JPH0673438A - 高密度エネルギー源の照射による高強度化特性に優れた高加工性鋼板 - Google Patents
高密度エネルギー源の照射による高強度化特性に優れた高加工性鋼板Info
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- JPH0673438A JPH0673438A JP23056992A JP23056992A JPH0673438A JP H0673438 A JPH0673438 A JP H0673438A JP 23056992 A JP23056992 A JP 23056992A JP 23056992 A JP23056992 A JP 23056992A JP H0673438 A JPH0673438 A JP H0673438A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 加工時には加工特性に優れた性質を有し、加
工の完了後は高密度エネルギー源からの照射によって高
強度化して使用することができるような素材、即ち加工
性に優れるが加工後の処理によって使用時には高強度特
性を発揮することができるような、高強度化の可能な鋼
板を提供するものである。 【構成】 高密度エネルギー源を鋼板表面に照射し板厚
を貫通した凝固域を形成することにより高強度化して使
用する、高強度化特性に優れた高加工性鋼板であって、 C :0.02〜0.3% Si:1.5%以下 Mn:0.3〜2.5% を含み、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、かつ
ベイナイトとフェライトからなる組織を有する高密度エ
ネルギー源を鋼板表面に照射し板厚を貫通した凝固域を
形成するものである。
工の完了後は高密度エネルギー源からの照射によって高
強度化して使用することができるような素材、即ち加工
性に優れるが加工後の処理によって使用時には高強度特
性を発揮することができるような、高強度化の可能な鋼
板を提供するものである。 【構成】 高密度エネルギー源を鋼板表面に照射し板厚
を貫通した凝固域を形成することにより高強度化して使
用する、高強度化特性に優れた高加工性鋼板であって、 C :0.02〜0.3% Si:1.5%以下 Mn:0.3〜2.5% を含み、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、かつ
ベイナイトとフェライトからなる組織を有する高密度エ
ネルギー源を鋼板表面に照射し板厚を貫通した凝固域を
形成するものである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工時には優れた加工
特性を有し、なおかつ高密度エネルギー源からの照射に
よって高強度化して使用することができるような鋼板に
関するものである。なお以下の説明においては、自動車
用部材のひとつであるメンバー類を代表的に取り上げて
説明するが、本発明鋼板の適用対象はこれによって制限
されるものではなく、上記両特性の要求される分野に対
しては広く利用することができる。
特性を有し、なおかつ高密度エネルギー源からの照射に
よって高強度化して使用することができるような鋼板に
関するものである。なお以下の説明においては、自動車
用部材のひとつであるメンバー類を代表的に取り上げて
説明するが、本発明鋼板の適用対象はこれによって制限
されるものではなく、上記両特性の要求される分野に対
しては広く利用することができる。
【0002】
【従来の技術】自動車用部材、特にメンバー類等は加工
性と強度の2つの相反する特性が要求されている。即ち
メンバー類を自動車ボディの滑らかな曲線に添わせるよ
うに配置するためには優れた加工性を有していることが
必要であり、一方いったん装着した後は、走行中の衝突
事故に対して優れた防護作用を発揮するという立場から
所定の部分が希望強度まで高強度化されておらなければ
ならない。そこで加工性に富んだ軟鋼板をプレス成形し
た後で高密度エネルギー源による照射を行い、該プレス
成形部品の所定部分を高強度化するという技術が提案さ
れている(特開昭61−99629)。しかしながら前
記特許公開公報に記載された照射条件によれば、高強度
エネルギー源から例えばレーザ照射を行うと、板厚方向
における熱影響の度合いが不均一となって形状に歪みを
生じ、レーザ処理後の形状修正が必要になること、並び
にレーザ処理の必要照射本数が非常に多くなり、全処理
時間が長くなってしまうという点で実用化が妨げられて
いた。
性と強度の2つの相反する特性が要求されている。即ち
メンバー類を自動車ボディの滑らかな曲線に添わせるよ
うに配置するためには優れた加工性を有していることが
必要であり、一方いったん装着した後は、走行中の衝突
事故に対して優れた防護作用を発揮するという立場から
所定の部分が希望強度まで高強度化されておらなければ
ならない。そこで加工性に富んだ軟鋼板をプレス成形し
た後で高密度エネルギー源による照射を行い、該プレス
成形部品の所定部分を高強度化するという技術が提案さ
れている(特開昭61−99629)。しかしながら前
記特許公開公報に記載された照射条件によれば、高強度
エネルギー源から例えばレーザ照射を行うと、板厚方向
における熱影響の度合いが不均一となって形状に歪みを
生じ、レーザ処理後の形状修正が必要になること、並び
にレーザ処理の必要照射本数が非常に多くなり、全処理
時間が長くなってしまうという点で実用化が妨げられて
いた。
【0003】このようなプレス成形及びその後のレーザ
硬化処理を基本構成とする本技術はプレスラインにおい
て部品をプレス加工した後に高密度エネルギー源による
照射を施す点に特徴があるが、これまで検討されてきた
