JPH0634814B2 - 硝子体適用剤 - Google Patents

硝子体適用剤

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JPH0634814B2
JPH0634814B2 JP60008512A JP851285A JPH0634814B2 JP H0634814 B2 JPH0634814 B2 JP H0634814B2 JP 60008512 A JP60008512 A JP 60008512A JP 851285 A JP851285 A JP 851285A JP H0634814 B2 JPH0634814 B2 JP H0634814B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、硝子体適用剤に関し、更に詳しくは、通常の
強膜側からの手術操作では、復位の得られにくい難治性
網膜剥離症に対し、眼球内部からのタンポン(tamponad
e)として適用可能な硝子体適用剤に関するものであ
る。
[従来技術及びその問題点] 通常の強膜側からの手術操作では復位の得られにくい難
治性網膜剥離症の治療法として、網膜と脈絡膜との間に
癒着瘢痕形成が生じるまでの期間眼球内よりタンポン処
理を施す方法がある。このタンポンの有用な素材として
は、安全性が高く眼内滞留時間の長いことが必要であ
る。現在注目されているものとしては、シリコンオイ
ル、六フッ化イオウ(SF6)及びフレオンガスなどがあ
る。
しかし、シリコンオイルの安全性はまだ確立されておら
ず、六フッ化イオウやフレオンのような気体を用いた場
合は白内障を発生させることがある。更に、シリコンオ
イルや気体は比重が小さいため術後の伏臥位(free dow
n position)を厳守させる必要があり、患者の苦痛も少
なくなかった。そのため、以上の欠点を補うより安全で
有効な人工硝子体の開発が望まれている。
また、硝子体の成分である高分子量のヒアルロン酸(以
下「HA」という)は、より理想的な素材といえるが、ヒ
アルロニダーゼ等による劣化分解が早いため、比較的吸
収の早いフレオンガス等と同程度の効果しか期待できな
い。
そこで、本発明者らは、安全性が高く、かつ、ヒアルロ
ニダーゼ等の組織酵素に対して抵抗性を示し、しかも適
用に際し、伏臥位をとらせる必要のない硝子体適用剤を
得ることを目的として鋭意研究を重ねた結果、素材とし
て架橋グリコサミノグリカン(以下「架橋GAG」とい
う)を用いることにより本発明の目的を達成できること
を見出し、本発明を完成するに至った。
[発明の構成] 本発明の硝子体適用剤は、架橋GAGからなることを特徴
とするものである。
本発明に用いる架橋GAGとしては、HA、コンドロイチン
硫酸(以下「ChS」という)(A,B,C,D,E,F,H)、ヘパリ
ン(以下「Hep」という)、ヘパラン硫酸(以下「HS」
という)、ケラタン硫酸(以下「KS」という)及びケラ
タンポリ硫酸(以下「KPS」という)等のグリコサミノ
グリカン(以下「GAG」という)又はその塩、好ましく
はHA若しくはChS又はそれらの塩を、適当な架橋剤で架
橋させてなるものであって、水溶性のものであれば如何
なるものでもよいが、このうち、高粘度のもの、例えば
架橋HAにおいては、1%生理食塩水溶液における粘度
(20℃,ずり速度1sec-1)が1000〜60000センチポアー
ズのものが好ましく、架橋ChSにおいては、10%生理食
塩水溶液における粘度(20℃、ずり速度1sec-1)が1000
〜80000センチポアーズのものが好ましい。
好ましい架橋剤としては、例えば、多官能性エポキシ化
合物が挙げられる。
ここで、多官能性エポキシ化合物とは、エポキシ基を少
なくとも1個有する化合物であって、その他に、エポキ
シ基を含めて、GAGを架橋するに適した官能基を1個以
上有する化合物をいう。
かかる化合物としては、例えば、ハロメチルオキシラン
化合物及びビスエポキシ化合物などが挙げられる。ハロ
メチルオキシラン化合物としては、エピクロルヒドリ
ン、エピブロムヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリ
ン及びβ−メチルエピブロムヒドリンなどが挙げられ
る。ビスエポキシ化合物としては、1,2-ビス(2,3-エポ
キシプロポキシ)エタン、1,4-ビス(2,3-エポキシプロ
ポキシ)ブタン、1,6-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)
ヘキサン及びビスフェノールA又はビスフェノールFの
ジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
本発明の用いる架橋GAGのうち、架橋剤として多官能性
エポキシ化合物を用いたもの及びその製造法は、特願昭
