB量については、0.5〜18原子
%の範囲で実効透磁率5000以上の高透磁率が得やす
いことがわかり、このためB含有量の限定範囲を0.5
〜18原子%とした。またZr,B量が前記範囲にあっ
ても、Fe量が93原子%を超えると高い透磁率が得ら
れないため、請求項11〜14の発明の合金におけるF
e+Co含有量の(b)は93原子%以下とした。
【0076】「実施例8」次に実施例7に示したFe-
Zr-B-Cu系合金のZrをHfで置換したFe-Hf-
B-Cu系合金について説明する。実施例としてB量を
6原子%、Cu量を1原子%でそれぞれ一定とした各組
成の合金の磁気特性の測定結果を表11に示す。また、
図14はHf量を4〜10原子%の範囲で変化させた場
合の透磁率を示す。図14には比較のために、Fe-Z
r-B6-Cu1系合金の実効透磁率を併せて示す。
【0077】
【表11】
【0078】表11及び図14から、Hf量が4〜10
原子%の範囲においてFe-Hf-B-Cu系合金の実効
透磁率がFe-Zr-B-Cu系合金のものと同等である
ことがわかる。また、表11中に示すFe86Zr4Hf3
6Cu1合金の磁気特性は実施例7のFe-Zr-B-C
u系合金の磁気特性と同等である。従って、実施例7に
示したFe-Zr-B-Cu系合金のZrは、その組成限
定範囲である4〜10原子%の全てにおいて、Hfと一
部もしくは全て置換可能であることが明らかになった。
【0079】「実施例9」次に、実施例7および実施例
8に示したFe-(Zr,Hf)-B-Cu合金のZr、
Hfの一部をNbで置換する場合について説明する。実
施例としてFe-Zr-B-Cu系合金のZrの一部を1
〜5原子%のNbで置換した場合の結果を表12に示
す。また、図15はNb添加量を3原子%としたFe-
Zr-Nb-B-Cu系合金の磁気特性を示したものであ
る。
【0080】
【表12】
【0081】表12及び図15において、高い透磁率が
得やすいZr+Nbの量は、Fe-Zr-B-Cu系合金
におけるZrの場合と同じ4〜10原子%であり、この
範囲では、Fe-Zr-B-Cu系合金と同等の高い実効
透磁率が得られている。従って、Fe-(Zr,Hf)-B
-Cu合金のZr,Hfの一部はNbで置換することが
可能であることが明らかになった。
【0082】「実施例10」前記実施例9に示したFe
-(Zr,Hf)-Nb-B-Cu合金のNbをTi,V,
Ta,Mo,Wと置換する場合について説明する。実施
例として表13に、Fe-Zr-L-B-Cu1(L=T
i,V,Ta,Mo,W)系合金の磁気特性を示す。
【0083】
【表13】
【0084】表13中の各実施例とも、Fe基非晶質合
金で通常得られる実効透磁率の5000を上回る優れた
磁気特性を示している。従って、Fe-(Zr,Hf)N
b-B-Cu合金のNbはTi,V,Ta,Mo,Wと置
換することが可能である。
【0085】「実施例11」次に、請求項11〜14の
合金におけるCu含有量の限定理由について説明する。
実施例として、図16にFe87-xZr4Nb36Cux
金のCu量(z)と透磁率の関係を示す。図16から、z
=0.2〜4.5原子%の範囲で実効透磁率10000以
上の優れた磁気特性が得やすいことがわかる。zが0.2
原子%以下になるとCu添加効果が有効に得られにく
く、またzが4.5原子%を超えると透磁率の劣化を招く
ので、実用上好ましくない。しかし、0.2原子%以下
でも実効透磁率5000以上と実用的な値が得られるの
に加え、Cuが減少することによりFeの濃度が増加す
るために飽和磁束密度が向上する。従ってCuの添加量
を0よりも多く、かつ、0.2原子%以下の範囲で添加
しても良い。よって、請求項11〜14の発明の合金に
おけるCu含有量の範囲は4.5原子%以下とした。
【0086】「実施例12」実施例7〜実施例11に示
した各合金のCuをAg,Pd,Ptと置換する場合に
ついて説明する。実施例として、表14に、Fe86Zr
4Nb361(T=Ag,Au,Pd,Pt)合金の磁気
特性を示す。
【0087】
【表14】
【0088】表14から、各合金とも実効透磁率が10
000以上であり、Cuとほぼ同程度の優れた磁気特性
を示している。従って請求項11〜14の発明の合金の
CuはAg,Au,Pd,Ptと置換可能であることが
明らかである。
【0089】「実施例13」次に請求項3の合金におけ
るCo含有量の限定理由について説明する。実施例とし
て(Fe 1-a Co a86Zr4Nb36Cu1合金のC
