JPH0678576B2 - 過共晶Al―Si合金用初晶Si微細化剤 - Google Patents

過共晶Al―Si合金用初晶Si微細化剤

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JPH0678576B2
JPH0678576B2 JP22819590A JP22819590A JPH0678576B2 JP H0678576 B2 JPH0678576 B2 JP H0678576B2 JP 22819590 A JP22819590 A JP 22819590A JP 22819590 A JP22819590 A JP 22819590A JP H0678576 B2 JPH0678576 B2 JP H0678576B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 過共晶Al−Si合金鋳造体の初晶Siを微細化するための微
細化剤であって、アルミニウムまたはアルミニウム合金
材の表面に、P含有合金メッキ層を形成させた事を特徴
とする過共晶Al−Si合金用初晶Si微細化剤に係るもので
ある。
(従来の技術) Al−Si系合金は流動性において優れているところから複
雑な形状、構造を有する鋳造体を得る目的において広く
採用されている。殊に重量%(以下単に%という)でSi
が11.7%以上を含有した過共晶Al−Si系合金は熱膨張係
数が小さく、耐熱性においても優れていて、しかも溶湯
凝固の際に初晶Siが晶出し、この初晶Siは硬度が高くて
耐摩耗性に優れていることからピストンなどの内燃機関
材料として広く利用されている。ところでこの初晶Siの
粒径が大きいと鋳造体の切削性および機械的性質が低下
するのでその粒径を可及的に微細化することが強く要望
されており、このために合金溶湯を急冷凝固させたり
(例えば特開昭52−129607)、合金溶湯中にPを添加し
てP処理をしてから鋳造し、切晶Siを微細化しているが
一般的である。
そして、Pの添加法としてはヘキサメタリン酸ナトリウ
ムなどのフラックスによる方法(例えば、特開昭52−15
3817)やCu−8%Pなどのリン含有合金を添加する方法
(例えば、特開昭60−204843)が開示されている。
(発明により解決しようとする課題) 然しこの溶湯にPを添加して初晶Siを微細化する場合に
おいても実際の鋳造に際して困難な問題点を有してい
る。即ち実際の鋳造体においては肉厚の大なる部分と薄
い部分とが一体となっていることが一般的であって、こ
のような鋳造体を得る場合に、冷却速度の遅い肉厚部分
の初晶Siを微細化するためにPの添加量を増加すること
が必要で、斯うしてPの添加量を増加してゆくと溶湯の
流動性が低下し、肉厚の薄い部分においては湯廻り不良
を発生する。そこでこのような湯廻り不良を発生するよ
うな場合に溶湯の鋳造温度を高くして鋳造することも行
われているが、この場合には肉厚の厚い部分において
は、凝固収縮量が大きくなり、ピンホールを発生して不
良品となる等の欠点を伴う。
そして、Cu−P合金などの合金系微細化剤では、P処理
温度にもよるがPの歩留が30%〜50%と低いため添加量
の増大にともない不純物としての金属、たとえばCuなど
が溶湯中に増加し、品質上問題となることもある。
一方、フラックス系微細化剤においてはPの歩留が合金
系よりもさらに低く、10〜30%のため、大量のフラック
スを必要とし、反応時、不快な臭気を発生するため作業
性が悪く、かつ、発生した滓が鋳造体に巻込まれ、品質
上問題となることも多い。
本発明は、これらの課題を解決するために創案された微
細化剤である。
すなわち、ピンホール防止のため、溶湯への添加温度を
低くすることを可能とし、かつ、不純物の混入を最少に
させるためにPの歩留を向上させ、鋳造体の機械的性質
の向上もはかるために、初晶Siの最大粒径を従来品より
もさらに小さくし得るよう開発した初晶Si微細化剤に関
するものである。
(課題を解決するための手段) 過共晶Al−Si合金における初晶Siの微細化法として鋳造
前の溶湯へのP添加が、すでに述べたように一般的であ
るが、P添加による初晶Siの微細化現象について種々実
験した結果、初晶Siを微細化させるにはアルミニウム溶
湯中に、遊離のPが必要で、そのPがAlと反応して、Al
−P化合物を形成し、それが初晶Siの結晶核となり、従
って結晶核が多数あるほど初晶Siが微細化されると推定
