JPH0693038B2 - 少数の中性原子の運動を制御する方法および装置 - Google Patents
少数の中性原子の運動を制御する方法および装置Info
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- JPH0693038B2 JPH0693038B2 JP4152442A JP15244292A JPH0693038B2 JP H0693038 B2 JPH0693038 B2 JP H0693038B2 JP 4152442 A JP4152442 A JP 4152442A JP 15244292 A JP15244292 A JP 15244292A JP H0693038 B2 JPH0693038 B2 JP H0693038B2
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Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H05—ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H05H—PLASMA TECHNIQUE; PRODUCTION OF ACCELERATED ELECTRICALLY-CHARGED PARTICLES OR OF NEUTRONS; PRODUCTION OR ACCELERATION OF NEUTRAL MOLECULAR OR ATOMIC BEAMS
- H05H3/00—Production or acceleration of neutral particle beams, e.g. molecular or atomic beams
- H05H3/04—Acceleration by electromagnetic wave pressure
-
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は1個または少数個の中性
原子の運動を制御する方法および装置、特に1個または
少数個の中性原子を捕獲する方法に関するものである。
原子の運動を制御する方法および装置、特に1個または
少数個の中性原子を捕獲する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近は、光により原子集団の運動を制御
し、真空中に捕獲する方法や、マイクロ波電磁場を利用
して1個のイオンの運動を制御し、捕獲する方法が活発
に研究されている。前者は「レーザ冷却による光糖蜜生
成法」と呼ばれ、後者は「イオントラップ法」と呼ばれ
ている。
し、真空中に捕獲する方法や、マイクロ波電磁場を利用
して1個のイオンの運動を制御し、捕獲する方法が活発
に研究されている。前者は「レーザ冷却による光糖蜜生
成法」と呼ばれ、後者は「イオントラップ法」と呼ばれ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した前者の方法
は、レーザ光を用いて比較的多数の原子を含む原子集団
を捕獲することはできるが、1個または少数個の原子を
捕獲することはできなかった。また、後者の方法は1個
のイオンを捕獲することはできるが、電荷を持たない中
性の原子を捕獲することはできなかった。このため、従
来の原子捕獲技術は、その適用範囲が限定され、例え
ば、半導体素子工学分野において重要なシリコン、ゲル
マニウム、砒素などの原子を捕獲することができない欠
点があった。
は、レーザ光を用いて比較的多数の原子を含む原子集団
を捕獲することはできるが、1個または少数個の原子を
捕獲することはできなかった。また、後者の方法は1個
のイオンを捕獲することはできるが、電荷を持たない中
性の原子を捕獲することはできなかった。このため、従
来の原子捕獲技術は、その適用範囲が限定され、例え
ば、半導体素子工学分野において重要なシリコン、ゲル
マニウム、砒素などの原子を捕獲することができない欠
点があった。
【0004】本発明の目的は、上述した従来の「レーザ
冷却による光糖蜜生成法」および「イオントラップ法」
の欠点を除去し、1個または少数個の中性原子の運動を
制御したり捕獲したすることができる新規な方法および
装置を提供しようとするものである。
冷却による光糖蜜生成法」および「イオントラップ法」
の欠点を除去し、1個または少数個の中性原子の運動を
制御したり捕獲したすることができる新規な方法および
装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による少数の中性
原子の運動を制御する方法は、運動を制御すべき原子の
共鳴周波数に対し、光周波数が原子共鳴スペクトル線巾
γの0.1〜10倍程度低いレーザ光を、先端を先鋭化し
た光ファイバプローブの後端から入射して先端からエバ
ネッセント光を滲出させ、前記光ファイバプローブの先
端を対象原子に接近させてエバネッセント光の存在体積
内に1個または少数個の原子を捕獲し、前記レーザ光の
周波数を制御して原子の運動を制御することを特徴とす
るものである。また、本発明による少数の中性原子の運
動を制御する装置は、レーザ光を放射するレーザ光源装
置と、このレーザ光の周波数を、運動を制御すべき原子
の共鳴周波数に対し、原子共鳴スペクトル線巾γの0.1
〜10倍程度低い周波数と、この原子共鳴スペクトル線
巾γの0.1〜10倍程度高い周波数との間で切換える光
周波数制御手段と、この光周波数制御手段で制御された
周波数を有するレーザ光が入射される後端およびエバネ
ッセント光を滲出するように先鋭化された先端を有する
光ファイバプローブと、この光ファイバプローブの先端
を所定の位置に移動させる駆動手段とを具え、前記レー
ザ光の周波数を原子の共鳴周波数に対し、原子共鳴スペ
クトル線巾程度低い周波数に設定して光ファイバプロー
ブの先端から滲み出るエバネッセント光の存在体積内に
1個または少数個の原子を捕獲した後、レーザ光の周波
数を、原子の共鳴周波数に対し、原子共鳴スペクトル線
巾γの0.1〜10倍程度高い周波数に切り換えて原子を
エバネッセント光の存在体積外へ押し出すよう構成した
ことを特徴とするものである。さらに、本発明による少
数の中性原子を捕獲する方法は、捕獲すべき原子の共鳴
周波数に対し、光周波数が原子共鳴スペクトル線巾γの
0.1〜10倍程度低いレーザ光を、先端をレーザ光の波
長よりも小さい曲率半径を有するように先鋭化した光フ
ァイバプローブの後端から入射して先端からエバネッセ
ント光を滲出させ、このエバネッセント光の存在体積内
に1個または少数個の原子を捕獲することを特徴とする
ものである。
原子の運動を制御する方法は、運動を制御すべき原子の
