JPH067589B2 - フタロシアニン誘導体薄膜を半導体層とするmsmまたはmis型素子及びその製造方法 - Google Patents

フタロシアニン誘導体薄膜を半導体層とするmsmまたはmis型素子及びその製造方法

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JPH067589B2
JPH067589B2 JP60047295A JP4729585A JPH067589B2 JP H067589 B2 JPH067589 B2 JP H067589B2 JP 60047295 A JP60047295 A JP 60047295A JP 4729585 A JP4729585 A JP 4729585A JP H067589 B2 JPH067589 B2 JP H067589B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、仕事関数の大きい導電性材料層、半導体層お
よび仕事関数の小さい導電性材料層をこの順に積層して
なるMSM型素子、仕事関数の大きい導電性材料層、半
導体層、絶縁層および仕事関数の小さい導電性材料層を
この順に積層してなるMIS型素子、ならびにその製造
方法に関する。
〔従来の技術〕
仕事関数の大きい金属(M)と仕事関数の小さい金属
(M)の間にポリ(アセチレン)、ポリ(ジアセチレ
ン)、ポリ(ピロール)、ポリ(チエニレン)等の有機
半導体(S)の薄層をはさんで成るMSM型、あるいは
さらにSとM間に絶縁体(I)の薄層を組み入れたM
IS型の素子は多数考案されている〔“フイズィックス
・オブ・セミコンダクタ・デバイス”第2版、S.M.スツ
ェ、ジョン・ウィリィ・アンド・サン、ニューヨーク(1
981):“Physics of Semiconductor Devices”2nd E
d.,S.M.Sze,John Wiley & Sons,N.Y.(1981)、“合成金
属(化学増刊87)”白川ほか、化学同人(1980)
R.C.ウェスト、N.J.アストル編“CRCハンド
ブック・オブ・ケミストリィ・アンド・フィズィックス
CRCプレス、クリーブランド(1979)、第59
版、E−81:R.C.West,N.J.Astle Ed.,“CRC Handbo
ok of Chemistry and Physics”CRC Press,Cleaveland
(1979),59th Ed.,E-81,M.オザキ他、アプライド・フ
イズィックス・レターズ:M.Ozaki 他、Appl.Phys.L
ett 35 3 (1979)〕。しかし、これらは一
般に、S層の構造及び素子作成法に起因する不確定要素
が著しく、いずれも実用化されるに到っていない。例え
ば、これらS層は、通常M基板上での気相重合、固相
重合あるいは電解酸化重合等により作成されるが、重合
時の伸縮あるいは電解質イオンの流出入等の理由により
その微細構造はフィブリルや山/谷の多いへき解状を成
しており、一般に多孔質であると言える。従って、S層
厚が大きくなければ、蒸着やスパッタリング等でM
を固定する際に、M粒子がその微細孔へもぐり込み、
とMが直接導通して素子としての機能を失いやす
い。また、これら有機半導体は、化学ドーピング、電気
化学ドーピング等の処理を施した時は、例えばポリ(ア
セチレン)/ヨウ素ドープで約10S/cm、ポリ(ピ
ロール)/ヨウ素ドープで約10S/cm、のごとく、
高導電性を与えるが、脱ドープ状態では導電性が極めて
低い。しかもドーピング処理を施したS層をM、M
と組み合わせると、ドーピング剤により、M/S及び
/S、特にM/S界面で腐食が進行し、経時安定
性が著しく乏しくなる。それがため、一般にこれらS層
は導電性の低い脱ドープ状態で用いられるが、既述した
粒子のもぐり込みを防ぐためS層を厚くする素子内
抵抗が著しく高くなり、実用に供せるほどの電流を通じ
ることができない。さらに、上述のS層は既述したごと
く膜表面の凹凸が激しい。従って、MSM型素子では、
ショットキー接合を形成する重要なS/M界面に不純
物準位を生じやすく、結果的に素子の整流比、ダイオー
ド特性等を著しく損う。例えばポリ(アセチレン)に関
するダイオードパラメータはたかだか1.9でしか無
く、他もほぼ同様の値であり、理想状態の1.0からは
ほど遠いと言える。なお、MIS型素子では、I層厚
を、トンネル効果が期待できる位(約20Å)薄くする
必要があるので、S層表面の凹凸が激しければI層が著
しく乱れ、上述したMSM型と同様の理由で素子の特性
が損われる。
S層の抵抗が大きく、しかも凹凸が激しい場合、換言す
れば局所的な膜厚が一定しない場合は、電流を通じたと
きに最もS層厚の小さい部位で局所的な大電流が流れる
ことになる。従って、このような場合、薄膜の不可逆的
な破壊が起こりやすい欠点がある。
フタロシアニン誘導体は、可視部〜近赤外部にかけて巾
広い極大吸収を有する有機系p−型半導体であり、化学
的にも安定なため電子材料として好適である。しかしな
がら、一般の(金属)フタロシアニンは濃硫酸、熱DM
F等にわずかに溶けるのみであり、薄膜形成は熱蒸着等
に依らざるを得ない。従ってその微細構造は、多結晶状
であり、やはり膜表面の凹凸が激しいため、ショットキ
ー接合等を施したとき、前述と同様の理由により良好な
素子特性が得られない。リチウムフタロシアニンを特殊
な多元系溶剤に溶解し、それをラングミュア・ブロジェ
