JPH06322663A - 撥水撥油性繊維構造物 - Google Patents

撥水撥油性繊維構造物

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JPH06322663A
JPH06322663A JP10945293A JP10945293A JPH06322663A JP H06322663 A JPH06322663 A JP H06322663A JP 10945293 A JP10945293 A JP 10945293A JP 10945293 A JP10945293 A JP 10945293A JP H06322663 A JPH06322663 A JP H06322663A
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Masatoshi Yoshikawa
雅敏 吉川
Shunzo Abe
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 洗濯及びドライクリーニング、さらには着用
時の摩擦などによる撥水撥油性の耐久性を向上させた繊
維構造物を提供するものである。 【構成】 木綿単繊維の内部がセルロース系繊維と反応
しうる反応性基を2個以上持つ加工剤(A)該加工剤
(A)と反応しうる活性水素基を2個以上持つ化合物
(B)との反応物によって架橋または充填され、かつ木
綿単繊維の表面が撥水撥油加工剤(C)と該撥水撥油加
工剤と反応しうる架橋性化合物(D)との反応物の皮膜
で被覆された木綿単繊維を有する繊維構造物であり、該
繊維構造物について、摩擦試験を行った時の、表面の木
綿単繊維が割繊叉はフィブリル化しだすまでの摩擦回数
が、加工前の繊維構造物の2倍以上であることを特徴と
する撥水撥油性繊維構造物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は撥水撥油加工された繊維
構造物に関し、特に洗濯及びドライクリーニング、さら
には着用時の摩擦などに対する撥水撥油性の耐久性を向
上させたセルロース系繊維含有繊維構造物に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、布帛等の繊維構造物に高度の撥水
撥油性を与える方法として、フッ素系化合物よりなる撥
水撥油加工剤を付与し繊維表面に撥水撥油剤皮膜を形成
させる方法が行われている。しかしこれらの加工剤皮膜
は脆くさらには繊維に対する接着性が乏しいため、洗濯
及びドライクリーニング、さらには着用時の布同士及び
布と他の物体との摩擦などにより、加工剤皮膜が繊維よ
り簡単に脱落し撥水撥油性が大幅に低下する問題があっ
た。
【0003】特に撥水性に関してはセルロース系繊維な
どの親水性繊維では耐久性が悪く、これを改善するもの
として以下の様な提案がなされている。即ち、活性水素
基を含むフッ素系撥水撥油加工剤にブロックドイソシア
ネート系架橋剤を混合する方法(特開昭54−1334
86)、繊維表面にブロックドイソシアネート系化合物
によるベース層を形成させフッ素系撥水撥油加工剤の接
着性を改善する方法(特開昭54−139641)、水
系のフッ素系撥水撥油加工剤で処理後に溶剤系のフッ素
系撥水撥油加工剤で処理する方法(特開昭60−151
380)、フッ素基含有アクリル系モノマーを繊維表面
で共重合させる方法(特公昭63−14117)などが
挙げられる。しかしこれらの方法でも撥水性の耐久性が
十分ではなく、特にセルロース系繊維を含有する繊維構
造物では洗濯50回といった高度の耐久性試験を行うと
撥水性がほとんど失われてしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はセルロ−ス系
繊維に対して従来技術では得られなかった、高度な耐久
性を有する撥水撥油性繊維構造物を提供するものであ
る。
【0005】本発明者らは、フッ素系撥水撥油加工剤に
より撥水加工されたセルロース系繊維布帛の洗濯及び摩
擦による撥水性低下防止法について鋭意検討した結果、
洗濯及び摩擦による撥水加工剤の脱落を防止するだけで
はなく、洗濯及び摩擦により布帛表面の単繊維がフィブ