o量(a)と透磁率の関係を図17に示す。図17にお
いて、aが0.1以下の範囲においては実効透磁率50
00以上となり、Fe系非晶質合金よりも高い値を示
す。よって、請求項3の発明の合金におけるCo含有量
(a)は、0.1以下とした。更に、実効透磁率100
00以上の高い値を出すためには、Cu含有量を0.0
5以下とすることが好ましい。
【0090】「実施例14」請求項11〜14の合金の
薄膜をスパッタ法により作製した場合について説明す
る。薄膜の作製は、高周波スパッタ法によりAr雰囲気
中で行った。得られた膜の膜厚は1〜2μmであって、
これを、500〜700℃で熱処理した後、磁気特性を
測定した。その結果を表15に示す。
【0091】
【表15】
【0092】表15に示す結果から、本発明例のいずれ
の合金膜も優れた軟磁気特性を示しており、本発明の合
金はスパッタ法によっても製造可能であることが明らか
になった。なお、表15には、比較例としてFe-Al-
Si系(センダスト)の非晶質合金薄膜の特性も記載し
た。この比較例の非晶質合金膜に比べると本発明例のも
のは、透磁率では若干劣るが、飽和磁束密度ははるかに
優れていることが明らかになった。
【0093】「実施例15」請求項15〜18に示す組
成の合金の磁気特性および構造に及ぼす熱処理の効果に
ついて、請求項15〜18に示す組成の合金の基本組成
の1つであるFe80Nb712Cu1合金を例にとって以
下に説明する。なお、昇温速度毎分10℃の示差熱分析
により求めた前の記合金の結晶化開始温度は470℃で
あった。なお、この組成の場合にNb添加は必須であ
り、その一部をTi,Taで置換しても同等の磁気特性
が得られる。図18はこの組成の合金の実効透磁率に及
ぼす焼鈍(各温度で1時間保持後水焼き入れ)の効果を
示す。
【0094】図18より、急冷状態(RQ)における本
合金の実効透磁率は、Fe基非晶質合金程度の低い値を
示すが、500〜620℃の焼鈍により、急冷状態の1
0倍程度の高い値に増加している。ここで、600℃熱
処理後の厚さ約20μmの試料について、透磁率の周波
数依存性を調べたところ、1kHzで28800、10
kHzで25400、更に100kHzで7600とい
う高い測定周波数においても優れた軟磁気特性を示し
た。
【0095】図19は、Fe92-xNb7xCu1なる組
成の合金の実効透磁率に及ぼすB含有量の影響を測定し
た結果を示す。図19においては、Bの含有量を6〜1
8%の範囲で増減させることにより透磁率の変化を測定
した。図19より、Bの含有量が6.5〜18原子%の
範囲において優秀な透磁率を示すことが判明した。よっ
て、請求項15〜18の発明合金においてはB含有量を
6.5〜18%に限定した。
【0096】「実施例16」図20は、Fe87-xNbx
12Cu1なる組成の合金の実効透磁率に及ぼすNb含
有量の影響を測定した結果を示す。図20においては、
Nbの含有量を3〜11原子%の範囲で増減させること
により透磁率の変化を測定した。図20に示す結果か
ら、Nbの含有量が4〜10原子%の範囲で優秀な透磁
率が得られることが判明した。よって請求項15〜18
の発明においてはNb含有量を4〜10%に限定した。
前記Fe92-xNb7xCu1合金の熱処理前後の構造の
変化をX線回折法により調べ、熱処理後の組織を透過電
子顕微鏡を用いて観察した。結果をそれぞれ図21と図
22に示す。
【0097】図21から、急冷状態では非晶質に特有の
ハローな回折図形が、熱処理後には結晶質に独特の回折
図形がそれぞれ認められ、本合金の構造が熱処理によ
り、非晶質から結晶質へと変化したことがわかる。図2
2から、熱処理後の組織が、粒径約10nm程度の微結
晶から成ることがわかる。また、Fe80Nb127Cu1
合金について熱処理前後の硬さの変化を調べたところ、
ビッカース硬さで急冷状態の650DPNから600℃
熱処理後には950DPNの高い値まで増加し、磁気ヘ
ッド用材料に好適であることも判明した。
【0098】以上のごとく請求項7〜11、15〜18
に記載の発明の合金によれば、前述の組成を有する非晶
質合金を熱処理により結晶化させ、超微細結晶粒を主と
する組織を得ることにより、高飽和磁束密度でかつ軟磁
気特性に優れ、更に高い硬さと高い熱安定性を有する優
れた特性を得ることができる。しかも、この発明の合金
に主として用いられる元素は酸化物生成傾向が小さく、
製造時に酸化しずらいので、製造しやすい特徴がある。
【0099】次に、請求項15〜18に記載の発明に係
