JPH064273B2 - 結晶性高分子材料の延伸方法 - Google Patents

結晶性高分子材料の延伸方法

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JPH064273B2
JPH064273B2 JP63034978A JP3497888A JPH064273B2 JP H064273 B2 JPH064273 B2 JP H064273B2 JP 63034978 A JP63034978 A JP 63034978A JP 3497888 A JP3497888 A JP 3497888A JP H064273 B2 JPH064273 B2 JP H064273B2
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和郎 中山
彰 海藤
久明 金綱
功 田中
稔雄 戸来
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Nippon Steel Corp
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、高強度高弾性率高分子材料を得るための結
晶性の熱可塑性高分子材料の延伸方法に関するものであ
る。
従来の技術 一般に高分子材料の成形には、溶融状態にある材料を金
型でそのまま固めたり、圧力を加えて金型へ流し込んだ
り、ダイから押出したりする方法が用いられている。
これらの方法で成形された高分子材料は分子鎖の配向性
が低く乱れており材料の機械的物性は低くとどまってい
る。
従って高強度高弾性率高分子材料を得るには、延伸や圧
延等の方法により特定の方向に材料を変形させ分子鎖を
高く配向させることが必要である。
圧延法は、厚物高分子材料にも適用可能であるが高い変
形比が得られず、ローラー通過後の弾性回復(スプリン
グバック)を伴ない寸法精度が悪い。
紡糸延伸法は非常に高い変形比が得られ高強度高弾性率
高分子材料の製造が可能となっているが、設備費等のト
ータルコストが高くそのまま製品コストに跳ね返ってお
り、汎用高分子を原料とする場合には経済的メリットが
充分ではない。
引抜き延伸法においては、機構が単純であり設備費等を
安く抑えられる可能性が高いが、引抜き張力が材料の破
断強度よりも小さくなくてはならないという制約がある
ため、引抜き速度が低く、活発な応用展開には至ってい
ない。
特開昭60-15120号公報はこの様な引抜き延伸法の短所の
改善を図ったもので、一定の温度条件下において材料を
引抜く過程では、歪み硬化が起こり材料が破断し難くな
ることを利用し、高い変形比を得る方法を提示したもの
である。
しかし、前記引抜き延伸法は、引抜き速度が著しく低い
もので、高密度ポリエチレンの場合、引抜き速度が通常
0.04、最大でも0.5m/分と著しく低く、0.5m/分の引抜
き速度で得られる変形比は非常に低いという生産性の面
での大きな問題を残している。
発明が解決しようとする課題 この発明は、機構が単純な引抜き延伸法に着目し、従来
の問題である著しく低い引抜き速度の制約を解消して生
産性を向上させ、熱延伸を併用することで高い変形比を
備えた結晶性の熱可塑性高分子材料の延伸方法を確立す
ることを目的としたものである。
課題を解決するための手段、作用 本発明は、シートまたは棒材(以下、素材と略す)とな
る結晶性の熱可塑性高分子材料を加熱した引抜き工具に
通過せしめて延伸強化を行う方法において、引抜き工具
の出口直後で延伸物を急冷処理し引き抜くことにより、
高速延伸を行い延伸比8以上とすること、及び素材に適
当な熱と張力を加えて行う熱延伸を施して延伸強化を行
う方法において、熱延伸終了直後の素材に急冷処理を施
し高速延伸を行うことを組合わせたものである。ここ
で、延伸比8以上と規定したのは、後述する実施例に示
すように本発明の延伸方法によれば延伸比8以上の延伸
材料が得られるためである。
また、前者の引抜き工具を用いる工程(I)と、後者の
熱延伸域を持つ工程(II)を連続で、或るいは任意に組