ット法に適用して気/水界面に薄膜を形成させ、さらに
基板上に移し取って素子化した例はあるが(例えばS.Ba
ker 他、Thin Solid Films,99 53(1983)
など)、薄膜表面の状態に関しては明確でなく、またこ
の方法ではリチウムフタロシアニンが水界面に接触する
際に加水分解されるため、結果的に金属を含まないフタ
ロシアニンの薄膜が得られるのみである。
〔発明の目的〕
したがって本発明の目的は、従来のMSMまたはMIS
型素子の欠点をもたない、新規なMSMまたはMIS型
素子ならびにその製造方法を提供することである。
〔発明の構成〕
本発明者は、半導体層として特定のフタロシアニン誘導
体から成る薄膜を使用することにより上記目的が達成で
きることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち
本発明は、仕事関数の大きい導電性材料層、半導体層お
よび仕事関数の小さい導電性材料層をこの順に積層して
なるMSM型素子、または、仕事関数の大きい導電性材
料層、半導体層、絶縁層および仕事関数の小さい導電性
材料層をこの順に積層してなるMIS型素子において、
上記半導体層として下記の式(1)で表されるフタロシア
ニン誘導体薄膜を使用したことを特徴とするMSMまた
はMIS型素子である。
但し、Rは炭素数3以上25以下の直鎖ないし枝分れ炭
化水素基、MeはHまたはマグネシウムまたは遷移金
属イオンを示し、−OR基の置換位置は上式のイソイン
ドリン基において5−位または6−位である。
式(1)のフタロシアニン誘導体は既述した一般の(金
属)フタロシアニンに特有な化学的安定性、p−型半導
体としての特性、巾広い可視〜近赤外吸収帯、などの諸
性質を備えているばかりでなく、既述の範囲内であれば
いかなる中心金属種のフタロシアニン錯体でも、少なく
ともクロロホルムに可溶である。また、式(1)のフタロ
シアニン誘導体は中心金属種によって、その温度は異な
るが、融点を持っている。従ってこれらの性質を利用
し、キャスト製膜、スピンコーティング、ラングミュア
・ブロジェット、溶融キャスト法などにより、容易に表
面が極めて平滑な半導体層が形成され、既述したような
欠陥の無いヘテロ接合や素子が作成できる。このように
本発明は簡便に特性の秀れたMSMないしMIS型の素
子及びその製造技術を与えるものである。
本発明に使用される仕事関数の大きい導電性材料M
しては、シート抵抗30Ω/sq.以下の酸化インジウム
スズ、グラファイト、グラッシーカーボン、ヒ素、パラ
ジウム、テルル、レニウム、イリジウム、白金、金、ロ
ジウム、ルテニウム、セレンおよびゲルマニウムがあげ
られる。
また、仕事関数の小さい導電性材料Mとしては、リチ
ウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミ
ニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタ
ン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、イットリウ
ム、ニオブ、カドミウム、インジウム、アンチモン、ラ
ンタニド類、タリウム、鉛があげられる。
本発明に使用される絶縁層としては、炭素数16〜22の
直鎖飽和脂肪酸の金属塩、特に、カドミウム塩、水銀塩
またはアルカリ土類金属塩が好ましい。
本発明のMSMまたはMIS型素子は、仕事関数の大き
い導電性材料から成る基板上に、式(1)で表されるフタ
ロシアニン誘導体薄膜から成る半導体層を設け、この半
導体層上に、絶縁層を設けあるいは設けることなく、仕
事関数の小さい導電性材料層を形成することにより製造
することができる。
またフタロシアニン誘導体から成る半導体層は、たとえ
ばフタロシアニン誘導体の単分子膜を垂直浸漬法または
水平付着法により基板上に移し取ることにより、あるい
は、フタロシアニン誘導体の揮発性有機溶剤溶液を基板
上に塗布し、溶剤を蒸散させることにより、あるいはま
たフタロシアニン誘導体を基板上に溶融キャストするこ
とにより形成することができる。
絶縁層は、たとえば、直鎖脂肪酸金属塩の単分子膜を垂
直浸漬法または水平付着法により基板上に移し取ること
により形成することができる。
本発明に使用するフタロシアニン誘導体は、たとえば、
式(2)に示す4−ニトロフタロニトリルとR−OH(R
は既述の通り)の反応 により相当する4−アルコキシフタロニトリルを得て、
さらに脱水メタノール中ナトリムウメトキサイドを触媒
としてアンモニアガスと反応させてジイミノイソインド
リン中間体(式(3))を経て、マグネシウムまたは遷移
金属の塩の存在下または無存在下に2−ジメチルアミノ
エタノール中で沸点還流下に閉環縮合することにより得
られる。
本発明のMSMまたはMIS型素子は、こうして得られ
たフタロシアニン誘導体を、前述のとおり、仕事関数の
大きい導電性基板上に、揮発性の溶剤溶液よりキャスト
製膜または、スピンコーティングするか、あるいは、そ
の溶液を水面上に滴下して溶剤を蒸散させて得られる単
分子膜を垂直浸漬法ないし水平付着法により既述の基板
上にくり返し移し取るかあるいは溶融キャストによりフ
タロシアニン誘導体の膜厚20Å〜1μmの半導体層を
形成させ、そのまま、あるいは炭素数16〜22の直鎖
飽和脂肪酸のカドミウム塩ないし水銀塩ないしアルカリ
土類金属塩の単分子層を上述と同様に垂直浸漬法ないし