共鳴周波数に対し、光周波数が原子共鳴スペクトル線巾
γの0.1〜10倍程度低いレーザ光を、先端を先鋭化し
た光ファイバプローブの後端から入射して先端からエバ
ネッセント光を滲出させ、前記光ファイバプローブの先
端を対象原子に接近させてエバネッセント光の存在体積
内に1個または少数個の原子を捕獲し、前記レーザ光の
周波数を制御して原子の運動を制御することを特徴とす
るものである。また、本発明による少数の中性原子の運
動を制御する装置は、レーザ光を放射するレーザ光源装
置と、このレーザ光の周波数を、運動を制御すべき原子
の共鳴周波数に対し、原子共鳴スペクトル線巾γの0.1
〜10倍程度低い周波数と、この原子共鳴スペクトル線
巾γの0.1〜10倍程度高い周波数との間で切換える光
周波数制御手段と、この光周波数制御手段で制御された
周波数を有するレーザ光が入射される後端およびエバネ
ッセント光を滲出するように先鋭化された先端を有する
光ファイバプローブと、この光ファイバプローブの先端
を所定の位置に移動させる駆動手段とを具え、前記レー
ザ光の周波数を原子の共鳴周波数に対し、原子共鳴スペ
クトル線巾程度低い周波数に設定して光ファイバプロー
ブの先端から滲み出るエバネッセント光の存在体積内に
1個または少数個の原子を捕獲した後、レーザ光の周波
数を、原子の共鳴周波数に対し、原子共鳴スペクトル線
巾γの0.1〜10倍程度高い周波数に切り換えて原子を
エバネッセント光の存在体積外へ押し出すよう構成した
ことを特徴とするものである。さらに、本発明による少
数の中性原子を捕獲する方法は、捕獲すべき原子の共鳴
周波数に対し、光周波数が原子共鳴スペクトル線巾γの
0.1〜10倍程度低いレーザ光を、先端をレーザ光の波
長よりも小さい曲率半径を有するように先鋭化した光フ
ァイバプローブの後端から入射して先端からエバネッセ
ント光を滲出させ、このエバネッセント光の存在体積内
に1個または少数個の原子を捕獲することを特徴とする
ものである。
【0006】
【作用】光を1個または少数個の原子の運動制御の道具
として使用するには次の2項目を満足しなければならな
い。 (1) 光周波数νを対象原子の持つ共鳴周波数νr の
値に設定でき、かつ揺らぎが小さく、時間的に変動しな
いこと。 (2) 光のエネルギーが局微空間に局在しており、エ
ネルギー密度の空間変化率、波数ベクトルの値並びに波
数ベクトルの空間的変化率の値が大きいこと。 本発明においては、上記の(1)の条件を満足するため
に、レーザ光源を用いる。レーザ光源は種々の波長のも
のがあり、種々の原子の運動を制御する上で好適であ
る。例えば、半導体レーザを用いる場合には、その注入
電流および温度を自動制御することによって発振周波数
の揺らぎを抑圧することができる。また、非線形光学素
子を用いた周波数変換によって光周波数νを広範囲に亘
って掃引し、対象原子の共鳴周波数νr の値に設定する
ことができる。例えば、発振周波数の揺らぎに関して
は、その少なさを表す尺度であるレーザの発振スペクト
ル線巾Δνの値が250Hz 程度の半導体レーザを得ること
ができる。この値は、自動制御を施さないレーザ固有の
量子揺らぎの値の約1×10-4の値である。さらに、光学
的制御も併用することによってΔνの値を7Hz とするこ
とができる。例えば波長が830nm のレーザの光周波数は
3.6 ×1014Hzであるから、ν/ Δνはほぼ5×10 13の大
きな値となる。しかし、本発明においては、このν/ Δ
νの値は1×107以上の値であれば所期の目的を達成で
きる。図1は上述したように半導体レーザを用い、その
注入電流および動作温度を自動制御するとともに光学的
制御をも行った場合の発振スペクトル強度を示すグラフ
であり、3.6 ×1014Hzの光周波数におけるスペクトル線
巾Δνは約7Hzとなっている。
として使用するには次の2項目を満足しなければならな
い。 (1) 光周波数νを対象原子の持つ共鳴周波数νr の
値に設定でき、かつ揺らぎが小さく、時間的に変動しな
いこと。 (2) 光のエネルギーが局微空間に局在しており、エ
ネルギー密度の空間変化率、波数ベクトルの値並びに波
数ベクトルの空間的変化率の値が大きいこと。 本発明においては、上記の(1)の条件を満足するため
に、レーザ光源を用いる。レーザ光源は種々の波長のも
のがあり、種々の原子の運動を制御する上で好適であ
る。例えば、半導体レーザを用いる場合には、その注入
電流および温度を自動制御することによって発振周波数
の揺らぎを抑圧することができる。また、非線形光学素
子を用いた周波数変換によって光周波数νを広範囲に亘
って掃引し、対象原子の共鳴周波数νr の値に設定する
ことができる。例えば、発振周波数の揺らぎに関して
は、その少なさを表す尺度であるレーザの発振スペクト
ル線巾Δνの値が250Hz 程度の半導体レーザを得ること
ができる。この値は、自動制御を施さないレーザ固有の
量子揺らぎの値の約1×10-4の値である。さらに、光学
的制御も併用することによってΔνの値を7Hz とするこ
とができる。例えば波長が830nm のレーザの光周波数は
3.6 ×1014Hzであるから、ν/ Δνはほぼ5×10 13の大
きな値となる。しかし、本発明においては、このν/ Δ
νの値は1×107以上の値であれば所期の目的を達成で
きる。図1は上述したように半導体レーザを用い、その
注入電流および動作温度を自動制御するとともに光学的
制御をも行った場合の発振スペクトル強度を示すグラフ
であり、3.6 ×1014Hzの光周波数におけるスペクトル線
巾Δνは約7Hzとなっている。
【0007】上記の(2)の条件を満足するために、本
発明においては、先端を先鋭化させた光ファイバプロー
ブを用いる。上述したレーザ光を光ファイバプローブの
後端から入射させ、先端を、その曲率半径aがレーザ光
の波長λ以下となるように先鋭化することによって、光
ファイバプローブの後端から入射させたレーザ光は先端
を通過することができず、エバネッセント光のみが滲み
出るようになる。このエバネッセント光のパワーはきわ
めて小さいが、局在している空間体積がλ3 以下である
ので、そのパワー密度の値およびパワー密度の空間的変
化率はきわめて大きな値となる。さらに、その波数ベク
トルは光ファイバプローブ先端の表面に平行であり、そ
の値は大きく、その空間的変化率も大きなものとなる。
ちなみに、40mWのパワーを持つレーザ光を光ファイバプ
ローブの後端から入射させると、その先端のエバネッセ
ント光のパワー密度は100W/cm2以上にも達することにな
る。
発明においては、先端を先鋭化させた光ファイバプロー
ブを用いる。上述したレーザ光を光ファイバプローブの
後端から入射させ、先端を、その曲率半径aがレーザ光