る軟磁性合金の基本組成において、Fe+Cu量とB量
とNb量のそれぞれを増減させた場合の透磁率の変化を
測定した。その結果を図23に示す。図23において、
透磁率が10000前後の値より優れた値を示す範囲は
Nb量においては、4〜10原子%、B量に関しては
6.5〜18原子%の範囲であることが明らかである。
【0100】更に、請求項15〜18に記載の発明に係
る軟磁性合金の基本組成において、Fe+Cu量とB量
とNb量のそれぞれを増減させた場合の飽和磁束密度の
変化を測定した。その結果を図24に示す。図24か
ら、この発明の合金組成範囲において13kG〜16k
Gの優秀な値が得られることが判明した。
【0101】次に、請求項15〜18に記載した組成の
合金におけるCu含有量の限定理由について説明する。
実施例として図25にFe82.5-zNb710.5Cuz合金
のCu量(z)と透磁率の関係を示す。図25に示す結
果から、Cu量のzが0.2〜4.5原子%の範囲で優れ
た実効透磁率が得やすいことが明らかである。Cu量が
0.2原子%以下になるとCu添加効果が有効に得られ
にくく、また、Cu量が4.5原子%を超えると透磁率
の劣化を招くので実用上好ましくない。しかし、Cu量
が0.2原子%以下のときは、実効透磁率が5000以
上と実用的であるのに加えて、飽和磁束密度が若干高く
できるのでCu量は0.2原子%以下でも良い。よって
この発明の合金におるCu含有量の範囲は4.5%以下
とした。
【0102】次に、先に説明したFe-Nb-B-Cu系
合金のNbを複数の元素で置換したFe-Nb-Ta-B-
Cu系合金と、Fe-Nb-Ti-B-Cu系合金と、Fe
-Nb-Ta-Ti-B-Cu系合金について説明する。実
施例としてB量を12原子%、Cu量を1%でそれぞれ
一定とした場合であって、NbとNbの一部をTa,T
iで置換したときの各含有量を4〜10原子%の範囲で
増減した合金の透磁率を図26に示す。図26に示す結
果から、各組成の合金でも同程度の透磁率が得られた。
また、以下の表16に示す各組成の合金の飽和磁束密度
(kG)を測定した。
【0103】
【表16】
【0104】以上の結果から、Fe-Nb-B-Cu系合
金のNbをTa、Tiに置換することが可能であり、N
bをNbとTiに、あるいは、NbをTaとTiに、ま
たは、NbをNbとTaとTiに置換することが可能で
あることが判明した。更に、以上の実施例の説から明ら
かなように請求項15〜18に示す組成の軟磁性合金
は、10000を超える高透磁率であって、12〜1
5.3kGの優れた飽和磁束密度を示し、耐熱性に優
れ、硬度も高い優れたものである。よってこの発明の軟
磁性合金は、磁気ヘッド用、トランス用、チョークコイ
ル用として好適であって、これらの用途に供した場合、
これらの性能向上と小型化と軽量化をなしえる効果があ
る。
【0105】「実施例17」請求項7〜10の合金の磁
気特性および構造に及ぼす熱処理の効果について請求項
7〜10の合金の基本組成の1つであるFe84Nb79
合金を例にとって以下に説明する。なお、昇温速度毎分
10℃の示差熱分析により求めた前記合金の結晶化開始
温度は490℃であった。図27は、前記組成の合金の
実効透磁率(μe)および飽和磁束密度(Bs)に及ぼ
す焼鈍(各温度で1時間保持)の効果を示す。図27に
示す結果から、急冷状態(RQ)における本願発明合金
の実効透磁率は、低い値を示すが、550〜680℃の
焼鈍により、急激に増加している。ここで、650℃熱
処理後の厚さ約20μmの試料について、透磁率の周波
数依存性を調べたところ、1kHzで22000、10
kHzで19000、更に100kHzで8000とい
う高い測定周波数においても優れた軟磁気特性を示し
た。よってこの発明の合金の磁気特性は昇温速度などの
熱処理条件を適当に選ぶことにより調整できることが明
かになり、更に、磁場中焼鈍により磁気特性を改善する
こともできる。なお、本発明では熱処理温度は組成に応
じて適宜選択可能であり、本発明においては400〜7
50℃の範囲で選択すると良い。
【0106】図28は、Fe93-xNb7xなる組成の合
金の実効透磁率に及ぼすB含有量の影響を測定した結果
を示す。図28においては、Bの含有量を6〜10%の
範囲で増減させることにより透磁率の変化を測定した。
図28に示す結果から、Bの含有量が6.5〜10原子
%の範囲において優秀な透磁率を示すことが判明した。
よって請求項7〜10の発明においてはB含有量を6.