合せてなる多段延伸工程により、生産性良く高強度高弾
性率高分子材料を得ることを特徴とする結晶性の熱可塑
性高分子材料の延伸方法である。
本発明による結晶性の熱可塑性高分子材料の延伸方法を
第1図により詳細に説明する。
まず第一に、予熱された素材1を加熱した引抜き工具2
(例えばダイス、ロール)に通し、引抜き工具の間隔を
調節し引抜くことで、素材は延伸される。
第二に、素材は引抜き工具の出口直後の急冷域3を通る
ことにより、予熱及び引抜き工具により付与された温度
から急冷される。
素材となる熱可塑性高分子材料は、一般にそれ自身の温
度が高くなると機械的物性(強度、剛性等)は大きく低
下する。
仮に延伸物に急冷処理を施さず急冷域を通過させない場
合には、引抜き工具の出口直後の素材の温度は引抜き工
具温度に近い温度となってるため、その位置での延伸物
の強度は本来の強度よりも低いものとなっており、引抜
き速度Vを上昇させることに伴う引抜き張力の上昇に耐
えることができず破断に至る。
また引抜き張力が一定の場合であっても、素材の冷却速
度は変らないから、引抜き速度の上昇により引抜き工具
の出口近傍に位置する素材の温度が上昇し、やはり破断
に至る。
そこで引抜き工具の出口直後に急冷域3を設け、素材を
急冷処理することにより、引抜き工具の出口直後位置で
の素材の強度を本来の強度にまで回復させることによ
り、引抜き速度を上昇させることが可能となる。
さらに引抜き工具通過後の素材は、歪み硬化及び一定方
向の分子配向が起こっており、素材の強度は引抜き工具
通過前の素材の強度よりも高くなっている。
また素材1は、融点(Tm)に近づくほど変形抵抗が小
さくなる熱可塑性材料であるため、引抜き工具温度をT
mに接近させると、引抜き張力も当然低下するが、急冷
処理を施さない場合、引抜き張力を低下させるに充分な
温度まで引抜き工具温度を上昇させることは非常に困難
である。
しかし、急冷処理を施すことにより、引抜き工具温度を
上昇させることが可能であった。
例えば、高密度ポリエチレンを素材として引抜き延伸を
行った場合、引抜き工具温度を高く設定した方が引抜き
張力を低く保つことができる。
急冷処理を施した場合は、引抜き工具温度(Tr)を11
0℃に設定することが可能であるが、急冷処理を施さな
い場合にはTrを90℃以上に設定することが出来ず、こ
の場合の引抜き速度は急冷処理を施した場合と比べ著し
く低い温度となった。
融点近傍では、素材に急冷処理を施すことにより見かけ
上の延伸は可能であるが、素材の組織中の非晶鎖が配向
されにくくなり(結晶は簡単に配向するが)、延伸によ
る素材の高強度高弾性率化の発現効果が低下する。ま
た、さらに温度を上げると融解に至る。
本発明の延伸方法で用いられる素材は、例えば、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリビニル
アルコール等の一般に結晶性を示す熱可塑性高分子材料
であり、用いる材料の分子量や分子量分布については、
繊維、フィルム、成形品として用いられているものであ
れば特段の限定はない。
素材は引抜き延伸の場合、引抜き工具温度近傍まで予熱
しておくことが必要であり、素材の温度を、素材に10GP
aの荷重をかけて1℃/分で昇温した時の変形開始温度
以上であり、示差走査熱量計(DSC)融解曲線の立上
がり温度を越えない温度に温度調節することが一層好ま
しい。
仮に素材1を予熱せずに延伸を行い引抜き速度を高くす
ると、得られる素材の厚みが大きくばらつき、かつ引抜
き張力が高くなり安定した引抜き延伸が出来なくなる。
引抜き工具2の間隔は、素材の厚み(もしくは外径)未
満であれば良いが、断面率tr/to≦0.5とすることが変
形比を上げるために好ましい(tr:引抜き工具の間隔、
to:素材の厚みもしくは外径)。
引抜き工具2の加熱は、素材1が引抜き工具を通過完了
するまでの間、予熱で付与された素材温度を保つために
必要であり、引抜き工具温度を素材に10GPaの荷重をか
けて1℃/分で昇温した時の変形開始温度以上であり、
示差走査熱量計(DSC)融解曲線の立上がり温度を越
