JPH06330226A - 耐高温腐食特性に優れた複層鋼材およびその製造方法 - Google Patents

耐高温腐食特性に優れた複層鋼材およびその製造方法

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JPH06330226A
JPH06330226A JP11747293A JP11747293A JPH06330226A JP H06330226 A JPH06330226 A JP H06330226A JP 11747293 A JP11747293 A JP 11747293A JP 11747293 A JP11747293 A JP 11747293A JP H06330226 A JPH06330226 A JP H06330226A
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layer
corrosion resistance
temperature corrosion
hip
steel pipe
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Satoshi Araki
敏 荒木
Tsunetoshi Takahashi
常利 高橋
Mizuo Sakakibara
瑞夫 榊原
Shinji Niinuma
慎二 新沼
Hiroyuki Ogawa
洋之 小川
Tetsuo Ishizuka
哲夫 石塚
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、廃棄物燃焼環境等の塩化物および
塩化水素ガス等に対して優れた耐高温腐食特性を有し、
かつ製造時の熱間加工性の良好な複層鋼管とその素材お
よびそれらの製造方法を提供する。 【構成】 Al:0.5〜9.0%、Si:0.7〜
7.0%の1種以上、Ca、Y、La、Ceの1種以上
を含有する高Ni系のC、Mn、Cr、Mo、Ti、N
b、B含有Fe基合金粉末を、1050〜1240℃、
29MPaで0.5時間以上のHIP処理によって内層
用ボイラ用鋼の表面に被覆層として形成せしめた後に熱
間加工を施して延伸し、必要に応じて、その後、熱処理
あるいは冷間加工と熱処理の組みあわせを1回以上のど
ちらか一方あるいは両方を施した耐高温腐食性に優れた
被覆鋼管とその素材およびそれらの製造方法。外層と内
層の中間層が、HIP後素材で10μm 以上、製品管で
5μm 以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は廃棄物燃焼環境等の塩化
物および塩化水素(HCl)ガス等に対して優れた耐高
温腐食特性を有し、かつ製造時の熱間加工性の良好な複
層鋼管およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般廃棄物および産業廃棄物の中で、廃
棄プラスチック類および自動車シュレッダーダスト等の
燃焼により発生する高濃度の塩化物およびHClガス等
に対し、優れた高温腐食特性を有する焼却炉および燃焼
ボイラ用既存鉄鋼材料はなかった。そのために、上記廃
棄物は高い発熱量を持ちながら、不燃・燃焼不適物とし
て分別・収集され主に埋め立てられている。また、分別
・収集されずに一般廃棄物に混入してボイラで燃焼され
る場合には、腐食性環境条件が厳しいためボイラの蒸気
条件は圧力294.2N/cm2 、温度350℃程度以
下に抑えられ、効率の良い低公害の燃料源としては活用
されていない。
【0003】これに対して本出願人は、特願平3−16
5946号および特願平5−39040号において、A
l;0.5〜6.0%、Si;0.7〜3.0%のうち
の1種以上を含み、Ni;17〜50%を含有する耐高
温腐食特性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼を提
案している。しかし、Al量およびSi量をそれぞれ
6.0%、3.0%を超えて含有させてさらなる耐高温
腐食特性の向上を目指すと、製造時に熱間加工割れが発
生するという問題点が生じた。さらに、溶解法でAl量
およびSi量をそれぞれ6.0%、3.0%を超えて含
有させると、凝固時に成分偏析を生じ、熱間加工後に割
れの軽微な部分から試験片採取して耐高温腐食特性を評
価すると、Alが6.0%以下、Siが3.0%以下の
材料に比較して耐高温腐食特性が低下するという問題点
を有していた。以上の点からAl量およびSi量の上限
をそれぞれ6.0%、3.0%に制限せざるを得なかっ
た。
【0004】一方、HIP法で複層材料あるいはその熱
間加工用素材を製造する方法について、本出願人は、特
開平64−202号公報および特願平3−95136号
において、熱間加工用複層素材の少なくとも一方を粉末
−HIP法で製造し、その後、熱間加工を施して延伸す
る方法、あるいは必要に応じてその後、熱処理、冷間加
工+熱処理を施す方法を提案している。しかし、前記の
