JPH067489B2 - 可撓性を有する撥水性焼成カ−ボン基板とその製法並びに燃料電池用電極と燃料電池 - Google Patents

可撓性を有する撥水性焼成カ−ボン基板とその製法並びに燃料電池用電極と燃料電池

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JPH067489B2
JPH067489B2 JP59216229A JP21622984A JPH067489B2 JP H067489 B2 JPH067489 B2 JP H067489B2 JP 59216229 A JP59216229 A JP 59216229A JP 21622984 A JP21622984 A JP 21622984A JP H067489 B2 JPH067489 B2 JP H067489B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、可撓性をもたせた撥水性焼成カーボン基板と
その製造法、該カーボン基板を用いた燃料電池用電極並
びに燃料電池に関する。
本発明のカーボン基板は、メタノール燃料電池の電極用
基板として使用するのに好適であり、特に単電池を複数
個積層し積層地としたものに使用するのが好適である。
〔発明の背景〕
メタノール燃料電池或はリン酸を電解質とし水素を燃料
とする燃料電蓄において、電極は通常、多孔質導電性基
板と触媒層とから構成される。多孔質導電性基板にはカ
ーボン基板が多く用いられており、なかでもメタノール
燃料電都ではカーボンペーパが用いられることが多い。
この種の燃料電池用電極の一例が特開昭56−96458号公
報に記載されている。
この公報には、開放細孔を有する導電性炭素布の表面
に、触媒炭素粒子と撥水性結着剤との均一混合物よりな
る触媒層を形成して燃料電池用電極とすることが記載さ
れている。開放細孔を有する導電性炭素布は、予備焼成
炭素質織物類を高温で炭化して作られること、触媒炭素
粒子は炭素担体粒子上に析出した触媒金属粒子を含むこ
とが記載されている。
本発明者らの研究によれば、炭素質織物類を炭化したも
のは非常に脆い。たとえばカーボン繊維と有機系バイン
ダーよりなるカーボンペーパは、わん曲されるとたやす
く折れて分断してしまう。カーボンペーパが脆いこと
は、前記公報の中でも記載されている。たとえば第4頁
左下欄5〜10行参照。
このように脆いカーボン基板を用いて電極を作り、積層
構造の燃料電池を組み立てるときには非常に問題が多
い。たとえば単電池を積層し締付けを行う際にカーボン
基板が破断してしまう。カーボン基板が破断すると燃料
洩れ或は酸化剤洩れが生じる。更に燃料電池を移動電源
として使用するときにも問題が多く、何度かくり返し使
用しているうちにカーボン基板が破損し、やはり燃料洩
れ或は酸化剤洩れを生じてしまう。
メタノール燃料電池は、燃料の安全性や電池電圧が低い
ことなどから小型移動電源に適しており、たとえば家庭
電気製品の移動電源、レジャー用電気製品の電源として
有望である。したがつて電力用燃料電池等の静置型に比
し、電池形状そのものの多様化や製品としての振動等に
対する耐久性が要求される。脆いカーボン基板を、この
ような移動電源用メタノール燃料電池に使用するのは不
適当である。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、カーボンペーパを用いた可撓性を有す
る燃焼基板を提供するにある。
本発明の他の目的は、カーボンペーパを用いた可撓性を
有する焼成基板の製造法を提供するにある。
本発明の更に他の目的は、カーボンペーパを用い可撓性
を付与した撥水性焼成基板を導電性基板として有する燃
料電池用電極およびかかる電極を用いた燃料電極を提供
するにある。
〔発明の概要〕
本発明の焼成基板は、カーボンペーパの空隙部にポリテ
トラフルオロエチレンが含浸されたものからなり且つカ
ーボンペーパを構成するカーボン繊維が細かく切断さ
れ、該切断部の1箇所以上に前記ポリテトラフルオロエ
チレンが含浸されている。
本発明は、市販のカーボンペーパにポリテトラフルオロ
エチレンを被覆し焼成したのち圧延加工したものが可撓
性を有するという発見に基づいている。
市販のカーボンペーパは、カーボン繊維とバインダーよ
り成つており、2000℃以上の高温で焼成されて炭化して
いる。カーボンペーパとしては、種々の厚さのものが市
販されており、メタノール燃料電池用には0.1〜1mm
の厚さのものが適する。市販のカーボンペーパのバイン
