JPH064770B2 - ジチオラト錯体−シクロデキストリン包接化合物の製造方法 - Google Patents

ジチオラト錯体−シクロデキストリン包接化合物の製造方法

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JPH064770B2
JPH064770B2 JP15913184A JP15913184A JPH064770B2 JP H064770 B2 JPH064770 B2 JP H064770B2 JP 15913184 A JP15913184 A JP 15913184A JP 15913184 A JP15913184 A JP 15913184A JP H064770 B2 JPH064770 B2 JP H064770B2
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【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明はネオジムレーザよりジヤイアントパルスを発
振させる場合に用いる色素Qスイツチに使用するジチオ
ラト錯体−シクロデキストリン包接化合物の製造方法に
関するものである。
〔従来技術〕
固体レーザは光の指向性の良さ、単色性、単位面積当り
のエネルギー密度の大きさなどの利点を持つため、最近
レーザ測遠器、レーザレーダ、色素レーザ励起光源、分
光学用光源、レーザ加工機等にその使用範囲を拡大して
いる。固体レーザはキセノンフラツシユランプ励起によ
る通常発振においては、その出力は数本〜数百本のスパ
イクよりなる不規則な波形をしている。レーザ測遠器、
レーザレーダなどに用いるレーザ発振器は、一本の立ち
上がりの速い、巾の狭い大きなピーク出力を生ずる必要
がある。この目的で考えられたのがジヤイアントパルス
発振方式で、この方法を利用することによつて、レーザ
発振の開始を必要な時間まで抑えて励起レベルに電子を
多数押し上げた状態で発振させ、立ち上がりの狭い速い
巾の大きなピーク出力のレーザ出力を生ぜしめることが
できる。このピーク出力を大きくしたパルスをジヤイア
ントパルスという。このジヤイアントパルス方式にはレ
ーザ発振を制御するQスイツチが用いられる。Qスイツ
チには能動的Qスイツチと受動的Qスイツチとがあり、
前者には回転プリズム、ケルセルポツケルセルがあり、
後者にはこの発明による色素Qスイツチの他吸収薄膜が
ある。
固体レーザのうちネオジムレーザは1.06μmと近赤外領
域に発振波長を持ちルビーレーザと共に現在実用化され
ている固体レーザの中で重要な位置を占めている。
このネオジムレーザの色素Qスイツチに用いられている
ジチオラト錯体系色素は極微量のラジカル発生剤(例え
ば過酸化物、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン等)
の存在下においても光退色もしくは暗退色する。溶剤か
らラジカル発生剤を完全に除去することは困難で、レー
ザに装着する時にもれてくるフラツシユランプの光によ
り空気中で光退色し、有効なパルス発振回数はおよそ2,
000回くらいである。また暗条件下でも、加速劣化試験
よりの推定では品質保証温度である60℃において約2,
3年の寿命と推定された。更にプラスチツク中にジチオ
ラト錯体系色素を分散したプラスチツクQスイツチにお
いてはポリマー中の過酸化物(重合開始剤として用いら
れている)を除去することは困難で、このようなプラス
チツクQスイツチ(ポリメタクリル酸ブチルを分散媒と
したもの)の推定寿命は室温で0.14年である。さらにポ
リビニルアルコールを分散媒としたものでは、プラスチ
ツクQスイツチ作製途中でジチオラト錯体は完全に分解
してしまう。
また、ジチオラト錯体は赤外線カツタフイルターや農業
用フイルムなどに使用する赤外線吸収剤としても使われ
ている。これらの使用の際にも耐光性が問題となり、紫
外線吸収剤などの添加を行なつていた。しかし、この方
法も退色の原因は高分子中に含まれる過酸化物によるも
のであるから、暗退色には有効でなかつた。さらに、紫
外線吸収剤,酸化防止剤の中にはジチオラト錯体を還元
して、退色させてしまう性質をもつものもある。
〔発明の概要〕
以上のような欠点を克服するために、本発明者らはジチ
オラト錯体系色素とシクロデキストリンとの包接化合物
を使用することを知見し、本発明を完成するに至つた。
すなわちこの発明は、ジチオラト錯体とシクロデキスト
リンとを、少なくともジチオラト錯体を溶液状態でシク
ロデキストリンと接触させることによってジチオラト錯
体−シクロデキストリン包接化合物とすることを特徴と