の波長λ以下となるように先鋭化することによって、光
ファイバプローブの後端から入射させたレーザ光は先端
を通過することができず、エバネッセント光のみが滲み
出るようになる。このエバネッセント光のパワーはきわ
めて小さいが、局在している空間体積がλ3 以下である
ので、そのパワー密度の値およびパワー密度の空間的変
化率はきわめて大きな値となる。さらに、その波数ベク
トルは光ファイバプローブ先端の表面に平行であり、そ
の値は大きく、その空間的変化率も大きなものとなる。
ちなみに、40mWのパワーを持つレーザ光を光ファイバプ
ローブの後端から入射させると、その先端のエバネッセ
ント光のパワー密度は100W/cm2以上にも達することにな
る。
【0008】本発明においては、上述したように、光周
波数を対象原子の共鳴周波数νr に設定でき、揺らぎの
きわめて小さいレーザ光を、先端を先鋭化した光ファイ
バプローブの後端から入射させ、その先端からエバネッ
セント光を滲出させ、先端を対象原子に接近させる。レ
ーザ光の周波数νを原子の共鳴周波数νr よりも僅かに
低い値に設定しておくと、光ファイバプローブの先端に
形成されるエバネッセント光の場に1個の原子が飛び込
んだ場合には、原子は吸収と自然放出とを介して光と相
互作用するが、この相互作用の結果生じる原子の運動状
態を考える。光ファイバプローブ先端は曲率を有するの
で極座標表示を用いた方が計算の際に有利であると思わ
れるが、ここでは直観的に理解し易いように直交座標系
を用いて説明する。
波数を対象原子の共鳴周波数νr に設定でき、揺らぎの
きわめて小さいレーザ光を、先端を先鋭化した光ファイ
バプローブの後端から入射させ、その先端からエバネッ
セント光を滲出させ、先端を対象原子に接近させる。レ
ーザ光の周波数νを原子の共鳴周波数νr よりも僅かに
低い値に設定しておくと、光ファイバプローブの先端に
形成されるエバネッセント光の場に1個の原子が飛び込
んだ場合には、原子は吸収と自然放出とを介して光と相
互作用するが、この相互作用の結果生じる原子の運動状
態を考える。光ファイバプローブ先端は曲率を有するの
で極座標表示を用いた方が計算の際に有利であると思わ
れるが、ここでは直観的に理解し易いように直交座標系
を用いて説明する。
【0009】光ファイバプローブ軸をZ 軸にとって、そ
れに対して垂直なx方向の原子の運動状態を与えるポテ
ンシャル曲面は図2に示すようになる。このポテンシャ
ル中に原子が外部からx方向に速度vで飛び込む場合を
考える。この原子は光の場の中に入射する位置、方向に
拘らず、必ず前方と後方とから光が照射される。これは
光ファイバプローブの先端形状の軸対象性とエバネッセ
ント光の波数ベクトルがプローブ表面に平行であること
による。ドップラー効果のために、原子から見ると前方
からの光の周波数はν+v/νとなる。ここに、aは光
ファイバプローブ先端の曲率半径である。このドップラ
ーシフト量v/νは自由空間を伝搬する通常の光による
値νv/c(cは光速)ではなく、そのλ/a(≫1)
倍であることに注意されたい。このように大きなドップ
ラーシフトを誘起することは、ここで使用しているエバ
ネッセント光の持つ大きな特徴、すなわち非伝搬光の持
つ波数ベクトル値が大きいこと、換言すればエバネッセ
ント光は質量を持つ光子であることに起因している。
れに対して垂直なx方向の原子の運動状態を与えるポテ
ンシャル曲面は図2に示すようになる。このポテンシャ
ル中に原子が外部からx方向に速度vで飛び込む場合を
考える。この原子は光の場の中に入射する位置、方向に
拘らず、必ず前方と後方とから光が照射される。これは
光ファイバプローブの先端形状の軸対象性とエバネッセ
ント光の波数ベクトルがプローブ表面に平行であること
による。ドップラー効果のために、原子から見ると前方
からの光の周波数はν+v/νとなる。ここに、aは光
ファイバプローブ先端の曲率半径である。このドップラ
ーシフト量v/νは自由空間を伝搬する通常の光による
値νv/c(cは光速)ではなく、そのλ/a(≫1)
倍であることに注意されたい。このように大きなドップ
ラーシフトを誘起することは、ここで使用しているエバ
ネッセント光の持つ大きな特徴、すなわち非伝搬光の持
つ波数ベクトル値が大きいこと、換言すればエバネッセ
ント光は質量を持つ光子であることに起因している。
【0010】したがって、ν+v/νが対象原子の共鳴
周波数νr に等しければ原子はこの光を吸収する。その
後、原子は自然放出により光を発生するが、その周波数
はν r である。したがって、このような光の吸収と放出
とにより原子がトップラーシフトv/aの大きさに比例
したエネルギー量hv/a(hはプランクの定数)を失
い、減速する。一方、後方から照射された光が原子に吸
収される量子力学的確率は小さい。これは、ドップラー
シフトの符号が上記の場合と逆であるとともにレーザ光
周波数はν<νr となるように設定してあるためであ
る。こうして原子は減速しながらポテンシャル曲面の中
央部に達し、最終速度はh/2ma(m は原子の質量) とな
る。
周波数νr に等しければ原子はこの光を吸収する。その
後、原子は自然放出により光を発生するが、その周波数
はν r である。したがって、このような光の吸収と放出
とにより原子がトップラーシフトv/aの大きさに比例
したエネルギー量hv/a(hはプランクの定数)を失
い、減速する。一方、後方から照射された光が原子に吸
収される量子力学的確率は小さい。これは、ドップラー
シフトの符号が上記の場合と逆であるとともにレーザ光
周波数はν<νr となるように設定してあるためであ
る。こうして原子は減速しながらポテンシャル曲面の中
央部に達し、最終速度はh/2ma(m は原子の質量) とな
る。
【0011】この減速した原子がポテンシャル曲面の中
央部でさらに光を吸収、放出すると±h/2ma の速度でポ
テンシャル曲面内を左右に動く。そしてポテンシャル曲
面の縁に近づくと、ここでは原子の速度は光ファイバプ
ローブ先端形状の曲率半径aの値に依存する大きさのz
方向成分を持つので、後述するz方向に関する吸引力に
対応するポテンシャルの影響が現れ始める。このことは
図2のポテンシャル曲面の縁部には高いポテンシャル障
壁があることに対応し、したがって原子はこの縁から外
には出ない。このようにして原子は光ファイバプローブ
の先端のz軸を中心とし、半径が2aに相当する円形面
内に捕獲され、原子はこの曲面内のどこかに見出され
る。ここで、アルカリ金属原子を例にとり、上述した最
終速度h/2ma の値を求めると0.2m/sとなる。ただし、こ
こでは光ファイバプローブ先端の曲率半径aを10nmとし
た。この速度値に対応する熱運動の等価温度Teqは約0.