ダーにはフエノール樹脂等の有機系バインダーが使用さ
れており、このバインダーも高温での焼成により炭化し
ている。すなわち市販の焼成カーボンペーパにおいて
は、バインダーは結着剤としての機能を全く有していな
いか或は殆ど有していない。
このように炭化したカーボンペーパは、円弧状に少し折
り曲げただけで容易に破断してしまうことは既に述べた
とおりである。
カーボンペーパを燃料電池用電極の基板に用いる場合に
は、撥水化処理して用いることが多い。撥水化処理は、
たとえばポリテトラフルオロエチレンけんだく液をカー
ボンペーパに含浸することにより行われる。
本発明者らは、このようにカーボンペーパをポリテトラ
フルオロエチレンで処理したものを焼成後、圧延するこ
とによつて可撓性を付与させることに成功し、可撓性と
撥水性を具えた焼成カーボン基板を得ることに成功し
た。更に圧延後、焼成するようにしも可撓性を付与でき
ることを知つた。但し、この場合には、圧延後の焼成に
よる基板の変形がごく僅かではある。
市販のカーボンペーパをポリテトラフルオロエチレンで
処理したのち焼成,圧延したもの或は圧延後焼成したも
のについて、その構造を調べたところ次の構成を有する
ことわかつた。すなわち、カーボンペーパにおけるカー
ボン繊維が細かく切断されており、カーボン繊維間の空
隙部の実質的全部およびカーボン繊維切断部の少なくと
も1つにポリテトラフルオロエチレンが含浸された構造
を有する。
圧延前のカーボン基板には、カーボン繊維の切断部は殆
ど見られず、カーボン繊維間の空隙部にのみポリテトラ
フルオロエレンが含浸されている。本発明のカーボン基
板は、圧延によつてカーボン繊維が切断され、そこへカ
ーボン繊維間の空隙部に含浸されていたポリテトラフル
オロエチレンの一部が押し流されて侵入している。
本発明のカーボン基板においてカーボン繊維の切断部の
数は、1mm2当り20個以上が望ましく、なるべく30
0個を超えないことが望ましい。カーボン繊維の切断部
の数が少ないと可撓性が付与されず、多すぎると強度的
に弱いものとなり、燃料電池電極用基板として適さな
い。1mm2当り20個以上のカーボン繊維切断部の数
は、通常の市販の焼成カーボンペーパにおけるカーボン
繊維切断部の数を大きく上回るものであり、圧延又はプ
レス加工等の加工を施すことによつて得られる。カーボ
ン繊維の切断部の数の特に好適な範囲は、50〜150
個である。
カーボン繊維の切断部に侵入したポリテトラフルオロエ
チレンは、切断されたカーボン繊維を接合するバインダ
ーの役目を果している。このようなポリテトラフルオロ
エチレンによるバインダー作用は、市販の焼成カーボン
ペーパをポリテトラフルオロエチレンで処理しただけの
ものにはない。ポリテトラフルオロエチレンは、カーボ
ン繊維切断部の全数に侵入しているのが最も好ましく、
少なくとも切断部の数の1/3以上に侵入していること
が望ましい。
カーボンペーパをポリテトラフルオロエチレンで処理し
たのち圧延することによつて、カーボン繊維間の空隙部
に含浸されたポリテトラフルオロエチレンとカーボン繊
維との界面の一部に隙間ができる。この隙間はカーボン
基板に可撓性を与えるために、かえつて好ましい。
本発明によるカーボン基板の最終厚さは、0.1〜1mm
であることが望ましい。カーボン基板の厚さが厚くなる
と、基板の内部のカーボン繊維が切断されにくくなり、
可撓性が悪くなる。カーボン基板の最小厚さは、カーボ
ンペーパの製造上から決定されるものであり、製造可能
な最小厚さまで本発明が適用可能であり、可撓性を付与
できる。
本発明のカーボン基板の製造法は、カーボンペーパにポ
リテトラフルオロエチレンけんだく液を含浸する工程、
その後、ポリテトラフルオロエチレンの溶融温度以上且
つ分解温度以下で焼成する工程、圧延又はプレス加工す
る工程とを有する。焼成工程後に圧延又はプレス加工を
行うことが望ましい。逆にしてもよい。前記焼成温度
は、330〜400℃の範囲にすることが望ましい。こ
の焼成工程はポリテトラフルオロエチレンにバインダー
としての機能を与えるために必要である。
カーボン繊維を切断する手段として圧延又はプレス加工
を適用することができる。この際の板厚減少率は60〜
80%にするのが望ましい。
本発明のカーボン基板上に触媒層を形成することにより
燃料電池用電極が得られる。触媒層の構成は、触媒活性
成分担持導電性粒子と結着剤よりなる。導電性粒子はカ
ーボン粒子からなることが望ましく、アセチレンブラツ
ク、フアーネスブラツクなどを用いることができる。触
