JPH067820A - ルーパ多変数制御装置 - Google Patents

ルーパ多変数制御装置

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JPH067820A
JPH067820A JP4167896A JP16789692A JPH067820A JP H067820 A JPH067820 A JP H067820A JP 4167896 A JP4167896 A JP 4167896A JP 16789692 A JP16789692 A JP 16789692A JP H067820 A JPH067820 A JP H067820A
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JP
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looper
tension
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control
height
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JP4167896A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Imanari
成 宏 幸 今
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 タンデム圧延機の張力変動をルーパの上下動
で吸収するようにルーパおよび圧延材張力を制御するル
ーパ多変数制御装置を得る。 【構成】 設定手段15は圧延材の張力指令値、ルーパ高
さの指令値、プロセスモデルを表現する変数、ならび
に、ルーパ高さおよびスタンド間張力に対する応答およ
びロバスト性を指定する重み関数をそれぞれ設定するも
のである。制御ゲイン演算手段16は設定された各変数お
よび重み関数を用いて制御ゲインを数値として求める。
制御ゲイン管理手段14は演算された制御ゲインを保持
し、適切なものを選択する。制御演算手段13は選択され
た制御ゲインと、設定された張力指令値およびルーパ高
さ指令値とに基づき、圧延機駆動主電動機の回転速度指
令値およびルーパ駆動電動機の回転速度指令値を演算す
る。ここで、プロセスモデルは、設定されたルーパ高さ
の指令値に、圧延材の張力指令値と圧延材張力の測定値
との差に重みをつけた値を加算して新たなルーパ高さ指
令値とする機能を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、タンデム圧延機の各
スタンド間に配置されたルーパの高さと、圧延材のスタ
ンド間張力を制御するルーパ多変数制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延や冷間圧延における最終製品の
評価基準の一部に板厚および板幅がある。このうち、板
厚に対して自動板厚制御が行われ、板幅に対して自動板
幅制御が行われる。一方、圧延中の材料にかかる張力は
板厚や板幅に影響するため、張力をある値に保つ制御も
行われている。
【0003】特に、熱間圧延における圧延材料は加熱処
理されて高温となり圧延材料の変形抵抗が小さくなって
おり、張力が大きいと材料の破断を起こしやすくなる。
この破断を防止するべく張力を小さく設定すると外乱や
誤設定により無張力の状態となることがあり、その状態
が続くと圧延機スタンド間に大きなループが発生して事
故を引き起こすことがある。そこで熱間圧延機ではとく
にルーパ装置が設けられ、このルーパ装置によって張力
制御が行われ、また材料の通板性を良くする観点からル
ーパの高さ制御が行われる。
【0004】かかる圧延材張力およびルーパ高さ制御装
置において、圧延材張力からルーパ高さへの干渉と、ル
ーパ高さから張力への干渉とがある。従来からの張力制
御にはそれらの干渉を抑えることなくPID制御により
圧延材張力およびルーパ高さを制御する方法と、これら
の干渉を抑えるような非干渉化補償装置を付加して圧延
材張力とルーパ高さとを独立に制御する非干渉制御方法
と、ルーパと圧延材張力の干渉系を多変数系としてとら
え、最適制御理論(Linear Quadratic)を適用する方法
などがあり、それぞれ実機に適用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したPID制御に
