JPH069513B2 - α―1,3グルカナーゼ遺伝子 - Google Patents

α―1,3グルカナーゼ遺伝子

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JPH069513B2
JPH069513B2 JP2167983A JP16798390A JPH069513B2 JP H069513 B2 JPH069513 B2 JP H069513B2 JP 2167983 A JP2167983 A JP 2167983A JP 16798390 A JP16798390 A JP 16798390A JP H069513 B2 JPH069513 B2 JP H069513B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、トリコデルマ・ハージアナム菌 (Trichoderma harzianum:IFO 31292号)が産生し、虫歯
の原因物質である不溶性グルカンを分解する機能を有す
るα−1,3グルカン3-グルカノハイドロラーゼ酵素(以
下、α−1,3グルカナーゼと称する)タンパク質及び該
タンパクの菌体外への分泌に機能するシグナルペプチド
をコードするDNA、前記DNAにコードされたアミノ酸配列
を有するタンパク質またはポリペプチド、前記のタンパ
ク質及びシグナルペプチドの発現を制御するヌクレオチ
ド配列を有したDNA、及びこれらのDNAを異種DNAに結合
させた組み換えDNA、さらには特有のN末端アミノ酸配
列を有するα−1,3グルカナーゼ酵素に関する。
(従来の技術) α−1,3グルカナーゼは、グルコースがα−1,3グルコシ
ドで結合で直鎖状に結合した多糖、α−1,3グルカンの
α−1,3グルコシド結合部分の加水分解を行う酵素で、
カビ、細菌等の微生物に広く分布する。該酵素はまた、
虫歯の原因菌であるストレプトコッカス ミュータンス
(Streptococcus mutans)菌が、口腔内において食物中に
含まれるショ糖から合成する不溶性グルカンをよく分解
する作用も行い、虫歯予防剤としての該酵素の利用が注
目を浴びている。
上記の不溶性グルカンは、虫歯の原因となる歯垢の主要
な構成成分で、α−1,3グルコシド結合で結合したグル
コース鎖とα−1,6グルコシド結合で結合したグルコー
ス鎖が複雑にお互いに枝分かれした構造をもち、α−1,
3結合のグルコース鎖の部分が、これに水の不溶性の性
質を与えている(第1図参照)。α−1,3グルカナーゼ
を不溶性グルカンに作用させ、不溶性グルカンの水に不
溶性の性質を減弱させれば、不溶性グルカンは、口腔内
の唾液に溶け出すようになり、結果として、歯垢が歯の
表面から脱落するようになる。このように、α−1,3グ
ルカナーゼは、虫歯の原因となる歯垢の除去に極めて有
効な虫歯予防剤となり、また、同じく不溶性グルカンに
含まれるα−1,6グルコシド結合糖鎖部分を切断する酵
素であるデキストラナーゼと併用すれば、歯垢はより一
層、効率的に除去できると考えられ、このような観点か
ら、α−1,3グルカナーゼやデキストラナーゼを微生物
培養液から分取する方法の研究開発が多くなされてきた
(特公昭56−45587号、特公昭46−42955号、特開昭63−
301788号等)。
また、一方、上記のような歯垢を分解する能力があるα
−1,3グルカナーゼを歯磨き剤に配合する研究も数多く
なされ、従来の歯磨き剤と較べ歯垢の除去能力が高いこ
とが認められている(特公昭55−50006号、特公昭58−1
2254号)。
上記のように、α−1,3グルカナーゼは歯垢の除去に極
めて有効であることは明らかであるが、酵素そのものを
歯磨き剤に配合した場合、歯磨き剤使用後の口腔内の洗
浄により、歯磨き剤に含まれるα−1,3グルカナーゼ自
体も口腔内から除去されてしまうという欠点があった。
このような欠点を解消し、より効果的に歯垢の除去と歯
垢の生成の阻害を行う方法としてα−1,3グルカナーゼ
遺伝子を口腔内常在細菌にクローニングし、これを虫歯
予防剤として口腔内に投与して、口腔内において恒常的
にα−1,3グルカナーゼを発現させ歯垢を取り除くとい
う方法も開発されている(特開昭62−25号)。
(発明が解決しようとする課題) 前記のように、α−1,3グルカナーゼは、種々の微生物
により生産されるが、α−1,3グルカナーゼをこれらの
微生物を用いて生産させるためには、培地中に酵素生産
誘導物質として、高価な不溶性グルカンを添加せねばな
らず、また一方、培養終了後、培地中に残存する不溶性