5〜10%に限定した。Fe93-xNb7x合金の熱処理
前後の構造の変化をX線回折法により調べ、熱処理後の
組織を透過電子顕微鏡を用いて観察した。結果をそれぞ
れ図29と図30に示す。
【0107】図29に示す結果から、急冷状態では非晶
質に特有のハローな回折図形が、熱処理後には結晶質に
独特の回折図形がそれぞれ認められ、本合金の構造が熱
処理により、非晶質から結晶質へと変化したことがわか
る。また、図30に示す結果から、熱処理後の組織が、
粒径約10〜20nm程度の微結晶から成ることがわか
る。また、Fe84Nb79合金について熱処理前後の硬
さの変化を調べたところ、ビッカース硬さで急冷状態の
650DPNから650℃熱処理後には950DPNの
高い値まで増加し、磁気ヘッド用材料に好適であること
も判明した。
【0108】以上のごとく請求項7〜10の発明の合金
によれば、前述の組成を有する非晶質合金を熱処理によ
り結晶化させ、超微細結晶粒を主とする組織を得ること
により、高飽和磁束密度でかつ軟磁気特性に優れ、更に
高い硬さと高い熱安定性を有する優れた特性を得ること
ができる。しかも、本発明の合金に主として用いられる
元素は酸化物生成傾向が比較的小さく、製造時に酸化し
ずらいので、製造しやすい特徴がある。請求項7〜10
の発明に係る軟磁性合金のFe量とB量とNb量のそれ
ぞれを増減させた場合の透磁率の変化を測定した。その
結果を図33に示す。
【0109】本発明に係る軟磁性合金のFe量とB量と
Nb量のそれぞれを増減させた場合の飽和磁束密度の変
化を測定した。その結果を図31に示す。図31から、
この発明の合金組成範囲において13kG〜15kGの
優秀な値が得られることが判明した。
【0110】次に、請求項9、10の発明の合金におけ
るCoおよびNi含有量の限定理由について説明する。
実施例として(Fe1-a a84Nb79合金(Z=C
o,Ni)のCo量およびNi量(a)と透磁率の関係
を図32に示す。図32から、Co量およびNi量
(a)が0.1以下の範囲においては、実効透磁率50
00以上とFe系非晶質合金と同等の高い値を示すが、
0.1を越えると透磁率が急激に低下するので好ましく
ない。よって本発明においてはCoとNiの含有量を
0.1以下に限定した。
【0111】次に、先に説明したFe-Nb-B系合金に
おいて、Nbを複数元素で置換したFe-Nb-Ta-B-
Cu系合金と、Fe-Nb-Ti-B系合金と、Fe-Nb
-Ta-Ti-B系合金を80〜100℃/分の昇温速度
で熱処理して得られた各軟磁性合金の磁気特性を測定し
た結果を以下の表17に示す。
【0112】
【表17】
【0113】表17に示す結果から、各組成の合金でも
同程度の透磁率および飽和磁束密度が得られた。以上の
結果から、Fe-Nb-B系合金のNbを一部Ta、Ti
に置換することが可能であり、NbをNbとTiに、N
bをNbとTiに、または、NbをNbとTaとTiに
置換することが可能であることが判明した。
【0114】以上の実施例の説明から明らかなように請
求項7〜10に記載された組成の軟磁性合金は、Fe系
非晶質合金と同等もしくはそれ以上の高透磁率であっ
て、15kG程度の優れた飽和磁束密度を示し、耐熱性
に優れ、硬度も高い優れたものである。よって特に請求
項7〜10の発明の軟磁性合金は、磁気ヘッド用、トラ
ンス用、チョークコイル用として好適であって、これら
の用途に供した場合、これらの性能向上と小型化と軽量
化をなしえる効果がある。
【0115】「実施例18」次に、図33(a),
(b),(c)は、(Fe 1-x Co x90 Zr 7 3
なる組成の試料を作成し、Co量を変更して透磁率(μ
e)と磁歪(λs)と飽和磁束密度(Bs)を測定した
結果を示す。この例の測定条件は先に記載した実施例の
場合と同等の条件で行なっている。図33に示す結果か
ら20000以上の透磁率を得るためには、Co量のa
の値を0.005〜0.03の範囲にすれば良いことが明
らかになった。また、飽和磁束密度においてはCo量を
変更しても16.4kG〜17kGの高い飽和磁束密度
を示す。さらに、磁歪についてはCo量の変化に応じて
−1×10-6〜+3×10-6の範囲で変動するので、F
eの一部をCoに置換して適宜の組成を選択することに
より磁歪を調整できることが判明した。よって樹脂モー
ルド時の圧力による磁歪に対する影響を考慮した磁歪調
整ができることが明らかになった。
【0116】「実施例19」図34は本発明に係るFe
89Hf74なる組成の合金と比較例のFe-Si-B系非
晶質合金のコアロスを測定した結果を示す。コアロスの
測定条件は、リング状の試料を作成してそれに巻線を施
し、正弦波電流を流し、フーリエ変換して数値を算出す
るsinBモードで測定した。図34に示す結果から、
50Hz、400Hz、1kHz、10kHz、50k
Hzのいずれの周波数においても本発明に係る組成の合
金は比較例の非晶質合金よりもコアロスが少なくなって
いることが判明した。
【0117】「実施例20」本発明に係る組成の各種合
金試料を作成し、それらの試料を製造する際の昇温速度
と得られた試料の透磁率の関係を測定した結果を図35
〜図38に示す。図35は、先に示した表2に示されて
いる組成の試料の中から複数の試料を選択し、それぞれ
について昇温速度と透磁率の関係を求めてプロットした
ものである。図36は、先に示した表3に示されている
試料を用いた場合の同様の測定結果を示し、図37は、
先に示した表4に示されている試料を用いた場合の同様
の測定結果を示し、図38は先に示した表5に示されて
いる試料を用いた場合の同様の測定結果を示している。
図35〜図38に示す結果から、本発明に係るいずれの
組成の合金においても昇温速度を向上させることで透磁
率が向上する傾向があることが判明した。
【0118】「実施例21」図39は以下の表18に示
す組成の試料の平均結晶粒径と保磁力との関係を求めた
結果を示すものである。
【0119】
【表18】 この図に示す結果から、平均結晶粒径を30nm以下に
することで、低保磁力が得られることが明らかである。
【0120】この結果から、本発明者らは、合金の熱処
理工程を改良してさらに微細な組織とすることで、磁気
特性の改善を試みた。非晶質合金の結晶化の理論(核生
成ー成長理論)を考慮すると、小さな粒径を得るために
は、核生成速度が大きく、しかも、小さな核成長速度が
得られる条件を満たせば良い。通常、核生成速度と成長
速度は温度の関数であり、前述の条件は、低い温度域で
長時間保持することで達成される。この知見から、昇温
速度を小さくし、低い温度域での熱処理時間を長くする
手法が考えられた。しかし、次に示す実施例から、本発
明者らは先の通常概念とは逆の昇温速度を大きくするこ
とが有効であることを発見した。
【0121】「実施例22」図40は、Fe90Zr73
なる組成の試料を用い、一定の温度Tで結晶化させた時
の時間tと結晶化分率(結晶体積分率)との関係を測定
した結果を示す。ここで、図40における横軸の時間t
について説明する。結晶体積分率xと時間tとの間に
は、一般に、JMA(Johnson-Mehl-Avrami)の式とし
て知られる以下の式が成立することが知られている。 x=1−exp(−ktn) この式において、指数のnは結晶析出機構によって異な
る変数である。
【0122】前記の関係に基づき、図40に示す結晶化
分率の対数をとってそれをプロットした結果を図41に
示す。この図に示す関係を求めることを一般にはJMA
プロットと称している。ここで、球状の析出物が均一に
生成する場合、n値として1.5〜3が得られる。図4
1中で490℃以上で結晶化した場合にn値は1.9〜
2.2であり、ほぼ均一なbcc結晶が析出しているこ
とを示している。しかし、低温の450℃ではn=1.
