JPH067508B2 - 加熱・放熱用遠赤外線輻射体 - Google Patents

加熱・放熱用遠赤外線輻射体

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JPH067508B2
JPH067508B2 JP63234237A JP23423788A JPH067508B2 JP H067508 B2 JPH067508 B2 JP H067508B2 JP 63234237 A JP63234237 A JP 63234237A JP 23423788 A JP23423788 A JP 23423788A JP H067508 B2 JPH067508 B2 JP H067508B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は加熱・放熱用遠赤外線輻射体に関する。
(背景技術) 遠赤外線の放射体は従来、多種の用途に用いられてい
る。その用途例としては、たとえば、室内の暖房や種々
の用品の乾燥に、食品の焼き上げなど調理用に、塗装の
乾燥や焼付に、また、健康増進の目的や医療用に用いる
ことなどを挙げることができる。
これらの例のように、従来の遠赤外線放射体は暖房など
のように加温用として用いる例がほとんどである。しか
しながら、遠赤外線が熱放射熱体として有効であるとい
うことは、いいかえれば放熱用としても有効であること
を意味している。そこで、遠赤外線の放射体を効果的な
放熱体として利用することが考えられる。
最近は電子部品の高集積化にともない、電子部品から発
生する熱量が大きくなってきており、電子部品のパッケ
ージやケーシング等の放熱散性が問題となっている。ま
た、電気機器などではトランス等の電源部周辺での発熱
生産が大きいので、電源部周辺などでの放熱性を向上さ
せることが以前から求められている。
本発明は上記問題点に鑑み、遠赤外線の放射効率のよい
放射体を得るべく研究した結果達成されたもので、従来
の遠赤外線の放射体にくらべてさらに良好な加熱特性を
有するとともに、放熱体としも有効に作用する加熱・放
熱用遠赤外線輻射体を提供しようとするものである。
(発明の概要) 従来の遠赤外線放射体の構造は、基材の片面を遠赤外線
の放射特性の良い素材(以下、遠赤外線放射材という)
で被覆したもので、通常は、加温される物体に面する側
の面を遠赤外線放射材によって被覆するようにしてい
る。たとえば、水を熱する容器では、容器の内側(水に
接触する側)を遠赤外線放射材で被覆する。このよう
に、基材の表面を遠赤外線放射材で被覆することで加温
効果が高められることが実際に確かめられる。
従来は、上記のように基材の片面のみを遠赤外線放射材
で被覆するようにしているが、本発明者は、、基材表面
に種々の処理の施したサンプルを用いて試験を行った結
果、基材の表裏両面を遠赤外線放射材で被覆することに
よって、加熱効果および放熱効果を大きく向上させるこ
とができることを見出した。
これは、基材を被覆した遠赤外線放射材が、受熱の目的
にも有効に作用することを示すものである。一般には、
基材表面に何らかの被膜を形成すると、物体の熱伝導率
を考えた場合、被膜が断熱材として作用することが予測
されるが、実際には、基材の両面に遠赤外線放射材を被
着させることによって加熱特性および熱放散性を向上さ
せることが可能である。これは、基材を加熱した際に、
基材の一方の面が被加熱面として作用し同時に他方の面
が放熱面として作用することから、遠赤外線放射材を基
材の双方の面に被着させることによって被加熱特性と放
熱特性をともに効果的に向上させたことによる結果と考
えられる。
なお、基材を被覆する遠赤外線放射材としては公知の、
たとえば、アルミナ系、マグネシア系、ジルコニア系な
どの種々の素材を使用することができる。
また、基材の表面を遠赤外線放射材で被覆する方法とし
ては塗膜形成による方法、溶射膜形成による方法等があ
る。
とくに、基材が金属薄膜のように熱に弱いもの(高温弱
体)に対して低温溶射法によって好適な遠赤外線放射材
を被着させることができる。低温溶射法とはセラミック
スなどのような高融点素材であっても高温弱体に対して
溶射可能とする方法で、セラミックスの微粉体(粒径5
μm程度)を使用することによって被溶射材に損傷を与
えることなく低温で溶射膜を形成する方法である。
以下、遠赤外線放射体として基材表面に種々の処理を施