ような高Al、高Si含有Fe基合金については熱間加
工時の加工性確保が極めて重要になり、特に、外層と内
層の中間層としての金属拡散層の存在が不可欠となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題点を
解決するという観点に立って、廃棄物燃焼環境等におけ
る塩化物およびHClガス等に対して優れた耐高温腐食
特性を有し、かつ、製造時の熱間加工性の良好な複層鋼
管、複層鋼材およびその製造方法を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1)外層が、重量%にて、C ; 0.08%以下、
Mn; 0.3〜2.0%、Cr; 18〜27%、N
i; 17〜50%、Mo; 0.5〜3.0%、T
i; 0.03〜0.3%、Nb; 0.05〜0.6
%、B ; 0.001〜0.01%、P ; 0.0
4%以下、S ; 0.005%以下、N ; 0.0
2〜0.3%を含有し、さらにAl; 0.5〜9.0
%、Si; 0.7〜7.0%のうち1種以上、かつ、
Ca; 0.0005〜0.05%、Y ; 0.00
1〜0.2%、La; 0.001〜0.2%、Ce;
0.001〜0.2%のうち1種以上を含み、残部が
Feおよび不可避的不純物からなるオーステナイト系ス
テンレス鋼の粉末を熱間静水圧プレス(HIP)処理お
よび熱間加工して形成した被覆層で、内層がボイラ用鋼
管で、外層と内層の間にHIP−熱間加工によって形成
した5μm以上の金属拡散層からなる中間層を有するこ
とを特徴とする耐高温腐食特性に優れた複層鋼管。
【0007】(2)外層が前項1記載のオーステナイト
系ステンレス鋼の粉末をHIP処理して形成した被覆層
で、内層がボイラ用鋼で、外層と内層の間にHIP処理
によって形成した10μm以上の金属拡散層からなる中
間層を有することを特徴とする耐高温腐食特性に優れた
複層鋼材用素材。 (3)HIP処理条件を温度1050〜1240℃、圧
力29MPa以上、保持時間0.5時間以上とすること
を特徴とする前項1または2記載の耐高温腐食特性に優
れた複層鋼管または複層鋼材用素材の製造方法。
【0008】(4)前項3記載の条件でHIP処理して
製造した前項2記載の複層鋼材用素材を、熱間加工で延
伸することによって製造することを特徴とする前項1記
載の耐高温腐食特性に優れた複層鋼管の製造方法。 (5)前項3記載の条件でHIP処理して製造した前項
2記載の複層鋼材用素材を、熱間加工で延伸し、その後
さらに熱処理を施すことを特徴とする前項1記載の耐高
温腐食特性に優れた複層鋼管の製造方法。
【0009】(6)前項3記載の条件でHIP処理して
製造した前項2記載の複層鋼材用素材を、熱間加工で延
伸し、その後さらに冷間加工と熱処理を1回以上施すこ
とを特徴とする前項1記載の耐高温腐食特性に優れた複
層鋼管の製造方法。 (7)前項3記載の条件でHIP処理して製造した前項
2記載の複層鋼材用素材を、熱間加工で延伸し、その後
さらに熱処理を施し、さらに冷間加工と熱処理を1回以
上施すことを特徴とする前項1記載の耐高温腐食特性に
優れた複層鋼管の製造方法。
【0010】
【作用】以下に、先ず、外層用オーステナイト系ステン
レス鋼の成分の限定理由について説明する。先ず、塩化
物およびHClガスに対して高温腐食特性を向上させる
合金元素として、Ni、AlおよびSiとCa、Y、L
aおよびCeを複合添加することが有効である。
【0011】Ni含有量増大により高温腐食深さが減少
する(図1)。これはスケール中に生成するNi富化層
が塩化物およびHClガスに対する保護性を有するため
と考えられる。その効果は17%未満では十分ではない
ため下限を17%とした。なお、Ni量が多くなると熱
間加工性が劣化すること、またコストの面でもNi量が
多くなると高価になるのでNiの上限を50%とした。
したがってNiの量を17〜50%と限定した。
【0012】AlおよびSiはその添加により高温腐食
深さが減少する(図2)。これはスケール中にそれぞれ
Al2 3 およびSiO2 系の保護性スケールが生成す
るためと考えられる。その効果はAl;0.5%未満、
Si;0.7%未満では十分ではないため、Alの下限
を0.5%、Siの下限を0.7%とした。なお、Al
およびSi量が増加すると熱間加工性が低下するので、
両特性を確保するために一般の溶解、鋳造材ではAl量
を6.0%以下、Si量を3.0%以下にすることが必
要であるが、請求項1に示す外層用粉末を用いて、請求
項2に示す複層鋼材用素材を、請求項3に示す条件のH
IP処理によって製造する場合は、熱間加工性向上によ
りその上限をAl量で9.0%、Si量で7.0%にま
でそれぞれ拡張することが可能となる。さらに、前記外
層用粉末の熱間静水圧プレスによる熱間加工用素材を用
いた場合の熱間加工後以降の複層鋼管の外層は、溶解、
鋳造材を用いた場合よりも成分分布が均質化し、溶解、
鋳造材を用いた場合のAl量が6.0%、Si量が3.