1mKとなる。すなわち、絶対零度に近い1個の原子が半
径2aの面内を動き回っていることになる。
央部でさらに光を吸収、放出すると±h/2ma の速度でポ
テンシャル曲面内を左右に動く。そしてポテンシャル曲
面の縁に近づくと、ここでは原子の速度は光ファイバプ
ローブ先端形状の曲率半径aの値に依存する大きさのz
方向成分を持つので、後述するz方向に関する吸引力に
対応するポテンシャルの影響が現れ始める。このことは
図2のポテンシャル曲面の縁部には高いポテンシャル障
壁があることに対応し、したがって原子はこの縁から外
には出ない。このようにして原子は光ファイバプローブ
の先端のz軸を中心とし、半径が2aに相当する円形面
内に捕獲され、原子はこの曲面内のどこかに見出され
る。ここで、アルカリ金属原子を例にとり、上述した最
終速度h/2ma の値を求めると0.2m/sとなる。ただし、こ
こでは光ファイバプローブ先端の曲率半径aを10nmとし
た。この速度値に対応する熱運動の等価温度Teqは約0.
1mKとなる。すなわち、絶対零度に近い1個の原子が半
径2aの面内を動き回っていることになる。
【0012】一方、光の場の中にある原子の持つポテン
シャルエネルギーのZ方向依存性は図2Bに示すように
なる。上述したようにν<νr となるように設定してあ
るので、このポテンシャルにより原子は光ファイバプロ
ーブの先端に引き付けられる力を受ける。図2Bには、
エバネッセント光パワーのZ方向依存性も示してある。
0<z<aの領域は近接領域と呼ばれ、パワーはzによ
らず殆ど変化しない。a<z<λの領域は近視野領域と
呼ばれ、パワーはz-3.7に比例して変化する。すなわ
ち、z≒aに変曲点を持つものとなる。したがって、原
子のポテンシャル曲線も変曲点を持つので、原子はこの
点で光から最も大きな力を受ける。一方、z<aでは原
子運動の持つ遠心力が大きくなる。したがって、原子は
上記のポテンシャルによる引力があっても光ファイバプ
ローブ先端の表面に吸着される位置まで近づくことはな
い。このようにして原子はエバネッセント光によって光
ファイバプローブの先端からz≒aなる位置に捕獲され
ることになる。
シャルエネルギーのZ方向依存性は図2Bに示すように
なる。上述したようにν<νr となるように設定してあ
るので、このポテンシャルにより原子は光ファイバプロ
ーブの先端に引き付けられる力を受ける。図2Bには、
エバネッセント光パワーのZ方向依存性も示してある。
0<z<aの領域は近接領域と呼ばれ、パワーはzによ
らず殆ど変化しない。a<z<λの領域は近視野領域と
呼ばれ、パワーはz-3.7に比例して変化する。すなわ
ち、z≒aに変曲点を持つものとなる。したがって、原
子のポテンシャル曲線も変曲点を持つので、原子はこの
点で光から最も大きな力を受ける。一方、z<aでは原
子運動の持つ遠心力が大きくなる。したがって、原子は
上記のポテンシャルによる引力があっても光ファイバプ
ローブ先端の表面に吸着される位置まで近づくことはな
い。このようにして原子はエバネッセント光によって光
ファイバプローブの先端からz≒aなる位置に捕獲され
ることになる。
【0013】ここで再びアルカリ金属原子を例にとっ
て、原子の捕獲のポテンシャルの深さΔWを原子の熱運
動の等価温度Teq( ≡ΔW/k b :k bはボルツマン定
数) により表すと、光ファイバに入射するレーザパワー
が40mWのとき、Teq=1mKとなる。このことは逆に、原
子を1mKまで冷却しておかなければならないことを意味
している。そこで、例えば上述した「レーザ冷却による
光糖蜜生成法」を利用して原子集団を数μK の温度まで
予備冷却しておくことができる。このように原子集団を
冷却しても、原子間の反発力があるので、複数個の原子
がエバネッセント光の存在体積内に捕獲されるようなこ
とはない。また、原子を光の場の中に捕獲したか否かは
蛍光観察によって容易に判断できる。また、このような
「レーザ冷却による光糖蜜生成法」を利用した予備冷却
の代わりに、例えば液体窒素によって冷却してもよい。
さらに、一般には1 /100% 程度の確率で上述したような
等価温度を有する原子が存在するので、必ずしもこのよ
うな予備冷却を行う必要はない。
て、原子の捕獲のポテンシャルの深さΔWを原子の熱運
動の等価温度Teq( ≡ΔW/k b :k bはボルツマン定
数) により表すと、光ファイバに入射するレーザパワー
が40mWのとき、Teq=1mKとなる。このことは逆に、原
子を1mKまで冷却しておかなければならないことを意味
している。そこで、例えば上述した「レーザ冷却による
光糖蜜生成法」を利用して原子集団を数μK の温度まで
予備冷却しておくことができる。このように原子集団を
冷却しても、原子間の反発力があるので、複数個の原子
がエバネッセント光の存在体積内に捕獲されるようなこ
とはない。また、原子を光の場の中に捕獲したか否かは
蛍光観察によって容易に判断できる。また、このような
「レーザ冷却による光糖蜜生成法」を利用した予備冷却
の代わりに、例えば液体窒素によって冷却してもよい。
さらに、一般には1 /100% 程度の確率で上述したような
等価温度を有する原子が存在するので、必ずしもこのよ
うな予備冷却を行う必要はない。
【0014】このようにして光ファイバプローブの先鋭
化した先端から滲み出るエバネッセント光の存在体積内
に1個または少数個の原子を捕獲することができる。次
に光ファイバプローブ先端を所定の場所、例えば冷却結
晶基板の上方の位置まで移動させた後、レーザの光周波
数を原子の共鳴周波数よりも僅かに高く設定すると、原
子は加熱、加速されて存在体積から押し出され、結晶基
板上に落下し、ファンデルワールス力またはその他の化
学結合力によって基板表面上に固定される。このように
して単原子レベルの結晶成長を行うことができる。
化した先端から滲み出るエバネッセント光の存在体積内
に1個または少数個の原子を捕獲することができる。次
に光ファイバプローブ先端を所定の場所、例えば冷却結
晶基板の上方の位置まで移動させた後、レーザの光周波
数を原子の共鳴周波数よりも僅かに高く設定すると、原
子は加熱、加速されて存在体積から押し出され、結晶基
板上に落下し、ファンデルワールス力またはその他の化
学結合力によって基板表面上に固定される。このように
して単原子レベルの結晶成長を行うことができる。