水平付着法で移し取った後に、仕事関数の小さい導電性
材料を蒸着、スパッタ等で被覆することにより製造され
る。
式(1)のフタロシアニン誘導体は、Rが炭素数2以下で
は不溶性であり、炭素数26以上では合成が困難であ
る。そして既述の範囲内である限り、中心金属種のいか
んにかかわらず、少くともクロロホルムに可溶である。
特にRが炭素数8以上の場合は、DMF、DMSO、ヘ
キサメチルホスホリックトリアミド、炭素数4以下のア
ルコール類を除く一般の低誘電率有機溶剤に全て可溶と
なり、石油エーテルにすら溶解する。この可溶性を利用
すれば、例えばクロロホルム溶液よりキャスト製膜ない
しスピンコーティングにより、容易にフタロシアニン誘
導体の半導体層が形成できる。製膜用溶剤としては、沸
点が約60〜80℃の範囲内にあるものが好ましく、例
えばクロロホルム、THF、ベンゼン、二塩化エタンな
どがあげられる。これらの中で、クロロホルムが最も好
適である。キャスト製膜においては、そのフタロシアニ
ン誘導体の10mg/ml以上の濃度か、あるいは溶解度
がこれ以下のときは飽和した有機溶剤溶液とし、0℃〜
30℃の範囲内で既述の基板上に展開し、その有機溶剤
の飽和蒸気圧の1/2の蒸気圧下から始め、しだいに空中
の溶剤蒸気量を低下して徐々に溶剤を蒸散し、最終的に
は真空乾燥を行う。この過程は極めてゆるやかに行うの
が好ましく、例えばR=n−プロピル、Me=銅、10
mg/mlのクロロホルム溶液1mlを表面積100cm2
の酸化インジウムスズネサガラス(以下「ITO」と略
す。)上に展開した場合は、20℃にて真空乾燥に到る
までに約3日間を要する。この過程を高温で迅速に行う
と多孔性膜となり、不適当である。この手法で形成され
る半導体層薄膜は比較的厚く、数百Å〜1μmの範囲で
ある。スピンコーティングにおいては、式(1)のフタロ
シアニン誘導体を1mg/ml〜0.5mg/ml程度のク
ロロホルム溶液とし、回転させた基板の中心に滴下し、
溶剤を蒸散せしめると薄膜が形成される。基板回転速
度、展開温度はフタロシアニン誘導体の種類、滴下量、
基板の面積に依存するが、例えばR=n−プロピル、M
e=銅、1mg/mlのクロロホルム溶液500μを表
面積100cm2のITO表面に展開する場合は、基板温
度30℃、基板回転速度2000rpm程度が好ましい。
この手法で形成される半導体層薄膜は、約50〜数百Å
の範囲である。
式(1)のフタロシアニン誘導体の1.0mg/m〜0.
5mg/ml程度のクロロホルム溶液を、典型的には、4
00〜500μlを2500cm2の水面上に滴下し、溶
媒を蒸散させた後、気水界面に設置されたしきり板を移
動し、表面圧5〜30dyn/cmとして得られるフタロシア
ニン誘導体の単分子層膜を、水面に垂直に設置された既
述の基板を適当量水面下に没するまで引き下げた後空中
に引き上げる操作をくり返し行う(この手法を垂直浸漬
法と略記する)か、水面と平行に設置された既述の基板
を上述の単層膜に接するまで下げた後、引き上げる操作
をくり返し行う(この手法を水平付着法と略記する)こ
とにより、累積膜状の半導体層が形成される。このとき
の基板の上下速度が充分遅ければ、膜の累積状態およ
び、膜の平面方向の配向性が極めて秀れた半導体層が得
られる。しかし操作性能を考え合わせれば、上下速度は
0.5mm/min以下であればさしつかえなく、本発明の
実施例においては0.5〜0.2mm/minの範囲であ
る。式(1)のフタロシアニン誘導体の気/水界面での存
在状態は模式的に添付図面で表現される。これを基板に
移し取ったときに基板表面に向って親水基であるエーテ
ル酸素とフタロシアニン環が位置するX膜、逆に疎水基
であるR基が位置するZ膜、その状況が各単層ごとにX
型、Z型の両者の配置をくり返して成るY膜の三種が考
えられる。垂直浸漬法で累積数が約5以下ではX膜ない
しZ膜が形成されやすく累積数の増加とともにY膜とな
る。但し、累積数が小さいときX型、Z型のいずれにな
るかは、基板の性質及びMeとR基の種類に大きく依存
する。
また累積数増加に伴うX型ないしZ型からY型への移行
が、どの位の累積数から起こるかということも、基板の
性質及びMeとR基の種類に大きく依存する。
なお、水平付着法では、原理的にZ膜のみが形成され
る。
これら垂直浸漬法ないし水平付着法による累積膜状の半
導体層は、原理的には単分子層膜、すなわち分子の厚み
から形成可能であり累積をくり返し行えば、mmオーダー
まで可能である。しかし、後に詳述する素子化、及び既
述の累積方法の操作性能を考え合わせると、1μm位ま
でが妥当である。また、R基のいかんにかかわらず、平
均膜厚20Å以下の場合、基板の表面凹凸によると考え
られるが、Mと組合せてMSM型素子を形成する際、
とMが直接導通して何ら特徴的な機能が現われな
い。また同様に平均膜厚20Å以下では、I及びM
組合せたMIS型素子ではI層の大巾な乱れを生じると
考えられ、やはりMIS型素子に特徴的な機能が現れな
い。約20Åの膜厚はR=n−プロピルのとき累積数4
に相当し、R=n−ペンタエイコサニルのときは、累積
数1に相当する。
この垂直浸漬法ないし水平付着法による累積膜状の半導
体層は、構成単位の式(1)で示されるフタロシアニン誘
導体が微視的分子配向状態にあり、かつ表面が平滑であ
るところに特徴がある。従って、ヘテロ接着を形成した
際、界面に不純物準位が生じにくくまた、膜のどの部分
