JPH063637B2 - プロセスプラントの異常時計画支援装置 - Google Patents

プロセスプラントの異常時計画支援装置

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JPH063637B2
JPH063637B2 JP62217650A JP21765087A JPH063637B2 JP H063637 B2 JPH063637 B2 JP H063637B2 JP 62217650 A JP62217650 A JP 62217650A JP 21765087 A JP21765087 A JP 21765087A JP H063637 B2 JPH063637 B2 JP H063637B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、発電プラントや石油精製プラント等のプロセ
スプラントの操業中における機器の故障や誤動作、運転
員の誤操作、外乱等を原因とするプロセスの擾乱につい
てのデータから、知識工学的考え方に基づいて異常原因
とプラントの状態を診断するとともに、異常に対する対
策計画を立案・合成するプロセスプラントの異常時計画
支援装置に関する。
(従来の技術) 一般にプロセスプラントの擾乱が生じた場合に、その擾
乱を放置するとプラントの局部に物質のアンバランスや
エネルギの集中を生じ、プラントの破損や有害物質の環
境への放出をもたらす危険がある。したがって、その擾
乱を早期に検出し、プラントの状態を診断して、適切な
処置を講じる必要がある。そのため、従来のプロセスプ
ラントでは、一般に中央制御室においてプラントについ
ての必要な情報を集め、その情報を監視することによっ
て異常の検出診断を行なっている。
すなわち、従来の異常検出診断においては、プラントか
らの計測値について予め正常運転範囲を定めておき、こ
の範囲から計測値が逸脱した場合に運転員に警報を発す
る警報装置を設け、この警報装置によって広くプラント
全体を監視できるようにしている。また、警報が発生し
た場合の異常診断および異常に対する処置については、
その警報に関して手順書を参照したり、予め運転訓練に
よって運転員を教育しておく等して対処している。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、プロセスプラントが一般に大型化し、複
雑化するに伴い、これら警報装置の規模も大きくなり、
手順書の内容や訓練の内容も複雑化しつつある。そのた
め、擾乱時において運転員の処理能力をはるかに超える
数の警報が発生する場合があり、そのような場合には警
報を適切に処理することが困難である。
そこで、計算機の情報処理技術を利用して警報の数を抑
制し、真に価値ある適切な情報のみを運転員に提供する
システムや異常に対する対応操作を運転員に提供する異
常時支援システムが開発されている。このような警報の
抑制システムとしては、例えば多数の警報の中から時間
的に最も早いものを選択するシステムや、比較的単純な
論理、例えば同じ原因により警報が複数発生したときに
原因に直結する警報を除き他の警報を消去するといった
論理によって不要警報を抑制するシステムが提案されて
いる。これらの警報抑制システムは、一応の効果はある
ものの総じて部分的な対応であり抜本的な対処法とは考
えられない。
一方、異常時支援システムとしては前もって想定した異
常に対して予め対応操作を決めておき、異常発生時に操
作手順として運転員に提供するものがあるが、予め想定
した事象以外には役に立たない点が問題として指摘され
ている。その他、異常の診断結果に基づかない対応操作
立案を提供するシステムも提案されているが、プラント
の安全を確保するという観点からはその効果が認められ
るものの最適な対応操作になるとはいえない。これは異
常原因や事象が明確にならなければ最適な運転操作手順
が決められないからである。
ところが、近年知識工学的手法を用いた新しい考え方に
基づく異常診断・運転操作ガイドシステムが開発されて
いる。この異常診断・運転操作ガイドシステムには、異
常の原因およびその結果としてプラントの計測信号に表
われる異常な変化に関する知識、ならびに異常に対する
対応操作手順を決めた知識を収容した知識ベースと、こ
の知識ベースから上記知識を読み込んで異常原因および
対応操作手順の推論を行なう推論機構とが備えられる。
この異常診断・運転操作ガイドシステムにおいては、例
えばプラントの計測値から1つの異常なパターンが得ら
れた場合、推論機構が知識ベースを探索して、そのパタ
ーンにマッチした知識があるか否かを求め、マッチした