範囲では、高密度エネルギー源による照射条件と対象鋼
組織との組み合わせをどのように工夫すれば、歪みを少
なくすることができ、しかも十分な強度の上昇を得るこ
とができるか等について、全く知見が得られていない。
そのため、高密度エネルギー源による処理条件と鋼組織
との好ましい組み合わせに関する知見を確立することが
切望されていた。換言すれば、プレス成形時には十分な
加工性を有し、加工後は高密度エネルギー源による処理
によって強度が大幅に上昇し得る様な素材鋼板の開発が
望まれていた。
硬化処理を基本構成とする本技術はプレスラインにおい
て部品をプレス加工した後に高密度エネルギー源による
照射を施す点に特徴があるが、これまで検討されてきた
範囲では、高密度エネルギー源による照射条件と対象鋼
組織との組み合わせをどのように工夫すれば、歪みを少
なくすることができ、しかも十分な強度の上昇を得るこ
とができるか等について、全く知見が得られていない。
そのため、高密度エネルギー源による処理条件と鋼組織
との好ましい組み合わせに関する知見を確立することが
切望されていた。換言すれば、プレス成形時には十分な
加工性を有し、加工後は高密度エネルギー源による処理
によって強度が大幅に上昇し得る様な素材鋼板の開発が
望まれていた。
【0004】特開平4−72010にも、プレス成形品
にレーザ照射を行い強度上昇をはかる技術が開示されて
いる。この特許公開公報においては炭素鋼板を用いてレ
ーザ処理を行ったものでは、強度上昇が得られる旨示さ
れている。しかしながらこの特許公開公報においては、
鋼板組成に関しては炭素量に言及しているのみで、炭素
以外の合金成分や鋼板の組織については全く言及してお
らず、したがって合金成分および組織とレーザ処理条件
についての関係、さらにはそれらと強度上昇量の関係に
ついては全く知見が得られていない。本発明者等の研究
によれば、レーザ処理時の強度上昇は、レーザ処理条件
だけではなく、合金成分や組織にも大きく依存している
ことが明らかになった。従ってレーザ処理によって大幅
な強度上昇を得るためには、この関係を明確にすること
が必要であった。
にレーザ照射を行い強度上昇をはかる技術が開示されて
いる。この特許公開公報においては炭素鋼板を用いてレ
ーザ処理を行ったものでは、強度上昇が得られる旨示さ
れている。しかしながらこの特許公開公報においては、
鋼板組成に関しては炭素量に言及しているのみで、炭素
以外の合金成分や鋼板の組織については全く言及してお
らず、したがって合金成分および組織とレーザ処理条件
についての関係、さらにはそれらと強度上昇量の関係に
ついては全く知見が得られていない。本発明者等の研究
によれば、レーザ処理時の強度上昇は、レーザ処理条件
だけではなく、合金成分や組織にも大きく依存している
ことが明らかになった。従ってレーザ処理によって大幅
な強度上昇を得るためには、この関係を明確にすること
が必要であった。
【0005】なお、特開昭61−261462には加工
性に優れたレーザ加工用鋼板に関する知見が示されてい
るが、ここではレーザ切断を行った後にプレス成形等の
加工を行う場合の加工性が問題とされている。これに対
し本発明はレーザ照射による硬化処理を目的とするもの
であり、同じレーザ照射とは言っても上記公開公報のよ
うな切断加工を目的とするものではない点で、技術分野
も技術内容も全く異なるものである。
性に優れたレーザ加工用鋼板に関する知見が示されてい
るが、ここではレーザ切断を行った後にプレス成形等の
加工を行う場合の加工性が問題とされている。これに対
し本発明はレーザ照射による硬化処理を目的とするもの
であり、同じレーザ照射とは言っても上記公開公報のよ
うな切断加工を目的とするものではない点で、技術分野
も技術内容も全く異なるものである。
【0006】更に特開平1−259118には、プレス
用素材の強化必要部位に対して急速再溶融−急速再凝固
処理を行って結晶粒の微細化を図り高強度化する技術が
開示されている。しかしこの公開公報発明は、使用時に
裏面となる部位のみを溶融させるものであり、後に詳述
するような本発明の貫通溶融法とは異なって大きな残留
歪みが生じ、なおかつ十分な強度上昇効果が得られな
い。また上記公開公報発明は強化のメカニズムが結晶粒
の微細化にあり、焼入組織を得るものではない。この点
においても焼入組織の形成をメカニズムとする本発明と
は区別される。
用素材の強化必要部位に対して急速再溶融−急速再凝固
処理を行って結晶粒の微細化を図り高強度化する技術が
開示されている。しかしこの公開公報発明は、使用時に
裏面となる部位のみを溶融させるものであり、後に詳述
するような本発明の貫通溶融法とは異なって大きな残留
歪みが生じ、なおかつ十分な強度上昇効果が得られな
い。また上記公開公報発明は強化のメカニズムが結晶粒
の微細化にあり、焼入組織を得るものではない。この点
においても焼入組織の形成をメカニズムとする本発明と
は区別される。
【0007】このように従来知られている方法は、本発
明で採用する様な後述の方法と比べて本質的に異なった
方法と言わなければならない。
明で採用する様な後述の方法と比べて本質的に異なった
方法と言わなければならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、高密度
エネルギー源による処理性におよぼす合金元素の種類や
組織の影響を鋭意研究した結果、ある一定の照射条件の
もとにおいては、鋼板の合金成分を特定の範囲とし、か
つ構成組織を規定することによって、従来の鋼板におい
ては得られなかった様な優れた処理特性が得られること
を見い出して本発明を完成するに至った。
エネルギー源による処理性におよぼす合金元素の種類や
組織の影響を鋭意研究した結果、ある一定の照射条件の
もとにおいては、鋼板の合金成分を特定の範囲とし、か