0となり、bcc結晶の析出形態が不均一化することを
示唆している。この結果は、均一微細な組織を得る目的
に対しては、より高い温度で結晶化させることが有効で
あることを示している。一般に非晶質の結晶化温度は昇
温速度に比例して上昇するので、図41から、昇温速度
を大きくすることで組織の均一微細化をなしえることが
期待できることが明らかである。
【0123】また、図42に本発明に係る条件のうち昇
温速度α=200℃/分で昇温して得られたFe90Zr
73なる組成の合金試料の結晶粒径の測定結果を示し、
図43にこれよりも小さな昇温速度2.5℃/分で昇温
して得られた同一組成の合金試料の結晶粒径の測定結果
を示す。
【0124】図42と図43に示すbcc結晶の粒径分
布の結果から明らかなように、200℃/分の条件で昇
温した試料は平均結晶粒径は小さく、しかも、粒径分布
がシャープであって、粒径分布は粒径の小さい範囲に集
中している。これに対して、2.5℃/分の昇温速度で
処理した試料は、平均粒径が大きく、粒径分布もブロー
ドである。以上説明した関係から、本発明に係る合金に
おいては、従来の常識とは逆に昇温速度を大きくした方
が平均結晶粒径は小さくなることが明らかである。
【0125】「実施例23」次に図44と図45は、F
90Zr73なる組成の非晶質合金において、その合金
組織の結晶粒径を調べるために、透過電子顕微鏡を用い
て組織を調べた結果である。組織観察は、暗視野像によ
って行なったため、特定の結晶粒のみが示されている
が、実際の組織は全体が同様の結晶で占められている。
図44と図45に示す結果から明かなように、本発明に
係る合金において、昇温速度を高くしたものの組織の方
がより微細な組織になっていることが容易に確認でき
た。
【0126】「実施例24」次に、以下の表19に示す
組成の試料を作成し、それらについて耐食性試験を行な
った。耐食性試験は、40〜60℃、95%RH96時
間の条件にて測定した。表19において、発錆なしの試
料を○、全面積の1%以下に発錆したものを△、全面積
の1%以上に発錆したものを×でそれぞれ表示した。 (以下、余白)
【0127】
【表19】
【0128】表19に示す結果から明かなように、本発
明に係る組成の試料は耐食性に優れていることが明かに
なった。そして、この試験結果から、本発明に係る組成
の合金の耐食性を磁気特性向上させることなく向上させ
るためには、5原子%以下のRu,Crを添加する必要
があることが明かになった。
【0129】「実施例25」次に、以下の表20に示す
組成の各非晶質合金試料を作成し、それぞれについてコ
アロスと磁歪(λs)と比抵抗(ρ)を測定した結果を
示す。また、各試料の厚さ(t)を表20に示す。本発
明に係る各試料の測定条件は、昇温速度80〜100℃
/分、熱処理温度650℃とした。ただし、Fe-Si-
B非晶質合金の熱処理は370℃で行なった。
【0130】
【表20】
【0131】表20に示す結果から、本発明に係る非晶
質合金試料は比較例のFe-Si-B非晶質合金よりも低
いコアロスを有し、磁歪も小さいことが明かになった。
【0132】
【発明の効果】以上説明したように本発明の製法によれ
ば、従来の実用合金と同程度あるいはそれより優れた軟
磁気特性を有し、更に高い透磁率と飽和磁束密度も備え
たFe基軟磁性合金を製造することができる。しかも本
発明の軟磁性合金は、高い機械強度を有し、高い熱安定
性も兼ね備えている。特に、昇温速度が1.0℃/分以
上の熱処理を施すことで、透磁率を安定して高めること
ができる。また、請求項3〜18の発明の合金において
添加元素となるNbとTaはいずれも熱的に安定な元素
であるので、製造時に酸化反応や還元反応で変質するお
それが低く、製造時の条件が有利になる利点がある。以
上のことから本発明の製法で得られるFe基軟磁性合金
は、磁気記録媒体の高保磁力化に対応することが必要な
磁気ヘッド、より一層の小型化が要求されているトラン
ス、チョークコイル用として好適であって、これらの用
途に供した場合、これらの性能の向上と小型軽量化をな
しえる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る合金の一例の昇温速度と透
磁率の関係を示す両対数グラフである。
【図2】図2(a)は本発明に係る合金の一例の飽和磁
束密度と焼鈍温度の関係を示すグラフ、図2(b)は本
発明に係る合金の一例の実効透磁率と焼鈍温度の関係を
示すグラである。
【図3】図3は本発明に係る合金の一例の熱処理前後の
構造変化を示すX線回折試験結果を示す図である。
【図4】図4は本発明に係る合金の一例の熱処理後の組
織を示す顕微鏡写真の模式図である。
【図5】図5は600℃で熱処理した本発明に係る合金
の一例において、Zr量とB量とFe量を変化させた場
合の透磁率を示す三角組成図である。
【図6】図6は650℃で熱処理した本発明に係る合金
の一例において、Zr量とB量とFe量を変化させた場
合の透磁率を示す三角組成図である。
【図7】図7は本発明に係る合金の一例において、Zr
量とB量とFe量を変化させた場合の飽和磁束密度を示
す三角組成図である。
【図8】図8は本発明に係る合金の一例において、Zr
量とB量とFe量を変化させた場合の飽和磁束密度を示
を三角組成図である。
【図9】図9は本発明に係る合金の一例におけるCo量
またはNi量と透磁率の関係を示す片対数グラフであ
る。
【図10】図10は本発明に係る合金の一例における実
効透磁率と焼鈍温度の関係を示す図である。
