JPH0673440A - 高密度エネルギー源の照射による高強度化特性に優れた高加工性鋼板 - Google Patents

高密度エネルギー源の照射による高強度化特性に優れた高加工性鋼板

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JPH0673440A
JPH0673440A JP23057492A JP23057492A JPH0673440A JP H0673440 A JPH0673440 A JP H0673440A JP 23057492 A JP23057492 A JP 23057492A JP 23057492 A JP23057492 A JP 23057492A JP H0673440 A JPH0673440 A JP H0673440A
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less
strength
steel sheet
steel
energy source
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JP23057492A
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English (en)
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Hiroki Nakajima
裕樹 中嶋
Yoshiro Tomioka
良郎 富岡
Yutaka Suzuki
裕 鈴木
Shinichiro Nakamura
真一郎 中村
Koichi Makii
浩一 槙井
Tetsuo Toyoda
哲夫 十代田
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Kobe Steel Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工時には優れた加工性を示し、一方高密度
エネルギー源からの照射によって高強度化して使用する
ことができる様な素材、即ち加工時の加工性と使用時の
高強度特性を合わせ発揮することができる様な、高強度
化の可能な鋼板を提供する。 【構成】 高密度エネルギー源を鋼板表面に照射し板厚
を貫通した凝固域を形成することにより高強度化して使
用する、高強度化特性に優れた高加工性鋼板であって、 C :0.02〜0.3% Si:1.5%以下 Mn:2.5%以下 を含み、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、かつ
1 =(Mn%+0.25・Si%)×C%の計算式で
与えられるK1 値が0.01以上であリ、しかもフェラ
イトとパーライト(及び/又はセメンタイト)からなる
組織を有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工時には優れた加工
特性を有し、なおかつ高密度エネルギー源からの照射に
よって高強度化して使用することができるような鋼板に
関するものである。なお以下の説明においては、自動車
用部材のひとつであるメンバー類を代表的に取り上げて
説明するが、本発明鋼板の適用対象はこれによって制限
されるものではなく、上記両特性の要求される分野に対
しては広く利用することができる。
【0002】
【従来の技術】自動車用部材、特にメンバー類等は加工
性と強度の2つの相反する特性が要求されている。即ち
メンバー類を自動車ボディの滑らかな曲線に添わせるよ
うに配置するためには優れた加工性を有していることが
必要であり、一方いったん装着した後は、走行中の衝突
事故に対して優れた防護作用を発揮するという立場から
所定の部分が希望強度まで高強度化されておらなければ
ならない。そこで加工性に富んだ軟鋼板をプレス成形し
た後で高密度エネルギー源による照射を行い、該プレス
成形部品の所定部分を高強度化するという技術が提案さ
れている(特開昭61−99629)。しかしながら前
記特許公開公報に記載された照射条件によれば、高強度
エネルギー源から例えばレーザ照射を行うと、板厚方向
における熱影響の度合いが不均一となって形状に歪みを
生じ、レーザ処理後の形状修正が必要になること、並び
にレーザ処理の必要照射本数が非常に多くなり、全処理
時間が長くなってしまうという点で実用化が妨げられて
いた。
【0003】このようなプレス成形及びその後のレーザ
硬化処理を基本構成とする本技術はプレスラインにおい
て部品をプレス加工した後に高密度エネルギー源による
照射を施す点に特徴があるが、これまで検討されてきた
範囲では、高密度エネルギー源による照射条件と対象鋼