リル化されるのを防止することが撥水性低下防止に有効
であることを見い出した。
【0006】このことから、本発明者らはセルロース系
繊維構造物の撥水撥油加工の耐久性を飛躍的に向上させ
る為には、繊維からの撥水撥油加工剤の脱落を防ぐだけ
では十分ではなく、繊維自体を洗濯や布帛同士の摩擦な
どでフィブリル化しない様にする本発明に到達した。
【0007】即ち本発明は、セルロース系単繊維の内部
がセルロース系繊維と反応しうる反応性基を2個以上持
つ加工剤(A)及び/又は該加工剤(A)と反応しうる
活性水素基を2個以上持つ化合物(B)によって架橋ま
たは充填され、かつセルロース系単繊維の表面が主とし
て撥水撥油加工剤(C)の皮膜又は撥水撥油加工剤
(C)と該撥水撥油加工剤と反応しうる架橋性化合物
(D)との反応物の皮膜で被覆されたセルロース系単繊
維を有する繊維構造物であり、該繊維構造物を、JIS
L 0823-1971 による摩擦試験機II型にて湿潤状
態でJIS L 0803-1986 (染色堅牢度試験用添
布白布)の綿3号で摩擦試験を行った時の、表面のセル
ロース系単繊維が割繊叉はフィブリル化しだすまでの摩
擦回数が、加工前の繊維構造物の2倍以上であることを
特徴とする撥水撥油性繊維構造物である。
【0008】本発明におけるセルロース系繊維とは、
綿、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、テンセルなど
である。これらのセルロース系繊維は、単繊維内部が一
様ではなく様々な微細構造を形成している。
【0009】例えば綿繊維では単繊維は、蝋質、ペクチ
ン質を多く含み精錬工程で除去される一次壁と、セルロ
ースを主成分とする二次壁からなる。二次壁はさらに、
ラメラ、フィブリル、ミクロフィブリル、エレメンタリ
ーフィブリルと呼ばれる微細なセルロース組織よりなる
高次構造体を形成しており、この組織間には微小な空隙
が存在する。従って、摩擦などにより大きな外力を受け
た場合繊維組織が一様に削り取られるのではなく、まず
最も大きな微細組織であるラメラ間で繊維組織が引き裂
かれ単繊維がフィブリル化する。
【0010】この摩擦による綿繊維のフィブリル化は乾
燥状態でも発生するが、特に水などにより綿繊維が膨潤
しラメラ間の空隙が広がっている場合に発生しやすい。
従って、洗濯などにより綿布帛が水膨潤状態で布帛同士
及び洗濯機槽壁などと擦れ、布帛表面が強度の摩擦を受
けた場合、布帛表面の単繊維がラメラ間でフィブリル化
する。この洗濯により発生したフィブリルは非常に小さ
い為肉眼では見えないが、洗濯後の綿布帛表面を走査型
電子顕微鏡写真で500倍以上に拡大してみると、単繊
維表面から数μm以下のヒゲ状のフィブリルが繊維組織
がめくれる様に発生する。
【0011】このフィブリル化による撥水撥油性の低下
を防ぐためには、セルロース系繊維と反応しうる反応性
基を2個以上持つ加工剤(A)を綿などのセルロース系
繊維の単繊維内部まで浸透させ、単繊維の摩擦耐久性を
上げることが必要である。
【0012】ここで綿単繊維内部まで加工剤を浸透させ
るためには、加工剤の分子径や粒子径が単繊維内部に浸
透する大きさであるか、単繊維を膨潤させることが必要
である。本発明におけるフッ素系撥水撥油加工剤(C)
が水系エマルジョン型又は溶剤溶解型である場合、水系
エマルジョン型でエマルジョン粒子径が約0.05μm
以上であると、水により膨潤し開いたラメラ間の間隙
(0.05μm以下)内に入らず、又溶剤溶解型では溶
剤として塩素系あるいは石油系溶剤を用いているため綿
が膨潤せず、ラメラ間の間隙が閉じたままであるので単
繊維内部まで加工剤は浸透せず、主として単繊維表面に
皮膜を形成する。この皮膜のみでは摩擦による単繊維の
フィブリル化防止は困難である。
【0013】摩擦によるフィブリル化を防ぐために単繊
維の摩擦耐久性を向上させるためには、セルロース系繊
維自身が持つ活性水素基と反応しうる反応性基を2個以
上持つ加工剤(A)を用いて反応させ、単繊維内部叉は
繊維表面を架橋すること、あるいは繊維表面に強靭な皮
膜を形成させることが必要である。
【0014】セルロース系繊維の活性水素基と反応しう
る反応性基を2個以上持つ加工剤(A)としては、N−
