JPH0643626B2 - 油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼 - Google Patents
油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼Info
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- JPH0643626B2 JPH0643626B2 JP60190960A JP19096085A JPH0643626B2 JP H0643626 B2 JPH0643626 B2 JP H0643626B2 JP 60190960 A JP60190960 A JP 60190960A JP 19096085 A JP19096085 A JP 19096085A JP H0643626 B2 JPH0643626 B2 JP H0643626B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 油井(ガス井を含む)管用マルテンサイト系ステンレス
鋼に関してこの明細書には、とくに耐食性、耐応力腐食
性について、油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼の
要請を満たすための開発研究の成果を述べる。
鋼に関してこの明細書には、とくに耐食性、耐応力腐食
性について、油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼の
要請を満たすための開発研究の成果を述べる。
一般に油井用鋼管又は天然ガス井用鋼管としては主とし
て炭素鋼や低合金鋼が広く使用されて来たが、最近では
エネルギー需要の増大に加えて良質な油田、ガス田の枯
掲化傾向に伴い、従来は見捨てられていたような開発条
件の劣悪な、すなわち炭酸ガス(CO2) や硫化水素(H2S)
ガスなどの腐食性ガスを多量に含む油田、ガス田の開発
があえて進められるようになっている。
て炭素鋼や低合金鋼が広く使用されて来たが、最近では
エネルギー需要の増大に加えて良質な油田、ガス田の枯
掲化傾向に伴い、従来は見捨てられていたような開発条
件の劣悪な、すなわち炭酸ガス(CO2) や硫化水素(H2S)
ガスなどの腐食性ガスを多量に含む油田、ガス田の開発
があえて進められるようになっている。
このようなCO2ガスやH2S ガスを含み、さらには塩素イ
オン(Cl-) が共存するような環境下においてはもはやこ
れまでの炭素鋼や低合金鋼では充分な性能を保持するこ
とが困難である。
オン(Cl-) が共存するような環境下においてはもはやこ
れまでの炭素鋼や低合金鋼では充分な性能を保持するこ
とが困難である。
そこで、このような悪条件下における油田、ガス田の開
発のために高合金鋼の使用が検討され、マルテンサイト
系ステンレス鋼、2相ステンレス鋼及びオーステナイト
系ステンレス鋼、さらにはNi基合金などが一部で使用さ
れ始めるようになっている。
発のために高合金鋼の使用が検討され、マルテンサイト
系ステンレス鋼、2相ステンレス鋼及びオーステナイト
系ステンレス鋼、さらにはNi基合金などが一部で使用さ
れ始めるようになっている。
そしてこれらの高合金鋼のうち、12〜13% 程度のCrを含
有する鋼種SUS410や鋼種SUS420のようなマルテンサイト
系ステンレス鋼は、CO2ガスによる腐食に対して優れた
耐食性を示しかつ安価であるため、現状では上記使途で
最も有用な高合金鋼の一つとなっている。
有する鋼種SUS410や鋼種SUS420のようなマルテンサイト
系ステンレス鋼は、CO2ガスによる腐食に対して優れた
耐食性を示しかつ安価であるため、現状では上記使途で
最も有用な高合金鋼の一つとなっている。
(従来の技術) さてマルテンサイト系ステンレス鋼のとくにH2S-Cl-環
境下における耐応力腐食割れ性(以下耐SSCC性と略す)