組織との組み合わせをどのように工夫すれば、歪みを少
なくすることができ、しかも十分な強度の上昇を得るこ
とができるか等について、全く知見が得られていない。
そのため、高密度エネルギー源による処理条件と鋼組織
との好ましい組み合わせに関する知見を確立することが
切望されていた。換言すれば、プレス成形時には十分な
加工性を有し、加工後は高密度エネルギー源による処理
によって強度が大幅に上昇し得る様な素材鋼板の開発が
望まれていた。
【0004】特開平4−72010にも、プレス成形品
にレーザ照射を行い強度上昇をはかる技術が開示されて
いる。この特許公開公報においては炭素鋼板を用いてレ
ーザ処理を行ったものでは、強度上昇が得られる旨示さ
れている。しかしながらこの特許公開公報においては、
鋼板組成に関しては炭素量に言及しているのみで、炭素
以外の合金成分や鋼板の組織については全く言及してお
らず、したがって合金成分および組織とレーザ処理条件
についての関係、さらにはそれらと強度上昇量の関係に
ついては全く知見が得られていない。本発明者等の研究
によれば、レーザ処理時の強度上昇は、レーザ処理条件
だけではなく、合金成分や組織にも大きく依存している
ことが明らかになった。従ってレーザ処理によって大幅
な強度上昇を得るためには、この関係を明確にすること
が必要であった。
【0005】なお、特開昭61−261462には加工
性に優れたレーザ加工用鋼板に関する知見が示されてい
るが、ここではレーザ切断を行った後にプレス成形等の
加工を行う場合の加工性が問題とされている。これに対
し本発明はレーザ照射による硬化処理を目的とするもの
であり、同じレーザ照射とは言っても上記公開公報のよ
うな切断加工を目的とするものではない点で、技術分野
も技術内容も全く異なるものである。
【0006】更に特開平1−259118には、プレス
用素材の強化必要部位に対して急速再溶融−急速再凝固
処理を行って結晶粒の微細化を図り高強度化する技術が
開示されている。しかしこの公開公報発明は、使用時に
裏面となる部位のみを溶融させるものであり、後に詳述
するような本発明の貫通溶融法とは異なって大きな残留
歪みが生じ、なおかつ十分な強度上昇効果が得られな
い。また上記公開公報発明は強化のメカニズムが結晶粒
の微細化にあり、焼入組織を得るものではない。この点
においても焼入組織の形成をメカニズムとする本発明と
は区別される。このように従来知られている方法は、本
発明で採用する様な後述の方法と比べて本質的に異なっ
た方法と言わなければならない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、高密度
エネルギー源による処理性におよぼす合金元素の種類や
組織の影響を鋭意研究した結果、ある一定の照射条件の
もとにおいては、鋼板の合金成分を特定の範囲とし、か
つ構成組織を規定することによって、従来の鋼板におい
ては得られなかった様な優れた処理特性が得られること
を見い出して本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によって提供され
る鋼板は、加工時には優れた加工性を示しながら、レー
ザ照射等の様な高密度エネルギー源からの照射を行って
板厚を貫通する様な凝固域を形成した場合には、十分な
高強度化を発揮し、そのことにより広範囲の用途に使用
することができるものであって、高強度化特性に優れた
高加工性鋼板である。
【0009】本発明にかかる高加工性鋼板の合金組成
は、 C :0.02〜0.3% Si:1.5%以下 Mn:2.5%以下 を含み、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、かつ
C,Si,Mnの含有量によって下記計算式で計算され
るK1 値が0.01以上を満足するという条件の下で
(より好ましくは0.05以上で)、 K1 =(Mn%+0.25・Si%)×C% しかも、フェライトに加えてパーライト及び/又はセメ
ンタイトが共存する組織を有することことにより、レー
ザ処理前の高加工性とレーザ処理後の高強度化において
より確実で優れた効果を発揮することが確かめられてい
る。
【0010】本発明における基本的合金組成は上記のと
おりであるが、また本発明の高加工性鋼板は、前記C,
Si,Mnの他、 Cr:2.5%以下 Mo:1.0%以下 B :50ppm 以下 のいずれか1種以上を必須成分として含むものであって
もよい。但しこのような付加成分を含有する場合の前記
1 値を求める計算式は、次の様に変更される。そして
下記計算式で与えられるK2 値も0.05以上であるこ
とが望まれる。 K2 =(Mn%+Cr%+Mo%+250・B%+0.