にも平均的に電流が流れるため、破壊電圧が高い、大電
流の通電が可能、整流比およびダイオードパラメーター
に優れる、などの高機能性を発揮できる。
式(1)のフタロシアニン誘導体は、中心金属種により多
少異なるが約400℃付近に融点を有し、窒素、アルゴ
ンなどの不活性雰囲気下では安定な粘度のある液状物と
なる。但し、融点より約50°高い温度で分解が始まる
ので、融点以上、分解点以下の温度範囲で不活性雰囲気
下に操作すれば、既述の基板上に半導体層を溶融キャス
トできる。この場合、スピンコーティングと同様に、融
点以上の液状物を高速回転する基板の中心に滴下しても
良いが、むしろ回転を止めたまま基板の中心に粉末状固
形物を所定量置き、融点以上に加温して液状となったと
きに徐々に回転数を上げて行く手法の方が一定の膜厚と
なりやすい。なお、高速回転基板−液状物滴下の方法を
以下「滴下回転法」、粉末状固形物−溶融−回転の方法
を以下「溶融回転法」と略記し、実施例中においてもこ
の略称を使用する。この両法において、定常状態の基板
回転数は5000〜8000rpm程度が好ましく、この
範囲内のどの値に設定するかは、液状物の滴下量、粉末
状固形物設置量及び基板面積により異なる。基板回転中
は、基板温度は融点以上、分解点以下に設定する必要が
あり、液状の半導体層が展開されたらできるだけゆるや
かに回転を止め、急冷するのが好ましい。但し後述する
ように本発明の素子は式(1)においてRが炭素数12以
上の直鎖アルキル基のフタロシアニン誘導体を半導体層
に用いる場合、エレクトロクロミックディスプレイ素子
としても利用されるがこの目的に限り徐冷を行った方が
ディスコティック液晶の配向状態が良好になり、好まし
い。急冷の場合、典型的には基板裏面にドライアイスよ
り発生したばかりの冷COガスをふきつけて行う。ま
た徐冷の際は外界よりの熱源で基板温度を制御し、1〜
10℃/分程度の降温を行う。なお、急冷の場合、半導
体層の構造はアモルファス状をなし、表面は大まかなう
ねりを除けば極めて平滑であり、MSMないしMIS型
素子の接合特性を利用する整流素子、電界効果トランジ
スタ等の製作に適しており、整流比、ダイオードパラメ
ータ共に良好な状況を具現化できる。他方、徐冷の場
合、特に式(1)においてRが炭素数12以上の直鎖アル
キル基フタロシアニン誘導体を用いた場合は、偏光性を
有するディスコティック液晶となり、Rが炭素数11以
下のアルキル基のときは一部ないし大部分に結晶成長が
認められ(この傾向は炭素数が小さいほど大きい)、い
ずれの場合も表面に微細な凹凸が認められる。従ってこ
の場合、接合特性は必ずしも良好でなく、例えばダイオ
ードパラメータは1.9を超える。
なお、滴下回転法、溶融回転法のいずれも、半導体層の
膜厚は数千〜1μm程度である。
仕事関数の大きい導電性材料基板Mは、薄板状であれ
ば特にその形状に限定は無い。但し、特に垂直浸漬法な
いし水平付着法で100Å以下の半導体層を作成する場
合は、板厚が2mm以下であることが望ましく、1〜0.
5mmが最も好適である。また、基板表面の粗さは、その
上に作成される半導体層の膜厚精度に影響するので、で
きうる限り平滑であることが望ましい。例えば、ITO
では通常のCVD法で平板ガラス表面にネサ層が作成さ
れたもの、ピロリティックグラファイトでは新鮮なベイ
サル(basal)へき解面を有するもの、グラッシーカー
ボンではあらかじめ3〜1μmのアルミナ粉で研磨して
後その表面同士を約2000〜5000rpmで回転させ
ながらすり合せ研磨した表面を持つもの、他の金属種で
はガラスないしその金属の平板面に通常の高周波スパッ
タリングにより平滑金属面としたものが本発明の基板と
して好適である。このうち、ピロリティックグラファイ
トのみに関しては、その上に作成される半導体層の膜厚
が2000Å以上を要し、それ以下では基板表面の凹凸
により半導体層で覆われていない基板の裸表面が認めら
れ、後述する素子化の目的には使用できない。
以上のようにして得られるM/Sの上に、仕事関数の
小さい導電性材料Mを被覆すれば、MSM型の素子と
なる。これらの被覆方法は、リチウム、ベリリウム、ナ
トリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カ
ルシウムに関しては熱蒸着で行うことができ、他は高周
波スパッタリングによる。
/Sの上にMを被覆する際、炭素数16〜22の
直鎖飽和脂肪酸のカドミウム塩ないし水銀塩ないしアル
カリ土類金属塩の単分子層をSとMの間に形成させれ
ばMIS型素子となる。この直鎖脂肪酸金属塩単層膜の
展開方法は、前述した垂直浸漬法ないし水平付着法で行
われる。但し、既述の直鎖脂肪酸の1.0〜0.5mg/
mlのクロロホルム溶液を水面に滴下し、その時水相に
0.1〜0.8ミリモル/の塩化カドミウム、塩化水
銀、アルカリ土類金属塩化物を存在させることにより、
結果的に該脂肪酸の金属塩の単膜層を形成させる。これ
ら単層膜形成時の表面圧は15〜25dyn/cm程度である
が、20〜22dyn/cmが最も好適である。
〔発明の効果〕
本発明のMSMまたはMIS型素子は、整流特性、ダイ
オード特性に秀れ、特に式(1)において、Rが炭素数5
以下のアルキル基のフタロシアニン誘導体を半導体層と
して用いた場合は、数百mA/cm2の大電流を通じても
破壊されない。従って、ダイオード等の整流素子、電界
効果トランジスタ等に利用できる。また、式(1)のフタ