グルカンにより、産生されたα−1,3グルカナーゼの精
製が煩雑、困難なものとなっていた。加うるに、酵素の
生産量も少なく、このような理由から、歯垢の除去に極
めて有用であるにもかかわらず、工業的にα−1,3グル
カナーゼが大量生産されるまでには至らなかった。以上
のような問題点を解決し、安価に、しかも大量にα−1,
3グルカナーゼを得る手段として、遺伝子工学的手法を
用いることが考えられるが、該酵素の遺伝子に関する研
究は、現在までほとんどなされず、遺伝子の塩基配列等
については、まったく未知のままであった。また、α−
1,3グルカナーゼの酵素としての特性を改変したり、前
述の口腔内常在細菌によるα−1,3グルカナーゼ生産に
おいて、菌体外に多量の酵素タンパクを分泌させるため
にも遺伝子DNAの塩基配列を明らかにし、導入するプラ
スミッドの構造を設計する必要があった。
(課題を解決するための手段) 本発明は上述の従来の問題点を解消するためなされたも
のであり、その要旨とするところは、トリコデルマ・ハ
ージアナム(Trichoderma harzianum)菌が産生するα−
1,3グルカン3-グルカノハイドロラーゼ酵素タンパク
質、及びα−1,3グルカナーゼを菌体外に分泌させる機
能を有するシグナルペプチドをコードするDNA、これら
のDNAにコードされるアミノ酸配列を有するタンパク質
及びシグナルペプチド、前記タンパク質及びシグナルペ
プチドの発現を制御するヌクレオチド配列をコードする
DNA、前記DNAを異種DNAに結合させた組換えDNA、特有の
N末端アミノ酸配列を有するα−1,3グルカナーゼ酵素
タンパク質、及びそれらの構造と機能に関する情報を提
供するものである。
すなわち、本発明は、上述のDNA、酵素タンパク質、シ
グナルペプチド、及びそれらの構造と機能に関する情報
を用いて、従来困難であったα−1,3グルカナーゼの安
価な大量生産法の開発、遺伝子の改変による酵素的機能
の改良、新規のより有効な虫歯予防剤の開発等を可能な
らしめ、またそれらの成果を実用に供するという目的で
なされたものである。
(実施例) 本発明のDNAの分離手順、クローニング手順、及び塩基
配列の解析方法等に関し、その実施例を以下に詳細に説
明する。
実施例1:トリコデルマ ハージアナム(Trichoderma h
arzianum)菌が産生するα−1,3グルカナーゼの精製 トリコデルマ ハージアナム菌を下記第1表に示した組
成の培地に植菌し、30℃で、8日間振とう培養した。
培養液を集めて遠心分離により菌体を除き、得られた培
養上清を限外濾過により濃縮した。この濃縮液を硫安80
%飽和にて塩析し、沈澱物を遠心分離により集め、50mM
酢酸緩衝液(pH 5.0)に溶解した。そして、同緩衝液にて
透析し、透析上清を同緩衝液で平衡化したCM−セファロ
ースCL−6B(ファルマシア社)カラムに加えた。50mM酢
酸緩衝液(pH 5.0)で吸着されずに溶出される素通り画分
を集め、10mM酢酸緩衝液(pH 4.0)を外液として透析し
た。さらにこれを同緩衝液で平衡化したCM−セファロー
スCL−6Bカラムに吸着させ、食塩のリニア−グラディエ
ントを用いて溶出した。α−1,3グルカナーゼ活性を示
す画分を集め、限外濾過で濃縮した後、バイオゲルP-20
0(バイオラッド社)カラムを用いて、これのゲル濾過
を行った。
以上の操作により、11.5の培養上清から、242.4mgの
電気泳動的に均一なα−1,3グルカナーゼを得ることが
できた。
また、このα−1,3グルカナーゼのSDS-ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動法による分子量測定を行い、76,000ダ
ルトンの分子量をもつことが明らかになった。
実施例2:α−1,3グルカナーゼのアミノ酸組成及びN
末端アミノ酸配列の分析 上記実施例1で精製したα−1,3グルカナーゼを塩酸加
水分解(温度110℃で、24〜72時間)して、アミノ酸分
析計(ベックマン社 6300型)を用いてそのアミノ酸組成について調べた。そ
の結果を後に調べたcDNA塩基配列から予測されるアミノ
酸組成と共に前記第2表に示した。尚、アミノ酸分析に
よるアミノ酸組成の定量では、アスパラギンとアスパラ
ギン酸の含有率はその合計をAsxとして、同様にグルタ
ミンとグルタミン酸はGlxとして示した。また、システ
インとトリプトファン残基については定量を行わなかっ
た。
さらに、α−1,3グルカナーゼのN末端のアミノ酸配列
についてペプチドシークエンサー(アプライドバイオシ