媒活性成分は元素周期律表のVIII族から選ばれた貴金属
たとえば白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イ
ソジウムなどから選ばれ、特に白金が好ましい。カーボ
ン基板上に触媒層を形成する方法については周知の方法
のいずれも可能であり、たとえば、特開昭56−96458
号公報に記載の手段を適用することができる。
触媒層における結着剤にはポリテトラフルオロエチレン
を用いることが望ましく、このポリテトラフルオロエチ
レンをバインダーとして作用させるために触媒層形成
後、ポリテトラフルオロエチレンの溶融温度以上、分解
温度以下で焼成することが必要である。この焼成温度も
330〜400℃の範囲とすることが望ましい。
ポリテトラフルオロエチレン処理したカーボンペーパを
用いて燃料電池を製造する場合には、カーボン基板製造
時の圧延又はプレス工程を触媒層形成後にずらすことが
できる。すなわち触媒層を形成し焼成したあとに圧延又
はプレス加工してもよい。触媒層の最終厚さは0.05
〜0.5mmの範囲が望ましい。
本発明の燃料電池は、対向する一対の電極と燃料室と酸
化剤室を有する。一対の電極のアノードを燃料極と称
し、カソードを酸化剤極と称することができる。メタノ
ール燃料電池では、燃料室にメタノールを含むアノライ
トが導入され、酸化剤室に空気が導入される。一対の電
極間には電解質が導入されるが、この導入は電解質を含
んだイオン交換膜を用いることによつて行うことができ
る。
メタノール燃料電池は、単電池を複数個積層して用いら
れる。この際に、ボルトなどにより積層した単電池の締
め付けがなされる。締付け圧力は40セルの積層で約3
Kg/mm2にもなる。本発明のカーボン基板を電極用基板
として用いた燃料電池は、この締付け圧力によつて破断
することがない。
メタノール燃料電池においては、カソードの触媒層の細
孔径及び/又は細孔容積と、アノードの触媒層の細孔径
及び/又は細孔容積を違え、カソードのそれを大にする
ことが望ましい。これにより電池電圧をより高めること
が可能である。触媒層の細孔径及び/又は細孔容積をア
ノードとカソードとの間で違えるために、圧延又はプレ
ス加工を触媒層形成後に行うようにし、且つそのときの
板圧下率を変えることが望ましい。具体的には、アノー
ドについては、板厚が加工前の厚さよりも20〜40%
薄くなるように加工すなわち加工前の板厚の60〜80
%の板厚になるように加工することが望ましい。カソー
ドについては、加工前の板厚の80%よりも薄くしない
こと、望ましくは加工前の厚さの15〜20%未満の板
厚減少にとどめることが望ましい。
〔発明の実施例〕
第1図に、一例として本発明によるメタノール燃料電池
の単セル(単電池)の断面図を示す。実際の電池は、こ
れが多数積層された形となる。
メタノール燃料電池の単セル構成において、一対の対向
配置された電極すなわちアノード3及びカソード8とそ
れらの電極間に挾まれた電解質保持イオン交換膜11を
有する。アノード3は導電性多孔質基板4と該基板の少
なくとも電解質側表面に形成された触媒活性成分担持導
電性多孔質粒子層5とよりなる。カソード8は、導電性
多孔質基板9と該基板の少なくとも電解質側表面に形成
された触媒活性成分担持導電性多孔質粒子層10とより
なる。
アノード3の電解質側に対して反対側には燃料分離板1
を有し、この燃料分離板(集電板)1のアノードに接す
る面には、メタノールを含むアノーライトを供給するた
めの複数個の溝を有する。これらの溝と各溝の開口部を
覆うアノードとによつて燃料室2と称する空間が形成さ
れる。
同様にカソード8の電解質側に対して反対側にはガス分
離板(集電板)6を有し、ガス分離板6のカソード側に
は酸素を含むガスを供給するための複数個の溝を有す
る。これらの溝と各溝の開口部を覆うアノードによつて
酸化剤室7と称する空間が形成される。
第1図に示す構造は、メタノール燃料電池の単セルのき
わめて一般的な構造と同じである。このような単セルを
積層して電池を形成するとき、セル間の接触抵抗をでき
るだけ小さくするため締め付けを十分行う。その際、分
離板(集電板)1と6のリブ12により電極3と8が押
しつけられる結果、比較的硬い電極は部分的に破損す
る。その結果、燃料であるメタノールの酸化剤極への回
り込みや酸化剤室への電解液の漏れ込み等により、電池
性能は低下する。
以上のことから、積層電池の締付けによる電極の損傷を
防止する必要がある。そのためには、電極全体を可撓性
にする必要がある。