えない温度範囲に温度調節することが一層好ましい。
急冷処理の冷却方式は接触式、非接触式を問わず、冷却
媒体はガス、液体、空気、水、及び電子冷却等のいずれ
であってもよく特段の限定はない。
冷却媒体自身の温度は、引抜き工具の加熱温度以下の温
度であるが、素材1のガラス転移温度(Tg)が室温以
上の場合はTg以下の温度、またTgが室温以下の場合
は室温以下の温度に冷却媒体自身の温度を設定すること
が一層好ましい。
また、本発明に於ける急冷処理とは、引抜き工具の出口
直後(出口から延伸方向長さ2cm〜5cm程度)の領域に
おいて素材の温度が室温以下となる冷却処理であり、冷
却速度が50℃/秒以上であることが好ましく、引抜き
速度が高くなれば冷却速度も当然高く設定しなければな
らない。
本発明は、熱延伸法とも組合わせることができる。熱延
伸法は、第1図の工程(II)に示したように任意の張力
を素材に与えた状態で直接熱延伸域4中を通過させ、そ
の出口直後で素材に急冷処理を施すことにより、熱延伸
域通過後の素材を室温以下まで冷却する方法で、延伸物
本来の強度に戻し、熱延伸の安定化を図ることとなる。
例えば、急激な延伸変形により白化した状態にある素材
(ミクロボイドが発生して白色に見える状態:破断の前
兆)も工程(II)のようにして急冷処理を施すことで破
断せずに耐えることができるが、急冷処理を施さないと
白化後直ちに破断に至る。
また熱延伸域4内では主に分子鎖の高配向化が起こる
が、熱延伸域4出口での素材の組織中では、分子鎖の配
向と同時に残留する熱による組織の再編成(戻り)が起
こっており、急冷処理は組織の再編成(戻り)を極力抑
え、分子鎖の高配向化した状態にある素材組織をそのま
ま固定化させることにも役立っており、急冷処理のよる
引張り弾性率及び引張り強さの上昇が確認された。
第6図は引張り弾性率(E)に及ぼす熱延伸後の急冷処
理の効果を示したもので、同じ延伸比26において、素材
に急冷処理を施した場合の素材のEは4500Kgf/mm2(図
中記号△印)であるのに対して、素材に急冷処理を施さ
なかった場合の素材のEは3600Kgf/mm2(図中○印)で
あり、急冷処理が高配向化した素材組織をそのまま固定
化させることに寄与していることがわかる。
また、高い変形比を得るために必要に応じて、結晶性高
分子材料の素材を予熱した後に、加熱した引抜き工具を
通過せしめて延伸し、その直後に急冷処理を施すことを
特徴とする工程(I)と結晶性高分子材料の素材を熱延
伸する過程に於いて、その延伸直後に急冷処理を素材に
施すことを特徴する工程(II)の工程を連続して行う
か、あるいは前記工程(I)と工程(II)を任意に組み
合わせて多段延伸を行うことにより、高速下で素材を高
倍率に変形させることができる。
工程(I)及び工程(II)の組合わせ及びそれぞれの工
程の繰返しの回数は制限しないが、引抜き速度Vが0.5m
/分以上で高い変形比を得ようとすると、各工程を一回
では一回当たりの素材の変形量が大きくなり、急激な変
形が生じ延伸が不安定となるため、一回当りの変形比を
抑え、工程(I)及び工程(II)の回数を増やして安定
化を図る方が好ましい。
熱延伸域4の熱媒体としては、ガス、液体、空気、水、
及びエネルギー波等が利用可能であり、特に限定はな
い。
熱延伸域4内の圧力も常圧、加圧のいずれであってもよ
く、特に限定はしない。
熱媒体の温度範囲は、素材に10GPaの荷重をかけて1℃
/分で昇温した時の変形開始温度以上であり、示差走査
熱量計(DSC)融解曲線の立上がり温度を越えない温
度範囲に温度調節することが好ましい。
実施例 次ぎに実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
なお、各実施例において引抜き工具として、鋼製のブレ
ードダイ(先端25mmR、幅100mm)、或いはロール(半
径25mm、幅100mm)、を用いた。
延伸材の引張り試験には、インストロン型引張り試験機
((株)島津製作所製オートグラフAG5000A)を使
い、JIS K 7113-1980に従って測定した。