された。それゆえ、アルミニウム溶湯中へ遊離のPを多
量に存在させる事が、初晶Si微細化のポイントとなるわ
けである。そして、アルミニウム又はアルミニウム合金
素材の表面にNi−P合金メッキを行って製造した微細化
剤が従来よりも60℃も低温でP処理が可能であり、Pの
歩留も90%以上と、Cu−P合金添加の場合よりも50%も
良く、かつ初晶Siの最大結晶粒径も20μmも小さくな
り、従って、鋳造体の機械的性質を向上させる微細化剤
であることを見出したのである。
以下、アルミニウム又はアルミニウム素材にNi−P合金
メッキした微細化剤が過共晶Al−Si合金の初晶Si微細化
剤として有効に効く理由を説明する。
(1)初晶Siの微細化に関するNi−P合金メッキ中のP
の役割について フラックス系のP添加剤よりも合金系のP添加剤の方
が、Pの歩留および作業性、炉滓などの反応生成物の鋳
造体への混入の点ではるかに有利であることは言うまで
も無いが、課題はP含有合金を製造するところにある。
Al−P系合金の製造は高温反応等のため、工業的には非
常にむづかしく、Cu−P,Fe−P,Mn−PなどのP含有合金
などが反応温度を下げるため、共晶点を利用して製造さ
れている。そして、出来上ったP含有合金は当然のこと
ながら、Pの形態として遊離のP、すなわち固溶してい
るPは少なく、ほとんどがPと金属の融点の高い金属間
化合物、例えばCu3P,Fe2P,Mn3Pなどになっている。それ
ゆえ、これらのP含有合金を過共晶Al−Si合金の溶湯中
へ添加し、微細化処理を行う場合、得られた知見による
と、遊離のPとAlの反応生成物が初晶Siの結晶核として
必要ゆえ、溶湯の温度を上げて、Pの金属間化合物を分
解し、遊離のPを生じさせなければならない。この事は
アルミニウム溶湯のガスの吸収などの点で不都合であ
り、逆に温度を上げなければ、Pの歩留を低下させ、十
分な初晶Siの微細化が行なわれない。ところが、このP
含有合金の製造をメッキ法にて行うと、メッキ皮膜中の
Pが皮膜合金中に固溶された状態、すなわち遊離の状態
で多量に存在し、従って、これがアルミニウム溶湯中に
溶けた場合、PとAlの反応がすみやかに行なわれて、初
晶Siの結晶核となるAl−P化合物が多量に生成する。そ
して、処理温度も、Pの金属間化合物を分解する必要が
無いため高温にしなくても良いゆえ、ガス吸収も少なく
なり、Pの歩留も良い。
メッキによるP含有合金の製造法では、Ni−P以外にNi
−Cu−P,Mn−P,Fe−P,Co−P等も知られているが、全く
同じ事が言える。
無電解メッキしたNi−11%Pメッキ皮膜のX線チャート
図によると、Niの(111)面のピークがブロードでNi−
P金属間化合物のピークは明瞭ではない。
電解メッキしたNi−2%Pメッキ皮膜のX線チャート図
によると、Niの(111)面およびNiの(200)面のピーク
が明瞭でNi−P金属間化合物のピークは明瞭ではない。
いずれの皮膜も400℃以上に加熱するとNi3P等の金属間
化合物のピークが明瞭になるゆえ、メッキしたままの皮
膜中のPは、大部分が金属間化合物を形成せず、Niに固
溶している事を示している。
(2)被メッキ体について P含有メッキされる被メッキ体は、金属であれば何んで
も良いわけであるが、アルミニウム合金へ添加される微
細化剤としての用途ゆえアルミニウム又はアルミニウム
合金材が最も好ましい。そして、形状は板、線、箔、粉
など特に限定する必要は無いが、アルミニウム合金材と
言えども添加量は少ない方が好ましいゆえ、重量あたり
の表面積が大きい方が良い。かつ表面積が大きければ、
P含有メッキ皮膜が、すみやかにアルミニウム溶湯に溶
ける。従って細線、箔、粉などが良いが、メッキ方法
や、経済的効果を考えると、圧延板くず、線引くず、箔
くず、切削くずなどを、バレルメッキする方法が微細化
剤として最も安価に製造出来る。
(3)Ni−Pメッキについて メッキの方法としては電気を使う電気メッキ方法と、電
気を使わない無電解メッキ方法の2種類が一般的であ
る。そして、微細化の効果に対しては、どちらの方法も
大差ない、被メッキ体上へメッキされる皮膜厚さは、メ
ッキ時間に依存しているが、厚い方が溶湯への添加量が
少なくて済むゆえ取扱いやすいが、厚さに関する限定は
不要である。しかし、生産性の点では無電解法では条件
にもよるが1時間で生成する皮膜厚さは3μm〜20μm
位いであるが、電気法では無電解法の約10倍の生産性が