を改善する方法として、Cu,Ni,Moなどの合金元素を比
較的多量に添加する方法(特開昭58-199850 号公報)
や、鋼中の炭化物を微細かつ均一に分散させる方法(特
開昭58-147545号公報)などがすでに提案されている。
境下における耐応力腐食割れ性(以下耐SSCC性と略す)
を改善する方法として、Cu,Ni,Moなどの合金元素を比
較的多量に添加する方法(特開昭58-199850 号公報)
や、鋼中の炭化物を微細かつ均一に分散させる方法(特
開昭58-147545号公報)などがすでに提案されている。
またSUS420あるいは410 にCa,Ti,Zr,La,等を含有さ
せ、比較的安価なコストで油井管の耐SSCC性の向上をは
かることも試みられている。
せ、比較的安価なコストで油井管の耐SSCC性の向上をは
かることも試みられている。
しかし上記のいずれの方法もC量が0.01% 以上で、継目
なし鋼管としての圧延後に焼入れ焼戻しの熱処理を施す
ことによつて油井管に要求される強度を出すことが必要
なばかりでなくそれらの耐SSCC性改善効果も未だ充分に
満足できる程度には至ってはいないのが実情である。
なし鋼管としての圧延後に焼入れ焼戻しの熱処理を施す
ことによつて油井管に要求される強度を出すことが必要
なばかりでなくそれらの耐SSCC性改善効果も未だ充分に
満足できる程度には至ってはいないのが実情である。
(発明が解決しようとする問題点) 前述のようにマルテンサイト系ステンレス鋼は、CO2に
よる腐食に対して優れた耐食性を示しかつ安価であると
いう長所を有するもののH2S-Cl-共存環境下では、材料
の耐力に比較して著しく低い応力下で破壊する所謂SSCC
を生じることが最大の欠点であり、このため、マルテン
サイト系ステンレス鋼は優れた長所を持ちながら、その
使用環境がCO2ガス単独あるいは低Cl−濃度の環境に制
限されている。
よる腐食に対して優れた耐食性を示しかつ安価であると
いう長所を有するもののH2S-Cl-共存環境下では、材料
の耐力に比較して著しく低い応力下で破壊する所謂SSCC
を生じることが最大の欠点であり、このため、マルテン
サイト系ステンレス鋼は優れた長所を持ちながら、その
使用環境がCO2ガス単独あるいは低Cl−濃度の環境に制
限されている。
以上の事情を背景として圧延後の煩雑な熱処理を要せず
して、しかもCO2-H2S 環境中での耐食性および耐SSCC性
の優れた油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼を提供
することがこの発明の目的である。
して、しかもCO2-H2S 環境中での耐食性および耐SSCC性
の優れた油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼を提供
することがこの発明の目的である。
(問題点を解決するための手段) 上記の目的は、次の各事項を骨子とする構成により、有
利に充足される。
利に充足される。
C:0.001 〜0.05wt%,Si:1.0wt% 以下、Mn:0.3 〜2.
0wt%,Cr:11.0 〜15.0wt%,Ni:3.0 〜6.0wt%,Ca:0.0
005 〜0.005wt%,Al:0.01〜0.1wt%,O :0.0040wt% 以
下、を含み、P :0.01wt% 以下、 S:0.005wt% 以下で
あつて、さらにN :0.01 〜0.20wtとMo:0.05 〜3.0wt%
のうち1種以上を含有して残部は鉄及び不可避不純物か
らなり、完全マルテンサイト組織を呈することを特徴と
する油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼(第1発
明)。
0wt%,Cr:11.0 〜15.0wt%,Ni:3.0 〜6.0wt%,Ca:0.0
005 〜0.005wt%,Al:0.01〜0.1wt%,O :0.0040wt% 以