電極を可撓性にする一つの手段としては、電極基板であ
る導電性多孔質基板としてカーボンペーパの代りに、カ
ーボンフエルトを用いる方法がある。しかしながらこの
種のもので市販されているものは全て電気抵抗が高く
(1Ω・cm2以上)IR損による出力低下が大きく実用
的な基板材とはいえない。
そこで従来用いてきた電極を圧延加工した場合について
検討した。
その結果、従来型電極をローラにかけることにより大き
な可撓性がもたらせることを見い出した。又、プレス加
工しても同様の結果が得られた。
アノードにおいては、液状の燃料を用いることから初期
電極厚みの80%以下に設定したローラ間を数回以上通
過させることにより良好な燃料極とすることができた。
この圧延寸法は望ましくは、電極初期厚みの60〜80
%である。一方空気極においては、ガス拡散電極なの
で、電極を圧延して薄くすると電解液によつてガス拡散
が阻害され性能が低下するので、電極初期厚みの80%
以上にするのが望ましい。
実施例1 市販の0.4mm厚さのカーボンペーパを圧延した。この
市販のカーボンペーパは、カーボン繊維と有機バインダ
ーにより構成され、高温焼成により炭化している。圧延
前のカーボンペーパは、折り曲げると曲げ角度60゜で
割れて破断してしまつた。圧延したものは60゜の角度
に折り曲げても割れず、直径5cmの円筒を作ることがで
きた。
前述の2つのカーボンペーパおよび市販のカーボンフエ
ルトについて、燃料電池用電極への適用可能性をみるた
め電気抵抗を測定した。電気抵抗の測定は、集電板とな
る2つの金属板間にカーボンペーパ又はカーボンフエル
トを挾み、金属板を押しつけることによつて測定した。
電気抵抗と押付け圧力との関係を第2図に示す。
カーボンペーパは、圧延によつて電気抵抗が更に若干低
くなり、燃料電蓄電極用基板としてより適するようにな
る。
実施例2 本実施例では、従来使用してきたアノード及びカソード
を電極初期厚みの約70%にローラ圧延したものについ
て、電極の可撓性,電気抵抗,厚みの変化,アノードの
単極電位及びカソードの単極電位の測定結果を述べる。
アノード及びカソードは以下に記述する手順で作成し
た。
アノード:フアーネスブラツクへ白金及びルテニウムを
原子比で1:1になるように湿式還元した触媒粉末(3
0重量%Pt担持)とポリフロンデイスパージヨンD−
1(ダイキン工業k.k製)を加えてポリテトラフルオ
ロエチレン(以下PTFEと略記する)量が30重量%
となるにした混練物を、あらかじめPTFE処理したカ
ーボンペーパ基材(4mgPTFE/cm2)へ塗布し、
空気中で300℃で30分焼成した。
カーソード:フアーネスブラツクへ白金を湿式還元した
触媒粉末(30重量%Pt担持)とPTFEが30重量
%となるようにした混練物を、あらかじめPTFE処理
したカーボンペーパ基材(8mgPTFE/cm2)へ塗
布し空気中で300℃で30分焼成した。
上述の電極を用いて、電極初期厚みの約70%になるよ
うにローラ圧延した。圧延前(従来型)の電極において
は、曲げ角度が60゜以上の角度になると電極は割れて
2つになる。しかしながら圧延後においては、同じ寸法
の電極を用いた場合において直径3cm程度の円筒を形成
させても電極は何ら損傷を来たさない。
従来の電極および本発明の電極について、触媒層を形成
しない面のカーボン繊維の形状を走査型電子顕微鏡写真
に撮つた。第3図が従来の電極、第4図が本発明の実施
例である。倍率はいずれも190倍である。
本発明による電極は、カーボン戦域が細かく切断されて
いる。切断部の箇所は第3図の従来例にくらべて圧倒的
に多い。カーボン繊維の切断部のかなりの箇所およそ1
/3以上にはポリテトラフルオロエチレンが入り込み、
切断されたカーボン繊維を接合するバインダーの役目を
している。カーボン繊維とポリテトラフルオロエチレン
の界面の隙間の数も、本発明によるものの方が従来例に
くらべて多く見られる。
電極の断面におけるカーボン繊維の形状を示す走査型電
子顕微鏡写真を第5図,第6図に示す。第5図は従来の
電極、第6図は本発明に電極である。倍率はいずれも2
30倍である。
従来の電極では、触媒層厚みが約120μm、基板厚み
が350μmであるのに対し、本発明の電極は触媒層と
基板の境界が明確ではないが、触媒層厚み約52μm、
基材厚み約300μmとなり、初期の電極厚みに対し圧
延後では約75%となる。この内分けをみると触媒層の
厚み変化は43%減、基材の変化は86%減となり圧延
することにより触媒層厚みが著しく変化した。