つ構成組織を規定することによって、従来の鋼板におい
ては得られなかった様な優れた処理特性が得られること
を見い出して本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によって提供され
る鋼板は、加工時には優れた加工性を示しながらレーザ
照射等の様な高密度エネルギー源からの照射を行って板
厚を貫通する様な凝固域を形成した場合には、十分な高
強度化を発揮し、そのことにより広範囲の用途に使用す
ることができるものであって、高強度化特性に優れた高
加工性鋼板である。
る鋼板は、加工時には優れた加工性を示しながらレーザ
照射等の様な高密度エネルギー源からの照射を行って板
厚を貫通する様な凝固域を形成した場合には、十分な高
強度化を発揮し、そのことにより広範囲の用途に使用す
ることができるものであって、高強度化特性に優れた高
加工性鋼板である。
【0010】本発明にかかる高加工性鋼板の合金組成
は、 C :0.02〜0.3% Si:1.5%以下 Mn:0.3〜2.5% を含み、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、かつ
ベイナイトとフェライトからなる組織を有することを特
徴とするものである。
は、 C :0.02〜0.3% Si:1.5%以下 Mn:0.3〜2.5% を含み、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、かつ
ベイナイトとフェライトからなる組織を有することを特
徴とするものである。
【0011】本発明における基本的合金組成は上記のと
おりであるが、特にC,Si,Mnの含有量によって下
記計算式で計算されるK1 値が0.1以上であるもの
は、レーザ処理前の高加工性とレーザ処理後の高強度化
においてより確実で優れた効果を発揮することが確かめ
られている。 K1 =(Mn%+0.25・Si%)×C%
おりであるが、特にC,Si,Mnの含有量によって下
記計算式で計算されるK1 値が0.1以上であるもの
は、レーザ処理前の高加工性とレーザ処理後の高強度化
においてより確実で優れた効果を発揮することが確かめ
られている。 K1 =(Mn%+0.25・Si%)×C%
【0012】また本発明の高加工性鋼板は、前記C,S
i,Mnの他、 Cr:2.5%以下 Mo:1.0%以下 B :50ppm 以下 のいずれか1種以上を必須成分として含むものであって
もよい。但しこのような付加成分を含有する場合の前記
K1 値を求める計算式は、次の様に変更される。そして
下記計算式で与えられるK2 値も0.1以上であること
が望まれる。 K2 =(Mn%+Cr%+Mo%+250・B%+0.
25・Si%)×C%
i,Mnの他、 Cr:2.5%以下 Mo:1.0%以下 B :50ppm 以下 のいずれか1種以上を必須成分として含むものであって
もよい。但しこのような付加成分を含有する場合の前記
K1 値を求める計算式は、次の様に変更される。そして
下記計算式で与えられるK2 値も0.1以上であること
が望まれる。 K2 =(Mn%+Cr%+Mo%+250・B%+0.
25・Si%)×C%
【0013】また本発明の高加工性鋼板は、前記C,S
i,Mnの他、 Cr:2.5%以下 Mo:1.0%以下 B :50ppm 以下 のいずれか1種以上および/または Cu:2.5%以下 Ni:1.5%以下 P :0.15%以下 Nb:0.2%以下 Ti:0.2%以下 Zr:0.1%以下 V :0.1%以下 W :0.1%以下 のいずれか1種以上を含むものであってもよい。
i,Mnの他、 Cr:2.5%以下 Mo:1.0%以下 B :50ppm 以下 のいずれか1種以上および/または Cu:2.5%以下 Ni:1.5%以下 P :0.15%以下 Nb:0.2%以下 Ti:0.2%以下 Zr:0.1%以下 V :0.1%以下 W :0.1%以下 のいずれか1種以上を含むものであってもよい。
【0014】
【作用】まず、高強度エネルギー源による照射条件につ
いて述べる。ここでは高密度エネルギー源としてレーザ
を用いた例を示したが、プラズマ等を用いることもでき
る。図1には、C:0.10%、Si:0.01%、M
n:0.90%、Al(脱酸剤として添加したことに基
づく不可避的不純物):0.032%、残部Fe及び不
可避的不純物からなる鋼材を試験片(板厚1.4mm)と
し、レーザ照射条件を種々変更して強度上昇量との関係
を示したが、エネルギー密度が100J/mm2 以上とな
る様な照射を行うと、大幅な強度上昇が得られることが
分かる。この範囲は板厚を貫通する溶融相を形成する条
件であり、このような条件にすることによって強度の大
幅な上昇が可能となるのである。またそのような条件に
することによって板厚方向に生じる歪が解放されるた
め、処理後の残留歪を非常に小さく抑えることができ
る。
いて述べる。ここでは高密度エネルギー源としてレーザ
を用いた例を示したが、プラズマ等を用いることもでき
る。図1には、C:0.10%、Si:0.01%、M
n:0.90%、Al(脱酸剤として添加したことに基
づく不可避的不純物):0.032%、残部Fe及び不
可避的不純物からなる鋼材を試験片(板厚1.4mm)と
し、レーザ照射条件を種々変更して強度上昇量との関係
を示したが、エネルギー密度が100J/mm2 以上とな
る様な照射を行うと、大幅な強度上昇が得られることが
分かる。この範囲は板厚を貫通する溶融相を形成する条
件であり、このような条件にすることによって強度の大
幅な上昇が可能となるのである。またそのような条件に
することによって板厚方向に生じる歪が解放されるた
め、処理後の残留歪を非常に小さく抑えることができ
る。
【0015】次に組織と強度上昇量の関係について述べ