ある。皮膜中のPの含有量は、メッキ方法、液組成に依
存しているが、微細化効果に対しては変りない。
従って、P含有量を特に限定する必要は無い。しかし、
P含有量が多い方が、当然のことながら微細化剤の添加
量は少なくて済むし、Niの増加も防止出来る。無電解法
では5%〜15%位いのP含有量であるのに対し、電気法
では2%〜6%位いのP含有量である。電気メッキ法の
一例をあげると以下の様である。基本浴組成はスルファ
ミン酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸、次亜リン酸で
あり、陽極には消耗電極であるNiを使用した。無電解メ
ッキ法の一例をあげると以下の様である。基本浴組成は
塩化ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、こはく酸ナトリ
ウム、りんご酸である。経済性から見ると、アルミニウ
ム製品の耐食性、耐摩耗性用にメッキした無電解Ni−P
液の廃液にてアルミニウム素材のくずを無電解Ni−Pメ
ッキすることが廃液からのNiやPの回収にもなり従って
原材料代が安価で済み、最も好ましい。もちろん、アル
ミニウム製品の耐食性や耐摩耗性等の目的のためにNi−
Pメッキした時発生した不良材や使用済材を初晶Si用微
細化剤として利用出来ることは言うまでも無い。
(実施例1) 1.2mm厚さの1100合金のアルミニウム板へ、無電解法で
4時間Ni−P合金メッキを行った。得られたメッキ皮膜
厚さは16μmであり、皮膜中のP含有量は11.2%であっ
た。これを第1表に示すような配合目標値になるように
計量し、Al−23%Si−1.5%Cuの790℃溶湯中に添加し
て、20分間保持後試料の厚さが2cmになるような金型へ
鋳造した。
比較試料としてPを無添加の試料および微細化剤とし
て、Cu−8.4%P合金を添加した試料も作成した。各試
料のPの分析結果およびPの歩留を第1表に示す。第1
表を見れば判るように本発明品で微細化した場合は、P
の歩留が93%以上であるのに対し、比較品のCu−8.4%
P合金で微細化した場合は、Pの歩留が30%〜36%と低
い。
第1図にP無添加の場合、本発明品を0.01%P目標添加
した場合およびCu−8.4%Pで0.01%P目標添加した場
合の鋳造体のミクロ組織を示す。初晶Siは、P無添加の
場合には最大粒子径で100μm以上の大きさのものがあ
るのに対し、本発明品添加では約20μと微細化されてい
る。比較品のCu−8.4%P添加では最大粒子径約80μm
でありPの歩留も悪く、微細化能力は劣っている。0.02
%P目標、0.03%P目標添加したものでも同様であっ
た。
次に、電気メッキ法で1.2mm厚さの1100合金のアルミニ
ウム板へNi−P合金メッキを行った。
液の基本浴組成として、スルファミン酸ニッケル、塩化
ニッケルおよび次亜リン酸を用いた。メッキ時間は60分
であり、得られたメッキ皮膜厚さは、約60μmであっ
た。皮膜中のP含有量は、2.0%であった。
これを0.01%P目標になるようにAl−23%Si−1.5%Cu
の790℃溶湯中に添加して、20分間保持後試料の厚さが2
cmになるような金型へ鋳造した。
得られた鋳造体のミクロ組織を第1図に示す。無電解Ni
−11.2%Pの場合と比較し、初晶Siは平均30μmとやや
大きいが、Cu−8.4%Pと比較すれば、はるかに細かく
均一に微細化されている。
(実施例2) Al−23%Si−1.5%Cu合金の溶湯へ、Pの歩留りを考慮
して、鋳造試料中のPの含有量が0.02%となるように、
微細化剤として無電解メッキしたNi−11.2%Pの1.2mmt
のアルミニウム板を添加し、P処理温度で20分間保持し
て試料の厚さが2cmになるような金型へ鋳造した。P処
理温度は、730℃から850℃まで変化させた。比較材とし
て、Cu−8.4%P合金を添加した試料も作成した。
得られた試料の初晶Siの最大粒径を測定した。結果を第
2図に示す。
本発明品を用いた場合、760℃のP処理温度で、すでに
初晶Siの最大粒径が約30μmと微細化されており、微細
化能が大きいことが判る。当然の事ながらCu−8.4%P
合金は歩留が悪いゆえ、P量としては、Ni−11.2%Pメ
ッキ板よりも多く投入している。
同様に、電気メッキしたNi−2.0%Pについての結果を
第2図に示す。
無電解Ni−11.2%Pよりは、効果は劣るものの、Cu−8.