したものについて、それぞれ特性を調べた結果について
説明する。
<試験例1> 平板状の基材表面に各種処理を施したものを試験体とし
て、放熱試験を行った。
第1図に試験装置の概略図を示す。図で10は断熱材を
用いて中空に形成した箱体である。箱体10の上部には
透孔12が1個穿設され、箱体10の他の部分は密閉さ
れている。試験例の透孔は、40mm径の円形である。箱体
10内部にはヒータ14を配置する。試験例では1.2kw
のヒータを用いた。
16は前記透孔12の上方に水平に置いた試験体であ
る。試験体16は透孔12の上面から35mm離して配置し
た。
放熱試験は、箱体の炉温度を一定にし、上記のように透
孔12の上方に各種の試験体16を置いて、試験体16
の上方および下方の所定位置に熱電対を配置して各部の
温度を時間経過にしたがって測定することで行った。
第1図でa、b、c、d、e、fは熱電対をセットした
位置を示す。aは試験体上面から10mm上方に離れた位
置、bは試験体16の上面に接した位置、cは試験体の
下面に接した位置、dは試験体の下面から10mm下方に離
れた位置、eは透孔の上面に一致する位置、fは透孔の
下面に一致する位置である。
この試験例では、亜鉛引き鉄板を基材としこの基材表面
に各種処理を施したものを試験体として用いた。。前記
基材のサイズ100mm×100mm、厚さ0.25mmである。試験で
は19種類の試験内容について測定を行った。以下に、こ
の試験内容を示す。なお、試験体の熱源にたいする配置
を示すため、基材の上面側をA側、基材の下面側(透孔
に面する側の面)をB側ということにする。
亜鉛引き鉄板。両面無処理で使用。
片面のみにNi-Crを溶射。溶射面をA側にして配置
する。
と同一サンプルで、溶斜面をB側に。
片面のみに低温溶射法で遠赤外線放射体(黒色)の
50μmの被膜形成。被膜面をA側に。
と同一サンプルで、被膜面をB側に。
片面のみに低温溶射法で遠赤外線放射体(灰色)の
50μmの被膜形成。被膜面をA側に。
と同一サンプルで、被膜面をB側に。
片面に遠赤外線放射体(黒色)の50μmの被膜形
成。被膜面をA側に。
と同一サンプルで被膜面をB側に。
と同一処理サンプルで、膜厚が100μmのもの。
被膜面をA側に。
と同一サンプルで被膜面をB側に。
と同一処理サンプルで膜厚が150μmのもの。被
膜面をA側に。
と同一サンプルで被覆面をB側に。
片面に低融点金属としてAIを溶射。溶射面をA側
に。
と同一サンプルで溶射面をB側に。
片面に低融点金属Alを溶射、他面に低温溶射法で遠
赤外線放射体(黒色)の50μmの被膜形成。金属面をA
側に。
サンプルと同一サンプルで金属面をB側に。
片面に高融点金属Ni-Crを溶射、他面に低温溶射法
で遠赤外線放射体(黒色)の50μmの被膜形成。金属面
をA側に。
サンプルと同一サンプルで金属面をB側に。
第2図は、上記各試験内容についての測定結果を示す。
グラフの縦軸が温度、横軸が経過時間を示す。a〜fの
各熱電対による測定温度をドットで示す。この試験では
経時変化をみる目的もかねて、サンプルをかえながら順
を追って測定した。グラフにつけた(1)〜(25)の番号は
測定順を示している。なお、(1)〜(9)までの測定と、(1
0)〜(25)までの測定は、日を変えて測定したものであ
る。
これらの測定結果から、次のように整理することができ
る。
(1) 試験順序No.2、6、16、25に示すデータは、再現
性を見るために、表面処理をしていない無処理の亜鉛引
き鉄板について測定したものである。測定結果は経時
により温度の挙動が一定であることを示し、外部の変動
要因がそれほど影響していないことを示している。ま
た、長時間の測定が不要であることを示す。
(2) 基材表面に遠赤外線放射材の被膜を形成した場合
の断熱作用は、膜厚が50μm〜150μm程度では顕著な
断熱作用がなく、逆に、遠赤外線放射体がB側にあるも
の、、では膜厚が厚くなるにしたがい放射特性が
向上する傾向が見られる。
(3) 遠赤外線放射材を施した面をA側にした場合とB
側にした場合では、遠赤外線放射材をA側にした場合の
ほうが放熱特性が優れている。
(4) 基材に金属放射したものと遠赤外線放射材で被覆
したものでは、いずれの場合も、改質した面をB側より
もA側にしたほうが放熱特性が良くなる。また、金属セ
ラミックスなどの遠赤外線放射材とでは、遠赤外線放射
材を用いたもののほうが放熱に有効である。