よる方法では、圧延材張力とルーパとの相互干渉を抑え
る働きがないため速応性や安定性に欠けていた。そこで
最近では非干渉制御や最適制御が多く用いられている。
【0006】このうち、非干渉制御では、クロスコント
ローラ等の非干渉化のための補償装置を実現するための
一例として、計算機上に非干渉化するための補償装置の
伝達関数を実現している。一般にこの伝達関数は高次に
なり、そのため実際のプラントとモデルの不一致の悪影
響が顕著になったり、計算機上での演算精度に問題を生
じたりすることがあった。また、ルーパ本来の機能とし
てルーパが働いて張力変動を抑え張力制御の一部を担う
べきであるが、非干渉化によりルーパの高さが一定に制
御されるため、その機能が十分に活かされなかった。
【0007】これに対して、最適制御理論による方法で
は、操作端として圧延機駆動主電動機とルーパとを協調
させて使用するように制御ゲインを設計することができ
る。この最適制御では、下記 (1)式に示す評価関数Jの
中の重み行列Q,Rと、実際のプロセスの応答との因果
律を見い出すのが難しく、制御系全体の適当な応答を実
現するQ,Rを試行錯誤しながら見つけ、制御ゲインを
決定するのが一般的である。
【0008】
【数1】 ここで、xは制御対象プロセスの状態量、uはコントロ
ーラが制御対象プロセスに与える操作量であり、xT
xの転置、uT はuの転置を表す。
【0009】このように試行錯誤を繰返すため、制御系
の設計やプラントの調整には多くの時間が必要であっ
た。また、この最適制御理論による方法では、解析的に
解けないリカッチ方程式を数値的に解く必要があること
から、変数を含んだ最適制御ゲインの一般式が求められ
ないことがあった。
【0010】なお、一般式を求める代わりにゲインテー
ブルを利用する方法がある。しかし、この方法では予め
圧延材料の性質や圧延条件に合わせた制御ゲインを求め
てテーブルを作成しておき、制御ゲイン使用時にそのテ
ーブルを参照する方式が一般的である。したがって、こ
のゲインテーブルの値の決定とその維持、管理に多くの
手間と時間を必要とした。
【0011】また、ゲインテーブルには全ての場合を記
述することは不可能に近く、このゲインテーブルに存在
しない圧延条件等ではこの圧延条件と類似するテーブル
からゲインを近似せざるを得ないので、制御性能の劣化
が考えられる。
【0012】前記非干渉制御および前記最適制御におい
ては、厳密な制御対象のプロセスモデルに基いてコント
ローラを設計するために、実際のプロセスとモデルとが
異なった場合は、制御系全体が不安定になる場合もあ
る。このため速応性をある程度犠牲にして制御ゲインを
小さくし、不安定にならないようにコントローラを設計
することが一般に行われている。この場合でも実際のプ
ロセスとモデルとがどの程度に異なれば制御系が不安定
になるかを示す指標は得られない。
【0013】近年、H∞制御がロバスト性の大きい制御
系を設計できる点で注目されている。ロバスト性とは、
制御対象プロセスが何等かの原因で変化したり、制御対
象プロセスとそのモデルとに差がある場合でもコントロ
ーラを含む制御系全体が安定である度合いを言う。一般
的にはロバスト性の大きな制御系が望ましい。H∞制御
はこのロバスト性の指標を持ち、ロバスト性を考慮して
コントローラを設計できることが特徴でもある。
【0014】しかし、H∞制御をルーパ制御系に適用し
た場合も、一般的には張力およびルーパ高さは非干渉化
されるため、前記非干渉制御と同様に、ルーパを使用し
て張力変動を抑える場合のコントローラの設計は難しか
った。
【0015】この発明は上記の問題点を解決するために
なされたもので、タンデム圧延機の各スタンド間に配置
されたルーパの高さおよび圧延材のスタンド間張力の干
渉系を多変数系として制御する場合、張力変動をルーパ
の上下動で吸収するようにルーパおよび圧延材張力を制
御するルーパ多変数制御装置を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、タンデム圧延
機の圧延機駆動主電動機およびルーパ駆動電動機を、圧
延材張力およびルーパ高さの干渉系をモデル化したプロ
セスモデルを用いて演算した各回転速度指令値に従って
制御するルーパ多変数制御装置であって、圧延材の張力
指令値、ルーパ高さの指令値、プロセスモデルを表現す
る変数、ならびに、ルーパ高さおよびスタンド間張力に
対する応答およびロバスト性を指定する重み関数をそれ