ステムズ社 モデル477A/120A)を用いて分析し、以下の
ようなN末端アミノ酸配列を持つことが判明した。
実施例3:抗α−1,3グルカナーゼ血清の調製 精製α−1,3グルカナーゼに対するウサギの抗α−1,3グ
ルカナーゼ血清を以下の方法により調製した。
一次免疫として精製したα−1,3グルカナーゼ0.5mgと完
全フロイントアジュバンドをコロイド状になるまで混合
し、ウサギ(Japanese White Rabbit)に対し皮下注射を
行った。3週間後、二次免疫としてα−1,3グルカナー
ゼ0.5mgと不完全フロイントアジュバンドを前回と同様
に混合して皮下注射を行った。そして1週間後に採血
し、得られた血清の抗体価をELISA法(Davis,L.G., et a
l., Basic Methods in molecular biology, 348-354, 1
986, Elsevier)を用いて調べた。明らかにα−1,3グル
カナーゼに対する抗体ができていることを確認した後全
採血を行った。こうして得られた血液を4℃で一晩放置
後遠心分離し、上清の抗α−1,3グルカナーゼ血清を採
取した。
実施例4:トリコデルマ ハージアナム菌のcDNAライブ
ラリーの作製 上記実施例1で用いた培地と同じ組成の培地で、温度30
℃で、3〜6日間培養したトリコデルマ ハージアナム
菌の菌体を分取し、ドライアイス−アセトン中で凍結し
た。この凍結菌体6gとガラスビーズ(直径0.4mm)6
gをドライアイスで冷やした乳鉢上で乳棒を用いてとも
に粉砕した。これにグアニジンイソチオシアネート変性
溶液(5mMクエン酸ナトリウム、0.5%N-ラウロイルザル
コシンナトリウム、0.1M 2-メルカプトエタノールを含
む5Mグアニジンイソチオシアネート溶液)25mlを加え、
室温にて溶かしながらホモゲイズした(Chirgwin, J.
M., et al., Biochemistry, 18, 5294-5299, 1979)。次
に、10,000×g、10分間遠心分離して残渣を除き、その
上清1mlに対して0.2gの割合となるよう塩化セシウムを
加えた。2.1ml容の遠心チューブ中に0.75mlの0.1M EDT
A, 0.2%ジエチルピロカルボネートを含む5.7M塩化セシ
ウム溶液を予め入れておいたものに上記の上清を1.45ml
ずつを重層した。そして、超遠心分離器(ベックマン
社、TL-100型、TLA 100.2ローター)を用いて100,000回
転、3時間、20℃で超遠心分離を行いRNAを沈澱させた
(Glisin, V., et al., Biochemistry, 13, 2633-2637,
1974)。RNAを蒸溜水に溶解し、さらにフェノール抽出、
エタノール沈澱により精製し1.4mgの精製全RNAを得るこ
とができた。
さらに、この全RNAに対しOligo dTセルロースカラムク
ロマトグラフィー(ファルマシア社、Oligo dTセルロー
スタイプ3)を2回行いpoly(A)RNAを精製したAviv,
h., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,69, 1408
-1412, 1972)。
以上の操作より、最終的に約20μgのpoly(A)RNAが精製
された。
このポリ(A)RNAからcDNA合成システムキット(アマーシ
ャム社)を用いてcDNAを合成し、約500ngの2本鎖cDNA
を得ることができた。これにcDNAクローニングシステム
λgt1キット(アマーシャム社)を用いてEco RIサイト
のメチル化、Eco RIリンカーの連結、そして制限酵素Ec
o RIによる切断を行い、さらにフェノール抽出、エタノ
ール沈澱を行った後、2%アガロースゲルを用いて電気
泳動を行った。大きさが2〜4kbに相当する部分をゲル
から切り出し、電気溶出法(Life on the Edge, vol.I
I, 41-42, International Biotechnologies., 86/87 ca
talog)によりゲルからcDNAを回収した。回収したcDNA
をλgt11/EcoRI digested vector kit(ストラタジーン
社)およびGigapack Gold(ストラタジーン社)を用い
てλgt11ファージベクターへの連結(ligation)と包み
込み(packaging)を行い、最終的に50万プラーク分に相
当するλgt11cDNAライブラリーを作製した。
実施例5:α−1,3グルカナーゼcDNAのスクリーニング