59-88440号及び同59-132885号明細書に詳述されてい
る。
通常、GAG又はその塩を、0.5%以上、好ましくは、1,0
%以上の濃度に、アルカリ水溶液に溶解し、水溶性有機
溶剤を全液量の30%以上、好ましくは50%以上になるよ
うに加える。アルカリ水溶液は、pH8〜14であることが
好ましく、pH12〜14であることが更に好ましい。アルカ
リとしては、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物及び炭酸ナト
リウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸塩等が挙げられ
る。水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、アセトン、ジオキサンなどが挙
げられ、これらは、単独で又は混合物として用いられ
る。これらの水溶性有機溶剤を加えることにより反応を
有効に行なうことができ、また、アルカリによるGAGの
分解(低分子化)も抑制することができる。
次いで、得られた溶液に、前記多官能性エポキシ化合物
の1種以上を加え、0〜100℃、好ましくは10〜60℃、
更に好ましくは20〜40℃で反応させる。反応時間は、反
応温度により異なるが、20℃近辺では24〜48時間の好ま
しく、40℃近辺では2〜3時間が好ましい。
また、本発明に用いる架橋GAGは、次のようにしても調
製することができる。
即ち、GAG又はその塩の前記アルカリ溶液に前記水溶性
有機溶剤を加えて、得られる水アメ状沈殿物を分取し、
該沈殿物に多官能性エポキシ化合物を加えて、50℃以下
で反応させると非常に効率的に反応を行なうことができ
る。水アメ状沈殿物を分取するには、例えば、デカンテ
ーションにより上清を除去すればよい。反応温度は、通
常10〜50℃で、最も好ましいのは20〜40℃である。温度
が高い程、短時間で反応を終了させる必要がある。一般
的には、40℃近辺では2時間程度が、20℃近辺では24〜
48時間が好ましい。
架橋GAGの調製において、GAG又はその塩と多官能性エポ
キシ化合物とのモル比、即ち架橋度を変えることによ
り、得られる架橋GAG又はその塩の溶解性及び粘度を調
節することができる。
分子量100万前後のHAにおいては、HAの繰り返し二糖1
モルに対する多官能性エポキシ化合物の使用モル数を1
〜10モルにすれば、水溶性で1%生理食塩水溶液におけ
る粘度(20℃,ずり速度1sec-1)が1000〜60000センチ
ポアーズの架橋HAを得ることができる。
架橋GAGの硝子体への注入に際しては、架橋GAGを、通
常、生理食塩水に溶解し、注射針を通過できる粘度、即
ち50000センチポアーズ(20℃,ずり速度1sec-1)以
下、好ましくは5000〜30000センチポアーズ(20℃,ず
り速度1sec-1)にして用いる。注入は、例えば、シリコ
ンオイルの双眼倒像検眼鏡下注入法(Scott法)(Scot
t,J.D.;Trans.Ophthalmol.Soc.U.K.,93,417(1973))に
準じて行なう。
[発明の効果] 本発明によれば、安全性が高く、かつ、ヒアルロニダー
ゼ等の組織酵素に対して抵抗性を示し、しかも適用に際
し、伏臥位をとらせる必要のない硝子体適用剤を提供す
ることができる。かかる本発明の硝子体適用剤は、復位
の得られにくい難治性網膜剥離症、即ち、増殖性硝子体
網膜症を伴う網膜剥離、巨大裂孔を伴う網膜剥離、増殖
性牽引性網膜剥離、糖尿病性網膜症に合併した裂孔原性
網膜剥離の治療剤として有用である。
[発明の実施例] 以下、調製例、試験例及び実施例により本発明を更に詳
細に説明するが、これらは、本発明の範囲を何ら制限す
るものではない。
調製例1 架橋HAの調製 (1)HAナトリウム塩(分子量730000)5gを1N水酸化
ナトリウム水溶液に2%になるように溶解した後、0.22
μmの膜で除菌し、エタノール250m及びエピクロル
ヒドリン3.75mを加え、20℃で8時間反応させた。酢
酸を加えて反応液のpHを6.0とした後、エタノール3000
mを加えて沈殿させ、架橋HA(以下「架橋HA-1」とい
う)を調製した。
(2)架橋剤であるエピクロルヒドリンの量を変える以
外は、(1)と同様に処理して、表1に示す3種の架橋
HAを調製した。
これらの3種の架橋HA及び合成に使用したHAナトリウム
塩を、それぞれ、0.1M酢酸(pH5.0)に1%の濃度に溶
解し、測定(20℃,ずり速度1sec-1)したところ、次の
とおりであった。
架橋HA-2 45000センチポアーズ 架橋HA-3 27000センチポアーズ 架橋HA-4 8000センチポアーズ HAナトリウム塩 1500センチポアーズ これらの溶液に0.09重量%になるように牛睾丸ヒアルロ
ニダーゼを加え50℃で反応させ、15、35、55、70分後に粘
度を測定し、反応前の粘度に対する割合を算出した。