ぞれ設定する設定手段と、設定された各変数および重み
関数を、圧延材料張力およびルーパ高さを相互に非干渉
化させることを前提とする制御ゲイン演算式に代入し
て、制御ゲインを数値として求める制御ゲイン演算手段
と、演算された制御ゲインを保持すると共に、圧延条件
および圧延状態に応じて適切な制御ゲインを選択する制
御ゲイン管理手段と、選択された制御ゲインと、設定さ
れた圧延材の張力指令値およびルーパ高さの指令値とに
基づき、圧延材張力を張力指令値に追従させ、かつ、ル
ーパ高さをルーパ高さ指令値に追従させるような圧延機
駆動主電動機の回転速度指令値およびルーパ駆動電動機
の回転速度指令値を演算する制御演算手段とをを備えた
ものである。
【0017】ここで、プロセスモデルは、設定されたル
ーパ高さの指令値に、圧延材の張力指令値と圧延材張力
の測定値との差に重みをつけた値を加算して新たなルー
パ高さ指令値とする機能を備えるとよい。
【0018】
【作用】この発明においては、圧延機駆動主電動機およ
びルーパ駆動電動機の各回転速度指令値を演算するに当
たり、プロセスモデルを表現する変数、ルーパ高さおよ
びスタンド間張力に対する応答およびロバスト性を指定
する重み関数を用いて制御ゲインを演算し、これらの制
御ゲインを圧延条件および圧延状態に応じて適切なもの
を選択し、さらに、選択された制御ゲインを用いて圧延
機駆動主電動機の回転速度指令値およびルーパ駆動電動
機の回転速度指令値を演算しているので、張力変動をル
ーパの上下動で吸収し、かつ、所望の応答およびロバス
ト性を実現することができる。
【0019】また、設定されたルーパ高さの指令値に、
圧延材の張力指令値と圧延材張力の測定値との差に重み
をつけた値を加算して新たなルーパ高さ指令値とする機
能を備えたプロセスモデルを用い、設定手段にてこの重
みを設定することにより、張力変動をルーパの上下動で
確実に吸収することができる。
【0020】
【実施例】以下、図面に示す実施例によって本発明を詳
細に説明する。図1はこの発明の一実施例の構成を示す
ブロック図である。同図において、圧延材1は第iスタ
ンド圧延機2および第i+1スタンド圧延機3の順で圧
延される。ここでタンデム圧延機の全スタンド数をnと
すると、n=5〜7が一般的である。以下に示すルーパ
等の装置は各スタンド間に設置されるが、iスタンドと
i+1スタンドとの間の状態を考察すれば容易に他のス
タンドへも拡張できるので、ここでは2スタンド間のみ
を考える。なおiは1≦i≦n−1の範囲である。
【0021】この第iスタンドおよび第i+1スタンド
間にルーパ4が設けられているとき、ルーパロールが受
ける圧延材の張力が張力検出装置5で検出され、ルーパ
の高さに換算されるルーパアームの角度がルーパ高さ検
出装置6で検出される。このルーパを駆動するルーパ駆
動電動機(以下、ルーパ電動機と言う)7には回転速度
検出装置8が取付けられ、ルーパ電動機回転速度とその
回転速度指令値との偏差を小さくするようにルーパ電動
機速度制御装置9で制御される。
【0022】一方、第iスタンドの圧延機駆動主電動機
(以下、圧延機駆動主電動機を主機と言う)11の速度を
制御するための主機速度制御装置12は、主機速度検出装
置10による主機速度検出値と速度指令値との偏差を小さ
くするように第iスタンド主機11の電流を制御する。
【0023】上述したルーパ電動機7の速度指令値およ
び第iスタンド主機11の回転速度指令値は制御演算手段
13で演算される。この場合、設定手段15によって圧延材
の張力指令値、ルーパ高さの指令値、プロセスのモデル
を表現する変数、スタンド間張力およびルーパ高さに対
する応答およびロバスト性を指定する重み関数をそれぞ
れ設定すると、制御ゲイン演算手段16が各変数および重
み関数を所定の制御ゲイン演算式に代入して、制御ゲイ
ンを数値として求める。制御ゲイン管理手段14は演算さ
れた制御ゲインを保持すると共に、圧延条件および圧延
状態に応じて適切な制御ゲインを選択して制御演算手段
13に渡す。
【0024】図2は図1に示した制御系のうち、設定手
段15、制御ゲイン演算手段16および制御ゲイン管理手段
14を除いたものに対応するブロック図である。
【0025】図2においてブロック17〜28は制御対象プ
ロセスであり、図1にそれぞれ参照番号1〜12を付した
要素に相当している。このうち、ブロック17は主機速度
制御系であり、図1における主機速度検出装置10、第i