とサブクローニング 実施例4で作製したcDNAライブラリーから、抗α−1,3
グルカナーゼウサギ血清を用いる免疫スクリーニング法
(Young, R.A., Davis, R.W., DNA Cloning I, 49-78,19
85, IRL PRESSS)によりα−1,3グルカナーゼcDNAを持つ
ファージのスクリーニングを行った。
先ず、大腸菌Y1090株を滅菌したLB培地(1%トリプト
ン、0.5%イーストエキストラクト、0.5%塩化ナトリウ
ム、50μg/mlアンピシリンの水溶液)に接種し30℃で
一晩振とう培養した。その培養液0.2mlにcDNAライブラ
リーのファージ懸濁液(5,000−10,000プラーク分)を加
えて37℃、20分放置し、2.5mlのNZY培地(0.5%塩化ナ
トリウム、0.2%硫酸マグネシウム、0.5%イーストエキ
ストラクト、1%NZアミンの水溶液)のトップアガー溶
液(0.6%バクトアガーを含む)とともにNZYプレート
(1.5%バクトアガーを含む)の上層に広げた。42℃で
2〜3時間培養した後10mMのIPTG(イソプロピルβ-D-
チオガラクトピラノシド)溶液を滲み込ませたニトロセ
ルロースフィルターをこれに密着させ、37℃でさらに3
時間培養した。4℃で1時間放置後、フィルターを剥が
しTBS〔150mM NaClを含む50mMトリスバッファー(pH 8.
0)〕で洗い、さらに5%スキムミルク-TBSにつけブロッ
キングした。次に、フィルターを一次抗体液(抗α−1,
3グルカナーゼウサギ血清を1%スキムミルク、0.05%
ツイーン20を含むTBSで1,000倍に希釈したもの)につけ
18時間室温で振とうした。0.05%ツイーン20を含むTBS
でフィルターを洗浄後、パーオキシダーゼ標識抗ウサギ
IgG-ヤギIgG溶液(バイオラッド社、3,000倍に一次抗体
希釈液と同様のバッファーで希釈したもの)につけ1時
間室温で振とうした。フィルターを洗浄後発色溶液(0.0
1%ジアミノベンジディンを含む0.015%過酸化水素水)に
つけ、発色する陽性のプラークを分離し、同様の操作に
より純化した。このようにしてcDNAライブラリーのスク
リーニングを行い、最終的に16個の抗α−1,3グルカナ
ーゼ血清に反応する、α−1,3グルカナーゼcDNAが組み
込まれていると思われるファージプラークを分離した。
これらのプラークのファージDNAをラムダソープ(プロ
メガ社)を用いて調製し、制限酵素Eco RIで切断した後
アガロース電気泳動にかけ、クローニングされているcD
NAの大きさを調べた。このうち最も長いcDNA(D17)をサ
ブクローニングするため、このファージDNAのEco RI消
化物8μgと予めEco RI切断し、フォスファターゼ処理
したpUC118クローニングベクター0.1μgとをDNAライゲ
ーションキット(宝酒造社)を用いて連結し、大腸菌JM
109コンピテントセル(宝酒造社)に導入した。
これを、50μg/mlのアンピシリン、40μg/mlのX-ga
l(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β−ガラクトピラ
ノシド)、0.5mM IPTGを含むLB-プレート(1.5%バクトア
ガーを含む)に植菌し、37℃で一晩培養してコロニーを
形成させた。β−ガラクトシダーゼ活性の無くなった白
色のコロニー(β−ガラクトシダーゼ活性があれば、X-
galが分解され青色のコロニーとなる)を分離し、それ
らの中からD17cDNAフラグメントがクローニングされた
形質転換株を分離した。
この形質転換株よりプラスミドDNA(D17とpUC118がEco
RIサイトにおいて結合したもの)を分離しpD17-1(第2
図参照)と名付け、以下の実験に用いた。
実施例6:α−1,3グルカナーゼcDNA(D17)の塩基配列の
決定とその遺伝子構造の解析 プラスミドpD17-1を持つ形質転換大腸菌を培養し、常法
のアルカリSDS-塩化セシウム密度勾配超遠心法(Molecul
ar Cloning, 90-94,1982, Cold Spring Harbor Laborat
ory)によりプラスミドpD17-1を精製した。これを適当な
制限酵素で切断してアガロースゲル電気泳動を行い、切
断されたDNA断片の大きさを調べ、第3図に示す制限酵
素地図を作製した。次にcDNA(D17)の全塩基配列の決
定を以下に示すM13ファージを用いるジデオキシ塩基配