【図11】図11は本発明に係る合金の一例において熱
処理前後の構造変化を示すX線回折試験結果を示すグラ
フである。
【図12】図12は本発明に係る合金の一例において熱
処理後の組織を示す顕微鏡写真の模式図である。
【図13】図13は本発明に係る合金の一例においてF
e+Cu量とB量とZr量とを変化させた場合の磁気特
性を示す三角組成図である。
【図14】図14は本発明に係る合金の一例においてH
f量の変化と透磁率の関係を示す片対数グラフである。
【図15】図15は本発明に係る合金の一例においてB
量とZr+Nb量とFe+Cu量を変化させた場合の磁
気特性を示す三角組成図である。
【図16】図16は本発明に係る合金の一例におけるC
u量と実効透磁率の関係を示す片対数グラフである。
【図17】図17は本発明に係る合金の一例におけるC
o量と透磁率との関係を示す片対数グラフである。
【図18】図10は本発明に係る合金の一例における実
効透磁率と焼鈍温度の関係を示す図である。
【図19】図19は本発明に係る合金の一例におけるB
量と実効透磁率の関係を示す片対数グラフである。
【図20】図20は本発明に係る合金の一例におけるN
b量と実行透磁率の関係を示す片対数グラフである。
【図21】図21は本発明に係る合金の一例における熱
処理に伴う構造変化を示すX線回折試験結果を示すグラ
フである。
【図22】図22は本発明に係る合金の一例の熱処理後
の組織を示す顕微鏡写真の模式図である。
【図23】図23は本発明に係る合金の一例においてF
e+Cu量とB量とNb量とを変化させた場合の透磁率
を示す三角組成図である。
【図24】図24は本発明に係る合金の一例においてF
e+Cu量とB量とNb量とを変化させた場合の飽和磁
束密度の関係を示す三角組成図である。
【図25】図25は本発明に係る合金の一例におけるC
u量と実効透磁率の関係を示す片対数グラフである。
【図26】図26は本発明に係る合金の一例におけるN
bとTaとTiの含有量と透磁率の関係を示す片対数グ
ラフである。
【図27】第27図(a)は本発明に係る合金の一例に
おける飽和磁束密度と焼鈍温度の関係を示すグラフ、第
27図(b)は本発明に係る合金の一例における実効透
磁率と焼鈍温度の関係を示すグラである。
【図28】図28は本発明に係る合金の一例におけるB
量と実効透磁率の関係を示す片対数グラフである。
【図29】図29は本発明に係る合金の一例における熱
処理に伴う構造変化を示すX線回折試験結果を示すグラ
フである。
【図30】図30は本発明に係る合金の一例における熱
処理後の組織を示す顕微鏡写真の模式図である。
【図31】図31は本発明に係る合金の一例においてF
e量とB量とNb量とを変化させた場合の飽和磁束密度
を示す三角組成図である。
【図32】図32は本発明に係る合金の一例において、
Co量またはNi量と透磁率の関係を示す片対数グラフ
である。
【図33】図33(a)は本発明に係る合金の一例にお
けるCo量と飽和磁束密度の関係を示す図、図33
(b)は本発明に係る合金の一例におけるCo量と磁歪
の関係を示す図、図33(c)は本発明に係る合金の一
例におけるCo量と透磁率との関係を示す片対数グラフ
である。
【図34】図34は本発明に係る合金の一例におけるコ
アロスと熱処理温度の関係を示す図である。
【図35】図35は本発明に係る合金の第1の例におけ
る昇温速度と透磁率の関係を示す図である。
【図36】図36は本発明に係る合金の第2の例におけ
る昇温速度と透磁率の関係を示す図である。
【図37】図37は本発明に係る合金の第3の例におけ
る昇温速度と透磁率の関係を示す図である。
【図38】図38は本発明に係る合金の第4の例におけ
る昇温速度と透磁率の関係を示す図である。
【図39】図39は本発明に係る合金の一例における平
均粒径と保磁力の関係を示す図である。
【図40】図40は本発明に係る合金の一例における結
晶化分率を示す図である。
【図41】図41は図40に示す例のJMAプロットを
示す図である。
【図42】図42は本発明に係る合金の一例における結
晶粒の粒度分布を示す図である。
【図43】図43は比較例合金の結晶粒の粒度分布を示
す図である。
【図44】図44は本発明に係る200℃/分の昇温速
度で処理した合金の結晶粒を示す顕微鏡写真において結
晶粒の大きさを特定するために行なった試験の結果を示
す写真の模式図である。
【図45】図45は本発明に係る2.5℃/分の昇温速
度で処理した合金の結晶粒を示す顕微鏡写真において結
晶粒の大きさを特定するために行なった試験の結果を示
す写真の模式図である。
フロントページの続き (72)発明者 増本 健 宮城県仙台市青葉区上杉3丁目8番22号 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内無番地 川内住宅 11−806

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feを主成分とする非晶質合金に、少な
    くとも1.0℃/分以上の昇温速度で加熱する熱処理を
    施し、組織の少なくとも50%以上を体心立方構造の平
    均結晶粒径30nm以下の微細な結晶粒からなる組織と
    することを特徴とするFe基軟磁性合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記熱処理として、前記の昇温速度で加
    熱した後に400〜750℃の温度で保持する熱処理を