ものをピックアップする。そして、複数のマッチングし
た知識がある場合には、その複数の知識の中から最も確
からしいものを選択する等して異常原因および対応操作
手順を推定する。
しかしながら、上記異常診断・運転操作ガイドシステム
においては、予め考えて知識ベースに収容した異常原因
および異常なパターンについては診断および対応操作手
順の導出が可能であるが、予め想定してない異常原因お
よび異常なパターンについては診断および対応操作手順
の導出を行なうことができない。また、このような異常
原因および異常なパターンや対応操作手順に関する個々
の知識は本質的に同等であり構造化が難しいことから、
システムが大規模化するに伴い、その数が飛躍的に増大
する。そのため、処理時間が莫大になり、異常に対する
迅速な対応が困難になるという問題がある。
本発明は上記の事情を考慮してなされたもので、プロセ
スプラントの異常診断および異常に対する対策計画の立
案・合成を、知識工学の手法を用いて、プラントの本来
の目的である生産および安全確保の観点から系統的に行
なうことにより、広範かつ迅速にプラントの状態を把握
して、プラントの異常に迅速に対応することが可能なプ
ロセスプラントの異常時計画支援装置を提供することを
目的とする。
また、本発明の他の目的は、予め想定してない未知の異
常原因および異常パターンについても診断してその異常
に対処することができるプロセスプラントの異常時計画
支援装置を提供することである。
さらに、本発明の別の目的は、プロセスプラント内の物
質移動およびエネルギ移動に注目してプロセスプラント
内の機能を階層化した知識ベースを備え、トップダウン
的な異常診断および対策計画の立案・合成が可能なプロ
セスプラントの異常時計画支援装置を提供することにあ
る。
〔発明の構成〕
(問題点を解決するための手段) 本発明に係るプロセスプラントの異常時計画支援装置
は、物理的プロセスや化学的プロセスを利用して物質や
エネルギを生産するプロセスプラントからのプラントデ
ータを貯えるプロセスデータベースと、上記プロセスプ
ラントの異常診断および異常に対する対策計画の立案・
合成を行なうための知識を有する知識ベースと、上記プ
ラントデータベースおよび知識ベースからプロセスプラ
ントの異常診断および対策計画の立案・合成に必要なプ
ラントデータおよび知識を読み込んで異常診断および対
策計画の立案・合成のための推論を行なう推論機構と、
この推論機構による推論の結果を表示するマンマシンイ
ンタフェースとを備え、前記知識ベースは、プロセスプ
ラント内の物質の移動およびエネルギの移動に注目し
て、プロセスプラント内の機能を階層化し、プロセスプ
ラントの機能階層構造を記述した知識と、その機能階層
構造の各ノードについて異常診断を行なうための知識
と、プラント全体について異常診断を行なうための知識
と、これらの異常診断結果に基づいて異常に対する対策
計画を立案するための知識と、この対策計画をプラント
全体として整合のとれた全体計画に合成するための知識
とを有するものである。
(作用) 物理的プロセスや化学的プロセスを利用して物質やエネ
ルギを生産するプロセスプラントからのプラントデータ
がプラントデータベースに貯えられる。また、上記プロ
セスプラントの異常診断および異常に対する対策計画の
立案・合成を行なうための知識が知識ベースに備えられ
る。知識ベースは、プロセスプラント内の物質の移動お
よびエネルギの移動に注目して、プロセスプラント内の
機能を階層化し、プロセスプラントの機能階層構造を記
述した知識と、その機能階層構造の各ノードについて異
常診断を行なうための知識と、プラント全体について異
常診断を行なうための知識と、これらの異常診断結果に
基づいて異常に対する対策計画を立案するための知識
と、この対策計画をプラント全体として整合のとれた全
体計画に合成するための知識とを有し、知識ベースは、
プロセスプラント内の物質移動および物質移動を媒体と
するエネルギ移動に注目し、プロセスプラント内の機能
を階層化した階層構造知識を用いて異常診断や対策計画
の立案・合成を行なうから、重要度の高い順にトップダ
ウン的に広範かつ迅速に、抜け落ちが生じることなく異
常診断や対策計画の立案・合成を行なうことができ、異
常診断および対策計画の立案・合成を系統的に広範かつ
迅速に行なうことができる。
推論機構は、まず上記プラントデータベースおよび知識
ベースからプラントデータと、プロセスプラントの異常
診断および異常に対する対策計画の立案・合成を行なう
ための知識とを読み込む。そして、推論機構は、上記プ
ラントデータを参照しながら、異常診断を行なうための
知識に従って異常診断を行なう。
