JPH0670304B2 - 徐放性繊維材及びその製造方法 - Google Patents

徐放性繊維材及びその製造方法

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JPH0670304B2 JP63222063A JP22206388A JPH0670304B2 JP H0670304 B2 JPH0670304 B2 JP H0670304B2 JP 63222063 A JP63222063 A JP 63222063A JP 22206388 A JP22206388 A JP 22206388A JP H0670304 B2 JPH0670304 B2 JP H0670304B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,例えば,持続性のある芳香性が得られる各種
繊維,紡糸又は各種紙材等の徐放性繊維材及びその製造
方法に関する。
(従来の技術) 近年,香料(芳香性物質)を各種繊維,紡糸又は各種紙
材に含浸,乾燥させて,これら繊維材に芳香性を付与す
る試みがなされている。例えば,香料をバインダーに溶
解させて得られる処理液に繊維材を浸漬させ,その後繊
維材を空気中に取り出してバインダーを硬化させること
により,香料を繊維材に付着させるものである。
しかし,このように繊維材に香料を付着させるだけで
は,一時的な芳香性は得られるものの,香料が容易に揮
発するため,長期にわたって芳香性が維持されない。
これに対して,香料をマイクロカプセル化する方法が試
みられている。例えば,コアセルベーション法により,
ゼラチン,ポリビニルアルコール(PVA)などの膜で香
料分子を被覆することにより,粒径が10〜100μmのマ
イクロカプセル化香料が得られる。このようなマイクロ
カプセル化香料は,既に商品化されている。しかし,こ
のマイクロカプセル内の香料は,上記ゼラチンやPVAの
膜で密閉されているため,製造されたままの状態におい
ては香りを放つことがない。物理的な力によりカプセル
の膜が破壊されると,はじめて香りを放つ。カプセルが
破壊されると一度に香料が放出され,放出された香料は
短時間で揮発するため,マイクロカプセルが破壊された
後は,長期にわたる芳香が維持されない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は上記従来の問題点を解決するものであり、その
目的は長期に亘って芳香性等の徐放性を有する繊維材が
得られる徐放性繊維材と,製造が比較的容易な徐放性繊
維材の製造方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段および作用) 発明者は,香料分子及び/又は薬剤粒子を多孔性のポリ
マーマトリックス内にカプセル化もしくは包接すること
ができれば,徐放性に優れた徐放性繊維材が得られると
考え,そのようなポリマーを用いた徐放性繊維材の調製
について検討を行い,本発明を完成するに至った。
すなわち,本発明の徐放性繊維材は,香料及び/又は薬
剤,エチルシリケート,溶媒及び触媒が含まれるゾル状
態の徐放性組成物が繊維材に含浸され,該徐放性組成物
がゲル化されており,そのことにより上記目的が達成さ
れる。
また,本発明の徐放性繊維材の製造方法は,香料及び/
又は薬剤,エチルシリケート,溶媒及び触媒が含まれる
ゾル状態の徐放性組成物を繊維材に含浸させる工程と,
該徐放性組成物をゲル化させる工程と,を包含してお
り,そのことにより上記目的が達成される。
以下,本発明を詳細に説明する。
本発明の徐放性組成物に用いられる香料は,動物性天然
香料,植物性天然香料および合成香料のいずれであって
もよい。また,薬剤は整理上,保健上良好なるものや,
農薬,殺虫剤,忌虫剤等が挙げられる。これら香料及び
薬剤は少なくとも一種以上含むものである。これらは,
エチルシリケート100重量部に対し,1〜300重量部,好ま
しくは50〜200重量部の範囲で用いられる。1重量部を
下まわると,所望の芳香性を有する徐放性繊維材が得ら
れない。300重量部を上まわる量の香料をマイクロカプ
セル化することは困難である。
本発明の徐放性組成物に用いられる触媒は,いわゆるゾ
ル‐ゲル法触媒(エチルシリケートおよびシランカップ
リング剤を加水分解・重縮合させるために用いられる)
と称されているものを用いることができ,酸またはその
無水物と有機塩基とを含むことができる。上記酸として
は通常,塩酸,硫酸,硝酸などの鉱酸が用いられる。鉱
酸の無水物,例えば塩化水素ガスも同様の効果が得られ