【0015】上述したように本発明においては、対象原
子の共鳴周波数νr に近い光周波数を有するレーザを使
用するが、種々の原子に対して好適な光の波長を以下の
表に示す。
子の共鳴周波数νr に近い光周波数を有するレーザを使
用するが、種々の原子に対して好適な光の波長を以下の
表に示す。
【表1】
【0016】また、本発明においては光ファイバプロー
ブの先端を先鋭化してエバネッセント光を滲出するよう
にしているが、この先端の曲率半径aの値はエバネッセ
ント光を滲出するためにはレーザ光の波長λよりも小さ
ければよいが、最適値がある。図3は10mWのレーザを光
ファイバプローブに入射させたときのエバネッセント光
による捕獲ポテンシャル深さを表す等価温度Teqと曲率
半径aとの関係を種々の原子について示すものである。
例えば、シリコン原子については、曲率半径aを約13nm
とするのがもっとも好適である。この結果から光ファイ
バプローブの先端の曲率半径aは10〜30nmとするのが好
適であることがわかる。
ブの先端を先鋭化してエバネッセント光を滲出するよう
にしているが、この先端の曲率半径aの値はエバネッセ
ント光を滲出するためにはレーザ光の波長λよりも小さ
ければよいが、最適値がある。図3は10mWのレーザを光
ファイバプローブに入射させたときのエバネッセント光
による捕獲ポテンシャル深さを表す等価温度Teqと曲率
半径aとの関係を種々の原子について示すものである。
例えば、シリコン原子については、曲率半径aを約13nm
とするのがもっとも好適である。この結果から光ファイ
バプローブの先端の曲率半径aは10〜30nmとするのが好
適であることがわかる。
【0017】ここで、光ファイバプローブ先端の曲率半
径aを余り大きくすると原子のトラップ力が弱くなり、
原子を有効に捕獲できなくなり、また曲率半径を余り小
さくすると原子はエバネッセント光の存在空間を通り抜
けてしまうので、やはり有効に捕獲できなくなる。した
がって、原子の種類やレーザパワーなどに応じて最適な
値に設定するのが良い。
径aを余り大きくすると原子のトラップ力が弱くなり、
原子を有効に捕獲できなくなり、また曲率半径を余り小
さくすると原子はエバネッセント光の存在空間を通り抜
けてしまうので、やはり有効に捕獲できなくなる。した
がって、原子の種類やレーザパワーなどに応じて最適な
値に設定するのが良い。
【0018】
【実施例】図4は本発明による原子の運動を制御する装
置の全体の構成を示す線図である。光ファイバプローブ
11を支持する基台12をxy方向に駆動するXY走査器13
およびz方向に駆動するZ走査器14によって移動自在に
保持する。光ファイバプローブ11の後端と対向してレー
ザ光源装置15を配置する。このレーザ光源装置15には、
半導体レーザ16、この半導体レーザから放射されるレー
ザ光を検出する光検出器17、この光検出器からの出力信
号を受けて半導体レーザへの注入電流を制御する注入電
流制御回路18、光検出器からの出力信号を受けて半導体
レーザの動作温度を制御する温度制御回路19、半導体レ
ーザから放出されるレーザの光周波数を設定する基準周
波数設定回路20および加算回路21を設ける。XY走査器
13およびZ走査器14はピエゾアクチュエータを以て構成
する。
置の全体の構成を示す線図である。光ファイバプローブ
11を支持する基台12をxy方向に駆動するXY走査器13
およびz方向に駆動するZ走査器14によって移動自在に
保持する。光ファイバプローブ11の後端と対向してレー
ザ光源装置15を配置する。このレーザ光源装置15には、
半導体レーザ16、この半導体レーザから放射されるレー
ザ光を検出する光検出器17、この光検出器からの出力信
号を受けて半導体レーザへの注入電流を制御する注入電
流制御回路18、光検出器からの出力信号を受けて半導体
レーザの動作温度を制御する温度制御回路19、半導体レ
ーザから放出されるレーザの光周波数を設定する基準周
波数設定回路20および加算回路21を設ける。XY走査器
13およびZ走査器14はピエゾアクチュエータを以て構成
する。
【0019】レーザ光源装置15にこのような制御手段を
設けることによって、半導体レーザ16から放出されるレ
ーザ光の周波数νを広範囲に亘って掃引することができ
るとともに周波数の揺らぎも著しく抑圧することができ
る。本実施例においては、半導体レーザ16として波長83
0 nmのGaAs半導体レーザを使用するが、このような自動
制御手段を設けることによってレーザの発振スペクトル
線巾Δνを約250Hz に抑えることができる。また、図4
には示していないが、非線形光学素子を用いた周波数変
換を併用することによって、Δνを7Hzまで抑圧するこ
とができ、さらに自動制御装置の改善によって近い将来
Δνを約58mHz まで抑えられる可能性がある。
設けることによって、半導体レーザ16から放出されるレ
ーザ光の周波数νを広範囲に亘って掃引することができ
るとともに周波数の揺らぎも著しく抑圧することができ
る。本実施例においては、半導体レーザ16として波長83
0 nmのGaAs半導体レーザを使用するが、このような自動
制御手段を設けることによってレーザの発振スペクトル
線巾Δνを約250Hz に抑えることができる。また、図4
には示していないが、非線形光学素子を用いた周波数変
換を併用することによって、Δνを7Hzまで抑圧するこ
とができ、さらに自動制御装置の改善によって近い将来
Δνを約58mHz まで抑えられる可能性がある。
【0020】図5A〜Cは光ファイバプローブ11の先端
の形状を示すものである。光ファイバプローブ11のクラ
ッド11aの直径は90μm であり、直径が数μm のコア11
b の中心位置に鋭い円錐形の突起11c を形成する。本例
ではこの突起11c をエッチングによって形成するが、そ
の他の手段によって形成しても良い。この突起11c の高
さは5〜6μm であり、先端の角度は約25°であり、先
端の曲率半径aは電子顕微鏡の分解能の範囲では正確に
は測定できないが、10nm程度と推定される。図5Cに示
すように、突起11c の先端の、直径がレーザ光の波長λ
にほぼ等しい部分よりも基部に近い部分は遮光性物質、
本例では金属膜11d で被覆する。この遮光膜11d は光フ
ァイバプローブ先端にエッチングによる凹凸が形成さ
れ、ここからレーザ光が散乱するのを防止するものであ