(5) 低融点金属よりは高融点金属のほうが放熱特性に
は優れているようである。
(6) 放射体表面の表面積は放射効率に大きく影響を及
ぼすが、測定結果からも明らかに有意差が認められる。
(7) A側に被膜をおいた場合は、被膜の黒度と放熱特
性とはあまり関わりがないようであるが、B側においた
場合は黒度が大きい被膜のほうが放熱特性に劣るようで
ある。
(8) この試験では基材の両面に被膜を形成した場合
に、放熱効果をもっとも有効であった。これは、基材両
面による相乗効果によるものと考えられる。
なお、本試験で用いた遠赤外線放射材はシリカ等のセラ
ミック系のものであるが、他の素材についても同様な傾
向が得られる。
<試験例2> 容器の内外壁面を遠赤外線放射材で処理し、放熱試験を
行った。
第3図にその試験装置の概略図を示す。図で18は100V
電源に接続されたスライダック、20が電圧計、22は
容器内に挿入されたヒータである。ヒータは定格100V−
80Wのものを使用した。容器内の底部分には断熱材とし
てセラミックフェルト24が詰められている。26は容
器外表面の温度を測定するための熱電対で、熱電対の出
力は記録計28に接続される。
第3図(a)、(b)に示す装置は、サンプルとして使用する
容器30a、30bが異なるだけで、その他の構成はま
ったく同じである。第3図(a)では無処理の容器を用
い、第3図(b)では容器の内外壁に遠赤外線処理を施し
たものを用いている。どちらも、容器の基材としては厚
さ0.2mmのアルミニウムを用い、容器サイズは外径25m
m、高さ50mmで共通である。
第4図および第5図に、上記試験装置を用いて容器30
a、30bの外表面温度を測定した結果を示す。なお、
測定は、無風の大気中に容器を開放状態にして置き、第
3図(a)、(b)に示す試験装置で同時に側温した。測定時
の室温は22℃である。グラフの縦軸が温度、横軸が測定
経過時間を示す。第4図はヒータ22に加えた電圧が30
Vの場合、第5図はヒータに加えた電圧が40Vの場合であ
る。第4図(a)、第5図(a)の測定結果は第3図(a)に示
す試験装置によるもの、第4図(b)、第5図(b)は第3図
(b)に示す試験装置によるものである。
第4図および第5図では、ヒータにかける電圧をかえて
いるため、容器温度に差異があるが、容器基材に遠赤外
線放射材をコーティングしたものは、無処理のものとく
らべて容器外表面温度が低くなるという傾向を示す。第
4図で、試験装置(a)のものは(b)にくらべて約22℃温度
が上昇し、第5図で、試験装置(a)のものは(b)にくらべ
て約27℃温度が上昇している。
この測定結果は、容器に遠赤外線処理を施すことによ
り、容器の放熱性を高めることができ、容器外表面温度
を下げることができる可能性を示す。因に、125℃にお
いては遠赤外線処理を施すことにより、95℃までの24%
の降温ができ、また93℃では71℃までの24%の降温が可
能であった。
第6図は、放熱試験に用いた他の試験装置例で、第7図
にこの試験装置による測定結果を示す。この試験装置の
構成は、上記第3図に示す装置と同じであるが、セラミ
ックフェルト24を容器の内部全体に詰めた点、および
容器内外の表面温度を測定するため、熱電対26a、2
6bを容器の外表面および内表面に接触させて設置した
点が異なっている。セラミックフェルトを容器内の全体
に詰めたのは、温度の変動要因を少なくするためであ
る。なお、試験方法は第3図の場合と同じである。
第7図(a)は、第6図(a)の試験装置による測定結果、第
7図(b)は、第6図(b)の試験装置による測定結果であ
る。グラフでAは容器外表面の温度、Bは容器内表面の
温度を示す。第7図の測定結果を整理すると以下のよう
になる。
上表に示すように、温度条件にもよるが、基材表面を遠
赤外線放射材で被覆することにより、概略15%〜20%の
放熱特性の向上が得られる可能性のあることが判った。
上記の第3図及び第6図に示す試験装置を用いた試験
は、容器内部から熱を供給している状態で放熱特性をみ
たもので、ある一定条件の平衡状態での特性をあらわ
す。これに対し、加熱物体の自然降温特性をみるため、
第8図に示す方法によって試験を行った。
使用した容器は、上記試験例と同様なアルミニウムを基
材としたもので、以下に示す〜の5種のサンプル容
器を使用した。
:アルミニウム基材そのまま。無処理。