る。この他に有機酸やその無水物も利用され得る。それ
には,例えば,酒石酸,フタル酸,マレイン酸,ドデシ
ルコハク酸,ヘキサヒドロフタル酸,メチルナジック
酸,ピロメリット酸,ベンゾフェノンテトラカルボン
酸,ジクロルコハク酸,クロレンディック酸,無水フタ
ル酸,無水マレイン酸,無水ドデシルコハク酸,無水ヘ
キサヒドロフタル酸,無水メチルナジック酸,無水ピロ
メリット酸,無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸,無
水ジクロルコハク酸,無水クロレンディック酸がある。
これらの酸はエチルシリケート1モルに対し0.01モル以
上,好ましくは0.01〜0.5モルの範囲で用いられる。過
少であると加水分解がほとんど進行しない。
また,上記有機塩基は,水に実質的に不溶でありかつ,
有機溶媒に可溶な第三アミンが好適に用いられる。第三
アミンとしては,N,N-ジメチルベンジルアミン,トリブ
チルアミン,トリ‐n-プロピルアミン,トリペンチルア
ミン,トリプロパルギルアミン,N,N,N-トリメチルエチ
レンジアミン,トリ‐n-ヘキシルアミンなどが挙げられ
る。第三アミンは,上記酸と等モル量もしくはそれを越
える量,好ましくはエチルシリケート1モルに対し0.00
1〜0.10モルの割合で用いられる。第三アミンの使用量
はその解離度に応じて上記範囲内で適宜決められる。第
三アミンの量が過少であるとエチルシリケートおよびシ
ランカップリング剤の加水分解後の重縮合反応が極めて
遅くなる。また,徐放性組成物のpHは5〜6程度に調製
し,所定時間ゾル状態を保つようにするのが好ましい。
本発明に用いられる溶媒としては,加水分解に用いられ
る水の他,有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては,
水と混合しうる溶媒,もしくは水に一部溶解しうる溶媒
が用いられる。それには例えば,メタノール,エタノー
ル,ブタノール,プロパノール,ペンタノール,ヘキサ
ノール,アセトン,メチルエチルケトン,ホルムアミド
がある。
本発明の徐放性組成物にはシランカップリング剤を配合
してもよい。そのシランカップリング剤としては,既知
のシランカップリング剤が用いられ得る。それには,例
えば,γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,
γ‐グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン,β
‐(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシ
シラン,ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリクロル
シラン,ビニルトリス(β‐メトキシエトキシ)シラ
ン,ビニルトリアセトキシシラン,γ‐メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン,N-β‐(N-ビニルベンジ
ルアミノエチル)‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシ
ラン・塩酸塩,γ‐アミノプロピルトリエトキシシラ
ン,N-フェニル‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシラ
ン,γ‐(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキ
シシラン,γ‐(2-アミノエチル)アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン,γ‐メルカプトプロピルトリメト
キシシラン,γ‐メルカプトプロピルメチルジメトキシ
シラン,メチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキ
シシラン,ヘキサメチルジシラザン,γ‐アニリノプロ
ピルトリメトキシシラン,γ‐クロロプロピルトリメト
キシシラン,γ‐クロロプロピルメチルジメトキシシラ
ン,メチルトリクロロシラン,ジメチルジクロロシラ
ン,トリメチルクロロシラン,オクタデシルジメチル
〔3-(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムク
ロライド,アミノシラン配合物がある。
シランカップリング剤は,エチルシリケート100重量部
に対し300重量部以下,好ましくは1〜300重量部,さら