するジチオラト錯体−シクロデキストリン包接化合物の
製造方法である。
この発明において、少なくともジチオラト錯体を溶液状
態でシクロデキストリンと接触させる実施態様として
は、任意の接触方法が行える。例えばシクロデキストリ
ンを固相としてカラムに詰め、ジチオラト錯体のみを溶
かす溶液にジチオラト錯体を溶かして該カラムに流し、
その後シクロデキストリンをカラムから取り出して溶媒
を除去することにより有利に接触が行える。また、ジチ
オラト錯体及びシクロデキストリンの両者をそれぞれの
一方のみを溶かす溶媒に溶かし、得られたジチオラト錯
体溶液とシクロデキストリン溶液とを混合し、撹拌しな
がらジチオラト錯体のみを溶かす溶媒を除去することに
より行つてもよい。さらに、ジチオラト錯体を溶かし、
シクロデキストリンを溶かさない溶媒にジチオラト錯体
を溶かし、その中にシクロデキストリンを固体状態で分
散させ、攪拌する。その後、ろ過によりシクロデキスト
リンを分離し、包接化合物を得てもよい。
この発明の一実施例に用いられるジチオラト錯体として
は、ビス〔4−(ジメチルアミノ)ジチオペンジル〕ニ
ツケル(0)(以下BDNと略す)の他、ビス−(ジチオ
アセチル)−白金,ビス−(ジチオジアセチル)−ニツ
ケル,ビス(4,4′−ジメトキシジチオベンジル)−
白金,ビス−(ジチオベンチル)−白金、および以下に
あげる構造式のものが含まれる: この発明の一実施例に用いられるシクロデキストリンと
しては、α−,β−,γ−シクロデキストリンがあげら
れる。また、α−シクロデキストリンの−OHを−OCH3
変えたもの(トリス−OCH3−α−シクロデキストリン)
も使用できる。なお、ジチオラト錯体、シクロデキスト
リンとも各溶媒には飽和まで溶かすことが望ましいが、
包接していないシクロデキストリンに対する包接化合物
の割合を増すためにはこの限りではない。
この発明におけるジチオラト錯体のみを溶かす溶媒とし
ては、ジクロロエタン、クロロホルム、二硫化炭素など
があげられる。
この発明におけるシクロデキストリンのみを溶かす溶媒
としては、水、グリセリンなどがあげられる。
この発明によるジチオラト錯体−シクロデキストリン包
接化合物の構造については未だ明らかではないが、いず
れにせよシクロデキストリンの疎水性孔の中にジチオラ
ト錯体の一部が包接され、油溶性であるBDNが水溶性
になつているのである。このものはジチオラト錯体の一
部が、シクロデキストリンにより保護されることによ
り、ラジカルの攻撃に耐性をもつものと考えられる。
次に、第1図曲線aにBDNのトルエン溶液に150mW
/cm3の光強度の超高圧水銀灯光を照射した時の光退色
速度を示す。反応速度定数k=0.103分-1であつた。ま
た、第1図曲線bにBDNとβ−シクロデキストリンの
包接化合物の水溶液に150mW/cm3の光強度の超高圧水
銀灯光を照射した時の光退色速度を示す。k=6.7×10
-3-1であつた。このように、包接化合物の方が15倍
も安定であつた。またBDNのジメチルスルフオキシド
溶液を70℃に暖めておき、過硫酸アンモニウムを加え
ると1分間で完全に退色するにもかかわらず、BDNと
β−シクロデキストリンの包接化合物の水溶液に過硫酸
アンモニウムを加えて30分間加熱しても、1100nmの
吸収はわずか10%程度減少するだけであつた。
〔発明の実施例〕 以下実施例及び参考例に基づき本発明を説明する。
実施例1 10重量部のγ−シクロデキストリンを1cmφ×10cm
のカラムに詰め、0.2重量部のビス−(4,4′−ジメ
トキシジチオベンジル)−白金を100重量部のジクロ
ロエタンに溶かしたものを流す。減圧で液を完全に流出
させた後、γ−シクロロデキストリンを取り出し、真空
ポンプで一昼夜乾燥させる。このものを1000重量部
の水に溶かし、10℃、5000×Gで10分間遠心し
て上ずみを取つた。このものは1100nmの吸光度が0.21
であつた。これに150mW/cm3の光を30分間照射した
後の吸光度は0.17であつた。又、この溶液40重量部と
10%ポリビニルアルコール溶液5重量部を混合し、7
0mmφのアルミシヤーレに入れ、90℃で乾燥すると0.
12mmの固体色素Qスイツチ膜ができる。これに加速劣化
試験を行なうと保存寿命が室温で3.7年であると推定さ
れた。
実施例2 10重量部のβ−シクロデキストリンを1cmφ×10cm
のカラムに詰め、0.1重量部のBDNを100重量部の
クロロホルムに溶かしたものを流す。減圧で液を完全に
流出させた後、β−シクロデキストリンを取り出し、真
空ポンプで一昼夜乾燥させる。このものを1000重量
部の水に溶かし、10℃、5000×Gで10分間遠心
して上ずみを取つた。このものは1100nmの吸光度が0.