下、を含み、P :0.01wt% 以下、 S:0.005wt% 以下で
あつて、さらにN :0.01 〜0.20wtとMo:0.05 〜3.0wt%
のうち1種以上を含有して残部は鉄及び不可避不純物か
らなり、完全マルテンサイト組織を呈することを特徴と
する油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼(第1発
明)。
C:0.001 〜0.05wt%,Si:1.0wt%以下、Mn:0.3 〜2.0w
t%,Cr:11.0〜15.0wt%,Ni:3.0 〜6.0wt%,Ca:0.0005
〜0.005wt%,Al:0.01〜0.1wt%,O :0.0040wt% 以下、
を含み、P:0.01wt%以下、S:0.005wt% 以下であつて、
さらにN :0.01 〜0.20wt% とMo:0.05〜3.0wt%のうち
1種以上を、Ti,Zr及びNbそれぞれ0.2wt%以下、並びに
La0.02wt% 以下のうち1種以上とともに含有して残部は
鉄及び不可避不純物からなり、完全マルテンサイト組織
を呈することを特徴とする油井管用マルテンサイト系ス
テンレス鋼。(第2発明)。
t%,Cr:11.0〜15.0wt%,Ni:3.0 〜6.0wt%,Ca:0.0005
〜0.005wt%,Al:0.01〜0.1wt%,O :0.0040wt% 以下、
を含み、P:0.01wt%以下、S:0.005wt% 以下であつて、
さらにN :0.01 〜0.20wt% とMo:0.05〜3.0wt%のうち
1種以上を、Ti,Zr及びNbそれぞれ0.2wt%以下、並びに
La0.02wt% 以下のうち1種以上とともに含有して残部は
鉄及び不可避不純物からなり、完全マルテンサイト組織
を呈することを特徴とする油井管用マルテンサイト系ス
テンレス鋼。(第2発明)。
発明者らはマルテンサイト系ステンレス鋼の耐食性及び
耐SSCC性の向上を目指して鋭意実験・検討を重ねた結果
第1にクロムカーバイドなどの炭化物を低減することお
よび結晶粒界の強度を高めることがもっとも有効である
ことを知見し、このうち前者を達成するためには極低C
化、また後者を実験するには鋼中の不純物元素、なかで
もP,Sの粒界への偏析を抑制することが有効であるこ
とを見出した。
耐SSCC性の向上を目指して鋭意実験・検討を重ねた結果
第1にクロムカーバイドなどの炭化物を低減することお
よび結晶粒界の強度を高めることがもっとも有効である
ことを知見し、このうち前者を達成するためには極低C
化、また後者を実験するには鋼中の不純物元素、なかで
もP,Sの粒界への偏析を抑制することが有効であるこ
とを見出した。
そしてさらに研究を進めた結果、とくにP,Sの粒界偏
析を防止するためには、鋼中のP濃度、S濃度を低減す
るだけではなく、P,S濃度の低減と同時にCa添加によ
るSの固定を図ること、またそれに加えて、Ti,Zr,Nb
ならびにLa添加によるPの固定を行なうことが有効であ
り一方耐食性の飛躍的向上のためには、N,Moの添加が
重要な役割を果たすことも解明された。
析を防止するためには、鋼中のP濃度、S濃度を低減す
るだけではなく、P,S濃度の低減と同時にCa添加によ
るSの固定を図ること、またそれに加えて、Ti,Zr,Nb
ならびにLa添加によるPの固定を行なうことが有効であ
り一方耐食性の飛躍的向上のためには、N,Moの添加が
重要な役割を果たすことも解明された。
翻って極低C化に対し、オーステナイトバランスをとる
ためにはNiを添加して、完全マルテンサイト組織化を図
り、継目なし鋼管としての圧延のままで油井管に必要な
強度が達成され得ることも見出した。
ためにはNiを添加して、完全マルテンサイト組織化を図
り、継目なし鋼管としての圧延のままで油井管に必要な
強度が達成され得ることも見出した。
以上の知見を綜合して、各発明の上掲した構成が、目的
の達成に不可欠な事項なのである。
の達成に不可欠な事項なのである。
つまり上掲各発明を通した第1の特長は下記に示す対策