る。図2にはフェライト+パーライト鋼の場合、並びに
フェライト+ベイナイト鋼の場合について、それぞれ加
工性とレーザ処理による強度上昇量の関係を示した。比
較鋼としてフェライト+パーライト鋼を用いたのは、プ
レス用鋼板としてはフェライト+パーライト鋼が最も一
般的な組織であり、且つ広く使用されているからであ
る。加工性としては、穴広げ率(λ)の値を用いた。こ
の図からわかるようにフェライト+パーライト鋼に比
べ、フェライト+ベイナイト鋼では加工性と強度上昇量
のバランスが非常に優れている。この原因について鋭意
研究を行った結果、炭化物サイズの他、合金成分がある
条件範囲に含まれていることが、加工性と強度上昇量の
バランスを良くする上で必須不可欠であることが分かっ
た(後記実施例参照)。
る。図2にはフェライト+パーライト鋼の場合、並びに
フェライト+ベイナイト鋼の場合について、それぞれ加
工性とレーザ処理による強度上昇量の関係を示した。比
較鋼としてフェライト+パーライト鋼を用いたのは、プ
レス用鋼板としてはフェライト+パーライト鋼が最も一
般的な組織であり、且つ広く使用されているからであ
る。加工性としては、穴広げ率(λ)の値を用いた。こ
の図からわかるようにフェライト+パーライト鋼に比
べ、フェライト+ベイナイト鋼では加工性と強度上昇量
のバランスが非常に優れている。この原因について鋭意
研究を行った結果、炭化物サイズの他、合金成分がある
条件範囲に含まれていることが、加工性と強度上昇量の
バランスを良くする上で必須不可欠であることが分かっ
た(後記実施例参照)。
【0016】また図3には炭化物サイズの長辺長さと強
度上昇量の関係を示した。炭化物のサイズは断面組織を
SEMにより観察し、炭化物の長辺(円形断面の場合に
は直径)を写真上で測定した。図3から明らかな様に炭
化物の長辺サイズが1μmを超えると強度上昇量が低下
してくる。つまり、ベイナイト組織を生成させることに
よって、炭化物サイズを微細にし、なおかつ合金成分を
規定することによってはじめて加工性保持と大幅な強度
上昇との間に優れたバランスが得られることが分かっ
た。
度上昇量の関係を示した。炭化物のサイズは断面組織を
SEMにより観察し、炭化物の長辺(円形断面の場合に
は直径)を写真上で測定した。図3から明らかな様に炭
化物の長辺サイズが1μmを超えると強度上昇量が低下
してくる。つまり、ベイナイト組織を生成させることに
よって、炭化物サイズを微細にし、なおかつ合金成分を
規定することによってはじめて加工性保持と大幅な強度
上昇との間に優れたバランスが得られることが分かっ
た。
【0017】この原因としては以下の様に考えることが
できる。1つは、レーザ照射によって形成される硬化相
の面積が、上記の条件を満足する場合には大面積になる
ことが挙げられる。即ちレーザ処理実験において板厚を
貫通する様な凝固相を形成したものについて、レーザ処
理後の断面組織を見たところ、フェライト+ベイナイト
組織であり(図9(a)参照)、且つ上記条件を満足し
ていたものは硬化相の面積が大きくなっていたが、フェ
ライト+パーライト組織のもの(図9(b)参照)で
は、上記条件を満足していないため硬化相の面積が小さ
かった。つまり炭化物サイズが1μm以下で,なおかつ
合金成分がある範囲に含まれているものでは、炭化物の
溶け込み等に違いができ、その結果として硬化面積が大
きくなったものと考えられる。
できる。1つは、レーザ照射によって形成される硬化相
の面積が、上記の条件を満足する場合には大面積になる
ことが挙げられる。即ちレーザ処理実験において板厚を
貫通する様な凝固相を形成したものについて、レーザ処
理後の断面組織を見たところ、フェライト+ベイナイト
組織であり(図9(a)参照)、且つ上記条件を満足し
ていたものは硬化相の面積が大きくなっていたが、フェ
ライト+パーライト組織のもの(図9(b)参照)で
は、上記条件を満足していないため硬化相の面積が小さ
かった。つまり炭化物サイズが1μm以下で,なおかつ
合金成分がある範囲に含まれているものでは、炭化物の
溶け込み等に違いができ、その結果として硬化面積が大
きくなったものと考えられる。
【0018】またフェライト+ベイナイト組織の鋼板の
データについて、 K1 =(Mn%+0.25・Si%)×C% の計算式で得られる値と強化量の関係をまとめ、その結
果を図4に示した。レーザ照射による強化量としては5
0MPa以上の上昇が得られない限り実用上有効との評
価は得られないが、ここで50MPa未満の強化量上昇
しか得られていないのは、炭素量が0.02%未満のも
の、およびMn量が0.3%未満のものである。この図
から分かるようにK1 値が0.1以上で大きな強度上昇
が得られている。従ってK1 値は、好ましくは0.1以
上とすることが有効であることが分かる。
データについて、 K1 =(Mn%+0.25・Si%)×C% の計算式で得られる値と強化量の関係をまとめ、その結
果を図4に示した。レーザ照射による強化量としては5
0MPa以上の上昇が得られない限り実用上有効との評
価は得られないが、ここで50MPa未満の強化量上昇
しか得られていないのは、炭素量が0.02%未満のも
の、およびMn量が0.3%未満のものである。この図
から分かるようにK1 値が0.1以上で大きな強度上昇
が得られている。従ってK1 値は、好ましくは0.1以
上とすることが有効であることが分かる。
【0019】本発明の必須的添加元素は上記したC,S
i,Mnであるが、後述する様に、これら必須元素以外
にCr,Mo,Bの3元素を同効元素として添加するこ
ともでき、これらの諸元素を添加した場合における各添
加合金元素の作用効果は、図5の様に示すことができ
る。即ち図5は各元素の添加による効果を、 K2 =(Mn%+Cr%+Mo%+250・B%+0.