:内表面は無処理、外表面をブラスト処理。
:内外両表面に遠赤外処理。
:内表面を遠赤外処理、外表面無処理。
:内表面は無処理、外表面遠赤外線処理。
容器内部の温度変動要因をできるだけ少なくするため、
一定温度に加熱して溶融したパラフィンをそれぞれの容
器内に入れ、容器内の温度変化を測定した。パラフィン
はそれぞれ18ccずつ容器内に入れ、熱電対26を容器中
央の底面から10mmの距離にセットし、記録計にて測温し
た。
第9図(1)〜(4)に測定結果を示す。測定は4回繰り返し
て行った。グラフの縦軸が温度、横軸が経過時間であ
る。グラフでは室温の測定値を示し、〜は上記サ
ンプル容器のデータのならびを示す。たとえば、第9図
(1)の結果では、容器温度がもっとも早く降温するのは
の容器であり、もっとも遅く降温するのはの容器で
あることを示している。なお、第9図(4)でCの部分は
パラフィンが硬化した温度である。
第9図に示す試験結果から、基材の内外表面にともに遠
赤外処理を施した容器がもっとも降温特性がよく、無
処理の容器と比較して顕著な差があることがみられ
た。また、基材の表面積を大きくした場合(ブラスト処
理を施す)も、無処理のものにくらべ若干放熱硬化がよ
くなることが認められた。
以上の3試験より、基材に遠赤外線処理を施すことによ
り、放熱特性を15%〜20%程度向上させることができる
ことが判った。とくに、基材の両表面に遠赤外線処理を
施すことが有効である。
<試験例3> ステンレスを基材とする容器の内外表面に各種処理を施
し、この容器に水を入れて加熱し昇温試験を行った。
第10図はこの試験で用た装置の概略を示す。図で32
はヒータ部であり、34はヒータ部に内蔵されたニクロ
ム線である。試験例では600Wのニクロム線を用いた。3
6はヒータ部上面に置いた網、38は容器である。前記
網36は容器をヒータ部32上面から離してセットする
ために用いたものである。試験例では容器38の底面を
ヒータ部32上面から15mm離してセットした。40は容
器内の水温を測定するための熱電対である。容器38に
は水を100cc入れて測定を行った。
この昇温試験で使用したサンプル容器は以下の(a)〜(h)
の8種である。
(a) 内面をNi-Cr溶射、外面を遠赤外線放射材で被覆。
(b) 内外両面とも無処理。ステンレスの光沢面のま
ま。
(c) 内外両面とも赤外線放射材Aで被覆。
(d) 内外のステンレス面をブラスト処理。
(e) 内外両面とも低融点金属(Al)溶射。
(f) 内外両面ともNi-Cr溶射。
(g) 内外両面とも遠赤外放射材Bで被覆。
(h) 内面をNi-Cr溶射、外面を遠赤外放射材Bで被覆。
第11図(1)〜(4)に上記サンプル容器を用いた昇温試験
結果を示す。測定は時間をおいて4回行った。グラフの
横軸が時間、縦軸が水温で、水の昇温とともに降温につ
いても測定した。
以下、表1および表2に、昇温時間と降温時間の整理結
果を示す。
表1および表2中での数値の単位は分である。
上記試験結果から、以下のように評価することができ
る。
容器(b)(標準テスト容器)との対比でみて、金属溶射
を行った試験容器(e)は容器(b)とほぼ同等の結果を示し
ている。これは、少なくとも薄い金属被膜を設けた程度
では水温の昇降にはほとんど影響を及ぼさないことを示
す。
また、上記試験容器(e)を除いた試験容器では、100℃ま
で昇温するに要する時間が、容器(b)の場合の約半分で
あり、顕著な差異が認められる。
降温データからは特別顕著な差異は認められない。
<試験例4> 第12図に示す装置を用いて水の蒸発試験を行った。装
置は前記第10図に示したものと同様である。この試験
では、容器内に水を80cc入れて20分間加熱し、加熱後の
水の重量を測定して蒸発量を測定した。また、同時に昇
温時間についても測定した。
容器は試験例3と同様にステンレス製で、このステンレ
スの表面に各種処理を施して試験容器とした。なお、試
験は室内温度20℃の条件下で行った。
蒸発試験結果を表3に示す。表中でNo.9およびNo.10の
内面遠赤外線放射体は塗装によるもの、No.11、12、1
3、14、15の遠赤外線放射体は溶射によって被覆したも
のである。
また、表で回数とあるのは、くり返し測定回数である。
水蒸発量は、600Wヒータで20分加熱した後の容器内の水
の蒸発量をパーセントで示した。昇温時間とは35℃から
95℃まで昇温するに要した時間である。