列決定法(Sanger,F.,et al., Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A.,74, 5463-5467, 1977)を用いて行った。
cDNA(D17)の制限酵素地図に従い、適当な大きさのDNA断
片を得るよう制御酵素を組み合わせてDNAを切断し、こ
れらをベクターM13mp18とmp19に組み込みサブクローニ
ングした。一本鎖DNAをこれらより調製し(Davis,L.G.,
et al., Basic methods in molecular biology, 258-26
0, 1986, Elsevier)、DNAシークエンシングキット(宝
酒造社)により反応を行い、塩基配列決定用ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動装置を用いて塩基配列を決定し
た。以上の方法で塩基配列の決定が難しかった領域は、
キロシークエンス用デレーションキット(宝酒造社)に
よりデレーションミュータントを作製した後、上記と同
様の手法で塩基配列の決定を行った。
以上の実験の結果、cDNA(D17)の大きさは2096bpで、そ
の3'側に14個のpoly(A)を持っていた。またこの塩基配
列からアミノ酸配列を推定したところ、635アミノ酸残
基をコードする1905bpのオープンリーディングフレーム
を持つことが明らかとなった。このオープンリーディン
グフレームの先頭アミノ酸(メチオニン)から数えて38
番目のアミノ酸(アラニン)から51番目のアミノ酸(イ
ソロイシン)までの配列が、前述した精製α−1,3グル
カナーゼのN末端アミノ酸配列(前記実施例2参照)と
一致した。さらに、この38番目のアミノ酸以降のオープ
ンリーディングフレームのアミノ酸組成が、精製された
α−1,3グルカナーゼのアミノ酸組成とよく一致した
(前記第2表参照)。このα−1,3グルカナーゼのN末
端アミノ酸配列と一致した部分より上流のメチオニンか
ら始まる37個のアミノ酸配列は非常に疎水生の高いアミ
ノ酸が多く、その特徴等から考えてもこの部分は菌体外
への分泌のためのシグナルペプチドの領域に相当するも
のと考えられ、このcDNA(D17)はα−1,3グルカナーゼの
構造遺伝子の全長を含んでいることが確認された。
以上の実験より明らかとなったα−1,3グルカナーゼcDN
Aの遺伝子構造を第3図に示す。
実施例7:ゲノムDNAのクローニング Tilburn等の方法(Tilburn. J., et al.,Gene, 26, 205-
221, 1983)に従って、凍結菌体からゲノムDNAを精製し
た。実施例4と同様の方法で凍結菌体10gをザラスビー
ズと共に乳鉢中で粉砕し、DNA抽出溶液〔0.5Mショ糖、2
0mM EDTAを含む25mMトリスバッファー(pH 7.5)〕25mlを
加えた。これを別のチューブに移し、これに35%のN-ラ
ウロイルザルコシンナトリウムを含んだDNA抽出溶液を
2.2ml加え、60℃で1時間振とうしながら保温した。次
に4mgのproteinase K(ベーリンガーマンハイム社)を
加え、37℃で5時間反応させた。3,000×gで10分間遠
心分離を行い、上清に対してフェノール抽出、エタノー
ル沈澱を行った。ガラス棒で析出したDNAを巻き集め、
これを6.5mlの100mM Tris (pH8.0)-10mM EDTA溶液に溶
かした。塩化セシウム6.5gと1%エチヂウムブロマイド42
0μを加え、超遠心分離機(ベックマン社、TL-100
型、TLA.2ローター)で密度勾配超遠心分離処理(100,0
00回転、5時間、20℃)を行った。分離したゲノムDNA
を含む画分をチューブから抜き取り、ブタノールでエチ
ヂウムブロマイドを除いた後、エタノール沈澱によりゲ
ノムDNAを精製した。以上のようにして、約600μgのゲ
ノムDNAが得られた。このゲノムDNAをいくつかの制限酵
素で切断し、アガロースゲル電気泳動で分離後、サザン
ブロッティング法(Davis,L.G.,et al., Basic methods
inmolecular biology, 61-65, 1986, Elsevier)によりD
NAをニトロセルロース(NC)メンブランに移し取った。こ
のNCメンブランに対して、ニックトランスレーションキ
ット(宝酒造社)でラベルしたcDNA(D17)をプローブと
して用いてハイブリダイゼーション(Davis, L.G.,et a
l., Basic methods in molecular biology, 84-87,198
6, Elsevier)を行った。その結果を第4図に示す。図