メチロール化合物、ケトン樹脂、アセタール樹脂、イソ
シアネート系化合物、エポキシ樹脂などが利用できる。
【0015】N−メチロール化合物としては、ジメチロ
ール尿素などの尿素ホルムアルデヒド樹脂、トリメチロ
ールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどのメラミ
ンホルムアルデヒド樹脂、ジメチロールエチレン尿素、
ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素などのエチレン
尿素系樹脂、ジメチロールヒドロキシエチルカーバメー
トなどのアルキルカーバメート系樹脂、N−メチロール
アクリルアミドの重合体及び他のアクリル及びメタクリ
ル化合物との共重合体などが利用できる。
【0016】ケトン樹脂としては、アセトンホルムアル
デヒド樹脂などが利用できる。
【0017】アセタール樹脂としては、グリコールアセ
タール、ペンタエリスリトールビスアセタールなどが利
用できる。
【0018】イソシアネート系化合物としては、イソシ
アネート基を亜硫酸ソーダ、オキシム系化合物などによ
りブロックしたイソシアネート基を2個以上持つ化合物
が利用できる。
【0019】エポキシ樹脂としては、エチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグ
リシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジル
エーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチ
ロールプロパントリグリシジルエーテルなどのグリシジ
ルエーテル化合物が利用できる。
【0020】これらのセルロース系繊維と反応しうる反
応性基を2個以上持つ加工剤(A)のなかでも、単繊維
内部の微細構造間(綿ではラメラ間)の間隙を叉は繊維
表面を効率よく架橋させるためには、ある程度分子量が
大きいものが好ましい。この意味で分子量の小さい前記
の加工剤(A)でも自己縮合により架橋時に分子量が大
きくなるものは本発明では特に有効である。又他の活性
水素基を持つ化合物を併用して架橋鎖を長くし微細構造
間隙を架橋する方法、あるいは繊維表面に繊維とも架橋
した架橋皮膜を形成させる方法も有効である。
【0021】この架橋鎖を長くするためあるいは繊維表
面に架橋皮膜を形成させるために併用する化合物として
は、前記の加工剤(A)と反応しうる活性水素基を2個
以上持つ化合物(B)が利用できる。該化合物(B)と
しては、多価アルコール化合物、活性水素基を2個以上
持つ高分子化合物などが利用できる。
【0022】多価アルコール化合物としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価
アルコール類、グルコース、ソルビトールなどの天然糖
類など及びこれらのエチレンオキサイド及び叉はプロピ
レンオキサイド付加物なども利用できる。
【0023】活性水素基を2個以上持つ高分子化合物と
しては、ポリアルキレンオキサイド系化合物、ポリビニ
ルアルコール、側鎖に水酸基を持つアクリル系共重合
体、デンプン、カルボキシメチルデンプンなどの天然多
糖類及びその変性物、アルキン酸ソーダ、カルボキシメ
チルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロースなどのセルロース系化合物などが利用でき
る。
【0024】これらの多価アルコール化合物及び高分子
化合物は膨潤状態の単繊維内部の微細構造間に入り微細
構造間の架橋鎖の役割を果たすためには分子サイズが小
さいことが必要であり、分子量としては数万以下である
ことが望ましい。反対に、繊維表面で前記の加工剤
(A)と架橋皮膜を形成させるためには分子量が大きい
方が好ましい。
【0025】以上の前記の加工剤(A)及び活性水素基
を持つ化合物(B)を繊維に付与する際には繊維内部を
架橋することが目的の場合には、繊維内部にまで化合物
を浸透させるためにセルロース系繊維を膨潤させる溶媒
を用いて溶解し付与する必要がある。この繊維を膨潤さ
せる溶媒には特に限定はないが、例えば水が好ましい。