ロシアニン誘導体より成る半導体層が可視部〜近赤外部
に巾広い吸収帯を有することから太陽電池としても利用
できる。さらに、式(1)において、Rが炭素数12以上
の直鎖状アルキル基の場合は半導体層薄膜形成時にディ
スコティック液晶となり、電圧印加で分子配向状態が変
化して色調が変わるのでエレクトロクロミックディスプ
レイとして利用できる。
〔実施例〕
次に参考例および実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
参考例1 4−ニトロ−1,2−フタロニトリル(以下NPNと
略)50g(0.29モル)、n−プロピルアルコール
21g(0.35モル)を100mlの脱水DMFに溶
解し、CaCl乾燥管付き還流管、窒素導入管を備え
た300ml4つ口フラスコに入れ、撹拌しながら窒素
雰囲気下に1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウン
デセン−(7)を43.07ml(0.29モル)加え、
65℃にて6時間反応させた。冷却後40℃以下にて減
圧濃縮し、適量のクロロホルムを加えて600mlの水
冷6N−HCl中に投じ、クロロホルム相を分離する。
水相を100ml×3回のクロロホルムで抽出して先の
クロロホルム相と合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥、
濾過、活性炭脱色処理し、溶媒を減圧濃縮する。冷却後
析出する黄色結晶(未反応のNPN)を取り除き、母液
をさらに濃縮して再結晶し、白色結晶53.0g(9
3.4%)を得た。分析の結果、目的の4−n−プロポ
キシ−1,2−フタロニトリルであることがわかった。
NMR(CDCl、δppm):Ha 7.1、7.2
(1H)、Hb 7.2(1H)、Hc 7.65、
7.7(1H)、Hd 4.3(2H)、He 2.2
(2H)、Hf 1.3(3H) IR(KBr錠剤、cm-1):νφ−H 3100、30
50、3000、 2980、2950、2850、νC≡N2550 このもの全量を既述と同様の装置に入れ、脱水メタノー
ル200ml中、ナトリウムメトキシド2gを加え、乾
燥アンモニアガスを激しく通じながら常温で2時間、沸
点還流下に1時間反応させた。冷却後生じる白色沈澱を
濾集し、真空乾燥して5−プロポキシジイミノイソイン
ドリン54.2g(98.5%)を得た。
5−プロポキシジイミノイソインドリン IR(KBr錠剤、cm-1):νNH3400、νφ−H
100、3045、3000、 2980、2955、2850、δNH1640の出現及
びνCN2250は消失 このものは強吸湿性であり、確認はIRよりνC≡N
消失、νNH及びδNHの出現により行った。
このもの5.2g(25.6ミリモル)を脱水2−ジメ
チルアミノエタノール20mlに溶解、乾燥窒素雰囲気
下に6時間沸点還流する。冷却後、メタノール約600
ml中に投じ、生じる緑色沈澱を濾集し、式(1)におい
てR=n−プロピル、Me=Hのフタロシアニン誘導
体2.3g(48.2%)を得た。
FDマススペクトル:M/e=747(分子量746.
87) 元素分析(wt%、カッコ内計算値): C 71.22(70.76)、H 5.75(5.6
7)N 14.96(15.00) 可視吸収スペクトル(CHClnm、カッコ内log
ε):704.5(5.06)、668(5.0
0)、642(4.66)、607(4.44)578
sh、558sh、390(4.53) 参考例2 n−プロピルアルコールの替りにn−エイコサノール1
04.5g(0.35モル)、ジアザビシクロ〔5、
4、0〕ウンデセン−(7)の替りに4−メチルピリジン
27g(0.29モル)を用いた他は、参考例1と同様
にして白色ろう状結晶110.4g(89.7%)の目
的の4−エイコサノキシ−1,2−フタロニトリルを得
た。
NMR(CDCl、δppm):Ha 7.1、7.2
(1H)、Hb 7.2(1H)、Hc 7.65、
7.7(1H)、α−CH4.25(2H)、β−C
2.2(2H)、γ−CH1.85(2H)、他
のCH1.6(巾広、32H)CH1.3(3H) IR(KBr錠剤、cm-1):CH伸縮振動帯(280
0〜3000)、CH変角振動帯(1450付近)な
どの吸収帯強度が極めて大きい他は、4−プロポキシ−
1,2−フタロニトリルを酷似している。
このもの全量を参考例1と同様にNHガスと反応さ
せ、相当する5−エイコサノキシジイミノイソインドリ
ン109.1g(95%)を得た。このものは吸湿性が
強いため、IR(KBr錠剤法)分析により、νNH34
00、δNH1640cm-1の出現、及びνCN2250cm
-1の消失より構造を確認した。なお、既述のCH伸縮
ないし変角振動帯の強度が極めて大きい他は、5−プロ
ポキシジイミノイソインドリンのIRと酷似する。
このもの4.4g(10ミリモル)を実施例1と同様に
脱水2−ジメチルアミノエタノール中で反応させ、実施
例1と同様に処理し、式(1)においてR=n−エイコサ
ニル、Me=Hのフタロシアニン誘導体1.8g(4
2.3%)を得た。
FD−マススペクトル:M/e=1702(分子量17
00、715) 元素分析(wt%、カッコ内計算値): C 79.12(79.10)、H 10.71(1
0.67)、N 6.62(6.59) 可視吸収スペクトル(CHClnm、カッコ内log
ε):705(5.06)、668(5.00)、6