(A),(B),(C),また第2発明ではさらに(D) を併用し、飛
躍的に耐食性を向上させることにある。
(A),(B),(C),また第2発明ではさらに(D) を併用し、飛
躍的に耐食性を向上させることにある。
(A) Cを0.001 〜0.05% まで低減してクロムカーバイド
等の炭化物の析出を抑制する。
等の炭化物の析出を抑制する。
(B) Sを0.005%以下に低減した上でCaを0.0005〜0.0050
% 添加して、硫化物系介在物の球状化とSの粒界への偏
析を抑制する。
% 添加して、硫化物系介在物の球状化とSの粒界への偏
析を抑制する。
(C) 耐硫化物応力腐食割れ、耐孔食性を飛躍的に向上さ
せるために、N,Moを添加する。
せるために、N,Moを添加する。
(D) Pを0.01% 以下に低減した上でTi 0.01 〜02%,Zr
0.01 〜0.20% ,NbおよびLa 0.001〜0.020%のうち少な
くとも1種以上を添加してPの粒界への偏析を抑制す
る。
0.01 〜0.20% ,NbおよびLa 0.001〜0.020%のうち少な
くとも1種以上を添加してPの粒界への偏析を抑制す
る。
第2の特長としては、Cを0.001%〜0.05% に低減した上
で、Niを3.0%〜6.0%,Moを0.05〜3.0%およびNを0.01〜
0.2%添加することによつて通常の焼入れ焼戻し熱処理す
ることなしに、圧延のままでもマルテンサイト系ステン
レス鋼油井管の製造が可能になることを見出したところ
にある。
で、Niを3.0%〜6.0%,Moを0.05〜3.0%およびNを0.01〜
0.2%添加することによつて通常の焼入れ焼戻し熱処理す
ることなしに、圧延のままでもマルテンサイト系ステン
レス鋼油井管の製造が可能になることを見出したところ
にある。
(作 用) ここに油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼の成分組
織範囲の限定理由について説明する。
織範囲の限定理由について説明する。
C:Cは鋼の強度を向上させる元素として最も安価な元
素であり、油井用マルテンサイト系ステンレス鋼として
必要な強度を確保するために0.001%以上の添加を必要と
するが、0.05% を越えると、強度調整のために焼入れ焼
戻し熱処理が必要となり不都合なのでCの含有範囲を0.
001 〜0.05% に限定した。
素であり、油井用マルテンサイト系ステンレス鋼として
必要な強度を確保するために0.001%以上の添加を必要と
するが、0.05% を越えると、強度調整のために焼入れ焼
戻し熱処理が必要となり不都合なのでCの含有範囲を0.
001 〜0.05% に限定した。
Si:Siは通常脱酸作用があり、製鋼過程では必要な元素
であるが、1.0%をこえればマルテンサイト系ステンレス
鋼の靱性を劣化させ、またSiは少ないほど耐SSCC性が向
上するから、1.0%以下に限定した。
であるが、1.0%をこえればマルテンサイト系ステンレス
鋼の靱性を劣化させ、またSiは少ないほど耐SSCC性が向
上するから、1.0%以下に限定した。
Mn:Mnは強度を確保するために必要な元素であり、油井
管用マルテンサイト系ステンレス鋼として必要な強度を
確保するために少なくとも0.3%以上必要であるが、2.0%
を越える添加は靱性に悪影響を与えるから0.3 〜2.0%の
範囲に限定した。
管用マルテンサイト系ステンレス鋼として必要な強度を
確保するために少なくとも0.3%以上必要であるが、2.0%
を越える添加は靱性に悪影響を与えるから0.3 〜2.0%の
範囲に限定した。
Cr:Crはステンレス鋼の耐食性を保持するために主要な
合金元素であり、耐食性の観点から11% 以上の添加が必
要であるが、15% を越えれば完全マルテンサイト組織と
なり難くなるので、11.0〜15.0% の範囲に限定した。
合金元素であり、耐食性の観点から11% 以上の添加が必