【0026】前記の加工剤(A)や該加工剤(A)と反
応しうる活性水素基含有化合物(B)との反応物をセル
ロース繊維と反応させる方法としては、これら加工剤を
単繊維内部に浸透させた後、反応を遂行させることがで
きればどんな方法でもよいが、加熱して反応させる方法
が最も簡便である。
【0027】次に、摩擦によるフィブリル化を防ぐもう
一つの方法である繊維表面に強靭な皮膜を形成させる方
法としては、皮膜形成性高分子化合物を繊維表面に付与
し皮膜を形成させる方法、重合性化合物を付与し繊維表
面で重合させて皮膜を形成させる方法などがある。
【0028】皮膜形成性高分子化合物を繊維表面に付与
し皮膜を形成させる方法としては、皮膜形成性高分子を
水や各種溶剤に溶解、分散、乳化させて繊維表面に付与
し熱などにより乾燥、硬化させ皮膜化する方法を用いる
ことができる。
【0029】皮膜形成性高分子としては、ビニル系高分
子、アクリル系高分子、ウレタン系高分子、ポリアルキ
ルオキサイド高分子、ポリエステル系高分子、ポリアミ
ド系高分子、エポキシ系高分子、セルロース系高分子な
どが利用できる。
【0030】この時高分子化合物皮膜の耐久性を向上さ
せる目的で、架橋性化合物を併用して高分子皮膜を架
橋、叉は高分子皮膜とセルロース繊維と架橋させても良
い。架橋性化合物としては、N−メチロール化合物、ケ
トン樹脂、アセタール樹脂、イソシアネート系化合物、
エポキシ樹脂などが利用できる。
【0031】重合性化合物を付与し繊維表面で重合させ
て皮膜形成させる方法としては、アクリル系モノマー、
メタクリル系モノマー、その他の重合性不飽和基を含む
化合物を繊維表面に付与後、熱、紫外線、放射線などに
より重合させる方法が利用できる。この時皮膜強度の向
上、さらにはセルロース繊維及び撥水加工剤との接着性
を改善する目的で他の高分子系化合物及び架橋性化合物
などを併用することもできる。
【0032】以上の繊維のフィブリル化を防止する目的
で用いる化合物の架橋反応叉は重合反応を効率良く行う
ために、各化合物に応じた触媒、開始剤などの添加剤を
用いても良い。又、繊維表面の摩擦を低減させる目的及
び加工後の風合いを好ましいものとするためにシリコン
系、脂肪族系の平滑剤及び柔軟剤なども併用できる。こ
れら化合物の繊維構造物への付与量は布帛の風合いを著
しく損なわない範囲内で使用するのが望ましく、繊維構
造物への付与量は繊維重量に対して20%以内、好まし
くは10%以内である。
【0033】本発明の耐久性のある撥水撥油性を有する
繊維構造物を得るためには、以上の様なフィブリル化防
止のための加工処理を行った繊維に対して撥水撥油加工
処理を行うことが必要であるが、このフィブリル化防止
のための加工処理は撥水撥油加工処理の前段階であるい
は撥水撥油加工処理と同時に行っても良い。
【0034】本発明における撥水撥油加工剤(C)とし
ては、一般に使用されているフッ素系、シリコン系化合
物を水叉は溶剤に溶解、分散、乳化させたものを使用す
ることができる。これらの中でも撥油性の面からフッ素
系の撥水撥油加工剤が望ましい。このフッ素系の撥水撥
油加工剤としては、反応性基を有するパーフルオロアル
キル基含有化合物が好ましく、反応性基としてはエポキ
シ基、メチロール基、クロロトリアジン基等の自己反応
性をもつ反応性基、ヒドロキシル基、アミノ基のような
架橋性化合物を介して反応しうる反応性基等が挙げられ
る。さらにフッ素系撥水撥油加工剤とセルロース繊維叉
はフィブリル化防止のために繊維表面に形成させた皮膜
との接着性を向上させるために、撥水撥油加工剤に該加
工剤と反応しうる架橋性化合物(D)を使用することが
できる。該化合物(D)としては、ポリイソシアネート
化合物、ポリエポキシ化合物等が挙げられるが、ポリイ
ソシアネート化合物、特にブロックドイソシアネート系
の架橋剤を併用することが好ましい。
【0035】本発明の耐久性のある撥水撥油性を有する
繊維構造物を得るために使用される、フィブリル化防止
のための加工処理剤及び撥水撥油加工のための加工処理
剤を繊維構造物に付与する方法としては、浸漬法、パッ
ド法、コーティング法、スプレー法などが利用できる。
これらの中でも繊維全体に均一に付与するためにはパッ
ド法が好ましい。