結果を図に示す。図において、□印、△印、○印及び●
印は、それぞれ、架橋HA-2、3、4及びHAナトリウム塩
の酢酸溶液の各反応時間における反応前の粘度に対する
割合を表わす。
図から、本発明に用いる架橋HAは、HAに比し、ヒアルロ
ニダーゼに対する抵抗性が高く、その程度は、架橋度が
高いほど顕著であることがわかる。
調製例2 架橋ChSの調製 ChS-Cナトリウム塩(分子量53000)3.1gを0.75N水酸化
ナトリウム水溶液に12.5%になるように溶解し、攪拌
下、エタノール1容量を加え、生じたアメ状沈殿物を分
取した。このアメ状沈殿物にエピクロルヒドリン0.18m
を加えて充分に練り合わせ、20℃で24時間放置した。
反応液に水30mを加えて溶解し、酢酸でpH6.0とし
て、エタノール沈殿を行なった。再度、水に溶解し、エ
タノール沈殿を行ない減圧乾燥し、架橋ChS-C(以下
「架橋ChS」という)を調製した。
試験例1 架橋HAの架橋度と粘度との関係 分子量370000及び730000のHAナトリウム塩100mgを、そ
れぞれ、1N水酸化ナトリウム5.0mに溶解した溶液
に、エタノール5mとエピクロルヒドリン、それぞ
れ、25、50、100、200μとを加え、40℃で2時間反応
した。反応後は調製例1(1)に準じて後処理を行なっ
た。
また、分子量1700000のHAナトリウム塩75mgを1N水酸化
ナトリウム7.5mに溶解した溶液にエタノール7.5m
とエピクロルヒドリン40μ又は80μとを加え、40℃
で2時間反応した。更に、上記反応と同時に同じ条件で
[2-14C]エピクロルヒドリン(アマシャム・ジャパン
社から入手)を用いて反応を行ない、この標識化合物の
放射活性から架橋度を算出した。架橋度と粘度との関係
を表2に示す。
表2から、架橋HAにおいては、架橋度と粘度とが比例関
係にあることがわかる。
試験例2 急性毒性試験 4週令のddY系雄性マウスを1週間予備飼育した。試験
開始時における実験に用いたマウスの体重は21〜27gで
あった。
前記マウスを各群15匹ずつに分け、それぞれについて架
橋HA-1の0.5%生理食塩水溶液1m/10g体重(架橋H
A-1500mg/Kg)、同1%生理食塩水溶液1m/10g体
重(架橋HA-1 1000mg/Kg)又は生理食塩水1/10g体
重を腹腔内投与した。
Irwin法に準じて毎日同時刻に一般症状を観察した。投
与後7日目に各群5匹ずつを屠殺し、14日目に残りの生
存マウスを屠殺し、投与部位及び主要臓器の肉眼的観察
を行なった。その結果を以下に示す。
(i)各群とも死亡例はなかった。
(ii)500mg/Kg投与群、1000mg/Kg投与群、対照群とも一
般症状、体重変化、摂取量、摂水量に差はなかった。
(iii)7日目、14日目の剖検では対照群と500mg/Kg投与
群に差はなかったが、1000mg/Kg投与群についてのみ7
日目、14日目とも腹腔内残留液のウロン酸が対照群より
も多く、14日目で3.6〜3.8mg/mの架橋HA-1が残留して
いると推定された。
(iv)各群とも臓器への影響は殆どなかった。
実施例1 架橋HAによる硝子体置換と復位率の
測定 架橋HA-1の1%生理食塩水溶液を用いて以下の実験を行
なった。
皮質硝子体をピンセット(眼科用鉗子)で牽引し実験的
に網膜剥離を起こさせた家兎10羽(体重3kg)の右眼
強膜に排出孔をつくり、網膜下液を排除しつつ、毛様体
扁平部に一カ所切開創をつくり、双眼倒像検眼鏡観察下
に、架橋HA注入針を水晶体後方まで進めて架橋HA-1をゆ
っくりと注入した。網膜下液が排除され網膜の復位が得
られたならば、注入針と排液針を抜去し、互いに反対の
孔から排除、注入を繰り返し、できるだけ硝子体腔の全
体を架橋HA-1で置換した。
10日目に眼底カメラで復位の状態を観察した。その結
果、7羽については網膜剥離が完全に治癒していること
が観察された(復位率70%)。
実施例2 架橋ChSによる硝子体体置換と復位
率の測定 架橋HA-1の1%生理食塩水溶液の代わりに、架橋ChSの1
0%生理食塩水溶液を用いる以外は、実施例1と同様の
実験を行なった。その結果、10羽の家兎のうち7羽につ
いて網膜剥離が完全に治癒していることが観察された
(復位率70%)。
【図面の簡単な説明】
図は、各種架橋HA及びHAをヒアルロニダーゼ処理したと
きの粘度低下と時間との関係を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】架橋グリコサミノグリカンからなることを
    特徴とする硝子体適用剤。
JP60008512A 1984-05-04 1985-01-22 硝子体適用剤 Expired - Lifetime JPH0634814B2 (ja)

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