次に、推論機構は上記の異常診断結果に基づき、異常に
対する対策計画の立案・合成を行なうための知識に従っ
て、異常に対する対策計画の立案・合成を行なう。そし
て、推論機構による推論の結果はマンマシンインタフェ
ースによって、運転員に提供される。
(実施例) 本発明に係るプロセスプラントの異常時計画支援装置の
一実施例を図面を参照して説明する。本発明は原子力発
電プラント1の異常時計画支援装置2として好適に用い
られ、第1図に示すように原子力発電プラント1からの
プラントデータを貯えるプラントデータベース3と、上
記原子力発電プラント1の異常診断および異常に対する
対策計画の立案・合成を行なうための知識を有する知識
ベース4と、上記プラントデータベース3および知識ベ
ース4から原子力発電プラント1の異常診断および対策
計画の立案・合成に必要なプラントデータおよび知識を
読み込んで異常診断および対策計画の立案・合成のため
の推論を行なう推論機構5と、この推論機構5による推
論の結果を表示するマンマシンインタフェース6とが備
えられる。
前記プラントデータベース3は、原子力発電プラント1
からのプロセス計測値等のプラントの運転状態に関する
情報をプラントデータとして入力して貯えるようになっ
ている。
また、知識ベース4は、原子力発電プラント1の異常診
断および異常に対する対策計画の立案・合成を行なうた
めの知識として原子力発電プラント1の機能階層構造を
記述した知識(以下階層構造知識という)と、その機能
階層構造の各ノードについて異常診断を行なうため知識
(以下ノード診断知識という)と、プラント全体につい
て異常診断を行なうための知識(以下全体診断知識とい
う)と、これらの異常診断結果に基づいて異常に対する
対策計画を立案するための知識(以下計画立案知識とい
う)と、この対策計画をプラント全体として整合のとれ
た全体計画に合成するための知識(以下計画合成知識と
いう)とを有する。
以下、各知識の内容について詳細に説明する。
階層構造知識は知識工学的な考え方により、原子力発電
プラント1をその機能の面から階層構造として把握した
ものである。
すなわち、一般にプロセスプラントのような人工物はは
っきりとした目的−機能をもって構築されており、その
構造はプロセスプラントの最終目標を達成するためのシ
ステム、最終目標を達成するための種々の副目標をもつ
サブシステム、さらにそのサブシステムについてのサブ
システムというように階層構造を形成していると考えら
れる。また、上記サブシステムにはそれらのサブシステ
ムを構成し、その機能を維持・発揮させるための補助シ
ステムが備えられると考えられる。
このような階層構造は、一般に物理的な構造物が多くの
機能を果していることから、特にプロセスプラントを機
能面で観察した場合に明確に認識することができる。
本実施例においては、原子力発電プラント1の機能階層
構造を知識ベース化するに当り、プロセスプラントの基
本であるプラント内の物質の移動および物質の移動を媒
体とするエネルギの移動に注目することにより、明確な
機能階層構造の知識を作成している。
原子力発電プラント1についての階層構造知識は例えば
第2図に示すように原子力発電プラント1の基本的な2
つの目的、すなわち電力の生産と安全の維持に関して作
成される。
第2図においては、貯蔵、輸送、分岐、バリヤ等のフロ
ーファンクション(Flow Function)を第3図に示す記
号を用いて表現している。
第2図において、電力生産についての機能階層構造は複
数のノードから成り、これらの複数のノードが階層構造
に構成される。この階層構造におけるノードはフロース
トラクチャ(Flow Structure)と称し、特定の機能をも
っている。
最上部の電力生産フローストラクチャ11は、電力生産
を達成するための機能を有し、複数のフローファンクシ
ョンから構成される。すなわち、原子力発電プラント1
は核分裂反応を利用して発電を行なうシステムであるか
ら、その目的を達成するためのフローファンクションと
して、核分裂反応によりエネルギを発生させるソース1
2、そのエネルギを変換して輸送するシステム13、輸
送されてきたエネルギを消費するユーザ14が設けられ
る。
そして、電力生産フローストラクチャ11の下部の電力
生産管理フローストラクチャ15には、上記の核分裂反
応によりエネルギを発生させるソース12のサブシステ
ムとしての核エネルギ発生システム16、上記エネルギ
を変換して輸送するシステムのサブシステムとしての熱
エネルギ輸送システム17、エネルギ変換システム1
8、電気エネルギ変換システム19、廃熱輸送システム
20が備えられ、さらに前記ユーザ14としての電力網