42(4.66)、607(4.45)、578sh、3
91(4.54) 参考例3 塩化第1銅4g(約40ミリモル)の共存下に参考例1
の最終段に記載の環化反応を同様の仕込み及び装置で行
った。冷却後、溶媒を減圧留去し、固体をクロロホルム
で抽出、0.01Nの塩酸水50ml×3回洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮する。クロロホルム
/メタノール(40/1)混合溶媒で作製したφ10×
30cmのシリカゲルカラム(100〜200メッシュ)
にて同溶媒を用いて展開、Rf=0.45の青緑色バン
ドを集め、減圧濃縮後、グラスフィルター(G4)で濾
過しながら1の撹拌をしているメタノール中に滴下
し、生ずる青緑色沈澱を集めた。分析の結果、目的の式
(1)においてR=n−プロピル、Me=銅(II)のフタ
ロシアニン誘導体であった。収率は4.6g(88.9
%、但しジイミノイソインドリン体基準)であった。
FD−マススペクトル:M/e=809(Mw=80
8.4) 元素分析(wt%、カッコ内は計算値、但し銅は原子吸
光分析による):C 64.92(65.37)、H
5.04(4.99)、N 13.91(13.8
6)、Cu 7.90(7.86) 可視吸収スペクトル(CHClnm、カッコ内log
ε):682(5.03)、616(4.63)、5
67sh、381(4.41) 参考例4 塩化マグネシウム1.9g(約20ミリモル)を共存さ
せた他は、参考例2の後段に記載したのと同様に環化反
応を行い、その後参考例3と同様にカラム処理を行って
Rf=0.62の青緑色バンドを集め、参考例3と同様
に再沈処理を施して青緑色粉末状の式(1)においてR=
n−エイコサニル、Me=マグネシウム(II)のフタロ
シアニン誘導体4.2g(97.5%)を得た。
FD−マススペクトル:M/e=1725(Mw=17
23.01) 元素分析(wt%、カッコ内は計算値、但しマグネシウ
ムは原子吸光分析による):C 78.11(78.0
7)、H 10.42(10.30)、N 6.53
(6.50)、Mg 14.07(14.10) 可視吸収スペクトル(CHClnm、カッコ内はlo
g ε):702(5.07)、670(4.98)、
640(4.60)、385(4.45) 以上、参考例1及び2で示した方法のいずれかにより式
(2)で示される4−アルコキシ−1,2−フタロニトリ
ル及び式(3)で示される5−アルコキシジイミノイソイ
ンドリンが合成され、参考例1及び2または3及び4に
示した方法で相当するフタロシアニン誘導体ないし金属
フタロシアニン誘導体が合成される。それらを第1表、
第2表にまとめた。
実施例1 式(1)においてR=n−プロピル、Me=Hのフタロ
シアニン誘導体はクロロホルムに可溶である。0.5mg
/mlの溶液とし、通常のCVD法で作成された市販の
ITOネサガラス(10Ω/sq.,100cm2の薄円板)
を2000rpmにて回転し、その中心に30℃にて50
0μlを滴下、5分間回転させて溶媒を蒸散させた。
触針式表面粗さ計により、中心部の約50cm2の範囲は
平均膜厚約220Åの欠陥の無い薄膜が形成されたこと
がわかったので、この部分に3.5×5.0mmのスリッ
トを多数有するマスクをかけ、10-5Torrにてアルミニ
ウムを約150Åの膜厚になるよう真空蒸着した。IT
O部及び3.5×5.0mmのアルミニウム蒸着部に各々
接点を設け、MSM型の素子とした。通常の関数発生器
−ポテンショ・ガルバノスタットの組合せを用い、IT
O側を動作電極端子、アルミニウム側を対電極端子と
し、1mV/秒の掃引速度で−10〜+10Vの範囲で
ランプ波を印加し、電流値を観測して電圧−電流曲線を
作成した。その結果、このフタロシアニン誘導体のS薄
層はp−型の性質を持っており、開放電圧(VOCと略)
0.75V、閉路電流(ISCと略)1.3nA/cm2
1Vでの整流比1.45・10、ダイオードパラメー
タ1.6の優秀な特性を示すことがわかった。また、上
記の電気測定を白色光下に行ったところ、VOC0.77
V、ISC850nA/cm2、フィルフアクター(ffと
略)0.32、光電変換効率(ηと略)2.5・10-2
%のフォトダイオードとなりうることが示された。
実施例2 式(1)においてR=n−ブチル、Me=銅(II)のフタ
ロシアニン誘導体はクロロホルム、THFなどに易溶であ
る。その100mg/mlのクロロホルム溶液3mlを1
00cm2の、ガラス基板上に白金を通常の高周波スパッ
タリングで約0.5μmの厚さに薄膜形成させた基板上
に展開し、20℃にてエアーバッグ中乾燥窒素を流しな
がら溶媒を約3日間かけて蒸散させた。このとき、エア
ーバッグ中に別のクロロホルム容器を置き、そのクロロ
ホルムの量と窒素流量により最初の半日間は同温度の飽
和クロロホルム蒸気圧の1/2に設定し、以下2時間おき
に蒸気圧を2/3ずつに落とし、約1日半経過後乾燥窒素
(流量10ml/分)雰囲気下とした。この後、真空乾
燥を1日間施し、実施例1と同様に膜厚測定を行って、
膜中央部の約60cm2に平均膜厚0.3μmの欠陥の無
い薄膜が形成されたことを確認し、実施例1と同様の方
法でベリリウム(3.5×5mm、厚さ170Å)を蒸着
し、電気測定、光電気測定を行った。その結果、暗特性
としてVOC0.77V、ISC0.8nA/cm2、1Vで
の整流比1.72・10、ダイオードパラメータ1.