スタンド主機11、主機速度制御装置12で構成される速度
制御系を一つのブロックとして表したものである。ブロ
ック18は主機速度から圧延材料速度への影響係数、ブロ
ック19は張力発生プロセスにおける張力発生ゲインおよ
び積分器、ブロック20は張力発生プロセスにおけるフィ
ードバックゲインであり、ブロック19,20で張力発生機
構をモデル化している。
【0026】また、ブロック21はルーパ電動機回転速度
から圧延材速度への影響係数、ブロック22は圧延材張力
からルーパ電動機トルクへの影響係数である。ブロック
23はルーパ高さからルーパ電動機トルクへのフィードバ
ックゲイン、ブロック24はルーパ速度制御器で、図1に
おけるルーパ電動機速度制御装置9に相当するもの、ブ
ロック25はルーパ電動機トルク係数、ブロック26はルー
パ電動機におけるトルクから回転速度への伝達関数、ブ
ロック27はルーパダンピング係数、ブロック28はルーパ
電動機の回転速度からルーパ高さへの伝達関数である。
そして、図2中のブロック24,25,26,27が図1におけ
るルーパ電動機7、回転速度検出装置8、制御装置9で
なるルーパ速度制御系に相当し、図2中のブロック23,
28が図1におけるルーパ4に相当する。
【0027】一方、図2におけるブロック29〜32は図1
の制御演算手段13に相当する部分であり、それぞれは高
次の伝達関数で表されるコントローラで、図2にはある
設計条件の元で設計した場合のコントローラの構成を示
す。他の設計条件を用いれば別の構成となる場合がある
ことは言うまでもない。
【0028】さらに、ルーパ高さ制御系においてルーパ
高さと圧延材張力の両方を制御するべく、検出張力にブ
ロック34に示す重みを掛けて得られた値をルーパ高さ検
出値に加算してこれをルーパ高さのフィードバック値と
する一方、張力指令値にブロック33で示す重みを掛けて
得られた値をルーパ高さ指令値に加算してこれを新たな
ルーパ高さ指令値としている。図2におけるブロック17
〜28までの制御対象プロセスモデルを状態方程式で書く
と次の (2),(3)式のようになる。
【0029】
【数2】
【0030】
【数3】 ここで各記号の前に付加した「Δ」は、その記号の微少
変化を表す。また、各記号の上に付加した「・」は時間
微分を表す。したがって例えば を表すこととなり、このうちtは時間を表している。
【0031】また、T は転置を表すこととし、 状態ベクトルx=[ Δtf ΔωL Δθ ΔVr
ΔxH T 出力ベクトルy=[ Δtf Δθ ]T 入力ベクトルu=[ ΔVRREF ΔωLREFT として状態方程式を表すと次式となる。
【0032】 x=Ax+Bu y=Cx … (4) ただし、A,B,Cは (2),(3)式中の下記行列を表して
いる。
【0033】
【数4】 上記、状態方程式中の各変数の意味は次の通りである。
【0034】gr :ルーパとルーパ電動機との間のギヤ
ー比 J :ルーパ電動機慣性能率 K10:張力フィードバック係数 E :圧延材のヤング率 L :スタンド間距離 tf :前方張力 Vr :主機速度 Z :ルーパダンピング係数 α :主機速度から圧延材速度への影響係数 θ :ルーパ高さ(角度で表す) φ :ルーパ電動機トルク係数 ωL :ルーパ回転速度 Tv :主機速度制御系時定数 F1 :ルーパ高さからルーパ駆動トルクへのゲイン (圧延材の重量、ルーパ自重分による負荷トルク) F2 :ルーパ回転速度から圧延材速度への影響係数 F3 :張力からルーパ電動機トルクへの影響係数 xH :ルーパ速度制御器内部の変数 K,T21:ルーパ速度制御器の制御定数 添字REF :その記号の指令値 ここで、ルーパ高さ制御系においてルーパの高さと圧延
材張力との両方を制御するべく、上述の (3)式を次式の
ように変更する。
【0035】
【数5】 なお、 (3)式における制御量Δθは (5)式においてΔy
2 とされ、このΔy2は次式のように変更される。
【0036】 Δy2 =C1 ・Δtf +Δθ … (6) 重みC1 を大きくすれば圧延材張力tf の制御性が大き
くなり、圧延材張力自体は良好に制御されるが、ルーパ
高さθは変動が大きくなる。また、重みC1 を小さくす
れば圧延材張力tf の比重が小さくなり、ルーパ高さθ
は一定に制御される。重みC1 を0にすれば (3)式に示
したモデルと同一になる。
【0037】図2におけるブロック33および34は (5)式
でC1 を導入したことに伴い追加されたものである。図