中、レーン1はマーカーDNAで左縦軸に矢印を付してそ
の大きさを示している。レーン2はゲノムDNAで、非常
に高分子量の位置にハイブリダイズしたバンドが見られ
る。レーン3からレーン5はそれぞれ制限酵素Eco RI、
HindIII、及びSal IでゲノムDNAを完全切断したサンプ
ルを用いたときのサザンハイブリダイゼーションの結果
を示している。
第4図から、制限酵素Eco RIで切断したDNAの4〜5kb
付近にハイブリダイズするバンドが認められ、この付近
のDNAをゲルから回収し、回収したDNAをλgt10/EcoRI d
igested vector(ストラタジーン社)とGigapackgold
(ストラタジーン社)を用いて、ゲノムDNAライブラリ
ーを作製した。このゲノムDNAライブラリーに対し、cDN
A(D17)をプローブとしてプラークハイブリダイゼーショ
ンによるスクリーニングを行った(遺伝子研究法II,続
生化学実験講座1, 83-99, 1986,東京化学同人)。その
結果、約800個に1個の割合でハイブリダイズする陽性
のプラークを得ることができた。ファージを純粋分離
し、ファージDNAを調製して、そのうち4μgのファー
ジDNAを制限酵素Eco RIで切断し、さらにアガロースゲ
ル電気泳動で分離して、挿入されているゲノムDNAをゲ
ルから回収した。回収したDNAの大きさは4.7kbで、これ
をpUC19のEco RI部位に連結し、大腸菌JM109株にサブク
ローニングした。
実施例8:ゲノムDNAの塩基配列の決定とα−1,3グルカ
ナーゼの遺伝子構造の解析 実施例7においてゲノムDNAをサブクローニングした大
腸菌より、保持するプラスミドDNAを抽出精製し、適当
な制限酵素で切断後アガロースゲル電気泳動で分離し
た。その切断パターンを調べ、第5図に示すような4.7k
bのゲノムDNAの制限酵素地図を作製した。尚、第5図に
おいてα−1,3グルカナーゼがコードされている部分を
黒塗りの四角で表している。cDNA(D17)の制限酵素地図
とこれを比較したところ、4.7kbのEco RI DNA断片中のH
indIII DNA断片中にcDNA(D17)が含まれていることが確
かめられた(第5図参照)。
そこで、このHindIII断片について塩基配列を実施例6
で示した方法で調べた。第6図にその結果を示すが、こ
のHindIII断片の大きさは2877bpで、これとcDNA(D17)の
塩基配列との比較により、α−1,3グルカナーゼの遺伝
子はゲノムDNAでは3つのイントロン(第6図中、英小
文字で示されている)により分断されていることが明ら
かとなった。またこのイントロン中に糸状菌イントロン
のスプライシングシグナル(Kinnaird J.H. et al., Ge
ne, 26, 253-260, 1983)とされている共通配列(点下
線)が認められた。また、四角で囲んだ部分はプロモー
ター領域に存在する典型的なTATAボックスであり、黒星
印はcDNA(D17)の5'側の開始点を示している。第6図で
一重下線はシグナル配列を示し、二重下線は精製したα
−1,3グルカナーゼタンパク質のN末端アミノ酸配列と
一致した部分を示している。波下線で表している配列
は、典型的なポリ(A)RNA付加シグナル配列であり、黒三
角印の位置が実際にポリ(A)RNAが付加する場所である。
また、この領域を含むこれより3'側の領域は転写終結の
ためのターミネーターとして重要な部分と考えられる。
(効果) 以上説明した通り、本発明は口腔内常在細菌のストレプ
トコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans)菌が
産生し、虫歯の原因となる不溶性グルカンを効果的に分
解する作用を行うα−1,3グルカナーゼをコードするト
リコデルマ・ハージアナム(Tricoderma harzianum)菌由
来のDNA、該酵素のシグナルペプチドをコードするDNA、
これらのDNAにコードされたタンパク質、ペプチドの一
次構造に関する情報、及びこれらのタンパク質、ペプチ
ドの発現を制御するヌクレオチド配列を有するDNAを提
供するものである。
たとえば、上記のDNAを適当なベクターDNAに結合させ、
適当な宿主(特に、口腔内常在細菌)に導入して形質転
換株を作製し、これを口腔内に投与することにより、口
腔内においてα−1,3グルカナーゼを分泌生産させ、永
続的に口腔内の不溶性グルカンを分解・除去するという
虫歯予防剤の作製も可能ならしめるものである。