要であるが、15% を越えれば完全マルテンサイト組織と
なり難くなるので、11.0〜15.0% の範囲に限定した。
Ni:Niは耐食性の向上、靱性の向上に効果があるが、3
%以下ではC 0.001〜0.05% のときδフエライトが混在
し完全マルテンサイト組織とはならず、また靱性をそこ
なうので下限を3.0%とした。また6.0%越える添加はマル
テンサイト組織の安定性を損ない、また製造上経済的で
なくなるので3.0 〜6.0%の範囲に限定した。
%以下ではC 0.001〜0.05% のときδフエライトが混在
し完全マルテンサイト組織とはならず、また靱性をそこ
なうので下限を3.0%とした。また6.0%越える添加はマル
テンサイト組織の安定性を損ない、また製造上経済的で
なくなるので3.0 〜6.0%の範囲に限定した。
Ca:Caは非金属介在物の分散化、球状化に効果があり、
また鋼中Sを固定してSの粒界偏析を抑制し、耐食性、
耐SSCC性を向上させるに有効な元素であるが、0.0005%
未満ではその効果が充分でなく、一方0.0050% を越えれ
ば、かえってCa系介在物が増加して耐食性を劣化させる
から、0.0005〜0.0050% の範囲内に限定した。
また鋼中Sを固定してSの粒界偏析を抑制し、耐食性、
耐SSCC性を向上させるに有効な元素であるが、0.0005%
未満ではその効果が充分でなく、一方0.0050% を越えれ
ば、かえってCa系介在物が増加して耐食性を劣化させる
から、0.0005〜0.0050% の範囲内に限定した。
Al:Alは強力な脱酸作用を有し、またCaの添加歩留
りを向上させる元素であるが、0.01% 未満ではその効果
が充分でなく、一方0.10% を越える添加は靱性に悪影響
を与えるから、0.01〜0.10%の範囲に限定した。
りを向上させる元素であるが、0.01% 未満ではその効果
が充分でなく、一方0.10% を越える添加は靱性に悪影響
を与えるから、0.01〜0.10%の範囲に限定した。
O:Oは鋼の靱性、耐食性に悪影響を与える元素であ
り、その含有量が可及的に少ないことが望ましいが、製
造コストの上昇を避けるためCa添加の効果を損なわない
上限である0.0040% 以下に限定した。
り、その含有量が可及的に少ないことが望ましいが、製
造コストの上昇を避けるためCa添加の効果を損なわない
上限である0.0040% 以下に限定した。
P:Pは耐食性、耐SSCC性を劣化させる元素であり、可
及的にその含有量が少ないことが望ましいが、極端な低
P化はコスト上昇を招く。ここに工業的に安価に実施可
能となるよう、第2発明に従いTi,Zr,Nb,Laの添加に
よつてPの悪影響の除去を図ることは有用であるにせよ
P量の上限は0.01% に限定する必要がある。
及的にその含有量が少ないことが望ましいが、極端な低
P化はコスト上昇を招く。ここに工業的に安価に実施可
能となるよう、第2発明に従いTi,Zr,Nb,Laの添加に
よつてPの悪影響の除去を図ることは有用であるにせよ
P量の上限は0.01% に限定する必要がある。
S:SもPとともに耐食性、耐SSCC性を劣化させる元素
であり、可及的にその含有量が少ないことが望ましい
が、極端に低S化を図ることはやはりコスト上昇を招
く。ここに工業的に安価に実施可能となるようCaの添加
によってもなおSの悪影響があらわれる上限である0.00
5%以下に限定した。
であり、可及的にその含有量が少ないことが望ましい
が、極端に低S化を図ることはやはりコスト上昇を招
く。ここに工業的に安価に実施可能となるようCaの添加
によってもなおSの悪影響があらわれる上限である0.00
5%以下に限定した。
N:Nは耐食性、耐SSCC性に著しく効果を示す元素であ
るが0.01% 以下ではそれらの効果は充分でなく、また0.
2%以上では非金属介在物等を形成し、靱性を著しく劣化
させる。したがってNの添加範囲を0.01〜0.2%とした。
るが0.01% 以下ではそれらの効果は充分でなく、また0.