0%をそれぞれ超えた材料でみられる成分偏析に起因す
る耐高温腐食特性の低下がみられない。これらの理由に
よってAlの量を0.5〜9.0%、Siの量を0.7
〜7.0%とした。
【0013】Al、Siは単独添加または複合添加して
も同様の効果が得られるが、熱間加工性確保の観点か
ら、複合添加の場合の上限はAl、Siの合計9.0%
が望ましい。Ca、Y、LaおよびCeはその1種以上
をAl、Siの単独添加または複合添加と組み合わせて
添加することにより、高温腐食深さが減少する。Alお
よびSiはその添加により、前述のとおりスケール中に
それぞれAl2 3 およびSiO2 系の保護性スケール
を形成し、塩化物およびHClガスに対する保護性を向
上させるが、さらにCa、Y、LaおよびCeの1種以
上を添加すると、スケールが緻密になり、耐高温腐食特
性が向上する。また、これらの元素は脱酸・脱硫作用を
有し、OおよびSの粒界偏析を減少させることによって
熱間加工性を向上させる。これらの効果はCa;0.0
005未満、Y;0.001%未満、La;0.001
%未満、Ce;0.001%未満では十分でないため、
Caの下限を0.0005%、Yの下限を0.001
%、Laの下限を0.001%、Ceの下限を0.00
1%とした。なお、Ca量が0.05%、Y、Laおよ
びCe量がそれぞれ0.2%を超えると鋼の清浄度が低
下し、熱間加工性およびクリープ破断強度が低下するの
で、両特性を確保するためにCa量を0.05%以下、
Y量を0.2%以下、La量を0.2%以下、Ce量を
0.2%以下にすることが必要である。これらの理由に
よってCaの量を0.0005〜0.05%、Yの量を
0.001〜0.2%、Laの量を0.001〜0.2
%、Ceの量を0.001〜0.2%とした。Ca、
Y、LaおよびCeはその1種以上を添加することによ
り上記の効果が得られるが、熱間加工性およびクリープ
破断強度確保の観点から、複合添加の場合の上限はC
a、Y、La、Ceの合計0.2%が望ましい。
【0014】次に、上記以外の成分について述べる。C
は、400℃以上の高温環境下の使用中にCrと結びつ
きCr236 等の炭化物を結晶粒界に生成する。このた
め、粒界近傍にCr欠乏部を生じ、Cr含有保護皮膜層
の形成を阻害し、高温酸化、高温腐食を促進する。ま
た、溶接時高温割れを防止するためにもC量を過度に高
めないことが必要である。以上の観点からCの上限を
0.08%と定めた。
【0015】Mnは、脱酸を十分行い健全な鋳片を得る
ために必要であり、鋼中に不純物として含有されるS成
分を固定し、熱間脆性を防止し、溶接性、熱間加工性を
向上させるために0.3%以上は必要である。しかし添
加量が多過ぎると耐酸化性を損なうので上限を2.0%
とした。Crは硫酸塩等に対する耐高温腐食特性および
耐高温酸化特性等を向上させるので耐熱合金にとっては
必須の元素である。SUS347H(18Cr−12N
i−0.7Nb)と同等以上の耐高温酸化特性が必要な
ので、Cr量の下限をSUS347HのCr量と同量の
18%とした。しかしCr量が多いと長時間加熱により
σ脆化が起こりやすくなるのでCr量の上限を27%と
した。
【0016】Moは高温塩化物環境で耐高温腐食性を向
上させるので下限を0.5%とした。しかしMoはσ相
の形成を促進し、長時間使用脆化を起こしやすいので添
加量の上限を3.0%とした。Ti、Nbは炭、窒化物
形成元素で、Cr236 の粒界への多量析出を抑制し、
耐高温腐食性、耐酸化性を向上させる。また、クリープ
破断強度の向上にも効果があり、複合添加でその炭、窒
化物が微細分散化する場合に最もクリープ破断強度が高
くなる。これらの作用のためには、炭、窒化物の析出量
はTi量が0.03%未満、Nb量が0.05%未満で
は十分でなく、一方、Ti量が0.3%、Nb量が0.