25・Si%)×C% と強化量の関係で整理して示したものであり、Cr,M
o,Bの添加効果はK2の値で整理することができる。
K2 の値が0.1以上になると大幅な強度上昇が可能で
あることが分かる。
i,Mnであるが、後述する様に、これら必須元素以外
にCr,Mo,Bの3元素を同効元素として添加するこ
ともでき、これらの諸元素を添加した場合における各添
加合金元素の作用効果は、図5の様に示すことができ
る。即ち図5は各元素の添加による効果を、 K2 =(Mn%+Cr%+Mo%+250・B%+0.
25・Si%)×C% と強化量の関係で整理して示したものであり、Cr,M
o,Bの添加効果はK2の値で整理することができる。
K2 の値が0.1以上になると大幅な強度上昇が可能で
あることが分かる。
【0020】また図6,7には、本発明の合金成分条件
を満足する場合(後記実施例における発明鋼8,21,
26)と、満足していない場合(後記実施例における比
較鋼8,17)の夫々について、レーザ照射部における
断面の硬さ分布を示した。図6の場合では比較鋼のMn
量が不十分であり、鋼組織をフェライト+ベイナイトと
して仕上げているにもかかわらず、焼入れ性が不足して
いるため十分な硬さが得られていない。また図7の比較
鋼の場合は、合金成分条件的には本発明を満足している
ため最高硬さは十分に得られているが、フェライト+パ
ーライト組織であったため、硬化域の幅が小さい。これ
は単に焼入れ性だけで理解できる現象ではなく、合金成
分による変態点の違いと、炭化物サイズの違いによる溶
け込み方の違いによって硬化域の幅が小さくなったもの
と考えられる。
を満足する場合(後記実施例における発明鋼8,21,
26)と、満足していない場合(後記実施例における比
較鋼8,17)の夫々について、レーザ照射部における
断面の硬さ分布を示した。図6の場合では比較鋼のMn
量が不十分であり、鋼組織をフェライト+ベイナイトと
して仕上げているにもかかわらず、焼入れ性が不足して
いるため十分な硬さが得られていない。また図7の比較
鋼の場合は、合金成分条件的には本発明を満足している
ため最高硬さは十分に得られているが、フェライト+パ
ーライト組織であったため、硬化域の幅が小さい。これ
は単に焼入れ性だけで理解できる現象ではなく、合金成
分による変態点の違いと、炭化物サイズの違いによる溶
け込み方の違いによって硬化域の幅が小さくなったもの
と考えられる。
【0021】次に、本発明鋼板における合金成分の限定
理由について説明する。本発明鋼は、特にプレス成形等
の冷間加工用途に好適なものでなければならずこのため
にはCはその添加量が少ないほど好ましい。しかし反面
ではレーザ照射等による強度上昇が重要課題であるた
め、この課題を達成するためには、少なくとも0.02
%の添加が必要である。例えば0.01%程度のC添加
量の場合には、後述するようにレーザ照射による強度改
善効果はあまり得られない。他方Cを過多に添加すると
きは鋼板の加工性、さらには溶接性を著しく劣化させる
のでCの上限は0.30%とする。
理由について説明する。本発明鋼は、特にプレス成形等
の冷間加工用途に好適なものでなければならずこのため
にはCはその添加量が少ないほど好ましい。しかし反面
ではレーザ照射等による強度上昇が重要課題であるた
め、この課題を達成するためには、少なくとも0.02
%の添加が必要である。例えば0.01%程度のC添加
量の場合には、後述するようにレーザ照射による強度改
善効果はあまり得られない。他方Cを過多に添加すると
きは鋼板の加工性、さらには溶接性を著しく劣化させる
のでCの上限は0.30%とする。
【0022】Siはレーザ処理性改善のために添加する
が、1.5%を超えると表面肌荒れを起こすので、上限
を1.5%とした。Mnはレーザ加工による強度上昇に
必須の元素であり、少なくとも0.3%の添加が必須で
ある。しかしあまり多量に添加すると鋼板の冷間成形性
を損なうので、添加量の上限は2.5%とする。
が、1.5%を超えると表面肌荒れを起こすので、上限
を1.5%とした。Mnはレーザ加工による強度上昇に
必須の元素であり、少なくとも0.3%の添加が必須で
ある。しかしあまり多量に添加すると鋼板の冷間成形性
を損なうので、添加量の上限は2.5%とする。
【0023】本発明鋼における必須的含有元素は上記の
とおりであり、残部はFe及び不可避的不純物である
が、所望によっては以下に示す様な元素を添加すること
もできる。Crはレーザ処理による強度上昇に有効であ
るが、鋼板の降伏比を低く抑える上においても有効な元
素である。しかし含有量が2.5%を越えるとマルテン
サイト相が生成して穴広げ性が大幅に劣化するので、上
限を2.5%とした。
とおりであり、残部はFe及び不可避的不純物である
が、所望によっては以下に示す様な元素を添加すること
もできる。Crはレーザ処理による強度上昇に有効であ
るが、鋼板の降伏比を低く抑える上においても有効な元
素である。しかし含有量が2.5%を越えるとマルテン
サイト相が生成して穴広げ性が大幅に劣化するので、上
限を2.5%とした。
【0024】Moはレーザ処理による強度上昇に有効で
あるが、必要以上に添加することは不経済であるので、
経済的理由から、上限を1.0%とする。Bはレーザ加
工による強度上昇に有効な元素であるが、50ppm 以上
添加すると母材の延性を著しく劣化させるので、上限を
50ppm とした。
あるが、必要以上に添加することは不経済であるので、
経済的理由から、上限を1.0%とする。Bはレーザ加
工による強度上昇に有効な元素であるが、50ppm 以上
添加すると母材の延性を著しく劣化させるので、上限を
50ppm とした。
【0025】上記3元素は添加効果の大きいものとして
特に有意義なものであって、前記したK2 の値に重要な
影響を与えるものであるが、これらの他更に次の様な元
素を添加していくこともできる。
特に有意義なものであって、前記したK2 の値に重要な
影響を与えるものであるが、これらの他更に次の様な元
素を添加していくこともできる。