25・Si%)×C%
【0011】また本発明の高加工性鋼板は、前記C,S
i,Mnの他、 Cr:2.5%以下 Mo:1.0%以下 B :50ppm 以下 のいずれか1種以上および/または Cu:2.5%以下 Ni:1.5%以下 P :0.15%以下 Nb:0.2%以下 Ti:0.2%以下 Zr:0.1%以下 V :0.1%以下 W :0.1%以下 のいずれか1種以上を含むものであってもよい。
【0012】
【作用】まず、高強度エネルギー源による照射条件につ
いて述べる。ここでは高密度エネルギー源としてレーザ
を用いた例を示したが、プラズマ等を用いることもでき
る。図1には、C:0.10%、Si:0.01%、M
n:0.90%、Al(脱酸性元素として添加したこと
による不可避的不純物):0.032%、残部Fe及び
不可避的不純物からなる鋼材を試験片(板厚1.4mm)
とし、レーザ照射条件を種々変更して強度上昇量との関
係を示したが、エネルギー密度が100J/mm2 以上とな
る様な照射を行うと、大幅な強度上昇が得られることが
分かる。この範囲は板厚を貫通する溶融相を形成する条
件であり、このような条件にすることによって強度の大
幅な上昇が可能となるのである。またそのような条件に
することによって板厚方向に生じる歪が解放されるた
め、処理後の残留歪を非常に小さく抑えることができ
る。
【0013】次に組織と強度上昇量の関係について述べ
る。一般に冷間加工用としては軟質の材料、例えばパー
ライトとフェライトからなる組織を有するものが使用さ
れ、より一層軟質の材料が欲しい時には粗大な球状化セ
メンタイト組織を有するものが選ばれる。
【0014】図2にはフェライト+パーライト(及び/
又はセメンタイト:以下同様にパーライトで代表する)
鋼の場合、並びにフェライト+粗大な球状化セメンタイ
ト鋼の場合について、それぞれ強度(引張応力)とレー
ザ処理による強度上昇量の関係を示した。この図から分
かる様に、フェライト+パーライト鋼の場合は、フェラ
イト+粗大な球状化セメンタイト鋼の場合に比べて、同
一強度における強度上昇量が優れている。即ち加工性と
その後の強度上昇量とのバランスを見ると、フェライト
+パーライト鋼の方が優れていることが分かる。この原
因について鋭意研究を行った結果、炭化物サイズの他、
合金成分がある条件範囲に含まれていることが、加工性
と強度上昇量のバランスを良くする上で必須不可欠であ
ることが分かった(後記実施例参照)。
【0015】また図3には炭化物サイズの短辺長さと強
度上昇量の関係を示した。炭化物のサイズは断面組織を
SEMにより観察し、炭化物の短辺(円形断面の場合に
は直径)を写真上で測定した。図3から明らかな様に炭
化物の短辺サイズが1μmを超えると強度上昇量が低下
してくる。つまり、パーライト組織を生成させることに
よって、炭化物サイズを微細にし、なおかつ合金成分を
規定することによってはじめて加工性保持と大幅な強度
上昇との間に優れたバランスが得られることが分かっ
た。
【0016】この原因としては以下の様に考えることが
できる。1つは、レーザ照射によって形成される硬化相
の面積が、上記の条件を満足する場合には大面積になる
ことが挙げられる。即ちレーザ処理実験において板厚を
貫通する様な凝固相を形成したものについて、レーザ処
理後の断面組織を見たところ、フェライト+パーライト
組織であり、且つ上記条件を満足していたもの(図10
の(a)参照)では硬化相の面積が大きくなっていた
が、フェライト+パーライト組織であっても粗大に球状
化したもの(図10の(b)参照)では、上記条件を満
足していないため硬化相の面積が小さかった。つまり炭
化物の短辺サイズが1μm以下で,なおかつ合金成分が
ある範囲に含まれているものでは、炭化物の溶け込み等
に違いができ、その結果として硬化面積が大きくなった
ものと考えられる。
【0017】またフェライト+パーライト組織の鋼板の
データについて、 K1 =(Mn%+0.25・Si%)×C% の計算式で得られる値と強化量の関係をまとめ、その結
果を図4に示した。図4において(b)は(a)の要部
拡大図である。図4から明らかである様に、K1値を
0.01以上にしたものでは大きな強度上昇が得られて
いる。レーザ照射による強化量としては50MPa以上
の上昇が得られない限り実用上有効との評価は得られな
いが、ここで50MPa未満の強化量上昇しか得られて
いないのは、炭素量が0.02%未満のもの、およびM
n量が0.3%未満のものである。結局これらの図から
分かるようにK1 値が0.01以上、好ましくは0.0
5以上とすることが有効であることが分かる。
【0018】本発明の必須的添加元素は上記したC,S
i,Mnであるが、後述する様に、これら必須元素以外
にCr,Mo,Bの3元素を同効元素として添加するこ
ともでき、これらの諸元素を添加した場合における各添
加合金元素の作用効果は、図5の様に示すことができ
る。即ち図5は各元素の添加による効果を、 K2 =(Mn%+Cr%+Mo%+250・B%+0.