6%を超えてのTi、Nb複合添加では炭、窒化物が凝
集粗大化し、耐高温腐食性、耐酸化性への効果が飽和す
るのみならず、クリープ破断強度が低下する。以上の点
を考慮してTiの量を0.03〜0.3%、Nbの量を
0.05〜0.6%とした。
【0017】Bは熱間加工性をさらに良好とする元素で
あり、特に過酷な熱間加工を行う場合に有効である。熱
間加工性向上にB量0.001%以上は必要であるが、
添加量が多いと溶接性および延性が劣化するので添加量
の上限を0.010%とした。Pは添加量が多いと耐高
温腐食特性を劣化させるので低い程望ましく、上限を
0.04%とした。
【0018】Sも粒界に偏析し耐高温腐食特性を劣化さ
せるので上限を0.005%とした。Nは耐高温粒界腐
食性に有効な元素であり、そのためには0.02%以上
にする必要がある。しかしNの過剰添加は熱間加工性を
低下させるので上限を0.3%とした。
【0019】また、内層となるボイラ用鋼には、該複層
鋼管の使用環境(温度、蒸気圧力)に応じて、炭素鋼、
低合金鋼、ステンレス鋼および高Cr−高Ni鋼などを
選定することができ、具体的にはSTB410(0.5
Mn鋼)、STBA24(2.5Cr−1Mo鋼)、A
SME SA213 T91(9Cr−1Mo系鋼)、
SUS304HTB(19Cr−10Ni鋼)、SUS
347HTB(18Cr−12Ni−0.7Nb鋼)、
NCF800HTB(22Cr−33Ni系鋼)および
各種高強度高Cr−高Ni鋼などを挙げることができ
る。
【0020】次に、本発明の複層鋼管の外層は、Al:
0.5〜9.0%、Si:0.7〜7.0%のうち1種
以上を含有するが、通常の溶解・鋳造材を複層鋼管の外
層用素材あるいは単層管用素材に用いると、Alが6.