【0026】Cuは時効析出によって素材強度を確保す
る機能を発揮するものであり、しかも母材の耐食性を向
上させることができるので、素材の特性向上元素として
有効である。しかしながら多量に添加する場合には鋼板
に表面疵を生じさせるので、Niとの複合添加によって
その改善をはかることが必要になる。従って本発明鋼に
おいてはCuとNiを複合添加するとともに、その添加
量はCuに対しては2.5%以下、Niに対しては経済
的理由により1.5%以下するのが望ましい。
る機能を発揮するものであり、しかも母材の耐食性を向
上させることができるので、素材の特性向上元素として
有効である。しかしながら多量に添加する場合には鋼板
に表面疵を生じさせるので、Niとの複合添加によって
その改善をはかることが必要になる。従って本発明鋼に
おいてはCuとNiを複合添加するとともに、その添加
量はCuに対しては2.5%以下、Niに対しては経済
的理由により1.5%以下するのが望ましい。
【0027】Pは含有量を少なくすることによって冷間
加工性を向上できるが、鋼の強化元素としても期待され
るので、必要に応じて添加することもある。しかし0.
15%を超えて多量に添加すると、鋼の脆化が著しくな
るので添加量は0.15%以下とする。
加工性を向上できるが、鋼の強化元素としても期待され
るので、必要に応じて添加することもある。しかし0.
15%を超えて多量に添加すると、鋼の脆化が著しくな
るので添加量は0.15%以下とする。
【0028】Nb,Tiの各元素は鋼の強度上昇に有効
であるが、経済的理由により0.2%以下とする。また
Zr,V,Wの各元素は鋼の強度上昇に有効であるが、
経済的制約から上限は0.1%とする。
であるが、経済的理由により0.2%以下とする。また
Zr,V,Wの各元素は鋼の強度上昇に有効であるが、
経済的制約から上限は0.1%とする。
【0029】またREMおよびCaは鋼の介在物形態を
制御するために添加しても良いが、過多に添加すると介
在物量が増えて鋼板の冷間加工性および靭性を劣化させ
るので、上限をそれぞれ0.02%とする。Mgは水素
脆化防止効果があり、レーザ処理部の水素脆化防止効果
のために添加しても良い。但し経済的な理由から上限を
0.01%とする。
制御するために添加しても良いが、過多に添加すると介
在物量が増えて鋼板の冷間加工性および靭性を劣化させ
るので、上限をそれぞれ0.02%とする。Mgは水素
脆化防止効果があり、レーザ処理部の水素脆化防止効果
のために添加しても良い。但し経済的な理由から上限を
0.01%とする。
【0030】本発明鋼に含まれる不可避的不純元素とし
ては、N,O等の他、脱酸性元素として添加するAlを
挙げることができる。Alはアルミキルド鋼の場合に添
加される元素であるが、0.1%を超えるとc系介在物
を多く生成して表面傷の原因となるので、その上限は
0.1%と定める。以上述べたように本発明鋼は、素材
段階では優れた冷間加工性を示し、いったん加工した後
は所望部分をレーザ照射等によって高強度化されるの
で、使用条件の下では大幅な強度上昇が可能である。
ては、N,O等の他、脱酸性元素として添加するAlを
挙げることができる。Alはアルミキルド鋼の場合に添
加される元素であるが、0.1%を超えるとc系介在物
を多く生成して表面傷の原因となるので、その上限は
0.1%と定める。以上述べたように本発明鋼は、素材
段階では優れた冷間加工性を示し、いったん加工した後
は所望部分をレーザ照射等によって高強度化されるの
で、使用条件の下では大幅な強度上昇が可能である。
【0031】本発明におけるレーザ照射等は、上記鋼板
の強度を高めるものであるから、必要な箇所を適切に選
択して照射部を選択すべきである。従って、(1)加工
必要部と強度上昇必要部が部位的に重なっている場合等
は、材料鋼板を予め所定の形状に加工し、しかる後強度
上昇の必要な部位を狙ってレーザ照射を行うことが推奨
されるが、(2)加工必要部と強度上昇必要部が部位的
に十分区別できる場合等は、材料鋼板に対して強度上昇
の必要な部位を狙ってレーザ照射を行い、しかる後に加
工を行うようにしても良い。
の強度を高めるものであるから、必要な箇所を適切に選
択して照射部を選択すべきである。従って、(1)加工
必要部と強度上昇必要部が部位的に重なっている場合等
は、材料鋼板を予め所定の形状に加工し、しかる後強度
上昇の必要な部位を狙ってレーザ照射を行うことが推奨
されるが、(2)加工必要部と強度上昇必要部が部位的
に十分区別できる場合等は、材料鋼板に対して強度上昇
の必要な部位を狙ってレーザ照射を行い、しかる後に加
工を行うようにしても良い。
【0032】後者の例としては図4に示す場合が挙げら
れる。図4において、1は素材鋼板、2は山折れ線、3
は谷折れ線、4はレーザ照射部、5は成形品(前記メン
バー)を夫々示し、(a)は素材鋼板の平面図、(b)
は加工部とレーザ照射部の位置分けを示す平面説明図、
(c)は成形品外観を示す斜視説明図であり、まず
(b)に示すように加工部である山折れ線2と谷折れ線
3を避けてレーザ照射を行い、しかる後(c)に示すよ
うに所定形状に加工する。なお図示した形状の場合であ
っても、素材鋼板を先に所定形状に加工し、しかる後、
必要部位にレーザ照射を行う様にしてもよいことは言う
でもない。
れる。図4において、1は素材鋼板、2は山折れ線、3
は谷折れ線、4はレーザ照射部、5は成形品(前記メン
バー)を夫々示し、(a)は素材鋼板の平面図、(b)
は加工部とレーザ照射部の位置分けを示す平面説明図、
(c)は成形品外観を示す斜視説明図であり、まず
(b)に示すように加工部である山折れ線2と谷折れ線
3を避けてレーザ照射を行い、しかる後(c)に示すよ
うに所定形状に加工する。なお図示した形状の場合であ
っても、素材鋼板を先に所定形状に加工し、しかる後、
必要部位にレーザ照射を行う様にしてもよいことは言う
でもない。
【0033】なお、本発明の鋼板は熱延ミル、冷延ミル
のいずれの方法によっても製造することができる。また
本発明の鋼板は各種の表面処理、例えば亜鉛めっき等の