37であつた。
このものを1cmの石英セル中に入れ、第2図の構成のネ
オジムレーザ発振装置(図において、1は反射ミラー、
2はフラツシユランプ、3はネオジム-YAG結晶、4はQ
スイツチ、5は半反射ミラー)に装着したところ、1万
回の発振の後でも充分な発振があつた。
実施例3 1重量部のα−シクロデキストリンを100重量部の水
に溶かす。0.01重量部のビス−(ジチオジアセチル)−
白金を50重量部のジクロロエタンに溶かす。両者をビ
ーカ中でマグネチツクスターラにより激しく撹拌しつ
つ、減圧することによつてジクロロエタンを蒸発させ
る。黒色の沈殿ができるからこれを濾過して集める。集
めた沈殿を真空ポンプで一昼夜乾燥させる。このものを
100重量部の水に溶かし、10℃、5000×Gで1
0分間遠心して上ずみをとつた。このものは1100nmの
吸光度が0.12であつた。これれに150mW/cm3の光を3
0分間照射した後の吸光度は0.1であつた。
この溶液40重量部と10%ポリビニルアルコール溶液
5重量部を混合して70mmφのアルミシヤーレに入れ、
90℃で乾燥すると0.12mmの固体色素Qスイツチ膜がで
きる。これを第2図の構成のネオジムレーザに装着した
ところ、充分な発振があつた。この固体Qスイツチの加
速劣化試験によると保存寿命が室温で3.7年であると推
定された。
実施例4 1重量部のβ−シクロデキストリンを100重量部の水
に溶かす。0.01重量部のBDNを100重量部のクロロ
ホルムに溶かす。両者をビーカ中でマグネツクスターラ
により激しく撹拌しつつ、減圧することによつてクロロ
ホルムを蒸発させる。黒色の沈殿ができるからこれを濾
過して集める。集めた沈殿を真空ポンプで一昼夜乾燥さ
せる。このものを100重量部の水に溶かし、10℃,
5000×Gで10分間遠心して上ずみをとつた。この
ものは1100nmの吸光度が0.36であつた。これを第2図
の構成のネオジムレーザに装着したところ、1万回の発
振の後でも充分な発振があつた。
参考例1 0.0006重量部のBDNを100重量部のトルエンに溶か
す。このものの1060nmにおける吸光度は0.31であつ
た。これを第2図のネオジムレーザに装着し、発振させ
ると2000回の発振でパルス出力が50%に低下し
た。又、ものものに150mW/cm3の光を30分間照射す
ると、吸光度は0.05になつた。
参考例2 0.005重量部のBDNと10重量部のポリメタクリル酸
n−ブチルを100重量部のトルエンに溶かし、これを
2mm厚のポリメタクリル酸メチルの板に最終厚さ100
μmになるようにダクターブレードで塗布し、乾燥す
る。このものの1060nmの透過率は40%であつた。こ
れを加速劣化試験したところ室温で約0.14年の保存寿命
であつた。
〔発明の効果〕
この発明によれば、ジチオラト錯体−シクロデキストリ
ン包接化合物をポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂
と共に水に溶かし、乾燥することによつて光退色の少な
い固体色素Qスイツチを得ることができる。
また、ジチオラト錯体−シクロデキストリン包接化合物
を光電変換に用いることもできる。さらに、赤外線カツ
トフイルターとしてカメラ用光度計に使用することがで
き、また、農業用シートとしても好ましい結果を与え
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明によるBDN−β−シクロデキストリ
ン包接化合物及びBDNの光退色特性図、第2図はネオ
ジムレーザ発振装置の概略構成図である。 図中、1・・反射ミラー、2・・フラツシユランプ、3
・・ネオジム−YAG結晶、4・・Qスイツチ、5・・
半反射ミラー。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジチオラト錯体とシクロデキストリンと
    を、少なくともジチオラト錯体を溶液状態でシクロデキ
    ストリンと接触させることによつてジチオラト錯体−シ
    クロデキストリン包接化合物とすることを特徴とするジ
    チオラト錯体−シクロデキストリン包接化合物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】接触が、シクロデキストリンをカラムに詰
    め、ジチオラト錯体のみを溶かす溶媒にジチオラト錯体
    を溶かして該カラムに流し、その後シクロデキストリン
    をカラムから取り出して溶媒を除去することにより行う
    特許請求の範囲第1項記載のジチオラト錯体−シクロデ
    キストリン包接化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】接触が、ジチオラト錯体、シクロデキスト
    リンの一方のみを溶かす溶媒にそれぞれ溶かし、得られ
    たジチオラト錯体溶液とシクロデキストリン溶液とを混
    合し、撹拌しながらジチオラト錯体のみを溶かす溶媒を
    除去することにより行う特許請求の範囲第1項記載のジ
    チオラト錯体−シクロデキストリン包接化合物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】ジチオラト錯体がビス〔4−(ジメチルア
    ミノ)ジチオベンジル〕ニツケル(0)である特許請求の
    範囲第1項,第2項,又は第3項のいずれかに記載のジ
    チオラト錯体−シクロデキストリン包接化合物の製造方
    法。
  5. 【請求項5】ジチオラト錯体のみを溶かす溶媒がジクロ
    ロエタンであり、シクロデキストリンのみを溶かす溶媒
    が水である特許請求の範囲第1項又は第3項のいずれか
    に記載のジチオラト錯体−シクロデキストリン包接化合
    物の製造方法。
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