0%、Siが3.0%を超える成分範囲では熱間加工に
よる製管、延伸時にヘゲ疵あるいは割れが生じる。この
問題点を解決したのが前記成分の外層を、粉末−HIP
法により内層用熱間加工素材の表面に金属層として形成
した熱間加工用複層素材を用いる製造方法であり、以下
にその方法について説明する。
【0021】本発明においては、熱間加工用複層素材の
外層と内層の中間層として10μm以上の厚さの金属拡
散層を形成することが熱間加工性確保の点で必要であ
る。これは金属拡散層厚さが10μm未満では、熱間加
工性が不十分で、熱間加工時に外層と内層の剥離あるい
はそれを起点とする外層の割れあるいはヘゲ疵が生じる
からである。また、熱間加工後、あるいはその後さらに
熱処理あるいは冷間加工と熱処理の組合せを1回以上の
いずれかあるいは両方を施した後の製品管としての複層
鋼管の外層と内層の中間層として5μm以上の厚さの金
属拡散層を有することが必要である。このことにより、
ボイラ鋼管等の外内表面の熱伝達性を確保すると共に、
使用時の温度変化に対して外内層の熱膨張差に起因する
界面剥離等の発生を回避することができる。複層鋼管の
外層と内層の間の金属拡散層厚さが5μm未満では、こ
れらの特性が確保できないので、金属拡散層厚さを5μ
m以上とした。なお、金属拡散層厚さは熱間加工用複層
素材での厚さに対し、熱間加工および冷間加工での断面
減少率に応じて小さくなる方向に作用を受けるものの、
熱間加工および熱処理での加熱による外内層成分の拡散
で大きくなる方向にも作用を受ける。結果として、熱間
加工用複層素材の外層と内層の中間層として10μm以
上の厚さの金属拡散層を有する場合は、製品管の複層鋼
管の外層と内層の中間層としての金属拡散層を5μm以
上に確保することが可能となる。
【0022】製造においては、先ず、請求項1の外層用
オーステナイト系ステンレス鋼の粉末を、内層となるボ
イラ用鋼素材の表面に、HIP用カプセル内で充填し、
その後、真空脱気した後、密閉する。次いで、HIP処
理して内層素材の外表面に前記外層用粉末を金属層とし
て形成する。粉末の充填、密閉時にHIP用カプセル内
を真空にすることおよびHIP処理を温度:1050〜
1240℃、圧力:29MPa以上、保持時間:0.5
時間以上の条件にすることにより、外層内に気孔を残存
させずに、かつ、外層と内層の中間層として10μm以
上の金属拡散層を形成することができ、接合界面には十
分な接合強度を持たせることができる。なお、HIP処
理温度を1050〜1240℃とした理由は、HIP処
理温度が1050℃未満では保持時間が数十時間と長く
なるために実用的ではなく、1240℃を超えると冷却
時に成分元素の偏析を生じ、次の工程における熱間加工
性が低下するためである。また圧力を29MPa以上と
したのは、29MPa未満の圧力ではHIP処理温度と
負荷保持時間をいかに選択しても外層と内層の中間層と
して10μm以上の金属拡散層を形成することができ
ず、かつ、外層用粉末層の焼結が不十分で熱間加工性を
確保できないためである。さらに、保持時間が0.5時
間未満では前記の温度範囲内でHIP処理温度をいかに
高くしても外層と内層の中間層として10μm以上の金
属拡散層を形成することができず、かつ、外層用粉末層
の焼結が不十分で熱間加工性を確保できないためであ
る。
【0023】次に、前記熱間加工用複層素材を熱間押出
あるいは熱間圧延などの熱間加工により、製管、延伸す
る。前記HIP処理条件により、外層内に気孔を残存さ
せずに、かつ、外・内層の界面を金属結合させて、接合
界面に十分な接合強度を持たせた熱間加工用複層素材
は、外層にヘゲ疵や割れを生じることなく熱間加工をす
ることができる。本発明における熱間加工の目的は長尺
の複層鋼管を製造することにあり、加工温度の選定に際
しては外層および内層の両方に対して適切な温度を選定
する必要がある。
【0024】次に、本発明においては熱間加工で延伸し
た複層鋼管に、必要に応じて、請求項5では熱処理を施
し、請求項6では冷間加工と熱処理を1回以上施し、請
求項7では熱処理を施した後に、冷間加工と熱処理を1
回以上施す。ここで本発明における冷間加工の目的は、
主に複層鋼管を最終製品の寸法まで精度良く製造するこ
とにあり、製品の形状に応じて冷間引抜、冷間圧延など
の冷間加工法を適用することができる。
【0025】また、熱間加工後の熱処理の目的は製品と
しての外・内層の材質を造り込むこと、あるいは、次の