この試験結果から、次にように評価することができる。
(1) 表3ではNo.1の試験容器を除き、他はすべて基材
表面に何らかの処理を施したものである。表3に示す結
果からみると、No.1の試験容器とNo.1以外の試験容器で
は、水蒸発量および昇温時間について明らかに差が見ら
れる。
すなわち、表面に何らかの処理を施したものについて
は、水蒸発量が大きくなり、昇温時間が短縮されてい
る。この結果は、一般に基材表面に形成した被膜は断熱
作用として働くことが予測されるが、実際には断熱作用
以上に表面積の増大及び遠赤外線放射材による加温効果
が大きいことを示している。
(2) No.3、4の試験容器のように、基材表面に金属被
膜を形成したものも有効である。金属被膜といっても、
ここで形成した被膜の膜厚は0.1mm程度と薄いので、被
膜は熱伝導率にはさほど影響を与えないと考えられ、N
o.1の試験容器との差は基材の表面積と黒度が加熱効果
に有効に作用しているものと考えられる。
(3) No.2の試験容器はステンレスの基材の内外表面に
ブラスト処理を施して、表面積を大きくしたものである
が、加熱効果には明瞭な差が見られる。この場合、黒度
の変化が若干影響していることも考えられる。
(4) 試験容器での表面処理の形態には、容器の内面の
みに表面処理を施したもの、外面のみに施したもの、内
外面ともに施したものがある。これらの表面処理の形態
によって、水蒸発量および昇温時間についてのデータを
整理した結果は次の表4に示すとおりである。
表4で表面処理材料として用いたおよびの処理材料
はいずれも、低温溶射法によって基材表面を被覆したも
のであるが、無処理の容器と比較して、水蒸発量および
昇温時間には顕著な差がある。
表面処理形態についてみると、内外両面に表面処理を施
したものが最も効果があり、次いで外面のみに施したも
の、次いで内面のみに施したものの順で効果がある。遠
赤外線の物体にたいする深達特性を考慮すると、容器内
面における被膜形成は不可欠であるので、内外両面に表
面処理を施すことが最も適当であると考えられる。
内外両面を処理したものは、無処理のものと比較して倍
程度の加熱効果があるので、物体を加熱する際の基礎技
術として種々の用途が期待できる。また、加熱と同様に
放熱体としての効果が期待できる。
(5) 表面に被膜を形成する方法のうち、低温溶射によ
る方法と、塗装による方法とで比較整理すると次の表5
のようになる。
表5からわかるように、溶射タイプと塗装タイプで加熱
効果には、それほど大きな差がみられない。したがっ
て、両方とも遜色のない効果が得られるものと考えられ
る。
なお、500℃以上の耐高温特性、耐経時変化、耐剥離
性、耐摩耗性、耐溶出性が要求されるような場合は溶射
タイプが好適であるが、物体との接触がなく比較的低温
領域で使用する場合や製造コストを重視する場合は塗装
タイプでも十分である。場合によっては、両者を併用す
る場合もありうる。
以上は容器内の水の量が80ccの場合であるが、水の量を
600ccとしてスケールアップした条件で同様に試験を行
った。表6にその試験結果を示す。試験容器としては無
処理SUS容器と、基材の内外両面を遠赤外線放射材で被
覆したものを用いた。試験容器は試験例3で使用したも
のよりも大型である。
なお、表6中で示す水の蒸発量は600Wヒータを用いて30
分間加熱した後の蒸発量を示したものである。また、昇
温時間は35℃〜95℃まで昇温するに要した時間を示す。
回数は繰り返し実験回数である。
この表6に示す試験結果は表4で示した結果と同様な傾
向を示しており、基材の内外面を処理することによっ
て、顕著な加温効果があることを示している。
以上、試験例1においては遠赤外線放射体の放熱特性に
ついて、試験例2および3においては遠赤外線放射体の
加熱特性について調べた結果について説明した。
これらの試験結果は、基材の表裏両面を遠赤外線放射体
によって被覆することにより、顕著な加熱効果をあらわ
すことを示している。また、試験例1の結果から大きな
放熱効果を有することも確かめられた。
このように良好な加熱特性および放熱特性を有する遠赤
外線放射体は、ボイラーなどの熱交換器類をはじめ、パ
ッケージ、ケーシング類などの、有効な加熱あるいは放
熱を目的とした物品にたいして好適に用いることができ
る。
上記試験例においては、基材表面を遠赤外線放射体で被
覆する例として、遠赤外線放射材を溶射する方法と塗装