21、環境22が設けられる。
また、各システム16〜20には、それぞれその機能を
維持するために必要な補助システムとしてのサポート2
3〜27が備えられる。これらのサポート23〜27に
は、さらにその下部のフローストラクチャが設けられ、
これらのフローストラクチャ内のシステムにより各サポ
ート23〜27の機能が維持される。
例えば、核エネルギ発生システムサポート23の機能を
維持するフローストラクチャとしては、核分裂反応を制
御するための制御棒駆動フローストラクチャ30、原子
炉内へ冷却水を循環させるための炉心再循環フロースト
ラクチャ31、原子炉内への給水を加熱するための給水
加熱フローストラクチャ32、原子炉の圧力を制御する
ための圧力制御フローストラクチャ33が設けられる。
これら各フローストラクチャ30〜33の内部にはサブ
システムと図示しないサポートが備えられ、さらに各サ
ポートの下部にもその機能を維持するフローストラクチ
ャが設けられる。
一方、安全の維持についての機能階層構造は、最上部の
ノードとして安全確保フローストラクチャ35が設けら
れ、この安全確保フローストラクチャ35はフローファ
ンクションとしての放射能源36と、この放射能源36
からの放射能を遮蔽する放射能バリヤ37と、その放射
能バリヤ37の周囲の環境38から構成される。
そして、その下部の放射能放出防止フローストラクチャ
40には、フローファンクションとしての放射能源4
1、燃料被覆管42、一次冷却材バウンダリ43、逃し
安全弁44、原子炉格納容器45、非常ガス処理システ
ム46、希ガスホールドアップシステム47および環境
48が設けられる。さらに、各フローファンクション4
2〜47には、補助システムとしてのサポート50〜5
7が備えられる。これらの各サポート50〜57につい
ても、さらにその下部に図示しないフローストラクチャ
が設けられる。
上述した機能階層構造における各フローストラクチャ
は、各フローファンクションおよびサポートの異常に対
処するための多数の基本対策を知識データとして備えて
いる。第4図および第5図は上記基本対策の一例を示す
図である。
第4図は給水加熱フローストラクチャ32に備えられる
基本対策の一例を示し、給水加熱器内の給水細管等に復
水の漏洩が発生した場合の対策目的および対策を記述し
たものである。この場合の対策目的は一次系冷却水の漏
洩防止である。給水加熱器に復水の漏洩が発生した場
合、その対策目的を達成するための対策としては原子炉
出力を低下し、その後漏洩が発生した給水加熱器の系統
を隔離することが考えられる。
第5図は電力生産管理フローストラクチャ15に備えら
れる基本対策の一例を示し、給水温度が低下しかつ原子
炉出力が上昇した場合の対策目的および対策を記述した
ものである。この場合の対策目的は炉心健全性維持であ
る。例えば、前記給水加熱器を1系統隔離した場合に
は、給水温度の低下により炉心入口サブクーリングが増
加し、その結果原子炉出力が上昇して炉心の健全性を維
持するための制御値を監視している核エネルギ発生シス
テムサポート23が新たに異常となる。その異常に対す
る対策としては炉心再循環流量低下により原子炉出力を
降下させることが考えられる。この場合、対策の実行に
必要な機能を有する下位の炉心再循環フローストラクチ
ャ31が正常である必要があるから、制約条項として再
循環制御系が正常であることが記載される。
第2図に示す階層構造知識は説明のために大まかに表現
されたものであって、実際にはさらに詳細な階層構造知
識が作成される。また、原子力発電プラント1の種類が
異なれば、その種類に応じた階層構造知識が作成され
る。
前記ノード診断知識は上記機能階層構造を構成する各ノ
ードについて異常を診断する方法を記載したものであ
る。
このノード診断知識は、各ノードの健全性を判断する知
識(以下健全性判断知識という)と、この健全性判断知
識により不健全と判断されたノードについて物質あるい
はエネルギバランスに関する構造を考慮して異常診断を
行なう知識(以下ノード異常診断知識という)に分けら
れる。上記健全性判断知識は知識工学的考え方に基づく
ものであって、次に説明するようになっている。
すなわち、一般にプロセスプラント等の物理的な構造物
に発生した異常(故障)は、その構造物の果す機能のい
くつかに影響を与え、その影響は階層構造の下部から上
部へ波及する。つまり、異常の伝播性はボトムアップ
(Bottom up)の過程をとる。
一方、このような異常を診断するときに、通常人間は階
層の上位からチェックしていき、異常を追いつつ次第に
階層を下りながら探索の範囲を狭めていくトップダウン
(Top down)の形をとる。この思考方法は、所定の目的