に好ましくは10〜40重量部の範囲で使用される。300重
量部を上まわる量のシランカップリング剤を加えても得
られるポリマー(ゲル化物)の物性はほとんど変わらな
いうえに高価となる。
本発明の徐放性組成物には有機モノマーを配合すること
ができる。この有機モノマーには,例えば,アクリル
酸,メタクリル酸,ジメチルホルムアミド,アクリロニ
トリル,スチレン,アクリル酸メチル,アクリル酸エチ
ル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチルがある。
しかし,これに限定されず,他のビニル系モノマーも使
用可能である。このような有機モノマーは,前記エチル
シリケート100重量部に対し300重量部以下,好ましくは
10〜300重量部,より好ましくは30〜100重量部の範囲で
使用される。また,ナイロン,ブチラール等の樹脂を配
合することも好ましい。
本発明の徐放性繊維材は,主として次の3つの方法によ
り製造される。
第1の方法は,香料及び/又は薬剤,エチルシリケー
ト,溶媒及び触媒を主として用いて徐放性組成物を調製
し,このゾル状態の徐放性組成物を繊維材に含浸させ,
その後繊維材に含浸された徐放性組成物をゲル化させる
ものであり,第2の方法は,香料及び/又は薬剤,エチ
ルシリケート,溶媒,触媒およびシランカップリング剤
を主として用いて徐放性組成物を調製し,このゾル状態
の徐放性組成物を繊維材に含浸させ,その後繊維材に含
浸された徐放性組成物をゲル化させるものであり,第3
の方法は,香料及び/又は薬剤,エチルシリケート,溶
媒,触媒,シランカップリング剤および有機モノマーを
主として用いて徐放性組成物を調製し,このゾル状態の
徐放性組成物を繊維材に含浸させ,その後繊維材に含浸
された徐放性組成物をゲル化させるものである。
第1の方法によれば,例えばまず,上記エチルシリケー
トを上記有機溶媒,例えばアルコールに溶解させる。エ
チルシリケートの濃度は,特に限定されないが,通常,5
00〜600g/lである。次いで水が添加される。水の量はエ
チルシリケート1モルに対して1〜30モルの割合であ
る。水は,あらかじめ上記アルコールに混合されていて
もよい。この,エチルシリケート溶液(水を含む)に,
上記香料及び/又は薬剤を溶解もしくは分散させる。香
料及び/又は薬剤は,例えば,有機溶媒などに溶解させ
て,あるいは水溶液で使用に供される。これに,上記ゾ
ル‐ゲル法触媒のうち酸(もしくはその無水物)及び第
三アミンを加えて常温で撹拌を行なう。この反応は,香
料の揮発を防止するために,常温で行うのが好ましい。
ここで,徐放性組成物のpHは低く設定されており,急速
にゲル化が進行することはない。このゲル化時間は,使
用する水の量およびゾル‐ゲル法触媒の量に依存する。
次に,このゾル状態の徐放性組成物が入れられたタンク
内に繊維材を通すことにより,徐放性組成物を繊維材に
含浸させ,その後タンクから繊維材を引き上げて,空気
中で徐放性組成物をゲル化させるのである。繊維材とし
ては,各種天然繊維,合成繊維,紡糸,各種紙材等が用
いられる。
上記ゲルは,上記エチルシリケートの加水分解・重縮合
による無機性の高分子化合物が生成するため,形成され
る。この高分子化合物のマトリックス内に香料粒子及び
/又は薬剤粒子(ここでは香料分子及び/又は薬剤分
子,および必要に応じて該香料を溶解させていた有機溶
媒などを包含した固体もしくは液状の微粒子を指してい
う)が捕捉される。さらに詳細には,次のような形態で
香料粒子及び/又は薬剤粒子がカプセル化および/また
は包接化されると考えられる。上記反応においては,加
水分解されたエチルシリケート同士が重縮合して架橋
し,粒子状の三次元構造物が形成される。この粒子状の
三次元構造物が形成されるときに,香料粒子及び/又は
薬剤粒子はその三次元空間内に捕捉される。つまり香料
粒子及び/又は薬剤粒子はポリマー粒子にカプセル化さ
れた形態となる。この粒子が複数個集まり,さらに重縮
合・架橋反応が進行すると,連続した三次元マトリック
スが形成される。香料粒子及び/又は薬剤粒子はその内
部空間に取り込まれ,カプセル化もしくは包接化された
形態となる。このようなカプセル化もしくは包接化香料
及び/又は薬剤粒子は,後述のように,溶媒およびアル
コール(反応により生じる)が三次元マトリックスの骨
格中より揮発し除去されると,多孔性のマトリックス骨
格内部に香料及び/又は薬剤が捕捉された形態となる。
しかも上記多孔性マトリックスの小孔の孔径は極めて小
さいことが知られている。そのため,徐々に香料及び/
又は薬剤が揮発し,長時間徐放性が持続するという効果