する方法とを挙げたが、被覆方法はとくに限定されるも
のではない。
ボイラーなどの熱交換器類、配管類などの場合は、基材
表面に被膜を設ける作業性および経済性の点から塗装に
よる方法が実用的である。場合によっては、塗装と溶射
を併用することも考えられる。このように、ボイラーな
どでは遠赤外線放射材を塗装するという簡単な操作で加
熱特性が大きく改善できるので、遠赤外線放射体による
効果を有効に発揮することができる。
なお、上記各試験例で示したように、基材が金属箔のよ
うにきわめて薄い金属板(高温弱体)であって、この基
材にたいしてアルミナ系、マグネシア系、ジルコニア系
等の高融点を有する遠赤外線放射材を被覆するような場
合は、低温溶射法が好適に用いられる。この低温溶射法
は溶射に用いる溶射材として遠赤外線放射材の微粉体
(粒径5μm程度)を用いたもので、溶射材として微粉
体を用いることで低温での溶射を可能にし、それによっ
て表面粗度のよいものを得ることができる。
こうして形成され金属箔を基材とする遠赤外線放射体
は、他のものにはない次のような特徴を有する。
(1) 熱容量が小さいので、温度の立ち上がりが良い。
(2) フレキシブルであるので施工が容易であり、既設
の部分にも容易に取り付けられる。
(3) はさみなどで簡単に裁断でき、使用する際の自由
度が大きい。
(4) 軽量であるので運送コストの点で有利である。ま
た、プラントの軽量化、取り付け施工などの点で有利で
ある。
(5) 塗装によって被覆するものと異なり、経時変化に
たいする耐久性が高く、また、高温領域での耐久性が高
い。
(6) 塗装タイプと異なり溶出しにくく、また耐摩耗性
が高いため、食品関係の器材として好適に使用可能であ
る。
なお、上記説明においては遠赤外線輻射体の作用とし
て、加熱効果をとりあげて説明したが、遠赤外線輻射体
の加熱特性および熱放射特性を逆に冷却作用として見る
と、遠赤外線輻射体は冷却能が高いということを意味す
る。この冷却特性を冷却装置の容器等に利用すれば効果
的な冷却作用をなすことが可能である。
(発明の効果) 本発明によれば、上述のように、金属薄膜等の高温弱体
の基材の両面に遠赤外線放射材を被着させたことによっ
て加熱特性および放熱特性がともに改善され、これによ
って効果的な加熱・放熱特性を有する遠赤外線輻射体を
得ることができる。また、基材に対しては低温溶射法に
よって遠赤外線放射材を被着させること、フレキシブル
性を有する基材や従来は遠赤外線放射材の溶射被膜を好
適に形成できなかった素材に対しても適用することが可
能になり、種々の用途に利用することが可能になる。ま
た、溶射被膜は緻密な被膜として得られ、耐久性、耐熱
性に優れた遠赤外線輻射体として提供することができる
等の著効を奏する。本発明はこれらに限定されるもので
はなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を
施し得るのはもちろんのことである。
【図面の簡単な説明】
第1図は試験例1の放熱試験例を示す説明図、第2図は
測定結果を示すグラフ、第3図、第6図、第8図は試験
例2の放熱試験装置を示す説明図、第4図および第5
図、第7図、第9図は、それぞれ、第3図、第6図、第
8図の試験装置による測定結果を示すグラフ、第10図
は試験例3の昇温試験装置を示す説明図、第11図は測
定結果を示すグラフ、第12図は試験例4の蒸発試験装
置を示す説明図である。 14・・・ヒータ、16・・・試験体、18・・・スラ
イダック、20・・・電圧計、22・・・ヒータ、24
・・・セラミックフェルト、26、26a、26b・・
・熱電対、28・・・記録計、30a、30b・・・容
器、32・・・ヒータ部、36・・・網、40・・・熱
電対。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属薄膜等の高温弱体を基材とし、該基材
    の一方の面を被加熱面とし他方の面を放熱面として遠赤
    外線の輻射作用を奏する加熱・放熱用遠赤外線輻射体で
    あって、 前記基材の被加熱面上および放熱面上に、セラミツクス
    の遠赤外線放射材の微粉末を溶射材として低温溶射法に
    より遠赤外線放射材を被着して成ることを特徴とする加
    熱・放熱用遠赤外線輻射体。
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