2%以上では非金属介在物等を形成し、靱性を著しく劣化
させる。したがってNの添加範囲を0.01〜0.2%とした。
Mo:Moは耐食性、耐SSCC性の向上に効果があり、また強
度、靱性の向上にも有効であるが0.05%未満ではそれら
の効果が充分でなく、一方3.0%を越える添加は経済的で
ないから、0.05〜3.0%の範囲に限定した。
度、靱性の向上にも有効であるが0.05%未満ではそれら
の効果が充分でなく、一方3.0%を越える添加は経済的で
ないから、0.05〜3.0%の範囲に限定した。
Ti,Zr,Nb,La:Tiは硫化物としてSを固定する作用が
あり、一方ではpの粒界偏析を抑制し、耐食性、耐SSCC
性を向上させるのに有効な元素であるが、0.2%を越える
添加はTi系大型介在物の生成により靱性を劣化させるか
らTiの添加量は0.2%以下の範囲内とした。なおTiは0.01
% で有効である。
あり、一方ではpの粒界偏析を抑制し、耐食性、耐SSCC
性を向上させるのに有効な元素であるが、0.2%を越える
添加はTi系大型介在物の生成により靱性を劣化させるか
らTiの添加量は0.2%以下の範囲内とした。なおTiは0.01
% で有効である。
また、Nb,Zr,Laは何れもTiと同様な効果があり、Tiの
場合と同様な理由により、Nb,Zr,はそれぞれ0.20% 以
下、Laは0.02% の範囲に限定した。なおTi,Nbは0.01%
以上、Laは0.001%以上で有効である。
場合と同様な理由により、Nb,Zr,はそれぞれ0.20% 以
下、Laは0.02% の範囲に限定した。なおTi,Nbは0.01%
以上、Laは0.001%以上で有効である。
なお、Ti,Nb,Zr,Laはいずれか1種を単独で添加して
も、また2種以上を同時に複合添加しても同等の作用効
果をもたらす。
も、また2種以上を同時に複合添加しても同等の作用効
果をもたらす。
以上のような成分を有する鋼に対してSUS420,410 等の
通常のマルテンサイト系ステンレス鋼に適用される熱処
理、すなわち900 ℃程度以上の温度から空冷または氷冷
し、しかる後に400 〜800 ℃程度の範囲内の温度で焼も
どす、所謂焼入れ−焼戻し処理を施し得るが、上述の成
分中にNiを3.0 〜6.0%,Moを0.1 〜3.0%およびNを0.01
〜0.2%の範囲で含有していることから圧延のままでも完
全マルテンサイト組織を形成して、耐食性が飛躍的に増
大するので、ステンレス油井管としてとくに有用であ
る。
通常のマルテンサイト系ステンレス鋼に適用される熱処
理、すなわち900 ℃程度以上の温度から空冷または氷冷
し、しかる後に400 〜800 ℃程度の範囲内の温度で焼も
どす、所謂焼入れ−焼戻し処理を施し得るが、上述の成
分中にNiを3.0 〜6.0%,Moを0.1 〜3.0%およびNを0.01
〜0.2%の範囲で含有していることから圧延のままでも完
全マルテンサイト組織を形成して、耐食性が飛躍的に増
大するので、ステンレス油井管としてとくに有用であ
る。
(実施例) 上掲した油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼の耐食
性、耐SSCC性の向上効果を明らかにするため、表1に示
す各成分系について以下の実験を行った。
性、耐SSCC性の向上効果を明らかにするため、表1に示
す各成分系について以下の実験を行った。
すなわち、表1のNo.1〜No.26 に示す各成分組成におい
て何れも50kg鋼塊を溶製し、通常の熱間圧延により板厚
6mmまで圧延した後No.1〜No.13は焼入れ焼戻し熱処理
を行い、Y.S 60〜73kg/mm2に調整し、No.14 〜No.26 は
圧延のままで各鋼材の機械的性質を調べるとともに、耐
食性および耐SSCC性の調査を行い表2の成績を得た。
て何れも50kg鋼塊を溶製し、通常の熱間圧延により板厚