また第1表の各記号の意味するところは次の通りであ
る。
Tf:素材1の予熱温度、℃ Tf':熱延伸域4の雰囲気温度、℃ Tr:引抜き工具2の加熱温度、℃ tr/to:引抜き工具の間隔trと素材の厚みtoの
比率 V:その条件下で得られた最大引抜き速度、m/分 λ:延伸比、変形前の素材断面積を変形後の素材断面積
で除した値 λ:第一段の延伸における延伸比 λ:第二段の延伸における延伸比 E:引張り弾性率、Kgf/mm2 σ:引張り強さ、Kgf/mm2 ここで使用した素材は三種類であり、ペレットを溶融押
圧し後シートに成形したものであり、以下に種類と寸法
を示す。
高密度ポリエチレン(HD-PE) 厚み:2mm、幅:15mm 三井石油化学工業、ハイゼック
ス2200J ポリプロピレン(is−PP) 厚み:1mm、幅:15mm 三井東圧化学、ノーブレンFL−
100 エチレン・ビニルアルコール・ランダムコポリマー
(ET−VA) 厚み:2mm、幅:15mm クラレ エバール 実施例1 高密度ポリエチレンを素材として、tr/to=0.15×0.35
の範囲でブレードダイスに素材を挟み、引抜きながら素
材を急冷処理して引抜き延伸を行った。
この時の条件は、Tf=105℃、及びダイスでの変形抵
抗を低くするためにTf=120℃としTf=110℃に設定
し、ブレードダイス出側における素材への急冷処理は、
圧力2Kg/cm2(圧力ゲージ)の室温空気を素材に吹付
け、冷却速度60℃/秒で行った。
最大引抜き速度Vは、10/min.に達した。
結果を第1表及び第2図、第3図(図中記号△印)に示
した。第2図は延伸比(変形比(λと引抜き速度Vとの
関係を示してり、図中の破断ラインはtr/toを0.15
から0.50の範囲でVを上昇させた場合において素材が破
断したところである(Tf及びTrはそれぞれ実施例、
比較例に準ずる)。
第3図は引張り試験の結果を示したものである。
実施例2 高密度ポリエチレンを用いて、第一段としてtr/to
=0.15でブレードダイスに素材を挟み、Tf=105℃と
して実施例して延伸した素材を、さらに長さ1200mmの延
伸域に張力を加えて通過させ、その直後に素材を急冷処
理して二段延伸を行った。
熱延伸出口における素材への急冷処理は、出口から5cm
迄の素材に圧力2Kg/cm2(圧力ゲージ)の室温空気を
吹付けて行った。
また熱延伸域雰囲気温度Tf'は、80〜90℃で行った。
結果第1表及び第2図、第3図(図中記号■印)に示し
た。
比較例1 高密度ポリエチレンを用いて、tr/to=0.15、Tf
=105℃に条件を設定し(実施例1と同一条件)、ダイ
ス出口直後の素材に急冷処理を施さずに引抜いたが、直
ちに破断した。
また、引抜き速度(V)を0.02m/分と著しく低く保った
が破断して延伸不可能であった。
比較例2 高密度ポリエチレンを用いて、ダイス温度Trのみを90
℃に下げ、tr/to=0.15、Tf=105℃に条件を設
定し(Trを除きその他は実施例1と同一条件)、ダイ
ス出口直後の素材に急冷処理を施さずに引抜いた所、V
≦0.07と著しく低い速度であった。
結果を第1表及び第2図、第3図(図中記号○印)に示
した。
比較例3 比較例2と同一条件でダイスをロールに変更して引抜い
た。
結果を第1表及び第2図、第3図(図中記号○印)に示
した。
以上の実施例1、2及び比較例1、2、3において高密
度ポリエチレンを素材とした場合、ダイス温度Trが素
材の融点に近くなると(約120℃近辺)素材組織中の非
晶鎖が配向されにくくなり(結晶は簡単に配向する)、
延伸による素材の高強度高弾性率化の発現効果が低下す
る。
さらに温度を上げると融解に至る。
ダイス温度Tr<120℃の範囲では、Trはできるだけ
高い方が引抜き張力を低く保つことができる。
しかし、急冷処理のための急冷域を設けていない比較例
1の場合、Tr=110℃では引抜くことはできず、Vを
0.02m/分と著しく低くしたがこの場合でも破断した。
比較例2の場合、ダイス温度Trを90℃に下げたが、引
抜き速度V>0.1m/分で引抜くとことはできず、Vを0.