25・Si%)×C% と強化量の関係で整理して示したものであり、Cr,M
o,Bの添加効果はK2の値で整理することができる。
2 の値も0.05以上になると大幅な強度上昇が可能
であることが分かる。
【0019】また図6,7には、本発明の合金成分条件
を満足する場合(発明鋼)と、満足していない場合(比
較鋼)の夫々について、レーザ照射部における断面の硬
さ分布を示した。図6中の比較鋼(No.4)はK1
が0.01以下であり、鋼組織をフェライト+パーライ
トとして仕上げているにもかかわらず、焼入れ性が不足
しているため十分な硬さが得られていない。また図7中
の比較鋼(No.22)の場合は、合金成分条件的には
本発明を満足しているため最高硬さは十分に得られてい
るが、フェライト+粗大な球状化セメンタイト組織であ
ったため、硬化域の幅が小さい。これは単に焼入れ性だ
けで理解できる現象ではなく、合金成分による変態点の
違いと、炭化物サイズの違いによる溶け込み方の違いに
よって硬化域の幅が小さくなったものと考えられる。
【0020】図8には炭素含有量とレーザ処理による強
度上昇量との関係を示したが、同一炭素量でも強度上昇
量にバラツキの存在することが分かる。この理由は炭素
量の違いだけでなく、他の諸元素による影響をも総合的
に判断しなければならないことによって説明される。
【0021】次に、本発明鋼板における合金成分の限定
理由について説明する。本発明鋼は、特にプレス成形等
の冷間加工用途に好適なものでなければならずこのため
にはCはその添加量が少ないほど好ましい。しかし反面
ではレーザ照射等による強度上昇が重要課題であるた
め、この課題を達成するためには、少なくとも0.02
%の添加が必要である。例えば0.01%程度のC添加
量の場合には、後述するようにレーザ照射による強度改
善効果はあまり得られない。他方Cを過多に添加すると
きは鋼板の加工性、さらには溶接性を著しく劣化させる
のでCの上限は0.30%とする。
【0022】Siはレーザ処理性改善のために添加する
が、1.5%を超えると表面肌荒れを起こすので、上限
を1.5%とした。Mnはレーザ加工による強度上昇に
必須の元素であり、その添加量に応じて強度上昇に寄与
するが、あまり多量に添加すると鋼板の冷間成形性を損
なうので、添加量の上限は2.5%と定めた。尚Mnの
添加効果を有効に発揮させる為には0.3%以上の添加
が推奨される。
【0023】本発明鋼における必須的含有元素は上記の
とおりであり、残部はFe及び不可避的不純物である
が、所望によっては以下に示す様な元素を添加すること
もできる。Crはレーザ処理による強度上昇に有効であ
るが、必要以上多量に添加することは不経済であるの
で、上限を2.5%とした。
【0024】Moはレーザ処理による強度上昇に有効で
あるが、多量の添加は経済性を損なうので上限を1.0
%とする。Bはレーザ加工による強度上昇に有効な元素
であるが、50ppm 以上添加すると母材の延性を著しく
劣化させるので、上限を50ppm とした。
【0025】上記3元素は添加効果の大きいものとして
特に有意義なものであって、前記したK2 の値に重要な
影響を与えるものであるが、これらの他更に次の様な元
素を添加していくこともできる。
【0026】Cuは時効析出によって素材強度を確保す
る機能を発揮するものであり、しかも母材の耐食性を向
上させることができるので、素材の特性向上元素として
有効である。しかしながら多量に添加する場合には鋼板
に表面疵を生じさせるので、Niとの複合添加によって
その改善をはかることが必要になる。従って本発明鋼に
おいてはCuとNiを複合添加するとともに、その添加
量はCuに関しては2.5%以下、Niに関してはその
コストを考慮して1.5%以下とするのが望ましい。
【0027】Pは含有量を少なくすることによって冷間
加工性を向上できるが、鋼の強化元素としても期待され
るので、必要に応じて添加することもある。しかし0.