を有する。
第2の方法によれば,上記第1の方法の徐放性組成物に
加えてシランカップリング剤が使用される。例えばま
ず,エチルシリケート,アルコールおよび水を含む溶液
に,香料,シランカップリング剤および必要に応じて光
増感剤が加えられて徐放性組成物が調製される。光増感
剤にはジアセチルなどが用いられ,これは紫外線照射に
よる光重合反応を促進させる。さらに必要に応じて他の
モノマーおよびポリマーが添加されてもよい。このよう
なモノマーとしては,ビニル系モノマーが挙げられ,ポ
リマーとしては,塩化ビニル,酢酸ビニル,ブタジェン
などが重合した重合体または共重合体が挙げられる。こ
れらのモノマーやポリマーは,後述の重合反応および共
重合反応を促進し,かつ均質で強化されたポリマーを形
成する目的で添加される。この混合液に,上記第1の方
法と同様に,ゾル‐ゲル法触媒が加えられて徐放性組成
物が調製され,上記第1の方法と同様にして徐放性繊維
材が製造される。
なお,繊維材に徐放性組成物を含浸させた後,必要に応
じて徐放性組成物が含浸された繊維材に紫外線および/
または電子線が照射されてもよい。紫外線の波長は250n
m以下とされる。250nmを上まわると,後述のラジカル重
合,架橋反応,および重縮合反応が充分に進行しにく
い。電子線の照射量は0.1〜50メガラドの範囲とされ
る。エネルギー量は150〜200KVが好ましい。0.1メガラ
ドを下まわると,後述のラジカル重合,架橋反応および
重縮合反応が充分に進行しにくい。50メガラドを上まわ
る量の電子線は必要としない。電子線照射装置として
は,例えば,エリアビーム形電子線照射装置(キュアト
ロン,日新電機社製)が用いられる。
上記徐放性組成物のエチルシリケートおよびシランカッ
プリング剤は,加水分解し,次いで重縮合反応が速やか
に進行する。さらに,シランカップリング剤に,例えば
エポキシ部分があれば,上記触媒により,エポキシ環の
酸開裂反応や塩基開裂反応(開環反応)が生じる。他
方,紫外線および/または電子線の照射により,例え
ば,ビニル基からラジカルが発生し,このラジカルが、
シランカップリング剤の有機質部分の架橋反応やラジカ
ル重合(光重合または電子線重合)を開始させる。ラジ
カルは,紫外線照射の場合には,光増感剤から発生す
る。電子線や紫外線以外に,放射線を利用する方法も採
用され得る。
このようにして,エチルシリケートおよびシランカップ
リング剤(無機質部分)の加水分解反応・重縮合反応が
急速に進行する。シランカップリング剤の有機質部分の
ラジカル重合(架橋反応を含む)も,上記重縮合反応と
同時に進行する。上記反応は,同種分子間および異種分
子間の両方において起こる。シランカップリング剤の無
機質部分(シリカ部分)は,無機高分子の骨格に組み込
まれるか,単独で重合して無機高分子を形成する。有機
質部分は,ケイ素原子に結合したまま架橋部分を形成す
る。
このようにして形成される高分子化合物は,エチルシリ
ケートおよびシランカップリング剤の加水分解・重縮合
によって形成される無機質ポリマー部分と,シランカッ
プリング剤の官能基(有機部分)の重合により形成され
る有機質ポリマー部分と,を有する。言いかえれば,エ
チルシリケートとシランカップリング剤とが反応して分
子レベルで結合した高分子化合物(これは,有機質部分
と無機質部分とを有する複合高分子化合物と考えられ
る。)が形成される。このような高分子化合物が形成さ
れた反応系は,上記第1の方法と同様にゲル状に呈す
る。複合高分子化合物は,第1の方法で得られるのとほ
ぼ同様な三次元マトリックスを形成し,反応系内に存在
する香料粒子及び/又は薬剤粒子は,同様の形態で該マ
トリックス内にカプセル化および/または包接化され
る。
第3の方法によれば,上記第2の方法の徐放性組成物に
加えて,さらに有機モノマーが使用されて徐放性組成物
が調製され,上記第1の方法とほぼ同様にして徐放性繊
維材が製造される。
なお,有機モノマー,および,紫外線を照射する光重合
を行う場合には,ジアセチルなどの光増感剤が加えられ
るのが好ましい。さらに必要に応じて,第2の方法と同
様に,他のモノマーおよびポリマーが加えられるのが好
ましい。ゾル‐ゲル法塩基触媒が加えられ,紫外線およ
び/または電子線が照射されることにより引き起こされ
る反応は,第2の方法の場合に類似するが,この方法で
はさらに有機モノマーがラジカル反応により重合する。
この重合反応は,有機モノマー分子同士の間で起こり,
さらにシランカップリング剤の有機部分(エポキシ基,
ビニル基など)と該有機モノマー分子との間で起こる。