るので、このような散乱光が射出されないような場合に
は、このような遮光性膜は必ずしも必要ではない。光フ
ァイバプローブ11の先端をこのように先鋭化し、突起11
b の先端の曲率半径aをλ以下とするとすることによっ
て、光ファイバプローブの後端から入射したレーザ光は
先端を通過することができず、エバネッセント光が滲み
出ることになる。
の形状を示すものである。光ファイバプローブ11のクラ
ッド11aの直径は90μm であり、直径が数μm のコア11
b の中心位置に鋭い円錐形の突起11c を形成する。本例
ではこの突起11c をエッチングによって形成するが、そ
の他の手段によって形成しても良い。この突起11c の高
さは5〜6μm であり、先端の角度は約25°であり、先
端の曲率半径aは電子顕微鏡の分解能の範囲では正確に
は測定できないが、10nm程度と推定される。図5Cに示
すように、突起11c の先端の、直径がレーザ光の波長λ
にほぼ等しい部分よりも基部に近い部分は遮光性物質、
本例では金属膜11d で被覆する。この遮光膜11d は光フ
ァイバプローブ先端にエッチングによる凹凸が形成さ
れ、ここからレーザ光が散乱するのを防止するものであ
るので、このような散乱光が射出されないような場合に
は、このような遮光性膜は必ずしも必要ではない。光フ
ァイバプローブ11の先端をこのように先鋭化し、突起11
b の先端の曲率半径aをλ以下とするとすることによっ
て、光ファイバプローブの後端から入射したレーザ光は
先端を通過することができず、エバネッセント光が滲み
出ることになる。
【0021】このようにして光ファイバプローブ11の先
鋭化した先端からエバネッセント光を滲出させるが、こ
のエバネッセント光のパワーは小さいが、空間体積はλ
3 以下ときわめて小さいので、パワー密度およびその空
間的変化率はきわめて大きなものとなる。また、エバネ
ッセント光の波数ベクトルは光ファイバプローブの先端
表面に平行であり、その値は大きなものである。本例で
は半導体レーザ16として40mWのパワーを持つものを使用
しているが、エバネッセント光のパワー密度は100W/cm2
以上となる。
鋭化した先端からエバネッセント光を滲出させるが、こ
のエバネッセント光のパワーは小さいが、空間体積はλ
3 以下ときわめて小さいので、パワー密度およびその空
間的変化率はきわめて大きなものとなる。また、エバネ
ッセント光の波数ベクトルは光ファイバプローブの先端
表面に平行であり、その値は大きなものである。本例で
は半導体レーザ16として40mWのパワーを持つものを使用
しているが、エバネッセント光のパワー密度は100W/cm2
以上となる。
【0022】図6A〜Cは本発明による原子の運動制御
方法の一実施例によって1個の原子を捕獲して冷却結晶
基板上に固定する順次の工程を示す線図である。上述し
たように半導体レーザ11としてレーザパワー40mWのもの
を用いる場合には、捕獲すべき原子を1mK以下まで予備
冷却しておく必要がある。これは図6Aに示すように、
光糖蜜生成用レーザ光を用いて原子集団を「光糖蜜」状
態に予備冷却しておくことによって実現できる。このよ
うな「レーザ光による光糖蜜生成法」は、例えば1991年
発行の「応用物理」60, 第864 頁に清水富士夫氏によっ
て発表されており、既知であるので、ここではその説明
は省略する。
方法の一実施例によって1個の原子を捕獲して冷却結晶
基板上に固定する順次の工程を示す線図である。上述し
たように半導体レーザ11としてレーザパワー40mWのもの
を用いる場合には、捕獲すべき原子を1mK以下まで予備
冷却しておく必要がある。これは図6Aに示すように、
光糖蜜生成用レーザ光を用いて原子集団を「光糖蜜」状
態に予備冷却しておくことによって実現できる。このよ
うな「レーザ光による光糖蜜生成法」は、例えば1991年
発行の「応用物理」60, 第864 頁に清水富士夫氏によっ
て発表されており、既知であるので、ここではその説明
は省略する。
【0023】次に、このように光糖蜜冷却された原子集
団中の1個の原子を光ファイバプローブ11の先端に形成
されるエバネッセント光の場内に捕獲するが、このため
に、光周波数設定回路20によってレーザ周波数νを運動
を制御すべき対象原子の共鳴スペクトル周波数νr より
も僅かに低い値に設定する。この場合、ν−νr の値と
しては、原子の共鳴スペクトル線巾をγとしたとき、そ
の01. 〜10倍程度とすることができる。このように設定
したレーザ光を、図6Bに示すように光ファイバプロー
ブ11の後端から入射させ、その先端からエバネッセント
光を滲出させ、光ファイバプローブ11の先端11b を、対
象原子に接近させる。この場合、光ファイバの先端と対
象原子との距離は、先端の曲率半径aの数倍、特に10倍
以下とする必要がある。これはXY走査器13およびZ走
査器14を駆動して行うことができる。このようにして1
個の原子をエバネッセント光の空間体積内に捕獲するこ
とができる。
団中の1個の原子を光ファイバプローブ11の先端に形成
されるエバネッセント光の場内に捕獲するが、このため
に、光周波数設定回路20によってレーザ周波数νを運動
を制御すべき対象原子の共鳴スペクトル周波数νr より
も僅かに低い値に設定する。この場合、ν−νr の値と
しては、原子の共鳴スペクトル線巾をγとしたとき、そ
の01. 〜10倍程度とすることができる。このように設定
したレーザ光を、図6Bに示すように光ファイバプロー
ブ11の後端から入射させ、その先端からエバネッセント
光を滲出させ、光ファイバプローブ11の先端11b を、対
象原子に接近させる。この場合、光ファイバの先端と対
象原子との距離は、先端の曲率半径aの数倍、特に10倍
以下とする必要がある。これはXY走査器13およびZ走
査器14を駆動して行うことができる。このようにして1
個の原子をエバネッセント光の空間体積内に捕獲するこ
とができる。
【0024】次に、XY走査器13およびZ走査器14を駆
動して、図6Cに示すように光ファイバプローブ11の先
端11a を冷却した結晶基板30の所定の位置の上方に移動
させた後、レーザ光周波数設定回路20を動作させて、レ
ーザ光周波数νを捕捉した原子の共鳴周波数νr よりも
僅かに高い周波数に変更する。この場合、νとνr との
差は、原子の共鳴スペクトル線巾γの0.1 〜10倍程度と