4%Pよりは微細化効果は大きい。
次に、790℃でP含有量0.02%となるように添加し、20
分間保持して鋳造し、T7処理した試料の機械的性質は第
2表のようであった。
無電解Ni−11.2%Pメッキの本発明品の微細化剤を用い
た場合、初晶Siの最大粒径が20μmと比較品よりも20μ
mも小さくなっているため、常温強度、高温強度等の著
るしい向上が認められ、同じP含有量で初晶Siがさらに
微細化されている効果が大きく現われている。
(実施例3) Al−23%Si−1.5%Cu合金の760℃の溶湯へ微細化剤とし
て無電解メッキしたNi−11.2%Pの1.2mmtのアルミニウ
ム板をPの歩留りを考慮して鋳造試料中のP量が0.02%
となるように添加し、保持時間を10分間から60分間変化
させて、試料の厚さが2cmになるような金型へ鋳造し
た。比較材としてCu−8.4%P合金を添加した試料も作
成した。得られた試料の初晶Siの最大粒径を測定した。
結果を第3図に示す。
本発明品を用いた場合保持時間10分間で初晶Siの最大粒
径が約30μmとなっており、添加後微細化剤がすみやか
に溶解し初晶Siの結晶核を生 成している事が分る。
電気メッキしたNi−2.0%Pの場合を同じく第3図に示
す。
無電解Ni−11.2%Pよりは効果は劣るものの、Cu−8.4
%Pよりは良い。
(発明の効果) 以上詳細に説明したようにアルミニウム又はアルミニウ
ム合金素材の表面にNi−P合金メッキした微細化剤はメ
ッキ皮膜中のPが遊離の状態になっているゆえ、過共晶
Al−Si合金溶湯中へ添加された時、初晶Siの最大粒径が
30μmを合格点とすれば、比較品のCu−8.4%P合金よ
りも60℃も低温度で添加が可能になる。また、790℃で
微細化剤が添加された場合、Pの歩留が比較品のCu−8.
4%Pよりも50%も良い。かつPの含有量を0.02%にな
るよう790℃で添加すれば、微細化された初晶Siの最大
粒径は比較品のCu−8.4%P添加の場合よりも20μmも
小さい。従って鋳造された鋳造体の機械的性質も向上
し、強度で2割以上良くすることが出来る。又、添加後
の保持時間もすみやかに溶解するため短くて済む。この
ように本発明品は実用上極めてすぐれた効果を奏する。
微細化剤製造コストの面では、アルミニウムくずやNi−
Pメッキ廃液が利用出来るゆえ、安価に製造出来る。
なお、Ni以外の金属のP合金メッキ品を過共晶Al−Si合
金の微細化剤として用いても、微細化原理は全く同じゆ
えNiの場合と同様の効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、Al−23%Si−1.5%Cu合金のミクロ組織を示
す金属組織写真を示す。 第2図は、Al−23%Si−1.5%Cu合金の初晶Si最大粒径
におよぼすP処理温度の影響を示すグラフを示す。 第3図は、Al−23%Si−1.5%Cu合金の初晶Si最大径粒
におよぼすP処理後の保持時間の影響を示すグラフを示
す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウムまたはアルミニウム合金材の
    表面に、P含有合金メッキをして得られた過共晶Al−Si
    合金用初晶Si微細化剤。
JP22819590A 1989-09-20 1990-08-31 過共晶Al―Si合金用初晶Si微細化剤 Expired - Lifetime JPH0678576B2 (ja)

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