6mmまで圧延した後No.1〜No.13は焼入れ焼戻し熱処理
を行い、Y.S 60〜73kg/mm2に調整し、No.14 〜No.26 は
圧延のままで各鋼材の機械的性質を調べるとともに、耐
食性および耐SSCC性の調査を行い表2の成績を得た。
各鋼材の耐SSCC性と耐食性は、オートクレーブを使用し
て高温高圧水環境で次のように行つた。すなわち腐食試
験片として第1図に示す形状・寸法(25mm幅、50mm長
さ、4mm厚み)のものを用い、腐食試験をオートクレー
ブ中にてCO2ガス20気圧、H2S ガス0.1 気圧、150℃の
3%NaCl水溶液中で500時間浸漬の条件で行った。
て高温高圧水環境で次のように行つた。すなわち腐食試
験片として第1図に示す形状・寸法(25mm幅、50mm長
さ、4mm厚み)のものを用い、腐食試験をオートクレー
ブ中にてCO2ガス20気圧、H2S ガス0.1 気圧、150℃の
3%NaCl水溶液中で500時間浸漬の条件で行った。
また耐SSCC性試験は、第2図(a) に示す長さ76.2mm、幅
4.7 mm、厚み1.6 mmの三点曲げ試験片を第2図(b) に示
す三点曲げ試験治具に装着し、治具本体1にねじこんだ
応力付加用ねじ2により支持用ガラス棒3を介して3点
曲げ応力を付加して、腐食試験と同じ環境で応力腐食割
れ試験を行った。
4.7 mm、厚み1.6 mmの三点曲げ試験片を第2図(b) に示
す三点曲げ試験治具に装着し、治具本体1にねじこんだ
応力付加用ねじ2により支持用ガラス棒3を介して3点
曲げ応力を付加して、腐食試験と同じ環境で応力腐食割
れ試験を行った。
なお、3点曲げ試験の付加応力は第2図(c) に従い次に
示す応力付加式に従って、付加応力σが各材料の0.2%耐
力の1.2 〜0.2 倍となるよう、たわみ量yを調整するこ
とによつて行った。
示す応力付加式に従って、付加応力σが各材料の0.2%耐
力の1.2 〜0.2 倍となるよう、たわみ量yを調整するこ
とによつて行った。
σ=6Ety/l2 なお、ここでEはヤング率(2.1×104kg/mm2)tは試験片
の厚み(1.6mm) である。
の厚み(1.6mm) である。
上述のような腐食試験及び耐SSCC性試験を各鋼種No.1〜
No.26 についてそれぞれ3本づつ行った結果が、表2で
ある。ここで、耐SSCC性試験結果は、いずれも目視観察
により判定し、×印は割れ発生有りを示し、○印は割れ
発生無しを示す。
No.26 についてそれぞれ3本づつ行った結果が、表2で
ある。ここで、耐SSCC性試験結果は、いずれも目視観察
により判定し、×印は割れ発生有りを示し、○印は割れ
発生無しを示す。
また、腐食試験結果の平均腐食速度は、3本の試験片の
腐食減量から換算した平均値を示し、最大腐食速度は、
3本の試験片のなかから孔食部の最大値を試験期間で徐
した値である。
腐食減量から換算した平均値を示し、最大腐食速度は、
3本の試験片のなかから孔食部の最大値を試験期間で徐
した値である。
供試材のうちNo.1〜No.5は従来のSUS420またはSUS410タ
イプのマルテンサイト系ステンレス鋼であるが、対SSCC
性試験では割れ感受性が高く、平均腐食速度、最大腐食
速度も大きい。
イプのマルテンサイト系ステンレス鋼であるが、対SSCC
性試験では割れ感受性が高く、平均腐食速度、最大腐食
速度も大きい。
また、No.6〜No.13 は比較鋼であるが、それらのうち高
C側のNo.6〜9 では腐食速度、最大腐食速度、応力腐食
割れ感受性が高く、低P,低S化やCa添加また、Ni,M
o,N の添加効果も充分でないのに反し、低C寄りのNo.
10 〜13では上記元素の添加による耐食性向上効果があ
らわれているが依然十分でない。
C側のNo.6〜9 では腐食速度、最大腐食速度、応力腐食
割れ感受性が高く、低P,低S化やCa添加また、Ni,M
o,N の添加効果も充分でないのに反し、低C寄りのNo.