するのが好適である。このようにレーザ周波数を増大さ
せると、原子は加熱、加速され、エバネッセント光の空
間体積外へ押し出され、結晶基板30上に落下し、ファン
デルワース力またはその他の化学結合力によって結晶基
板上に固定される。このような操作を繰り返すことによ
って、単原子レベルでの結晶成長が可能となる。
動して、図6Cに示すように光ファイバプローブ11の先
端11a を冷却した結晶基板30の所定の位置の上方に移動
させた後、レーザ光周波数設定回路20を動作させて、レ
ーザ光周波数νを捕捉した原子の共鳴周波数νr よりも
僅かに高い周波数に変更する。この場合、νとνr との
差は、原子の共鳴スペクトル線巾γの0.1 〜10倍程度と
するのが好適である。このようにレーザ周波数を増大さ
せると、原子は加熱、加速され、エバネッセント光の空
間体積外へ押し出され、結晶基板30上に落下し、ファン
デルワース力またはその他の化学結合力によって結晶基
板上に固定される。このような操作を繰り返すことによ
って、単原子レベルでの結晶成長が可能となる。
【0025】従来、トンネル電子を利用した走査トンネ
ル電子顕微鏡のプローブにより、結晶基板上で原子を移
動させたり、原子を除去する試みが報告されているが、
対象となる原子の種類が不活性気体原子などに限られて
いるが、本発明によれば対象とする原子の共鳴遷移周波
数値に同調する光を用いることによって種々の原子の運
動を制御することができる。特に半導体素子工学分野に
おいて重要なシリコンなどの原子の運動も制御すること
ができる。
ル電子顕微鏡のプローブにより、結晶基板上で原子を移
動させたり、原子を除去する試みが報告されているが、
対象となる原子の種類が不活性気体原子などに限られて
いるが、本発明によれば対象とする原子の共鳴遷移周波
数値に同調する光を用いることによって種々の原子の運
動を制御することができる。特に半導体素子工学分野に
おいて重要なシリコンなどの原子の運動も制御すること
ができる。
【0026】本発明は上述した実施例に限定されるもの
ではなく、幾多の変更や変形を加えることができる。現
在の半導体レーザ光のパワーは1W以上が実現されてい
るが、このような高パワー光を用いると、単原子結晶成
長以外にも高範囲の応用が考えられる。例えば、局所的
レーザトリミングへの応用が可能である。この場合に
は、レーザ光周波数を除去すべき原子の共鳴周波数に設
定することによってこの原子のみを選択的に除去するこ
とができる。本発明では、エバネッセント光のエネルギ
ーの変化方向と波数ベクトルの方向とは異なるとともに
周波数揺らぎが小さく、極微空間に局在しているので、
その応用範囲は非常に広いものである。
ではなく、幾多の変更や変形を加えることができる。現
在の半導体レーザ光のパワーは1W以上が実現されてい
るが、このような高パワー光を用いると、単原子結晶成
長以外にも高範囲の応用が考えられる。例えば、局所的
レーザトリミングへの応用が可能である。この場合に
は、レーザ光周波数を除去すべき原子の共鳴周波数に設
定することによってこの原子のみを選択的に除去するこ
とができる。本発明では、エバネッセント光のエネルギ
ーの変化方向と波数ベクトルの方向とは異なるとともに
周波数揺らぎが小さく、極微空間に局在しているので、
その応用範囲は非常に広いものである。
【0027】また、上述した実施例においては、レーザ
光源として半導体レーザを用いたが、その他のガスレー
ザや固体レーザを用いることもできる。例えばガスレー
ザを用いる場合には、その発振周波数の制御は、例えば
共振器間隔を微小に調整することによって実現すること
ができる。さらに、上述した実施例においては、種々の
原子に適用するために、非線形光学素子による周波数変
変換を利用したが、半導体レーザそのものを対象原子に
合わせて半導体レーザを交換するようにしても良い。さ
らに、エバネッセント光の存在体積内への原子の捕獲を
より確実に行うために、レーザ光の周波数νを、原子の
共鳴スペクトル線巾γの逆数よりも十分に短い周期で、
νr ±(0.1〜10) γの間で繰り返し変化させるようにし
ても良い。
光源として半導体レーザを用いたが、その他のガスレー
ザや固体レーザを用いることもできる。例えばガスレー
ザを用いる場合には、その発振周波数の制御は、例えば
共振器間隔を微小に調整することによって実現すること
ができる。さらに、上述した実施例においては、種々の
原子に適用するために、非線形光学素子による周波数変
変換を利用したが、半導体レーザそのものを対象原子に
合わせて半導体レーザを交換するようにしても良い。さ
らに、エバネッセント光の存在体積内への原子の捕獲を
より確実に行うために、レーザ光の周波数νを、原子の
共鳴スペクトル線巾γの逆数よりも十分に短い周期で、
νr ±(0.1〜10) γの間で繰り返し変化させるようにし
ても良い。
【0028】
【発明の効果】上述した本発明によれば、光ファイバプ
ローブの先端を先鋭化してエバネッセント光を滲出さ
せ、このエバネッセント光のきわめて微小な存在空間内
に原子を捕獲し、その運動を制御するようにしたため、
1個または少数個の中性原子の運動を制御することがで
き、原子に対するピンセットのような道具を提供するこ
とができ、これを用いてシリコンなどの半導体素子工学
の分野において重要な原子の単原子結晶成長を行うこと
ができるだけではなく、局所的かつ選択的なレーザトリ
ミングなど極微細加工など従来不可能であった極微空間
に局在する原子の運動を制御することができるようにな
った。
ローブの先端を先鋭化してエバネッセント光を滲出さ
せ、このエバネッセント光のきわめて微小な存在空間内
に原子を捕獲し、その運動を制御するようにしたため、
1個または少数個の中性原子の運動を制御することがで
き、原子に対するピンセットのような道具を提供するこ
とができ、これを用いてシリコンなどの半導体素子工学
の分野において重要な原子の単原子結晶成長を行うこと
ができるだけではなく、局所的かつ選択的なレーザトリ
ミングなど極微細加工など従来不可能であった極微空間
に局在する原子の運動を制御することができるようにな
った。
【図1】図1は、本発明において用いるレーザ光のスペ
クトル強度分布を示すグラフである。
クトル強度分布を示すグラフである。
【図2】図2は種々の原子に対して最適な先端曲率半径