45、明特性としてVOC0.74V、ISC975nA/
cm2、ff0.36、η4.3・10-2%を得た。
実施例3 式(1)においてR=n−ヘキシル、Me=ニッケル(I
I)のフタロシアニン誘導体は、393℃に融点、44
6℃に分解点をもつことが示差掃査熱量計及び熱重量分
析よりわかった。この物質の粉末1.0gを実施例1と
同じ表面積100cm2のITOネサガラス上になるべく
均一になるように置き、乾燥アルゴン下に400±5℃
に熱し、溶融させた。約5分同温度に加熱した後、IT
O板の裏側よりドライアイスより発生させた冷CO
スを約500ml/分の速度でふき付け、約5分間で2
0℃に急冷した。実施例1と同様に膜厚測定を行って、
膜中央部の約80cm2に平均膜厚0.8μmの欠陥の無
い薄膜が形成されたことを確認し、実施例1と同様の方
法でマグネシウムを蒸着して約150Åの層を形成さ
せ、実施例1と同様に、但し乾燥アルゴン雰囲気下で電
気測定、光電気測定を行った。その結果、暗特性として
OC0.92V、ISC0.6nA/cm2、1Vでの整流
比1.93・10、ダイオードパラメータ1.55、
明特性としてVOC0.88V、ISC722nA/cm2
ff0.33、η3.1・10-2%を得た。
実施例4〜6 実施例1〜3で得たM/S二層構造物にMを蒸着す
る前に、ラングミュア・ブロジェット法によりアラキン
酸カドミウム塩の単分子膜を形成させた。塩化カドミウ
ム0.5ミリモル/の2回蒸留水溶液の2500cm2
の表面に、アラキン酸の1mg/mlのクロロホルム溶液
500μを落とししきり板により押しつめて表面圧が
20dyn/cm2となるようにした。M/Sの二層板を水
面上に垂直に設置し、0.5mm/分の速度で全体の80
%が没するまで浸漬し、気/水界面の単分子層を減圧吸
引により取り去って後、引き上げた。この後は実施例1
〜3と同様にMを蒸着し、電気測定、光電気測定を行
った。第3表にまとめて示したように、この実施例で得
られたMIS型素子は、相当する実施例1〜3のMSM
型素子に比べ、一般にVOC、整流比、ダイオードパラメ
ータ、ffの改善が認められることがわかる。
実施例7〜14 2.5×5cm、厚さ1mmのスライドグラスに通常の高周
波スパッタリングにより、約10μm厚のヒ素、パラジ
ウム、テルル、レニウム、イリジウム、金、ロジウム、
ルテニウムの薄膜を各々形成させた。参考例15に述べ
たR=n−ブチル、Me=Hのフタロシアニンの約
1.0mg/mlのクロロホルム溶液を500μ、気/
水界面に滴下し、実施例4で述べたと同様に溶媒蒸散後
表面圧を20dyn/cmに制御し、上記各基板を100往復
垂直浸漬させてS薄膜を形成させた。この後、実施例1
と同様にアルミニウム薄層を形成させてMSM型素子と
した。その特性を第4表にまとめて示した。
実施例15〜34 2.5×5cm、全体厚1mm、10Ω/sq.のITOネサガラ
スを20枚用意し、参考例16のR=n−ブチル、Me
=銅(II)のフタロシアニン誘導体に関し実施例7と同
様に、但し水平付着法により50回累積させた。このう
ちの4枚に関しては実施例1と同様に各々リチウム、ナ
トリウム、カリウム、カルシウムを熱蒸着した。残りの
16枚のうち、8枚については、一般の高周波スパッタ
リングにより、各々スカンジウム、チタン、マンガン、
ジルコニウム、ガリウム、イットリウム、ニオブ、カド
ミウムを薄膜形成させてMSM型素子とした。最後の8
枚については、実施例4で述べたと同様にして、但し、
水平付着法によりアラキン酸カドミウム塩単層膜を形成
させた後、インジウム、アンチモン、ネオジム、サマリ
ウム、ユーロピウム、ルテチウム、タリウム、鉛を各々
高周波スパッタリングで薄膜形成させてMIS型素子と
した。それらの特性を第5表にまとめて示した。
実施例35〜47 実施例15と同様に13枚のITOネサガラスを用意
し、各々0.5mg/mlの参考例17〜29のフタロシ
アニン誘導体のクロロホルム溶液700μより第6表に
示す表面圧で形成された単分子膜を垂直浸漬法で第6表
に示す回数累積し、その後は実施例1と同様にアルミニ
ウムを熱蒸着してMSM型素子とした。それらの特性は
第6表にまとめて示した。
実施例48 参考例30のR=n−テトラデシル、Me=Hのフタ
ロシアニン誘導体は402℃に融点、456℃に分解点
を持つことが実施例3と同様の測定によってわかった。
この物質の粉末1.0gに関し実施例3と同様に、但し
急冷せず放置により徐冷(約2℃/分)し、室温に戻し
た。この膜は中央部約80cm2の平均膜厚が0.83μ
mであり、偏向顕微鏡により液晶構造を取っていること
がわかった。また肉眼観察による色調は淡緑色である。
この膜上に実施例1と同様にアルミニウムを蒸着し、ア
ルミニウム側を負、ITO側を正として3Vの直流電圧
をかけたところ、黒緑色を呈し、電圧解除により色調が
元の淡緑色に戻った。電圧印加による色調変化の応答速
度は約0.1秒、電圧解除による色調復帰は約0.2秒
でくり返された。
実施例49〜51 参考例31〜33のフタロシアニン誘導体を、実施例7
と同様にして表面圧20dyn/cm2でそれぞれ30層ずつ
3枚のITOネサガラス上に累積膜を形成させた。それ
ぞれのフタロシアニン層の膜厚が550、570、65
0Åであることを確認した後、実施例1と同様にアルミ
ニウムを蒸着し実施例48と同様に偏向顕微鏡観察を行
って液晶構造を確認した後、同様に電圧印加解除をくり
返し、色調変化を観察した。これらはいずれも淡緑色か
ら電圧印加により淡黒緑色となり、電圧解除で元の色調
に復帰し、いずれも応答速度は電圧印加時0.03秒以
下、電圧解除時0.08秒以下であった。
実施例52、53 参考例1のフタロシアニン誘導体を実施例7と同様に、
但しMにセレン(実施例52)及びゲルマニウム(実
施例53)を、Mにアルミニウムを用いてMSM型素