をもって運転されているプロセスプラントが常にその最
終目的を達成しているか否かが人間にとって最大の関心
事であることから当然のことと考えられる。そこで、本
発明においては、そのような人間の思考方法と同様に、
前記階層構造についてトップダウン的に探索を行ない異
常診断を行なう。
この異常診断は、具体的には次のように行なわれる。ま
ず、前記階層構造知識の各フローストラクチャの各フロ
ーファンクションおよびサポートについて、その性能の
健全性を判定するための発生量、貯蔵量等のパラメータ
を予め指定しておく。このパラメータは原子力発電プラ
ント1からのプラントデータあるいはそのプラントデー
タに基づいて計算される計算値である。
そして、任意の時刻において、プラントデータを参照し
つつ前記階層構造のトップから始めて、階層を順にたど
りながら、各フローファンクションおよびサポートの性
能の健全性の判定を指定されたパラメータに基づいて順
次行ない、各フローファンクションおよびサポートにつ
いて良否の判定結果を得るものである。
次に、前記ノード異常診断知識は、上記健全性判断知識
による判定結果により、健全性異常と判断されたフロー
ファンクションまたはサポートを含むフローストラクチ
ャについて、異常診断を行なう知識であって、次に説明
するようになっている。
まず、フローファンクションのタイプに応じて異常の状
態を分類すると第6図に示すようになる。すなわち、前
記の健全性の判定は、例えば源(Source)については、
発生量あるいは貯蔵量についての性能パラメータに基づ
いて行なわれる。この場合、発生量については(Kg/se
c)および(Kcal/sec)といった単位の性能パラメータ
により判定され、貯蔵量については(Kg)および(Kca
l)という単位の性能パラメータにより判定される。そ
して、その判定結果から各フローファンクション毎に診
断される異常原因は発生量異常、発熱量異常、輸送異常
による変化率異常、変化量異常である。
また、輸送(Transport)については流量についての性
能パラメータに基づいて健全性が判定される。その流量
については、(Kg/sec)および(Kcal/sec)といった単
位の性能パラメータにより判定され、診断結果としての
異常原因は輸送異常、分岐異常である。その他、同様に
貯蔵(Storage)、分岐(Distribution)、捨て場所(S
ink)、障壁(Barrier)について異常の状態を分類す
る。
この場合、貯蔵量については輸送異常による変化率異常
が考えられるが、この異常はそのフローファンクション
自体に異常があるのではなく、そのフローファンクショ
ンに接続される輸送あるいは障壁について異常原因があ
ると診断された場合である。この診断の際には、各フロ
ーストラクチャ内のフローファンクションおよびフロー
ファンクションの接続関係の知識が利用される。
第4図に基づき、各フローファンクションについて診断
した結果を、任意のフローファンクションについてまと
めると第7図に示すようなケースのいずれかに分類され
る。第7図は特定のフローファンクション、そのフロー
ファンクションのサポート、そのフローファンクション
に隣接するフローファンクションについてそれぞれ診断
した結果を示し、さらにそれらの診断結果についての判
定結果を記載したものである。第7図では正常な場合を
〇で、異常な場合を×で表示している。また、△は性能
パラメータでは異常であるが、それが周辺のフローファ
ンクションによると判断されるものを表示している。
第7図に示す異常のケースは10ケースに分類される。
例えばケース1は特定のフローファンクション、そのサ
ポート、隣接フローファンクションのすべてが正常な場
合を示し、その判定も正常である。ケース2は特定のフ
ローファンクション、隣接フローファンクションには異
常はないが、サポートに異常がある場合を示し、その判
定結果は「潜在的故障、サポートの異常により対応する
フローファンクションの異常は早晩表われる」である。
以下同様にケース10まで分類されている。
なお、ケース5,6は物質の移動を前提とする場合の判
定結果であるが、物質の移動がほとんどなく、精度に問
題がある場合には、ケース5,6のような判定は行なわ
なくてもよい。
このようにして、特定のフローストラクチャの各フロー
ファンクションについて異常のケースを判断して分類す
ることにより、そのフローストラクチャの異常源につい
て次のいずれかの判断結果が得られる。
1.特定のフローファンクションに異常あり、そのサポ
ートに異常なし。
2.特定のフローファンクションに異常あり、そのサポ
ートにも異常あり。