03〜0.07m/分と著しく低くすることでようやく引抜く
ことができた。
この時最大延伸比λmax.=23のものが得られたが、安定
して引抜けず2m程引抜いた時点で破断した。
安定して連続で引抜くには、λ≦18が適当であった。
(第2図;○印) 比較例3は、ブレードダイスをロールに変えて引抜いた
場合で、比較例2と同様の結果となり、急冷域を有しな
いためにV=0.03〜0.07m/分が限界であった。(第2
図;○印) 実施例1においては、急冷処理のための急冷域を設ける
ことによってTr=110℃に設定することができ、Vを
1〜10.0m/分まで上げることができた。(第2図;△
印) また、実施例2において、引抜き延伸急冷処理と熱延伸
急冷処理を組合わせることにより、第一段の引抜きでλ
=10、第二段の熱延伸でλ=2〜3.6に延伸し、ト
ータルλ=20〜36の高延伸比を得ることができた。(第
2図;■印) 機械的物性は、延伸比λと強い相関を持ち、上記ずれの
方法も大きな差は見られないが、最終到達延伸比の大き
い実施例2においては、λ≒36で引張り弾性率E≒6,00
0Kgf/mm2、引張り強さσ≒65Kgf/mm2に達した。(第2
図、第3図;■印) このように、急冷処理が可能な引抜き工程を用いること
により、従来法に比べて桁違いに高い速度で高延伸比を
達成することができる。
実施例3 ポリプロピレンを素材として、tr/to=0.13でブレ
ードダイスに素材を挟み、引抜きながら素材を急冷処理
して引抜き延伸を行った。
この時の条件は、Tf=115℃、Tr=120℃に設定し、
ブレードダイス出側における素材への急冷処理は、ダイ
ス出口から5cmまでを急冷域とし、圧力2Kg/cm2の室
温空気を素材に吹付けて冷却速度75℃/秒以上で行っ
た。
結果を第1表及び第4図、第5図に示した。(図中記号
●印) 第4図は延伸比λと引抜き速度Vとの関係、第5図は引
張り弾性率Eと引張り強さσとの関係を示したものであ
る。
比較例4 ポリプロピレンを素材として、tr/to=0.13でブレ
ードダイスに素材を挟み、素材への急冷処理を施さずに
引抜き延伸を行った。
この時の条件は、実施例3と同様Tf=115℃、Tr=1
20℃に設定した。
結果を第1表及び最大延伸比(λmax.)ならびに最大引
抜き速度(Vmax.)の素材を第4図、第5図(図中記号
○印)に示した。
比較例5 ブレードダイスをロールに変更して比較例3と同一条件
で引抜いた。
結果を第1表及び最大延伸比(λmax.)ならびに最大引
抜き速度(Vmax.)の素材を第4図、第5図(図中記号
○印)に示した。
これら実施例3、比較例4、5において急冷処理を施さ
ない比較例4、5の場合、λmax.=13を得るには、V=
0.05と著しくなる。
またこの状態でVを高くするとVmax.=1m/分が限界
であり、この場合Vが上昇するに伴ない延伸比λが低下
した。(第4、5図の○、 印) 本発明の方法で急冷域を用いた場合(実施例3、第4、
5図の●印)、Vを2m/分まで上げることができ、λ
=14が得られた。
実施例4 エチレン・ビニルアルコールランダムコポリマーを素材
として、tr/to=0.15としたブレードダイスに素材
を挟み、引抜きながら素材を急冷処理して引抜き延伸を
行った。
この時の条件は、Tf=140℃、Tr=145℃に設定し、
ブレードダイス出側における素材への急冷処理は、ブレ
ードダイス出口から5cmまでを急冷域とし、圧力2Kg/
cm2の室温空気を素材に吹付けて冷却速度は130℃/秒以
上で行った。
結果を第1表、及び第4図、第5図に示した。
比較例6 エチレン・ビニルアルコールランダムコポリマーを素材
として、tr/to=0.15としたブレードダイスに素材
を挟み、素材を急冷処理せずに引抜き延伸を行った。
この時の条件は、実施例4と同様にTf=140℃、Tr
=120℃に設定した。
結果を第1表、及び第4図、第5図に示した。
急冷処理を施さない場合、V=0.25m/分、λmax.=5
(第4、5図の△印)であるが、実施例4において急冷
処理を施した場合、V=1m/分、λmax.=8(第4、5
図の▲印)が得られ、速度、延伸比とも著しく向上し
た。
また、λ=8において、引張り強さσ=28Kgf/mm2が得