さらに、上記のα−1,3グルカナーゼのアミノ酸配列の
改変による酵素的性質の改良や、異種タンパク質とのハ
イブリッドタンパク質の作製、化学的方法によるα−1,
3グルカナーゼの合成等に途を開いたものでもある。
このように本発明は、将来のα−1,3グルカナーゼのタ
ンパク工学的な改良や、広い分野におけるその利用法の
開発の基を開くものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、不溶性グルカンの構造を示す図、 第2図は、プラスミドpD17-1の制限酵素地図を示す図、 第3図は、α−1,3グルカナーゼのcDNA(D17)の制限酵素
地図、及び遺伝子構造を示す図、 第4図は、サイズマーカー(レーン1)、ゲノムDNA
(レーン2)、制限酵素Eco RIで完全切断されたゲノム
DNA(レーン3)、制限酵素HindIIIで完全切断されたゲ
ノムDNA(レーン4)、制限酵素Sal Iで完全切断された
ゲノムDNA(レーン5)のサザンブロットハイブリダイ
ゼーションの結果を示す図、 第5図は、α−1,3グルカナーゼ遺伝子を含むゲノムDNA
フラグメントの制限酵素地図、及び遺伝子構造を示す
図、 第6図(A)(B)(C)は、α−1,3グルカナーゼ遺伝子を含む
ゲノムDNAフラグメントの塩基配列、及びα−1,3グルカ
ナーゼの遺伝子構造を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 松代 創一郎 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内 (72)発明者 宮原 順一 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内 (72)発明者 奥島 実 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トリコデルマ・ハージアナム(Trichoderm
    a harzianum)菌が産生する下記アミノ酸配列を含むα
    −1,3グルカン3-グルカノハイドロラーゼ酵素タンパク
    をコードするDNA。 ASSADRLVFC HFMIGIVGDR GSSADYDDDM QRAKAAGIDA FALNIGVDGY TDQQLGYAYD SADRNGMKVF ISFDFNWWSP GNAVGVGQKI AQYANRPAQL YVDNRPFASS FAGDGLDVNA LRSAAGSNVY FVPNFHPGQS SPSNIDGALN WMAWDNDGNN KAPKPGQTVT VADGDNAYKN WLGGKPYLAP VSPWFFTHFG PEVSYSKNWV FPGGPLIYNR WQQVLQQGFP MVEIVTWNDY GESHYVGPLK SKHFDDGNSK WVNDMPHDGF LDLSKPFIAA YKNRDTDISK YVQNEQLVYW YRRNLKALDC DATDTTSNRP ANNGSGNYFE GRPDGWQTMD DAVYVAALLK TAGSVTITSG GTTQTFQANA GANLFQIPAS IGQQKFALTR NGQTIFSGTS LMDITNVCSC GIYNFNPYVG TIPAGFDDPL QADGLFSLTI GLHVTTCQAK PSLGTNPPVT SGPVSSLPAS STTRASSPPP VSSTRVSSPP VSSPPVSRTS SPPPPPASST PPSGQVCVAG TVADGESGNY IGLCQFSCNY GYCPPGPCKC TAFGAPISPP ASNGRNGCPL PGEGDGYLGL CSFSCNHNYC PPTACQYC
  2. 【請求項2】前記アミノ酸配列が、下記塩基配列によっ
    てコードされる請求項1に記載のDNA。 GCTTCTTCTG CTGACCGTCT CGTATTCTGT CACTTCATGA TTGGTATCGT TGGTGACCGT GGCAGCTCGG CAGACTATGA TGACGATATG CAACGTGCCA AAGCCGCTGG CATTGACGCC TTCGCTCTGA ACATTGGCGT TGACGGCTAT ACCGACCAGC AGCTCGGGTA TGCCTATGAC TCTGCCGATC GTAATGGAAT GAAAGTCTTC ATTTCATTCG ATTTCAACTG GTGGAGCCCC GGTAATGCAG TTGGTGTTGG CCAGAAGATT GCGCAGTATG CCAACCGTCC CGCCCAGCTG