2を等価変換すると図3のように描くことができる。図
3からC1 は圧延材の張力指令値ΔtfREFと実張力Δt
f とに偏差が生じたときに、ルーパ高さ指令値をもとも
と目標とするルーパ高さの値からC1 ・(ΔtfREF−Δ
f )だけ変化させ、張力変動を吸収しようとする意味
を持つことがわかる。
【0038】図1の制御演算手段13に相当する図2にお
けるブロック29〜32の伝達関数の決定方法は以下の通り
とする。
【0039】基本的にはH∞制御を用いて決定する。因
みに、図4はC1 を導入しない場合のH∞制御のブロッ
ク図であり、 (2), (3)式を用いてH∞制御によりコン
トローラを設計した場合に得られる一例である。この図
4を例にしてH∞制御の概要を説明する。
【0040】図4にはコントローラの設計のために重み
関数W11,W12,W21,W22が付加されており、それぞ
れブロック39,40,41,42で表す。この重み関数は一般
に高次の伝達関数で与える。図5は周波数と、重み関
数、感度関数および相補感度関数との関係をを示したも
のである。図5においては、 と設定している。
【0041】H∞制御においては、一般に次の混合感度
問題を設定する。この混合感度問題とは
【0042】
【数6】 とおいて‖・‖H∞はH∞ノルムを表すものとして ‖E(jω)‖H∞<1 かつ E(jω)は内部安定 とするような伝達関数を見出だす問題である。この伝達
関数を導出するためには、ゲイン計算用の設計CADシ
ステムが必要であり、伝達関数は数値による表現で得ら
れる。従って、設計者は上記W11,W12等の重み関数を
設定し、ゲイン計算用の設計CADシステムを用いて伝
達関数を得ることができる。
【0043】この4つの重み関数を指定することによっ
て制御系の所望の速応性およびロバスト性が得られる。
そのしくみは以下のとおりである。図5は4つの重み関
数のうち、W11,W12と感度関数GSTC ,GSHC および
相補感度関数GTTC ,GTHC を示す。ここで、添字TCは
張力制御、HCはルーパ高さ制御を示す。一般的に感度関
数は主に制御系の速応性に関係し、相補感度関数は主に
制御系のロバスト性に関係する。したがって、感度関数
STC は張力制御の速応性を、感度関数GSHC はルーパ
高さ制御の速応性を、相補感度関数GTTC は張力制御の
ロバスト性を、GTHC はルーパ高さ制御のロバスト性を
表す指標となる。
【0044】感度関数および相補感度関数は、重み関数
を設定し、伝達関数を演算した後の閉ループ系の応答で
あり、張力制御に関係する感度関数GSTC および相補感
度関数GTTC は重み関数W11,W21によって決められ、
ルーパ高さ制御に関係する感度関数GSHC および相補感
度関数GTHC は重み関数W12,W22によって決められ
る。
【0045】また、速応性の指標は感度関数が0dbライ
ンを切る近辺の周波数であり、図5においては張力制御
の応答は交差角周波数にしてほぼ7rad/s となる。ロバ
スト性の指標は相補感度関数と重み関数の逆数とのゲイ
ン差となり、図5におけるルーパ高さ制御系のロバスト
性の指標はW22 -1とGTHC との差である約20dbとなる。
これは実際のプロセスとモデルとの誤差が約20db(=10
倍)あったとしても安定性は保たれるということを意味
している。
【0046】ロバスト性を大きく設計することは、制御
対象プロセスが広範囲に変化しても制御系としては安定
ということであり、一種のコントローラゲインによって
広範囲の圧延状態に対応できることになる。このため圧
延状態によってコントロールゲインを多種類持つ必要は
なくなる。
【0047】本実施例に係る図2あるいは図3のプロセ
スモデルに対しても図4の場合と全く同様に伝達関数を
決めることができる。従来からのプロセスモデルにH∞
制御を適用した図4の制御系の場合、張力とルーパ高さ
とを別々に評価してそれぞれの応答とロバスト性を設計
する。このため、張力とルーパ高さはほぼ非干渉化さ
れ、張力変動をルーパの上下動で吸収するように設計す
ることは困難である。
【0048】一方、本実施例に係る図2および図3に示
す制御系では、張力と、ルーパ高さ+重み付き張力とを
評価する。このため張力変動をルーパにより抑制するよ
うに設計することができる。この結果、図2の伝達関数
と図4の伝達関数とを比較すると、ブロック30の構造が
異なっており、また、同じ感度関数および相補感度関数
で設計したとしても、図2と図4とではブロック29〜32