めっきを施したものとして提供される場合を含む。
のいずれの方法によっても製造することができる。また
本発明の鋼板は各種の表面処理、例えば亜鉛めっき等の
めっきを施したものとして提供される場合を含む。
【0034】
【発明の効果】本発明鋼にレーザ照射を行い板厚を貫通
した凝固域を形成すると、ビード部のみならず、ビード
の隣接領域においても焼入硬化部が形成される。一方レ
ーザ照射のように急速加熱でしかも高温保持が行われな
い場合には、通常炭化物の溶け込みと合金成分の均一化
を達成する時間が不十分となる。そこで本発明において
は、素材である鋼の組織や合金組成を、溶け込みや均一
化に有効な成分および組織としたのである。特に上記レ
ーザ処理条件に対応した成分、組織としたことは非常に
重要な意味を有するのである。こうすることによって炭
素量や合金量を不必要に増やす必要がなくなり、素材の
加工性を合わせて確保することが可能になる。本発明鋼
の場合には上記効果が発揮されるため、硬化する領域を
広くでき、従って強度が大幅に上昇する。このため、例
えばプレス成形したメンバー等の部品に対し、その必要
な部分のみをレーザ処理することによって強度を維持し
つつメンバーに加工する時点では加工性の維持に必要な
変形能を併せ持つことができる。
した凝固域を形成すると、ビード部のみならず、ビード
の隣接領域においても焼入硬化部が形成される。一方レ
ーザ照射のように急速加熱でしかも高温保持が行われな
い場合には、通常炭化物の溶け込みと合金成分の均一化
を達成する時間が不十分となる。そこで本発明において
は、素材である鋼の組織や合金組成を、溶け込みや均一
化に有効な成分および組織としたのである。特に上記レ
ーザ処理条件に対応した成分、組織としたことは非常に
重要な意味を有するのである。こうすることによって炭
素量や合金量を不必要に増やす必要がなくなり、素材の
加工性を合わせて確保することが可能になる。本発明鋼
の場合には上記効果が発揮されるため、硬化する領域を
広くでき、従って強度が大幅に上昇する。このため、例
えばプレス成形したメンバー等の部品に対し、その必要
な部分のみをレーザ処理することによって強度を維持し
つつメンバーに加工する時点では加工性の維持に必要な
変形能を併せ持つことができる。
【0035】また成形品の種類によってはプレス成形に
影響を及ばさない部分のみをレーザ照射等によって高強
度化することもあり、そのような場合には、プレス成形
する前にレーザ等の照射を行う方が、平板状態での処理
が可能であるため照射処理性が良好であり、且つ処理材
の特性の信頼性の確保も容易であるから、プレス成形す
る前にレーザ等によって高強度化しても、製品の強度と
プレス成形時の加工性を合わせ持たせることが可能であ
る。
影響を及ばさない部分のみをレーザ照射等によって高強
度化することもあり、そのような場合には、プレス成形
する前にレーザ等の照射を行う方が、平板状態での処理
が可能であるため照射処理性が良好であり、且つ処理材
の特性の信頼性の確保も容易であるから、プレス成形す
る前にレーザ等によって高強度化しても、製品の強度と
プレス成形時の加工性を合わせ持たせることが可能であ
る。
【0036】
【実施例】表1に示した成分の材料を溶製し、圧延によ
って1.4mm厚さの板とし、組織調整を行った。特性の
評価はレーザ照射をしていないサンプルと、レーザ照射
をしたサンプルの2種類について行った。特に成形性の
評価は素材の成形性を問題としている為、レーザ照射前
のサンプルについて行った。レーザ照射は直線状に行
い、5mm間隔に3本の照射を行った。なおそのときのレ
ーザ出力は3kw、走査速度は3m/min とし、レーザの
焦点位置を板内として、溶融相が板厚を貫通する状態で
走査した。レーザ照射線が試験片の中央部に位置するよ
うにJIS5号引張試験片を加工して引張試験を行っ
た。
って1.4mm厚さの板とし、組織調整を行った。特性の
評価はレーザ照射をしていないサンプルと、レーザ照射
をしたサンプルの2種類について行った。特に成形性の
評価は素材の成形性を問題としている為、レーザ照射前
のサンプルについて行った。レーザ照射は直線状に行
い、5mm間隔に3本の照射を行った。なおそのときのレ
ーザ出力は3kw、走査速度は3m/min とし、レーザの
焦点位置を板内として、溶融相が板厚を貫通する状態で
走査した。レーザ照射線が試験片の中央部に位置するよ
うにJIS5号引張試験片を加工して引張試験を行っ
た。
【0037】表2は試験結果を示す。表2において照射
前として示した値はレーザ照射を行わない試験片におけ
る引張試験の結果であり、また加工性の指標(r値)は
レーザ照射を行わない試験片における試験結果を示すも
のである。
前として示した値はレーザ照射を行わない試験片におけ
る引張試験の結果であり、また加工性の指標(r値)は
レーザ照射を行わない試験片における試験結果を示すも
のである。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】鋼7は炭素量が0.01%と少ないために
十分な強度上昇が得られていない。鋼8は炭素量は十分
であるが、Mn量が0.21%と少ないために十分な強
度上昇が得られていない。鋼9〜19は成分範囲は良い
が、組織がフェライト+パーライトであるために強度上
昇率と加工性(λ)のバランスが悪い(図2にグラフと
して示した)。
十分な強度上昇が得られていない。鋼8は炭素量は十分
であるが、Mn量が0.21%と少ないために十分な強
度上昇が得られていない。鋼9〜19は成分範囲は良い
が、組織がフェライト+パーライトであるために強度上
昇率と加工性(λ)のバランスが悪い(図2にグラフと
して示した)。
【図1】レーザ照射条件と強度上昇率の関係。
【図2】フェライト+パーライト鋼とフェライト+ベー
ナイト鋼のレーザ処理特性の比較を示す図。
ナイト鋼のレーザ処理特性の比較を示す図。
【図3】炭化物サイズとレーザ照射時の強度上昇率の関
係を示す図。
係を示す図。
【図4】K1 値と引張応力の上昇量との関係を示す図。