3.特定のサポートに異常あり、対応するフローファン
クションに異常なし。
4.上記3つの任意の組合せからなる複数の異常源(複
数のフローファンクションの場合)。
この判断結果から、そのフローストラクチャ内の異常の
伝播範囲、そのフローストラクチャの性能評価について
の診断結果が得られる。
前記全体診断知識は、上記ノード診断知識による各ノー
ドの診断結果からプラント全体としての診断を行なうた
めの方法を記載した知識であり、次に説明するようにな
っている。
前記ノード診断知識に従って、プラント機能階層構造の
トップから、異常なフローストラクチャについて順次診
断を行なうと、階層構造においてどのノードに異常が存
在し、それらの異常がどのようにつながり、どのように
点在するかが明確になる。
そして、ノードの異常につながりが存在する場合に、そ
のつながりが階層構造のフローストラクチャ間のサポー
ト関係に一致するときは、明らかに下部の異常がサポー
ト機能の関係に基づいて伝播したものと確認できる。一
致が不完全な場合には未だ異常の大きさが小さく、サポ
ート関係が顕在化していないものと予想される。この場
合でも階層構造中のどの機能に異常が認められるかは明
白になる。異常が点在している場合についても同様に判
断される。
前記計画立案知識は、上述した各知識による異常診断の
結果に基づいて、異常に対する対策計画を立案するため
の方法を記述した知識である。
この計画立案知識においては、まず異常と診断された各
フローストラクチャについて予め階層構造知識に知識デ
ータとして備えられた基本対策の導出を行ない、その後
各基本対策が実行可能かどうかについて制約条項および
プラント状態に基づいて判断する。
このような基本対策の導出は、前記全体診断知識の診断
結果に基づいて、異常と診断された各フローストラクチ
ャのうち最上位のフローストラクチャから、そのフロー
ストラクチャの異常の発生源である下位のフローストラ
クチャに向って順次トップダウンの過程で行なわれる。
その結果、第8図に示すように機能階層構造に従って、
上位に位置する抽象化された基本対策から順次ブレイク
ダウンされた基本対策までの階層構造が形成される。こ
の階層構造においては上位のレベルから下位のレベルへ
向かうに従って、基本対策の内容がより具体的になる。
トップダウンによる基本対策の導出は原則として異常の
ある最下層のフローストラクチャのレベルまで行なわれ
るが、その途中でプラント状態が制約条項に沿わない場
合やその他何らかの制約により対策が実行不可能な場合
が出てくることもある。このような場合には基本対策の
導出は実行可能なレベルまでとする。このような処理の
結果、あらゆる事象に対し適切な基本計画が導出される
ことになり、かつ可能な限りにおいて実現性のある具体
的な基本対策の階層構造が対策計画として立案される。
前記計画合成知識は、上記計画立案知識により立案され
る基本対策の階層構造としての対策計画を、プラント全
体として整合のとれた全体計画に合成するための方法を
記述した知識である。
上記計画立案知識に従って作成される基本対策の階層構
造の中には相互に矛盾した基本対策が含まれていること
も考えられるので、全体としての整合性をとる必要があ
る。矛盾の解消は各階層の基本対策に記載された対策目
的に基づいて行なう。すなわち、基本対策の階層構造に
おいて上位のレベルほど抽象化された基本方針となって
いるので、予め各階層間の基本対策に記載された対策目
的について従属関係を設定しておき、上位レベルの対策
目的に反する対策目的を記載した下位レベルの基本対策
を削除する。
このようにして基本対策の階層構造の矛盾を解消した
後、この階層構造の最下層部の基本対策を対策目的毎に
集約することにより、全体計画としての最終的な対策計
画を合成する。この場合、合成された対策計画よりも上
位レベルに位置する基本対策に記載された対策目的は、
対策計画を実行する際の理由、効果を示すものであり、
運転員が提供された対策計画を評価する上で参考となる
有益なデータである。
次に、上記知識ベース4と前記プラントデータベース3
に接続される推論機構5は、プラントデータベース3お
よび知識ベース4からプラントデータおよび原子力発電
プラント1の異常診断および異常に対する対策計画の立
案・合成を行なうための知識を読み込み、周期的に読み
込んだプラントデータを参照しながら異常診断および異
常に対する対策計画の立案・合成を行なうための知識に
従って推論を行ない、プラントの異常を診断するととも
に、その異常診断結果に基づいて異常に対する対策計画
の立案・合成を行なうようになっている。
まず、推論機構5は、プラントデータを参照しながら、