    行なうことを特徴とするFe基軟磁性合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示され
    る組成からなることを特徴とする請求項1または2に記
    載のFe基軟磁性合金。 Fe b x y 但し、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,M
    o,Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
    素であり、かつ、Zr,Hfのいずれか、または両方を
    含み、b=75〜93原子%、x=0.5〜10原子%、y
    =4〜9原子%である。
  4. 【請求項4】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示され
    る組成からなることを特徴とする請求項1または2に記
    載のFe基軟磁性合金。 Fe b x y u ただし、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,M
    o,Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
    素であり、かつ、Zr,Hfのいずれか、または両方を
    含み、XはCr,Ru,Rh,Irからなる群から選ば
    れた1種または2種以上の元素であり、b=75〜93
    原子%、x=0.5〜10原子%、y=4〜9原子%、u
    5原子%である。
  5. 【請求項5】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示され
    る組成からなることを特徴とする請求項1または2に記
    載のFe基軟磁性合金。 (Fe 1-a ab x y ただし、ZはCo,Niのいずれか、または両方であ
    り、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W
    からなる群から選ばれた1種または2種以上の元素であ
    り、かつ、Zr,Hfのいずれか、または両方を含み、
    a≦0.1、b=75〜93原子%、x=0.5〜10原子
    %、y=4〜9原子%である。
  6. 【請求項6】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示され
    る組成からなることを特徴とする請求項1または2に記
    載のFe基軟磁性合金。 (Fe 1-a ab x y u ただし、ZはCo,Niのいずれか、または両方であ
    り、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W
    からなる群から選ばれた1種または2種以上の元素であ
    り、かつ、Zr,Hfのいずれか、または両方を含み、
    XはCr,Ru,Rh,Irからなる群から選ばれた1
    種または2種以上の元素であり、a≦0.1、b=75〜
    93原子%、x=0.5〜10原子%、y=4〜9原子
    %、u≦5原子%である。
  7. 【請求項7】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示され
    る組成からなることを特徴とする請求項1または2に記
    載のFe基軟磁性合金。 Fe b x M’y 但し、M’は、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wからな
    る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、か
    つ、Nbを含み、b=75〜93原子%、x=6.5〜1
    0原子%、y=4〜9原子%である。
  8. 【請求項8】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示され
    る組成からなることを特徴とする請求項1または2に記
    載のFe基軟磁性合金。 Fe b x M’y u 但し、M’は、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wからな
    る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、か
    つ、Nbを含み、XはCr,Ru,Rh,Irからなる
    群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、b
    75〜93原子%、x=6.5〜10原子%、y=4〜9
    原子%、u≦5原子%である。
  9. 【請求項9】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示され
    る組成からなることを特徴とする請求項1または2に記
    載のFe基軟磁性合金。 (Fe 1-a ab x M’y ただし、ZはCo,Niのいずれか、または両方であ
    り、M’はTi,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
    から選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、
    Nbを含み、a≦0.1、b=75〜93原子%、x=6.