TATGTCGATA ACCGGCCATT CGCCTCTTCC TTCGCTGGTG ACGGTCTGGA TGTAAATGCG TTGCGCTCTG CTGCAGGCTC CAACGTTTAC TTTGTGCCCA ACTTCCACCC TGGTCAATCT TCCCCCTCCA ACATTGATGG CGCTCTTAAC TGGATGGCCT GGGATAATGA TGGAAACAAC AAGGCACCCA AGCCGGGCCA AACCGTCACA GTGGCAGACG GTGATAACGC TTACAAGAAC TGGTTGGGTG GCAAGCCTTA CCTGGCGCCT GTCTCACCTT GGTTTTTCAC CCATTTCGGC CCTGAAGTTT CATATTCCAA GAACTGGGTC TTCCCAGGTG GTCCTCTGAT CTATAACCGG TGGCAACAGG TCTTGCAGCA GGGCTTCCCC ATGGTTGAGA TCGTTACCTG GAATGACTAC GGCGAGTCTC ACTACGTCGG TCCACTAAAG TCTAAGCATT TCGATGATGG CAACTCCAAA TGGGTCAATG ATATGCCCCA CGATGGATTC CTGGATCTTT CGAAGCCGTT CATAGCCGCA TATAAAAACA GGGATACCGA CATCTCCAAG TATGTTCAAA ATGAGCAGCT TGTTTACTGG TACCGCCGCA ACTTAAAGGC ACTGGACTGT GACGCCACCG ACACAACCTC TAACCGCCCG GCTAACAATG GAAGCGGCAA TTACTTTGAG GGACGCCCCG ATGGTTGGCA AACTATGGAT GATGCCGTTT ATGTTGCCGC ACTTCTCAAG ACTGCTGGCT CTGTTACGAT CACCTCTGGC GGCACCACTC AAACGTTCCA GGCTAACGCC GGAGCCAACC TCTTCCAAAT CCCAGCCAGC ATCGGCCAAC AAAAGTTTGC TCTCACTCGC AACGGTCAGA CCATCTTTAG CGGAACTTCA TTGATGGATA TCACCAACGT TTGCTCTTGC GGTATCTACA ACTTCAACCC ATATGTTGGC ACCATTCCTG CCGGCTTTGA CGACCCCCTA CAGGCTGACG GTCTTTTCTC TTTGACCATT GGATTGCATG TCACAACTTG TCAGGCCAAG CCATCTCTTG GAACCAACCC TCCTGTCACT TCCGGCCCTG TGTCCTCACT TCCAGCTTCC TCCACCACCC GCGCATCCTC GCCGCCTCCT GTTTCTTCAA CTCGTGTCTC TTCTCCCCCT GTCTCTTCCC CTCCAGTTTC TCGCACCTCT TCTCCCCCTC CCCCTCCGGC TAGCAGCACG CCGCCATCGG GTCAGGTTTG CGTTGCCGGT ACCGTTGCTG ATGGCGAGTC TGGCAACTAC ATCGGCCTGT GCCAATTCAG CTGCAACTAC GGTTACTGCC CACCAGGACC GTGCAAGTGC ACCGCCTTTG GCGCTCCTAT CTCGCCACCG GCATCCAATG GCCGCAACGG CTGCCCTCTA CCGGGAGAAG GCGATGGTTA TCTGGGCCTG TGCAGTTTCA GTTGTAACCA TAATTACTGC CCCCCAACGG CATGTCAATA CTGC
  3. 【請求項3】前記α−1,3グルカン3-グルカノハイドロ
    ラーゼ酵素タンパクが、下記アミノ酸配列をさらに含む
    請求項1に記載のDNA。 MLGVFRRLRL GALAAAALSS LGSAAPANVA IRSLEER
  4. 【請求項4】前記アミノ酸配列が、下記塩基配列によっ
    てコードされる請求項3に記載のDNA。 ATGTTGGGCG TTTTCCGCCG CCTCAGGCTC GGCGCCCTTG CCGCCGCAGC TCTGTCTTCT CTCGGCAGTG CCGCTCCCGC CAATGTTGCT ATTCGGTCTC TCGAGGAACG T
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