階層構造知識を用いて健全性判断知識に従い、その時点
での機能階層構造における各ノードの健全性を判定す
る。そして、不健全と判定されたノードについては、ノ
ード異常診断知識に従い、その内部の構造に関する知識
とプラントデータとを参照して異常診断を行なう。その
後、推論機構5は全体診断知識に従い、各ノードの異常
診断結果を総合し、プラント全体としての異常診断を行
なう。
さらに、推論機構5は計画立案知識に従って異常に対す
る対策計画を立案し、その後計画合成知識に従って、立
案された対策計画をプラント全体として整合のとれた全
体計画に合成する。
上記推論機構5に接続されるマンマシンインタフェース
6にはCRT等の表示装置が備えられ、この表示装置に
は推論機構5による推論結果が表示されるようになって
いる。表示される推論結果としては、プラントの機能階
層構造上における異常ノードの所在と、そのつながり、
異常ノードに相当するフローストラクチャ内における異
常なフローファンクションや異常なサポートの所在およ
びそれらのつながら、すなわち因果関係と異常の影響す
る範囲およびそれらの異常に対応するための対策計画、
その対策計画の目的、導出理由等がある。
次に、上記実施例の作用について説明する。
原子力発電プラント1に異常が発生すると、その異常は
各種検出器、増幅器、信号伝送路等を経て、プラントデ
ータとしてプラントデータベース3に入力され、そのプ
ラントデータベース3に貯えられる。そして、推論機構
5は上記プラントデータベース3および知識ベース4か
ら異常についてのデータを含むプラントデータおよび原
子力発電プラント1の異常診断および異常に対する対策
計画の立案・合成を行なうための知識を読み込む。その
後、推論機構5はプラントデータを参照しながら健全性
判断知識に従い、各フローファンクション、各サポート
について階層構造の上部からトップダウン的に健全性の
判定を行なう。この判定結果は、例えばプラントデータ
ベース内のワーキングメモリに一時記憶される。
そして、推論機構5はその健全性の判定によって健全性
異常と判定されたフローファンクションまたはサポート
を含むフローストラクチャについて、ノード異常診断知
識に従って異常の診断を行なう。異常を含むノードにつ
いて診断した後は、その診断結果に基づき全体診断知識
に従って、プラント全体としての異常診断を行なう。
その後、推論機構5は計画立案知識に従い上記各知識に
よる異常診断結果に基づいて、異常に対する対策計画の
立案を行ない、さらに計画合成知識に従って上記対策計
画をプラント全体として整合のとれた全体知識に合成す
る。
推論機構5による推論結果はマンマシンインタフェース
6によりその表示装置に表示され、運転員に異常診断結
果や異常に対する対策計画等が提供される。運転員は上
記表示装置に表示された異常診断結果および対策計画等
を視認することにより、容易にプラント状態を認識し、
対策計画に沿って迅速に運転操作を実行することができ
る。
上記実施例においては、原子力発電プラント1の最終目
標である電力の生産、安全の確保に基づいて、その機能
構造を階層的に表現した階層構造知識を用いて異常診断
および対策計画の立案・合成を行なうから、重要度の高
い順に、広範かつ迅速に、さらに抜け落ちが生じること
なく異常診断および対策計画の立案・合成を行なうこと
ができる。
また、高度に抽象化された機能についての代表的性能パ
ラメータに基づいて診断するため、些細な情報に惑わさ
れることなく重要機能から順に高速にプラントの診断お
よび対策計画の立案・合成を行なうことができる。
さらに、階層構造知識が原子力発電プラント1にとって
本質的、普遍的な質量、エネルギバランスに基づいて作
成されているため、その階層構造知識を用いて作成され
る異常診断結果、対策計画やその目的・導出理由等も予
盾がなく、理解し易いという効果がある。
特に、従来のように予め個々の異常原因と異常なパター
ンを想定しておく必要がなく、未知の異常原因について
も、診断して対策計画を立案・合成することができる点
で効果が大きい。
上記実施例では、原子力発電プラント1の定常運転状態
における電力生産のための機能階層構造についての知識
を知識ベースに備えることとしたが、その他にプラント
の安全停止を目標とする機能階層構造を作成して知識ベ
ースに備えておいてもよい。この実施例によれば、プラ
ントに異常が発生し、緊急停止がなされた場合には、プ
ラントが安全停止に至る過程の異常診断および対策計画
の立案・合成を行なうことができる。
また、上記実施例においては原子力発電プラント1の異
常時計画支援装置について説明したが、本発明はこれに
限定されず、火力発電プラント、化学工業プラント等の