子とし、第7表に示す特性を得た。
実施例54 表面積100cm2の円盤状グラッシーカーボン2枚を用
意し、フエルト上に0.3μmのアルミナ粉と水を適量
置き、円盤を1000rpmで回転させながら押し付けて
3分間研磨した。水洗後、蒸留水を満したビーカー中、
バス型の超音波洗浄器にて、水を5回とりかえながら1
0分間ずつ超音波洗浄を行った。乾燥後、両円盤の研磨
面を対向するように設置し、各々1000rpmで逆方向
に回転しながら10分間押しつけ、平滑面を得た。円盤
を回転装置に設置し、中央に参考例32のフタロシアニ
ン誘導体粉末を0.8g置いた。このフタロシアニン誘
導体は423℃に融点を、474℃に分解点を有するの
で、乾燥アルゴン雰囲気中円盤の温度を430℃に保
ち、試料の溶融を確認した後円盤を回転させ、1分後に
3000rpmとし、同温度、同回転数に15秒保った
後、約5分を要して回転を止め、20℃/分の速度でゆ
っくり降温した。この後は実施例49と同様に液晶構造
を確認した後対向電極としてアルミニウムを蒸着した。
フタロシアニン誘導体の層厚は0.7μmであり、電圧
印加により濃緑色から濃黒緑色に約0.5秒で変化し、
電圧解除により約1.5秒で元の色調に戻った。
実施例55 新鮮なへき解面を持つ表面積10cm2のピロリティック
グラファイトベイサル(basal)面を約3000rpmに回転
し、乾燥アルゴン雰囲気下に430℃に保った。あらか
じめ450℃に加温、溶融させてある参考例32のフタ
ロシアニン誘導体0.1gを回転面の中心に滴下し、1
5秒後に回転の動力を断って約5分を要して止め、20
℃/分の速度でゆっくり降温した。この後は実施例52
と全く同様に行い、層厚が0.72μmであった他は全
く同じ結果を得た。
【図面の簡単な説明】
添付図面は、本発明に使用されるフタロシアニン誘導体
の気/水界面での存在状態を模式的に示した図面であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 29/91 31/04 H01L 29/91 G 7376−4M 31/04 D

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】仕事関数の大きい導電性材料層、半導体層
    および仕事関数の小さい導電性材料層をこの順に積層し
    てなるMSM型素子、または、仕事関数の大きい導電性
    材料層、半導体層、絶縁層および仕事関数の小さい導電
    性材料層をこの順に積層してなるMIS型素子におい
    て、上記半導体層として下記の式(1)で表されるフタロ
    シアニン誘導体薄膜を使用したことを特徴とするMSM
    またはMIS型素子。 但し、Rは炭素数3以上25以下の直鎖ないし枝分れ炭
    化水素基、MeはHまたはマグネシウムまたは遷移金
    属イオンを示し、−OR基の置換位置は上式のイソイン
    ドリン基において5−位または6−位である。
  2. 【請求項2】仕事関数の大きい導電性材料がシート抵抗
    30Ω/sq.以下の酸化インジウムスズ、グラファイ
    ト、グラッシーカーボン、ヒ素、パラジウム、テルル、
    レニウム、イリジウム、白金、金、ロジウム、ルテニウ
    ム、セレンおよびゲルマニウムより選ばれることを特徴
    とする特許請求の範囲第(1)項に記載のMSMまたはM
    IS型素子。
  3. 【請求項3】仕事関数の小さい導電性材料が、リチウ
    ム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニ
    ウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、
    マンガン、ジルコニウム、ガリウム、イットリウム、ニ
    オブ、カドミウム、インジウム、アンチモン、ランタニ
    ド類、タリウム、鉛より選ばれることを特徴とする特許
    請求の範囲第(1)項に記載のMSMまたはMIS型素
    子。
  4. 【請求項4】絶縁層が、炭素数16〜22の直鎖飽和脂
    肪酸のカドミウム塩、水銀塩またはアルカリ土類金属塩
    から成る特許請求の範囲第(1)項記載のMIS型素子。
  5. 【請求項5】仕事関数の大きい導電性材料から成る基板
    上に、下記の式(1)で表されるフタロシアニン誘導体薄
    膜から成る半導体層を設け、この半導体層上に、絶縁層
    を設けあるいは設けることなく、仕事関数の小さい導電
    性材料層を形成することを特徴とするMSMまたはMI
    S型素子の製造方法。 但し、Rは炭素数3以上25以下の直鎖ないし枝分れ炭
    化水素基、MeはHまたはマグネシウムまたは遷移金
    属イオンを示し、−OR基の置換位置は上式のイソイン
    ドリン基において5−位または6−位である。
  6. 【請求項6】半導体層が、フタロシアニン誘導体の単分
    子膜を垂直浸漬法または水平付着法により基板上に移し
    取ることにより形成される特許請求の範囲第5項に記載
    の方法。
  7. 【請求項7】半導体層が、フタロシアニン誘導体の揮発
    性有機溶剤溶液を基板上に塗布し、溶剤を蒸散させるこ
    とにより形成される特許請求の範囲第(5)項に記載の方
    法。
  8. 【請求項8】半導体層が、フタロシアニン誘導体を基板
    上に溶融キャストすることにより形成される特許請求の
    範囲第(5)項に記載の方法。
  9. 【請求項9】絶縁層が、直鎖脂肪酸金属塩の単分子膜を
    垂直浸漬法または水平付着法により基板上に移し取るこ
    とにより形成される特許請求の範囲第(5)項に記載の方
    法。
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