次に電気抵抗の測定結果を第7図に示す。図にみられる
ごとく従来の電極及び本発明の電極とも押しつけ圧力に
よつて抵抗は異なるが、3.5Kg/cm2で0.1Ω・cm2
以下となり、本発明の電極の方が若干低い値を示した。
なお測定は4端子測定によつた。
第8図には、圧延前の従来の電極と圧延後の電極につい
て、10ケ所の厚みを測定した割合の幅を示した。圧延
前の電極については、±10%のバラツキが認められる
が、圧延後においては、±1.5%と電極厚み精度は大
幅に向上する。
第9図には、圧延前の従来の電極と本発明によるアノー
ドについての電流密度−電位特性の測定結果を示した。
メタノール極の性能は電位の低いものほど良い性能を示
す。図にみられるごとく本発明による電極は、60mA
/cm2の電流密度において約25mV良い結果を示し
た。又定電流密度側において、その差が大きく表われて
いる。メタノール極における反応は下に示すごとく、炭
酸ガ CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- スを発生する反応である。副反応も多く反応機構も明確
にされていないが、本発明による電極構造変化が何らか
の形で寄与して、定電流密度側で特異な挙動を示したと
思われる。
次にカソードの測定結果第10図に示す。
図にみられるように、圧延前の電極に比し本発明の電極
は、電気抵抗が小さくなつたにもかかわらず、高電流密
度側において性能の低下が著しい。これは、圧延するこ
とにより触媒層細孔容積が少なくなり、細孔内に一定の
電解液が浸透したとすると気−液−固の三相界面を形成
する気体の場すなわちガス拡散が阻害されるため、性能
が低下するためと考えられる。
実施例3 実施例2でアノード及びカソードには圧延による触媒層
の圧密化には最適範囲があると考えられたので、電極初
期厚みからの変化律と性能の関係について測定した。そ
の結果を第11図に示す。図中の電位は、電流密度60
mA/cm2のときの値である。アノードについては、初
期電極厚みの80%〜60%においてほぼ一定の電位を
示し、従来の電極に比し約25mV改善される。一方カ
ソードについては、80%程度まで変化は少ないが、こ
の値を過ぎると性能は大幅に低下する。以上の結果から
電極初期厚みに対しアノードにおいては60〜80%、
カソードにおいては80%が限度であることがわかつ
た。
第12図には、圧延後80%の厚みの空気極の電流密度
−電位特性の測定結果を示した。第10図に示した圧延
前の従来型電極と全く同じ特性が得られた。
実施例4 本実施例では、第9図で得られた本発明によるアノード
と第12図で得られたカソードを用いて単電池での電流
密度−電圧特性を測定した。その結果を第13図に示
す。図には従来用いて来た電極での単電池特性も示し
た。なお本実施例で用いた電池の電極有効面積は25cm
2であり、燃料として用いるアノライトは、1.0mo
l/CH3OH−1.5mol/H2SO4であり、測定温度
は60℃である。
本発明によるカソードの特性は従来型の電極とほぼ同じ
であり、アノードについてのみ60mA/cm2の電流密
度において25mV程度改善された。しかしながら電池
とした場合、単電極電位差より15mV高い、すなわち
従来型の電池より40mV(60mA/cm2)高い電圧
を示した。このことは、電極を圧密化することにより可
撓性が発現し、電極厚みが一定となつたため電極−イオ
ン交換膜−集電板との密着性が増したためと考えられ
る。
実施例5 本実施例は、実施例1で得られた単電池の寿命試験に関
したものである。運転は、60mA/cm2の電流密度一
定放電における電圧変化を測定したものである。温度は
60℃、アノライトは1.0mol/CH3OH−1.5
mol/H2SO4である。従来型電極の電池に比べ本発
明による電池は約40mV高い電圧を示し、両者とも初
期の電圧から500時間後において約10mVの電圧低
下を示すがほぼ安定した結果が得られた。
〔発明の効果〕
本発明法によれば、電極に十分な可撓性を付与できるの
で、電極回りの密着性が改善でき電池性能の向上を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例によるメタノール燃料電池
の構成を示す断面図、第2図は、各種カーボン基板につ
いて電気抵抗と押しつけ圧力の関係を示す特性図、第3
図は従来電極におけるカーボン基板のカーボン繊維形状
を示す走査型電子顕微鏡写真、第4図は同じく本発明に
よる電極のカーボン繊維形状を示す走査型電子顕微鏡写