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図3】図3Aおよび3Bは、本発明においてエバネッ
セント光の空間体積内に原子を捕獲する動作を説明する
線図である。
セント光の空間体積内に原子を捕獲する動作を説明する
線図である。
【図4】図4は、本発明による原子の運動制御装置の一
実施例の構成を示す線図である。
実施例の構成を示す線図である。
【図5】図5A,5Bおよび5Cは、図4に示す光ファ
イバプローブの先端の構成を示す図である。
イバプローブの先端の構成を示す図である。
【図6】図6A,6Bおよび6Cは、図4に示す装置を
用いて単原子結晶成長を行う順次の動作を示す線図であ
る。
用いて単原子結晶成長を行う順次の動作を示す線図であ
る。
11 光ファイバプローブ 11a クラッド 11b コア 11c 先端突起 11d 遮光膜 12 支持基台 13 XY走査器 14 Z走査器 15 レーザ光源装置 16 半導体レーザ 17 受光器 18 注入電流制御回路 19 温度制御回路 20 光周波数設定回路 21 加算器
Claims (10)
- 【請求項1】 少数の中性原子の運動を制御するに当た
り、運動を制御すべき原子の共鳴周波数に対し、光周波
数が原子共鳴スペクトル線巾γの0.1 〜10倍程度低いレ
ーザ光を、先端を先鋭化した光ファイバプローブの後端
から入射して先端からエバネッセント光を滲出させ、前
記光ファイバプローブの先端を対象原子に接近させてエ
バネッセント光の存在体積内に1個または少数個の原子
を捕獲し、前記レーザ光の周波数を制御して原子の運動
を制御することを特徴とする少数の中性原子の運動を制
御する方法。 - 【請求項2】 前記エバネッセント光の存在体積内に原
子を捕獲するために、光ファイバプローブの先端と対象
原子との距離を、先端の曲率半径の10倍以下とすること
を特徴とする請求項1記載の少数個の原子の運動を制御
する方法。 - 【請求項3】 前記捕獲すべき原子を含む原子集団を、
レーザ冷却による光糖蜜生成法によって空間中に捕獲し
た後、前記エバネッセント光の存在体積内に捕獲するこ
とを特徴とする請求項1記載の少数の中性原子の運動を
制御する方法。 - 【請求項4】 前記光ファイバプローブの先端に形成さ
れるエバネッセント光の存在体積内に原子を捕獲しなが
ら光ファイバプローブの先端を所望の位置に移動した
後、レーザ光の周波数を原子の共鳴周波数に対し、原子
共鳴スペクトル線巾γの0.1 〜10倍程度高い周波数に変
化させて原子をエバネッセント光の存在体積外へ移動さ
せることを特徴とする請求項1記載の少数の中性原子の
運動を制御する方法。 - 【請求項5】 少数の中性原子の運動を制御する装置に
おいて、レーザ光を放射するレーザ光源装置と、このレ
ーザ光の周波数を、運動を制御すべき原子の共鳴周波数
に対し、原子共鳴スペクトル線巾γの0.1 〜10倍程度低
い周波数と、この原子共鳴スペクトル線巾γの0.1 〜10
倍程度高い周波数との間で切換える光周波数設定回路
と、この光周波数設定回路で制御された周波数を有する
レーザ光が入射される後端およびエバネッセント光を滲
出するように先鋭化された先端を有する光ファイバプロ
ーブと、この光ファイバプローブの先端を所定の位置に
移動させる駆動手段とを具え、前記レーザ光の周波数を
原子の共鳴周波数に対し、原子共鳴スペクトル線巾程度
低い周波数に設定して光ファイバの先端から滲み出るエ
バネッセント光の存在体積内に1個または少数個の原子
を捕獲した後、レーザ光の周波数を、原子の共鳴周波数
に対し、原子共鳴スペクトル線巾γの1〜10倍程度高
い周波数に切り換えて原子をエバネッセント光の存在体
積外へ押し出すよう構成したことを特徴とする少数の中
性原子の運動を制御する装置。 - 【請求項6】 前記光ファイバプローブの先端の曲率半
径aを、ほぼ10〜30nmとしたことを特徴とする請求項5
記載の少数の中性原子の運動を制御する装置。 - 【請求項7】 前記レーザ光源装置には、レーザ光源
と、このレーザ光源から放射されるレーザ光の周波数ν
を検出し、レーザ光源から放射されるレーザ光の周波数
の揺らぎΔνを、ν/Δνが1×107 よりも大きくな
るように抑圧する自動制御手段を設けたことを特徴とす
る請求項4記載の少数の中性原子の運動を制御する装
置。 - 【請求項8】 前記光ファイバプローブの先端の先鋭化
した部分以外を遮光性物質の膜で被覆したことを特徴と
する請求項4記載の少数の中性原子の運動を制御する装
置。 - 【請求項9】 前記遮光性物質の膜を、光ファイバプロ
ーブの先端の直径が光の波長とほぼ等しくなる部分まで
被覆したことを特徴とする請求項8記載の少数の中性原
子の運動を制御する装置。 - 【請求項10】 1個または少数個の中性原子を捕獲す
るに当たり、捕獲すべき原子の共鳴周波数に対し、光周
波数が原子共鳴スペクトル線巾γの01. 〜10倍程度低い
レーザ光を、先端をレーザ光の波長よりも小さい曲率半
径を有するように先鋭化した光ファイバプローブの後端
から入射して先端からエバネッセント光を滲出させ、こ
のエバネッセント光の存在体積内に1個または少数個の
原子を捕獲することを特徴とする少数の中性原子を捕獲
する方法。
Priority Applications (3)
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|---|---|---|---|
| JP4152442A JPH0693038B2 (ja) | 1992-06-11 | 1992-06-11 | 少数の中性原子の運動を制御する方法および装置 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4152442A JPH0693038B2 (ja) | 1992-06-11 | 1992-06-11 | 少数の中性原子の運動を制御する方法および装置 |
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Family
ID=15540619
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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