15%を超えて多量に添加すると、鋼の脆化が著しくな
るので添加量は0.15%以下とする。
【0028】Nb,Tiの各元素は鋼の強度上昇に有効
であるが、経済的制約から上限を0.2%とする。Z
r,V,Wの各元素は同様に鋼の強度上昇に有効である
が、経済的制約から上限は0.1%とする。
【0029】またREMおよびCaは鋼の介在物形態を
制御するために添加しても良いが、過多に添加すると介
在物量が増えて鋼板の冷間加工性および靭性を劣化させ
るので、上限をそれぞれ0.02%とする。Mgは水素
脆化防止効果があり、レーザ処理部の水素脆化防止効果
のために添加しても良い。但し経済的な理由から上限を
0.01%とする。
【0030】本発明鋼中に含まれ得る不純元素としては
N,O等の他、脱酸性元素として添加することのあるA
lを挙げることもできる。特にアルミキルド鋼の場合は
不可避的に混入してくるが、0.1%を超えるとc系介
在物を多く生成して表面傷の原因となるので、その上限
は0.1%と定める。
【0031】以上述べたように本発明鋼は、素材段階で
は優れた冷間加工性を示し、いったん加工した後は所望
部分をレーザ照射等によって高強度化されるので、使用
条件の下では大幅な強度上昇が可能である。
【0032】本発明におけるレーザ照射等は、上記鋼板
の強度を高めるものであるから、必要な箇所を適切に選
択して照射部を選択すべきである。従って、(1)加工
必要部と強度上昇必要部が部位的に重なっている場合等
は、材料鋼板を予め所定の形状に加工し、しかる後強度
上昇の必要な部位を狙ってレーザ照射を行うことが推奨
されるが、(2)加工必要部と強度上昇必要部が部位的
に十分区別できる場合等は、材料鋼板に対して強度上昇
の必要な部位を狙ってレーザ照射を行い、しかる後に加
工を行うようにしても良い。
【0033】後者の例としては図9に示す場合が挙げら
れる。図9において1は素材鋼板、2は山折れ線、3は
谷折れ線、4はレーザ照射部、5は成形品(前記メンバ
ー)を夫々示し、(a)は素材鋼板の平面図、(b)は
加工部とレーザ照射部の位置分けを示す平面説明図、
(c)は成形品外観を示す斜視説明図であり、まず
(b)に示すように加工部である山折れ線2と谷折れ線
3を避けてレーザ照射を行い、しかる後(c)に示すよ
うに所定形状に加工する。なお図示した形状の場合であ
っても、素材鋼板を先に所定形状に加工し、しかる後、
必要部位にレーザ照射を行う様にしてもよいことは言う
でもない。
【0034】なお、本発明の鋼板は熱延ミル、冷延ミル
のいずれの方法によっても製造することができ、また本
発明の鋼板は各種の表面処理、例えば亜鉛めっき等のめ
っきを施したものとして提供することもできる。
【0035】
【発明の効果】本発明鋼にレーザ照射を行い板厚を貫通
した凝固域を形成すると、ビード部のみならず、ビード
の隣接領域においても焼入硬化部が形成される。一方レ
ーザ照射のように急速加熱でしかも高温保持が行われな
い場合には、通常炭化物の溶け込みと合金成分の均一化
を達成する時間が不十分となる。そこで本発明において
は、素材である鋼の組織や合金組成を、溶け込みや均一
化に有効な成分および組織としたのである。特に上記レ
ーザ処理条件に対応した成分、組織としたことは非常に
重要な意味を有するのである。こうすることによって炭
素量や合金量を不必要に増やす必要がなくなり、素材の
加工性を合わせて確保することが可能になる。本発明鋼
の場合には上記効果が発揮されるため、硬化する領域を
広くでき、従って強度が大幅に上昇する。このため、例
えばプレス成形したメンバー等の部品に対し、その必要
な部分のみをレーザ処理することによって強度を維持し
つつメンバーに加工する時点では加工性の維持に必要な
変形能を併せ持つことができる。
【0036】また成形品の種類によってはプレス成形に
影響を及ばさない部分のみをレーザ照射等によって高強
度化することもあり、そのような場合には、プレス成形
する前にレーザ等の照射を行う方が、平板状態での処理
が可能であるため照射処理性が良好であり、且つ処理材
の特性の信頼性の確保も容易であるから、プレス成形す
る前にレーザ等によって高強度化しても、製品の強度と
プレス成形時の加工性を合わせ持たせることが可能であ
る。
【0037】
【実施例】表1に示した成分の材料を溶製し、圧延によ
って1.4mm厚さの板とし、組織調整を行った。特性の
評価はレーザ照射をしていないサンプルと、レーザ照射
をしたサンプルの2種類について行った。特に成形性の
評価は素材の成形性を問題としている為、レーザ照射前
のサンプルについて行った。レーザ照射は直線状に行
い、5mm間隔に3本の照射を行った。なおそのときのレ
ーザ出力は3kw、走査速度は3m/min とし、レーザの
焦点位置を板内として、溶融相が板厚を貫通する状態で
走査した。レーザ照射線が試験片の中央部に位置するよ
うにJIS5号引張試験片を加工して引張試験を行っ