を構成する係数K11,a111 ,b110 等の値も異なるも
のとなる。
【0049】本実施例においては、設定手段15による圧
延条件および圧延状態と同一あるいは類似の条件および
状態で演算された制御ゲインが制御ゲイン管理手段14の
中に記録されておれば、その制御ゲインを制御演算手段
13に渡す。
【0050】圧延条件および圧延状態が同一あるいは類
似の制御ゲインがないときには、上記 (2)式および (5)
式の中の変数Tv 、E、L等および重みC1 がプロセス
モデルを表す変数として、圧延条件および圧延状態によ
り具体的な値が設定され、W11,W12,W21,W22が圧
延材張力およびルーパ高さの応答とロバスト性を指定す
る重み関数として、それぞれ設定手段15で設定され、制
御ゲイン演算手段16に渡される。
【0051】なお、設定手段15による各種パラメータの
設定に際して、圧延条件および圧延状態が同一または類
似の制御ゲインが制御ゲイン管理手段14の中にあるか否
かの判断は、自動的に行っても、あるいは、人が判断し
てもよい。さらに、予め想定される全ての圧延条件およ
び圧延状態に対応する制御ゲインを演算、記憶してお
き、操業時に制御ゲインを選択する、いわゆる、テーブ
ルピックアップ方式でも実施することができる。
【0052】図6に本実施例に係る制御系のシミュレー
ション結果を示す。これは7スタンドの熱間圧延機を模
擬したものである。図6 (a)におけるa,b,…,fは
それぞれ第1−2スタンド間張力、第2−3スタンド間
張力、…,第6−7スタンド間張力を表し、図6 (b)に
おけるg,h,…,lはそれぞれ第1−2スタンド間ル
ーパ高さ、第2−3スタンド間ルーパ高さ、…,第6−
7スタンド間ルーパ高さを表している。このシミュレー
ションにおける対象プロセスとしては、図2にブロック
17〜28で示すように簡易化されたモデルではなく、熱間
圧延時に加わるスキッドマークや、ロール偏芯等の外
乱、主機制御系やルーパ制御器、自動板厚制御系を細か
く記述したモデルを用いており、現実の圧延を高い精度
で模擬している。また、このシミュレーションでは27秒
から53秒まで加速圧延を行っており、シミュレーション
の後半で外乱の周期が短くなっている同じ条件にて圧延
材張力とルーパ高さを非干渉化することを前提に設計し
た制御系でシミュレーションした結果を図7に示す。図
7 (a)におけるm,n,…,rはそれぞれ第1−2スタ
ンド間張力、第2−3スタンド間張力、…,第6−7ス
タンド間張力を表し、図7 (b)におけるs,t,…,x
はそれぞれ第1−2スタンド間ルーパ高さ、第2−3ス
タンド間ルーパ高さ、…,第6−7スタンド間ルーパ高
さを表している。ここで、ルーパ高さがほぼ固定されて
いるため、ルーパの上下動により張力変動を抑えている
様子はない。
【0053】このシミュレーションの結果、本実施例
は、圧延材張力とルーパ高さとを非干渉化する方法に比
べて、ルーパ高さの変動は大きくなるけれども圧延材張
力の変動は小さく抑えられることが確認できる。したが
って、重みC1 等によりルーパ高さの変動を許容範囲内
に抑えるように設計すれば、非干渉化の場合よりも圧延
材張力を良好に制御することができる。
【0054】なお、上記実施例ではワークロールの外側
にバックアップロールを配置した4重圧延機で、しか
も、これらの圧延機間に設けられるルーパを電動機で駆
動するものを対象としたが、本発明はこれに限定される
ものではなく中間ロール等を備えた他の圧延機であって
も、あるいは、圧延機間に配置されたルーパを油圧駆動
するものであっても本発明を適用できることは明らかで
ある。
【0055】
【発明の効果】以上の説明によって明らかなように本発
明は、プロセスモデルを表現する変数、ルーパ高さおよ
びスタンド間張力に対する応答およびロバスト性を指定
する重み関数を用いて制御ゲインを演算し、これらの制
御ゲインを圧延条件および圧延状態に応じて適切なもの
を選択し、さらに、選択された制御ゲインを用いて圧延
機駆動主電動機の回転速度指令値およびルーパ駆動電動
機の回転速度指令値を演算しているので、張力変動をル
ーパの上下動で吸収でき、しかも、所望の応答およびロ
バスト性を実現することができる。
【0056】また、設定されたルーパ高さの指令値に、
圧延材の張力指令値と圧延材張力の測定値との差に重み
をつけた値を加算して新たなルーパ高さ指令値とする機
能を備えたプロセモデルを用いることにより、張力変動