真、第5図は従来電極の断面についてのカーボン繊維形
状を示す走査型電子顕微鏡写真、第6図は同じく本発明
電極の断面のカーボン繊維形状を示す走査型電子顕微鏡
写真、第7図は、電極の電気抵抗特性図、第8図は、電
極厚みについて測定点と測定点の幅の関係を示す特性
図、第9図は、アノードの電流密度−電位の特性図、第
10図は、カソードの電流密度−電位の特性図、第11
図は、アノード及びカソードの圧密化の割合と電位の関
係を示す特性図、第12図は、カソードの電流密度−電
位の特性図、第13図は、単電池の電流密度−電圧の特
性図、第14図は電池電圧と運転時間の関係を示す特性
図である。 1…燃料分離板、2…燃料室、3…アノード、4…導電
性多孔質基板、5…触媒担持導電性多孔質粒子層、6…
ガス分離板、7…酸化剤室、8…カソード、9…導電性
多孔質基板、10…触媒担持導電性多孔質粒子層、11
…イオン交換膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本 一男 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 堀場 達雄 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 熊谷 輝夫 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 田村 弘毅 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 北見 訓子 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立研究所内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カーボン繊維と有機系バインダーよりなる
    カーボンペーパ、該カーボンペーパの空隙に含浸された
    ポリテトラフルオロエチレンよりなる撥水性焼成基板に
    おいて、前記カーボン繊維が複数の切断部を有し且つ該
    切断部の少なくとも1つに前記ポリテトラフルオロエチ
    レンが含浸されていることを特徴とする可撓性を有する
    撥水性焼成カーボン基板。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、前記カー
    ボン繊維の切断部を1mm2当り20個以上有することを
    特徴とする可撓性を有する撥水性焼成カーボン基板。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項において、前記カー
    ボン繊維の切断部を1mm2当り300個以下有すること
    を特徴とする可撓性を有する撥水性焼成カーボン基板。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項において、前記カー
    ボン繊維切断部の数の1/3以上に前記ポリテトラフル
    オロエチレンが含浸されていることを特徴とする可撓性
    を有する撥水性焼成カーボン基板。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1項において、前記カー
    ボン繊維の切断部の実質的全数に前記ポリテトラフルオ
    ロエチレンが含浸されていることを特徴とする可撓性を
    有する撥水性焼成カーボン基板。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第1項において、前記基板
    の厚さが0.1〜1mmよりなることを特徴とする可撓性
    を有する撥水性焼成カーボン基板。
  7. 【請求項7】特許請求の範囲第1項において、前記カー
    ボンペーパの空隙に含浸されたポリテトラフルオロエチ
    レンとカーボン繊維との界面の一部に隙間を有すること
    を特徴とする可撓性を有する撥水性焼成カーボン基板。
  8. 【請求項8】カーボン繊維と有機系バインダーよりなる
    カーボンペーパにポリテトラフルオロエチレンけんだく
    液を含浸する工程、その後焼成する工程および圧延又は
    プレス加工を施して前記カーボン繊維を切断し且つ前記
    ポリテトラフルオロエチレンの一部を該切断部に含浸さ
    せる工程を有することを特徴とする可撓性を有する撥水
    性焼成カーボン基板の製造法。
  9. 【請求項9】特許請求の範囲第8項において、前記焼成