【図5】K2 値と引張応力の上昇量との関係を示す図。
【図6】レーザ照射部の硬さ(Hv)分布を示す図。
【図7】レーザ照射部の硬さ(Hv)分布を示す図。
【図8】実施例における加工とレーザ処理を示す図。
【図9】レーザ照射部の金属組織を示す図面代用写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 裕 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 中村 真一郎 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 槙井 浩一 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 十代田 哲夫 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 田中 福輝 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内
Claims (4)
- 【請求項1】 高密度エネルギー源を鋼板表面に照射し
板厚を貫通した凝固域を形成することにより高強度化し
て使用する、高強度化特性に優れた高加工性鋼板であっ
て、 C :0.02〜0.3%(重量%の意味、以下同じ) Si:1.5%以下 Mn:0.3〜2.5% を含み、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、かつ
ベイナイトとフェライトからなる組織を有することを特
徴とする、高密度エネルギー源照射処理により優れた高
強度化特性を発揮することを特徴とする高加工性鋼板。 - 【請求項2】 K1 =(Mn%+0.25・Si%)×
C%の計算式で与えられるK1 値が0.1以上である請
求項1に記載の高加工性鋼板。 - 【請求項3】 合金元素として、更に、 Cr:2.5%以下 Mo:1.0%以下 B :50ppm 以下 いずれか1種以上を含み、 K2 =(Mn%+Cr%+Mo%+250・B%+0.
25・Si%)×C% の計算式で与えられるK2 値が0.1以上である請求項
1または2に記載の高加工性鋼板。 - 【請求項4】 合金元素として、更に、 Cu:2.5%以下 Ni:1.5%以下 P :0.15%以下 Nb:0.2%以下 Ti:0.2%以下 Zr:0.1%以下 V :0.1%以下 W :0.1%以下 のいずれか1種以上を含むものである請求項1〜3のい
ずれかに記載の高加工性鋼板。
Priority Applications (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23056992A JPH0673438A (ja) | 1992-08-28 | 1992-08-28 | 高密度エネルギー源の照射による高強度化特性に優れた高加工性鋼板 |
| EP93113769A EP0585843A3 (en) | 1992-08-28 | 1993-08-27 | High-formability steel plate with a great potential for strength enhancement by high-density energy treatment |
| US08/308,611 US5529646A (en) | 1992-08-28 | 1994-09-19 | Process of Producing high-formability steel plate with a great potential for strength enhancement by high-density energy |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23056992A JPH0673438A (ja) | 1992-08-28 | 1992-08-28 | 高密度エネルギー源の照射による高強度化特性に優れた高加工性鋼板 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0673438A true JPH0673438A (ja) | 1994-03-15 |
Family
ID=16909810
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP23056992A Pending JPH0673438A (ja) | 1992-08-28 | 1992-08-28 | 高密度エネルギー源の照射による高強度化特性に優れた高加工性鋼板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0673438A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20160078676A (ko) * | 2014-12-24 | 2016-07-05 | 주식회사 포스코 | 레이저 경화형 저탄소 강판의 제조방법 |
| JP2020530068A (ja) * | 2017-08-09 | 2020-10-15 | ポスコPosco | 表面品質、強度、及び延性に優れためっき鋼板 |
-
1992
- 1992-08-28 JP JP23056992A patent/JPH0673438A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20160078676A (ko) * | 2014-12-24 | 2016-07-05 | 주식회사 포스코 | 레이저 경화형 저탄소 강판의 제조방법 |
| JP2020530068A (ja) * | 2017-08-09 | 2020-10-15 | ポスコPosco | 表面品質、強度、及び延性に優れためっき鋼板 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020205 |