10 〜13では上記元素の添加による耐食性向上効果があ
らわれているが依然十分でない。
この発明に従うNo.14 〜No.26 にあつては低C(0.05%以
下) 、低S(0.005%以下)、低P(0.01%以下) でCa,N,
を含み、さらにTi,Zr,Nb,Laを1種以上含んだ鋼種は
著しく応力腐食割れ感受性を低減させ、とくに従来マル
テンサイト系ステンレス鋼では到達しなかったH2S 分圧
0.1atmまで割れず、また耐食性、耐孔食性も従来鋼より
十数倍減少する。従ってこの本発明の鋼はライトサワー
環境まで使用できる。
下) 、低S(0.005%以下)、低P(0.01%以下) でCa,N,
を含み、さらにTi,Zr,Nb,Laを1種以上含んだ鋼種は
著しく応力腐食割れ感受性を低減させ、とくに従来マル
テンサイト系ステンレス鋼では到達しなかったH2S 分圧
0.1atmまで割れず、また耐食性、耐孔食性も従来鋼より
十数倍減少する。従ってこの本発明の鋼はライトサワー
環境まで使用できる。
第1図は腐食試験片のサイズを示す寸法図、 第2図(a)(b)(c) は3点曲げ試験要領の説明図である。
Claims (2)
- 【請求項1】C :0.001〜0.05wt%, Si:1.0wt% 以下、 Mn:0.3〜2.0wt%, Cr:11.0 〜15.0wt%, Ni:3.0〜6.0wt%, Ca:0.0005 〜0.005wt%, Al:0.01 〜0.1wt%, O :0.0040wt%以下、 を含み、 P :0.01wt% 以下、 S :0.005wt%以下であって、さらに N :0.01〜0.20wt% と Mo:0.05〜3.0wt% のうち1種類以上を含有して残部は鉄及び不可避不純物
からなり、完全マルテンサイト組織を呈することを特徴
とする油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼。 - 【請求項2】C :0.001〜0.05wt%, Si:1.0wt% 以下、 Mn:0.3〜2.0wt%, Cr:11.0 〜15.0wt%, Ni:3.0〜6.0wt%, Ca:0.0005 〜0.005wt%, Al:0.01 〜0.1wt%, O :0.0040wt%以下、 を含み、 P :0.01wt% 以下、 S :0.005wt%以下であって、さらに N :0.01〜0.20wt% と Mo:0.05〜3.0wt%のうち1種類以上を、Ti,Zr 及びNbそ
れぞれ0.2 wt% 以下、並びにLa 0.02 wt% 以下のうち1
種以上とともに含有して残部は鉄及び不可避不純物から
なり、完全マルテンサイト組織を呈することを特徴とす
る油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP60190960A JPH0643626B2 (ja) | 1985-08-31 | 1985-08-31 | 油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP60190960A JPH0643626B2 (ja) | 1985-08-31 | 1985-08-31 | 油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6254063A JPS6254063A (ja) | 1987-03-09 |
| JPH0643626B2 true JPH0643626B2 (ja) | 1994-06-08 |
Family
ID=16266536
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP60190960A Expired - Fee Related JPH0643626B2 (ja) | 1985-08-31 | 1985-08-31 | 油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0643626B2 (ja) |
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| JPH02236257A (ja) * | 1989-03-08 | 1990-09-19 | Nippon Steel Corp | 高強度かつ耐食性、耐応力腐食割れ性の優れたマルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法 |
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| US5496421A (en) * | 1993-10-22 | 1996-03-05 | Nkk Corporation | High-strength martensitic stainless steel and method for making the same |
| JP5088323B2 (ja) * | 2006-08-31 | 2012-12-05 | 住友金属工業株式会社 | 溶接構造物用マルテンサイト系ステンレス鋼 |
| JP5167628B2 (ja) * | 2006-11-17 | 2013-03-21 | 新日鐵住金株式会社 | 凝固組織が微細な鋼鋳片 |
| US9677160B2 (en) | 2011-03-03 | 2017-06-13 | Nkk Tubes | Low C-high Cr 862 MPa-class steel tube having excellent corrosion resistance and a manufacturing method thereof |
| CN107761011A (zh) * | 2017-11-06 | 2018-03-06 | 长春工业大学 | 一种高氮马氏体不锈钢及其热处理方法 |
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|---|---|---|---|---|
| JPS5848024B2 (ja) * | 1979-03-26 | 1983-10-26 | 住友金属工業株式会社 | 耐食性のすぐれた油井管用鋼 |
| JPS58147545A (ja) * | 1982-02-27 | 1983-09-02 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | 硫化水素による応力腐食割れ抵抗性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼及びその製造方法 |
| JPS59208055A (ja) * | 1983-05-13 | 1984-11-26 | Kawasaki Steel Corp | 継目無鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼 |
-
1985
- 1985-08-31 JP JP60190960A patent/JPH0643626B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6254063A (ja) | 1987-03-09 |
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