    工程を終えたのち前記圧延又はプレス加工を施すことを
    特徴とする可撓性を有する撥水性焼成カーボン基板の製
    造法。
  10. 【請求項10】特許請求の範囲第8項において、前記焼
    成工程の加熱温度をポリテトラフルオロエチレンの溶融
    温度以上且つ分解温度以下の範囲とすることを特徴とす
    る可撓性を有する撥水性焼成カーボン基板の製造法。
  11. 【請求項11】特許請求の範囲第8項において、前記焼
    成工程の加熱温度330〜400℃の範囲とすることを
    特徴とする可撓性を有する撥水性焼成カーボン基板の製
    造法。
  12. 【請求項12】特許請求の範囲第8項において、前記圧
    延又はプレスにより、加工前の板厚の60〜80%の厚
    さに減少させることを特徴とする可撓性を有する撥水性
    焼成カーボン基板の製造法。
  13. 【請求項13】カーボン繊維と有機系バインダーよりな
    るカーボンペーパ、害カーボンペーパの空隙に含浸され
    たポリテトラフルオロエチレンよりなる撥水性焼成基板
    上に、触媒活性成分担持導電性粒子と結着剤よりなる触
    媒層を有する燃料電池用電極において、前記焼成基板の
    カーボン繊維が1mm2当り20個以上の切断部を有し、
    該切断部の少なくとも1つに前記ポリテトラフルオロエ
    チレンが含浸され可撓性を有していることを特徴とする
    燃料電池用電極。
  14. 【請求項14】特許請求の範囲第13項において、前記
    焼成基板が1mm2当り300個以下のカーボン繊維切断
    部を有することを特徴とする燃料電池用電極。
  15. 【請求項15】特許請求の範囲第13項において、前記
    カーボン繊維切断部の数の1/3以上に前記ポリテトラ
    フルオロエチレンが含浸されていることを特徴とする燃
    料電池用電極。
  16. 【請求項16】特許請求の範囲第13項において、前記
    焼成基板の厚さが0.1〜1mmよりなることを特徴とす
    る燃料電池用電極。
  17. 【請求項17】特許請求の範囲第13項において、前記
    触媒層の厚さが0.05〜0.5mmの範囲であることを
    特徴とする燃料電池用電極。
  18. 【請求項18】特許請求の範囲第13項において、前記
    触媒層が元素周期律表のVIII族から選ばれた貴金属担持
    カーボン粒子と結着剤よりなることを特徴とする燃料電
    池用電極。
  19. 【請求項19】対向する一対の電極、前記一対の電極間
    に位置する電解質、前記一対の電極のアノードに隣接す
    る燃料室、前記一対の電極のカソードに隣接する酸化剤
    室を有し、前記一対の電極がカーボン繊維と結着剤より
    なるカーボンペーパ、該カーボンペーパの空隙に含浸さ
    れたポリテトラフルオロエチレンよりなる撥水性焼成基
    板と、該基板の少なくとも電解質側に形成された触媒層
    とからなり、該触媒層が触媒活性成分担持導電性粒子と
    結着剤よりなる燃料電池において、前記焼成基板の少な
    くとも一方のカーボン繊維が1mm2当り20個以上の切
    断部を有し、該切断部の少なくとも1つに前記ポリテト
    ラフルオロエチレンが含浸されていることを特徴とする
    燃料電池。
  20. 【請求項20】特許請求の範囲第19項において、前記
    燃料室にメタノールを含有するアノライト供給されるこ
    とを特徴とするメタノール燃料電池。
  21. 【請求項21】特許請求の範囲第20項において、前記
    アノードの触媒層にくらべて前記カソードの触媒層の細
    孔径及び/又は細孔容積が大きいことを特徴とするメタ
    ノール燃料電池。
  22. 【請求項22】特許請求の範囲第20項において、前記
    一対の電極間に電解質を含んだイオン交換膜を有するこ
    とを特徴とするメタノール燃料電池。
  23. 【請求項23】特許請求の範囲第19項において、前記
    カーボン繊維の切断部を1mm2当り300個以下有する
    ことを特徴とする燃料電池。
  24. 【請求項24】特許請求の範囲第19項において、前記
    一対の電極と燃料室と酸化剤を有する単電池が複数個積
    層された積層構造の電池よりなることを特徴とする燃料
    電池。
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