物理的プロセスや化学的プロセスを利用して物質やエネ
ルギを生産するプロセスプラントの異常時計画支援装置
として広く適用することができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明に係るプロセスプラントの
異常時計画支援装置には、物理的プロセスや化学的プロ
セスを利用して物質やエネルギを生産するプロセスプラ
ントからのプラントデータを貯えるプラントデータベー
スと、上記プロセスプラントの異常診断および異常に対
する対策計画の立案・合成を行なうための知識を有する
知識ベースと、上記プラントデータベースおよび知識ベ
ースからプロセスプラントの異常診断および対策計画の
立案・合成に必要なプラントデータおよび知識を読み込
んで異常診断および対策計画の立案・合成のための推論
を行なう推論機構と、この推論機構による推論の結果を
表示するマンマシンインタフェースとを備え、前記知識
ベースは、プロセスプラント内の物質の移動およびエネ
ルギの移動に注目して、プロセスプラント内の機能を階
層化し、プロセスプラントの機能階層構造を記述した知
識と、その機能階層構造の各ノードについて異常診断を
行なうための知識と、プラント全体について異常診断を
行なうための知識と、これらの異常診断結果に基づいて
異常に対する対策計画を立案するための知識と、この対
策計画をプラント全体として整合のとれた全体計画に合
成するための知識とを有するので、知識ベースの機能階
層構造に基づいてプロセスプラント内の物質移動やこの
物質移動を媒体とするエネルギ移動に注目し、プロセス
プラント内の機能を階層化し、重要度の高い順に広範か
つ迅速に、抜け落ちが生じることなく、トップダウン的
な異常診断や対策計画の立案・合成を行なうことがで
き、異常診断および対策計画の立案・合成を系統的(ト
ップダウン的)に、広範かつ迅速に行なうことができ
る。特に、従来のように予め個々の異常原因と異常なパ
ターンを想定しておく必要がなく、未知の異常原因につ
いても、診断して対策計画の立案・合成を行なうことが
できる点で効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るプロセスプラントの異常時計画支
援装置の一実施例を示すブロック構成図、第2図は上記
実施例の知識ベースに備えられる原子力発電プラントの
機能階層構造を記述した知識を示す図、第3図は第2図
に使用する記号を示す図、第4図および第5図は上記実
施例の知識ベースに備えられる基本対策の一例を示す
図、第6図は上記実施例においてフローファンクション
のタイプに応じて異常の状態を分類した図、第7図は上
記実施例において各フローファンクションについて判断
した結果を任意のフローファンクションについてまとめ
た図、第8図は上記実施例の計画立案知識により作成さ
れる基本対策の階層構造を示す図である。 1…原子力発電プラント、2…異常時計画支援装置、3
…プラントデータベース、4…知識ベース、5…推論機
構、6…マンマシンインタフェース。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】物理的プロセスや化学的プロセスを利用し
    て物質やエネルギを生産するプロセスプラントからのプ
    ラントデータを貯えるプロセスデータベースと、上記プ
    ロセスプラントの異常診断および異常に対する対策計画
    の立案・合成を行なうための知識を有する知識ベース
    と、上記プラントデータベースおよび知識ベースからプ
    ロセスプラントの異常診断および対策計画の立案・合成
    に必要なプラントデータおよび知識を読み込んで異常診
    断および対策計画の立案・合成のための推論を行なう推
    論機構と、この推論機構による推論の結果を表示するマ
    ンマシンインタフェースとを備え、前記知識ベースは、
    プロセスプラント内の物質の移動およびエネルギの移動
    に注目して、プロセスプラント内の機能を階層化し、プ
    ロセスプラントの機能階層構造を記述した知識と、その
    機能階層構造の各ノードについて異常診断を行なうため
    の知識と、プラント全体について異常診断を行なうため
    の知識と、これらの異常診断結果に基づいて異常に対す
    る対策計画を立案するための知識と、この対策計画をプ
    ラント全体として整合のとれた全体計画に合成するため
    の知識とを有することを特徴とするプロセスプラントの
    異常時計画支援装置。
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