【0036】次に、本発明におけるフィブリル化とは単
繊維が2本以上に裂けるか叉は単繊維表面から繊維組織
が剥離するなどの現象により単繊維が細分化することを
言う。この繊維のフィブリル化に対する摩擦耐久性を評
価する試験方法として、撥水撥油加工後の布帛をJIS
L 0823-1971による摩擦試験機II型にて、湿潤
状態のJIS L 0803-1986 (染色堅牢度試験用
添布白布)綿3号で摩擦した後の試料を走査型電子顕微
鏡で観察し、フィブリルが発生しだす回数を測定する方
法が利用できる。
【0037】ここでフィブリルが発生しだす回数とは、
摩擦試験後の布帛試料表面を走査型電子顕微鏡により単
繊維が10本以上見える倍率(約500倍)で撮影し、
写っている単繊維の10本中の2本以上がフィブリル化
しだした摩擦回数のことであり、以後これをフィブリル
化発生回数とする。
【0038】このフィブリル化発生回数を正確に求める
ためには、摩擦試験後に観察する布帛試料の部位が重要
である。摩擦試験では布帛表面の糸が最も盛り上がった
部分、つまり織物では経糸の織り目中央部、編地では糸
ループの最頂部が最も強く摩擦されるのでまずこの部分
からフィブリル化が起こる。従って走査型電子顕微鏡に
よる観察でフィブリル化を判定する際にはこの部分を観
察する必要がある。
【0039】本発明による繊維構造物のフィブリル化防
止の程度は、加工前の繊維構造物のフィブリル化発生回
数に対する加工後の繊維構造物のフィブリル化発生回数
の比が2倍以上必要であり、好ましくは4倍以上、さら
に好ましくは8倍以上である。
【0040】本発明でいうセルロース系繊維を含む繊維
構造物とは、綿、レ−ヨン、ポリノジック、キュプラ、
テンセルなどのセルロース系繊維を含む繊維、糸、織
物、編物、不織布等のことで、これらは合成繊維、天然
繊維、再生繊維などの他の繊維との混合物であっても差
し支えない。
【0041】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、これらの実施例によって本発明は何等制限される
ものではない。
【0042】1.加工剤の合成例 (イ)フッ素系撥水撥油加工剤 パーフロロオクチルエチルアクリレート:80部、2−
エチルヘキシルメタクリレート:8部、2−アクリロイ
ルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸:7
部、メチルメタクリレート:5部を水中で乳化共重合
し、フッ素系撥水撥油加工剤(有効成分:20%、分散
粒子径0.1μm、以下FWPと略す)とした。 (ロ)ブロックドイソシアネート架橋剤 トリメチロールプロパンにジフェニルメタンジイソシア
ネートを3モル付加した後、残りの3モルのイソシアネ
ート基をメチルエチルケトオキシムでブロックしたブロ
ックドイソシアネート化合物を水に分散させ(有効成
分:30%、分散粒子径0.5μm、以下BNCOと略
す)、ブロックドイソシアネート架橋剤とした。
【0043】2.撥水撥油加工方法 実施例1および2 精錬、漂白、マーセル化した木綿のツイル織物(80/2×
80/2-185×95本/インチ)を用い、下記に示す水溶性高分
子、架橋性化合物、触媒からなる前処理浴でパッド処理
(絞り率:60%)した後、110℃で3分間乾燥し、
さらに160℃で3分間硬化処理を行った。その後、フ
ッ素系撥水撥油加工剤及びブロックドイソシアネート架
橋剤からなる撥水撥油処理浴をパッド処理(絞り率:6
0%)した後、110℃で3分間乾燥後、160℃で3
分間硬化処理を行った。 (前処理加工剤処方) (実施例1) ポリビニルアルコール(分子量10万) 2部 メチロール尿素高縮合樹脂(有効成分:85%) 3部 2-メチル-2-アミノプロパノール塩酸塩(有効成分:20%) 1部 イオン交換水 94部 (実施例2) ポリビニルアルコール(分子量1.5万) 2部 ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素(有効成分:50%) 7部 塩化マグネシウム(有効成分:20%) 1部 イオン交換水 90部 (実施例1及び2の撥水撥油加工剤処方) FWP 5部 BNCO 2部 イオン交換水 93部