をルーパの上下動で確実に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の全体構成を、圧延系統と合
わせて示したブロック図。
【図2】本発明の一実施例の主要部の詳細な構成を示す
ブロック図。
【図3】本発明の一実施例の主要部の詳細な構成を示す
ブロック図。
【図4】本発明の一実施例と比較対称するために示した
従来の多変数制御装置の主要部の詳細な構成を示すブロ
ック図。
【図5】本発明の一実施例に係る速応性およびロバスト
性を説明するための説明図。
【図6】本発明の一実施例の動作を説明するために、張
力およびルーパ高さと時間との関係を示した線図。
【図7】本発明の一実施例と比較対称するために、従来
の多変数制御装置における張力およびルーパ高さと時間
との関係を示した線図。
【符号の説明】
1 圧延材 2 第iスタンド圧延機 3 第i+1スタンド圧延機 4 ルーパ 5 張力検出装置 6 ルーパ高さ検出装置 7 ルーパ駆動電動機 8 回転速度検出装置 9 制御装置 10 主機速度検出装置 11 圧延機駆動主電動機 12 主機速度制御装置 13 制御演算手段 14 制御ゲイン管理手段 15 設定手段 15 制御ゲイン演算手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タンデム圧延機の圧延機駆動主電動機およ
    びルーパ駆動電動機を、圧延材張力およびルーパ高さの
    干渉系をモデル化したプロセスモデルを用いて演算した
    各回転速度指令値に従って制御するルーパ多変数制御装
    置であって、 圧延材の張力指令値、ルーパ高さの指令値、前記プロセ
    スモデルを表現する変数、ならびに、ルーパ高さおよび
    スタンド間張力に対する応答およびロバスト性を指定す
    る重み関数をそれぞれ設定する設定手段と、 設定された前記各変数および重み関数を、圧延材料張力
    およびルーパ高さを相互に非干渉化させることを前提と
    する制御ゲイン演算式に代入して、制御ゲインを数値と
    して求める制御ゲイン演算手段と、 演算された制御ゲインを保持すると共に、圧延条件およ
    び圧延状態に応じて適切な制御ゲインを選択する制御ゲ
    イン管理手段と、 選択された制御ゲインと、設定された前記圧延材の張力
    指令値およびルーパ高さの指令値とに基づき、圧延材張
    力を張力指令値に追従させ、かつ、ルーパ高さをルーパ
    高さ指令値に追従させるような圧延機駆動主電動機の回
    転速度指令値およびルーパ駆動電動機の回転速度指令値
    を演算する制御演算手段と、 を備えたことを特徴とするルーパ多変数制御装置。
  2. 【請求項2】前記プロセスモデルは、設定された前記ル
    ーパ高さの指令値に、前記圧延材の張力指令値と圧延材
    張力の測定値との差に重みをつけた値を加算して新たな
    ルーパ高さ指令値とする機能を備えたことを特徴とする
    請求項1記載のルーパ多変数制御装置。
JP4167896A 1992-06-25 1992-06-25 ルーパ多変数制御装置 Pending JPH067820A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU680158B2 (en) * 1994-11-25 1997-07-17 Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial Systems Corporation Looper control system for a rolling mill
US5787746A (en) * 1994-07-25 1998-08-04 Alcan Aluminum Corporation Multi-stand hot rolling mill tension and strip temperature multivariable controller
US7135052B2 (en) 2001-08-07 2006-11-14 Carl Freudenberg Kg Cassette filter
JP2009045635A (ja) * 2007-08-16 2009-03-05 Kobe Steel Ltd 圧延材の張力制御方法及び圧延装置

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