工程である冷間加工における冷間加工性を一段と改善す
ることにある。内層が低合金鋼あるいは9Cr系鋼であ
れば熱間加工後の焼入組織の軟化が必要であり、また、
内層がオーステナイト系ステンレス鋼であれば、外層の
冷間加工性をより向上させるための固溶化熱処理を行う
こともできる。
【0026】冷間加工後の熱処理は、さらに後工程に冷
間加工工程がある場合には軟化等を目的とし、最終冷間
加工後の場合には外・内層の製品造り込みを目的として
おり、固溶化熱処理あるいは焼準、焼戻し熱処理等を内
層の鋼種に応じて施すことができる。
【0027】
【実施例】次に本発明の実施例についてさらに具体的に
述べる。表1に本発明例の外層用素材である粉末の化学
組成を、表2に本発明例に用いた内層用素材であるボイ
ラ用鋼の化学組成を、また、表3には比較例の外層用素
材である粉末の化学組成をそれぞれ示す。なお、内層用
素材であるボイラ用鋼は溶解・鋳造法により製造したも
のである。
【0028】次に、表4に本発明例の複層鋼管の、外
層、内層用素材の組合せ、製造方法および複層鋼管の特
性である外層の熱間加工性および耐高温腐食特性を示
す。また、表5には比較例の複層鋼管の、外層、内層用
素材の組合せ、製造方法および複層鋼管の特性である外
層の熱間加工性および耐高温腐食特性を示す。高温腐食
試験は37%NaCl+63%FeCl2 の合成灰を複
層鋼管外層から切り出した試験片表面に塗布し、0.2
%HCl+0.5%SO2 +5%O2+15%CO2
bal.N2 ガス中で550℃×30h加熱し、試験片
縦断面の腐食深さを測定した。また、熱間加工性を熱間
押出あるいは熱間圧延時の外層割れ有無で評価した。
【0029】表1に示す本発明例A〜Uは請求項1〜請
求項7に用いた外層用素材粉末であり、表2に示す本発
明用内層素材例AA〜FFは請求項1〜請求項7に用い
た内層素材の規格鋼である。表1に示す本発明例A〜D
は20Cr−25〜29Niを基本成分として、Alを
1〜9%含有したものであり、E〜Hは20〜23Cr
−25〜29Niを基本成分として、Siを1〜7%含
有したものである。
【0030】また、本発明例I〜Kは24Cr−35N
iを基本成分とし、Alを2〜7%含有したものであ
り、Lは同一基本成分にSiを3%含有したものであ
る。次に、M、Nは20Cr−25Niを基本成分とし
て、Al、SiをMはそれぞれ4%、3%、Nはそれぞ
れ5%、2%複合で含有したものであり、O、Pは24
Cr−35Niを基本成分とし、Al、SiをOはそれ
ぞれ3%、2%、Pはそれぞれ3%、3%複合で含有し
たものである。
【0031】本発明例QはBの20Cr−25Ni−3
Alに比較して、本発明成分範囲内でNiが18%と低
く、RはJの24Cr−35Ni−3Alに比較して、
本発明成分範囲内でNiが48%と高い。S〜UはBあ
るいはCの20Cr−25Ni−3〜6Alに比較し
て、本発明成分範囲内でそれぞれMoが2.9%、Ti
が0.25%およびNbが0.57%と高い。
【0032】なお、本発明例A〜UはCa、Y、Laお
よびCeの1種以上を含有している。表2に示す本発明
用内層素材例AAはJIS G 3461のSTB41
0に相当する炭素鋼であり、BBはJIS G 346
2のSTBA24に相当する低合金鋼であり、CCはA
SME SA213のT91に相当する9Cr−1Mo
鋼であり、DD、EEはJIS G 3463のSUS
304HTB、SUS347HTBに相当するオーステ
ナイト系ステンレス鋼であり、FFはJISG 490
4のNCF800HTBに相当する高Cr−高Ni鋼で
ある。
【0033】次に、表3に示す比較例の外層用素材粉末
HA〜HGはNiをそれぞれ9.3%、13.1%、1
7.3%、25.3%、34.8%、47.1%および
54.5%含有するオーステナイト系ステンレス鋼であ
り、いずれの鋼もAlおよびSiが本発明の成分範囲下
限である0.5%および0.7%より低い。なお、HA
はSUS304相当材であり、Niが本発明の成分範囲
(17〜50%)より低く、HGはNiが本発明の成分
範囲より高い。
【0034】比較例HHはAlを3%含有するが、Ni
が14.2%で本発明の成分範囲より低い。HI、HJ
は24Cr−35Niを基本成分として、HIはAlが
9.8%、HJはSiが7.8%で、いずれも本発明の
成分範囲を超えて含有した鋼である。さらに、HKは2
4Cr−35Niを基本成分として、AlおよびSiを
それぞれ9.8%および7.3%含有し、両成分共に本