られた。
実施例5 高密度ポリエチレンを用いて、第一段としてtr/to
=0.35としたブレードダイスに素材を挟み、Tf=120
℃、Tr=110、V=10m/分の条件で引抜きながら、ダ
イス出口から5cm迄の素材に急冷処理を施し、得られた
延伸素材を第二段としてtr/to=0.15、Tf=125
℃、Tr=118℃、V=5m/分に設定したブレードダイ
スに挟み引抜きながらダイス出口から5cm迄の素材に急
冷処理を施し二段延伸を行った。
第一段及び第二段の素材への急冷処理は、いずれも圧力
2Kg/cm2の室温空気を素材に吹付けて冷却速度60℃/
秒以上で行った。
これにより得られた延伸素材は、第一段でλ=14、第
二段でλ=1.5となり、最終的にλ=21のものであっ
た。
以上の実施例において、得られた高分子配向延伸体は、
透明性を示し、また、かなり高い複屈折率を示す。ま
た、引張り試験においても、降状点を示さず原料素材の
強度より15倍以上も高い値で破断する。
これらの延伸高分子材料は、ロープ、ネットなどのテン
ションメンバーとして、また複合材料の強化材としての
利用分野がある。
発明の効果 従来の引抜き延伸法では、生産性の面において、引抜き
速度が著しく低いという大きな欠点を持っていたが、本
発明における急冷処理を素材に施すことにより、高い変
形比を維持したまま高い引抜き速度下での良生産性の引
抜き延伸が可能となった。
また急冷処理を施した素材は、それを施さない素材と比
較して、同じ変形比において、引張り弾性率(E)、引
張り強さ(σ)に差を生じ、急冷処理を施した素材のE
及びσが、それを施さない素材のE及びσよりも高くな
った。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法の説明図で(1)は引抜き延伸・急冷
処理工程、(2)は熱延伸・急冷処理工程、(3)は工程(1)
と工程(2)の組合わせを示し、第2図及び第4図は引抜
き速度と延伸比の関係を示す図、第3図及び第5図は延
伸比と引張り弾性率及び引張り強さの関係を示す図、第
6図は急冷処理による引張り弾性率及び引張り強さの変
化(高密度ポリエチレン)を示す図である。 1・・・素材、2・・・引抜き工具、3・・・急冷域、
4・・・熱延伸域。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 功 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式會社第1技術研究所内 (72)発明者 戸来 稔雄 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式會社第1技術研究所内 審査官 田中 久直 (56)参考文献 特開 昭63−81023(JP,A) 特開 昭50−12152(JP,A) 特開 昭52−29874(JP,A) 特開 昭59−38239(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性高分子材料のシートまたは棒材を予
    熱した後に、加熱した引抜き工具を通過せしめて延伸
    し、その直後に急冷処理を施すとともに延伸比8以上と
    することを特徴とする結晶性の熱可塑性高分子材料の延
    伸方法。
  2. 【請求項2】結晶性高分子材料のシートまたは棒材を予
    熱した後に、加熱した引抜き工具を通過せしめて延伸
    し、その直後に急冷処理を施す工程(I)と、結晶性高
    分子材料のシートまたは棒材を熱延伸する域を通過さ
    せ、その出口直後で素材に急冷処理を施す工程(II)の
    工程を連続して行うか、あるいは前記工程(I)と工程
    (II)を任意に組み合わせて多段階で行うとともに延伸
    比8以上とすることを特徴とする結晶性高分子材料の延
    伸方法。
JP63034978A 1988-02-19 1988-02-19 結晶性高分子材料の延伸方法 Expired - Lifetime JPH064273B2 (ja)

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