    5〜10原子%、y=4〜9原子%である。
  10. 【請求項10】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示さ
    れる組成からなることを特徴とする請求項1または2に
    記載のFe基軟磁性合金。 (Fe 1-a ab x M’y u ただし、ZはCo,Niのいずれか、または両方であ
    り、M’はTi,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
    から選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、
    Nbを含み、XはCr,Ru,Rh,Irからなる群か
    ら選ばれた1種または2種以上の元素であり、a≦0.
    1、b=75〜93原子%、x=6.5〜10原子%、y
    4〜9原子%、u≦5原子%である。
  11. 【請求項11】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示さ
    れる組成からなることを特徴とする請求項1または2に
    記載のFe基軟磁性合金。 Fe b x y z 但し、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,M
    o,Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
    素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、または両方を
    含み、Tは、Cu,Ag,Au,Pd,Pt,Biから
    なる群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、
    b≦75〜93原子%、x=0.5〜18原子%、y=4〜
    10原子%、z≦4.5原子%である。
  12. 【請求項12】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示さ
    れる組成からなることを特徴とする請求項1または2に
    記載のFe基軟磁性合金。 Fe b x y z u 但し、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,M
    o,Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
    素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、または両方を
    含み、Tは、Cu,Ag,Au,Pd,Pt,Biから
    なる群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、
    XはCr,Ru,Rh,Irからなる群から選ばれた1
    種または2種以上の元素であり、b≦75〜93原子
    %、x=0.5〜18原子%、y=4〜10原子%、z
    4.5原子%、u≦5原子%である。
  13. 【請求項13】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示さ
    れる組成からなることを特徴とする請求項1または2に
    記載のFe基軟磁性合金。 (Fe 1-a ab x y z 但し、ZはCo,Niのいずれか、または両方であり、
    MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wから
    なる群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、
    かつ、ZrとHfのいずれか、または、両方を含み、T
    はCu,Ag,Au,Pd,Pt,Biからなる群から
    選ばれた1種または2種以上の元素であり、a≦0.1、
    b≦75〜93原子%、x=0.5〜18原子%、y=4〜
    10原子%、z≦4.5原子%である。
  14. 【請求項14】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示さ
    れる組成からなることを特徴とする請求項1または2に
    記載のFe基軟磁性合金。 (Fe 1-a ab x y z u 但し、ZはCo,Niのいずれか、または両方であり、
    MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wから
    なる群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、
    かつ、ZrとHfのいずれか、または、両方を含み、T
    はCu,Ag,Au,Pd,Pt,Biからなる群から
    選ばれた1種または2種以上の元素であり、XはCr,
    Ru,Rh,Irからなる群から選ばれた1種または2
    種以上の元素であり、a≦0.1、b≦75〜93原子
    %、x=0.5〜18原子%、y=4〜10原子%、z
    4.5原子%、u≦5原子%である。
  15. 【請求項15】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示さ
    れる組成からなることを特徴とする請求項1または2に
    記載のFe基軟磁性合金。 Fe b x M’y z 但し、M’は、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wからな
    る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、か
    つ、Ti,Nb,Taのいずれかを含み、Tは、Cu,
    Ag,Au,Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた
    1種または2種以上の元素であり、b≦75〜93原子
    %、x=6.5〜18原子%、y=4〜10原子%、z
    4.5原子%である。
  16. 【請求項16】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示さ
    れる組成からなることを特徴とする請求項1または2に
    記載のFe基軟磁性合金。 Fe b x M’y z u 但し、M’は、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wからな
    る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、か
    つ、Ti,Nb,Taのいずれかを含み、Tは、Cu,
    Ag,Au,Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた
    1種または2種以上の元素であり、XはCr,Ru,R
    h,Irからなる群から選ばれた1種または2種以上の
    元素であり、b≦75〜93原子%、x=6.5〜18原
    子%、y=4〜10原子%、z≦4.5原子%、u≦5原子
    %である。
  17. 【請求項17】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示さ
    れる組成からなることを特徴とする請求項1または2に
    記載のFe基軟磁性合金。 (Fe 1-a ab x M’y z 但し、ZはCo,Niのいずれかまたは両方であり、
    M’はTi,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群から
    選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつTi,
    Nb,Taのいずれかを含み、TはCu,Ag,Au,
    Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた1種または2
    種以上の元素であり、a≦0.1、b≦75〜93原子
    %、x=6.5〜18原子%、y=4〜10原子%、z
    4.5原子%である。
  18. 【請求項18】 前記Fe基軟磁性合金が、次式で示さ
    れる組成からなることを特徴とする請求項1または2に
    記載のFe基軟磁性合金。 (Fe 1-a ab x M’y zu 但し、ZはCo,Niのいずれか、または、両方であ
    り、M’はTi,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
    から選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、
    Ti,Nb,Taのいずれかを含み、TはCu,Ag,
    Au,Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた1種ま
    たは2種以上の元素であり、XはCr,Ru,Rh,I
    rからなる群から選ばれた1種または2種以上の元素で
    あり、a≦0.1、b≦75〜93原子%、x=6.5〜1
    8原子%、y=4〜10原子%、z≦4.5原子%、u≦5
    原子%である。
  19. 【請求項19】 前記Fe基軟磁性合金において、z
    0.2〜4.5原子%であることを特徴とする請求項1
    1、12、13、14、15、16、17、または、1
    8のいずれかに記載のFe基軟磁性合金の製造方法。
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