た。
【0038】表2はその結果を示す。表2において照射
前として示した値はレーザ照射を行わない試験片におけ
る引張試験の結果であり、また加工性の指標(r値)は
レーザ照射を行わない試験片における試験結果を示すも
のである。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】鋼1〜7はK1 値が0.01より低い為十
分な強度上昇が得られていない。鋼22はK1 は大きい
が組織が球状化組織となっている為十分な強度上昇が得
られていない。鋼26は組織がフェライト+パーライト
となっているにもかかわらず、K1 値が0.002と小
さい為、強度上昇が十分には得られていない。鋼8,9
はNb或はP,Cu,Ni添加によって素材強度の改善
が見られ、且つK1 値が0.01以上であり、強度上昇
量も十分である。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザ照射条件と強度上昇率の関係。
【図2】フェライト+パーライト鋼(球状化しているも
のを含む)のレーザ処理特性の比較を示す図。
【図3】炭化物粒径(短辺サイズ)とレーザ照射時の強
度上昇率の関係を示す図。
【図4】K1 値と引張応力の上昇量との関係を示す図。
【図5】K2 値と引張応力の上昇量との関係を示す図。
【図6】レーザ照射部の硬さ(Hv)分布を示す図。
【図7】レーザ照射部の硬さ(Hv)分布を示す図。
【図8】炭素含有量とレーザ処理による強度上昇量との
関係を示す図。
【図9】実施例における加工とレーザ処理を示す図。
【図10】レーザ照射部の金属組織を示す図面代用写
真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 裕 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 中村 真一郎 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 槙井 浩一 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 十代田 哲夫 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高密度エネルギー源を鋼板表面に照射し
    板厚を貫通した凝固域を形成することにより高強度化し
    て使用する、高強度化特性に優れた高加工性鋼板であっ
    て、 C :0.02〜0.3%(重量%の意味、以下同じ) Si:1.5%以下 Mn:2.5%以下 を含み、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、かつ
    1 =(Mn%+0.25・Si%)×C%の計算式で
    与えられるK1 値が0.01以上であリ、しかもフェラ
    イトに加えてパーライト及び/又はセメンタイトが共存
    する組織を有することを特徴とする、高密度エネルギー
    源照射処理により優れた高強度化特性を発揮することを
    特徴とする高加工性鋼板。
  2. 【請求項2】 K1 =(Mn%+0.25・Si%)×
    C%の計算式で与えられるK1 値が0.05以上である
    請求項1に記載の高加工性鋼板。
  3. 【請求項3】 合金元素として、更に、 Cr:2.5%以下 Mo:1.0%以下 B :50ppm 以下 のいずれか1種以上を含み、 K2 =(Mn%+Cr%+Mo%+250・B%+0.
    25・Si%)×C% の計算式で与えられるK2 値が0.05以上である請求
    項1または2に記載の高加工性鋼板。
  4. 【請求項4】 合金元素として、更に、 Cu:2.5%以下 Ni:1.5%以下 P :0.15%以下 Nb:0.2%以下 Ti:0.2%以下 Zr:0.1%以下 V :0.1%以下 W :0.1%以下 のいずれか1種以上を含むものである請求項1〜3のい
    ずれかに記載の高加工性鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5852947A (en) * 1996-02-28 1998-12-29 Ntn Corporation Main shaft gear mechanism in a transmission for a vehicle
KR20020031709A (ko) * 2000-10-23 2002-05-03 이계안 국부 강화형 초고강도 고장력 강판 조성물
KR100467487B1 (ko) * 2001-10-26 2005-01-24 현대자동차주식회사 자동차용 강판의 강성강화 방법 및 그 성형품

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