【0044】比較例1 実施例1および2と同じ木綿の織物を用い、下記に示す
撥水撥油処理処方でパッド 処理(絞り率:60%)し
た後、110℃で3分間乾燥し、さらに160℃で3分
間硬化処理を行った。 (比較例の撥水撥油加工剤処方) FWP 5部 BNCO 2部 イオン交換水 93部
【0045】3.評価方法 (イ)フィブリル化発生回数比 織物をタテ×ヨコ−27×250mmの長さに切りと
り、経糸が摩擦方向に対して垂直になる様にJIS L
0823-1971 による摩擦試験機II型にセットし、水
に浸漬した後軽く絞った湿潤状態のJIS L 080
3-1986 (染色堅牢度試験用添布白布)綿3号で摩擦試
験(荷重:200g)を摩擦回数を10回単位で変化さ
せて行い、摩擦後の織物の経糸部分を走査型電子顕微鏡
により倍率500倍で3個所撮影し、3個所全ての表面
の単繊維が10本中2本以上フィブリル化しだした時の
摩擦回数を調べ、これをフィブリル化発生回数とする。
未加工織物と撥水加工織物について上記試験を行いフィ
ブリル化発生回数を求め、数1によりフィブリル化発生
回数比を算出した。フィブリル化発生回数比は数値が大
きい程、摩擦によりフィブリル化しにくいことを示す。
【数1】
【0046】(ロ)洗濯試験 実施例1〜3、比較例1の撥水撥油加工後の加工布をJ
IS L0217-1976 の103法により、連続9回分
の洗濯処理後(洗濯45分→脱水1分→すすぎ36分→
脱水1分)さらに1回洗濯処理(洗濯5分→脱水1分→
すすぎ2分→脱水→すすぎ2分→脱水1分)を行った
後、JIS L 1042-1986 のI−2法により高温
タンブル乾燥を30分行い、HL−10とした。以後こ
の操作を3及び5回繰り返したものをHL−30及び5
0とした。
【0047】(ハ)撥水性評価方法 JIS L 1092-1986 のスプレー試験により実施
例1〜3、比較例1の撥水撥油加工後の加工布の初期及
びHL−10、30及び50後の撥水性を評価した。撥
水性の評価は表1に基づいて行った。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】表2に実施例1、2及び比較例1のフィブ
リル化発生回数比及び初期、HL−10、30及び50
後の撥水性を示す。これより比較例1に較べ本発明の実
施例1及び2によるものが、同じフッ素系撥水撥油加工
剤及びブロックドイソシアネート架橋剤を用いて撥水加
工を行った場合でも洗濯試験による撥水耐久性が大幅に
向上していることが分かる。又洗濯耐久性とフィブリル
化発生回数比との間には高い相関があり、同じ撥水撥油
加工剤で撥水加工を行った場合でもフィブリル化発生回
数比が大きくなる程撥水耐久性が良くなっていることが
分かる。
【0051】
【発明の効果】本発明の撥水撥油性セルロース系繊維構
造物は、フィブリルの発生が防止されているため、従来
の撥水撥油性セルロース系繊維構造物に較べ洗濯及び着
用時の摩擦などに対する撥水撥油性の耐久性が格段に優
れる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース系単繊維の内部がセルロース
    系繊維と反応しうる反応性基を2個以上持つ加工剤
    (A)及び/又は該加工剤(A)と反応しうる活性水素
    基を2個以上持つ化合物(B)によって架橋または充填
    され、かつセルロース系単繊維の表面が主として撥水撥
    油加工剤(C)の皮膜又は撥水撥油加工剤(C)と該撥
    水撥油加工剤と反応しうる架橋性化合物(D)との反応
    物の皮膜で被覆されたセルロース系単繊維を有する繊維
    構造物であり、該繊維構造物を、JIS L 0823
    -1971 による摩擦試験機II型にて湿潤状態でJIS L
    0803-1986 (染色堅牢度試験用添布白布)の綿3
    号で摩擦試験を行った時の、表面のセルロース系単繊維
    が割繊叉はフィブリル化しだすまでの摩擦回数が、加工
    前の繊維構造物の2倍以上であることを特徴とする撥水
    撥油性繊維構造物。
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