このように,第3の方法では,第2の方法で得られた組
成物に含まれる高分子化合物よりもさらに有機部分を多
く含み,複雑に架橋した複合高分子化合物が生成する。
香料粒子及び/又は薬剤粒子は,上記第1および第2の
方法の場合と同様に,複合高分子マトリックス内にカプ
セル化および/または包接化される。
ところで,ゾル‐ゲル法触媒としては,一般に鉱酸が知
られているが,この触媒を採用すると,この第3の方法
においては,有機モノマーの重合反応に比べ,エチルシ
リケートやシランカップリング剤の加水分解・重縮合反
応が極めて遅い。その結果,均質な複合高分子化合物が
形成されない。これに対して,本発明方法においては,
発明者が開発した上記ゾル‐ゲル法触媒(酸および第三
アミン)が使用されるため,上記エチルシリケートおよ
びシランカップリング剤の重縮合反応が極めて速やかに
進行し,均質な複合高分子化合物が形成される。
上記第2および第3の方法で電子線および/または紫外
線を用いたラジカル重合を行うと,20〜30℃という低温
でも反応が進行するため,香料及び/又は薬剤が揮発・
消失することがない。これら第2および第3の方法によ
り得られる組成物においても,反応系(マトリックス骨
格内部を含む)から溶媒およびアルコールが除去される
と,香料粒子及び/又は薬剤粒子を含む多孔質のポリマ
ーマトリックスが得られる。そのため,この組成物も香
料の徐放効果に優れる。これらの方法で得られる組成物
中の高分子化合物は有機成分を含有するため,皮膜形成
速度に優れ,かつ繊維材との密着性に優れる。そのた
め,耐久性に優れ,かつ徐放効果に優れた芳香性を有す
る各種糸,紡糸,紙類が得られる。
本発明の組成物を用いた各種繊維材においては,長期間
にわたり芳香性,殺虫効果,消毒効果などが維持され
る。
(実施例) 以下に本発明を実施例につき説明する。
実施例1 上記各成分を混合してpH5〜6に調製された徐放性組成
物を得た。
次に,この徐放性組成物中にウール紡糸を浸漬して走査
させ,次いでこの紡糸を巻き取り械により木管に直接巻
き取り,3時間常温で乾燥硬化させて芳香性紡糸を得た。
上記紡糸の走査速度は70m/分であった。
得られた芳香性紡糸で織布を作成したところ,8ヶ月にわ
たり一定の芳香性が保たれた。
実施例2 上記各成分を混合してpH5〜6に調製された徐放性組成
物を得た。次に,この徐放性組成物中にアクリル糸を含
浸,走査させ,次いでこの紡糸を巻き取り械により木管
に直接巻き取り,3時間常温で乾燥硬化させて芳香性糸を
得た。上記紡糸の走査速度は18.2m/分であった。
得られた芳香性紡糸で織布を作成したところ,8ヶ月にわ
たり一定の芳香性が保たれた。
実施例3 上記各成分を混合してpH5〜6に調製された徐放性組成
物を得た。
次に,この徐放性組成物中に布地(綿100%のブロー
ド)を浸漬し,引きあげて乾燥を行った。布地に対する
固形分の付着量は13.8g/m2であった。上記紡糸の走査速
度は18.2m/分であった。
この芳香性布地は6ヶ月にわたり香りを維持した。
(発明の効果) 本発明によれば,このように,香料成分や薬剤成分の除
放性に優れ,長期間にわたる徐放性を維持し得る徐放性
繊維材およびその製造方法が提供される。この徐放性繊
維材を用いて,長期間に亘って徐放性に優れた各種繊
維,紡糸,織布,網布,不織布,衣類,寝具,紙を得る
ことが可能である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 19/32 D06M 15/647

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】香料及び/又は薬剤、エチルシリケート、
    溶媒及び触媒が含まれるゾル状態の徐放性組成物が繊維
    材に含浸され、該徐放性組成物がゲル化されて成る徐放
    性繊維材。
  2. 【請求項2】前記触媒が水に実質的に不溶であり、かつ
    有機溶媒に可溶な第三アミンを含む特許請求の範囲第1
    項に記載の徐放性繊維材。
  3. 【請求項3】香料及び/又は薬剤、エチルシリケート、
    溶媒及び触媒が含まれるゾル状態の徐放性組成物を繊維
    材に含浸させる工程と、該徐放性組成物をゲル化させる
    工程と、を包含する徐放性繊維材の製造方法。
  4. 【請求項4】前記触媒が水に実質的に不溶であり、かつ
    有機溶媒に可溶な第三アミンを含む特許請求の範囲第3
    項に記載の徐放性繊維材の製造方法。
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