発明の成分範囲を超えた鋼である。
【0035】次に、表4、表5(表4のつづき−1)、
表6(表4のつづき−2)に示す本発明例の複層鋼管の
WA〜WUはいずれも表1に示す本発明例の外層用素材
粉末A〜Uを、表2に示す本発明用内層素材例と組み合
わせて請求項3に示す条件でHIP処理して被覆層とし
て形成せしめた後に請求項4に示す熱間加工を施し、そ
の後、必要に応じて、請求項5〜請求項7に示す熱処
理、冷間加工および熱処理を施したものである。熱間加
工後の工程で分類して、請求項4にはWJ、WKが相当
し、請求項5にはWB〜WD、WG、WH、WL〜W
S、WUが相当し、請求項6にはWA、WFが相当し、
請求項7にはWE、WI、WTが相当する。
【0036】本発明例の複層鋼管およびその熱間加工用
素材WA〜WUはいずれもHIP処理後に外層と内層の
中間層として10μm以上の金属拡散層を有し、熱間加
工時に割れのみられない良好な熱間加工性を有し、か
つ、製品管は中間層に5μm以上の金属拡散層を有し、
外層の高温腐食深さが20μm以下の良好な高温腐食特
性を有している。
【0037】一方、表7、表8(表7のつづき−1)、
表9(表7のつづき−2)に示す比較例の複層鋼管のH
WA〜HWKは、表3に示す比較例の外層用素材粉末H
A〜HKを表2に示す内層素材例と組み合わせてHIP
処理、熱間加工を施し、その後、必要に応じて、熱処
理、冷間加工および熱処理を施したものである。熱間加
工後の工程で分類して、請求項4との比較にはHWE、
HWG、HWI〜HWKが相当し、請求項5との比較に
はHWB〜HWD、HWFが相当し、請求項6との比較
にはHWAが相当し、請求項7との比較にはHWHが相
当する。
【0038】また、表7、表8(表7のつづき−1)、
表9(表7のつづき−2)に示す比較例の複層鋼管のH
WL〜HWOは本発明例の外層用素材粉末Bを内層素材
例DD(SUS304HTB相当)と組み合わせてHI
P処理、熱間押出をしたものであるが、いずれもHIP
処理条件が本発明の条件範囲外のものである。すなわ
ち、HWLはHIP処理温度が1000℃と本発明の下
限温度1050℃より低く、HWMはHIP処理温度が
1270℃と本発明の上限温度1240℃より高い。ま
た、HWNはHIP処理圧力が25MPaと本発明の下
限圧力29MPaより低く、HWOは負荷保持時間が
0.3時間と本発明の下限時間より短時間である。
【0039】これらの比較例は、本発明例と対比して、
製造時の熱間加工性あるいは製品管外層の耐高温腐食特
性の少なくともいずれか一特性に問題点を有している。
すなわち、AlおよびSiが共に本発明の成分範囲下限
より低い外層を用いたHWA〜HWF、Alを3%含有
するがNiが本発明の成分範囲下限より低いHWHは高
温腐食深さが20μmを超えて、高温腐食特性が本発明
鋼より劣る。
【0040】Alが9.8%のHIおよびSiが7.8
%のHJを外層に用いた複層鋼管HWI、HWJと、A
l、Siがそれぞれ本発明の成分範囲上限より高いHK
を外層に用いた複層鋼管HWKでは熱間押出時にヘゲ疵
あるいは割れが発生した。また、Niを本発明の成分範
囲を超えて54.5%含有するHGを外層に用いた複層
鋼管HWGでも熱間押出時にヘゲ疵が発生した。これら
の比較例は、HIP処理後に外層と内層の中間層として
10μm以上の金属拡散層を有しているものの、外層成
分が本発明の成分範囲を超えて熱間加工性が悪く、熱間
押出時にヘゲ疵あるいは割れが発生したものである。
【0041】さらに、本発明例の外層用素材粉末Bを用
いながら、HIP処理条件が本発明の条件範囲外のもの
HWL〜HWOでは、いずれも熱間押出時に外層にヘゲ
疵あるいは割れを生じた。すなわち、HWLではHIP
処理温度が低く、HWNではHIP処理圧力が低く、H
WOでは負荷保持時間が短時間であったために、HIP
処理後に外層と内層の中間層である金属拡散層が10μ
m未満で、かつ、外層が十分に焼結しておらず、熱間押
出時にヘゲ疵あるいは割れが生じたものである。一方、
HWMはHIP処理温度が1270℃と高く、冷却時に
成分元素の偏析を生じ、熱間加工性が十分でなかったた
めに、熱間押出時にヘゲ疵が生じた。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】
【表9】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、廃棄プラスチック類お
よび自動車シュレッダーダスト等の廃棄物燃焼ボイラの
過熱器官等に適用することのできる、燃焼環境中の塩化
物および塩化水素(HCl)ガス等に対して極めて優れ
た耐高温腐食特性を有し、かつ、製造時の熱間加工性の
良好な複層鋼管を供給することが可能になり、エネルギ
ーおよび環境分野に極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高温腐食深さに及ぼす外層のNi含有量の影響
を示す図である。
【図2】高温腐食深さに及ぼす外層のAlおよびSi含
有量の影響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新沼 慎二 山口県光市大字島田3434番地 新日本製鐵 株式会社光製鐵所内 (72)発明者 小川 洋之 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 石塚 哲夫 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外層が、重量%にて、 C ; 0.08%以下、 Mn; 0.3〜2.0%、 Cr; 18〜27%、 Ni; 17〜50%、 Mo; 0.5〜3.0%、 Ti; 0.03〜0.3%、 Nb; 0.05〜0.6%、 B ; 0.001〜0.01%、 P ; 0.04%以下、 S ; 0.005%以下、 N ; 0.02〜0.3%を含有し、さらに Al; 0.5〜9.0%、 Si; 0.7〜7.0%のうち1種以上、かつ、 Ca; 0.0005〜0.05%、 Y ; 0.001〜0.2%、 La; 0.001〜0.2%、 Ce; 0.001〜0.2%のうち1種以上を含み、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなるオーステナイ
    ト系ステンレス鋼の粉末を熱間静水圧プレス(HIP)
    処理および熱間加工して形成した被覆層で、内層がボイ
    ラ用鋼管で、外層と内層の間にHIP−熱間加工によっ
    て形成した5μm以上の金属拡散層からなる中間層を有
    することを特徴とする耐高温腐食特性に優れた複層鋼
    管。
  2. 【請求項2】 外層が請求項1記載のオーステナイト系
    ステンレス鋼の粉末をHIP処理して形成した被覆層
    で、内層がボイラ用鋼で、外層と内層の間にHIP処理
    によって形成した10μm以上の金属拡散層からなる中
    間層を有することを特徴とする耐高温腐食特性に優れた
    複層鋼材用素材。
  3. 【請求項3】 HIP処理条件を温度1050〜124
    0℃、圧力29MPa以上、保持時間0.5時間以上と
    することを特徴とする請求項1または2記載の耐高温腐
    食特性に優れた複層鋼管または複層鋼材用素材の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の条件でHIP処理して製
    造した請求項2記載の複層鋼材用素材を、熱間加工で延
    伸することによって製造することを特徴とする請求項1
    記載の耐高温腐食特性に優れた複層鋼管の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の条件でHIP処理して製
    造した請求項2記載の複層鋼材用素材を、熱間加工で延
    伸し、その後さらに熱処理を施すことを特徴とする請求
    項1記載の耐高温腐食特性に優れた複層鋼管の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の条件でHIP処理して製
    造した請求項2記載の複層鋼材用素材を、熱間加工で延
    伸し、その後さらに冷間加工と熱処理を1回以上施すこ
    とを特徴とする請求項1記載の耐高温腐食特性に優れた
    複層鋼管の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項3記載の条件でHIP処理して製
    造した請求項2記載の複層鋼材用素材を、熱間加工で延
    伸し、その後さらに熱処理を施し、さらに冷間加工と熱
    処理を1回以上施すことを特徴とする請求項1記載の耐
    高温腐食特性に優れた複層鋼管の製造方法。
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